アジオ&アジコ |
博士こんにちは!! |
博士 |
やあ、こんにちは。
なんだい? ふたりとも今日は
ずいぶん興奮気味だね。
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アジコ |
ねえ!
博士は「南セントレア市」どう思います? |
博士 |
ああ、愛知県のふたつの町が合併して生まれた
新しい市の名前だね。
行政と住民がその是非を巡って
ずいぶん揉めているらしいけど。 |
アジオ |
ボクたちは断固反対!
おかしいよ。のどかな田舎町に
そんなヨーロピアンな名前! |
博士 |
そうかな?
私はなかなか素敵な名前だと思うけどな。
南セントレア‥‥日傘を差したマダムが
優雅にお散歩してそうで。 |
アジコ |
乳母車押したおばあちゃんが戸惑っていたわよ!
年寄りに無理な発音させるなって! |
博士 |
じゃあ海がきれいなんでしょ?
きっと地中海風のヨットハーバーには
クルーザーの帆柱が林のように‥‥ |
アジオ |
潮干狩りのシーズンにファミリーが集まるだけ! |
博士 |
いいじゃないか。
その条件でセントレアなら
逆に応援したくなるけどな。
ウチの近所にも築40年の
ニューキャッスル荘ってのがあるけど、
住んでる人みんながんばり屋さんだよ。 |
アジコ |
そりゃがんばって早く脱出したいだけでしょ?
その安アパートから! |
アジオ |
でも博士どうしてそんなに
セントレアの肩持つの?
博士なら真っ先に反対すると思ったけど。 |
博士 |
いや、まあちょっとね‥‥ |
アジコ |
アラ? この角の丸い名刺は何かしら?‥‥
キャバレー「せんとれあ」の南ちゃん? |
アジオ |
南‥‥せんとれあ‥‥
博士! アンタって人はっ!! |
博士 |
南ちゃんは悪くない!
悪いのは住民の声に耳を貸さない
行政側じゃ〜っ!! |
アジコ |
やれやれ‥‥あやしい推進派の不純な理由が
遂に明るみになったね。 |
アジオ |
博士!
ここはとっておきの味写作品を紹介して、
失われた信用を取り戻すしかないんじゃない? |
博士 |
ええい! わかっておる!
こっちは決して信用を裏切らない
美味しい作品が届いておるからな!
まずは広島県の
ハンドルネーム・デジタイヤさんからの
作品じゃ!
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アジオ |
なんて沈痛な面持ちなんだ! |
アジコ |
宴もたけなわのこの状況下で
ひとりしめやかなムードに包まれた‥‥
このおじさん何者?! |
博士 |
いくつもの悲しみを乗り越えてきた瞳だね。
しかしその瞳の奥には
孤独を知るものだけが持つ強さが宿っている‥‥ |
アジオ |
その強さが身だしなみにも現れてるね。
ベルトのバックル丸見せだもん。
あんな着こなしよほど勇気がないとできないよ! |
アジコ |
マイクを握りしめてるけど、
カラオケを歌うわけじゃなさそうね。 |
博士 |
この場を借りて訴えたいことがあるんだろうね。
このおじさんの目は
カメラのレンズを見ているわけじゃない。
その向こう側にいる我々人類を見てるんだよ! |
アジコ |
きっと人類に対するの警告ね。
戦争という過ちを繰り返す私たちへの
怒りのメッセージじゃないかしら? |
博士 |
しかし今からそんな重大なメッセージが
語られようとするときに‥‥ |
アジオ |
なんて無邪気な中年カップルなんだ! |
アジコ |
座布団の散乱するこの限られた空間で
こんなに見事なステップを披露するなんて‥‥
このカップル何者?! |
博士 |
かなりのお調子ものだね。
しかしその動きはお調子ものだけが持つ
少年の心に満ちている‥‥ |
アジオ |
その心が足元にも現れてるね。
さっそく裸足だもの。
裸足イコール本気は子供の常識だもん! |
アジコ |
息はピッタリ合ってるけど、
夫婦じゃなさそうね。 |
博士 |
だからこそ楽しいんだろうね。
宝くじの当選者だってこんな全身で喜べないよ。
無礼講というライブ空間では
自らバカになったものだけが
本当の快楽を得られるんだよ! |
アジコ |
理屈じゃないのね‥‥大人の宴会って。 |
博士 |
しかし一枚の絵の中に
これほど様々な人間模様が描かれた作品も
珍しいんじゃないかな? |
アジオ |
まるでオモチャ箱をひっくり返したような
作品ですね。 |
博士 |
そうだね。
これぞまさしく大人のオモ‥‥ええと‥‥
趣味の小物などを保管する手頃な容器じゃな! |
アジコ |
なに? その回りくどい言い回し。
オモチャ箱でいいじゃん! |
博士 |
よけい信用無くしてしまうわ!
では次いくぞい!
お次はハンドルネーム・花和尚さんからの
スクープ作品じゃ!
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アジコ |
‥‥迷子ね。完全に。 |
アジオ |
迷子になってもう5年だね。 |
博士 |
迷子も長年やってると
ある種のカリスマ性さえ身に付いてくるんだね。 |
アジコ |
カリスマ迷子よ。
あの黄色ふんどしは迷子たちの憧れ‥‥ |
アジオ |
最初に親とはぐれたのはいつのことだろう? |
アジコ |
はじめはただの迷子だったのよ。
デビューは東京のデパート。
その頃はまだ泣くことしかできなかった‥‥ |
アジオ |
しかしやがてその涙も枯れ果て、
彼は東京中をひとりさまよい歩く‥‥
見失った母を求めて‥‥ |
博士 |
そしていつしか少年の中にある変化が訪れる。
プロの迷子としての確かな自覚が生まれたんだ。 |
アジコ |
迷うこと、それ自体が目的になったのね!
そこから彼の行動範囲は飛躍的に広がったわ! |
アジオ |
ある者はバリ島のビーチで、
またある者はブラジルのカーニバルで、
そしてまたある者はビルマの国境付近で
彼を見かけたとういうけど‥‥ |
博士 |
その消息は依然として知れない‥‥
カリスマ迷子誕生秘話じゃな。 |
アジコ |
この写真は偶然にも、
そんなカリスマ迷子のうしろ姿をとらえた
貴重な作品なのね! |
博士 |
しかし実に見事な迷子ぶりだね! |
アジコ |
完全に気配を消しているもの。
普通、山道をふんどし姿の少年が歩いていれば
嫌でも目立つはずよ。 |
アジオ |
でも全く気づかれてないもんね!
このかっこいいお姉さんに。 |
博士 |
何事も無かったかのようにすれ違っておるな。
まさに達人の領域じゃ。 |
アジコ |
でも彼、一生迷子を続ける気かしら? |
アジオ |
さすがに中年でこの姿だと保護されるだろうね。
迷子とはまた別の理由で。 |
博士 |
う〜ん、それは心配じゃな。
この少年に心当たりのある方!
どうぞ我が研究所までご連絡を! |
アジオ |
いやあ、今週も味わい応えのある作品が
集まったね! |
アジコ |
私もうお腹いっぱい! |
アジオ&アジコ |
デジタイヤさん、花和尚さん!
美味しい味写ごちそうさまでした! |
博士 |
うん。よい返事だ。
「せんとれあ」の南ちゃんも素敵じゃが
やはり味写はそれ以上に魅力的じゃな。
さあ全国のみなさん!
この恋多き中年に味写という名の恋人を
どしどし紹介して下さいな! |
アジオ&アジコ |
よろしくお願いしま〜す!
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