アジオ&アジコ |
博士、こんにちは!
ハックション! |
博士 |
やあ、ついに花粉症の季節だね。 |
アジオ |
博士は大丈夫なんですか? |
博士 |
私の場合はどうやら腸にくるタイプでね。
昨日からオナラが止まらないんだ。プ〜。 |
アジコ |
どんな花粉症よ‥‥症状はオナラだけ? |
博士 |
あとお尻の穴が痒くてね。これがまた辛いんだ。 |
アジコ |
最低! ちゃんとお尻拭いてんの? |
博士 |
失礼な! 私ほどのきれい好きな紳士も珍しいぞ。
お尻だって拭いた後はちゃんと鏡で確認しておる! |
アジコ |
キャ〜! 謝罪して!!
これ読んでる女性読者の皆さまに
いますぐ謝罪して! |
博士 |
し‥‥しかしいまどき花粉症くらい罹らないと、
現代人としてのイメージに関わるじゃないか‥‥ |
アジオ |
でもそれ、言えてますよね。
ボクも「キレる若者」のイメージを守るため
毎日苦労してるもの。 |
アジコ |
あら? アジオ君でもキレるときあるの? |
アジオ |
こたつのスイッチなんか
ちゃんとこまめにキレてるし、
もうパジャマだってひとりでキレるよ。 |
博士 |
‥‥それすごくいい子じゃないか。アジオ君。 |
アジコ |
‥‥あえて指摘しない方がいいみたいね。
偉いわよ‥‥アジオ君。 |
アジオ |
えっへん! もうボクキレっぱなし! |
博士 |
うん、純真な若者の勘違いから、
図らずも日本の明るい未来が垣間見えたところで
今週も味写作品の発表じゃ! |
アジコ |
まずは宮崎県の
ハンドルネーム・鼻セレブさんからの作品です!
|
アジコ |
早く逃げて! お坊さん!! |
アジオ |
志村! うしろうしろ〜!! |
博士 |
誰が志村じゃ! |
アジオ |
ごめんなさい! つい‥‥。
でも危ないよ。
お坊さんあんなところで文庫本に熱中しちゃって。 |
博士 |
あれは文庫本じゃなくてお経なんじゃないかな? |
アジオ |
え?! じゃあこっちは仏壇なの?
こんなショベルカーそっくりの仏壇、
ボク初めて見ちゃった! |
博士 |
いや、これは正真正銘、
掛け値無しのショベルカーだよ。 |
アジコ |
ショベルカーにお経?
タヌキでも取り憑いたのかしら? |
アジオ |
なにかいわれのあるショベルカーなんだよ。
弘法大師の愛用車だったとか。 |
アジコ |
んなわけないでしょ! 博士、これはいったい? |
博士 |
お便りによると建築業者の皆さんは
こうして新しい重機を購入すると、
安全を祈願して
お坊さんにお経をあげてもらうらしいね。 |
アジコ |
なあんだ、そうか。
でも厳粛な儀式も端から見ると
ちょっと面白いわね。 |
アジオ |
うん。
お坊さんの前だとショベルカーも
妙にかしこまってる感じがしてかわいいね。 |
アジコ |
なんだか正座しているみたいに見えるわ。 |
アジオ |
キャタピラの上に乗ってるのはなんだろう? |
博士 |
どうやらお供え物らしいね。 |
アジオ |
一升瓶なんかの割れモノもある。
あれ後でちゃんと片付けないとね。 |
アジコ |
忘れがちよね。
ああいうところに置いたものって。 |
博士 |
調べによると全国の工事現場では毎年、
キャタピラの上にのせられたお供え物が
置き去りのまま運転され、
落下破損する例が後を絶たないらしいね。 |
アジオ&アジコ |
どこの調べよ! |
博士 |
まあ事故を未然に防ぐためだ。
多少の情報操作は許して欲しいね。
では全国工事現場の安全を祈りつつ次の作品じゃ。
ハンドルネーム・グッバイさんからの問題作!
|
アジオ |
なんだろう‥‥?
このメッセージ性の無さは‥‥ |
アジコ |
ええ。
案内表示のおかげで
近くにトイレがあることだけは分かるけど‥‥
この情報量の乏しさは逆に挑発的ですらあるわね。 |
アジオ |
限界です! 博士! 解説願います! |
博士 |
ふむ。
さすがにこの作品を画像のみから味わうのは
至難の技じゃな。
投稿者さんの解説のよると
これは地方の水族館を訪れたときのもので、
アザラシを見学しているところらしいな。 |
アジオ |
アザラシ?! ‥‥どこ?! |
アジコ |
博士! 確認出来ません!! |
博士 |
見事に隠れておるな。影さえ映っとらん。
ただ水面を見つめるひとりの若者が
トイレの隣で佇むばかりじゃ。 |
アジオ |
なんか‥‥悔しい。
アザラシが映ってないことより、
アザラシの映ってない写真を
見せられていたこと自体が‥‥ |
アジコ |
その気持ち分かるわ。
街で声掛けられて振り向いたら、
それ全然私と関係無かったときのような
プチ屈辱感ね‥‥ |
アジオ |
大体映ってないなら映ってないでいいよ!
でもなに? この無責任な後ろ姿は! |
アジコ |
反省の色無しよね。
この場合まずアザラシ有りきでしょ?
そんなメイン抜きで背中とトイレ案内だけって‥‥ |
アジオ |
大人げないよ!
子供にそんな難解なパズル
読み解けるはずないじゃん! |
博士 |
確かにいままでの作品に比べても
かなりハイレベルな味写だね。
しかしこういう作品を味わうことこそが、
味写の醍醐味と言えるんじゃないかな? |
アジコ |
でもどうやって?
せめてこの背中に値札シールでも貼ってあれば
まだ味わう余地もあるのに。 |
アジオ |
もしくはこの少年の肩に
ハムスターが乗っているとか‥‥ |
博士 |
無理に手掛かりを求めることもない。
無口な作品には沈黙で応える‥‥
味写にはそんな楽しみ方が
あってもいいんじゃないかな? |
アジオ |
無口な作品には沈黙で‥‥ |
博士 |
ありのままを受け入れればいい。
かつてトイレ案内のそばで
水面に魅せられた男がいた‥‥
それだけでいいじゃないか。 |
アジコ |
‥‥そうね。
私たちこれまで無理して
ドラマを作りすぎていたみたい。 |
アジオ |
それにボクたち散々文句を言いながらも
どんどんこの作品に吸い寄せられてるよ。 |
博士 |
誰にだってふと歩みを止めて、
傷ついた自分を癒したくなるときがある。 |
アジコ |
さざめく水面に心浮かべて‥‥
少年はつかの間の夢に酔う‥‥ |
アジオ |
下腹部の尿意もいまは忘れよう‥‥
なあにトイレの場所は確認済さ。
ボクは矢印通りに進めばいい! |
博士 |
‥‥決まったな!
今週はなかなか渋い味わいの作品が集まったね。
さあ、ふたりともごあいさつだ。 |
アジオ&アジコ |
鼻セレブさん、グッバイさんごちそうさま!
この味一生忘れません! |
博士 |
うん、よい返事だ。
素晴らしい味写に対面して、
私のお尻花粉症もずいぶん和らいだ気がするぞ。
さあ、全国の皆さん!
この虚弱な中年にこれからも
味写という名の特効薬を
どしどし送りつけて下さいな! |
アジオ&アジコ |
よろしくお願いしま〜す!
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