
アジオ |
なんだろう‥‥?
このメッセージ性の無さは‥‥ |

アジコ |
ええ。
案内表示のおかげで
近くにトイレがあることだけは分かるけど‥‥
この情報量の乏しさは逆に挑発的ですらあるわね。 |

アジオ |
限界です! 博士! 解説願います! |

博士 |
ふむ。
さすがにこの作品を画像のみから味わうのは
至難の技じゃな。
投稿者さんの解説のよると
これは地方の水族館を訪れたときのもので、
アザラシを見学しているところらしいな。 |

アジオ |
アザラシ?! ‥‥どこ?! |

アジコ |
博士! 確認出来ません!! |

博士 |
見事に隠れておるな。影さえ映っとらん。
ただ水面を見つめるひとりの若者が
トイレの隣で佇むばかりじゃ。 |

アジオ |
なんか‥‥悔しい。
アザラシが映ってないことより、
アザラシの映ってない写真を
見せられていたこと自体が‥‥ |

アジコ |
その気持ち分かるわ。
街で声掛けられて振り向いたら、
それ全然私と関係無かったときのような
プチ屈辱感ね‥‥ |

アジオ |
大体映ってないなら映ってないでいいよ!
でもなに? この無責任な後ろ姿は! |

アジコ |
反省の色無しよね。
この場合まずアザラシ有りきでしょ?
そんなメイン抜きで背中とトイレ案内だけって‥‥ |

アジオ |
大人げないよ!
子供にそんな難解なパズル
読み解けるはずないじゃん! |

博士 |
確かにいままでの作品に比べても
かなりハイレベルな味写だね。
しかしこういう作品を味わうことこそが、
味写の醍醐味と言えるんじゃないかな? |

アジコ |
でもどうやって?
せめてこの背中に値札シールでも貼ってあれば
まだ味わう余地もあるのに。 |

アジオ |
もしくはこの少年の肩に
ハムスターが乗っているとか‥‥ |

博士 |
無理に手掛かりを求めることもない。
無口な作品には沈黙で応える‥‥
味写にはそんな楽しみ方が
あってもいいんじゃないかな? |

アジオ |
無口な作品には沈黙で‥‥ |

博士 |
ありのままを受け入れればいい。
かつてトイレ案内のそばで
水面に魅せられた男がいた‥‥
それだけでいいじゃないか。 |

アジコ |
‥‥そうね。
私たちこれまで無理して
ドラマを作りすぎていたみたい。 |

アジオ |
それにボクたち散々文句を言いながらも
どんどんこの作品に吸い寄せられてるよ。 |

博士 |
誰にだってふと歩みを止めて、
傷ついた自分を癒したくなるときがある。 |

アジコ |
さざめく水面に心浮かべて‥‥
少年はつかの間の夢に酔う‥‥ |

アジオ |
下腹部の尿意もいまは忘れよう‥‥
なあにトイレの場所は確認済さ。
ボクは矢印通りに進めばいい! |

博士 |
‥‥決まったな!
今週はなかなか渋い味わいの作品が集まったね。
さあ、ふたりともごあいさつだ。 |

アジオ&アジコ |
鼻セレブさん、グッバイさんごちそうさま!
この味一生忘れません! |

博士 |
うん、よい返事だ。
素晴らしい味写に対面して、
私のお尻花粉症もずいぶん和らいだ気がするぞ。
さあ、全国の皆さん!
この虚弱な中年にこれからも
味写という名の特効薬を
どしどし送りつけて下さいな! |


アジオ&アジコ |
よろしくお願いしま~す!
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