アジオ、アジコ、アジノモト博士
天久聖一の味写入門

第12回
味写を集めよう!(その8




アジオ&アジコ
博士、こんにちは〜!

博士
はい、こんにちは!

アジオ
もうすぐ春ですね!博士!

博士
うん。
朝晩の冷え込みはまだまだキツいが、
着実に春の足音が聞こえる今日この頃じゃな!

アジコ
でも春先って変わった人が多いわね。

アジオ
今日もここに来る途中、面白い人を見つけたね!

博士
ほう、どんな「春の人」じゃ?

アジオ
携帯電話で話してる人がいたんだけど、
相手が‥‥ね。

博士
相手? 誰じゃ?

アジコ
メロスよ。
携帯に向かって大声で
「走れ!メロス!」って叫んでたわ。

アジオ
励ましてたよね。かなり真剣だったよ。
「言い訳するな!」とか
「気持ちはわかる」とか‥‥

アジコ
あと「俺もそうだったよ」って言ってたわ。
俺も‥‥ってねえ。

博士
同じ経験者からのアドバイスか。
まあメロスにとっても
いい励みになったんじゃないかな。

アジコ
なにげに靴下の人もいたわね。

アジオ
電車で正面に座ってた人の足元に
なんか違和感があったんだけど、
よく見たら靴下だったね。

博士
地味に「春の人」じゃな。

アジコ
家を出るときから靴下のままだったのかしら?

アジオ
電車に乗るときに脱いだとみたね。
一緒に電車降りたときホームで靴探してたもの。

博士
乗車駅に取り残された革靴が目に浮かぶな。

アジオ
でも、こういう愉快な人たちを見かけると
春はもうすぐって感じですね!

博士
まったくじゃ。
靴下で歩く春の足音が聞こえてくるな。
では今週もそんな「春の人」たちに負けない
ストレンジな味写たちを発表するぞい!

アジコ
は〜い。
まず一枚目は東京都の
ハンドルネーム・せき詩郎さんからの作品で〜す!

味写No.023「アリス」
写真をクリックすると、さらに大きな写真をご覧いただけます。


アジコ
不思議の国の‥‥アリスだわ!

アジオ
え?! どこにアリスが?

アジコ
ホラ。
ウサギちゃんの隣にいるじゃない!

博士
ずいぶんお年を召されたアリスじゃな‥‥

アジコ
和製アリスよ。
本名は有栖川木久蔵さん(72歳)、
現在は貯蓄と年金で
悠々自適に暮らすおじいさんよ。

博士
その有栖川さんがまたなぜこんな所に?

アジコ
きっと近所の接骨院に向かう途中、
この不思議なウサギちゃんを
見つけたんでしょうね。
そしてその後を追ううちに気がついたら‥

博士
東海道をワープして、
富士山の裾野に到着というわけか。

アジオ
なんて渋いファンタジーなんだ!

博士
大人には見えないんじゃろうな。
このウサギさんは。

アジコ
ええ。
感受性の高い子供と老人にしか見えないはずよ。
一種の妖精だとお見受けしたわ。

アジオ
でもずいぶん困ってるね。
このウサギさん。

アジコ
誤算だったのね。
まさか相手が70過ぎの和製アリスとは
思わなかったのよ。

博士
少女を不思議の国に誘うつもりが、
お年寄りと一緒に観光旅行じゃな。

アジオ
ルイスキャロルのつもりが、小津安二郎だもの。

博士
いまさら後には引けんしな。

アジコ
とりあえずいまは宿の手配と、
土産物の買い出し‥‥
ファンタジーとはかけ離れた
現実的な問題に直面してるはずよ。

アジオ
最終的には最寄りの観光センターも
視野に入れてるだろうね。

博士
しかし有栖川さんは鷹揚に構えておるな!

アジコ
そこが少女とお年寄りの年季の差ね!
戦後日本の激動と比べれば、
この程度の非現実なんかどうってことないのよ。

アジオ
妖精を尻目に命の洗濯か‥‥頼もしいね!

博士
しかしいったいどうなるんじゃ?
この和製アリスの結末は。

アジコ
そうねえ、この調子でいくと‥‥現地解散かな!

アジオ
えっ〜! 現地解散!? ここで終了?

博士
意外な結末じゃな!
夢の世界から自費で戻ってくるファンタジーとは!

アジコ
さすが経験豊富な年金生活者ね。
困ってるウサギちゃんを見かねて
自らこのファンタジーに幕を引いたのよ‥‥

博士
なんと切ない夢物語じゃ。
しかしなぜか心は晴れやかじゃぞい。
高齢者の分別あるファンタジー…
有栖川さんの器の大きさに脱帽じゃ!
よしではこの爽やかな感動を胸にアジオ君、
次の作品…といいたいところじゃが
ここで緊急のお知らせじゃ!!

アジオ
なんだよ! 博士!

アジコ
そうよ!
実際の連載ではこの後、
ちゃんと次の作品を紹介できたはずよ!

博士
なんとここからはこのバックナンバーを
読んでおられる読者のみなさんだけにお届けする
スペシャルエディションじゃ!

アジオ
なんでそんな必要があるのさ!
さっさとあのバカ殿を‥‥

博士
シャラップ! 黙らっしゃい!!

アジコ
な‥‥なによ!
そんな大きな声出して!

アジオ
こ‥‥恐くなんかないぞ!
無職の中年の大声なんて!

博士
オホン!
とにかく写真投稿という性格上、
当コーナーにはときとして
思いがけないハプニングが起こるものなんじゃ。

アジオ
それはひょっとして‥‥
ボクたちの天真爛漫な無邪気さが‥‥

アジコ
ある意味、味わい深い見解の相違を
生んでしまった‥‥みたいな?

博士
ま、そんなところじゃ。
読者のみなさん、大人の事情を察しられよ。
ではこのスペシャルエディションでは
そんな反省とお詫びの意味を込めまして‥‥

アジコ
味写研究所の秘蔵コレクションをご披露します!

アジオ
奇跡のシャッターチャンスがとらえた、
4人の園児たちのスリルと感動を、
手に汗握って御味わい下さい!!

味写No.024「スタンドバイミー」
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三人
危ないって!!!!!

2005-03-13-SUN

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