アジコ |
手前のおじさん、深々と頭を下げてるわね。 |
博士 |
「実るほど、こうべを垂れる稲穂かな。」じゃな。 |
アジオ |
博士、それどういう意味ですか? |
博士 |
稲はその実が実るほど、
自然に先が垂れてくるじゃろ。
そのように人は経験を重ね、
賢くなるほど自然と頭を下げるように、
つまり謙虚になっていくという例えじゃな。 |
アジオ |
じゃあ、このおじさんはずいぶん実ってるね! |
アジコ |
実りすぎて、垂れっぱなしね。 |
博士 |
息子ほど年の離れた、同じ警備員に
これほど丁寧にこうべを垂れておるんじゃ。
相当な実りぶりと言えるじゃろ。 |
アジオ |
お互いに勤務中だけど‥‥
そんなの関係ないよね! |
アジコ |
仕事なんてどうでもいいのよ!
こうべを垂れる方が大切よ! |
アジオ |
稲穂なんかに負けてられないよね! |
アジコ |
そうよ! 打倒! 稲穂よ! |
博士 |
稲穂に対するライバル意識か‥‥
しかしそれだけで
こうべを垂れてるわけじゃないじゃろ。 |
アジオ |
う〜ん、もっと深い理由があるのかも知れないね。 |
アジコ |
はっ! もしや‥‥!! |
博士 |
なんじゃ? |
アジコ |
この若い警備員さん、
実はお忍びで働いているのかも知れないわね。 |
博士 |
どういう意味じゃ? |
アジコ |
この人、見た目はアルバイトの警備員だけど、
実はどこかの御曹司なのよ。
でも上流階級の中だけで暮らしていると、
庶民の暮らしぶりって分からないでしょ?
だからある日、執事のじいやに頼んだのよ。
私も庶民のバイトがしてみたいって。 |
アジオ |
それでいくつかの候補の中から選ばれたのが、
この初詣の警備ってわけか。 |
アジコ |
庶民との触れ合いという点では、
もってこいのアルバイトでしょ。 |
博士 |
なるほど。
上半身を金網で囲んだ、
過剰ともいえる防護策もこれで納得がいくな。 |
アジコ |
坊ちゃんの安全には万全を期したいのよ!
執事のじいやもお供したのね。
坊ちゃんだけに危険な警備はさせませんぞって! |
アジオ |
でもじいやも感無量だね。
赤ん坊の頃から面倒見てきた坊ちゃんが、
自ら進んでアルバイトだなんて! |
博士 |
まさに頭の下がる思いだったんじゃろう。
立派になった坊ちゃんを前に
自然にこうべを垂れたんじゃな。 |
アジコ |
そしてあらためて忠誠を誓ったはずよ。
見て! このじいやの決意に満ちた横顔を! |
博士 |
そんな熱い想いを自然体で受け止める、
坊ちゃんもさすがじゃな。
世代を超えた信頼の絆に心洗われたぞい!
よし、ではこの感動を胸に
アジコさん、次の作品じゃ! |
アジコ |
は〜い!
お次のはハンドルネーム・スナフキンさんの
作品で〜す!
|
博士 |
ふたりは日食がなぜ起こるか知ってるかな? |
アジオ |
知りませ〜ん。 |
アジコ |
興味な〜い。 |
博士 |
またまたやせ我慢して!
ホントは知りたいと顔に書いてるぞい! |
アジオ |
知りたくな〜い。 |
アジコ |
興味ゼロ〜。 |
博士 |
じゃあなにが知りたいのっ!! |
アジオ |
この偽りの世界に惑わされない、
本当の自分が知りたいで〜す! |
アジコ |
私は傷つけ合うことでしか確かめられない、
リアルな愛を知りたいわ! |
博士 |
うん、それならまず日食の仕組みを知らんとな。 |
アジオ |
え〜っ! 関係な〜い! |
博士 |
うるさい!
そんな質問カラオケボックスで
友達に聞いてもらいなさい!
それより日食! |
アジコ |
分かったわよ! じゃあ手短かに説明して! |
博士 |
もう! 実は最初から知りたかったくせに‥‥
では早速この写真をご覧あれ! |
アジオ |
わっ! 核家族が一列に! |
アジコ |
お母さんのスフィンクスカットが斬新ね! |
博士 |
この際、お母さんのヘアスタイルは関係なしじゃ。
さあ、諸君。これが日食の仕組みじゃぞい! |
アジオ |
え? この家族が日食の原因なの? |
アジコ |
あの天体ショーの仕掛人がたったの3人? |
博士 |
早合点するでない。
このご家族が実際に
日食を起こしてるわけではないぞい。
この3人の並び方、
これがまさしく日食のメカニズムなんじゃ。 |
アジオ |
じゃあ、このお母さんが地球というわけか。 |
アジコ |
お父さんが月で、子供が太陽ね。
地球と太陽の間に月が入って日食が起こるのよね。 |
博士 |
‥‥な〜んじゃ。君たち知っておったのか。 |
アジオ |
えへへ。実はこの間、学校で習ったばかりさ。
でもホント、見事に日食を体現したご家族だね! |
アジコ |
引き延ばして教室の後ろに貼りたいくらいね。
これは味写というより教材よ! |
博士 |
うん。
我が子に天体の神秘を伝えるため、
ご両親があえて仕組んだ構図かも知れんな。
しかしふたりともひとが悪いぞい! |
アジオ |
だって、博士があんまり張り切ってるから。 |
アジコ |
もっと見ていたかったのよ。
博士の輝いてる姿をね。 |
博士 |
もう! またそういう怒れないセリフを
シレッっと言いおって。
まあよい! それにしてもこんな
アカデミックな家族写真は珍しいぞい。
味写で理科の復習ができるなんて、
今日はふたりとも勉強になったな。 |
アジオ |
うん!
このご家族から学んだ日食の仕組みは
一生忘れないよ。 |
アジコ |
最初の警備員さんの写真も感動したわ! |
博士 |
ではごあいさつじゃ! |
アジオ&アジコ |
NIPPYさん、スナフキンさん、
ごちそうさまでした!
とっても為になるお味でした! |
博士 |
うん、よい返事じゃ。
それではみなさん、これからもこの目ヤニ中年に、
味写という名の目薬をどしどし処方して下さいな! |
アジオ&アジコ |
よろしくお願いしま〜す!
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