アジコ |
ゲ‥‥玄関マット?! |
アジオ |
いや、生きてるよ! この玄関マット。
よく見りゃシッポがある‥‥平面犬だ! |
アジコ |
でも、なんでこの犬、
玄関マットのマネなんか‥‥ |
博士 |
ワシには分かるぞい!
このワンちゃんの気持ちがな‥‥
玄関マットは男の夢じゃぞい! |
アジオ |
どういう意味だよ‥‥ |
博士 |
男なら誰でも一度は玄関マットに憧れるもんじゃ。
美容室の玄関に寝そべり、女性客のハイヒールに
次々と踏みつけられてゆく己の姿‥‥
背中にヒールを食い込ませながらも、
甘んじて受けるその苦痛はやがて
代え難い快楽へと変貌を遂げるのじゃ。 |
アジコ |
アンタだけじゃい!
この変態! |
アジオ |
でもレッサーパンダも立つこのご時世に、
真っ向から異を唱えるこの姿勢はお見事だね! |
アジコ |
見た目のインパクトなら負けてないわ。
もうなんか失敗したお好み焼きみたいだもの。 |
アジオ |
コテでひっくり返したいよ! |
アジコ |
意地と無気力のせめぎ合いね。 |
博士 |
ブームはやがて去る‥‥
大事なのは自分のスタイルを守ること。
な〜んもやらない‥‥
それもまたひとつの意思表示なんじゃよ。 |
アジコ |
つーか、就職しろ!
だけどね。このワンちゃんには
現代の若者に通じるメッセージを感じるわね。 |
博士 |
昼起きのリストラ中年にも通じるな‥‥
うっ! 自分で言ってて胸が痛いわい。
ではアジオ君、次の作品じゃ。 |
アジオ |
は〜い!
お次はハンドル・ネームぺこさんからの作品です! |
アジコ |
担任の先生のお尻を
紙のオモチャ(吹くと伸びるヤツ)で
狙った瞬間だそうです。 |
アジオ |
その時はさぞ、盛り上がったんだろうね‥‥ |
博士 |
クラス中が笑いに包まれたんじゃろうな‥‥ |
アジコ |
おもしろスクープの手応えは
バッチリだったはずよ‥‥ |
アジオ |
でも、あがった写真がコレ‥‥なんだね。 |
アジコ |
撮影者の肩を落とした背中が
目に浮かぶわ‥‥ |
アジオ |
その日は寝るまで、
無表情だったと思うよ‥‥ |
博士 |
自信の爆笑ショットが、
盗撮風の部分写真じゃな‥‥
落胆の色は隠せんじゃろ‥‥ |
アジコ |
はしゃぎ過ぎたパーティー‥‥
残された思い出にしてはあまりに残酷よ。 |
アジオ |
地味なスラックス‥‥お尻のドアップ‥‥
単に伸びきった紙のオモチャ‥‥
あの人の笑顔はどこにも無い‥‥ |
アジコ |
寂しさ分かち合う友もいない‥‥
その果てに下された最終決断‥‥ |
博士 |
それが当コーナーへの応募というわけか。
こんなホロ苦い作品は初めてじゃぞい! |
アジコ |
涙の分だけしょっぱい味がするわ。
でも写真自体の味はともかく、
それを撮った撮影者の心情まで考えると
途端に味わい深くなる作品もあるのね! |
アジオ |
そうすると「面白くない」ことが
逆に面白くなるから不思議だね。
撮影者と一緒に
期待はずれのガッカリ感を味わうのも、
またオツなもんだよ! |
博士 |
成長したのお‥‥ふたりとも!
ぺこさんには悪いが
ワシがあえてこの作品を選んだのもそこなんじゃ。
味写じゃどうしても
作品に写ってる被写体の味わいに
目が行きがちじゃが、
その裏にはそれを写した撮影者、
そして数ある写真の中からそれを選んだ
投稿者の目が介在しておる。
それらの思い入れも含めての味わいが
味写の醍醐味といえるのじゃ! |
アジコ |
たまにはいいこと言うわね。
とても夢で熟女姉妹とジャレ合ってる中年とは
思えないわ。 |
アジオ |
この調子で味写の世界も
さらに広がっていくといいいね! |
博士 |
全くじゃ!
それでは最後にふたりの成長を祝して、
今週はハンドルネーム・kyonさんからの
この作品でお別れじゃ! |