第82回　味写を集めよう！（その68） アジオ え～ん！ 冥王星が無くなっちゃったよ～！ アジコ てゆーか、学会の学者たちが、 惑星の仲間から外しただけでしょ。 博士 冥王星の側からすれば、 交際した覚えもない異性から、 急に別れを切り出されるようなものじゃよ。 アジコ ホント。 冥王星は勝手に回ってただけなのにね。 アジオ つまり、こういうことだね。 人類 ねえ！ 冥王星クン！ 冥王星 なんだよ。 こんなところ（国際天文連盟）まで呼び出して。 人類 お話したいことがあるの！ 冥王星 なんだよ。 早く言えよ。 人類 その前に‥‥聞いても怒らないって 約束してくれる？ 冥王星 なんだよ。 それ。 人類 約束して！ 聞いても怒らないって。 冥王星 いいから話せよ。 人類 約束してくれなきゃ、 話さない！ 冥王星 話さないならいま殴る。 話の内容によっても当然殴る。 人類 ‥‥じゃあ、 話すしかないじゃない！ 冥王星 だから早く話せよ。 人類 じゃあ話すわよ！ ねえ、冥王星クン！ 私たち友達同士に戻りましょ！ 冥王星 なんだ。 そりゃ。 人類 いまままでアナタは、 私の９番目の恋人だったわけじゃない？ 冥王星 はあ？ 人類 最初は太陽の周りを回る同じ仲間だったけど、 友情はやがて愛情に変わり、 私たち付き合うことになったよね。 冥王星 待てよ！ いつ俺たち付き合ってたんだよ。 人類 その言葉、無理ないよね。 だって私、全然アナタの愛に応えられなかった。 アレじゃ付き合ってるなんていえないよね。 冥王星 おい！ 人類 でも分かって！ 私はアナタだけのものじゃないの。 他の惑星たちだって私の大切な恋人なの‥‥。 冥王星 ‥‥‥‥。 人類 覚悟は出来てる。 いいよ。殴っても。私が悪いんだもん。 それでアナタが私のこと忘れられるんだったら、 それでいい。 冥王星 アホらしい。 人類 え？ 冥王星 下らんことで呼び出すな。 地球にはびこるバクテリアめ。 じゃあ俺は軌道に戻るぜ。バーカ。 人類 ‥‥強がりなのね。 冥王星クンったら‥‥。 アジオ 人類の一方的な思い入れが、 今回の宇宙的な喜劇を生んだんだね。 博士 では今週も、過剰な思い入れで 諸君たちの作品を発表するぞい！ アジコ まず１枚目は、ハンドル・ネーム、 ユウさんの作品です！ 味写No.157「ライオンキング」 ▲写真をクリックすると、さらに大きな写真をご覧いただけます。▲ アジコ スイミングスクールの 赤ちゃんスイミングのときの写真ですって。 アジオ なんて神々しい写真なんだ！ 博士 まるで劇団四季の 「ライオンキング」じゃな。 アジコ 逆光のシルエットが、画面を必要以上に ドラマチックにしているのよ。 アジオ 後ろのヒマそーな、監視員のシルエットでさえ 意味深だもんね。 アジコ 逆光はいろんなものを ドラマチックに見せる効果があるのね。 博士 たとえ酔っぱらいの立ちションベンでも、 逆光だとカッコイイじゃろうな。 アジオ サラリーマン同士の名刺交換でも 神々しいだろうね。 アジコ 逆光なら、服屋さんで手に取ったTシャツを、 クシャクシャのまま棚に戻す姿でさえ カッコイイわよ。 博士 ふむ。 日常生活での多少の失敗なんかも、 太陽を背にすることで 誤魔化せるかもしれないぞい。 アジオ バイトに遅刻したときなんかも、 太陽を背にして現れるとカッコイイだろうね。 アジコ 落とした小銭を拾うときも、 光の方向を意識した方がいいわね。 博士 ワシの無職の理由も 「太陽がまぶしかったから」で 通用するかもしれんな！ アジオ うん。するよ、するよ。 今度、職安でその理由を言えばいいよ。 さあ、言いなよ。いまから行って、 大声で言いなよ。 博士 ‥‥もう、ただの知的な冗談じゃないか。 いじわる。 アジコ じゃあ、太陽の偉大さを再確認したところで、 同じくユウさんからの作品をもう１枚紹介します。 味写No.158「落ち込んだりもしたけど‥‥」 ▲写真をクリックすると、さらに大きな写真をご覧いただけます。▲ アジオ なにか右端の女の子が、 今回の冥王星降格の件と重なって見えてしまうよ。 アジコ 横一列に並んだ子供たちを惑星に例えると、 やっぱりこの子‥‥冥王星よね。 博士 また隣の男子の申し訳なさそうな姿が、 余計なドラマを連想させてしまうぞい。 アジオ 見て見ぬふりしか出来ん自分に対する不甲斐なさを 噛みしめてるような。 アジコ それにしてもこの女の子‥‥ アジオ 顔半分沈んでいながら、 なんて穏やかな表情なんだろう。 博士 なにかこの女の子にピッタリな コピーがあったような気がするんじゃが‥‥ アジコ なによ。 博士 「落ち込んだりもしたけど、私は元気です！」 アジオ 魔女宅だ！ アジコ 落ち込むどころか、沈んでるけどね。 アジオ では今後のこの子の「がんばり」を信じて、 次の作品です！ 博士 お次はハンドル・ネーム、 マチルダさんからの作品じゃ。 味写No.159「竹の子」 ▲写真をクリックすると、さらに大きな写真をご覧いただけます。▲ アジオ 他人のこんな「有頂天」な顔を見るのは 初めてかもしれないね。 アジコ 確かに見事な竹の子よ。 でも人は果たして竹の子を収穫したくらいで、 こんなにも自己を開放できるものかしら？ 博士 なにか収穫以上の歓びというか、 驚きがあったのかもしれんな。 アジオ 懸賞かなにかで当たったんじゃない？ この竹の子が。 アジコ 一本のわらしべが、 この大量の竹の子になったんじゃない？ 博士 笠をあげたお地蔵様の恩返しが、 この竹の子だったのかもしれんぞ。 アジオ 竹の子に見えるけど、 トロフィーなんじゃないかな？ アジコ 竹の子に見えるけど、 ブランドもののポーチなのよ！ 博士 竹の子をマツタケと勘違いしてる 気の毒な人なのかもしれんぞい。 アジオ 様々な憶測が飛び交ってるけど、 この歓びだけは本物だよ。 アジコ そうね。 でもこの俯瞰のアングルは どうしたのかしら？ 博士 脚立かなにかに上って 撮ったんじゃろうな。 アジオ とにかく多くの竹の子を写真に収めようとする 工夫が見られるね！ アジコ ‥‥撮った側と見る側の温度差が これほどある写真も珍しいわね。 博士 ふむ。今週はここまでじゃ。 ワシはいまから国際学会に 出席せねばならないでな。 アジオ なんの学会だよ！ 博士 国際おやつ連盟じゃよ。 「バナナをおやつの仲間として認めるか」の 決議があるんじゃ。 これは冥王星よりやっかいじゃぞ。 アジコ じゃあさっさと行きなさい！ 2006-08-27-SUN

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