博士 |
なんという自然なたたずまい‥‥
犬にしておくのはもったいないわい‥‥ |
アジコ |
ホント人間でもこれほどの雰囲気は
出せないわよね。 |
アジオ |
まるで別れた恋人との
思い出にひたっていような‥‥ |
アジコ |
ひとつの事件を終えて、
感慨にふける刑事のような‥‥ |
博士 |
あの暑かった終戦の日を
思い出しているような‥‥ |
アジオ |
そんな横顔だね。 |
アジコ |
でも、
実際は犬だから‥‥ |
博士 |
なんか外からヘンな匂いでも
したんじゃろな。 |
アジオ |
くんくん、
向こうで汲み取りやってるな! とか。 |
アジコ |
くんくん、
ご主人さま(の加齢臭)が帰ってきた! とか。 |
博士 |
くんくん、
お隣の奥さん浮気してんな、とか。 |
アジコ |
アホ。 |
アジオ |
それにしてもなんでこの犬、
二階から平然と‥‥ |
アジコ |
あまりの自然さに気付かなかったけど、
室内犬ってタイプでもないのにね。 |
博士 |
カーテンでわからないけど、
あの中で犬の家族が暮らしてたら
面白いじゃろうな。 |
アジオ |
建物の感じからして、
昼間から呑んでる父ちゃんとか、
シミーズで寝そべってる母ちゃんとか。 |
アジコ |
そりゃ息子はあんな顔で
外ながめるわ‥‥ |
博士 |
では次の作品じゃ! |
アジオ |
お次はH・N みなみさんの
この作品です! |