あきんどゴコロ

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高校生の頃、
讃岐うどん屋でバイトをしていた。
毎朝ご主人がつゆを作るのを見ていると
何千円もするとても立派な昆布を
湯が沸騰する前に取り出して
惜しげもなくゴミ箱に捨てている。

もったいないな、もったいないなと
思いながら眺めていた。
そして働き初めて数か月後、
意を決して言った。
「昆布、拾っていいですか」
ご主人は喜んで
昆布をビニール袋に入れて持たせてくれた。

家に帰って昆布を母親に見せた。
翌朝起きてみると、
冷蔵庫から昆布の姿が消えている!
大根と一緒に煮て
食べようと思っていたのに!!
一切家事をしない母なので、
油断していていたら、
母がやっている
小さなお菓子屋のカウンターに、
昆布巻きが!
子供の食事・弁当は一切作らないのに、
売り物はまた別らしい。

翌週うどん屋にバイトに行くと、
数日分ためておいた昆布を
奥さんが冷蔵庫から出してきてくれた。

ふたりに昆布巻きの話しをすると、
まだ甘いと。
ご主人のお母さんが店に来たことがあって、
昆布はもとより、
出汁をとった後のかつを節を
全部ビニール袋に入れて持ち帰り
ゴマや七味と一緒に煎って、
ふりかけにして売ったそうだ。
上には上がいた。
(昆布 35歳・文筆業)

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