あきんどゴコロ

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うちの師匠(66歳・現役バーテンダー)は
先日、直腸にポリープがみつかり、
取り除く手術を受けました。
ありがたいことに良性で、
手術は滞りなくすみましたが、
周囲は当たり前に
「数日安静」と思ってるところに、
翌日、土気色の顔で、店に。
「おやっさん!
 自分、ちゃんと店守りますから、
 お願いですから、帰ってください!」
六年、下に置いて頂いていて
はじめて、泣きべそかいて、
師匠を止めました。
「ばかやろ!
 なんともないから退院してきたんだ!」

お客さまとの語らいは、師匠の独壇場。
土気色の顔に脂汗垂らしながら
(この言葉の実物、はじめて見ました)
にっこりと、いつもの笑顔。
そして、お茶目な一言、ふたこと。
いつもと違う様子に気付いて、
はらはらしてくださる御常連。
何も知らず、
幸せそうに笑ってくださるお客様。
どんどん顔色の悪くなってゆく師匠。
仕舞いには粘土色。
「おそれいります!
 本日、早仕舞いさせていただきます!」
途中で限界を覚えたのは、
不肖の弟子の方でした。

最後のお客さまをお見送りして店に戻ると、
師匠は仁王立ちしたまま、
ゆらゆらゆらゆら、揺れてました。
座ったら最後、
立ち上がれなくなると思ったみたいです。
(さき)


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