人には「長寿遺伝子」なるものがあり、
誰もがもっているものであるにもかかわらず、
それを発現させるためには、ある方法が必要。
ある方法とは、ひとつはカロリー制限(!)、
そしてもうひとつは赤ワイン(!!)に
含まれる成分だという研究報告があると、
斎藤一郎先生はおっしゃるのです。
なぜ赤ワインかというと、
ポリフェノールの一種に
レスベラトロールという物質があり、
それが長寿遺伝子を発現させるスイッチ。
それが赤ワインに多く含まれているというのですね。
世界一の赤ワイン消費国であるフランスの人びとが
健康で長寿、動脈硬化が少ない理由は、
そこにあるのではないかと考えられている。
だからアンチエイジングにかかわるお医者さん同士が
お酒を飲むときには、ビールや焼酎、ウイスキーは
おつきあい程度で、あまり飲まない。
アンチエイジング的晩酌は、赤ワインをゆっくり、である。
──と、ここまでが前回のおはなしでした。

勝手なイメージのなかでの怠惰なフランス人

そういえばフランス人って、日光浴が好きですよね。
ヨーロッパのとくに北のほうは夏が短いから
太陽の光が貴重だっていうこともあるんでしょうけれど、
夏の盛りに暑いところに行って、
ちょっとぼろぼろになるくらいまで焼いたりしてます。
しかもそれが「ステイタス」だったりしてるみたい。
でもあれ、かえってからだに悪いんじゃないかなあ。
先生、どうなんでしょう?

「紫外線に当たると、酸化ストレスを介して、
 体がダメージを受けます。それは事実です。
 けれども、レスベラトロールには
 抗酸化作用があるので、
 ふだんから赤ワインを飲んでいて、
 日光浴しながらも飲んでしまうくらいの
 フランス人であれば、
 抗酸化システムは強いと
 言えるのではないでしょうか。
 だから日焼けのダメージが少ないんでしょうね」

ありゃ、すごいですね、それ!

「よく日焼け後にはビタミンCを摂りなさい、
 って言いますが、それも同じです。
 ビタミンCっていうのは
 強い抗酸化作用を持っていますから」

いくらでも飲んでいい‥‥ってわけじゃない。

ここでわれわれ は、ふと思いました。

この話、「赤ワインをいっぱい飲みましょう」
ということでは、ないと思うのです。
(お酒を飲むなら、赤ワインを選ぶほうがいいよ、
 というくらいのことで。)
そもそもアルコールの代謝で発生する
アセトアルデヒドを分解する酵素は、
遺伝のほか人種によってことなり、
ざっくり言うと白人は酒に強い人が多く、
アジア人は弱い人が多いと言うではないですか。
(この場合の強さは、飲んでも酔わないかどうかじゃなく、
 あたまが痛くならないとか、
 顔が赤くならないとか、
 気持ち悪くならないとか、
 二日酔いをあまりしないとか、そっちです)、
まあぼくはイケるクチのほうですけど
(飲むぞというときは1~2本くらい平気。
 二日酔いもあまりしない)、
それでもフランス人と飲むと酒量のちがいに驚きます。
あの人たち、すごいですよ。あんなには飲めない。
うっかりマネしたら、動脈硬化の予防になるどころか、
それより先にアルコール中毒になっちゃいそうです。
ワインがぶ飲みは、ちょっと遠慮したーい。


それで、先生、
‥‥レスベラトロールもビタミンCも、
サプリメントで補ったらどうでしょう?

この疑問に斎藤先生は、にこにこと笑いながら
こう答えてくださいました。


「基本は毎日のお食事から、というのが、
 ぼくらの、教科書的な考え方なんですよ。
 けれども『こういうふうに食事をしてください』と
 医師からお願いをしても、
 忙しくて、食べられない人もいるので、
 不足した栄養素を補うためにというときに、
 サプリメントのような栄養補助食品も
 選択肢のひとつです。
 あるいは必要なものを全部食べると
 カロリーオーバーになっちゃうという人に対しても
 適切に使えば良いと思います。
 栄養素にはオプティマルドーズ、
 理想的な量というものがあって、
 それ以下になると病気になってしまう量が
 わかっているんです。
 たとえばビタミンCひとつとっても、
 1日の摂取量が50ミリグラムを切ると、
 壊血病とか、いろんな病気になるリスクが増えます。
 ちなみにぼくらが言う理想的なビタミンCの量は
 1日1500ミリグラムです。
 ところがその理想的な量も、
 食事で摂るとカロリーオーバーになっちゃう、
 だからサプリメントで飲むという人もいます」

なるほど、栄養素は本来、食事から摂るべきであると。

「もちろん全般にサプリメントが
 NGということじゃないんですよ。
 ただ、一概に薦めにくい理由は、
 お求めになったサプリメントの組成、
 原材料までは、ぼくらにはわからないからです。
 医薬品ではないので、
 GMP基準(医薬品の品質基準)に関係なく、
 メーカーによってグレードが違います。
 だから安易に薦めることができないんです。
 そういうこともあって、
 最近は、サプリメントから、
 朝、ジュースにしてる方が多いですよ。
 もちろん自分でつくって、つくりたてを飲むんですが」

やっぱりスムージーのほうがいいのかも。

あっ! それはつまり、
低速ジューサーとか、
グリーンスムージー的なことですね!
すっごく興味あります!
じっさい、スムージーは飲んでますし!

「いいことですね。
 ぼくも買ったんですよ、
 バイタミックスっていうミキサーを」


「バ、バ、バイタァ、ミックスぅううううーッ!!」

はずかしげもなく叫ぶ

そう、バイタミックス(Vita-Mix)。
われわれの憧れのマシーンなのです!
しょっちゅう「にしもっちゃん、買いなよ」
「武井さんこそ買っちゃいましょうよ」と
ほんとは自分が欲しいのに押し付け合っているマシーン。
じつは「調味料マニア。」などでお世話になっている
伊勢丹新宿店にある、2Fのスムージーバーで、
1杯1000円くらいする高級スムージーを
ものはためしと飲んでみたら、
「えええええっ?」というくらいおいしかったのです。
いったい何をどうしたらこうなるのかと
しつこく(しつこいのです)聞きましたら、
その理由のひとつが
(もちろんレシピがよいのは言うまでもないのですよ!)
使っているミキサーだというのですよ。
それが、バイタミックス。
馬力たっぷり、超高速回転で、
アボカドのタネまで砕くという、
すごいミキサーを使っているのだと。
「5Fで販売もしておりますよ!」
というので見に行ったところ、腰を抜かしました。
いや、じっさいは抜かしてないですが、
2歩くらいは後ずさりしました。
高いのです。すっごく。ミキサーにしては。
(検索して調べてみてください‥‥。)
それからというもの
「ああ、家にあれが来たらいいのになあリスト」に
西本家も武井のところも入っている物件。
そうそう、京都に行った時、
土楽の福森道歩さんと伺ったカウンター割烹で
若き料理人さんが、
料理の下ごしらえに使っていたりもしました。
その料理人さんも「これはすごいですよ」って
すごく薦めてくれましたっけ。
「高いですけどその価値ありです」って。
どうやら料理業界でも定番化してきているらしく、
料理業界のはしくれにいる(つもりの)ものとしては、
店頭で見つけるとためつすがめつ、
羨望のまなざしを注ぎヨダレを垂らしているのです。
そうですか、やはり、いいですか‥‥。
よし、バイタミックス
(あるいは同程度の馬力のミキサー、
 スタバでスムージーつくるのに使ってるようなやつ!)
500円玉貯金して買います!

サプリメントを選ぶより、
スムージーをどう作ろうかを考えるほうが、
たのしいし、おいしいし、いいですよねー。
自分に合っている気がします!

「武井さん‥‥食べていい、飲んでいい、
 っていう話への食いつきがすごいですよね‥‥」

と、西本。
そりゃそうだブー。食べちゃダメって言われるより
食べたほうがいいって言われるほうが嬉しいブー。

「でも武井さん、先生は、
 いくらでも食べたり飲んだりしていいなんて
 おっしゃっていないですよ。
 ほら、最初にお聞きした、長寿遺伝子発現のキーは
 カロリー制限だっていう話を忘れないでください‥‥。
 じゃあ、ここで、武井さんが苦手なことを
 先生におたずねしてもいいですか。
 走ることと、アンチエイジングの関係についてです」

わ! 出た! にしもっちゃんといえば、ランニング!

「いま、ランニングブームってありますよね。
 ランニング人口が増えた大きな理由が
 このブームの背景にあるわけですが
 大きな要因が「女性が走り始めたこと」。
 これは日本に限った話ではなく、
 世界中そうなのだそうです。
 公園のランニングコースやレース会場には
 選手からアマチュアまでいろんな人がいます。
 5キロや10キロであれば、若い女性もいるんですが、
 ちゃんと練習を続けないと完走できないフルマラソンは、
 わりと年齢が高目の人が多いんですね。
 しかも、きいてみると、いままでスポーツは
 あまりしてこなかった人も多いんです。
 これ、なにか理由があるんじゃないかと‥‥」

斎藤先生の目がキラリと光りました。

「よいところに目をつけられましたね。
 そうなんですよ、じつは‥‥」

(つづきます!)

伊勢丹新宿2階の「PARK」と呼ばれる踊り場にある
スムージースタンド「SKY HIGH」。
たぶん、みなさん、
「駅のフレッシュジューススタンドが
 いい素材を使ってるだけだろう?」くらいに
思われているでしょう?
違うんです!
普通のジューサーやブレンダーでは
食感が残るただのペーストなんです。
ところがバイタミックスで
「これがスムージーか!」という飲み物に変化する。
武井さんやジョージさんと伊勢丹に行くたびに、
まずはここのスタンドでスムージーを飲みます。
問題はこのスタンドが婦人服売り場にあるということ。
おっさん3名がカウンターに座って、
チューチュー、スムージーを飲んでる姿は異様です(笑)。

2014-05-29-THU