糸井 このたびは、
素敵な絵をありがとうございます。
荒井 いや、とんでもないです。
勝手に描いちゃって、
いいのかなと思って。
糸井 いや、いいもなにも、いいです(笑)。
荒井 よかった(笑)。
糸井 あ、その服、いいですね。
荒井 これですか。
これ、自分でちょっと
絵の具つけちゃったんです。
糸井 あ、絵の具なんですか、
その赤い線。
荒井 そう。
糸井 へぇー、いいですねぇ。
え、つまり、オリジナルですか。
荒井 や、そんな大げさなものじゃなくて(笑)、
買ってきて、ちょっと塗ったんです。
糸井 そのポケットは裏地?
荒井 ポケットが裏っかえしになってるんです。
ギャルソンですよ。
糸井 あ、やっぱり。
ぼくは、同じシリーズを持ってますよ。
たまたま、あっちにかけてある。
(服を取りにいく)
‥‥ああ、やっぱり同じですね。
荒井 あ、そうだ、そうだ(笑)。
糸井 要するに、トモダーチ、ですね。
荒井 (笑)
糸井 じゃあ、せっかくですから、
ぼくも着ましょうか。
荒井 ははははは。
糸井 いや、見て、すぐに、
いいなぁと思ったんですけど、
要するに、自分が買いたくなりそうな
服だったんだな(笑)。
ギャルソンっぽいなと思ったけど、
その赤い線があるので
違って見えるんですよ。
荒井 なんかさみしいなぁと思うと、
すぐ絵の具つけちゃうんですよ。
なんか、自分の手垢をつけたくなるというか。
糸井 ああ、なるほど。
荒井 ギャルソンの人に怒られちゃいそうだけど。
糸井 いや、よろこぶんじゃないですか。
荒井 今日かぶってきた帽子にも絵の具がついてます。
糸井 あ、帽子もいいですね。
荒井 これ、もとはすっごい安い帽子なんですよ。
糸井 ああ、でも、やっぱり、
この絵の具がいいですね。
へぇーーー。
これは絵描きがかぶんないとダメかな。
荒井 いや、そんなことないですよ。どうぞ。
糸井 じゃ、ぼくのをどうぞ。
ぼくの帽子は、オリジナリティーが
まったくありませんけど。

(ふたり、帽子を交換)
一同 (笑)
糸井 帽子を交換すると、
なんか、儀式みたいだね。
古い部族どうしの出会いの儀式。
荒井 ははははは。
糸井 こんなはじまりになるとは
思わなかったな。
荒井 ええ(笑)。
糸井 いや、とてもうれしい。
今日はここで終わってもいいくらいだ。
一同 (笑)
(つづきます)


表紙の荒井良二さんの絵と、タントセレクトの質感は、
シリーズ最高の取り合わせではないかと思います。
封を開けた瞬間から立ち上る、幸せな空気。
思わず何度も撫でさすってしまいました。
眺めているだけで癒され、手に取るたびに落ち着かせてくれる、
そんな本はなかなかありません。
確実に、この一冊は私の宝物となりました。
(もっち)


とても素晴らしいです。
特に装丁は『素敵』のひとことにつきます。
内容については言わずもがなです。
「もう、本はなくなるんじゃないか」という声を耳にしますが、
まだまだ『本』という形態は生き残るに違いない、と思いました。
(ぷるぷる)


主人にも読ませてあげたら、とても感動したフレーズがあったようで
するめいかを味わうように何度も言葉を反芻してました。
またこの1年の言葉が1冊の本になることを期待しつつ、
嬉しい報告とさせていただきます。
(K)



2010-06-11-FRI