|
|
|
|
「海は、すぐそこにある。
景色をたのしみたいんだけど、
海と家のあいだに、
バイパスのクルマが
びゅんびゅん通っている……」
そこで
青木さんが見つけた答えは、
どういうものだったんですか? |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
2階が、いちばん、
バイパスのクルマと目が合う場所でした。
3階までいくと、
バイパスは下になるので
3階からは、海がよくながめられる……。
1階は
庭の生活をたのしめばいいわけで、
つまり、1階と3階は、
「そのままでいい」んです。
2階に、問題があるわけですから、
2階をやめちゃえばいい、なしです、と。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
そういう家は、特殊でしょう?
不思議なものになるわけですけど……
答えをお見せしますね。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
今、まず言葉で
「2階がない」ときいといて、
自分のなかでも、想像しておいてから
答えを見るのがたのしいですね。
「2階がない?
……きっと、こんな感じかな?」と。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
あー、コレかぁ!
ぼくは、
2階をうしろに向けるのかと
想像していましたけど、
こういうかたちになったんだ! |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
矛盾があると
クライアントのかたと、
その問題を解けたのか解けないかを
共有できますでしょう? |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
そうですね。
「もっといい解きかたは、ないの?」
と言われるだけでも、次に進めますからね。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
そうなんです。
矛盾を見つけて
それを解決するというのが、
初歩の建築のやりかたなんです。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
なるほどなぁ。
「矛盾を見つける」という
青木さんのそのやりかたは、
ご自分で、どこかの時点で
あ、わかった、というときがあったんですか。
それとも、どこかで、学んだことなのですか。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
20世紀の巨匠に
コルビジェっていますでしょう?
コルビジェって人も、そうだったんですよ。
自分で
わざと問題をむずかしくしておいて、
それで解くという……たぶん
それがエスプリということなのでしょう。
コルビジェの仕事を見ていると
それが感じられるから、先人はいましたね。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
家を、
「使うもの」
として考えたときに、
矛盾を見つけるやりかたが、
有効なわけですよね。
ぼくは
コルビジェという人を
そんなに知っているわけもないのに、
おおぜい人がいるときに、
自分の仕事を説明するときの例を
よく出していました。
「コルビジェが全盛だったころに
下品な建物として建てられた
エンパイア・ステートビルがあります。
エンパイア・ステートビルは
今でも残っていて、
コルビジェは、理論として残っている。
エンパイア・ステートビルが、
ぼくらの仕事なんです」と。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
神の業と、
人の業があるとすれば、
人の業を
とぎすましていったものがコルビジェで、
エンパイア・ステートビルをつくるのは
「絶対に目立ちたかった成金」ですよね。
そちらの原始的な欲求のほうが、
神の業に近づいていると……
つまり、
「ものには二面性があるのだから、
どちらも考えないといけなくて、
マーケティングを気にしすぎると、
目立たないものになっちゃうよ」
と、伝えるときの例が
コルビジェだったんですね。
ただ、いま、
青木さんに話していただいた
コルビジェの逸話というのは……
ほんとにおもしろいですねぇ! |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
コルビジェは、
モダニズムでしょう。
それまでのブルジョワ階級とは
ちがうテイストのものをつくるわけです。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
ちがうテイストだと、敢えて
つよく伝える必要もあったわけですよね。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
ありました。
同時に、
クライアントはブルジョワなんですよ。
そこにすごい矛盾がありまして、
すごいモダンで
アンチ・ブルジョワの
テイストでありながら
「ブルジョワにウケるもの」を
つくらなければならなくて……。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
それって、
アートの抱える矛盾にも重なりますよね。
いつの時代も、
「美術なんてぶっこわしちまえ!」
という美術に値段がつきますし。 |
|
|
|
|
|
|
(次回に、つづきます)
2006-05-30-TUE |