── |
そもそも、どうやって始まったんですか?
きっかけというか。 |
天久 |
その瞬間は覚えてないんですけど、
そのネタというより、先に『バカドリル』っていう
名前を思いついたんです。
そこから、何か考え出したっていうのは
よく覚えてますね。
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── |
昔、『GOMES』でやる、前に
バカドリルの前身みたいなのはあって、
何かの雑誌に、
点線で「1+1=」と書いてあって、
線をなぞりなさい。答えはいいです。
って書いてあった(笑)という話を
聞いたことがあります。 |
天久 |
そう、最初はそんな感じ。
バカの問題集だったんですよね。
でも『GOMES』ではじめたバカドリルの1発目は、
やっぱり、漢字のやつだったと思います。 |
── |
わたしは、ブラ、ジョン・レノンが好きですね~。

『バカドリル』より
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天久 |
ジョン・レノンネタが今回のにもありますよ。
ジョン&ヨーコの解剖図とか。

『新しいバカドリル(上)』より |
タナカ |
ほんとだね。
ジョン・レノン世代だからね。しょうがないんですよ。
でもあの頃はあれですよ、
天久ん家に遊びに行って、日がな一日、
やることもないしね。
ほんとにネタ、考えてたね。 |
天久 |
そうですよね。 |
── |
おふたりで。 |
タナカ |
何かこう、広告の裏の白いところに
描いてね(笑)。 |
天久 |
エコですね(笑)。 |
タナカ |
うーん、あのね、時代もそうだと思うんだけど、
山下さんもやられてましたけど、演劇ね。
演劇でそういう、
不条理コントみたいなのをね、
すごいやってたんですよ。周りも。
みーんな、やってたの。 |
── |
へぇ~。 |
タナカ |
別にあの、一部じゃなくて
時代が何となくそんなことやってたような気は
するんですよ。
他でもありましたしね。テレビの深夜番組でもあったし。
身近の、変なシチュエーションと設定で
無理矢理、話を進める。
っていう流れが、あったんですよ。 |
── |
はい。 |
タナカ |
変なルールだけ、最初に決めて、展開しちゃうの。
それの誌面版なんですよね。『バカドリル』は。
マンガ家だからね、僕らふたりは。 |
天久 |
僕は、吉田戦車さんが当時、
『伝染るんです』をやっていて、
「その次を、やらないとな」と思ってて。
不条理以上ってなると、もう打つ手がなくて、
一応、くだならいアイデアだけいくらでも出るんで、
じゃあ、いっそマンガに変わるフォーマットを、
と考えたんです。
それがバカドリルで。
でも、そうなるといわゆるマンガの絵じゃ
目新しさがないんで、
カツキさんに描いてもらったんです。
僕は絵、描けないし。 |
── |
絵、描けないって(笑)。
マンガ家さんですよね?
あんなに上手なのに! |
タナカ |
いや、描けるんだけどね。
興味ないだけで、描けるんですよ。
仕事がしたくないだけなんです(笑)。
 |
── |
興味ない(笑)。 |
タナカ |
だってマンガ家だし、ふつうに絵描いてるし。
あのね、天久の家に行くと、もうね、
描き損じの原稿が、無茶苦茶あるんですよ。 |
── |
えー!? |
タナカ |
おんなじ絵描いてんの、それも、何枚も。
練習してるんだよね。 |
── |
練習? |
タナカ |
プロなのに(笑)。 |
天久 |
仕事のたびに絵柄変えてたんで、
毎回、絵の練習から始めますからね。 |
タナカ |
もう笑っちゃって。 |
── |
すごい事実が発覚しました。
これは、言っていいんでしょうか(笑)?
ササ~ッと書いちゃうのかと思ってたけど、
ちがうんですね。
で、『バカドリル』の中では、
ほとんどの絵をカツキさんがお描きになって、
ネタについては、天久さんが考えるという
形になったんですね。 |
天久 |
そうですね。
誰でも知ってる図解とか、教科書に載ってるような絵を
とにかくパロディしまくろう。って。
入り口としてあったような気がしますね。 |
タナカ |
あともうひとつね、『バカドリル』を出した頃って、
HOW TO 本がブームの時期でね。
そのパロディ。とか言われちゃったんです。
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── |
あああー。 |
タナカ |
何でもHOW TO になってたんだよね。 |
天久 |
マニュアルブームだったんですよね。 |
タナカ |
そう、マニュアルブーム。デートの仕方とかさ。
「HOW TO ナントカ」って、いっぱい出てたのよ。 |
── |
そう言われるのは、
『バカドリル』的にはオッケーだったんですか? |
タナカ |
そりゃあ、もう、僕はすごい、ね、社会的ですから。 |
── |
(笑)。 |
タナカ |
ぜんぜん容認派なんです。 |
── |
さすがバランスですね(笑)。 |
タナカ |
そう。バランス。
でもね、天久はすごい怒ってたね(笑)。 |
天久 |
なんか常に怒ってましたね(笑)。 |
|
(続きます!) |