自転車思想。
チャリンコは、未来そのものの顔をしている。

Cycle Messenger World
Championshipsに来ています


こんにちは。

『自転車思想』、書いてる本人がビビるくらいの
反響を頂きました。
本当にありがとうございます。
今は旅行中なので、なかなか返信できませんが、
地味にお返事を書いていきますので
よろしくお願いいたします。

さて、今回は「自転車屋さんの選び方」、
を書こうと思ったのですが、あっさりと予定変更。
なぜなら、今はバイシクルメッセンジャー世界大会が
フィラデルフィアで行われているからです。
僕も現地にいます。
2年前に参加して、今回でやっと2回目です。
ディープなこの世界を、『ほぼ日』読者のみなさんに、
「ちょっとだけ」お見せしましょう。

大会の正式名称は,
"Cycle Messenger World Championships"で、
略して"CMWC"と呼ばれます。
1993年にベルリンで開催されたのが最初で、
1994年・ロンドン、
1995年・トロント、
1996年・サンフランシスコ、
1997年・バルセロナ、
1998年・ワシントンDC、
1999年・チューリッヒ、
と続いてきています。
年々規模は大きくなって、
スポンサーもたくさん付いてますが、
今でもメッセンジャーたち自身によって
自主運営されています。

その運営面が面白いので、ちょっと説明します。
翌年の開催地等の要決定事項は、
このCMWCと同時期に行われる、
International Federation of
Bicyle Messenger Association
(国際自転車便協会連合)、
略称IFBMAのオープンフォーラムにて決定されます。



参加は自由であり、単純な多数決主義を取らず、
参加者全員が拒否権を持ちます。
ただし、それを行使するには当然説明義務が発生しますけど。
まぁ、言うまでもなく全て英語ですので、
参加してもなかなか理解できないのが辛いところです。
もっともっともっと英語力を磨いて
積極的に参加したいのですが…。
でも、この辺りは“生”の民主主義を体感できて、
興味深いです。

さて、今年のCMWCの日程は9/2(土)〜9/4(月)まで。
ちなみに、アメリカでは9月の第1月曜日は国民の休日、
いわゆるLabor Day(勤労感謝の日)です。
まぁ、1年間お疲れさんって言う意味もあるんでしょうね。

でも、これを書いてるのはまだ9月1日なので、
実際の大会はまだ始まっていません。
ようやく今日の夜が前夜祭なんですが、
すでに大会本部や、フィラデルフィアの何軒かのバーは、
世界中から集まったバカ、
もといメッセンジャーでいっぱいです。
何たって、参加人数は700人以上になるんですから。

例えば昨日みんなが集まったバーはこんな感じでした。



マジで立錐の余地もありません。
みんな自転車に乗ってる以上、
バーの外には自転車が溢れています。



この道路の反対側にも同じように自転車の林ができてました。
こうやって、欧米・オセアニア・日本から年に1度、
メッセンジャーという生き方に魅せられたバカどもが、
世界のどこかに集まって、お互いの無事を喜びあい、
レースをして、飯を食って、
ビールを飲んで数日を過ごすのです。

一応チャンピオンシップですから、
真剣に勝ちを狙ってるメッセンジャーもいます。
でも、僕はこの国際的な“ユルイ”コミュニテイーの
中にいる方が、楽しさを感じるし、
知的好奇心をバキバキ刺激されます。
実際、お金がないメッセンジャーは、
現地のメッセンジャーの家にステイしたりして、
お金がないなりに楽しめるようにはなっています。
もちろん、これはギブアンドテイクであり、
以前世話をしてくれた相手が、
今度はステイさせてもらう立場になったりもします。
ちょっと性善説的な幻想かもしれませんが、
国境を超えた、メッセンジャーという人種が
存在するかのようです。

僕も、これまでいろんな街のメッセンジャーたちに
お世話になりました。
一人である街を訪れ、
その街で働いているメッセンジャーに話しかければ、
「お前は東京のメッセンジャーなのか? この街へようこそ!
 泊まる先はあるのか? なかったら俺んちに来いよ」
なんて言ってくれるのも珍しくはありません。

だから、彼らが日本に来た時は
ぜひとも助けてあげたいと思います。
でも、東京での一人暮らしでは、
ただでさえ大きい欧米人を泊めてあげるのは至難の技です。
ちょっと頑張って広い部屋に引っ越そうかなぁ、
とも考えている最中なのです。
この辺り、衣食住全てが高価な日本の環境が
恨めしく思えますね。

レースの模様は次回で。

Ride safe!

2000-09-04-MON

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