自転車思想。
チャリンコは、未来そのものの顔をしている。

第6回
『自転車思想』流、自転車の選びかた


こんにちは!

ここしばらくは、本当に気持ちいい日が続いてますね。
楽しんでチャリンコ乗ってますか?

このページを読んでくれ、メールを頂いた多くの方から、
このような質問がありました。

「私は今自転車を持っていないんですが、
 どんな自転車がおすすめですか?」

現在積極的に自転車に乗っていない人が、
このページを読んで自転車に興味を持ってくれたのは、
とても喜ばしいことで、やったぁーって思います。

だから書きます。
「『自転車思想』流、自転車の選びかた」
ですね。

と、ここまで考えたのはいいんですが、
しばらく考えて、
「こりゃ、簡単には書けないなぁ。」
という答えに達してしまいました。

まず第一に、自転車にはたくさん種類があります。
いわゆるママチャリ。
電動アシスト自転車。
郵便屋さん・新聞屋さんが使うような、実用車。
そしてスポーツ車、その中にも
ロードバイク、
クロスバイク、
BMX、
マウンテンバイク。
最近話題の折りたたみ自転車、
寝そべって乗るスタイルのリカンベント、などなどです。
さらに、そういう各カテゴリーの中でも、
使用目的別に自転車が違ったりします。

そして厄介なことに、
街の中で走るということであれば、
一長一短があるものの、
どれもほとんど問題なく走れてしまいます。

それでは、値段で決めるべきでしょうか?
一理あるかもしれません。
走りの快適性や耐久性は、たしかに値段に比例します。
でもいくら以上だから良い、ということはありません。

自転車がクルマに対して持っている
圧倒的なメリットの1つには、『安い』がありますよね?
クルマと比べて相対的に安いからといって、
その中で高級志向に走ってしまったら、
どうも安直というか、代償行為っぽい感じがしますね。
(いや、もちろん収入の多くを自転車につぎ込む、
 『マニア』さんは別の話ですよぉ。)
まだ積極的に自転車を生活に取り入れていない人であれば、
自分に必要のない、
または引き出すことのできない性能を持った
自転車をいきなり買ってしまうのも?ですよね。
買っちゃったから、後に引けないというのはありますが…。

といっても、何が自分にとって必要な機能・性能なのかを
最初からわかっていれば誰も苦労しません。
それがわかってれば、すでに『自転車乗り』です!
となると、これはすでに自転車に乗ってる友人や、
相談ができる自転車屋さんが必要ということです。

もう1つ、高価な自転車を買うメリットがあります。
それは、出費が多ければその分大事にするということです。
これもけっこう説得力ある意見ですね。

駅の周辺でよく見ることのできる、放置自転車。
ひどい所では、見渡す限り
自転車自転車自転車自転車自転車自転車……、
なんていう状況で、
多くの人々、特に視覚障害者・車椅子の人にとって
危険な存在となってます。
もちろん、その中には通勤通学で駐輪してあるもの、
泥棒に盗まれて、置き去りにされた自転車もありますが、
持ち主に見放された不幸な自転車も膨大な数にのぼります。
そういう『愛されない自転車たち』が寄り集まって、
無残な姿をさらしている光景は、悲しいものがありますね。

●自転車の値段が安い
    ↓
●気軽に乗れる
    ↓
●乱暴に乗って壊す
    ↓
●実は直すより買った方が安かったりする
    ↓
●新しい自転車を買う
    ↓
●古い自転車はじゃまになる
    ↓
●粗大ゴミとして捨てようとする
    ↓
●処理費用がもったいない
    ↓
●自転車を駐輪場に置き去りにする
    ↓
●撤去されたり、盗まれればラッキー(?)

現状、これはかなり当たってる感じですが、
もうちょっとよく考えてみましょう。
本当に金額と愛着は比例するのでしょうか?
というか、そう言い切っちゃっていいんでしょうか?

たしかに一般論で言うとそうかもしれませんが、
だからといって、あなたが無理に高い自転車を
買わなければいけない、ということではないはず。
値段にこだわらず、じっくりと選べばいいんです。
もちろん、星の数ほどある自転車の中には、
明らかに粗悪な品質のものや、
いい加減に組み立てられたものも存在します。
それを見抜くのはとっても難しい話です。
結局、販売する自転車屋さんが信頼できるかどうかですね。

そして、もしかしたらあなたの家にも、
何年も乗っていない自転車があるかもしれません。
パンクしたり、ちょっとしたところが壊れただけでも、
一気に乗る気が無くなってしまうことはよくあること。
もちろん、壊れない自転車があればいいんですが、
あなたを乗せて、荷物も乗せて、
何百キロも文句1つ言わず走ってくれる自転車です。
壊れないほうがおかしいですよね。

そういう乗れなくなった自転車があるんだったら、
自転車屋さんに持っていって、
1度しっかり直してもらうのもアイデアです。
買ったときの喜びを思い出すかもしれませんね。

自転車っていうのは、道路交通法では『車両』ですから、
あなたの命を預かっている『道具』とも言えます。
そういう点でも、定期的なメンテナンスや、
調子が悪い時の修理はマメにしてあげましょう。
自転車はクルマと違って、ほとんどの構造がシンプルです。
ちょっと本を読んだり、アドバイスを受ければ、
基本的なメンテナンスや修理は自分でできてしまいます。
それに、ちょっと自転車にはまってくると、
そういうメンテナンスがとても楽しくなってくるんです。

ただし、専門的な技術や、専用の工具なんかが、
必要な場合も当然のごとくありますので、
そういう時は素直に自転車屋さんにお願いしましょう。
僕も、自分でできない修理はお任せしちゃいます。

もうお気づきですか?
そう、何が一番重要かって考えたら、
自転車屋さんが一番重要なんです。
単にディスカウントして売りっぱなしじゃなくって、
気楽に行けて、相談に乗ってくれて、
アフターサービスのしっかりしたお店。

そういうお店を見つけるには、
身近で自転車を乗りこなしている人に聞くのが一番ですね。
でも、そういう友人がいない人のために、
僕なりの方法を書いてみましょう。
僕の場合、最初によそで買った自転車を持ちこんでみます。
それでも、親切に対応してくれるお店は好印象です。
そして、修理しながら自転車の構造や、
自分でメンテナンスする時のやり方を質問すると、
聞かれもしないことまで(笑)話し出すような店員や、
オヤジのいるお店がおすすめです。

まったく自転車を持っていない人であれば、
展示されてる自転車を見ながら、
いろいろ質問してみましょう。
その説明を聞きながら、本当に自転車が好きなんだなぁ、
と感じさせる人がいるところ。

ただし、そういうお店の場合、
全然手入れがされていなかったり、
乱暴な扱いをしていた自転車を持ちこむと、
ひどく怒られたりもしますので要注意(笑)。
まぁ、それもいい経験ですね。

自転車そのものや、修理にかかる値段に関しては、
お店の経営方針にもよるので一概には言えません。
簡単な修理なら無料でやってくれるところ、
簡単な修理といえども、職人のプライドを持って、
お金を請求するところもあります。
それだけの技術があれば、それもうなずけますよね。

どうしても、新しい自転車が欲しいあなたは、
上に書いたような自転車屋さんを見つけて、
時間をかけて相談してみましょう。
(自転車には衝動買いの可能性も大アリですが…。)
世界で1台のお気に入り自転車が見つかるかもしれません。
だったら、ちょっと壊れたからといって、
駅に置きっぱなしで知らんぷりはできないはずだし、
簡単に泥棒に盗られるような、
ヤワなカギをつけたりはしないですよね。

というわけで『自転車思想』流自転車の選びかた。
自転車を愛するお店で、
あなたが愛することのできる自転車を選んであげましょう。
重要なのは、値段よりも『愛』なんです。
値段と『愛』比例するかどうかは、
たぶん、あなた次第……?

Ride safe!

2000-10-03-TUE

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