自転車思想。
チャリンコは、未来そのものの顔をしている。

第11回  右車線走行

こんにちは。

前回書いた、自転車を取り巻くインフラの欠如、
今回も続きますのでよろしく。

問題点のその3、

> 3)左側通行を守らない人が多いから。

について考えてみましょう。

車道の進行方向を無視して、逆走してしまう問題ですね。
(一方通行の道は、原則“自転車は除く”
 になっているので今回は除外しました。)
何も見ずに文句言うのもどうだろう、と思って、
仕事の合間に街行く自転車をず〜っと見て観察してました。
それで、逆車線を走る自転車にはいくつかのタイプが
存在するということが判ってきたんです。

まず、意図的な逆走を延々する人たちがいました。

(1)交通ルール自体の知識を持ってなさそうなタイプ。

(2)どう見ても運転免許証を持ってそうな人が、
   確信犯としてやっているタイプ。

と、この2者とはまた別に、

(3)短距離の逆走を繰り返すタイプ。

もありました。
もしかしたら、もっと種類はあるかもしれませんが…。

(1)に多いのは、やはり子供ですね。
小学生〜高校生くらい。
ほとんど男性でした。

(2)も男性が多かったです。
年齢は結構幅広い感じで、
大学生風の人から、背広を着た営業マンが多かったです。
試しに注意してみると、
そそくさと反対(正しい方の)車線に移動したりするあたり
その確信犯ぶりを見せ付けてくれます。

そんな上の2者に比べ、最も多いのが(3)です。
年齢も幅広く、これと言った規則性はありません。
強いて言えば、女子学生や、買い物の主婦などの
女性がけっこう多いことですね。
今日取り上げるのも、このタイプです。
((1)、(2)も後で取り上げます。当然!)

短距離の右車線走行を繰り返す人の走行パターンは、
基本的に歩道を走っていて、
歩道上に人が多い時や、
クルマが歩道上に乗り上げている時、
電柱などのおかげで歩道が非常に狭くなっている時に
ちょこっと車道に出て、歩道上の障害物など
(歩道上の歩行者は障害物ではありません!)
を避けてから、改めて歩道に戻るというものでした。

もう1つよく見たのは、歩道橋のある交差点でした。
右側、つまりクルマの進行方向に対して
逆車線側の歩道を走る自転車を想像してください。
横断歩道のない、歩道橋だけの交差点を渡ろうとしたら、
どうしたって、車道を逆走して渡るしかありません。
(もちろん、自転車を担いで歩道橋を渡る、
 という大技はありますけどね。)
こういう交差点ってけっこうあるんですよね。

どれも、歩道上の自転車走行が
“成り行き上”許可されているのが原因と言えます。
車道上に自転車が走る空間がしっかりと用意されていれば、
少なくとも(3)の人たちが、
車道を逆走するケースはかなり減るはずです。

前回も書きましたが、
速度差が明らかな2つの物体が同一空間に存在していれば、
どうしたって危険な状態になってしまいます。
その事実に目をつぶって、
ただ、“マナー・モラル”で何とかしろというのは、
あまりに理不尽な話だと僕は思います。

例えば、水道で考えてみましょう。
公園にある水飲み場は、たいていの場合
水を飲むための上向きになった蛇口(?)と、
足を洗ったり、バケツなどで水を汲むための
下向きの蛇口が併設されています。
これを上向き蛇口の細い水流だけだったらどうでしょう?
ある人が掃除するためにバケツで水を汲んでいる間、
水を飲みたい人は延々と待ち続けなくてはいけません。
それを、「ちゃんと順番を守りましょう。」
という一言で済ますことに問題はないのでしょうか。

今ふとインターネットのシステムのことを考えたのですが、
ちょっと似ているかもしれません。
『データの転送速度と、
 転送するデータの量に見合ったアクセスポイントが、
 必要な数だけ用意されていないプロバイダーは、
 利用者に過度の負担とストレスを与えてしまう。』
ふむふむ。

さて、前回で取り上げた東京の色分け歩道は、
銀座と霞ヶ関という、商業・行政の二大中心地にあります。
それだけに歩道上には、多くの人が行き交っています。
それだけ“アクセスのある回線”上に、
無理矢理自転車も押しこめているというのは、
千代田・中央という2つ区が、交通のプロバイダーとしては
非常にお粗末な対応しかできていない、と言えるでしょう。

ただし、道路交通で問題なのは、今の日本の状況だと、
これまでの“回線増強”的な道路拡張の手法が
スペース的にも、財政的にも取り辛くなっていることです。
もちろん、利用者にとって好ましい公共事業は、
バンバンやってもらうべきですよね?
(そのためにも、自転車利用者の増加は不可欠です。
 これを読んだ、その上で自転車に乗る人が
 もっと増えてくれたらなぁ、
 と思いながらこれを書いています……。)

さて、今日のまとめ。
一見、同じ行為に見える車道での逆走も
観察してみると、そこには様々な動機があります。
その中には、道路環境で改善されるのもあれば、
それだけでは改善されないものもあって、
一概には言えません。
「そんなキレイごと言ったって、
 実際どこ走ればいいのかわからない!」
確かにその通り。
このあたり、今後深く突っ込みたいところです。

Ride safe!

2000-11-12-SUN

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