自転車思想。
チャリンコは、未来そのものの顔をしている。

第12回  「東京国際自転車展」レポート

お疲れ様です。
だいぶ遅れましたが、糸井さんお誕生日おめでとうございます!
原稿と一緒にメールを送ろうと思いましたが、
遅くなって今日に至ってしまいました(汗)。
『自転車思想』本編も後で送りますが、
勝手に番外編で、「東京国際自転車展」レポートを書いてみました。
どんなもんでしょ。

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こんにちは。

今回は『自転車思想』番外編です。
僕はこの前の日曜日(11/12)に、
東京ビッグサイトで行われた
『東京国際自転車展』に行ってきました。
これは、国内外の自転車関連企業が数多く集まって、
新製品やコンセプトモデルを出展する見本市です。

当然、MTBやロードレーサーといった
バリバリ競技志向のカッコイイ自転車も
多数出展されますが、それはそれ。
自転車専門誌でバッチリ扱ってくれるでしょうから、
そちらにお任せです。
僕はやはり『自転車思想』的な視点から、
面白いと思った自転車を見てきました。
普通、自転車っていうと、ママチャリがあって、
子供用自転車、新聞配達なんかで使う実用車、
それ以外に、ロードとか、MTB、
いわゆるスポーツ用の自転車がある、
といった感じですね。
でも、実はもっと自由な発想やコンセプトに基づいた
自転車たちが作られています。
その一部を紹介していきましょう。



これが自転車展の入り口。
この日は最終日ということもあって、
けっこうな人出でした。


何といっても、まずはここです。



そう、これがdarling special バイク。
で、一緒に映ってるのが製作者の長沼さんです。
婦人公論の対談で糸井さんが乗っていた
四輪自転車も展示されていました。
初めてお会いした長沼さんは、
自転車、技術、そして世の中のいろいろについても
熱心に語ってくれて、とても嬉しかったです。
より多くの人に自転車に乗ってもらうためには、
人間工学まで含めた”優しい技術”がもっと必要で、
今はそれを追求するのに燃えている、という印象でした。

darling specialも試乗させてもらいましたよ。
パーツなんて、あえて何でもない普及版を使っていて
それが逆にとてもいいなぁ、と感じさせてくれました。
(僕も普段から自転車乗ってて感じるんですけど、
 手頃な価格の中級くらいのパーツの方が
 使いやすくて丈夫な気がします。
 消耗して交換するにも負担が少ないし。)
走り出しも軽いし。ブレーキも軽い。
長沼さん曰く、
「真面目に作るだけですよ。」
う〜む、深いなぁ。

長沼さんが手掛けた自転車は、
センカバイク
それとリンタクラブ
のホームページで 見て下さい。
作り手の思想がギッチリ詰まってます。


今回の自転車展の特徴としては、
”バリアフリー”が挙げられるかもしれません。
普通、バリアフリーって言うと、
障害者の人や、お年寄りに対する言葉です。
もちろん、それも含んでいるですけど、
もっと広い意味で、
「自転車に乗るにあたっての”カベ”が低い。」
そんな感じでした。

例えば、巷でもかなり普及してきた折り畳み自転車や、
電動アシスト自転車なんかは、
自転車を置くスペースの問題や、
体力的な問題などで、自転車と縁遠かった人たちに
改めて自転車をアピールすることに成功しました。
そんなわけで、今回多くのメーカーが、
電動アシスト、折りたたみ自転車を出展していました。
そんな中で、面白かった自転車は、



例えば、これ。
…、写真が良くないです。ゴメンナサイ。
これは、スーツケース一体型自転車です。
ご丁寧にも、自転車になった時には
ハンドルやサドルが入っていたスペースに、
アタッシュケースが入るようになっています。
で、手前にちょっと見えるのが
畳まれた状態のスーツケース。
かなり重量があるので、
今の状態で実用は難しいと思いますが、
でも社名ロゴなどを入れて、広告媒体として
営業マンが使ったりしたら面白そうです。

この自転車メーカーの人、
前に日本へ売りこみに来たことがあるようで、
その模様がビデオで上映されてました。
皇居付近で、警備の警官に向かって自転車の畳みかたを
実演してる様子が、かなり笑えました。



やはり不審だったので職務質問されたんでしょうかねぇ?


次はこれです。



車輪の真ん中右下に付いている銀色の物体、
どんな自転車も簡単に”電動”自転車にしてしまう
アメリカ製のアタッチメントとのこと。
”電動”です。”電動アシスト”ではないことに注目。

「つまり、単なるモーターじゃないんですか?」
「そうとも言います。」

…、アナーキーだ。この人たち。
え〜、ちなみにアメリカでは
シカゴの警察などで採用されてるそうです。

「僕、この夏シカゴ行ってましたけど、
 こういうのが付いた自転車見ませんでしたよ。」

と、僕が輸入代理店の人に聞くと、

「比較的治安の悪い地域で採用されてます。
 あまりそういう所は行ってないんじゃないですか?」

ふ〜む、そうか。
治安の悪い地域だとあれですね。
追っかけたり、時には逃げたりしなくちゃいけないんで
このような”飛び道具”が必要なのかもしれません。
確かに、それほど頻繁に危険エリアは行ってないしなぁ。


「自転車乗りたいけど、
 無骨なのはカッコ悪いし、
 あまり本気っぽいのもちょっと…。」

なんて声に応える自転車も、
心理的な意味のバリアフリーと言えますね。



どうですか?
美しいですよねぇ。
これはデンマーク生れのペダーセンという自転車です。
こういう自転車もいいですよね。
ママチャリとも、ビーチクルーザーとも違って、
シンプルかつ優雅。
何ともヨーロッパチックなデザイン。
ノンビリ街を走ったら絶対注目の的です。
個人的には1台欲しいなぁ。


次はこれ。



これは打って変わって未来チックなデザイン。
(ゴメンナサイ、写真の上が切れてました。)
これはライズ&ミュラーというメーカーの新作で、
都市のコミューター(通勤)用に作られたもの。
スーツで乗ることを前提にデザインされています。
今年の3月にドイツのケルンで行われた
自転車展では一番人気を博したそうです。

ライズ&ミュラーというのは、
日本でBD−1と呼ばれる折りたたみ自転車を
製造しているメーカーです。
もっと簡単に言うと
”プジョーの折りたたみ自転車”
あれのデザインの本家本元ですね。

しかし、デザインもさることながら、
名前が”Equinox”。
トランステクノ好きにはお勧めの逸品と言えます(笑)。


ざっと、今年の自転車展で
僕が面白いと思った自転車を紹介しました。
今、『自転車思想』本編の方では、
交通におけるわりとメンドクサイ話を書いています。
僕はそういうことを真剣に考えるところまで含めて、
自転車って世界は面白いと思うんです。
モノとして面白い、乗ってももちろん面白い。
交通の問題、都市の問題、ライフスタイルの問題として、
眉しかめて考えるのも、やっぱり面白いからです。

今回取り上げたような自転車は、
決して一般的なよく見るものではないですが、
”モノ”としてとても面白いと思います。
買うかどうかは別として、
こういう自由な発想が
けっこう簡単に商品化されるのって
自転車の面白いところだと思います。
何たって全部乗って走ることができますしね。

そうそう、
自転車展会場の正面向かいにある公園で、
リカンベント型自転車のオーナー有志による
試乗会が行われていました。



リカンベントとは、通常の自転車と異なって
イスにどっかりと座っているような
低いポジションで乗るスタイルの自転車のことです。

試乗会の目的は、
自転車展来場者にリカンベントを試してもらって、
より一層の普及をはかる、ということでした。
でも、リカンベントオーナー同士で、
お互いの自転車を試乗してみたい、
というのも正直なところでしょうね。
中には、



こんな自転車もあったりして。
いや〜、本気で遊んでる大人はコワイですね。

2000-11-16-THU

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