自転車思想。
チャリンコは、未来そのものの顔をしている。

第13回  街を走ってる自転車

こんにちは。

前々回、前回(番外編は除く)と、
何やら行政批判めいた文章でしたね。
でも、単なる批判が僕の目的ではありません。
今、建設省をはじめとする省庁、地方自治体が
自転車の利用拡大に積極的な取り組みを見せています。
でも、それらの行政関係者に共通して言えるのは
自転車とその利用に関する認識が浅い、ということです。
たくさんの人が自転車に注目している、
自転車通勤のホームページが話題になる、
なんていう現象は知っているはずです。
環境というキーワードも大きくものを言ってるはず。

近頃、自転車を選択する人たちがいる。
そのことが何を意味しているのか、
そういう人々がどういう欲望を持って、
どのような利用をしたがってるのか、
なんてことに関する洞察があるのかどうか?
……、あると信じましょう。
まぁ、こういう問題は自転車に限りませんね。


今までの数回、読者の人からのメールを元に
ちょっとヘビーな内容をお届してきました。
それで、読者の方からこんなメールが来ました。

>車道を颯爽と自転車で走る人たちは、
>道路交通法上まったく正しいのですね。


そうです。そうなんです。
でも、自転車で車道を走ってると、
時には、お巡りさんに、
「そこの自転車、危ないから歩道を走りなさい!」
なんて言われちゃいます。
危ないのは、クルマの数が多過ぎるのと、
これまで行政が自転車の走れる環境を
作ってこなかったからなのに…。

一応、道路交通法も見ておきましょうか。

・第17条の1:
  車両は、歩道又は路側帯と車道の区別のある道路に
  おいては、車道を通行しなければならない。


自転車は軽車両、ということで車両扱いになります。

・第63条の4:
  普通自転車は、第17条第1項の規定にかかわらず、
  道路標識等により通行することができることと
  されている歩道を通行することができる。


というものです。
今は、自転車に関することを書かせてもらってる僕ですが
安全な走行に気を使うようになったのは、
本格的に自転車に乗ってしばらく経ってからでした。
必要に感じてこそ、初めて大事に思えることなんですね。

ここで道路交通法を全部書き出してもしょうがないので、
僕から、最低限伝えたいことを書きましょう。
これらは、ルールとかマナーというよりも、
自分が安全で気分良く自転車に乗るために
わりと有効な情報、と思ってもらえると幸いです。

1.できるだけ車道を走る。でも進行方向には逆らわない。
  (もちろん、中には意地悪なクルマもいます。
   忘れないで下さい。)
2.歩道を走らざるを得ない時は、イライラせずに最徐行。
  (歩行者にイラついてるあなたは、自転車に対して
   イライラしてるクルマのドライバーと同じです。)
3.夜間はライトを点灯する。

さらに要約すると、こんなことかもしれません。

『こそこそせず、自分を主張して堂々と、
 ゆったりとした気持ちを忘れずに自転車に乗る。』

「そんなこと言ったって、
 どうしても急がなきゃいけない時もあるよ!」

それはそうですね。
自動車も自転車も歩行者も一緒です。
みんながノンビリゆったりしていれば、
交通事故だって激減するかもしれません。
そんなことになれば、いいですねぇ。
でも、それがとても難しいのは、
ちょっと考えればわかることです。

ノンビリした人もいれば、
モノスゴク焦ってイラついてる人もいる、
いい人もいれば、イヤな人もいっぱいいるのが、
『交通』というものの実態です。
その中で、できる限りトラブルや衝突を避けつつ、
お互いの”利益”を確保していくのが、
『交通』におけるほとんど唯一の心得かもしれません。

ちょっと街に出て走ってる自転車を見てみましょう。
クルマのドライバーもずいぶんひどいけど、
自転車もけっこうやってますねぇ。
歩道を爆走、信号無視、車道を逆走。
それでもたいていの人は、深刻な事故にも遭わない。
どうしてでしょうか?
それは、他の自動車や歩行者が
ルールを守ってくれてるから、
もしくは、
「自転車は危ないから避けなきゃ。」
と思ってるからではないでしょうか?
そう、つまり甘えてるんです。
どうですか?
そう考えると、街中で傍若無人に走っている
自転車がどうにもカッコ悪いものに見えますね。

「自転車って交通ルール関係ないから自由。」
っていう人もいますけど。
でも、他人に甘えた上で成立してる自由ってのは
スゴク子供っぽい感じがしますよね。

それでも自転車は自由な乗り物だと思うので、
あえてこんな風に言ってみたいと思います。

『そのような甘えた『自由』に対して、
 他者に対して甘えないからこそ、
 あえてルールを守るのも僕の『自由』です。』

ただし、そのルールが永遠に正しいとは限りません。
ルールが妥当かどうか、それをじっくり考えること。
それは、もしかしたら『義務』かもしれませんね。

さて、こんなことを考えても、
外を走っている多くの自転車は、
相変わらず乱暴な走りのままです。
僕も、やっぱり虚しくなったり、
みんながやってるから別にいいじゃん、
なんて思ったりして、心が揺れ動く時があります。

でも、
こういう時に便利な言葉があるんですよね。

"Only is not lonely"

Ride safe!

2000-11-19-SUN

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