自転車思想。
チャリンコは、未来そのものの顔をしている。

第27回 日本のクリティカル・マス


こんにちは!(いつもより少しテンション高い感じで)

桜、桜、桜です!
でも、これを書いてる日、東京は雨のち強風。
た、頼むからそんなに強く吹かないで!
せっかく咲いたのに散ってしまうじゃないか……。

当然といえば当然ですが、
真冬の風・雨・雪の中も、僕たちは自転車乗ってました。
手足は冷え切って痛くなり、
トイレはやたらと近くなって苦しい……。
だから、この時期の喜びは本当に本当に深いのです。
あ〜、早くお花見がしたいっ!!

さて、サンフランシスコから帰った僕は、
いきなり東京で仕事に復帰しないで、
しばらくフラフラとしていました。
フラフラついでに、京都に行ったりしました。
月末だったので、クリティカルマスにも参加、
関西にもステキな自転車友達が増えました。

でも、ここでちょっと寂しい話を聞いたんです。
京都の大通りの1つである、四条通は日中の間、
車道も歩道も自転車が通行禁止。
駐輪の問題で、そのような措置が取られてるらしいのですが
ちょっとそれはないんじゃないかなぁ、って思いませんか?
様々な事情があるにせよ、いや様々な事情があるからこそ、
簡単に『自転車通行禁止』っていうのは、悲しいですよね。

こんな風に、いろいろな街には
その街なりの交通事情があって、
クリティカルマスも当然その影響を受けます。
東京だったら、やはりその渋滞の激しさでしょうか?

例えば、ほぼ毎回のように通るコースの
原宿〜表参道という区間は、
距離にしたら2キロもないんですが、
いつもヒドイ渋滞で抜けるのに30分くらいかかります。
クリティカルマスで走る時は、車道をすり抜けせずに、
つまりクルマと同じ要領で走りますから、
どうしてもそれだけかかってしまうんです。
普通、僕だったらこういう時、
突然ドアを空けるタクシーや、
路肩で駐車してる車の急発進に気をつけて、
動けないクルマの列に会釈なんかかましつつ
すり抜けて行っちゃいます。
そうすると、ものの10分もかかりません。
それが、30分なのです。
(逆に、東京でクルマに乗るという行為を
 自転車でシミュレーションしてると言えますね。)

この時間は辛い……。
これが陽気なアメリカ人とかだったら、
フランクに隣の自転車乗りとお話しするのでしょうが、
悲しいかな我らシャイな日本人は、
こういう時する何気ない会話があまり得意ではありません。

自転車進まない、排ガス臭い、会話ぎこちない。
これじゃぁ、あんまりだ〜!
というわけで僕は一計を案じました。
背中にスピーカーを背負って、
自分で編集したミックステープをかけてみました。
会話のない空間でも何とか間が持てるのではないかと……。
個人的には楽しい時間が過ごせるようになりました。
数名の方から、選曲にお褒めの言葉頂いたりして、テヘヘ。
ちなみに、最近は自転車の荷台に
ギターアンプを付けて走るまでにバージョンアップです。

こんな風に、ひとくちでクリティカルマスと言っても、
前回まで見てきた海外のもの、
日本のもの、さらに各都市によっても違いがあります。
そうやって、その環境に合わせて変わっていく、
いや、そこの人たちが変えていくものだろうと思います。
例を出せば、コンピュータ界における、
フリーソフトウェアムーブメントの気分にもやや近い。
まーしゃさんのお書きになった、
ここ
や、 ここを参照してもらえれば、
何となく共通する気分が
わかって頂けるんじゃないかな?

1992年にサンフランシスコで始まった、
クリティカルマスという現象は、
欧米ではかなり、日本を含むアジアではごく一部の都市で、
その街ごとの交通事情だったり、
交通ルールとそれに対する意識によって様々な変化を遂げて
問題を起こしたり、起こさなかったりしながら、
着実に広がりを見せているんです。
東京では、一時雑誌・放送メディアが
取上げてくれたせいでしょうか?
晴れれば、80〜100人くらいの自転車乗りが集まってます。

では、今現在日本国内で”発生”している街と、
そのホームページを紹介しましょう。


東京と京都のクリティカルマスは、今週の土曜!

東京クリティカルマスHPは、
http://www1.cts.ne.jp/~ku-za/cmt/index.html
と、
http://www.ecolink.sf21npo.gr.jp/criticalmass/

そして京都クリティカルマスHP、
http://www.geocities.co.jp/Milano/1941/

神戸では毎月第1土曜日です。
http://kobe.cool.ne.jp/green728/

横浜クリティカルマスは毎月第2土曜日です。
http://www.ne.jp/asahi/uma/pp1/criticalmass.htm

大阪は第3土曜日です。
http://criticalmass.hoops.ne.jp/


Ride safe!











で、ここで止めないのがエノモトユウタなのです。
クリティカルマスに関して最初に書き始めた頃、
以下に紹介するメールを頂きました。

僕のこの一連の文章は、
このメールに対する長い長い返信のような気もしています。
それは、まさに僕がかつてそのように考えていたから。
でも、僕はその人を説得できたなんて全く思っていません。
そして、現にクリティカルマスの一部である人たちからは、
「余計なこと書かなくても。」
と言われるかもしれません。

それでもいいんです。
僕は、自分の役目を”党派性”よりも、
ただ、”つなぐこと”だと思っていますから。
では、メールを紹介します。
前もって、改行のための文字数の訂正と、
ハンドル名の割愛をご了承下さい。




●クリティカル・マス
イベントとしての存在は知っていました。
知人でも参加する人はいましたし、
話題にもなっていましたから。
ただ、エノモトさんも「無理だ」
と思われたのは当たり前の話で、
「日本人的感性」では、
「クリティカル・マスってカッコイイことがあるんで
 日本でもやろうぜ!」
っていうレベルで止まってしまうことですね。

本当に
「交通機関としての自転車をアピールする」
のならば、
100歩譲って納得もしますが、
日本のは単なる「サイクルイベント」で
「単に多人数が集まるからおもしろい」
としか聞こえてきてません。
クリティカル・マスの経緯や意味も
今回初めて知りました。

何でも同じなのですが、発祥国での文化が他国に渡る際、
「文化の変換誤差」が生まれてしまいます。
機能や形式は正確に伝わっても、
些少な部分で差異を生じるのは仕方がないのでしょう。
これを防ぐには、最初から
「国際規格を用意する(国際伝播を意図する)」
以外にな>い>という(自然伝播でないから)
淋しい結果になるのかもしれません。

創始者自らも
「ごめんなさい」
とわかってやってるわけですが、
クリティカル・マスは違法行為です。
日本では、たぶん、
列が短かくて交通の迷惑になっていないか、
途中で切れたりして合法的に信号を守っているのでしょう。
今のところは。

これがもっともっと有名になり、
大きな集団になった時、
日本では罵倒をもって迎えられるでしょう。
それは、エノモトさんが言うように
「国の違い」
と言ってしまえば簡単は簡単です。
そしてその「違い」は、「国」という
「受け皿・体制・警察の態度」の問題よりも、
「参加者」の側の問題が大きいでしょう。

今回のような、迂闊な公共媒体への公示は、
失敗だったと思います。
「クリティカル・マスだから、どう走っても良い」
と考える人の方が増える気がします。

>日本に比べて、
>はるかに日常での自転車利用率が低いので、
>交通手段としての自転車をアピールするためには、
>このような方法しかないんだろうか?と。

ならば、日本でやるべきではありません。
「集団暴走」にならないように
「主催者」が管理する必要があるでしょう。
↑↑↑↑
「主催者はいない(自発的行為だ)」という考え方も、
日本ではなじみにくいでしょう。
残念なことながら、
「自発的に参加しない」
方が自転車の発展には寄与するのではないかと思います。
日本では、他の方法を考えましょう。

「魂」まで伝えるのは、非常に難しいと思います。
そして、歴史的に見て、
日本人は「他国の魂」を尊重しない国だという事実は
悲しいことですね。




RIDE PEACE!

2001-03-29-THU

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