自転車思想。
チャリンコは、未来そのものの顔をしている。

第29回 水分補給と汗と・・・。


こんにちは。

東京の桜はそろそろ散り出してますね。
自転車で走ってると、
風に煽られた花びらが路面を滑空していったり、
所によっては、小さな竜巻を起こしてたりします。
春の風が目に見えるってわけです。

暖かくなってくると、当然ながら汗が出ます。
僕も汗っかきですから、仕事中はガンガンかきます。
新陳代謝が盛んになって、老廃物出まくりですね。
美容にも良い…、と(笑)。

でも、ほんの数週間前までは寒かった。
ということは、汗があまり出ないということです。
体を動かすために、水分は常に補給してますから、
汗が出ないとなると……、
そうです。
下の方、から出てくることになります。
つまり、おしっこですね。

メッセンジャー仲間にいちいち確認したりはしませんが、
冬の間のトイレ、これは大問題です。
(少なくとも、僕にとっては。)

寒くなれば、トイレが近くなるのは言わば自然の摂理で、
自分でどうしようと思っても、どうしようもありません。
しかし、メッセンジャーという仕事、もよおしたから、
すぐトイレに行けるかと言うと、そうでもないんです。

例えば、荷物をピックして、お届け先まで走りますね。
走ってる途中で何となく尿意をもよおしても、
サドルにまたがってる限り、それほど苦しくありません。
股間が圧迫されてるので、尿意が鈍くなってます。
このことが後で悲劇をもたらします。

さて、お届け先に着きました。
尿意は少しずつ鋭くなってきます。
しかし、仕事です。
先に荷物を届けてしまいたい。
スッキリするならその後がいい。
そういう職業上の良心、のようなものに従って、
とにかく、エレベーターホールに向かいます。
たいていの場合、お客さんのオフィスはビルの中です。
大きなビルであれば、ウン10階も珍しくありません。
このエレベーターがクセモノなのです。
上下移動による、微妙な重力の変化が、
強烈にボウコウを刺激してくれるのです。

ここで、お届けする前にトイレに行かなかったことを
激しく後悔する羽目になります。
エレベーターに同乗者がいれば、こまめに足を動かして、
何とか尿意をごまかそうとします。
もし、運良く同乗者がいなければ、
気がねなくエレベーター内を歩き回っちゃいます。
そうでもしないと耐えられないんです、いやマジで。

そうこうしている内に、エレベーターは目的の階に到着。
オフィスに入って、内線電話を鳴らします。

 「××のエノモトと申します。
  ○○部の△△様にお届け物です。」

とか何とか話をして、担当の方が出てくるまで待ちます。
5秒、10秒…、もうツライ。
待ちきれなくって、足をしきりと交差させたりします。
しかし、こういう時に限って、待たされたりします。
といっても、ほんの20〜30秒だったりするんですが、
この時間の長いこと、長いこと!
こういう状態になると、すでに額には脂汗です。

あ、ご担当の方が近づいて来た気配。
交差させていた足を元に戻し、笑顔で接客です。
しかーし、心の中は、

 「早くトイレ行きてー!」

これだけだったりします。

何とかお届け終了ですが、まだ仕事は完了ではありません。
またエレベーターに乗って、1階まで降ります。
この、この下りがまた、く、苦しい…。
エレベーターに人がいなかったら、声出ちゃいますね。
思いきって、座りこむ時もあります。

我慢に我慢を重ねて、1階にたどり着きます。
そこで、この仕事のピック先に電話して、
仕事の完了を報告しなくてはいけません。

 「先ほどお伺いした××のエノモトです。
  ○×様からお預かりしたお荷物、
  何時何分に、△△様にお届けしました。」

といった感じです。

さて、これで一仕事終了。
ホントはすぐ会社に報告をしなくてはいけませんが、
すでにボウコウは非常事態宣言を発令中。
トイレに直行…、したいのですが、
オフィスビルの1階にはトイレがない、
ということが意外に多いのです。
さあ、困った。
地下に飲食店街があれば、地下に直行。
近くに公園があれば、とりあえずそこまでダッシュです。
(前もって公園をチェックしてたりもします。)

ようやく、トイレにたどり着きました。
運良く、混雑はしていません。
しかし、今は冬。
外で働く僕たちは、いわゆるパンツの上に、
防寒用のタイツも履いています。
ジッパーを下ろし、タイツを下ろし、
パンツの中からイチモツを取り出そうともがきます。
焦ってるから、時間がかかる。
落ち着けって言っても、そんな余裕あるわけがない。

もう少し、あともう少しで準備完了!

と、思った瞬間…、

気の緩みでしょう…、

ほんの少し…、

1滴2滴…、

しずくが…、

先っぽから…、

出てしまう時があります……。

この無力感、情けなさ、恥ずかしさ…。
今書いていても、実にリアルに感じてしまいます。
この事態を防ぐため、走るコースを決める時は、
公衆トイレがルート上のどこにあるのか、
毎回ちゃんと考えて走っているんです。
それでも、こういうことが日に、1〜2回は起きてしまう。
それがメッセンジャーの冬。
あ〜、汗かくって最高です!

Ride safe!

2001-04-04-WED

BACK
戻る