自転車思想。
チャリンコは、未来そのものの顔をしている。

第42回 バイクサマーって何だ!?

さてさて、バイクサマーって何なんでしょう?
ですよねー。
それを書かなきゃ話になんない。

簡単に言っちゃうと、
約1ヶ月間、ほとんど毎日何らかの形で、
自転車に関係するイベントがあるんです。
ツーリングはもちろん、
映画鑑賞会だったり、
さまざまな都市の自転車事情についての
発表&ディスカッションとか。

そういうものが、多い時で1日3つぐらいありました。

そしてけっこう大事なことなんですけど、
ほぼ全てのイベントが参加者自身によって
企画・運営されることです。
つまり、バイクサマー実行委員会のようなものがあって、
参加者はそれに従うだけ、というわけではありません。
運営者≦参加者という感じでしょうか。

自転車乗りの地質学者さんが企画したライドだったら、
その地域の特徴的な地層を見て回るものになります。
天文学に詳しい人が先導して、
真夜中に山の中まで自転車で走って行き、
寝っ転がってしし座流星群を見るライドもありました。
(ハッキリ言って解説がうるさくて邪魔でしたが…)
裁縫が得意な
人が、イマイチさえない自転車ウェアを、
カワイイ!?ものに改造する講習会
を開いたり、
チョッパーという、前輪が異常に前に突き出した自転車を
ガラクタ同然の自転車何台かを持ち寄って作るという、
かなりジャンクな講習会もありました。
↓これなんて、たまんないっすね〜。

これは、主催したポートランドのカ ール君と、
その仲間のホームページです。

重いけど、ムービーは最高に面白い!

真面目なものに目を向けましょう。
ワークショップ、
『フリ ーダムマシーン』

フェミニズムと自転車の関係を扱いました。
19世紀、自転車が欧米の中〜上流階級層に
普及していく過程で、
(当時は贅沢品でした)
自転車に乗りやすいように、
女性の服装がそれまでの窮屈なものから、
よりカジュアルなものに変わっていきました。
つまり、自転車による移動の自由の拡大は、
女性を抑えつけていた身体も開放したんですね。
そうそう、有名なブルマー夫人も登場しましたよ。
女性2人によって企画運営され、
写真や絵を豊富に駆使したこのイベントは、
100名以上の聴衆を集めていました。

そうそう、僕も関係しているメッセンジャー関連では、
ボストンで進行している問題を扱ったものがありました。
メッセンジャーの走行がボストン市議会で問題となって、
現在、市当局から厳しい規制を受けています。
メッセンジャーになるには、
市にお金を払って登録する必要があり、
ナンバープレートを自転車に装着した上で、
反射素材を使ったベストの着用が義務付けられています。

それらの写真がOHPで投影されるたびに、
会場からは失笑と、ブーイングが起きていました。
ただ、僕はちょっと複雑な気分でしたね。
東京でも、メッセンジャービジネスは軌道に乗ってきて、
数年前とは比べるまでもなく、数が増えてきています。
当然、事故も比例せざるを得ないわけで、
重大な事故が頻発すれば、
警察・行政の介入は時間の問題です。

いくら東京の交通事情が劣悪だと言っても、
商売している側が事故を起こせば、
必然的に責任を負うことになります。
そして、その責任は遠からず全体に及んでしまう…。
その時、僕は無責任に「反対っ!」とは叫べません。
「仕方ないなぁ…。」なんて言いながら、
規制を受け入れるんでしょう。
やっぱり、この仕事が好きですからねー。

そんな事態に陥らないためには、
各会社の努力も必要なんだけど、
走っているひとりひとりの意識の方が重要です。
とはいえ、
いちいち皆にこういうことを話すわけにもいかないので、
あせらず、落ち着いて仕事をするという姿勢を、
日々実践して、見せていくことしかないんです。
(プロ意識って言うとカッコ良すぎますかねぇ?)

おっとっと、寄り道になってしまいました。
ま、そんな感じで一連のイベントは進行して行きました。
多いもので100〜150名くらい。
少なければ、4〜5人というイベントもありましたね。
クリティカルマスのように、
数千人が集まる大イベントを想像していた僕には、
なんとものんびりした印象でした。

でも、それにも理由がありました。
それは次回に。

Ride safe!

2001-08-02-THU

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