自転車思想。 チャリンコは、未来そのものの顔をしている。 |
第48回 自転車思想・京都版外伝 こんにちは。 東京は、ここのところ涼しい日が続いています。 雨も、ときたま思い出したように降っています。 クルマも自転車も、 降り始めが一番スリップしやすいですよね。 お気をつけください。 旅行中というのは、開放感のせいか、 友達同士でも普段だったら話さないような、 突っ込んだ会話をしたりしますよね。 このチャンスを生かさない手はない、 と思って、友達の自転車乗りにインタビューしてみました。 その人と自転車のつながり、その歴史を、です。 まずは、東京のamiさん、という人です。 本人の希望で、本名・写真は非公開なんですが、 インタビューしてる僕も、とても楽しく話を聞けました。 文体がいつもの違ってますけど、 それは会話文との違いを出すためです。 それでは、どうぞ。 **************************************** amiさんは、謎めいた人。 東京のクリティカルマスや、 さまざまなお楽しみライドにも積極的に参加している。 今回、バイクサマーで京都にも来た。 でも、amiさんは自分のことをあまり語らない。 僕らの、時には口角泡飛ばす会話を、 ニコニコして聞いている。 そして、お洒落な人でもある。 160センチ弱の小柄な体に、ツンツン立った短髪、 自転車に乗る時は、シンプルなサングラスを愛用している。 普段の服装はモノトーンを基調にしていて、 最近は、マンハッタンポーテージの、 これまた黒いメッセンジャーバッグを背負っている。 以前は、マーチンのメッセンジャーバッグを使ってたけど、 「最近、これ使ってるメッセンジャーが多いんで、 新人メッセンジャーと思われちゃうから…。」 なーんて、ちょっと毒のある発言をしたりもする。 つい最近も、老舗のオーダー自転車屋さんで、 マットグリーンのロードレーサーを注文。 (ちなみに、タイヤは前後24インチ!)) 世界に一台だけの自転車を手に入れた。 悔しいけど、これまたカッコイイ。 だから、みんなに興味を持たれ、 時にはからかわれたり、オモチャにされたりするけど、 余裕たっぷりの笑顔で、動じない。 そんなamiさんから、改めて話を聞いてみた。 そしたら、驚くべき街を楽しむ達人だった。 京都生まれだけど、すぐに東京へ。 そのまま東京育ちで、現在34歳。 職業はコンピュータのシステムエンジニア、 勤続11年、ずっと今の会社にいる。 自転車に初めて乗ったのは、小学校2年か、3年の時で、 中学校くらいまで乗っていて、 その後は、しばらく自転車から離れていた。 高校くらいから、ラーメンの食べ歩きにハマル。 情報誌やグルメ誌、 懐かしい『東京味のグランプリ』なんかを片手に、 東京のいろんな街を散策するようになった。 大学〜社会人となるに連れて、 食べ歩きの守備範囲は、 ソバ・紅茶・中国茶・パン・ケーキなどにも広がる。 さまざまな食べ歩きの経験を積むことによって、 雑誌などに頼らなくても、街を歩いているだけで、 美味しそうなお店を発見できるようになってきた。 こうなると、街歩きはやめられない。 「就職活動中も、面接の1時間くらい前に到着して、 その会社のある街を歩いてたりしてましたよ。」 散歩していて、気がつくと渋谷から新宿まで歩いていた、 そんなことも決して珍しくなくなっていた。 この頃から、amiさんの中で自転車に対する興味が、 ジワジワと沸き起こってきたようだ。 「代官山とかで、自転車に乗っていたら、 地元の人っぽく見えるじゃないですか。」 けっこう、見栄っ張りでもあるらしい……。 それから1年くらいたった頃、 映画『メッセンジャー』のことを知る。 ここで、フォーカスは完全に自転車に定まった。 「やっぱり自転車が面白そうだな、って思って、 東急ハンズで赤いプジョーのMTBを買ったんです。 39、800円くらいだったかな?」 自転車から離れて10年以上、 久々に自転車に乗った感想は、 「気持ちいい!」 の一言に尽きた。 自宅のある西東京から、新宿まで移動するとして、 バスと電車を乗り継ぎながらの所要時間と、 直接自転車で新宿に行くのにかかる時間が、 実はほとんど変わらないことにも気がついた。 都心部で、自転車の持つ移動能力の高さを、 体で実感した、ということだろう。 その事実は、趣味である食べ歩きにも大きな影響を及ぼす。 徒歩だったら、新宿〜渋谷間がせいぜいだったのに、 自由が丘〜代官山・恵比寿〜渋谷〜青山〜新宿、 こんな広範囲の移動が可能になった。 「お店をたくさん回れるのはいいんですけど、 今度は食べきれなくなっちゃいましたね。」 と、笑いながら語ってくれた。 こんな風に、amiさんは改めて自転車と出会った。 今は都会の裏道や、路地を自転車で散策するのが楽しい。 「裏道を知ってるのって、カッコイイですよね。 風情のあるいい感じの裏道があって、 そこにいいお店がたくさんあるような そんな街が好きなんです。」 裏道があって、食べ物・飲み物のおいしい街、 amiさんは、こんな風に断言した。 「海外旅行するんだったら、パリで、 国内だったら東京と京都にしか興味がないんです。」 東京育ちのamiさんにとっては、 普段自身が東京でやっている街の楽しみ方、 それができる所でないとダメということらしい。 これもまた、スタイリストならでは、という気がする。 amiさん、今度京都行ったら、 南禅寺『瓢亭』で朝粥食べましょうね! **************************************** Ride safe! |
2001-09-11-TUE
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