ここで、谷川俊太郎さんを ご紹介します。

『谷川俊太郎質問箱』は、谷川俊太郎さんが
読者のみなさんの質問に答えることが
大きな軸となってできあがった本です。
明日2007年7月24日11:00に、
「ほぼ日ストア」で予約販売がスタートします。

ところで、ときどき
谷川俊太郎さんって、生きてるの?
という方がいらっしゃいます。
生きています。
いま、75歳。
毎日とても忙しくお仕事をしています。
ずいぶん若いときに詩を発表しはじめて、
それからずっと第一線で活躍して、
教科書にもたくさん作品が載っていますから、
歴史上の人物と思う方もいるかもしれません。



いちばん有名な詩作品は、やっぱり、
「朝のリレー」でしょうか。
少し前にNESCAFEのTVCMで朗読されていましたし、
この詩に教科書で出会って
「カムチャツカ」半島を覚えた方も多いかもしれません。
ほかに、CMで出会える谷川さんの詩は、
日本生命の「愛する人のために」です。
このほかにも谷川さんは
「二十億光年の孤独」「かなしみ」「おならうた」
「みみをすます」「かっぱ」「生きる」「芝生」「いるか」
など、すばらしい詩作品を何千篇も書いています。
いろんな場所で引用されたり、掲載されたり、
朗読されたりしているので、
みなさんがこれまで谷川さんの詩に出会っていることは、
意外に多いかもしれません。

絵本作品は、
『もこもこもこ』
『これはのみのぴこ』
『ことばあそびうた』
『んぐまーま』
など、たくさんあります。

また、谷川さんは、多くの翻訳も手がけています。
レオ・レオニ作の『スイミー』
スヌーピーでおなじみの「ピーナツブックス」シリーズ
『マザー・グースのうた』
マーカス・フィスター作の『にじいろのさかな』
ゴールデン・マクドナルド作の『ちいさな島』‥‥
たくさんたくさん、あります。

テレビアニメの「鉄腕アトム」の主題歌や
(最初にアトムがモノクロで放送された頃の、
 あの有名な主題歌です)
レコード大賞作詞賞を受賞した「月火水木金土日のうた」
(幼稚園や学校で習った方も多いと思います)も
谷川さんの作詞です。

また、いろんなミュージシャンが
谷川さんの詩を歌にしています。
例えば「芝生」はヒップホップユニットのHALCALIが
アルバム「音樂ノススメ」に収録、
「さようなら」は矢野顕子さんが
アルバム「Home Girl Journey」でカバーしています。
「たかをくくろうか」は坂本龍一さんが曲をつけ、
ビートたけしさんが唄い、EPレコードになりました。
この曲は、のちに谷川俊太郎さん本人が唄って、
CD「無限色のクレヨン」に収録しています。

それ以外の谷川さんの活動としては、
舞台の脚本を描いたり、映像作品の制作も手がけています。

近年は、音楽家で息子の谷川賢作さんとともに
詩の朗読と音楽のツアーで
全世界を舞台に飛び回る毎日です。
また映画「ヤーチャイカ」で
現在、監督にも初挑戦中です。


息子の賢作さんと。

谷川俊太郎さんは、こうして
現代詩の第一人者と言われながら、詩の分野だけでなく
さまざまなところで活躍してきました。

谷川さんが詩人としてデビューした1950年あたりは、
戦争が終わり、荒廃した時代を反映して
深刻そうで絶望的な匂いのする文学の作品が
多く出ていた時期だったそうです。
そんななかで、彗星のごとく
みずみずしい言葉を書く若者が登場しました。
哲学者谷川徹三さんのひとり息子、谷川俊太郎さんです。
めぐまれた環境に育ち、
あれよあれよと賞賛を浴び、
「詩って暗いんじゃないだろうか」
「文学をやる人って変わってるんじゃないだろうか」
というイメージを一変させ、
教科書に載るわ詩を広告に使うわ朗読ははじめるわで、
谷川さんの長い長い経歴の、
その「風あたりの強さ」は、
おそらく想像を超えるのだと思います。

それでも谷川さんは、
どんなところへも軽々とひとりで出かけて行き
何でもやってみようとします。
その都度、すばらしい大作や
パフォーマンスを完成させる、その
根性‥‥(という言葉はあまり似合いませんね)、
まじめさ‥‥(というと叱られそうです)、
とにかく「軽々と、あれよあれよと」とは
決して言えないものだ、と思います。

そうして谷川さんは、
「ほぼ日」にも来てくださいました。
谷川さんがいろんなジャンルをはねのけて
「いっしょに何かやろうよ」
「読者とメールのやりとりなんて、どう?」
「愚問だって難問だって何でもいいんだよ」
と、多くの人と「遊ぼう、つながろう」とする
その背景には、何か、
強い信念‥‥(というと嫌がられそうです)や
悲しみや喜びや祈ることに似たいろんなことが
あるのだろうと感じます。

「ほぼ日」の読者のみなさんからの
質問の公募ではじまった、この本『谷川俊太郎質問箱』は、
そうした谷川俊太郎さんの長い歩みの、
ある部分の結晶ではないかな、とも思います。

本の巻末には、「ほぼ日」編集長である
糸井重里との対談が載っています。
言葉についてのふたりのやりとりは、
スリリングで、正直で、とてもおもしろいものに
仕上がっています。
こちらも、どうぞたのしみになさってください。

明日からは、予約販売がスタートします。
この本には、読者のみなさんにまじるようにして、
ろんな方が谷川さんに質問をしていますので、
次回からその方々をひとりずつ、
ご紹介していくようにいたします。
明日登場するのは‥‥雪男の子ども、
赤くてモジャモジャの、ムックさんです!
おたのしみに。

2007-07-23-MON