BUCHO
チャリで探る地球
「麻布十番の21世紀」

  • 今週の家畜

8月も中旬になりました。
スズムシの幼虫を頂いた時、
島村さんが教えてくれたように
我が社では毎日スズムシの大合唱が聞こえてきます。
朝はあまり鳴きませんが、
だいたい午後2:00くらいになると
気まぐれに鳴くのです。
本当に皆さんにも聞いて頂きたいなぁ、と思っていたら
なんとライブ中継されるらしいのです。
詳しい情報はわが西田部の平社員より。
そしてスズムシ報告書も第5弾となりました。

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ライブ中継ですか?
私は平社員なので、よくわかりませんが、
前回も書いたように、
する「ラシイ」といううわさはききました。
よって、私はぢみちに報告書を作成します。

「スズムシ」は、相変わらず、
ナスを食らい、着実に成長しています。
部長は、午後2時くらいとおっしゃるけど、
私が朝出勤してくると、
もう鳴いてたりもしてます。
そして、
私が夜更けに帰るときも鳴いてたりしてて、
ああ、スズムシも御苦労だなあなんて、
すこし思います。
昨日も、皆でちゃんこを食べてる、その向こうで、
彼等は、健気に愛の歌をうたっていました。

  • 明日に吠えるビジネス

<麻布十番 自転車屋篇 その2>

よく行く郵便局のほぼ隣にあるのに
今まで存在すらも知らなかった
『好輪社輪業』という名の自転車屋さん。
外観だけ見ると昔からある畳屋さんかとも思ってしまう。
おじいさんが一人でやっていると、
十番商店街ではある意味有名ではあるのだが、
いまいちみんな真相はよくわかっていない。
その自転車屋さんの謎に迫るべく、
『好輪社輪業』へ行ってみた。

私が『好輪社輪業』を訪れたのは2:30すぎ。
いつも早く閉めてしまうというウワサの
自転車屋さんはちゃんと開いていた!!
中へ入ってみるとお店の中は、とても暗くて暑い。
それにとても新しい自転車を
売っているという感じではないのだが
一応2〜3台の自転車が置いてあった。
「すいませーん、タイヤに空気いれて欲しいんですけど。」
お店の奥をのぞくと(うわさの)おじいさんが一人。
古ぼけた空気入れを指差して
「自分でやりなよ。」と一言。
外に出て必死に空気を入れる私。

くうきを入れる。

その時おじいさんはお店の奥で畳に転がりながら、
高校野球をみるのに熱中していた。
空気を入れ終わって中へ戻り、
空気入れを戻しながら話しかけてみた。
「ずーっとここで自転車屋さんやってるんですか?」
「ええーっ!!」
いきなりの質問に驚いた様子だったが、
「もうずーっと。30年も40年も。」
とはっきりとした口調で 答えてくれた。
(悪い人ではない、ちゃんと話しはしてくれる。)
「じゃあ自転車がすきなんですね。」
「好きなわけじゃないけどやってるんだよ。」
(うーん、話がなかなかつながらない。)
しかし私はおじいさんが高校野球に
熱中しているにもかかわらず
無理やり話し続けていた。
「営業時間は決まってるんですか?」
「10:00から5:00まで。」
ちょっと短いが、
ちゃんと営業時間も決まっているらしい。
そして最後にもう1つ聞いてみた。
「もし私の自転車が壊れたら直してくれますか?」
ちょっと間があった。
でもそのあとにおじいさんは
「直すよ。」といままでになく
優しい感じで言ってくれたのだ。

麻布十番の真ん中に30〜40年前からある自転車屋さん。
『好輪社輪業』という看板にもそうとう年季が入っている。
おじいさんの名前は山本 正三郎さん。 
お話し嫌いかもしれないが決して悪い人ではない。

自転車やさんの店内

最近の自転車屋さんはお店の前に自転車が
沢山ならんでて、
空気を入れるのだって50円かかるけど
山本さんの自転車屋さんには自転車2〜3台と
「虫ゴムセット」とか「ブレーキパッド」
なんてものしか置いてない。
けれど、いまでもちゃんと自転車屋さんをやっている。
それも何十年も昔から。
お店の中に沢山ある、
もうとても古くなった自転車の修理道具をみて
そこから山本さんとお店の歴史を感じることができた。
きっとお店は何十年も前から変わっていない。
自転車屋さんに一歩入ると、突然田舎に来てしまったような
昔にタイムトリップしてしまったような懐かしい空間がある。
山本さんが大事にしてきたものって何なのだろう。

自転車やさんの店内

山本さんにとっては、たとえ自転車が前に
沢山並んでいなくてもそこに自転車屋さん
があるという事実があればいいのかもしれない。
そんなことを考えていると
心にじーんとくるものがあった。
新品の自転車を並べてるお店は
沢山あるけれど、長ーい歴史のある
自転車屋さんなんてほとんどないだろう。
麻布十番商店街の人でさえ
営業されているのかどうか 真相を知らない、自転車屋さん。
でもおじいさん一人でやっている『好輪社輪業』は
大昔から変わらない 正真正銘の自転車屋さんだと私は思う。
「麻布十番に自転車屋さんはないねぇ。」
という人もいるが そんなことはない。
「自転車屋さんはココです。」という
大きな旗や看板を立ててしまいたいくらいだ。



町の自転車屋さん 『好輪社輪業』 
住所 港区麻布十番
   2-3-6
営業時間 AM10:00〜PM5:00

 
          


今日も、まだ地球はまわっていた

1998-08-15-SAT

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