愛されない虫の広場

第5回

いま、ぼく(グッドマン)のメーラーのなかには
ゲジゲジが棲んでいます。いっぱい。
「虫」フォルダを「ゲジゲジ」で検索かけると、
むごむご、っと、出てくるんです。
なぜならば……そうです、前回ご紹介した
山田まやさんのおたよりに、
たくさんの反響をいただいたのです。

それはもう圧倒的に
「私も見た!」
「それは実在する!」
「連れていかれたことがある!」
という(最後のは嘘です)ものが多かった。
「それは夢だ」なんていう不届きものは
ひとつもありませんでした。
ワタシだけです。ごめんなさい。
それでは最初のおたよりです。



「巨大ゲジゲジ疑惑」で、山田さんが
ほら吹きの汚名をしょいかけているのをみて
ほっとけなくてメールしました。
だって、私も見たことありますもん。
しかも、私は即座に自分の靴をぬいで
死ぬ程乱打し、その子をあの世に
送ってしまったので確かです。
ただし、さすがに30〜40センチもはなかったです。
当時、私は中学生で、靴のサイズは少なく見積もっても
20cmは超えてました。(現在23.5cm)
その靴いっぱいいっぱいだったんです、その子。
田舎の駅だったんですけど、
下校時間まっただなかで、ギャラリーもたくさんいて
拍手喝采でしたし。

あ、でもあれって、むかでかなあ。
むむっ、ゲジゲジってどんなんでしたっけ?
ゲジゲジって、あめんぼの足みたいに
細っこくて長い足の子ですか〜?
それだって、家の天井で手のひらいっぱいの子と
一晩にらみあいをしたことありますし。
  
あれ〜?フォローになんなかったっすかねえ。
山田さ〜ん、ごめんなさ〜い!!
でも、うちの田舎には「巨大○○」みたいなの
ごろごろいましたから(昔の話ですけど)
ほら吹きだなんて思いませんよー。
よく寝て、よく食べて、よく遊んで
すくすく育っちゃったんですねえ、その子。
たまたま規格を超えちゃったんでしょうねえ。
ってことで。

ははは、説得力なかったっすか?
いやいやお役にたてなくて。

ではまた。

石井 泰代



靴いっぱいのゲジゲジ……。
手のひらいっぱいのゲジゲジ……。
その表現だけで卒倒しそうです。
そのゲジゲジを2匹つかまえて足の裏にくくりつけると、
「動く歩道」のごとく移動することが可能になるかも。
インラインスケートより新しいかも。
また拍手喝采がもらえるかも。
……ああ、わけのわかんない想像しちゃいました。

石井さん、説得力がないなんて、とんでもないです。
ぼくはなにより、「子」というところに感動しました。
でも、愛着わいちゃいませんか?

ちなみに「ゲジゲジ」というのはこんなやつです。


これがゲジゲジだ! 
グッドマン画
(参考文献:講談社日本語大辞典)

それからムカデっていうのはこんなやつです。


これがムカデだ! 
グッドマン画
(参考文献:講談社日本語大辞典)

ということは、石井さんが最初に「ゲジゲジ」と
いっていたのは、どうやら本来の「ゲジゲジ」では
なさそうですね。ということは……ううむ……。

おっと、この原稿を作っていたら、すぐ後ろにいる
もぎカエル部長が発言したがっています。なになに?



むかし、大学の茶室のところで、
ひるまっから酒盛りをしていました
(ほんとは禁止されていたが、もう時効だろう)
茶室は、鬱蒼とした武蔵野の森の中にあり、
しばらく使っていなかったと見えて、
窓とかが板で打ちつけられていました。

そのいたが一箇所ユラユラしていて、
中が覗けそうだったんです。
酔っぱらっていましたから、
「窓があけば、中に侵入できるのではないか」
と不埒なことを考えるに至りまして、
その板をべりっとはがすべく、
ヒラリと持ち上げたそこに、
15センチくらいのゲジゲジがビッタシはりついていました。
しかしながら、そのゲジゲジは、
よく見るゲジゲジではなくて、
なんつーか、フサフサしてるんっすよ。
でも毛虫じゃないんす。
足が、なんていうか、エルビスプレスリーの
そでのところみたいになって
体のフチをかざっている感じです。

もしかしたら、ゲジゲジでないかもしれません。
しかし、私の知っている中でいちばん近い生物として
こころにあったのはゲジゲジなので、
ゲジゲジであるということにしてあります。

それを見て、血の気は引きましたが、酔いはさめずに、
そのまま飲み続けました。

もぎカエル部長



また想像してもいいですか?
ゲジゲジをいっぱいつけたプレスリー。
「♪ラブ・ミー・テンダー……」
って唄うたびに、「そよそよそよ」って足が揺れるの。
それを見て「ギャアアアアアアッ!」と卒倒するファン。
うれしいんだか怖いんだか。
それでもうっとりと唄いつづけるプレスリー……。

ごめんなさい。

まだまだあります、目撃談。これはすごいですよ。
虫てんこもり。虫どんぶり。覚悟はいいですか?
本当にいいですね? ではノンストップでどうぞ!



似たようなのを私も見ました!!
昔、山を切り開いて作られた新興住宅地に住んでいたので、
虫関係では何度もさぶい思いをしました。
私が見たヤツも、30cmくらいはあったと思います。
でも骨格は結構しっかりしてて、5cmくらいは
あったと思われる足も、ちゃんと節が分かるくらいに、
「虫の足」って感じでした。
色は赤黒くって、私は大きなムカデだと思い込んでいて、
「あんな大きいのに噛まれたら、死ぬんちゃうか?」
って思って、しばらくの間、びびってた記憶があります。
ちょうどそのころ、父が寝ている時にムカデに噛まれて、
痛さで目が覚めるくらいに手首が腫れ上がったことから、
ムカデ退治に躍起になっていたころだったので。
ムカデって必ず対で住んでいて、しかも愛情深く
(本当かな?)、一匹殺したら、
残った方が仕返しにでてくるっていわれてたらしく、
家族中がムカデに敏感になっていたのでした。

でも、どうやら私の見たソレは、
ムカデではないみたいです。
ムカデは、結構胴体がしっかりしていて、
それに比べ手足はかなり貧相ですよね。
ソレは、結構手足(あれ?)が長かったので。
結局、なんだったんでしょう?

「固まり」関係でいうと、
下校途中に道草を摘んだら、茎にびっしり油虫
(黒もしくは緑の、針の先くらいの大きさのやつ)
がついていて、ハッと指先を見ると、
ぐちゃ〜と虫が潰れてて、
その場で固まってしまったことなんて数知れず。
あと、死んだ蛇の体内に
びっしりウジ虫がわいていたとか。

まだ本題に入っていないのに、
背筋が寒くなってきました。
最後に、私のなかでの一番キョーレツな体験を。
去年の夏、バーベキューにいった時、
キムチも持っていっていて、一緒に食べていたんです。
なんか微妙に歯ごたえに違和感を感じて、
お箸で摘んで引き出したんです。
ごていねいに、前歯でしごきながら。
スルスルットでてきて、
でも最後に歯の裏にひっかかるんですね。
取り出して、よ〜〜く見てみると、顔があるんです。
いわゆるイモ虫の顔が。
正面から見ると、
両目が間抜けに離れてて、意外に愛らしかったりして。
・・・しごかれてペラペラになった透明な
(でもちゃんと節らしきものがみえる)体に、
だら〜んと垂れ下がった立体的な頭部・・・
すでにほとんどはキムチのなかにエキスになって
溶け込んでいたところを
私が、吸い尽くしたという・・・
キムチは要注意ですよ!!

以上、虫の話でした。
このコーナーは、読んでて、本当に寒くなるので、
これからの季節にぴったりですね。

三好 ミユキ  
 


うぎゃああああああああああ!
(立ち直るまでに5分)

三好さんのおたよりは、「フリーフォール型」ではなく
「ローラーコースター型」ですね。いちどストーンと
落ちておしまいじゃなくて、「怖いポイント」が
これでもかこれでもかっていうくらいあるんだもの。
「ゲジゲジ」で落下し、「ムカデ」で横ひねり、
「油虫」でトンネルに入り、「蛇とウジ」で三回転、
「イモ虫」で最後の急こう配!
あたしゃ、「油虫」あたりで脂汗がでて、
「イモ虫」ではもう記憶がありませんでしたよ。
降りたあとは重心がグラグラしちゃう。
もう、おしりに力が入りません。
でもキムチは好きだからがんばって食べます。
いや、そういう問題じゃなくて。
ムカデかゲジゲジか、でした。
…………。
もう、どっちでもいいよー。こわいよー。

と、半ばあきらめかけていたところに、
「弱弱クロゴマムシ」のときに助けていただいた
佐久間さんからメールが届きました。



「愛されない虫の広場」、山田まやサンの虫は
ムカデ綱オオムカデ目のトビズムカデ、アオズムカデ、
あるいはアカズムカデでしょう。
大きいのは13センチくらいになるとありました。
うちの日本動物大百科「昆虫I」・平凡社(見るも恐ろ
しい本)にも名前はありましたが、サイズが載っていな
かったので、またネットで探してみました。


http://www.wnn.or.jp/wnn-n/97shitsumon/konchu/8247.html

これで子供の頃の疑惑が晴れましたね。
だからといって、もう見たくはないでしょうが。

佐久間真理子



学術名を聞くと、なぜか「とおいお国のおはなし」
みたいで、気持ちがラクになりますね。
ありがとうございます。
おそらく、これで解決でしょう。
でもみなさまからの「こんな虫を見た!」目撃談は
ひきつづき募集いたしますので、よろしくね。

ということでまた次回!!!

1999-05-15-SAT

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