愛されない虫の広場

第8回

虫の歌って怖いですよね。

よく結婚式で歌われる
「♪てんとう虫が、躍り出て〜」
というのもねえ。花嫁のウエディングドレスが、
てんとう虫でびっしりですよ。どうすんの。
「♪こがねむしは、かねもちだ」
ていうのも、いまひとつ信憑性に欠けます。

と、考え込んでいたグッドマンは、
すばらしい虫の歌を発見しました。

それは吉祥寺でのカラオケボックスでのこと。
ともだちは「椎名林檎」なんかを唄ってるんだけど、
ぼくは流行歌ってぜんぜん知りません。
つれづれなるままに歌本をめくっていたら、
おお! これは究極の虫の歌だ!
というものを見つけました。
このコンテンツのテーマソングと言っても過言ではない。
ピピッ(リモコン送信)。

 ♪ぼくは昆虫 無脊椎 まなこ複眼脳がない〜

ご存知でしょうか、この名曲。
え、知らない。だめです、そんなことじゃ!
いますぐカラオケボックスで探してみましょう。
サエキけんぞう先生のハルメンズ時代の名作『昆虫軍』。
(ちなみにカラオケでは「戸川純」に入ってます)
どういう歌かって? んーと、昆虫が大挙して襲来し、
街を覆いビルにあふれ火事に飛び込み
地下にはいずる歌です。ほんとです。
よく「気持ちを込めて歌いましょう」って言うでしょ。
でも、これは難しい。虫だもの。美空ひばりでも無理。
(でも、お嬢に歌ってほしかった……)

さあ、テーマソングも決まったところで、
(勝手に決めていいのかしらん?)
最初のおたよりです。
前回の「イラ」の反響からです。



こんにちは。
ちくっとやりやがる海中生物のことがでてきたとあっては
いてもたってもいられなくなり、メールを送らせて
いただきます。

わたしにとって、その生物は「ちんくい虫」であります。
「ちんくい虫」という名のプランクトン、
という認識をしています。
小さいクラゲではないと思います。
虫とプランクトンが両立するのかとか、
その辺は全然わからんです。

私が初めてちんくい虫に出会ったのは、
小学校5年のときです。
私が通っていた小学校では、小学校5年生と6年生の時に
千葉県の富浦で遠泳をすることが夏の一大行事でした。
遠浅で泳ぎやすい海だったんですが、
結構いました、このちんくい虫が。
主に太ももをかむんですよ。もうほんっと痛いです。
不意打ちだから余計です。

さて、なぜ「ちんくい虫」という名なのか。
おそらくこれはうちの生徒しか使っていない名称だと
思います。
男子も女子も泳ぐわけですが、うちの小学校、
なぜか男子は赤フン(赤いフンドシ)で泳がねば
なりませんでした。
フンドシって、やっぱりちょっとゆるいんですよね。
海パンと比べると、当然のことながら
フィット感は劣ります。
で、ヤワラカな部分を好むグルメなやつらは
フンドシの中に入り込んでしまうわけです。
…で、ちんくい虫なわけです。
書いてしまったもののかなり恥ずかしくなって
しまいました。

(でも当時、スクール水着のぴっちぴち小学校女子たちは
 海辺で「まーたちんくい虫にやられたよ!!」と
 よく大声で話していました。
 ちょっと男の子ぶりたい、ビミョウな乙女心も
 そこには働いていたような気もしますね。)

一回、漂うワカメのようなものが
太ももらへんに巻き付いたことがありました。
次の瞬間、想像を絶する痛みが
太ももに走りました。
「ぎーゃーーーーっ!!!ちんくい虫に
 さされたあああああっ」
と絶叫し、いそいで海からあがってももを見ると、
もう世界地図のようになってるんですよ、もも。
赤い世界地図。しかもかなり立体的。
しばらく歩けませんでした。

かなり脈絡のない文になってしまいましたが、
きっとイラは私の知っているちんくい虫のことでしょう。
でもこの際やつらが一体何者なのかとても
知りたくなってきました。
結果報告を楽しみにしております。
よろしくお願いします。

ゴトウナオコ




いたたたたた……。いたいいたい。
「ちん」を「くいっ」ですよ。ちんくい虫。
あー、いたい。
女子たちも「ちんくい虫」と言っていたというのもすごい。
それをいうなら、ま………………やめましょう。
でも、ゴトウさん、「漂うワカメのようなもの」は、
明らかにクラゲだと思います。
ぼくも駿河湾で刺されたことあります。
電気ショックみたいにビリリッ、と来ませんでしたか?
刺された跡は、しばらく青あざみたいになりませんでした?
それ、クラゲです。
クラゲの野郎は、こまかーーーいトゲから
神経毒を入れやがるんです。
痛いはずです。

そうそう、前回「イラ」についてメールをいただいた
長崎市のみどりさんからも続報をいただいています。



こんにちわ。
先日「海にいる愛されない『イラ』」について
書いた者です。
グッドマンさんが刺されたものと同じかどうかは
分かりませんが、クラゲには一度だけ刺されたことが
あります。
忘れもしない中学2年生の時。
買ったばかりの水着で「泳ぐぞ〜」と
海に駆け込んだ瞬間、
左ひざの裏側に激痛が走りました。
宝くじではありませんが、ホントに痛くて目をひんむき、
そのままヨタヨタと後ずさりしてしゃがみ込みました。
しゃがんでいても治るモンじゃなし、
とりあえず監視のやぐらへ。
消毒液を塗ってもらったところ、これがまた激シミ。
しかし友だちの手前泣くのは我慢しましたが、
それでもジワリと目頭が熱くなったものでした。
新しい水着にもかかわらず、
その日はそのまま、ただ呆然と友だちが泳ぐのを
見ているだけでした。
それから数週間、
くっきり真っ赤なみみず張れが4本、
足の曲げ伸ばしをさまたげる痛さで君臨。
痛さがひいた後もなお、
今度はボールペンでグイグイ書いたような真っ黒な線が
長いこと消えませんでした。
完全に跡が消えたのは、なんと約2年後。
悔しいので図鑑で調べました。
ありました。私を苦しめた4本の足。こいつにちげえねえ。
「アンドンクラゲ」
御丁寧に「刺されると痛い」とまで書いてありました。
みなさんも注意して下さい。
…って、注意しようがないところがつらいですね。

ところで「イラ」なんですが、
「ちくちくするもの」という意味を示す言葉のようです。
長崎の歴史の本を読んでいたら、
そのような記述がありました。
ウチの近所に「伊良林(いらばやし)」という
地名もあります。
だったら佐賀県人の友だちが言った
「畑におるものやろう」というのも、
あながちウソではないのかも。
「イライラする〜」の「イラ」って、
ひょっとしてこれと一緒?

いや、私が知りたいのは、海に入った時に、
「クラゲに刺された」と言うにはあまりに軽微な痛みを
みなさんがどう表現しておられるかということなんです。
やっぱり「クラゲ」?
それともそんな痛みは感じない?

どがんでしょうか?

長崎市 みどり




どがんもんでしょーねー。(使い方、正しい?)
以前、仕事で、南の島をいくつかまわったことが
あるんですが、海中で虫刺され、という経験は
なかったでした。
長崎だけなのか?
と思っていたら、和歌山の方からメールが!!!



「イラ」はお盆過ぎに出るよ、正体は知らないけど。
ここらへんじゃ「ムシいてるから、泳がんとこ。」
って言うよ。
ほんとに、クラゲみたいに脹れたりしないけど、
やたらチクチクするのよ。

知り合いのおじさんは「海シラミ」って呼んでいました。
どうやら、世代で呼び方が違うようです。
が、「クラゲ」と「ムシ」若しくは「海シラミ」は
別ものとして認識しているのは間違いないです。
正体はやっぱり謎です。

ところで、夜光虫ですが、確か刺激に反応して
光るはずです。
死んじゃうと逆に光らなくなると思います。
夜光虫は細胞内で発光するけど、ウミホタルは、
分泌物が体外に出されて発光するらしいです。

赤潮は、夜光虫の死骸だったりもします。
他のプランクトンが原因の時が多いけど。
あたしも、そんなには詳しくないので、
はっきりとはわかりませんが・・・。
このところ、夜光虫をきっかけに
再び海に還ってゆく自分を感じています。
つくづく、海辺で育ったなァ・・・と、
あらためて思ったりしています。

海での出来事は、私にとっては日常の出来事で、
特別な事など何も無かったのだけれど、
こうして振り帰ってみると、私の原風景は、
まぎれも無く海にあるのだと、再確認しました。

くらんべりー




ふうむ(しみじみ)。
バリの海には魔物が棲んでいる、といいますが、
バリだけに限らないのかもしれませんね。
海には人を引き込む力があるんですよね。

あ、なんか「虫」っぽくない展開。

続いては「夜光虫」続報です。



こんにちわ。
「愛されない虫の広場」、いつも怖いもの見たさで
見てます。
夜光虫についてとっても盛り上がってますね。

>美しい秋の海に船を出すと、後ろに続く青い光の帯。
>そこには、水死体に群がる無数のウミボタル。
>「ブジュル、ブジュル」と音を立てながら……。
>ちょっと江戸川乱歩ぽくない?

ということですが、その場面、実際に江戸川乱歩の
ドラマで見ました。
幼少の頃なので、作品名など詳しいことは
覚えていませんが、
明智探偵役を天知茂さんがやっていた頃のドラマです。

海の中でフワリと浮かぶ死体を発見。
死体、クローズアップ。
体全部がふやけ、ぼろ雑きんのような死体に群がる夜光虫。
体の無数の傷や目玉のあたりなどを重点的に、
ピカピカと車のヘッドライトよろしく光っている・・・。

かつての江戸川乱歩もののドラマはどれも
怖かったのですが、この場面は格別に怖くて、
小学校低学年の私にはかなりショッキングでした。
虫を使って怖い場面を演出するのに、
蜘蛛を使ったりすることはよくありますが、
夜光虫を使ったのは初めてではないでしょうか。

唐仁原 麻由美




おお、あながち、ぼくの想像もまちがっていなかった!
あるいは、ぼくもそのドラマを小さいころ見ていて、
ぼんやり記憶にあったのかもしれません。

なんか、こんどは文学的な展開ですねー。
でも、こーんなメールも、ふっふっふ、
やっぱりいただいているんですよ。



虫の多い季節がやって来ましたね!
今日も部屋にダンゴ虫発見!
掃除機で吸った。我が家の掃除機は虫だらけ。
みんな生きていたらどうしよう。
こわいゴミパック。

さて虫といえば、私。
私が虫にとりつかれたのは、中学生のとき自転車で
カタツムリの親子をひき殺してからなんですが
(故意ではないですよ)、
それ以来、はじめてのデートで蛾にたかられたり、
冷蔵庫をウジで水玉模様にされたり、大変です。
とにかくいっぱいありすぎて……
まずは最近起こった事件から。

洗濯物に蛾が張りつくことってあるでしょう?
(いきなり主婦っぽい話題ですな)
夜まで干しっぱなしにするからなんですけどね。
で、いちおうブンブン振り払ってとり込むんですが、
それも性格上テキトーなんで、ついてくるんですよ、蛾。
部屋に洗濯物を入れたとたんブブブーと飛び立って、
壁に張りつく。
あーあ、と思って見てみると、2匹いる。
大きいのと中くらいの。
この時点でちょっと嫌な予感がしたんですけどね。
黒くてしわしわで触覚がやけに長くて気持ち悪い
タイプでした。ま、蛾に気持ちいいタイプは
あまりいないけど。

で、ダンナが帰ってくるのが夜中の2時。
それまでちらちらとにらめっこしていました
(今思うと、このタメがよくなかったな)。
結局大きいほうはダンナがチラシではさみうちして
外に逃がしたんですが、
小さいほうは台所に逃げてしまった。
どこをさがしても見当たらない。
ハタキでバシバシとそこらじゅうを叩いても出てこない。
ま、いいかーと、寝てしまったのです。
翌朝。朝ごはんにトーストでも食べよっかなーと、
台所に立ち入ったところ
ブブブブと無気味な音が。
ふと見るとトースターのなかで
蛾がのたうちまわっているではあーりませんか。
ひぇー、と思った私は、トースターをそのままにして
(もちろんふたは閉じておいて)
またまたダンナの帰りを待ったのでした。
夜中。ダーリン帰宅。
トースターのなかはしーんとしている。
会社で激務のダーリン。これこれこうゆうことやねん、
と説明して、トースターをかかえて庭に出てもらった。
ふたを開けると、蛾は力尽きていて、
ポトっと落ちたそうな。
そしてそして。

なかにびっしり卵を生んでいたそうな。

ダンナはそれを泣く泣く一生懸命洗い流したそうな。

そのトースター、今はどうしたかって?
10分間空焼きしてヨシとし、今も立派に活躍中。
お客人がくるとそれでケーキなどを温めて出しております。
こんな我が家に、いちど遊びにきませんか。

こばやし あやこ




あー。
卵。びっしり。
こわい。
(単語でしか喋れない)

ぼくは小学校のとき恐ろしいものを見ました。
クラスの女子が、クモをわしづかみにしたんです。
でかいクモでした。
なんでその子が平気だったのか、わかりません。
とにかく、掃除中か何かにそのでかいクモを見つけ、
その子は(男気のある女子だ)果敢にも手づかみで
窓の外に放ろうとした、とかそんな感じでした。
その瞬間。
ぷち、
と、卵が割れました。
その子がクモをつまんだ指先から、刷毛で塗ったように、
腕が黒く染まっていきました。
クモの子が、びっしり、はい出てきたのです。

あー。

次のおたよりも、こわいです。んもー。



「愛されない虫の広場」でいろいろ気持ち悪い話が
続いているので、ワタシもちょっと…

あれは中学生の頃、ちょうど今頃の季節でした。
忘れもしないその夜、喉が乾いたので、
台所へと水を飲みに行った時の事です。

月明かりもあったので、
「まあ、電気をつけなくてもいいや」と思い、
薄暗がりの中をヒタヒタと蛇口へと歩いていくと
「ニチャリ」と足の裏に、いや〜な感触が…
あわてて飛び退き、電気をつけると、
そこには腐った空豆(サヤ入り)が。
ウチの母は空豆が好きで、
その時もカゴいっぱいのサヤ入りのヤツを買って、
台所に置いてあったのです。
「なあんだ、驚かせんなよぉ」
と思ったワタシが甘かった!
腐った空豆が、グニャリと動いたのでよく見ると、
「うっぎゃー!!」
それはなんと体長15cmくらいのナメクジ!!!

異常なでかさと腐った野菜系のおぞましい緑色、
踏みつぶされて出た変な体液。
もー死ぬかと思うくらいの気持ち悪さでしたね。

片足でケンケンしながらダッシュで風呂場へ行き、
足の裏を徹底的に何度も洗浄。
ナメクジは、古新聞を何重にもして包んで
ゴミ箱へ廃棄処分の刑に。
この事件以来、ナメクジを見ると、
メラメラと闘争心が湧き、
どんな小さなヤツでも徹底的に
塩や洗剤かけてぶっ殺すようになりました。

いまもって、あのナメクジがなぜ緑色だったのか謎です。
台所でよく見るナメクジが大きくなるとああなるのか、
それとも、ミドリオオナメクジとかいう名前の別種なのか、
まさか女王ナメクジだったとか?

ヤギ ダイ(名前です)

PS:以前、朝日新聞のコラムかなんかで、
   「ヨーロッパ人は虫に関心がないから、
   虫の好き嫌い自体が話題にならない」って、
   書いてたけど本当でしょうか?




ナメクジって、どこにいても、愛されないやつですよね。
ナメクジ飼ってる人って見たことないし。
子供たちも、でんでん虫は飼うのに。
部屋にでんでん虫がいても、やさしく庭に放してあげる
のにねえ。なんでナメクジはこうも……。
「あれ? このカップ、把っ手がついてたっけ?」
ぐにゃり。
「ナメクジだーっ!!」
とか。
「あら、典子。新しいピアス?」
ぐにゃり。ぽと。
「ナメクジだーっ!!!」
とかね。

梅雨が近い。気をつけたいものです。
(ないってばそんなこと)

ということでまた次回!

1999-06-07-MON

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