愛されない虫の広場

第11回

♪ろっくーでなしーっ(ポンッ!)
シャンソンを歌いながら、
鼻から豆を飛ばして会場を駆け回る
「梅ちゃん」のリサイタルを見てきました。
会場を埋め尽くす梅ちゃんファンは、
自分めがけて飛んでくる豆に、
「いやああああ! きゃーっ! もっとー!」
と、嫌なんだか嬉しいんだかわからない
悲鳴をあげていました。

それを見てて思いましたね。
これは、なにかに、似ている。

そう、それは、この「愛されない虫の広場」。
好きとか、嫌いとか、そういうの無意味っ。
あなたは、もう、トリコのはず。
いまさら「嫌い」なんて言ったってダメ!!!

ということで、最初のおたよりは、前々回、
私たちを恐怖のどん底に突き落とした
「マダニ」に関する報告です。



イキます。きょうのお話は、2つです。

ひとつめは、「愛されない虫の広場」の
「マダニ」の話へのレスポンスです。

私の友人の親父さんが、昔、仕事で釧路湿原の調査に
出かけ、数日、湿原の中でじゃぼじゃぼやって、
帰ってきて数週間後、発見はお風呂の中だったそうです。
そいつは、小豆大の大きさだったそうです。
湯船で何気なく膝の先にできたそれを見ていたとき、
ビク、と動いたので、お父さん、風呂桶につかったまま
腰を抜かしそうになったそうです。
でも、そこは昔の人で、それほどあわてることもなく、
まあとにかく病院へ行こうと。
驚いたのは、病院の先生で。
慎重に、そいつをツマミ出し、さっそく標本に。
で、分厚い事典を持ち出して、これですよ、
コレコレと嬉しそうな顔で云ったそうです。
「まだ、いたんですねぇ」
話によると、そいつはほっとくと、
大豆くらいの大きさまではイクという。
「よかったですねぇ、早いうちに気がついて」
・・・というお話し。

そのことを聞いて以来、私は、
ダニをあなどった日はないといってしまいましょう。
よく、「ダニは二度噛む」といって、
確かに、紅い小さな噛み跡が、
ポツポツとふたつ並んでいたりするわけですが、
あれ、実は、ダニが「入って」、「出た」
跡だということ、知ってました?(ヒャ〜〜〜!)

では、にばんめのお話。

やっぱり虫の話です。
これは、調べればすぐわかるのかもしれないけれど、昔、
小耳にはさんだことで、いまだに疑問に思っていること。
それは、

着色料の青色○号の原料は青虫。

ということ。○号が何号だったか、その肝心のところを
忘れているので、戦略的防衛手段が何もとれないのですが、
もちろん、青虫とはあのモンシロチョウの青虫。
粗引きネルドリップ方式で、ギュッ、とやってですね、
それが青色○号だと。
青虫は全身これ葉緑素なので、問題ないのだと。
問題はないけれど、じゃあ、この脱力感は何か。

誰に話しても、「ウソ〜」としか云ってもらえず、
その真偽を確かめたいと思うのだけど、
ご存知ありませんかぁ?
・・・そう、いままで、ただ一人だけ、
「そんなの常識じゃん」
といったやつがいた。で、彼いわく、

着色料の赤色○号の原料は赤虫。

と、キッパリ。
この混沌の時代に射す一条の天光のように、
哲学者が「ユリイカ」と叫んだのは、
このようなときだろうかと、まさに
宇宙の真理に触れてしまったような気がしたものです。

荻野秀一郎



(貧血)
はっ。5分、倒れてました。
オ、オ、オギノさん。それ、うそじゃねーら?
あ、興奮して静岡弁が出てしまった。
オギノさんを信用しないわけではないのです。
あまりに、とっぴな話が3つも!
整理してみましょう。

1)ダニは、人間の体を貫通する。

2)着色料の青色○号の原料は青虫。

3)着色料の赤色○号の原料は赤虫。

この3つの謎が含まれているわけです。

えーとえーとえーと、混乱のあまり
青虫が人間の体を貫通する想像をしてしまいました。
違う違う。
でも赤虫ってなに? あー駄目。混乱の極み。

「赤虫って言いました?」

赤虫という言葉に反応して、JAROくんとセイヒローが
寄ってきましたよ。知ってるの?

「釣りびとには、ジョーシキです!」(JARO)

あ、すんません。釣りびとじゃないんです、ワタシ……。
教えてくださいー。

「赤虫とは、ユスリカの幼虫のことですぜ!
 マブナ釣りやタナゴ釣りに使います。
 小さくて針に刺しにくいので、
 大根の輪切りの上に乗せて
 針に刺します」(JARO)
 
ほ、ほう……。ダイコン。なんか、おいしそう?

「食べませんって。
 手でつかむと、簡単につぶれて、
 真っ赤っか汁がたらぁっ、
 とたれちゃって……」(JARO)
 
「そうだよな、まるで……」(セイヒロー)

まるで、なに?

「鮮血のソーセージだぜ」

うぎゃぁぁぁぁぁっ!
そんなものを、釣りびとたちは日常的に針に通して
いるのか?! なんて、おそろしい……。

でも、手が赤くなっちゃうってことは、
それを原料に着色料を作ろうと考えた人がいても、
おかしくないよ。いや待て。食材つくるか?

ともあれ、「ダニ人体貫通説」「着色料・虫原料説」
について、
「ワシが、知っとるだぎゃあ!」
という御大、ぜひご連絡ください。

それから、もうひとつ。

4)マダニを見つけた医者は嬉しそう。

これは真理。

さて、続いても、マダニの話です。



はじめまして。
「愛されない虫の広場」のあゆみさんの体験を読んで
思わずこのメールを書いていました。

私は1歳1ヶ月の息子を持つ主婦なのですが、
この息子を襲った(大袈裟?)虫が
まさにあゆみさんと同じようなのです。

1・2ヶ月前のことだったと思います。
息子がようやく歩くようになり、
外へ連れていけと毎日うるさいので
近所をうろうろする日が続いていました。
ある日外を歩いた後、家の中に入って
息子の髪の毛をなでていたら
なんとなくひっかかるものがあるのに気付き、
じっと見てみたら
直径3mmくらいの黒っぽいものが付いていました。
こんなところにこんなにでっかいほくろなんて
なかったよなーと思いながら、
さらにじっと見ていたらなんだか足のようなものがある!!
この時点で血の気が引いていたのですが、
とりあえずこのままではまずいと思い、
毛抜きで一生懸命引っ張ってみました。
ところが全く取れる気配がなく、
これは病院に連れていくしかないと思い、外に出ました。
ちょうどそこに主人の父親がいたので
これこれこういうわけで病院に行くと言ったら、

「どれ見せてみー。あーこりゃダニや。」

と言って指で引っ張って取ってくれました。
そんなわけで息子は病院に行っていませんが、
今のところめちゃめちゃ元気です。
「ライム病」大丈夫だったんでしょうねー。
うちは田舎で、庭にみかんだとか柿だとか
ゆずだとかの木が生えてるし、
近所の家も似たようなものなので
きっとその「マダニ」がいたんでしょうね。
それにしても、ダニというとちっちゃーい
家ダニしか知らなかったので、
あんなにでっかいものがダニだなんてーと
今でも信じたくありません。

もう一つ「マダニ」に関する話。
実は私の父も「マダニ」の犠牲者なのです。
かなり前のことですが、父は山登りが好きなので
その日もいつものように山に登って帰ってきました。
汗をかいたのでお風呂に入って体を洗っていたら、
腋の下に黒いものが・・・
そう、それが「マダニ」だったのです。
それはもうがっちり食いついていて
なかなか取れなかったそうです。
確か彼も病院に行かずに、
ピンセットで取ったらしいのですが
「ライム病」にはなっていません。
私の家族って一体・・・

みなさん山だけでなく、近所でも木の下を歩くときは
注意しましょう。
「マダニ」は皮膚の柔らかいところがお好みなようです。

がんこ ひろみ



がんこ家ではお父様とご子息が、
相次いでマダニのえじきに?!

推察しました。なぜ、ひと家族に
2人もの犠牲者が出たのか???

結論。がんこ家は、代々、皮膚がやわらかい。

ふうむ。これは当たらずとも遠からずではないでしょうか。
しかも、ふつうはなかなか取れない(らしい)マダニを、
ひっぱって取っちゃったってことですし。

ところで、問題の『ライム病』ですが、調べましたよ。
(協力:小川ましろさん)

これは、1977年にアメリカ・コネチカット州の
ライム地方で流行した病気なのだそうです。
南山堂医学大辞典によれば、

「慢性遊走性紅斑を伴う関節炎。(中略)
 マダニの刺咬により感染が成立することが
 確かめられている。
 流行は夏に見られ、皮膚に紅斑を生じ、
 数週ないしは数ヶ月後に、神経、心、関節などの
 症状を伴ってくる」
 
とあります。なんか、けっこう、怖いかも?!
数年後まで関節炎が起こることもあるらしいですし、
マダニに咬まれたら、とにかくお医者さんにかかる
ことをおすすめします。

けっこう難儀なやつなんだね、マダニって。
あっちいけ。シッシッ。

さて、忌み嫌う話ばっかりではナンですね。
久しぶりに「虫を愛でる姫」系のおたよりをご紹介します。



愛されない虫の広場、にメールを出したいと
思ったのですが、宛先はここでよかったのでしょうか?
と思案しつつお送りいたしました。
間違ってたらごめんなさい。
でもよくわかんなかったんだもん!

さて。
「ほぼ日」を読みはじめて2〜3カ月経ちますが、
「愛されない虫の広場」は今日初めて拝見しました。
みなさん、虫、キライなのね。
キライ、キライも好きのうち?
私は虫、平気です、わりと。
「きゃー」とかはいわない。
ゴキブリとかは(ホウ酸ダンゴの威力か?)
あまり出ませんが、年1度くらい見かけても
「バシッ」と退治して終わりです。

ウチの実家、改築するまでは、
大人のてのひらくらいのクモがいました。
が、「クモは害虫を食べてくれる」ということで
ウチの母は特に退治をしませんでした。
そのクモがある日、白いまるいものをお腹に
くっつけていて、「なんだろう」と思ったら
それは実は卵で、数日後、小さい小さいクモが
いっぱい出てくるようになりました。
でもやっぱり特に退治することなく、
私はそのちっこい小グモと遊んでたりしてました。
クモって糸を出すでしょ、その糸をつかむと
クモをさわらずに捕まえられるの(3ミリくらいで、
さわるとつぶれちゃいそうなはかなさ)。
クモは逃げようとして糸を伸ばすんだけど、
またそれを引っ張って、するとクモはまた糸を伸ばし・・・
を繰り返して遊んでいました
(クモにすればいい迷惑なんでしょうけど)。
で、飽きると窓の外にペッと捨てて、
殺したりはしませんでしたね。

今、住んでいる部屋にも、たまにクモがでます
(1.5センチくらいの違う種類)が、
やっぱり外に出しても殺したりはせず、
今でもたまに糸を出させて遊んだりしています。

それから。
私はプランターで「紫蘇」を栽培しているのですが、
これって虫がよくつくんです(野菜類ってそうみたい)。
毛虫が多くて、大きいのは3センチくらい、
小さいのは米粒くらいのがつきます。
こいつらは葉っぱをすごい勢いで食べて、
油断していると丸裸にされてしまうことも。
だから暇なとき、ピンセットでつまんで殺しちゃいます。
ご遺体は放置しておくと、
蟻さんがお召し上がりになります。
去年の夏、あまりに仕事がなくてヒマだったので、
この蟻さんの観察をしていました。
蟻さんは毛虫のご遺体などのご飯(大きいもの)を
見つけると、みんなで砂粒を運んできてその上にかけ、
分解して巣まで運んでいるようだった、
詳しいことはよくわかりませんが。
私は蟻というのはどんなものでもみんなで
「えっさ、ほいさ」とかついで巣まで持って
行くもんだと思っていたので意外でした。
小さい米粒ほどの毛虫は、そのまま運んでいる
みたいでしたが。
以前、紫蘇を食い荒らしていたバッタ
(体長10数センチ程度)を発見して
「むむむ!」と怒ってブチ殺してしまったことがあり、
このご遺体も蟻さんがお召し上がりになったのですが。
やっぱり砂粒を大量にかけていましたが、
頭と羽根、足はお気に召さないのか、
残骸と化していつまでも放置されておりました。
誤ってコンクリートの上に毛虫の遺体などを放置すると、
そこが砂だらけになって掃除が大変です。
けっこうな距離があっても、
集団の威力を発揮して砂を運んできます。
バッタ系のような大物でも全部隠れるくらいの
量の砂を運んできます。
蟻さんは、なかなか観察のしがいがあって面白いですよ。
小さい蟻と、大きい黒い蟻では行動もちょっと違うし。
暇つぶしにおすすめです。

わかたけ*サキコ



わかたけさんの文章は、クモさんや蟻さんに対する
愛があふれていますね。
でもバッタはブチ殺してもいるんですよね。むむむ。

じつは、ぼくも、家グモ(っていうのかな? 小さい子)は
殺せません。
益虫だっていうし。
「キャサリン」という名前をつけて、放っておきます。
なぜ「キャサリン」と名付けたのかは忘れちゃいましたが、
どのクモもみんな「キャサリン」。
代々、何年も「キャサリン」。
だって見分けつかないんだもん。

それにしても、蟻さんたちと違って、
クモって、つるまないよねえ。
「おい、ちょっとメシ、行こうぜ」
「行こ行こ」
なんて、数匹仲よくお出かけ、なんて、
見たことないですよねえ。
群れないんでしょうかね。
楳図かずおの漫画なんかだと、
「がさささささ」なんて群れてるけどね。

ところで、メールは、
postman@1101.com
で受け付けていますよ。じゃんじゃんばりばりください!

ということでまた次回!

1999-06-22-TUE

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