糸井 | じゃあ最後に、 この先にわくわくするようなことって なにかありますでしょうか? 杉野さんはいかがでしょう。 |
杉野 | そうですね‥‥ わくわくとは違うかもしれませんが、 いわゆる映画監督のかた、 映画作家のかたが ご自分のオリジナルをお書きになって、 それのキャスティングをなるべく多く させていただきたいなと思います。 いまは原作物が多いじゃないですか。 マンガですとか、小説とか。 そうじゃないもので、 オリジナルの脚本が増えれば、 もっとたのしくなるかもしれないですね。 |
糸井 | 杉野さん自身が映画のプランを考える仕事が この先に足される可能性は? |
北村 | ねえ、プロデューサーをされればいいのに。 |
杉野 | そうですね‥‥ けっこう情報はいただけるんですよ。 主演級の役者さんが 突然2カ月あいちゃいました、 っていうような話を聞くと、 非常にもったいないと思うわけです。 |
北村 | うん、それはもったいない。 |
杉野 | その人が出てくれれば1本企画が通る、 それくらいの役者さんがお休みになっちゃう。 そんなとき、ぼくのところに 監督と企画と脚本のストックがあれば‥‥。 |
糸井 | なるほど。 そうなれば、あり得ることなんですね。 |
杉野 | ええ。 ぼくがプロデューサーになるかどうかは別にして、 もしそれが実現すれば、 かなりわくわくする 仕事ができるんじゃないかと思います。 |
糸井 | それを1回やったら、 きっとたまんないでしょうね。 |
杉野 | はい(笑)。 |
糸井 | なるほど。 じゃあ北村さんはどうでしょう。 この先でおもしろそうなことは、なにか。 |
北村 | おもしろそうなのは、 もう、ぜんぶおもしろいですよ。 なにもかもわくわくする。 |
糸井 | すばらしい(笑)、 よろしゅうござんすなぁ。 じゃあ、質問を変えましょう。 「わたしに、あとこれがあれば」 と思うものはなにかありますか。 |
北村 | それは足りないものってことですね‥‥。 うーん、やっぱり、 もうちょっと、力ですかね。 |
糸井 | 力。 力っていうのは? |
北村 | やりたい劇場で、やりたい役者で、 やりたい本で公演を打つ。 いや、それが今、 できてないわけじゃないんですよ。 もっと、何ていうんだろう、 「自分の範疇を超えたものをやりたい」 って思ったときに、 後ろ盾になる力みたいなものが、 さらについてきたらいいのに、とは思いますね。 |
糸井 | それは宝くじで4億円くらい当たると 急に実現することですか。 |
北村 | いや、人間関係ですから、この業界。 お金だけで、力は出せない。 やっぱり「人」ですよね。 積み上げたり広げたりしてきた人間関係が ぜんぶ功を奏すときがきたら、 自分が思っている枠を超えた すごい企画ができるんじゃないかっていう‥‥。 とてもアバウトな期待なんです。 今は想像もつかないことをやってみたいですよね。 |
糸井 | 「あ、わたし、飛べた」 みたいなことですね。 |
北村 | ふふふふ。 そうですね、「わたし、飛べた」。 |
糸井 | なるほどなぁ。 3年先まで決まっている仕事をしながら そういうことを思ってるっていうのは、 リアルと妄想が入り混じってて、 おもしろいものですねえ。 |
北村 | そうですよね。 現実と妄想のはざまで生きています(笑)。 |
糸井 | ほかになにか、 「ほぼ日」の読者に伝えることがあれば。 どうでしょう、杉野さん。 |
杉野 | そうですね‥‥やっぱり一本でも多く、 劇場に足を運んで 映画を観ていただけたらうれしいです。 |
糸井 | それは支えるものですからね。 うん、観に行きましょう。 行きますよ。 北村さんのほうは、なにか。 |
北村 | 舞台の上に立つ役者さんは拍手もらって、 それはすごい満足感がありますが、 裏は裏でのよろこびっていうのが たっぷりあることを知ってほしいですね。 だから、役者になろうとだけ思わないで、 裏方になろうっていう人も大勢入ってきてほしい。 |
糸井 | なかなか入ってこないんですか。 |
北村 | やっぱり少ないですよね。 役者志望は腐るほどいるのにねー。 |
糸井 | 裏方おもしろいぞ、と。 |
北村 | おもしろいおもしろい。 ねえ、杉野さん。 |
杉野 | そうですね(笑)。 |
糸井 | そのよろこびを 知ってもらいたいですよね。 |
北村 | そうそう、よろしくお願いします。 |
糸井 | ぼくからも、よろしくお願いします(笑)。 いや、おもしろかったです。 ほんとはね、 「いろんな会社の中にも、 キャスティングがいっぱいある」 っていう方向にもっとお話を 広げていくつもりだったんですけど、 それをやってもしょうがないと思ったんで、 映画と演劇の話で、ワンセットつくりました。 きょうのところは、 ここまでにいたしましょうか。 |
北村 | こんな話でよろしゅうございました? |
糸井 | おもしろいですよ。 だって、この話を訊ける場所ってどこにありますか。 誰も訊いてないんですよ、 こんな話、たぶん。 |
北村 | そうねぇ。 |
杉野 | はじめて話したと思います。 |
糸井 | 舞台のキャスティングは3年前に決まる、 っていうだけで、もう知らないんですもん。 |
杉野 | でしょうね、 知らないと思います。 |
糸井 | 出演を断られたときに、 このふたりはこんなに嫌がるんだとか、 そんなの誰も知らないんですよ。 |
一同 | (笑) |
糸井 | いやあ、ありがとうございました。 |
杉野 | ありがとうございました。 |
北村 | ありがとうございました。 おつかれさまでした。 |
(終わります。 最後までお読みいただき、 ありがとうございました!) |
2010-03-19-FRI