先日、雨が降ってきたので焼き畑の休憩小屋で
ワンさんと話をしていたとき、
私が、またしつこくおばあさん世代の頃の
あの生地を作りたいんだと言ったら、
ワンさんが「またその話か‥‥」というような顔をしつつ、
乗り気のない調子で「ウン」と言うので、
「糸を自分で作るのがいやなんでしょ?」と言いました。
そしたら「ウン」と言いました。
今、ワンさんは、
糸を親戚のおばあさんなどに作ってもらっています。
(お米と交換とか、お金を支払うとかで)
ここがかなり問題なのだと私は思っています。
外注ですから、どうしても効率を考えます。
早く糸にしてしまうには、太くするのが一番ですから。
ワンさんがその気になって、
細い糸を紡げばいいのですが
こんなにしつこく言っても、なかなか踏み切れない。
やはり、昔ながらの糸作りには、
なみなみならない覚悟がいるくらい
時間をとられるのです。
でも、自分で紡がないと、いい糸はできないのです。
未熟なりに、
私自身がまず熱意を示さないとだなと確信し、
自分で糸を紡ぎ、それで反物を織ることで、
ワンさんがもう自分もするしかないな
という気持ちになってもらうしかないと思いました。
思うだけで、なかなか実行しない私ですが、
その日以来、下宿にも糸車をおき、
夕飯後、糸を紡いでいます。
まず来年中には、自分で一反、
ワンさんに教えてもらいながらやってみます。
そしてその後ワンさんがどう反応していくかですね。
どうぞご期待ください。(強気ですね)
2016年9月 谷由起子