数日前、ワンさんから聞いた話を
ひとつ、ご紹介します。
ベトナム戦争のときは、
とても大変だったそうで、
ワンさんの村の家は、
アメリカ軍に全て焼き払われたそうです。
すっかり焼き尽くされて、
服も布も糸も道具もぜんぶ燃えてしまった。
米蔵の米もぜんぶ燃えてしまい、山芋を掘って、
それを主食にしたそうです。
家畜は火事のとき、自分で逃げるので、
鶏、豚などの肉類はまあまあ豊富だったそうです。
着るものが全くなくなって、大変困ったそうです。
綿の畑は焼かれなかったそうで、
ワンさんのお母さんは綿を摘み、
おじいさんは綿から布になるまでの道具を
竹で急いでこしらえ、
お母さんは糸を紡ぎ、布を織ったそうです。
藍草ができる季節ではなかったので、
藍染はできないけれど、
白のまんまで着るのは嫌だったそうで、
その辺の植物でくすんだ色に染めて、
それをまとい、急場をしのいだそうです。
着るものがない! 売ってもいない!
裸だとさまざまの虫などに
すぐにやられてしまうので、
なにか着ないとつらくて仕方がない!
せっぱつまった結果、
お母さんとお爺さんがとられた行動。
見事だなと思います。
2016年8月 谷由起子