好きな人の言葉は、よく聞こえますか。 補聴器って、あるのは知っていたけれど。 |
ほぼにちわ。 通天閣あかりです。 Communication AID 2002のイベント参加への、 たくさんのお申し込み、本当にありがとうございました! 補聴器メーカー協議会とほぼ日刊イトイ新聞で、 厳正な抽選を行いまして、 当選されたかたにも、残念ながらそうでないかたにも、 結果をメールでお知らせいたしますので、 しばらくお待ちいただければと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。
「聞くこと」についてもっと知りたい と思っているわたしたちに、 小林理学研究所というところから 「音響についての展示があるので いらっしゃいませんか?」 とお誘いを受けました。 なんと、「レトロな補聴器もありますよ」とのこと。 音を表現することの大切さを知ることができるかも?と、 さっそく、うかがってみることにしました! 今回、ご案内してくださったのは、 小林理学研究所の山下充康先生というかたで、 「音響物理学」や「建築音響」「騒音制御」 などの研究をされているそうです。 難しそうな研究をされていますが、 先生自体はとてもユニークでチャーミングなかたでした! 山下充康先生 博物館の中 古ーい蓄音機などが ところせましとならべられています。
ROCK驚く これはブリキでできた、初期の補聴器です。 管の先端がラッパのように開いていて、 補聴器というよりも集音器という印象でした。
昔の補聴器いろいろ いずれも電源を必要としない、簡単なもので、 こんなシンプルなつくりの道具でも 近くの音を十分拡張してくれます。 「声を聞きとりたい」という思いは、 今も昔も同じなんですね! 蓄音機聞いてみようか
エジソンさん 曲のパッケージには、 エジソンさんの顔がプリントしてあります! 蓄音機は、深みがあってやさしい音がします。 現代のクリアなオーディオに慣れている私たちには 実に新鮮な体験でした。
オルガニート 1880年のアメリカ製のストリートオルガンで 「オルガニート」というそうです。 曲の種類は、ダンス音楽と賛美歌があって、 結婚式などで、オルガンの弾けない牧師さんが これを使ったりしたそうですよ。
私たちが色々な音具に興味を示していると、 山下先生がぽろりとこんなお話をしてくださいました。
確かに俳句の細かいニュアンスもそうだし、 落語でも、1人で2人や3人の会話を表したり、 うどんを食べてることや風がふいてきたことを表したり、 音の表現の役割がとても大きいですよね。 日本人の聴覚って、どこか繊細で特別なんでしょうか?
と、山下先生は、どんどん先に進んで行かれます。 待ってくださーい。 無響?残響?ってなんですかー? 無響体験中
無響室は、音が反響しないように あらゆる音をシャットアウトしてある部屋だそうです。 足下も壁も、金属の網がめぐらしてあり、 音が反射することをことごとく防いでいます。 壁は7重構造になっていて あまりにも静かすぎて、ラジオやトラックの無線の音が 聞こえてくることもあるそうです。 ふだん、無意識のうちに風や電気のモーターなど、 いかにたくさんの音に囲まれて生活しているかが 身をもって体験できます。 じいっとしていると、自分自身の内臓の音が うるさく感じられるほど。 ここで、自分が「耳鳴り」がしているということに 気がつく人もいらっしゃるとか。 残響体験中 次に残響室へ。 ここは、音を出すとずーっと残るように設計されています。 音の響きかたの印象としては 「巨大お風呂場」にいる感じ。 天井も壁も並行になっている平面がまったくなくて、 複雑な形になっています。 「あー」というだけで、その声は延々と続きます。 全員で叫ぶと、それはもう、うるさ〜い! 音は、状況によって聞こえかたがこんなにも違う。 今まで当たり前に思っていた「音」の存在が、 生活する上で、とても大切なものだったんだということに 改めて気づかされました。 普段から音の大切さにもう少し敏感になれたら、 もっと上手にコミュニケーションが できるのかもしれませんね。
このページがちいさなフックとなって、 コミュニケーションのことを考えるようになった というご意見をたくさんいただいています。 ありがとうございます!! 聞くこと、コミュニケーションをとることを 今まで、なんて当たり前のように 捉えていたんだろうかと、 みなさんから教えていただいている気がします。 今日は、メールを4通ご紹介します。 ●ダンスでわかる、聞くことのコツ 先日、「コミュニティ・ダンス」という ワークショップに参加してきました。 ダンスと言っても音楽に合わせて踊るのではなく、 体で相手に意思を伝えたり、 相手の動きから なにかを感じ取ったりしようというものです。 重度の難聴であるかたが このワークショップの講師でした。 2人がペアになって、Aさんの手首の上に Bさんが自分の手のひらをそっと重ねます。 Aさんは自分の腕や体を動かして Bさんをリードします。 Bさんは目をつぶり、 自分の手のひらに感じるAさんの手首から Aさんの動きや意思を感じ取らなければならない というものです。 急な動きで相手を困らせた人や 「どうして私の思ったように動いてくれないの?」 といらだつ人、 「きっとこうしてほしいのね?」 と過度に先回りして相手と離れてしまう人など さまざまでした。 しかし、驚いたのは、多くの方が 普段話している時に近いコミュニケーションを していたことです。 みんな「そういえば、普段の自分と同じだ!」 とオドロキの声を上げていました。 私自身としては 「自分から伝えることはできても、 相手が何を言おうとしているのかを ちゃんと理解できてないことが多いのかもしれない」 と感じました。 どうやったら「よく聞く」ことができるのか、 毎回考えているこのページですが、 このメールのお話は、「よく聞く」ことを考えるための、 具体的な方法のひとつだと思います。 このダンスで、 自分の日常のコミュニケーションのとりかたを 知ることができると同時に、 相手からのメッセージを、どう受け取ればいいのか 身をもって感じることができるんですね。 相手のちょっとした動きも、体温も、 息づかいも、服のすれる感触も逃さずに、 自分を傾けることが、大事なんだと思いました。 ●伝える工夫 私は現在、アメリカはロサンゼルスに留学中の学生です。 アメリカのあらゆるテレビには、 キャプション(字幕)機能がついているんです。 日本では目にしたことのないものだったし、 通っていた学校が語学学校だったため、当時は 「留学生用の特別なテレビなんだろう」と思っていました。 それから2年経って、アパートでひとり暮らしを するようになりました。 自分で家具を買い揃えて、どのテレビにもそんな機能が 標準でついていることに気づき、驚きました。 映画やドラマは(英語であるにもかかわらず)もちろん、 コマーシャルや生放送のニュースにまで、 この「キャプション」は出てきます (生放送のものはやはり数秒遅れて出てきますが)。 これは、本来は留学生のためのものではなく、 音を聞き取りにくい方のための機能なんですよね。 日本のテレビにもこういう機能があれば、 ずいぶんと役に立つのではないかと思いました。 コミュニケーションは、 聞く側だけではなくて、 発信する側が工夫できることも たくさんあるんですよね。 邦画に日本語で字幕がつくとか、 病院での呼びだしをプラカードにするとか、 極端な例かもしれませんが、 そんなことを考える機会をみんなが持てたら、 コミュニケーションの役に立つアイデアが 実現可能になる気がします。 ●声は、キャッチされてはじめて音になる 聞く人がいなければ、そこに音は存在しない。 私の声も、口を出た時点では音にはなってなくて、 ほかの誰かにキャッチされて、はじめて音になる。 私の口から出た心の振動を音に変えて聞いてくれる人が たくさんいることに感謝したいと思う。 聞いてくれる人がいるからこそ 私の声は音になるんだから!!! 補聴器(親聞器)は、 耳の悪い人のためだけのものだっていう 意識を変えるべきだね! 私らの声を聞いてくれるためにも ついてるんだからさぁ! 補聴器は「聞こえにくい」からつけるものだと 思っていましたが、 話す側の言葉を受けとめるために、 言葉を言葉として活かすために、 つけるものでもあるんですね。 ●なんでもないことほど伝えたい 聞こえにくいことは、 コミュニケーション障害とも言われるほど、 当人にとっても、周りの人にとっても つらいことですよね。 たとえば、「あ、飛行機雲だ」というように それがなんでもない内容であればあるほど、 伝わらなかったときに、 伝える努力をすることに疲れちゃうってことも あるんじゃないでしょうか。 家族やまわりの人たちは、 聞こえにくさを思いやってつらくなることと、 伝える努力をしなくなってしまう自分を 自覚するつらさがあると思う。 なんでもないことほど、伝える努力が要る。 「これは、言わなくてもいいや」って 勝手に思いこんでしまうことも多いです。 でも、伝えなくてもいいような小さなことの積み重ねが じつは楽しいコミュニケーションになるのですね。 家族でも会社でも、テレビのなかでも それはきっと、おんなじことのような気がします。 このページへのご意見、ご質問を ぜひ、aid@1101.comまでお寄せください。 レッツ&レッツコミュニケーション。 お待ちしています! ほな。 |
2002-08-02-FRI
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