好きな人の言葉は、よく聞こえますか。
補聴器って、あるのは知っていたけれど。

darlingが補聴器を
作りに行きました。


隠す補聴器じゃなくて、
見えててかっこいい補聴器がほしいなあ。
補聴器してるの、かっこいいだろって
見せたくなるような。

(第1回 darlingのインタビューより)


この「かっこいい補聴器」って
いったいどんなものなのかを考えていくために、
作ってみて使ってみよう!ということで、
darlingが補聴器販売店に行ってきましたよ!

まずは、第1回目でご紹介した
「かっこいい補聴器がほしい」ということに対する
読者のかたのメールを少しご紹介しますね。



っこいい補聴器。
それによって補聴器に対する認識が
もっともっと広まれば、
もっと補聴器の需要が増える。
そうすればまた、色々なタイプの補聴器が出て来て、
色々な症状の人が、
もっと気軽に使いやすくなるかもしれない。

っこいい補聴器ほしいです!
補聴器がめがねの様に「見せるデザイン」になって
個性を出すアイテムになればなあ・・・と
前から思っていました。

る物事を隠して、目をそらすのではなく、
そのある物事を見つめて見つめて、
その先に答えを、希望を見つける。

ヤリングとかピアス感覚でつけられるような、
かっこいいのがほしいです。

っこいい補聴器をした
やわらかいじいさんばあさんになりたいものですな。

ダテ補聴器」が出てくるくらい
になったらいいのになと思います。

ザインやイメージのせいで
つける事をためらっている人は
結構多いのではないかと思います。

のように、中途半端に聴力が悪い人でも気軽にできる
かっこいい補聴器があれば嬉しいです。
そうすればもう少し
積極的な性格になれるような気がします。



こんな風に、
かっこいい補聴器がほしい!という
みなさんの声に大きく背中を押していただいて、
「まずは市場調査だ」と、
意気込んで補聴器販売店に行ってまいりました。

広くて明るい店内では、ゆっくりとした口調で
電話口でお客さんに対応してらっしゃる
スタッフのかたの声が聞こえてきて、
コミュニケーションを考える現場に来たんだなあと
実感しました。

darlingの補聴器づくりの担当をしてくださる
販売店の方から、
補聴器をつくるときのコツ、耳のしくみ、
お客さんの悩みの声など
現場ならではのリアルなお話を聞くことができました。



ここでのお話にも、
コミュニケーションの大切さが
ちりばめられていましたよ!





家族が、「聞こえ」を助けられる

補聴器を買おうかどうしようか
考えられているかたのお話を伺い、
そのかたに合った補聴器をご紹介して販売するのが
わたしたち、補聴器販売店です。
でも、ここでは、
人生相談のように話が進む場合もあるんですよ。

例えば、同じ程度の難聴のかたでも
家でお孫さんと仲がいい場合は、
「補聴器をつけてよく聞こえるようになった」、
と喜ばれます。
しかし、お孫さんとの関係があまりよくない場合は、
きゃっきゃっという声に対して、
「孫の声がうるさい=補聴器がうるさい」
という印象を持たれたりするんです。

その人の心の動きや反応が
「聞こえる力」に作用していることもあるんですよね。

家族の理解がきちんとある家庭の
おじいちゃん、おばあちゃんの場合は、
家族がはっきり、ゆっくり、大きく話してくれるので
比較的スムーズに補聴器が耳に馴染むようです。
そういう家庭では、
家族も一緒になって、耳や聞こえについての
情報を集めたり、知識を高めていかれるようですね。

「補聴器がよく聞こえない」
という風に言ってこられるかたの
お話をよくよく聞きますと、
家族との関係が、うまくいっていない場合があります。
おじいちゃん、おばあちゃんの「聞こえ」について
関心のない家庭では、
普段と変わらないスピードで話したり
顔を見ないで話したりするので
本人には結局伝わらない、聞こえない、
ということになるようです。

補聴器は、つけたからといって、
元通りに聞こえるようになるということはありません。
それが眼鏡と大きく違うところなのですが、
あくまでも聞くことを助ける、
人と人とのコミュニケーションを助ける器具、
なのです。


ですから、
家族とのコミュニケーションが
きちんととれていない環境に
補聴器だけを持ってきて耳につけたとしても、
よく聞こえることには
なかなかつながらないのです。

聴力に対する意識のずれ

家族の側は、「ごはんだよ」って
何度も声をかけているのに
おじいちゃんはまったく聞こえてなくて、
最後に家族が肩をたたいて初めて
おじいちゃんが「ごはんだ」ということに気づく
場合もありますよね。

家族にしてみれば、
何度もコミュニケーションを試みているのに、
おじいちゃんは、肩をたたかれて初めて、
コミュニケーションがとれたことになります。

家族は補聴器を買ってくれ、と頼むけど
本人は、「いや、まだ必要ない、俺は聞こえている」
って言って、補聴器を買わなかったりするのは
こういう場合ですね。

ここでもコミュニケーションが
一方通行になっていることで
ちょっとした気持ちのずれが起こってしまう。
補聴器を上手に使うコツは、とよく聞かれますが、
家族の中で、よく聞いたり、よく話したりすることを
心がけることが、とても大事なんですね。

健聴であっても、
関係の悪い相手に、ちょっと離れたところから
声をかけて返事をしてもらえないようだと
「この距離で聞こえないなんて無視してるに違いない」
と思ってしまったりしますよね。
仕事のことで悩んでいると、
まわりの声が聞こえなかったりもする。

そういうことを考え合わせると、
環境や視覚情報や気持ちの問題や、
周りとの関係をすべて含めて、
「聞く」ことになるんですよね。





毎日たくさんのお客さんと接していらっしゃるだけあって
リアルなお話でした。
難聴のかたの悩みが、
実は聞こえにくいということだけではないことも
よくわかりました。

以前、ある老人ホームに
「補聴器のキャンペーンとして、
 補聴器を販売するような場を設けられることは
 ありますか?」
ということを伺ったときに、
「おじいちゃん、おばあちゃんよりも、
 その家族のかたがたから
 『余計なことはしないでほしい』
 と言われてしまうので、
 企画はしていたけれど、やめました」
という話をされたことがありました。
「あんな小さいもの、高いお金を出して買っても
 なくすだけだから」

とおっしゃるかたが多いというのです。

聞くコミュニケーションについての
家族のかたの意識や理解が、これから
どんどん変わっていけばいいなと思います。

補聴器体験レポート

補聴器販売店の方にお話を伺ったdarlingは、
カタログなどを色々と見せてもらった結果、
今回は、耳穴型のオーダーメイドタイプの補聴器と、
赤色の耳かけ型補聴器を注文しました。

オーダーメイド補聴器は、耳穴にはめるため、
耳型をとることになりました。
補聴器づくりの一環として、
その工程を簡単に紹介いたしますね。

<耳型採取の工程>

1.まず、ひもがついた小さなスポンジで
  耳の中に異常がないか調べます。



(darling)
うおお〜!くすぐったい!



2.そして、普段は届かないような耳の奥まで
  スポンジを入れていって、固定します。



(darling)
けっこう奥まで入るんだなあ。



3.歯形をとるときに使うような硬化剤を
  注射器のようなものに入れて、耳に注入します。

 

 

(販売員さん)
硬化剤はすぐに固まるので、
手早くしないといけないんです。



4.硬化剤が固まるまで待ちます。




(darling)
硬化剤が耳の奥まで入ってるから
今、ものすごく聞こえにくいし、さみしい。
耳ってやっぱり、音以外の何かも感じてる気がする。



5.糸を引っ張って耳型を抜き出します。




(darling)
僕の耳型ってこうなってるんですね。
あ!なんか恥ずかしいじゃないか。
写真とか撮るんじゃない!。
本来ないものを見るのは、恥ずかしいなあ。

(販売員さん)
糸井さんの耳穴は、ストレートですねえ。




(darling)
俺はなんでもストレートなんだよなあ。
髪の毛もそうだし。性格もね。

というわけで、無事、
補聴器を作るための耳型採取は終わりました。

できあがった暁には、
darlingが補聴器を色んな場面で使ったときに
どんなことを考えたか、
周りには、どんな変化があったかなど、
レポートをお届けしていきたいと思います!

このページへのご意見、ご質問を
ぜひ、aid@1101.comまでお寄せください。
暑さにも負けず、レッツ&レッツコミュニケーション。
お待ちしています!

ほな。

2002-08-09-FRI

BACK
戻る