ダーリンコラム

糸井重里がほぼ日の創刊時から
2011年まで連載していた、
ちょっと長めのコラムです。
「今日のダーリン」とは別に
毎週月曜日に掲載されていました。

社会人になっておもしろいこと。

学校にいるときには、同じような年齢の人と過ごすよね。
小学校にはいったときから、ずっと、
学生である間は、同じような年齢の人たちといることが、
あたりまえのこととしてあるわけだ。

でもさ、社会に出たら、
あらゆる年齢の人たちが、混じり合って、
いっしょに仕事をしていくことになるんだよ。

年齢がいっしょの人たちとずっといるのも、
きっといいことはあったのだろうけどさ。
でも、すごいんだよ、年齢が混じり合ってるチームって。
育ってきた文化環境もまったくちがうし、
経験もぜんぜんちがうんだ。
しかも、出身地だとか、抱えている家族だとか、
人生の残り時間までちがっているわけだよね。

人と人は、ちがうものだ。
まず、そういうことがわかるんだよね。
ちがうからちがう、そら、この通り‥‥って感じだよ。

経験を積んできた人たちからすると、
新人のやっていることは、
「そういえば、じぶんもやってきたこと」だったりする。
同じように怒ったり、矛盾を感じたり、
得意がったり、してきたものだ。
そんな人たちと、
さぁこれからなにもかもスタートです、という若い人が、
同じチームで、同じ目的ではたらいていくなんて、
なんかあるに決まってるよね。
いいもわるいも、ドラマそのものじゃないか。

プロ野球の高校卒業したての新人が18歳くらいでしょう。
で、監督には70歳台の人もいたりして、
間に50年くらいあるんだよなぁ。
祖父と孫くらいの間隔‥‥以上かなぁ。
そして、その間に、いろいろな選手やコーチや裏方がいて、
「優勝するぞー」なんて結束しているわけだよね。
高校野球だとか、大学野球のチームと
比べてみたらわかるじゃありませんか。

年齢も、境遇も、同じでない者どうしが、
「同じでないということを知って」いながら、
同じ目的をもって生きていくなんて、
学生のときには思いもよらなかったことだよなぁ。

年齢いろいろ×境遇いろいろ=ものすごくいろいろ

この「いろいろ」の多様性を、
マイナスに考えるんじゃなくて、
だからすばらしいことができる、と思うのが、
社会ではたらいていくということなんだよなぁ。

若い人たちが壁にぶつかっていることを、
年上の経験ゆたかな人が、
軽々と解決してくれるかもしれない。
また、ベテランたちが希望をなくしかけたときに、
怖いもの知らずで突破してくれる力もある。
そういう組み合わせによって、
「できること」の量も質も、おもしろいように増えていく。
これが、社会ではたらくことのおもしろさだ。

チームというのものは、その一部分が「じぶん」だ。
そして、「じぶん」の延長がチームでもあるわけだ。
このチームという「からだ」は、
おじいさんのものでもあり、孫のものでもある。
そりゃ、不思議なものだし、強そうだなぁと思うなぁ。

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