この原稿を書くのは1年に一度です。
「ほぼ日」の糸井重里です。
今日は2021年6月6日の創刊記念日です。
毎年、だいたいは人間の成長に合わせた比喩で、
周年の日のことを考えるのが、くせになっています。
そうなると、今年は23歳です。
大人ですよね、実際に大人として生きている年齢です。
ずいぶん若いね、とか、まだ子どもだよとか、
そういう言われ方もするでしょうし、
ぼくはもともと「30歳成人説」を唱えていますから、
23歳というと、大人でありながらも、
ほんとうの大人じゃないくらいには思っています。
大人としての教養が足りてないとか、
そういうこともあるのでしょうが、
それよりも、いいことがあるような気がします。
23歳くらいの若いときって、
生きるにあたっての冒険心のようなものが
まだ生々しく息づいていると思うのです。
このごろ「ほぼ日」に増えてきている
新人や、インターンの20代の人たちを見ていても
若さを自然に感じることがあります。
それは、「狭き門から入る」を恐れないことです。
安全か、安心か、確実か、困難か、これは冒険なのか、
そういうことを先に考えるのではなく、
「こっちのほうがいい」を選ぶのが若さのいいところです。
確率が低くても、実現するにはどうしたらいいか考える。
過去に例が見つからなくても、
そういうこともあるだろうと材料から考え直す。
世に慣れすぎた大人たちなら、
特にいまのような時代は、さんざん情報を収集して、
51%の確率の側を選んでしまうようなことでも、
23歳の若さは、そんなふうには考えないでしょう
(いや、そんなふうには考えない23歳でありたい)。
「やさしく、つよく、おもしろく」は、
そうそう落ち着いたことばではないと思っています。
チームとしての若さを失ってしまったら、
「やさしく、まぁまぁつよく、つまらなく」
というあたりに収まってしまうことでしょう。
まず、「ほぼ日」はコロナには負けてこなかった。
運もあったでしょうし、がんばりもしましたが、
なにより、狭き門であっても、それを苦にしないで
あかるいおもしろい未来への道を探して、
2021年や2022年を意識して進んできたつもりです。
少しずつ貯めてきたものが、これから、
だんだん見えるようになってきますし、
さらに青年期の「ほぼ日」なりの成長をしていきます。
ぜひ、たのしみにしていてください。
「ほぼ日」の23周年は、
昨年や、いつもの創刊記念日以上に、
青臭いことを書いてしまいました。
笑いながらでいいですから、
あたたかく見ていていただけたら、
なによりの幸いです。
いつも、ありがとうございます。