ITOI
ダーリンコラム

イトイがホームページをやるっていうと、
「釣り」のコンテンツが中心だと思っちゃうヒトが
けっこういる。

無理もないよなぁ、わかるよ、その気持ち。
・・・なんちゃって、
ぜんぜんわかってないわけよ。

だって、いままである
釣りのページとおなじようなことを
したくないでしょ。
競争なんかしたら、負ける自信あるもんね。
釣りファンも、インターネット好きも、
たしかにすぐに必ず見に来てくれるタイプの、
ありがたい読者だとは思うけれど、
目先のアクセス数にこだわりたくないんだな、これが。

釣りが大好きだけに、
釣りのおもしろさをほんとに伝えられるような、
ナイスな企画が「実現できる」ようになるまでは、
じっとがまんして釣りには
触れないようにしてるつもりだったんですわ。

でーもねー、わはははは、できる!
これは「できた!」と言えるね。
今日、そのミーティングをしたわけだ。

もったいぶらないで、結論を発表しよう。

まえまえから、スカイパーフェクTV!の
「釣りチャンネル」の番組で、
沢村(コワイほうの師匠)幸弘さんと、
河辺(コワくない方の師匠)裕和さんと、
釣りに行くことにはなっていた。

これ、CSデジタル放送ならではの方法で
番組にしようと相談したわけだ。

で、決まった。
世界初!の試み。どこでもやったことなくて、
マニアにはたまらない企画。
『120分撮りっぱなしの映像を、
まんまオンエアする』。

釣れるか釣れないかなんて、
考えもしない(釣りたいけど)。
バスフィッシングの面白さは、
実は、魚を釣ることのまえに
魚を探すことから始まるわけだ。

魚が、季節や地形や気温水温、
気圧、日照、餌になる生物の動き、
釣り人たちや観光客の混雑、
などなどなどなどの条件によって、
どんな場所にいるのかを推理し、
どんな釣り方をするべきかを考える。
これが、プロの釣りだ。

むろん、その見習いともいうべき素人のぼくらも、
そのまねごとをしているわけなのだけれど、
これは奥が深くてとんでもなく難しい。

湖によってぜんぶ顔つきもちがうし、
季節の変化の激しいときには、
1日とか2日で、
バスの居場所はがらっと変わってしまうのだ。
これを、的確に判断して、
どの場所でどう釣るかを決定するまでには、
経験と知識、技術を総動員してかからねばならない。

だから、自分で言うのもつらいけど、
バスプロのボートに乗せてもらって釣りをして、
いい釣りができたとしても、
それはほんとうのぼくの実力ではない。
探してもらった魚を、ぼくが釣っただけのことである。

そのへんのことは、
普通の「釣り番組」やビデオでは
なかなかやってくれない。
プロといっしょにボートに乗ると、
それがつくづくわかるのだ。

しかし、番組を編集してしまうと、このことは
伝わりにくい。
ついつい、魚が釣れてるシーンを入れたくなってしまうし、
たんたんと流れる釣れない時間を、捨ててしまいたくなる。
それが人情というものだからしょうがない。

だーからーっ、「撮りっぱなしの映像」を、
そのまんまカットせずに流すことが重要なのだ。

それを、やります。
スカイパーフェクTV!の「釣りチャンネル」でやるし、
その一部分をちぎって、「ほぼ日刊イトイ新聞」で
オン・エアしようと思っているのです。

撮影は、6月14日の深夜。
ワールドカップの
「日本対アルゼンチン」の放送が終わってから、
しばらく余韻にひたって、
そのまま野尻湖に出発。
「2時間撮りっぱなし」を、
2本撮るのか3本撮るのかは、まだ未定だが、
やることだけは決まった。

CSデジタル放送のほうのオンエアは、
8月だけど、その前予告編とか言っちゃって
「ほぼ日」でやるかもしれません。

あらためて申し上げましょう。
釣りファンのかたがた、おたのしみにお待ちください。

1998-06-12-FRI

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