ITOI
ダーリンコラム

「有名」、ということについて、
誰かがなにか書いた本を知っていますか?
残念ながら、ぼくは知らない。
あれば、ぜひ読みたいと思っているのだが。

「有名」は、あきらかにいまの時代のキーワードだと思う。
いま、というより、かなり長いこと、
時代の裏キーワードであったはずだと思う。

こどもたちが、やたらとタレントになりたがったりするのも、
企業が広告を出すのも、政治家が選挙運動するのも、
「有名」を軸にして考えると、おなじことだとわかる。

「有名人」「有名税」、と。
このふたつのコトバくらいしか、
普段は見かけないのだが、
コトバにならない「有名をめぐることども」は、
世間にあふれている。
でも、その事実が、いま有名でないだけだ。

ぼくは、金(カネ)の問題と、有名の問題は、
もっとちゃんと考えた方がいい時期がきていると思う。
どちらも、欲望まるだしで語る人はいくらでもいるが、
しっかり考えてきちんと語ってくれる人は少ない。

金がすごいものであるように、有名もすごいものだと、
ぼくは思う。
どちらも、「それ自体が目的たりえない」ということも、
そっくりだ。

「ほぼ日刊イトイ新聞」をはじめるときに、
有名の問題を少し考えた。
この新しいメディアに、
どれだけの量の「有名」をかきあつめられるかが、
勝負のポイントになってはいけないと思った。
「有名」にはすでに「現在の価値」が内包されていて、
みんながそいつを集めたがってるわけだ。
その競争に参加したら、
きっと単なるパワーゲームになってしまうだろう。
有名に対して「無名」を強調することも、
やっぱりやめようと決めた。
それはそれで、硬直した感じがする。
だって、自分自身、名前を知ってる人のことや、
すでに知識として持っている話題については、
より強く注目するんだから。

有名を、意識してないふりをすることはたやすいけれど、
やっぱりそれはいつか「ヘンだぞ」と
気づかれてしまうはずなので、
「来るものは拒まず。来ぬものは追わず」
くらいのスタンスで、
やっていくのかなぁ、と考えているところである。

ALL STAR
「ガキの使いやあらへんで」のバス釣り大会は、今年も河口湖で行われた。

ALL STAR
さて(前回の優勝は1101ですが・自慢)、
今回の優勝は、誰だったでしょう?ふっふっふ。

ALL STAR
これは、「だ〜め〜老人」。
自分の固有の領域に人間や車が侵入すると、
オートマチックに「だ〜め〜っ!」と叫びます。

写真は、「ほぼ日」にはめずらしい「有名」のかたまり。
マネージャーとか事務所の許可が
どうしたこうしたってことになるとめんどくさいので、
バイトの山根くんがデジカメを持っていったんだけど、
撮影しないほうがいいかなと考えていたのですが、
「なんか、OKよ」みたいなことだったので、掲載します。
どうでしょう?お客さん、
こういう写真があったほうがうれしいものなんでしょうか。
ぼくは、にぎやか感がでていいねぇ、と思うんですけど、
こういう「有名」を登場させることが
義務になっちゃうと苦しいので、
期待はしないでねと言っておきますね。

1998-07-07-TUE

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