<消費税は黒猫でしょう説>
消費税のことを、ぼくが考えてみるといったって、
専門家のようなことを言えるわけがない。
それに、専門家たちだって「自信をもって」
それぞれの意見を発表しているけれど、
一方が正しいとすればその逆の意見はまちがってるわけでしょう?
ぼくが考えられるのは、経済に関わる部分ではない。
消費税についての「ヘンじゃないの?」って部分を、
広告屋として考えてみようってことになる。
まず、前々から思っていたことがある。
●「100円のアイスを買おうと思って、
こどもが100円玉をにぎりしめて出かけますよね。
そしたら、3円足りないから買えなかったって・・・
泣いて帰ってくるんですよ」
というような、反対論があった。
これを読んで、そうだそうだ!と思う人がいっぱいいたのだ、
ある時期にはね。
3円持たせりゃいいじゃねぇか、オトナが!
と、普通は考えるでしょう。
しかし、消費税と概念が登場したばかりの時期には、
みんなして、「そりゃ、大変だーっ!」と、
その泣き虫こどもに、もらい泣きしていたようなことがあった。
●日本人の多くが海外旅行をするようになった。
そして、海外で買い物する。
その場では、3%や5%ではとても足りないような消費税を、
しっかり払っている。
その国の人々は、猛反対していないのだろうか?
その国の経済は、消費税が高いのをきっかけにして、
どえらい不況に陥ったのだろうか?
どうも、そんなふうには思えない。
なぜ、外国の人々は、消費税が高くても平気に見えるのだろうか。
●最近、でもないか、缶ジュースや缶コーヒーの価格が、
110円から120円に値上がりした。
10円のアップである。
10円という値上げ分は、110円に対しての約9%だ。
9%も値上げしても、大騒ぎしていない。
金持ちが飲んでも9%アップ。ビンボー人が飲んでも9%。
という構造は消費税とおなじだけれど、
「弱者に負担をかける」と文句言ってる人がいないみたいだ。
3%から5%への消費税アップは、
120円の缶ジュースでいうと、
124円が126円になるという計算である。
この2円のほうが騒ぎになるわけだ。
缶ジュースは「ぜいたく品」だから、問題ないのだろうか?
ってなことを書いていると、
ぼくが消費税に反対してないと、思う人もいるだろう。
そういや、そうだ。
どうせ何かのかたちで税が必要なのだから、
いちばん痛くない方法でとってくれいという気持ちだ。
消費税のシステムや実体が、
きちんと把握できていなくても、
なんとなく「松茸は高いから庶民には手が届かない」
というような妙にナットクさせやすいムードで、
消費税というものを「悪玉」にしているように思えるのだ。
この不況の前に、たしかに消費税の導入があった。
この不況が深刻になったところで、再び、
消費税率のアップがあった。
時期も悪い。
やった人たちの知恵は、どういうふうに働いたのだろう。
「間がわるい」というのは、センスがないということだ。
おかげで、消費税は、「不吉な黒猫」のようになってしまった。
悪いことが起こったとき、
偶然に黒猫が通りがかったとする。
そうすると、黒猫が通ったから「悪いことが起きた」と、
思われてしまうわけだ。
それが、2度も続いたと、みんなが思い出してごらんよ、
黒猫、たまんないっすよ。
消費税は、その黒猫になってしまったと思う。
「思えば、あいつのせいや!」とね。
不況を消費税という黒猫のせいにして、
根幹的な経済システムの問題をごまかすのは、
ほんとに馬鹿野郎のすることだと、ぼくは思う。
これは、いわゆるシンボル操作ってやつだが、
黒猫狩りをしましょう! みたいなことで、
話をもっとわけわかんなくしちゃうのは、やめてほしいよ。
ま、ともだちと雑談をするようにして、
消費税黒猫説を書いてきたんだけどね、
これには、まだ、「逆転の発想」があったんだ。
この消費税のシンボル的な意味を、
「ゴースト」として役に立てちゃえばいいじゃん、という、
おもしろいリアリティーのある意見を読んだので、
それもぜひ紹介しておきましょう。
雑誌「WIRED JAPAN」でも連載していた山形さんという人の、
書いたものなんですが、おもしろいっ! です。
「Hotwired Japan」のなかに見つけた
「山形浩生のケイザイ2.0」というページです。
4ページにわたる「論文」ですけど、読むのやめられないっ!
インターネットはつまらないとか、
軽く言っちゃう人もいるけれど、探せばあるんだよなー。
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