ダーリンコラム |
<チャパツ化> もう、今回は、あきれるほどハンパです。 だけど気になるので、書いておきたかった。 途中経過でもあり、消えてしまうような問題かもしれない。 でも、どうも気になって、 せめてメモがわりにでもと、書きました。 それは、斉藤美奈子著『文章読本さん江』を、 入浴中に読みはじめたときのことであった。 7ページから8ページに目を移そうと、 濡らさぬよう気をつけた指でめくった瞬間であった。 その二年前、七三年には三島読本もチャパツ化 (ここでめくり次のページへ) されている。 ぼくの目は、8ページ最初の「されている」という部分を 見ているのだが、頭のほうは前ページの最後にあった 「チャパツ化」という聞きなれないけれど、 しかも意味もよくわからないけれど、 妙に納得したくなる単語に捕まっていた。 なんだ、その表現は? はじめて見たぞ、おもしろいぞ。 三島由紀夫の著した『文章読本』も、 1973年にはもう「チャパツ化」していたというのか。 しかし、読み間違いをしているかもしれない。 「チャパツ化」という言葉は、すばらしすぎる。 いやいや、すばらしすぎるというよりは、 自分の趣味に合いすぎている。 斉藤美奈子さんという人の書くものはおもしろいけれど、 「チャパツ化」というような造語をつくるとは思いにくい。 恐る恐る、前のページに戻ってみた。 その二年前、七三年には三島読本も文庫化 あ。 文庫化、だったのね。 文庫という文字と、チャパツ、なんにも似ていない。 あまりにも自分の感覚だと思ったその表現は、 読み間違いを原因とした、自分の表現だった。 表現はあるのに、その実体は知らないままだった。 どういうようなことを「チャパツ化」と 表現するのかについては、ぼくも知らない。 斉藤美奈子さんだってもちろん知っているはずがない。 だいたい、そんなこと書いてなかったわけだし。 ただ、わかるなぁ、その「チャパツ化」という感じ。 世の中のものごとには、チャパツ化されつつあるものとか、 すっかりチャパツ化してしまったものとか、 永遠にチャパツ化は無理であろうことだとか、 いろいろあるのだと思う。 そうは言うものの、どういうことをチャパツ化と言うのか、 ぼくはまだ整理できていない、どころか、考えてもいない。 なのに、チャパツ化は、日本全国で進行だという 実感だけは確かにあるのだ。 おぼろげながら、追求してみたいテーマだ。 和風レストランみたいなもの、 インテリアが黒を基調としていて、 出てくるものが次々においしくなくて、 料理にときどき金箔なんか散らしてる店って、 チャパツ化が進んでるって気がする。 チャパツの社員の多い会社は、 やっぱり文字通りチャパツ化しているんだろうなぁ。 当たり前と言えば当たり前だけど。 フォントでいうと、ナールとか丸ゴチックなんか、 チャパツ化した書体という感じだねぇ。 いや、それはチャパツ化とはちがうのかなぁ? 舶来家具の有名なブランドによく似ていて、 お買い得みたいな家具で飾られたショーウインドウは、 チャパツ化しているような気がする。 かなり多くのイタリアンレストランは、 チャパツ化しているようにも思えるなぁ。 ああ、ちっともわかっちゃいない。 「チャパツ化」という感覚については 妙にリアリティがあるのに、芯のところがわかってない。 おひまで、なおかつ「この感じわかる」という方は、 参考意見などくださいましたら幸いです。 |
2002-04-08-MON
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