<黄金週間のむだ話>
ゴールデンウイークに、ともだちに会って、
なんだか漠然としたことをしゃべる、みたいに、
ここも書いてみますね。
あなたが、ぼくのともだちで、
ぼくと、ばくぜんとしゃべってると思ってください。
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ものすごく苦労かけちゃった本があってさ。
もともとは、なんでこの本を買ったのか、
ってところから話すね。
まずは、たしかアサヒコムだったかで、
新聞系のニュースを見ていたんだよ。
そしたら、バナー広告があってさ。
ふだんは、あんまりバナーとかクリックしないじゃん?
でもしたわけだよ、興味あったから。
なんて書いてあったかというと、
正確には憶えてないんだけどさ、
「あんたの眠りの品質をあげましょう」みたいなこと。
眠りの質が、よくないような気がしているわけですよ、
ぼくなんか、ふだん。
で、クリックした、と。
そこにあったのは、アミノ酸の話だったのよ。
興味深いというか、どんどんそのアミノ酸が
欲しくなっちゃってさ。
申し込みましたよ、ネットの通信販売で。
実は、もう飲んでるんだけどね。
ま、隠しておく理由もないから言っちゃうと、
味の素って会社の製品なんだよ。
宣伝ではあるんだけど、なんというか
説得力がちがうんですよ、おもしろいしね。
そのアミノ酸関係の研究所みたいなものがあってね、
そこの研究がおもしろいんだと、わかったわけさ。
ここからはインターネットの「リンク」ってものの
おもしろさです。
研究の中心人物は、高橋廸雄さんっていう人だと
わかったんだよね。
その人は、東京大学農学部の獣医生理学の
教授だったんだけど、60歳の定年前に
『味の素株式会社』に就職して、
健康基盤研究所ってところの所長をやってるらしいのね。
このへんも、おもしろいところなんだよ。
年齢の高い研究者の活動って、
こういう道があるんだなぁ、と、思ったりしてね。
で、この高橋さんって所長さんかな、
この人の出してる本があるわけだよ。
読んでみたいから、Amazonで申し込みましたよ。
『ヒトはおかしな肉食動物』っていうタイトル。
体毛のない一夫一婦制の哺乳類のちょっとヘンな生殖戦略
という長ったらしいサブタイトルもついてるんだよね。
これが、ちょっと専門的なことばと、
語りかけるようなふつうっぽいことばとが、
混じり合ってて、読みやすそうで読みにくいんだけどね、
おもしろいんだよ。
ちょっとだけ言うとさ、
草食動物って、草食ってるのに、肉じゃん?
自分は肉じゃない?
草で身体ができてるわけじゃないよね。
そういうのって、不思議に思わなかった、子どもの時?
不思議に思ったけど、あいまいにしてたんだよね。
知ってた? 答え?
オレはわかってなかったのよ。
もともと、アミノ酸のことからはじまった話だしさ、
タンパク質とか、アミノ酸とかのことが
でてくるに決まってると思うでしょ、そうなんだよ。
もーのすごく雑に言っちゃうとね、
草を食って肉になっちゃう牛はさ、
胃の中にバクテリアを持ってるわけよ。
そのバクテリアが草を食うんだよ。
そいで、バクテリアが発酵してできた「有機酸」が
牛のエネルギーになって、
増えたバクテリアが牛のタンパク栄養になるわけ。
体内に飼ってる他人のバクテリアを育てて、
そいつを食ってるってわけだよ。
牛、けっこうやるじゃん!
馬も草食動物なんだけど、馬は弱いの。
そんな詳しい話しはじめるとキリがないんだけど、
馬はヘタなの、そのあたりのことがね。ま、いいか。
バクテリア、小さそうだから、
あんまり考えに入れてなかったんだけどさ、
牛のなかに数十キログラムとか、いるんだよ。
牛の体重、バクテリア込みで計ってるわけですよ。
他人ごとの重さが、牛の重さなんだよ。
このさ「他人ごと自分」っていう
SF的な感覚が、しびれるんだよねー。
だいたい、ほれ、ミトコンドリアって、
細胞のなかにいる他人だっていうんだからね。
『パラサイト・イヴ』って小説は、そのへんのことが
テーマになってたじゃん。
「純自分」なんていないってことだよね。
「純喫茶」って、昔あったんだよね、どうでもいいけど。
純って、だいたいは困った考えだよな。
純が、悪いことするね、だいだい。
原理主義とかね、ゆずるってことしないから。
純愛とか、ねー、間違ってるよね、なんか。
不純こそ、大事だよ。そう思うよ。
そんなに純が大事なら、ミトコンドリア追い出せよ!
おまえのなかのバクテリアとか殺せよ、ってな。
だいたい、純がどうのこうの、自分がどうした、
正しいだの滑った転んだだの言ってる、
その言葉が、借り物なんだからね。
昔の人がつくってきた言葉をつかって、
自分というものを語るわけだからさ、
もう、矛盾してるじゃないねー。
ま、誰に文句言ってるんだか‥‥。
こんな本なのよ。
でさ、オレ、ほら、いま、いっそがしいじゃない。
この本、おもしろいんだけど、緊急度が低いんだよ。
だから、ちょっとした時間に、ひょいっと読むという
「休符」の時間の読書用になってるんだよね。
サブの位置にいるからさ、この本。
半分も読んでないわけだよ、おもしろいんだけど。
この先のほうも、もっとおもしろくなると思ってるよ。
そんなわけだから、持ち歩いてることが多いんだよね。
ひょいっと読む用に、持ち歩いてる。
本の内容については、もう言わないよ、ここまでさ。
ここからは、本の運命についてだよ。
こないだもね、犬をね、そう、ブイヨンを、
会社に連れていくときだったよ。
犬、さっきうんこしたばっかりだったし、
会社まで、距離ほとんどないから、
うんこ取り紙を持ってなかったのよ。
いや、いつもは、この距離でも持ってるんだけどね。
この日は、出かける直前に着替えちゃったんだよな。
そういう時にかぎってね、するんだよねー、うんこ。
マンションを出てすぐ、道で、ぐっとね、
ぐっと腰を落として、ほかほかしたやつを落としたよ。
まいったなぁ、ポケットにその準備ないんだよ。
バッグのなかを探しても、ないよね。
財布のなかとか、レシートとかじゃ、
ぜんぜん面積が足りないからねー。
そうだよ、そこでだよ、この本があったんだよ。
『ヒトはおかしな肉食動物』のカバーを外してさ、
紙のスコップみたいにして、拾い上げたよ、うんこ。
そいつを大事に持って、家に戻ってさ、
捨てたよね、うんこ。
ま、ころころした固体でよかったよね。
そういうわけで、この本、カバーがないんだよね。
で、次の次の日ね。
ガソリンスタンドにガソリン入れに行ってさ。
近くに贔屓のラーメン屋があるもんだから、
「じゃ、洗車と、満タンお願いしまーす」って、
クルマ置いてラーメン食いに行ったんだよね。
ちょっと雨が降りそうだなぁとは思ったけど、
まだ空暗いけど、降ってはなかったよ。
その時も、この本を手に持っててね‥‥。
ラーメン屋まで、どうだろ、300メートルくらいかな。
でさ‥‥。
あ、時間ないの。
ほんとー。オレも、時間なかったわ。
また、な。
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