<そいつは敵じゃあない>
お菓子がなくなったら、いやだという気持ち。
歌がなくなったら、いやだなぁというこころ。
かわいいお洋服がなくなったら、いやよという思い。
まずいものより、おいしいものが好きな気持ち。
栄養もないのに、食べたいものがあるということ。
しょうがないなぁと思うのに、会いたくなるともだち。
くだらないとわかっているのに、捨てられないもの。
残念な時間。
後悔するような青春。
恨まれる行動。
生意気な季節。
なぜいるのか説明しにくい生きもの。
役に立たない道具。
美しからぬ景色。
ぐずぐずしているうちに終わる人生。
よろよろと老いぼれていく身体。
強くなればいいのになれないままのこころ。
しょうもない世界のほとんどの部分。
くだらないといえば、みんなくだらない人間たち。
やめるべきことがやめられない仲間たち。
なくそうとしてもなくそうとしても消えないもの。
そういうものに、敵と名をつけることはやめてくれ。
そういうものらは、敵と名付けるべきものではない。
それらは、ぼくとか、きみとか、
そういう名前で呼ばれるものであるはずだ。 |