ダーリンコラム |
<すべてがサービス> 先日、鼠穴電脳部のベイちゃんによる インターネット基礎講座を受講した。 インターネット用語のなかには、やたらと 「プロトコル」ということばが登場する。 「ほぼ日コンピュータ用語辞典」によれば、 ネットワークで繋がれたコンピュータの間で 情報をやりとりする際の約束事。 同じプロトコルが組み込まれていない コンピュータ同士では、例え物理的に接続されていても (=配線は繋がっていても)情報のやりとりは出来ません。 代表的なものとして「TCP/IP」や「IPX/SPX」「NetBEUI」 (ネットビューイ)などがあります。 (koh) ということになる。 ぼくの超訳でいえば、 プロトコルとは「ことば」そのものだ。 約束と言ってもいいだろし、 決まりと言ってもいいだろうが、 ぼくには「ことば」という意味に聞こえる。 なんだか、とにかく、なんにでも プロトコルがもれなく付いてくるって感じだなぁと思った。 これが、頭のすみに残っていたんだろうねぇ。 テレビで野球を見ている時に、 捕手の動きを、ふと、 これは「キャッチング・サービス」と言えるぞ、と 思いついたのだった。 サインを出すこと、打者を観察すること、 守備体系に心を配ること、 投手に気持よく投げてもらうこと、 ランナーに注意すること、捕球すること、 返球すること、牽制球を投げること、 打たれた後でベンチで謝ること、 相手のデータを研究すること・・・・ こういう彼らのやっていることのすべてを、 キャッチャーのやるべき「サービス」ととらえたら、 いいキャッチャーを、とてもよく理解できると考えついた。 そういうことを思いつくと、 投手は、さまざまな「ピッチング・サービス」をしている。 打席にいるバッターは「バッティング・サービス」だ。 サービスには限度がないから、 いくらでもやる気と能力に合わせて増えていくだろう。 イチローのような選手は、「バッティング・サービス」も、 野手としての「フィールディング・サービス」も、 高い水準に達したので、大リーグでも喜ばれる選手である。 インターネットの用語では、 なんにでもプロトコルが付くと思っていたことが、 いつのまにか、 あらゆる仕事には「サービス」が付く、 という法則に変換されてしまった。 しかし、これは、かなり大発見だよ。 たいていのコミュニケーションや、仕事や、作業や、 たぶんありとあらゆるものが、 それぞれの人のサービスの交換として成り立っているんだ。 政治家がやっているのは、政治サービスであるはずだ。 経営者がやっているのは、経営サービスであろう。 誰に向かっての、どういう品質のサービスかが、 問われているということになる。 役者は演技サービスをするのだし、 タクシーの運転手はドライビング・サービスを提供する。 なかには、快感サービスをする職業もあるだろうし、 幻想をサービスする仕事もあるだろう。 日給で働くアルバイトの若い人だって、 そのバイトの現場で、それぞれのサービスを受け持つ。 サービスって、辞書をひいてみると、 ずぶん広い範囲の意味を持つことばのようだけれど、 漠然と「ひとの役に立つ」とか 「喜ばれる」というようなイメージを含んでいる。 いいじゃないっすか、これで何かがつかめた気がするよ。 クリエイティブ・サービス、 プロデュース・サービス、トラフィック・サービス、 編集・サービス、ブランディング・サービス・・・。 いままでわかりにくかった仕事も、 後ろにサービスということばを付けると、 何をするべきかが見えやすくなってくる。 え?学生には、サービスは付けられないだろうって? 付けられるよ、「自己育成・サービス」だよ。 恋愛だって、「ラブ・サービス」だし (要りませんと言われることもあるけれどね)、 村上ショージとか山崎邦正とかの芸は、 優越感・サービスでしょう。 「ほぼ日」はなんだって? うわぁ、複雑だなあ。 ともだち・サービスみたいになっていたら、いいなぁ。 痛いことも言えたり、ただバカを言いあったり、 困ったなぁと役にも立たないのに共に腕組みしたり、 また別のともだちを呼んできたり、 いいこと教えあったり、ただ一緒にぼーっとしていたり、 現実の親友にはなれっこないし、かなわないけれど、 ある程度信頼できるともだちってくらいの関係で、 ともだち・サービスができたらいいなぁ。 ま、この、自分のことは複雑すぎるんで、 もっと考えてみます。 |
2001-04-16-MON
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