<たいしたもんじゃない>
すっごくジタバタとあわてふためいている週なので、
短く簡単なことを書こうと思って、
まず、タイトルをタイピングしてしまいました。
「たいしたもんじゃない」。
これは、他人から言われたら
馬鹿にされているようなことばです。
自分で言ったときには、謙遜しているように思われます。
人にものをさしあげるときに、
「つまらないものですが」というのも、
謙遜は徳なり、という昔っぽいイデオロギー
ではありますからして、
近代主義者は笑いますよね。
ぼくは、かなり前から、この
「たいしたもんじゃない」という考えが、
好きなのであります。
昔から、「汝自身を知れ」って言うじゃないですか。
汝自身ってのは、つまり、ぼくにはぼくのことです。
あなたには、あなたのことです。
それ、知れば知るほど「たいしたもんじゃない」と、
思いませんか?
たいしたもんじゃないなりに、なんかしらの何か。
この程度のことだったら、もう、すっごいと思うんですよ。
競技スポーツの選手とかが、
戦いの前に相手を見据えるときとか、
やくざとか、番長とか、男を売る仕事の人たちは、
自分を「たいしたもん」だと思いこまないと
やっていけないのはわかるんです。
でも、ほんとはそんなにたいしたもんじゃないって、
大選手とか大親分とかは、知っているような気がする。
敵を知り、己を知れば、百戦危うからず。
ということにしても、
自分を身の丈以上に思いこんでいると、
戦さに勝つ本当の戦略は立てられないよ、
ってことでしょう?
駅伝の大後監督が、
「ほんとうに素質のある選手よりも、
ある程度素質に欠ける選手のほうが、
金メダルとか、世界一とかを取る可能性が高い」
と教えてくれたのは、ほんとうによかった。
「たいしたことない自分が、どうしたら勝てるのだろう」
と、そこまで後退した場所から問題を立てたときに、
何をすればいいのかが見えてくる。
いま、さかんに「IT革命」とか新聞雑誌で言ってますよね。
森首相が、どのくらい知らなかったとか、
さかんに笑っているみたいだけれど、
笑っている人たちだって、
ITの訳語を知っているくらいのもので、
何をどうわかっているのか、わかりゃしないっすよー。
ぼくは、それで、別にかまわないと思うんですよ。
だって、新しい分野の考え方なんだから、
そんなに知っているほうがヘンですよ。
日本の首相が、ITがどうしたPHSってなんだっけ、と、
よく知らないってのが、いまの日本の現実なんでさ。
それを、まずは、
「いまの日本は、このくらいの感じです」と、
正直に認めちゃったらいいと思うんだよね。
そしたら、これから何をすればいいのか、
わかってくるでしょう?
そこが正確にわからないと、
不要な大工事の連続みたいなことが、
また起こっちゃうでしょう、また日本に。
日本のだささ、日本の遅さ、日本の疲れやすさ、
いくら見栄をはってもごまかしきれるもんじゃないんだし、
知っちゃったほうがいいんだよ、
「センスのいい国際人」の方々もね。
でも、どこかいいところがあるんだ、とか、
あらためて探しはじめる。
たぶん、自分についても同じでさぁ、
「たいしたもんじゃねぇよなぁ」って思ってから、
じゃ、なにしよう。なにを見つければいい。
なにを鍛えればいい。なにをあきらめればいい?
というふうに「誇り」を自分の中から
見つけていく旅にでるんだろうと思うんだ。
日曜のガンジーさんの誕生祝いの花の画像、
そう言うと馬鹿が怒るんだけど、別に、
あの大きさで「たいしたもん」として
並んでいたわけじゃないでしょう?
ひとりひとりの「気持」がこもっていると言ったって、
思春期の頃に失恋したときなんかに比べて、
そんなに「思い」があったとは言わせねぇよ。
小さな、たいしたことのないものの集まりなんだよ。
「私がせっかく送った花が」なんて、言うな。
あんたは、ここでは主役じゃないんだ。
なーにが「せっかく」じゃ。
モギやハリさんが、必死になって画像を取り込んで、
あのページに貼り付けていった作業のほうが
ずっと思いがこもってたぜ。
1000枚以上も、せっせせっせとやったんだ。
でも、それでも「たいしたこと」じゃないんだ。
やれるからやったのだ。それだけだ。
だけど、そういうちょっとずつの
「たいしたことないもの」が、いっぱいあると、
すごい何かになるんだよ。
おたがいが、おたがいに、「みんな、ありがとう」って、
すげぇなぁって、思える瞬間が立ち上って来るんだ。
なんでもないものとして参加する、ということの大事。
たいしたもんじゃないが力を合わせるうれしさ。
ろくでもないものが育っていく晴れがましさ。
それを、知っている人たちがいっぱいいる「ほぼ日」だから
できたことなんだよ。
だめだ。軽く書きはじめたのに、
こんなんなっちゃった。
また、このへんのことについては、いずれ書くでしょう。 。
|