ワクチンの記録とかかった感染症



ここには、感染症のなかでも
わたしたちのいまと将来の健康に
深くかかわるものをリストアップしました。
それぞれの感染症の予防接種を受けているか、
またはその感染症にかかったことがあるかを、
この機会に、まとめておいてください。

このリストのなかでも、肝炎と肺炎球菌、
インフルエンザ以外の予防接種は、
多くの場合、乳幼児期に受けています。
自分の母子手帳が残っているかたは、
どの予防接種を受けているかを、
母子手帳から書き写すのがいいでしょう。

もし予防接種を受けていなかったとしても、
はしかやおたふく風邪にかかったことがあれば、
からだのなかにウイルスと戦う抗体ができているので、
ワクチンをうったのを同じ効果があります。

このリストのなかで、
インフルエンザの予防接種だけは、
ご存知の通り、1年に1回、毎年受ける必要があるものです。
秋の終わりから冬のはじめにかけて、
つまり、インフルエンザが流行するよりも前に、
受けることを習慣にしましょう。

母子手帳を見てみたら、
ここに載っている予防接種で、
自分が受けていないものがいくつもあって、
ちょっと不安になりました。

乳幼児期の予防接種は、
世代によって受けている種類がちがってきます。
たとえば、記入例としてあげたワクチンの記録は、
1978年に生まれた人の、実際の母子手帳に
記録されていたものです。
この年代では、はしかと風疹のワクチンは
1回接種でしたし(現在は2回接種)、
おたふく風邪と水痘は、任意の接種なので
受けてる人も受けていない人もいます。
つまり、すべてのかたがこのリストの予防接種を
当たり前に受けているというわけではありません。
かかったことがない感染症で、
予防接種を受けていないか、
あるいは受けたかどうかわからない場合は、
自分にその免疫があるかどうかを
血液の抗体検査で調べることができます。


肺炎球菌ワクチンについて教えてください。

高齢のかたにとって、とくに問題となるのは、
肺炎球菌による肺炎です。
高齢のかたの肺炎の原因の第1位は肺炎球菌という細菌で、
高齢者の重症肺炎の50%がこの細菌による、
という報告もあります。
この肺炎球菌肺炎の予防として、ワクチンがあります。
最近では日本でも広く使われるようになってきました。
肺炎球菌にはいろいろな種類があるのですが、
そのうちの8割にはこのワクチンが効くと考えられているので、
65歳以上のかたには、おすすめしたい予防接種です。
いちど接種すると、効果は5年以上つづきますが、
日本では生涯一度の接種とされていて、
2度めの接種を受けることはできないため、
接種のタイミングはご自身の健康状態によって、
かかりつけの医師と相談するのがよいかもしれませんね。

はしかの唯一の予防策はワクチンです。

ここ数年、10代〜20代の若い人たちのあいだで
はしかが流行して問題になっています。
この世代は、1回の予防接種で
抗体ができなかったか、
あるいは予防接種そのものを受けていないかで、
抗体をもっていない可能性が高いと
考えられています。
2008年から、
中学1年生と高校3年生にあたる年齢も、
はしかの予防接種の対象となりましたが、
20歳前後のかたを含め20代のかたも、
もし十分な抗体がない場合には
2度目の予防接種を受けておくと安心ですよ。


補足:感染症の検査の記入例(p. 31)



肝炎の検査項目は、専門的でわかりにくいので
検査の結果は、
医師に聞いた内容をそのまま書いておいて、
次にどうすればいいかをよく相談してください。

B型肝炎の結果では、
「HBs抗体」が陽性の場合は
過去にワクチンを接種している場合か、
いちどB型肝炎に感染したあとの
治癒した状態と考えられるので心配ありません。
心配なのは、
B型肝炎ウィルスが
まだ体のなかで暴れていることを示唆する
「HBs抗原」が陽性だった場合です。
治療が必要な場合もあるので
主治医と相談してください。

C型肝炎については、
まず、現在、もしくは過去に
C型肝炎に感染していることがあったかどうかを
血液検査で確かめます(HCV抗体検査)。
HCV抗体が陽性であれば、
今体内にC型肝炎ウィルスがいるかどうか、
現在の肝臓の状態はどうかを調べて、
必要であれば、インターフェロンなどの治療などを
考えていきます。

いずれも、主治医の先生とよく相談してください。