「80代からのインターネット」の一気読み・その1


第1章 乱暴な親孝行


80過ぎの母に、インターネットをたのしませる。
そういう企画なのだけれど、
ぼくは、まだこの母とは
10回くらいしか会っていないと思う。
ぼくの両親は、ぼくがものごころつかないうちに
離婚をしているので、ぼくは母親の存在を
知らないままに育ったのだ。

といっても、その後に、父は再婚して、
ぼくには継母ができたから、
母といえば、その母のことだった。
こっちの母Bとは、ずっと付き合いはある。
そういう言い方もヘンか。
ま、一般的にぼくが「母」と言った場合は、
継母のほうをさしているわけだ。
蛇足だが、継母という文字は「けいぼ」と読む。
「ままはは」と読んではイケマセン。
ぼくは、小学生の時に、
父がこの文字をなにかの書類に記入しているのを見て、
なんでわざわざそんなことを書くんだと、
思ったことがある。
その時は、ぼくも「ままはは」と読んでいたのだ。

しかし、
つきあいは浅いけれど、遺伝子的には、
会った回数の少ない母Aのほうが、
血のつながりは濃いわけで、
いままで通りに、親しい他人という関係のままでいるのも、
なんか変なもんだなぁという気持ちもあった。
かといって、会わないように
お互いに遠ざかっていたわけでもないので、
もう少し、なんかできないもんかなぁと考えていた。

そんなに詳しくはないけれど、
母Aの性格や行動は、どうも自分に似ているのではないかと
前々から思っていた。
金もないのに、世界各地を旅行して回っている。
何度かもらった手紙の文章が、どことなくだけれど、
ぼくの書くことに似ているような気がする。
どうも、彼女は「お調子者」ではないかと、
ぼくはニランでいた。
さらに、かなりのおしゃべりだ。
いや、本人も読むだろうから
誤解のないように言っておくが、
軽快で話題の豊富な女性である
ということです。

この人は、インターネットをやる可能性がある。
やったほうがいい。ぼくの直感が働いた。
50年間で10回くらいしか会ってない母Aと、
この年になってから、メールのやりとりをしたり、
「ほぼ日」を読んでもらったりするのって、
けっこうおもしろいんじゃないだろうか。
そう思いついたのだった。

こういうわけで、ぼくの乱暴な親孝行ははじまった。
まるで、私小説のような書き出しだけれど、
この年になると、こういうことも単なる事実と、
軽く言えるようになるのがいいね。

秋葉原の「イケショップ」で、
「これなら現在在庫があります」という、
オレンジ色のiMacを注文して、
送り先を母Aのところにした。
やることは、これだけだ。
簡単じゃないか。

しかし、そんなに世の中甘いもんじゃない。
誰がパソコンを教えるんだ?
ぼくが、100km離れた前橋まで行くのか?
いざとなったらそれでもいいけど、
先生がまったくいないままに、
インターネットでスイスイというほど、
母Aがスーパーエレクトリックばーちゃんだとは、
とても思えなかった。
それに、若い人だって、
誰も教えてくれないのにパソコンを自由にできる、
なんて人はほとんどいないだろう。

先生を探さなくてはいけない!
しかも、母Aの住んでいる前橋の人で、
ウインドウズではなくマックに詳しい人がほしいわけだ。

第1回 おしまい (そして、明日に続く)



第2章 先生を探す(1)。


知り合いに前橋市に住んでいて、
親切でマックに詳しいともだちがいないものかと考えた。
あ、いや、ウソだ。考えなくてもわかる。
そんなやつはいない。

だが、もしや、と思うことがあった。
「母Aのパソコンの先生を探しています」
というメッセージを、そのまま「ほぼ日」に掲載したら、
ひょっとするとひとりくらいは、
「ワタシ、ヤリマス」という奇特な読者が
手を挙げてくれるのではないかということだ。
ひとりもいなかったら、その時は、
あらためて考えよう。

いままでいただいていたメールのなかには、
前橋の読者はなかったような気もする。
しかし、まったくいないということもないだろう。
しかも、母Aの近所には、群馬大学もあるし、
ぼくの出身校の前橋高校の
パソコン趣味の高校生かなんかから、
「いいっすよ」というメールが
飛びこんでくるかもしれない。

だめでもともとという気持ちで掲載したら、
なんと、さっそくメールが届いた。




こんにちは、糸井さん。
本日の目次、見ました。

沢山の若い後輩達からメール応募があったと思いますが
私も応募します。

でも私は海外にいるので、
帰省時期の5日間しかお助けできませんし
時期が少し後なんです。
7/19-23か7/26-30のいづれかに敷島に帰ります。

私も5年前からMac愛好者ですが、
新たにiMACを日本から送ってもらってまで
使っています。
父(61才)も同時期に買って、
自分で全部設定出来たし
誕生日も祝ってくれるすごい奴だと絶賛してます。

5日間では何のお役にも立てないでしょうが、
いづれにせよ御母上の「格闘・健闘リアルタイムほぼ日」
を楽しみにしています。

K松 H美



ありがたいよー。
この野菜、いや、優しい心遣い。
でも、この日程では、難しいだろうな。
でも、ひとりこういう人がいただけでもいいや。
そう思っていたら、また次の人からだ。



「ほぼ日」のみなさま、こんにちは。
いつも楽しく拝見しています。

さて、糸井さんが今日のコラムでおっしゃられていた
「前橋の母へiMacを」についてですが。

私は3月まで東京にいたのですが
4月に実家の高崎に戻り、
今は会社のある東京まで新幹線通勤をしています。
前橋は車ですぐなので、
私でお役にたてることがあればおっしゃってください。
ただ、私自身は、はっきり言ってあまり詳しくないんです。
でも、母校の高商はコンピューター部が
頑張っているようで、
そこの顧問の先生とかが
なにかいいようにやってくれると思います。

私自身はお茶くみとか、
近所にお醤油かりにいったりとかしかできないと
おもうんですが、よろしかったらお声おかけください。


S藤 M美




またまた、ありがたいよー。
高崎だったら、クルマなら近いけどなぁ・・・。
お醤油をかりにいったりするのは、
たぶん必要ないとは思うんだけど、
でもうれしいお申し出です。
そこに、またまた、メールが届いた。
母Aよ、この幸せ者よ!



こんにちは。
初めてお便り致します。

私は、N木C子と申します。31歳主婦です。
前橋高校から徒歩3分のところにすんでいるものです。
こちらへは、主人の仕事で越してきました。
ちょうど1年になります。
当初は、初めてフォッサマグナを越えてしまったことを
とっても後悔しておりました。
と、申しますのも私は、生まれも育ちも大阪で、
知り合い、縁者もまったく、こちらには無かったのです。
しかし、「糸井さんが、前橋出身で、“まえたか”卒」
という事を唯一の手がかりとし、
赤城颪とカルチャーギャップに日々おののきながらも
少しづつなじんで参りました。

そこで、前橋でのお知り合い拡大大作戦として、
また、手がかりを下さった糸井さんへのご奉公を
させていただけたらと思いました。

PC歴は、10年ほどですが、
学生の頃と、勤めていた頃に 
macを少々たしなんだ他はwindowsユーザ−です。
それでもよろしければ。
現在は、専業主婦で、メールソフトばかりを使っています。
しかし、主婦の特権は時間がたくさんあることなので
学習機能付。

いかがでしょうか。
宜しくお願い致します。

N木C子



またまた、ありがてぇよー。
大阪育ちの人が、あの町に暮らしているなんて、
思いもよらなかった。そういうこともあるんだよなぁ。
そうか、ウインドウズのユーザーかぁ。
でも、マックだってわかるはずだよね。

このへんで、はっと気づいたことがあった。
せっかくの親切な方々からのお申し出をいただいたのに、
ぼくはその人たちを「選ぶ」という、
逆転生意気なことをしなくてはならなくなっている。
うわーっ、だった。
失敬だようっ。先生を選ぶだなんて!
しかも、ひとりでもいれば、といってたくせに、
「どの人にお願いしようか」なんて、考えている。
3通のメールをもらっただけで、
ぼくはもう心配になりはじめた。

(そして、明日に続く)

第2章 先生を探す(2)。


先生を探すと考えついたときには、
ひとりでもいれば、と思っていたので、
複数の方々から手が挙がるということを、
計算にいれてなかったのだ。

「ご親切をおねげぇいたしますだ」とぺこぺこしたくせに、
「あんたじゃなくて、あんたをえらぶだよ」なんて、
とんでもなく生意気なことをしてしまうことになる。
恥ずかしいというか、申し訳ないというか、
この時点で、ぼくはもう恐縮してしまった。
どういうふうにお断りをしようか、
それを、ちゃんと考えておかなきゃいけない。
でも、それは、後のことにしよう。

そういう時に、また、親切な方からのメールだ。


私は高崎経済大学に通う前橋在住の男です。
いちおうiMACを持ってます。
でもコンピューターのことは全然分かりません。
インターネットに接続することや「ほぼ日」を
ブックマークすることくらいはできると思いますが・・・
そんな私で良ければ先生をやらせて下さい。

ちなみに私はボランティア好きです。
(いや、面白いこと好き?)
以前担当編集者は知っているの欄で紹介された、
大澤さんのボランティアもしていました。
(M君として本にも登場しています)
(大澤さんは無事手術が成功しました)

毎日面白い情報をありがとうございます。
もうすぐ1周年ですか。
これからも「完全日刊」で頑張って下さい。
でもしんどかったら「知らんがな」の精神で
隔日、いや週間でもいいんですよ
(それはそれでほぼ日らしいし)


M田J


こんどは、iMacのユーザーだ。
ただ、そのぶん、初心者だという。
大澤さんを知っているというのは、なにかの縁である。
メールの最後の3行なんか、いかにも大澤さんっぽい。
初心者のほうが、かえって一緒に悩めたりして、
おもしろいということもありそうだ。
さて、そこに、さらに・・・。



糸井先生、

はじめまして!N波A子と申します。

「ほぼ日」を最近知ったという不届き者です。
お許しください!
昨日は眠気に負けてテレホ時間も待たずに寝てしまい、
チェックしそこねてしまった、
ますますの不届き者なのですが・・・
ある「ほぼ日」熱狂ファンの方から
先ほどメールをいただきまして、
この、お母様@iMacの件を教えていただきました。

前置きが長くなりました。

それで、お母様の件ですが、
もうどなたかよい方が見つかりましたか?
もしまだでしたら・・・と思いまして
差し出がましくもメール差し上げることにいたしました。

というのも、まず、
糸井先生のご実家がうちのご近所だという点。
うちはご実家の西の空を隠すように建っている
マンションの5階です。
といっても私が勝手に勘違いしてたりして?ご実家を。

南町一丁目になってしまいますが、
ご近所には変わりない距離ですね。
先ほども、群銀前橋駅南支店に行くのに、
恐れ多くもご実家前を通らせていただきました。(ぺこり)
ふと玄関先にでもiMacの箱が置かれてないか、
ほんの一瞬チラリと視線を
向けてしまいました。(笑)すみません!

そして、私が今使っているのも
iMac(なぜかグレープ)だという点。
Mac信者のようなものでして、
WINには触れたこともない。。。(苦笑)

あ、学生ではありません・・・が
・・・応募資格はありますか?

一応、子供のいる主婦もどきなのですが、
仕事で翻訳をしております。
iMacを購入して以来、
仕事がスムーズで大変助かっております。
なにしろ処理能力が高いですからねぇ、
気持ちよく仕事ができます。
メール添付で仕事を納品できるわけですから
インターネット様々です。
地方に住む者にとっては大助かりです。

以前は東京に住んでおりましたので
(出身は渋川なのですが)
仕事をするなら東京!と実感しつつも、
ここに居座ってネットライフを楽しんでおります。
ちなみに、大学は上智の外国語・英語学科という
妙なところでした。

基本的にだいたい家におります。
家で、翻訳原稿と画面とを鬼のような形相で(笑)
見比べては訳のわからん専門用語と戦っております。
いったん玄関を出ますと、
天使のような笑顔に自動変換されるので(笑)
外部の方々にはまったく害はありません。ご安心を!

今年は上の子供が六年生なので(桃井小)
育成会で責任ある立場を任され、
津波のようにやってくる行事の数々を
こなさねばなりませんが、常に一日中
あわてふためいているというわけではありませんので、
まだ余力は少し残っていることでしょう。
下の子は桃井小の脇に存在しています
第四保育所に通っています。

Macにつきましては、自分で言うのもなんですが、
けっこう詳しい部類に入るのではないかと思っております。
どんなトラブルでも一応は自分で解決可能です。

POWERBOOKな主人にもMacのいろいろを
手取り足取り教えてきました。(笑)
最近では、その妹にも。
そして娘のクラスのママさんにも。。。
Macユーザーが増えてくれて、
みなさん楽しいMacライフを送ることができるよう
プロモーション活動をしているようなものです、はい。

また、ご年輩の方相手にも慣れております。

くどいメールになってしまい失礼いたしました!
軽い自己紹介のはずが、
第四保育所なんていう名称まで出してきて。(笑)

ということなので、
もし、適当な方が見つからないようでしたら、
喜んで引き受けさせていただきたいと思いますので、
よろしくお願いいたします。

あ、無理矢理この「先生」の座を
奪い取ろうという心構えではないので
ご安心くださいませ。(笑)
ご実家近所のMac推進委員会メンバー(?)として、
メールを出さずにいられなくなったので、
こうして失礼いたしました。

では、よろしくお願いいたします。




わーお。
糸井「先生」というのは、ちょっと照れちゃうなぁだけど、
マックの名人で、教える経験も豊富らしい。
そして、生徒を怖がらせたりしなそうな、軽いユーモア。
「年輩の方」にも慣れている。
さらに、この文中の桃井小学校というのは、
ぼくの通っていた小学校なんです。
さらにさらに、第4保育所は、ぼくが通っていて、
帰り道に雲古をもらしたり、お医者さんごっこをしたりした
メモリアルなプレイスなのである。
ただ、ひとつだけ誤解があるのは、ぼくの「ご実家」は、
たしかにそこ、なのだが、
そこにいるのは「母B」と、
「キノコ」という名のビーグル犬で、
今回iMacが届くのは、そこじゃないのである。
近いから気楽にという意味で
申し出てくださったのだとしたら、困ったことになる。
でも、いろんな条件を考えると、
この人が最適だという気がするなぁ、
生徒のくせに生意気な言い方なっちゃうけど。

そして、さらに、最後のメールが届く。
目次ページにこの「先生求む」を掲載してから、
1日経っていたので、
もうこれ以上は申し出もないだろうと思った。



お母様御指南役の件

えー どうもはじめまして
まず自己紹介をしてしまいましょう
私 O野 と申しまして
前橋で歯医者をやっております
今日46才になりました
マックプラスの頃から13年ほどマックを使っていますが
バリバリのパワーユーザーという訳でもありません
現在iMacを使ってます

もしだーれもインストラクター役に立候補しなかった場合
すべり止めとしてお使いいただければと思っています




成人男子だ。マックユーザーだ。
みなさん、ほんとに謙虚な、というか、
成熟した大人な物言いというか、
押しつけがましくならないように、注意深く言葉を選んで、
実にていねいにメールを書いてくださっていることに、
ぼくは、感動さえ憶えた。
「ほぼ日」の読者って、ほんとにかっこいい。
これは、ぼくが頼み事をして、
それに応えてもらったからという意味じゃない。
インターネットで愛し合うのは難しいかもしれないが、
インターネットで親切のやりとりすることは、
とても自然にできるものだ。
人にそういうことをしゃべったことはあったが、
こんなカタチで、ぼくはあらためて実感した。

(明日につづく)

第2章 先生を探す(3)。


ここまで連載を読み進めてこられた読者も、
おそらくぼくと同じ考えなんだと思うが、
6名の親切な方々のなかでも、
特にさまざまな条件が整っているのは、
5番目に届いたメールのN波さんだと、ぼくは考えた。

あとは、「先生の行く先は、ご近所の町じゃなくて、
クルマで10分くらい走って行く場所」だということを、
N波さんに了解していただけるか、だけだ。

おっと、そういえば、生徒である母Aとの
良好な人間関係を結んでもらえないと大変なことになる。
母Aは、ぼくがかなり強引にいろんなことを決めて、
どんどん話を進めてしまっていることを、
どう考えているのだろうか。
もし、ちょっとでも困ったモンだと思っているのだとすれば
N波先生がよろこんで出かけていっても、
いい関係がつくれるとは考えにくい。
それと、ちょっと後ろめたいところも、ぼくにはあった。
これは、「ほぼ日」で連載したらいい企画になるぞう、
という邪な野心を、当然このころには抱いていたので、
多少は母Aがめんどくさがっても、
後戻りはしたくないという気持ちになっていたのだ。
親孝行にしてはかなり不純だが、
母Aも先生も、読者もよろこんでくれるのだとしたら、
これはもう突き進むしかない。

本心を母Aに電話で問い合わせしたところで、
「ほんとはイヤなんだけどねー」と、
はっきり言うとも思えないし、
もしはっきり言われたら、困ってしまう。
だから、そのへんのことは考えないことにして、
とにかく「ていねいに」「だれにも失礼のないように」
ということだけを意識して、話を進めていこうと決意した。

とにかく、まずはN波さんに、
お願いしたいというメールを出してみよう。
同時に、N波さん以外の方々に、
お断りのメールを入れることをはじめた。
以下は、まず、N波さんへの、ぼくからのメールだ。


ご親切、ありがとうございます。
いま、全部の方にお礼のメールをだすところです。
ぼくとしては、
以下の「お断りのメール」に記しましたような理由で、
N波 さんに「先生」をお願いしたいと考えたのですが、
いくつか検討しておかなくてはいけない問題があります。
まず、
M町の実家は、ぼくの継母が住んでいるところで、
一般にぼくが母と呼んでいるのは、こちらです。
しかし、今回は、実母のほうでありまして、
こっちの母とは、10回くらいしかぼくも会っていません。
でも、ヘンなばあさんです。
なんといっても、年金しか収入源がないはずなのに、
世界各国を旅行して回っている80代なのです。
好奇心と何かがとても丈夫なんだと思います。
しばらく前までは、機織りと染色をやっていて、
いまでもダンスやらバレーやらを見に
東京に出てきています。
謎のばばぁなんです。
それはいいんですが、M町じゃないということは、
もっと家が遠いということです。
前橋市xxx町x−x−x
(0272)xxーxxxx
という住所と電話ですが、この距離は、大丈夫でしょうか?

基本的には、一度セッティングしたら、
あとは遠隔操縦でもいいようにも思うのですが、
N波さんの通う距離の負担が心配です。

それでもよろしければ、
ぜひお願いしたいのですが、
この件についての、
(遠慮なしの)お返事をいただけますか?
まず、それを待って、次の方策を考えはじめます。
お忙しいのに本当に恐縮ですが、
まずは、それでも可能かどうかのお返事を、
よろしくおねがいします。

なお、余談ですが、ぼくは、第4保育所の出身者です。
さらに桃井小学校の出身です。
そのあとは第一中学で、前橋高校というコースでした。
ろくでもないこどもでしたがね。

他の方々にお送りしたメールの共通部分を、
参考までに貼付しておきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

>前橋の母Aの先生をやってくださるというお申し出、
>たいへんありがたく承りました。
>ひとりでもいたらなぁ、
>という藁にもすがる思いでしたが、
>6名の方々から、メール
>を頂戴しました。
>
>実際に、惚けてはいないとはいっても、
>80過ぎのばあさんにコンピュータを教えるというような
>「大冒険」は、一筋縄ではいかないと、
>ぼく自身がおそろしいことを考えたものだと、
>いまさらながらにあきれています。
>
>頼み事をしているくせに「選考」などというのも、
>ほんとうに心苦しいのですが、
>iMacを買ってしまったこと、
>家までの距離、
>手ほどきの経験などを考慮しまして、
>「M町」にお住まいの主婦の方(仕事もソーホーで)に、
>お願いしようと考えています。
>
>むろん、どの方もおひまがたっぷり
>あるはずもありませんので、
>何かの時にはあらためてご連絡を差し上げることに
>なるかもしれませんが、
>その節は、どうぞよろしくおねがいします。
>
>ほんとうに、ご親切、ありがとうございました。
>これからも、「ほぼ日」と、
>近日公開のこの企画とを、どうか
>あたたかく見守ってやってください。
>
>1999年6月1日  糸井重里

では、お返事をお待ちしています。



母Aには、「謎のばばあ」呼ばわりして、
ちょっと申し訳ないとは思ったが、
こういう場合には、「身内」としての「謙譲的誇張」が、
必要なのではないかと思ったので、あえて書いた。
「豚児」とか「愚妻」とかに近い、
日本のオヤジ的なレトリックだと思って許してください。

とにかく、これくらいおおげさに正直に説明しておいて、
それでも「お引き受けします」と言ってもらえたら、
相当安心できると思えた。

返信はすぐに届いた。

(いいところで、明日に続く)

第2章 先生を探す(4)


N波先生(候補)の返信は、まことに爽やかだった。
軽さが爽やかで、そこにとても知性を感じさせるのだ。
重く本当のことを語ると、相手にその重さが伝染する。
相手のこわばりをなくすには、
自分からカルクなることが大事なのだと思う。
今回のことで言えば、ぼくの側が、
おそるおそる出したメールの返事なのである。
このぼくの側の「硬さ」や「重さ」に、同調したら、
もう1〜2回のメールの往復が必要になるはずだ。
ほんとによろしいのでしょうか?
はい、ほんとに。
ほんとにほんとに、ですか?
はい、ほんとにほんとに、です。
という手続きが重いコミュニケーションには大事なのだ。
ところが、軽さが表現できれば、
この牽制球の投げ合いのような儀式は要らなくなるし、
急速にうちとけられるようになる。
ただし、軽すぎは、また困るわけで、
そうなると信頼に欠けるというふうにとられる。
N波さんは、そのあたりの距離感というか、
軽重のとらえ方が、まことにもって見事なメールをくれた。


糸井先生、

M町のN波です。

お忙しいところ、メールをありがとうございました。

ご事情をよく把握しないまま
「近い、近い」とはしゃいでしまい、
大変申し訳ありませんでした。

はい、では、S町ということですね。

17号を車でヒューンと行けばすぐなので、
問題ありません。
普段から車で移動していますし、何の負担にもなりません。

位置的には群大医学部を通り過ぎたあたりですよね?
私が想像するに、たぶん、
「しみずスーパー」あたりの一角なのではないかと・・・。

ご心配いただき恐縮いたしておりますが、
距離的にまったくOKです。

> なんといっても、年金しか収入源がないはずなのに、
> 世界各国を旅行して回っている80代なのです。
> 好奇心と何かがとても丈夫なんだと思います。
> しばらく前までは、機織りと染色をやっていて、
> いまでもダンスやらバレーやらを見に
> 東京に出てきています。
> 謎のばばぁなんです。

わぁ、それはまたかっこいい!
それならiMacの一つや二つ(?)
あっという間にマスターされ、
すぐに「先生」要らずに。(笑)
教える側としましても、とてもワクワクいたします。
こちらの方がいろいろと
教えていただくことにもなりそうですね。

> なお、余談ですが、ぼくは、第4保育所の出身者です。
> さらに桃井小学校の出身です。
> そのあとは第一中学で、前橋高校というコースでした。
> ろくでもないこどもでしたがね。

そうでしたかぁ。
桃井小学校は多少予想がつきましたが、
第4保育所とはびっくり。

余談をし始めるときりがなさそうなので、
とりあえず、このへんで送信いたします。

選んでいただいて大変光栄です。
ありがとうございます。

Mac推進委員会メンバー(←また言ってます)
としましては、必要に応じていつでも
S町まですっ飛んでゆく覚悟でおりますので、
ご遠慮なくこき使ってください。

iMacはいつごろ届く予定なのですか?
お母様はそれが届くことをご存じなのでしたっけ?

では、またご連絡ください。
よろしくお願いいたします。

N波A子 


これを読んだら、もう、よぶんな気兼ねは要らない。
というより、そういう態度でいたら失礼だろう。
ぼくは、安心して、このN波さんに甘えることにした。

(はい。今日はここまで。明日につづく)

第3章 いよいよダンボールは届いた


なかなか、母Aが登場しないのですが、
まぁ、先は長いので、しばらくお待ちください。
前回は、母Aにパソコンを教えてくれる先生が、
双方合意のもとに、めでたく
決定したというところまでだった。

そうなると、ぼくの気持ちは熱くなってきた。
もう、半端な遠慮をしていちゃいけない。
「ほぼ日」の読者だって、この企画をたのしみにしている。
N波さんにも、母Aにも苦労をかけるけれど、
やってほしいことを、正直に言っておかなくてはならない。
ここからは、「ほぼ日」スタッフとしての仕事なのだ。
さっそく、ぼくからN波さんへのメールが送信された。



安心いたしました。
クルマでびゅーん、は、
前橋の女性の「たしなみ」でしたね。
ぼくは、いまだに「主婦」のほとんどは
クルマの運転をしないと、
勝手に思いこんでいました。

では、遠慮なく、ぜひお願いします。
で、さらにお願いがあるのですが、
この企画を連載化するためにもご協力していただけますか?
つまり、母Aの「成長」の記録を、
「ほぼ日」紙面でレポートするという、
もうひとつ手間のかかる仕事です。
まだ、タイトルも決まっていませんが、

まずは、箱が届いた母A家に、
N波さんが出向いて、どうしたか?
が、第一回になるのだと思います。
これに、本人がメールを出せるようになったら、
その報告が加わっていきます。
そこまできたら、ある意味で、
連載はおしまいなのかもしれませんが。

さて、(ちょっと笑ってしまうのですが)、
いま、1999年6月1日の正午、家人から、
「母Aから電話があって、iMacが到着した」との知らせ。
は、はは、はじまっちまいました!
箱も開けずに先生からの連絡を待つように、
と指示しました。

こうなったら、遠慮ばかりしていたら
ぐずぐずしてしまうので、
事務的に次のステップについて、書いていきます。

さぁて、まことにおそれいりますが、
xx−xxxxに電話をしてください。
(「ご自分の都合」のいいときにしてくださいね)
で、電話の向こうのばあさんと、
場所や日取りについて、決めて下さい。

展開がどうなるか、よくわからないのですが、
問題はインターネットです。
これに関わる費用は、ぼくが負担するつもりですので、
プロバイダの契約料やなにか、発生する費用については、
メールでお知らせいただけますか。
プロバイダの選択やなにかは、N波さんにおまかせします。

それでは、いまから母Aに、
「N波さんという方から電話が入る」ということを、
電話で連絡します。

ぼくは夕方まで、外にでますので、
次のメールチェックは、18時以降になります。

それでは、どうぞ、よろしくお願いいたします。

ほんとに、こき使うことになって、恐縮です。
がっぶれっしゅう。
              (糸井重里)





はじまったぞ。
現物は届いた。先生も決まった。
なによりありがたかったのは、
N波先生が、とても親切で軽快な女性だったということと、
母Aが「すっごくうれしそうな電話」を
くれたということだった。

ちなみに、ぼくのメールの最後の、
「がっぶれっしゅう」は、
神さまのご加護がありますように、の英ひらがな。
「てきにいじい」や、「ろけんろうっ」などと、
適当に使い分けているが、評判は芳しからず。

(まだまだ、明日につづく)

第4章 いよいよ箱が開く(1)


どうしたかなぁと、なんとなく1日気になっていた。
ところで、ここまで、先生の名前を仮名にしてきたけれど、
さまざまな問題はあることもわかるが、
過剰に防衛的な姿勢で連載を続けていくのは、
インターネットの「危険」を強調しすぎるように思う。
N波さんに、そのことを問い合わせてみた。



> 夕方に、連載のタイトルと、目次の文をつくりました。
> 先生探しのところから編集して
>掲載しようと考えています。

いよいよ!って感じで、ドキドキしますね。
先生探しのところから、ですか?
なんだかドキュメンタリー・タッチな予感。

> いままでの先生のメールで、
>掲載されては困るところはありますか?
> 「本名」「ざっとの住所」「職業の詳細」などについて、
> これは困るという部分は書かないようにしますので、
> あらかじめお知らせくだされば幸いです。

メール・・・(一瞬ドキッ!)
掲載に値するようなものなのかどうか、
そのへんに自信ありませんが、
今までのメールでのやり取りは私自身
とても楽しめましたし、はい、掲載されてもかまいません。

本名も職業もOKです。
電話番号とマンション名・部屋番号くらいですかね、
発表されたら困るものは。(笑)
あとは特に気になりません。

あとはdarling様のご判断で、
どうぞご都合に合わせて編集をお願いいたします。



ということになったので、以後は、
先生の名前をわざわざ「N波さん」などと書かずに、
「南波あっこ」さんと表記することにする。
で、南波さんからの、
「箱が開きました」というメールを読みましょう。



こんにちは、南波です。

昨日は夕方より来客があり、
また、思いがけぬ早寝をしてしまったため、
不本意ながら報告メールを書けませんでした。
遅くなってしまい、すみません。

さて、「開箱式」ですが、お陰様で無事終了いたしました!

すでに箱の梱包テープだけは
しっかりと剥がされていましたが。
好奇心、梱包テープを剥がす!(笑)

午前10時から午後3時まで、
すっかり楽しませていただきました。

お母様、「のりこさん」、親戚の「じゅんこさん」、
お隣関係の「ゆきえさん」の計4名が
昨日の「生徒さん」でした。
途中、2名ほどの飛び入り見学者もあり。(笑)
皆さん、目を丸くして、
大喜びでiMacを囲んでらっしゃいました。

お昼ごはんまでいただきまして。
お隣のドイツ菓子店の方も一緒の、屋外でのランチです。
ピザから何から盛りだくさん。グラスビールまで。
これが毎日の光景だそうで!
前橋にいることを忘れてしまいそうな
ヨーロピアンなひとときを満喫させていただきました。

あぁ、お母様をはじめ皆さん、魅力的な方々ばっかり!

そのような一種日本離れした空間では
iMacもまたサマになりますね。
しあわせなタンジェリンiMacくんです。

あ、そうです。
皆さんのあまりの盛り上がりに(笑)、
結局、お渡しておいたプロバイダ申し込み用紙に
必要事項を記入するような「落ち着いた」時間(?)を
持てないまま時間切れとなりました。
お母様も「面白いメールアドレスを考えなくちゃ」と、
咄嗟には決めかねてらっしゃるようでもありましたので、
次回(来週の火曜日)には記入して
提出できると思いますが。
(皆さん、口々に「みーちゃん」でいいわよ、やっぱり!
とおっしゃってましたが。
近所の子供たちにも「みーちゃん」と呼ばれる人気者で
いらっしゃるようです!)

さて、ホームページ企画用のレポートですが、
どうしたらよろしいでしょうか。
どのくらいの長さ、どのような調子で書けばよいのか、
お母様についてのみ書くべきなのか等、
何か注意点など、ありますか?

昨日のレッスン風景を忘れないうちに、
これから文章化作業を始めます。
アドバイス等、ありましたら、ご連絡ください。
(昨日のは「レッスン」というより
「iMacお披露目会」といった感じでしたが!)

南波あっこ



わーお。
箱はすでに開いていたのか!
いちおう、「箱は開けずにそのままにしておいて」と、
言っておいたつもりだったけれど、
開かずにはいられなかったんだね。
でも、わかるよ、その気持ち。

このメールを受け取ったのをきっかけにして、
この連載も、母Aを「ミーちゃん」と呼ぶことにする。

(てことで、詳しくは、また明日ね)

第4章 いよいよ箱が開く(2)


南波先生と、母Aこと「ミーちゃん」との、
最初の出会いについての報告を読んで、
さっそくぼくも返事を出した。
この連載をお願いするための「方法」について、
きっと南波さんだって多少の不安も感じていたろう。



>さて、ホームページ企画用のレポートですが、
>どうしたらよろしいでしょうか。
>どのくらいの長さ、どのような調子で書けばよいのか、
>お母様についてのみ書くべきなのか等、
>何か注意点など、ありますか?

全然、なんにも考えずに「のびのび」していれば、
それがいちばんです。
他人の服は似合わないものです。
いつもの調子で、思ったままに書いてください。
あとで、他の人が「参考」にすると思いますから、
突然でてきた「疑問」とか、「どこでつっかえた」とかが、
押さえてあると最高ですね。

とにかく、楽しみにしている人が多くて、
「いつ始まるんですか」とずいぶん聞かれています。
みんなこういう企画を待っていたのかもしれませんね。

これからも、いやじゃないペースで、
楽しんでください。

母も、ほんとにいい先生が来てくれたと、
おおよろこびでしたよ。

ぼくも楽しみです。

糸井重里



さぁ、いよいよ、詳細レポートが読めるなと、
読者の皆さんも、たのしみにしているのでしょうが、
へっへっへ。
そんなに急がれても困るんですネェ。
続いては、こんなメールなんですよ。



南波です。こんばんは。

お世話になっております。
お忙しい中、いつも暖かいメールをありがとうございます。

浮き世の義理系の用事が各種入ってしまい、昨日今日と
あわただしい週末になってしまいました。

昨日の夜は育成会関係の飲み会で、
帰ってくるなりバタンQ。
今日の朝は6時から「一号公園」というところの草むしり。
そんなことを含めてのいろいろです。

そんなこんなで予定が狂い、
ホームページ企画用のレポートも、実のところ、
やっとこれから書き始めるという事態に・・・。
書き始めれば、一気に書き上げられるとは思いますが。

今晩のうちに書いて、
明日の朝一番でお送りする予定でいます。
よろしいでしょうか。

すみません、多くの方々のご期待を背負いながら、
長くお待たせしてしまっていて!

> 「教室」に観客がいるとは、想像もしなかったです。
> なるほどなぁ、と思いました。
> そのほうが楽しそうですね。

なかなか反応のよい「観客」の皆様でしたので、
本当に楽しくiMacのお披露目ができました。

> 母も、ほんとにいい先生が来てくれたと、
>おおよろこびでしたよ。

ありがとうございます。安心いたしました。
私もかなり大喜びです!

火曜日には第二回目のレッスンが控えていますので、
さて、大急ぎで
今回の分を書いてしまいます。

では、申し訳ありませんが、もう少しお待ちください。
よろしくお願いいたします。


南波あっこ



いいぞ。この感じ。
仕事じゃないんだから、こうでなきゃ。
バタンQ、最高ですよ。
待ちますとも、待ちますとも。
こうやって、ちょっぴりずつ進んでいくのが、
まったくの素人が新しいことをはじめるときの、
基本ですよね。

(ってわけで、レポートは、明日からだ!)

第5章 はじめてのレッスン(1)


さぁ、おまたせいたしました。
南波あっこ先生の、レッスンレポート到着。
さすが翻訳の仕事をしている方だけあって、
ちょっと、海外文学的な風味もあり、たのしいですよ。
じゃ、まず、そのイントロダクションから。


午前10時。天気は晴れ。
閑静な住宅街。
少々調子の狂った古いVW GOLF GTIの爆音を止める。

ピンポーン。
ついにご対面の時がやってきた。
「はじめましてー!」
スマートでお洒落、シャッキッとしていてお上品。
ニコニコスマイルの素敵なお母上Aのご登場。
ど・こ・が、80代なのだーーーっ!?
心に快いパンチをくらう。
「あ、ワーゲンですね?」
好き、お母上A!
もう、このままドライブにでもお誘いしたくなった。

広い玄関の片隅になにやら大きな箱。
この先、お母上Aのよき相棒となるはずの謎の物体……
これぞiMac。
プリンタも一緒に届いたようだ。
ご子息のさすがの用意周到さに感激。
うーん、やはり私も早く
USBポート付きのプリンタが欲しい。

ふと見れば、あっ、梱包テープが剥がされている。
「先生が来るまで開けないで待て」との指令があったはず。
しかし!
好奇心は「先生」など待っているほど悠長じゃない。
好奇心、これぞ前進パワーの源。
正しい好奇心。
正しいテープ剥がし。
「でも、中身には触れていませんから(笑)」。
私はもうお母上Aの魅力に吸い込まれるかのように
居間にお邪魔する。

突然のiMac到着に伴い、
お部屋のレイアウトに多少の変更あり。
電話回線のジャック前を開けておいてくださったそうだ。
翌日にはその場所にiMac用ラックが
届くことになっているらしい。

まずは美味しいお茶をいただきながら、
自己紹介、四方山話。
そして、同居されているお姉さまをはじめ、
見学の方々が次々にご登場。
このあと盛大なiMacお披露目会と化す予感。
これは、もうレッスンというよりパーティだ。

さて、そろそろ「開箱式」
(かいばこしき……筆者、勝手に命名)。
まずは玄関からヨイコラショ!っと運び入れる。
段差のない床に感謝。

それでは皆様・・・・・・ジャ〜〜〜ン!
iMacです。
見慣れぬ恰好をしたタンジェリン色の物体の出現に
皆の目は丸くなる。
「奥行きはあるけどそれほど大きくないんですね」
とお母上A。

ラックが届くまでの間は
ダイニングのテーブルの上に鎮座してもらうことに。
ビニールシートが敷かれ、ついにiMac、腰を据える。
電源コードをつなぐ。
キーボードをつなぐ。
マウスをつなぐ。
あっけないほどのセットアップの完了に驚きの声。

I/Oポートのドアの丸い穴は、私の知る限り、
ほとんどの方々がケーブル類を通す穴だと
咄嗟に納得してしまうが、
取っ手穴だと言うと改めて納得される。
ケーブル類を通すための切り込みをお見せすると
「なるほどー!」。
iMacは本当にお洒落だ。

電源を入れる前に、
おまけの5色iMacのポスターを広げてみせる。
「玄関にでも貼っておいたら?(笑)」と、どなたかの声。
あれはいかにもそう感じさせる粋なおまけだ。
玄関の外にでも「レッスン中」と書いて
貼っておいたらどうか。
飛び入り見学者続出現象が巻き起こる?
ちょっとイタズラ心が踊る。

さて、お待たせいたしました。
ここでついに電源オン。
開通式のテープカットのごとく、
お母上A、丸いスイッチをオン。
軽快な起動音とともに「タンジェリン」が息づく。
あ、これ、インテリアじゃなかったのね?・・・を
実感する瞬間。

お母上A、未知なる画面との遭遇に瞳の輝きが増す。
基本設定が現れると、
それを小さく声に出してお読みになる。
他人任せでいいわ、という姿勢が
まったく見受けられない。すごい。

さっそく初めてのマウス操作に挑戦。
ちょっと私がお手本を、とマウスに触れてみて……
おっと、まずい。マウスが引っかかる。
平らとも言えないビニールシートの上じゃ、
そりゃ、やはり都合が悪い。
即席マウスパッドを皆で探す。
なぜかすぐそこに存在していたコルクシートを
使用することに決定。
でも、動きはいまひとつ完璧とは言えない。
次回は市販のパッドを持参しよう。

マウスを初めて(多少の恐る恐る感を伴って)
動かすお母上A。年齢的な問題じゃなく、
これが初めての人にとっては意外と難しい。
まずは「マウスを動かすと、画面上のこの“矢印”が動く」
という基本を覚えていただかなければならない。

お母上A「あら、矢印どこかしら?」。
皆、口々に「ここ、ここ」。
矢印のかくれんぼ。
アイコンに重なっていたりすると見つかりにくいようだ。


そうかぁ。思いだしたよ。
マウスっていうと、簡単操作の象徴みたいに思ってたけど、
はじめてのマウス操作って、
いらいらするものなんだったよね。
ぼくの場合は、スーパーファミコンの「マリオペイント」で
はじめていじったんだったっけ。
このへんのことを、教える側が憶えておかないと、
入門者がイヤんなっちゃうんだよね。
自分がなんか「ひどく不器用」なんだと思わされちゃう。
そんなことはないんですよ、
って包み込むような態度がありがたいんだ。

(さ、つづきは、また明日のおたのしみに)

第5章 はじめてのレッスン(2)


マウスの操作が意外に難しいんだということで、
昨日は「つづき」にしてしまいましたが、
今日は、さっそく、その対策からです。
南波先生、さすが、思いやりの教室ですね。



マウスに慣れないうちは、
目的の所までポインタを持っていく際に、
途中どうしてもマウスを動かすスペースが
物理的に足りなくなってしまうものだ。
マウスがキーボードにぶつかってしまったり、
机の縁から落ちてしまいそうになったり。

慣れてしまうと自然とマウスを浮かせて、
ほうきで小スペースを掃くような動きをしているものだが、
最初はそんなこと、わかるわけがない。
感覚をつかむまでは、どうしても、
マウスで一筆書きするような感じになる。
息継ぎせずに泳ぐような感じとも言えるかも?

お母上Aに、この「浮かせの術」をお教えすると
即ご理解いただいた。
あとは実践だ。
回を重ねるごとに、ポインタの動きは
スピードアップしていくはず。

また、新品のマウスのため、
ケーブルに、先ほどまで束ねてあった名残があり、
クルリと折れ曲がってマウスを邪魔してくる。

お母上Aのクリックはとてもご丁寧で慎重。
「カッ・・・チン」。
私などのような雑な人間と違って、
やはりクリック音もお上品だ。

インターネット・プロバイダとの契約はまだなので、
インターネット設定はとりあえず飛ばして基本設定終了。

ここからは
「こんな感じですよ。こんなことができますよ」
とのご紹介。
「今、一度にすべてを覚える必要はないですから」
ということを強調しておいた。

さっそく「Macintosh HD」をダブルクリック。
このコンピュータに入っているモノ達です、
との説明はするが、
突如現れたこのウィンドウの意味は
まだ多分「?」だと察する。
フォルダの中にまたフォルダ。
そのへんの構造をちょっとだけ見ていただく。

ウィンドウのクローズ・ボックスは小さいので、
ポインタをそこの範囲内にちょうど合わせるのは
結構難しいようだ。
ミリ単位のマウス移動・調整。

試しに空っぽの「新規フォルダ」を作ってみせる。
そのフォルダを開けたり閉じたり、
ダブルクリックの練習にもなる。

今度はドラッグの練習。
「そのフォルダをちょっとゴミ箱に入れてみてください」
との私の言葉に
「えっ? ゴミ箱? どこにあるんですか?」
とお母上A。
初めての方にとって
ゴミ箱はなかなか衝撃的な存在だと思う。
まさか画面上にゴミ箱があるとは想像できないはずだ。

「あらー、かわいい」と喜びながらも、
ゴミ箱までフォルダを持っていく手は
多少緊張していることだろう。
マウスボタンを押しながらの移動はそう簡単ではない。
「もう少し。もう少しー!」 皆、応援する。
成功。

ゴミが入るとふたが開いたままになる、
との説明をすると、びっくり。
「あらー、本当に賢いのね」とiMac称賛。
「でもいつでも取り出せます。
これだけではまだゴミは焼却されません。
実際にこのゴミを処分してしまうには、この……」
とお教えしながら、ついでに、
さりげなくメニュー・バーについての説明も。

その流れで、メニュー・バーから
「ヘルプセンター」を呼び出し、
「わからないことは何でもここで調べられるのでご安心を」
と申し上げる。
説明書(付いてこないが)をいちいち読むより、
こちらの方が助かるとのこと。

後に「Mac OS ヘルプ」の「教えて!」というヘルプを
お見せすれば、また改めてMacを褒めていただけると確信。
あの赤丸が自動的に登場してガイドしてくれるヘルプは
かなり心強く、初めての体験者には
びっくり度も高いことだろう。



お見事。
これだけ、相手のストレスを察しながら教えてくれる先生は
ちょっと見つかるもんじゃありませんぜ。
はじめてのレッスンは、まだ、終わってない。

(さらにつづきは、明日ざんす)

第5章 はじめてのレッスン(3)


南波あっこ先生、もともと、
看護婦さんとか、幼稚園の先生とか、
「ホスピタリティー」系の仕事をしていたのか?
あまりにも、うまい。
教育技術というような、「技」の問題ではない。
相手の生徒の反応を、「しっかり見ている」。
そして、「見て、楽しんでいる」ような気がする。
これは、できそうで、できることではない。
しかし、ふと、気付いた。
子供を育てる「親」のまなざしは、これではないか?

1.しっかり見ている。
2.見て、(自分も)楽しんでいる。
おそらく、もうひとつは、
3.疑問がでたら、解決のカギを差し出す。
南波さんの「教えじょうず」の正体は、
こういうところにあるのではなかろうか?
これは、自分と、子供とのことを思いだしてみて、
そう考えたんですけれどね。
いざ、続きです。



さて、ここからは少し遊び。
見学参加者の方々にも喜んでいただこう。
持参した音楽CD(クラシック)をセットしてみる。
かすかに聞こえてきたメロディに感激されたご様子。
「音楽も聴けるんですか?
じゃあ、うちにある普通のCDも?」
「はい!」

せっかくなので、コントロール・バーで
音量調節の仕方をお教えする。
そしてアップル・メニューより
「オーディオ・プレーヤー」を起動。
一同、「うぁ〜!」「本物のCDプレーヤーのようね!」

ウィンドウやインジケータの色を変えてみると、
これまた大喜び。
ちょうどよい機会だったので、
現在操作をしているアプリケーションによって、
このメニュー・バーの表示は
それぞれ変わるということを言い添えておいた。

音楽を聴きながら、今度はデスクトップを変えて、
また驚いていただこうと私の心も弾む。
それなら(デフォルトになっている)
波打つような柄よりも、もう少し落ち着ける、
目が疲れにくいものにしたいとご希望のお母上A。
結局、シンプルなボンダイに変更。

「この他に、お好みのピクチャも
貼り付けられるんですよ」と、
また今後への期待感をちゃっかり高めておく「先生」。

この後、マウスのクリックやドラッグの練習に最適かも、
と私が勝手に思っている、
ご存じ、ジグソーパズルをご紹介。
デフォルトの絵柄、世界地図には、
海外旅行好きのお母上Aもお喜び。

自動でパズルを解いてくれる機能には
これまたびっくりされていた。
「この絵柄も自由に変えられるんですよ」
とスクラップブックから適当に選択、
コピー、ジグソーパズルにペースト。

最初から盛りだくさんすぎるかなとも思いながらも、
しっかりとレッスンについてきてくださってるようなので、
コピーついでにクリップボードまで軽く説明。
即席マウスパッドであるコルクシートを手に取り、
「ここに、こうやって一時的に
ピンでとめておくようなものです」と。

途中「クリップボード」のことを
いつの間にか「コルクボード」などと
口走っている自分に気づき、訂正、苦笑。

・・・とても楽しく美味しいランチをはさみ、
一息ついて、またレッスン再開。

ワープロソフト関連の話がでたので、
ハードディスク内を探り、クラリスワークスを起動。
この日は私がちょっとデモしてお見せするだけにしたが、
適当に打った文字のサイズや色、
スタイル等を変えてみると一同ため息。
「どうにでもできますよ。下線も付けられます」には
お母上A「じゃ、上線も?」
「はい。ジャーン! このとおり」

ファイル保存、保存名付け、
基本を少しだけなぞってみた。
デスクトップに新たに現れたクラリスのファイルを確認し、
これを開いてみたり、移動してみたり。
ゴミ箱へ捨てるという復習も。
レッスン以外の時間にも気楽にワープロで遊べるように、
クラリスのエイリアスをつくってデスクトップに置き土産。

あとの時間は、
(海外旅行好きとお聞きしていたので持参した)
ヨーロッパ旅行ガイドソフトで遊ぶ。
動画にはテレビ等で慣れてらっしゃるが、
そこにインタラクティブな要素が加わったので
新鮮な喜びを感じてくださっているご様子。
このCD-ROMは私からのささやかなプレゼント。

最後に、一応、強制終了のことをお教えしておいた。
「レッスン以外のときも
適当にいじって遊んでみてくださいね」
とは言ったものの、(あまり言いたくはないが)
もしフリーズや爆弾に遭遇してしまったら・・・
と心配になったのだ。
知らずに遭遇したら、あれはかなり焦るはず。

お母上A、ご熱心にメモとり。
Macの場合、「りんご」や「えんぴつ」との表現で
「コマンド・キー」「コントロール・キー」のことを
伝えられるので大変助かる。
また「最終的には、ここにリセットするための
小さな穴が……」と、持参しようと用意しておきながら
すっかり忘れてきた伸ばしたクリップのことを
ちょっと悔やんだが、
「あぁ、この穴なら“つま楊枝”で大丈夫ですね」と、
お母上A。さすが、ダイニング・テーブルに鎮座する
iMacの主でいらっしゃる。

午後3時、iMacお披露目会は無事終了。
すっかりこちらが楽しませていただいた。
感謝、感激。

「インターネットで航空チケットなども
予約できるんですよね?」と、
早くも次なる旅へお気持ちを飛ばすお母上A。
近日中にインターネット初体験をしていただく予定。
次回はプリンタも接続しよう。
お母上Aの周辺がますますiMacな環境となってゆく。
今後も乞うご期待。



CDロムの「ヨーロッパ旅行ガイドソフト」を持参かぁ。
事前の研究も、怠りなかったんだなぁ。
そりゃ、母Aだってうれしいし、
興味を持たざるを得なくなるよ。
付けたしておこう。
4.興味を持たせる工夫をしよう。
かな?

(つづきは、また明日ねー。)

第6章 もう2度目のレッスン(1)


南波あっこ先生のレッスンは、
生徒である母Aの好奇心に合わせて、テンポよく進む。
日を置かずに、熱をさまさないようにと、
すぐに2度目のレッスンに出向いてくれた。

2度目は、はじめての時以上に、
登場人物のキャラが立ってきておもしろいんですよ。



第2回めのレッスンは、
私を迎えるお母上Aのとびきりの笑顔と・・・
そして、スイカで始まった。

みずみずしくて甘〜いスイカが
本日のウォーミングアップ・メニュー。

「私、スイカが大好きで。
で、それを人に公表しちゃうから
夏にはスイカがいっぱい届くんですよ。
でも、一番好きなのは伊勢の赤福!(笑)」
そっか、覚えたぞ、スイカと赤福。
「赤福と言えば、うちの主人が
毎年鈴鹿にF1を観に行って買ってきます」
「あらー、F1! うちのノリコなんて
イタリアまでF1を観に行って・・・」

このあと、タイミングよくノリコさん登場。
しばらくイタリアでのF1話に花が咲く。
涼風も笑いながら通り抜けてく華やかな昼下がり。

そしてあるとき、皆、ふと我に返る。
「なんでイタリアの話なんてしてるんだっけ?」
記憶をたどり、意識はスイカに戻る。
スイカはすでに皮と化していた。

「iMac、君もスイカ食べたかった?」
流線型ボディが一瞬うなずくのを見た
・・・ような気がした。
(Macはかわいがってあげないと焼き餅やくから!)

iMacは予想に反してまだダイニング・テーブルに
居座っていた。じゃあ、あれから毎日
iMacがメイン・ディッシュになっていたわけだ。
そういえば、テーブルからは
ビニールシートが外されている。
テーブルに危害を与えるような奴じゃないと
認められたんだね、iMac。

パソコン・ラックがまだ届かないらしい。
代わりに分厚いカタログが届いたという。
ラック選びにもこだわりを見せるお母上A。
このため、プリンタの接続はちょっと延期。

ちなみに今日も見学者が2名。
前回お会いしたジュンコさんとユキエさん。
お姉さまノリコさんはお忙しそう。

お約束通り持参したマウスパッド。
キース・へリングのポップな絵が描かれている。
以前、県内の某美術館のショップで購入したものだ。
お母上A、興味を抱く。
「見たことあるわ、このタイプの絵」
おっと、いけない、今度はアートな話で盛り上がりそうだ。
個人的にはたくさんいろんなお話をしたいところだが、
今日は都合により短時間しかいられない。
さて、スイッチ・オンいたしましょう。

お母上A、すでに慣れた手つきでiMacのスイッチをオン。
デスクトップがちょっと先日と変わっている。
遊んでくださった証拠。

「こんなのが3つもできちゃって、
消せなくて困ってるんです」
見れば「新規フォルダ」が3つ。
意地悪な「先生」はちょこちょこっと操作をして、
また2つばかり余計に作ってみる。
「あら〜、増えちゃった(笑)。
いったい何なんですかぁ? これ」
お母上A、笑顔の中にかすかな困惑。
ダブルクリックの復習を兼ねて、
フォルダを開いていただく。
予想通り、全て、空っぽのフォルダであった。

「なるほど・・・」私にはなんとなくわかった。

先日軽くご紹介しておいた
クラリスワークスでワープロの練習でもされたのであろう。
そして、クラリスの新規ファイルを開こうと思いながらも、
一度ファインダをクリックしてしまったか何かで、
そちらが選ばれた状態だった、と。
代わりに作り出された新規フォルダたち。
「確かこの場所をクリックすれば
ワープロの新しいファイルの画面が
出てくるものだと覚えたはずなのに・・・」
お母上A、焦る!
やってもやっても求めるものが出てこない。
光景が浮かぶ。「ノリコ〜、大変よ〜〜!」

あ、そういえば、そのノリコさん、
「クラリスがいくらやっても開かなかったのよ。
困っちゃった」と、後でおっしゃっていたっけ・・・。
ということは、ノリコさんが
問題の「新規フォルダ」をたくさん作った
「犯人」だったのかも。
実際は「おかあさーん、大変よ〜〜!」(?)

「メニューバーの右上にご注目ください」
と私は説明を始める。
そこをクリックしてみると、下に、現在起動している
アプリケーションが全て表示されるということ、
また、そこで選択マークが付いているものが
メニューバーに表示され、そのアプリケーションが
現在作業しているはずのものなのだということ、
この二点について、ご説明。

「机の上にたとえばノートがいくつか広げられている。
どのノートを一番上にもってきて作業をしているか、
それと同じです」
これで納得してくださったようだ。

話は戻るが、その「新規フォルダ」の山が
とにかく邪魔で仕方がないとおっしゃるので、
全てゴミ箱に入れてみせた。
「長くお待たせいたしましたが、はい、消えました」
「あら〜、捨てちゃえばいいの〜?
簡単に消えちゃったわぁ(笑)」
「要らないものは何でもゴミ箱へポイでいいんですよ。
もちろん、アプリケーション本体は
(と言ってあるアプリのフォルダを開け、
どういうものが本体かお見せする)
捨てたら困りますけど、ご自分で作ったファイルや
フォルダは、要らなければ何でもゴミ箱へ」
数日間の悩みがやっと解決され、
晴れやかな笑顔のお母上A。



いいなぁ。生徒さんったら。
先生のこない日に、自分の意志で触って遊ぶというのは、
習い事の基本というか、とても大事なことですよねぇ。
ぼくは、何年か前に「三味線」を習っていたんだけど、
忙しくてという言い訳で、おさらいも予習も、
まったくしていなかった。
そうすると、お稽古の日がくると緊張してくるんだよね。
どうにもならないんだもん。おさらいしてないと。

ある時なんかは、先生の視線の死角に隠れ、
息を殺してじっとしていた。
「先生、もうしわけございません。
イトイに急用ができまして。どうしてもということで、
外出してしまったんです」というサイトーさんの声を、
不在のはずのぼく自身も聞いていたとは、
まさか先生も気が付かなかったろう。
いまさらながら、もうしわけございませんでした。

でも、母Aは、そんなことないようだ。
好奇心は、習い事の必須要素だし、上達のコツだね。
もっと言えば、好奇心は長生きのコツでもあるかもね。

(明日の日曜日につづく、です)

第6章 もう2度目のレッスン(2)


もう、南波あっこ先生や、母A本人ばかりでなく、
ぼく自身も、全国の「ほぼ日」読者も、
このレッスンが、たのしみになってきている。
今回の「ファイル」と「フォルダ」の関係など、
知らないままでパソコンを使っている人だって、
けっこうたくさんいるんだと思いますよ。
わかっている人には、「まさか」と思うようなことも、
ビギナーって、知らないものなんですよね。
じゃ、あっこ先生、つづきをどうぞ。



先日のはお披露目会だった。
何しろ初めてのMacとの出会いである。
目にするもの全てがびっくりで、
一つ一つを覚えられるわけがない。
人間、教えられてなんとなく理解はするかもしれないが、
習得するにはやはり自分の経験(失敗)というものを
通さないと無理である。
お母上A、この調子!
覚えるためには、どんどん失敗して困ってください。(笑)

「フォルダ」や「ファイル」の区別も
まだ十分には理解されていないかもしれないと思った私は、
もう一度そのそれぞれの意味をご説明。

「実際のフォルダでも紙袋でもいいですから、
ご想像ください。このフォルダもそれとまったく同じです。
書類や物を整理する袋なんです。整理するのに必要なら
自分で自由に作れます。それが新規フォルダですよ」
「ああ、この斜めになってる絵(アイコン)が
フォルダですね?」
「はい、その中に入れたいものを入れられるんです。
こういう書類でも別のフォルダでも何でも」
「はぁ〜、袋の中にまた袋を入れられるんですか?」
「はい、そうなんです。
わかりやすく整理ができればいいんです。
そして、その袋は二回クリックすると、
こういうウィンドウが開いて中身が見られるんです 。
ファイルは二回クリックすると内容が直接出てきます。
とにかく、どれでも二回クリックすると、
中身を見せてくれるわけです」
「なるほどー」改めてご納得の様子のお母上A。

「一人でやってみるともうわからないことだらけで。
あっ、ちょっとお待ちください」
お母上A、小走りで何かを取りにゆく。

質問リストだ。
凄い! わからないことが20以上、
箇条書きになっている。
「1.右上のものは何か」
「2.りんごのマーク」
以下、ずらりと続く質問の数々。
実際、自分でMacをいじってみなければ
生まれてこない疑問点。
まさにやる気十分。本気だ。感激した。
想像通り、
iMacがここでのメインディッシュだったようだ。

「まずは、この右上のなんですが、これは・・・?」
ハードディスクのアイコンのことである。
このiMacに入っているものだということを改めてご説明。
「便宜上デスクトップに出してあるものもありますけど、
机の上に何も置きたくない、
片づけておきたいという場合には、このように
ここに入れておくこともできますよ」
最初から置かれていた「ユーザー登録」アイコンなどを
ドラッグして消してみせると
「はぁ〜!入っちゃうんですか」
片づけ好きなお母上A、なんだか嬉しそう。

ついでに「リスト」や「ボタン」表示も体験していただく。
「リスト」では「これじゃ、ちょっとわかりにくいわねぇ」
「ボタン」では
「あっ、これ、いいわね〜! 大きくてわかりやすいし」
ボタンだと、移動はできないけれど、
クリック一回だけで開くとのことを申し上げると、
ますます「ボタン」がお気に入り。



「質問リスト」があらわれたとは、驚いた。
なかなか、母Aはやる気まんまんのようだぞ。
このようなチェックリスト作りは、
けっこうぼくも好きなんだけれど、
この頃は、それをやると、
「未決事項」が目立ってしまうので、
作らないようになってしまった。

(つづく。明日は明日の事件もあるから、おたのしみに)

第6章 もう2度目のレッスン(3)


10日くらいの毎日連載を続けて、
その後は、週に1回か2回のペースにしようと思っていたが
もう、一気に2週間過ぎてしまっている。
なんのせいか? 
読者のせいである。毎日、待っていてくれるからだ。
ありがたいことである。
毎日連続の連載はキツイけれど、
もう、こうなったら、がんばるよ。
しばらくこの毎日連載を続けます。

さぁ、ちょっとドラマチックな本日のレポート。
『奇跡の人』のへレ・ンケラーがさー、
"Water" と叫んだ瞬間の感動が、ここにある!
といっても、どんな人もこの瞬間を経験して、
いま、パソコンを使えるようになったわけですが。

では、母Aの質問の続きからお読みください。


「あと、これなんですが・・・
[名称未設定ファイル]って何なんでしょう」
多少さっぱりしたデスクトップに
新たな邪魔者を発見されたようだ。

ゴミ箱近くに無造作に置かれているそのファイル、
実は私も気になっていた。
どう見てもクラリスワークスのファイルである。
とにかく中を覗いてみよう。
ダブルクリックしていただいた。
ファイルが開くや否や「あっら〜〜っ!!」
お母上A、頬を赤らめ、びっくり仰天。
ケラケラ大笑い。たぶん涙目。

『私の名前はみーちゃんです。
80の手習いでパソコンの勉強を始めました。
まだ何もよくわかりませんが頑張ります。
そのうち皆さんのところにもみーちゃんからの
メールが届くかもしれませんよ』

一同、大受け。大笑い。大喜び。
いつのまにか、ちゃっかりと、こんな作業を・・・!(笑)

上の文章、私が暗記しきれなかったため、一部のみの引用。
実際のものはもう少し長い、かなりの名文である。

お母上A、恥ずかしそうにしながらも、笑い続ける。
「いやだわぁ〜、これ、
保存なんてしたつもり、ないんですよぉ」
ところが、実際、保存されていたわけだ。謎。
しかし、こちらにとっては感動的なお母上Aの「誤算」。
しめしめ。

では、どのように、その「誤算」が生じたのか。
ちょっと興味深い。
「保存なんてしなくていいわ」と思い、
ファイルを閉じようとした。
そうすると、当然、『保存しますか?』との警告が出る。
そこで、運よく「保存」ボタンを
押してしまったとしか考えられない。
慎重そうなお母上Aが、間違ってそこを押す?
微妙なところだが。

地味な「保存しない」ボタンより、
そりゃあ「保存」ボタンの方が派手だ。
なにしろ「押してくれ」と言わんばかりに、
二重の枠で囲まれている。
無意識のうちに、まんまとそっちに誘導されて
クリックしちゃったのか。
突然の来客にでも焦って、
どこでもかまわず押してみたのか。謎だ。

でも、どこかでこの保存ボタンをクリックしたはずなのだ。
もし、これが無意識の中での行動だったとしたら、
やはり、あの二重枠の意味は大きいということである。
いつでも、安全な方へ、安全な方へと
誘導しようとしてくれるMacは人間思い。
お陰で、貴重な「みーちゃん」のワープロ処女作を
読むことができたのだ。

でも、想像は続く。
このファイル、実は最初から保存するつもりで保存され、
でも、どこに保存されたのかはわからない。
そして、お母上A、この日まで、
このことをすっかり忘れていただけ。
ま、そんな推理もできそうだが。
それとも、けっこう確信犯? まさか!(笑)
あ、「名探偵コナン」じゃないのだから。
余計な推理ばかりもしてられない。

書き忘れるところだったが、
この[名称未設定ファイル]に名前が付いた。
「みーちゃんのファイル」だが
「みーちゃん」じゃなくて
「ミーちゃん」に変えたいとの希望。
カタカナへの変換のしかたをお教えしながら
名称を変更する。
「ミーちゃんのファイル」これでオーケー。
ついでにファイルを赤く色づけした。
これでばっちり、すぐわかる。
きっと続きを書いてくださることだろう。

また、この
「実は保存されていたミーちゃんのファイル事件」の際に、
覚えていただいたことがもう一つある。
「ファイル」→「情報を見る」である。
「ここを見れば、ミーちゃんのファイルが
いつ作られたものなのかがわかってしまうんですよぉ」
と言うと驚きの表情。

一同、 声をそろえて
「作成日」「修正日」を読み上げ、爆笑。
「そんなことまで覚えてるなんて、賢いのねー!
ばれちゃうのねぇ!」
お母上A、びっくり、どっきり。
ちなみに、この「情報を見る」とは、
インターネットで天気情報などを
調べるのに使うものだとお思いだったとか。なるほど。

さて、お母上A、もう一つ気になるものを
デスクトップ上でご指摘。
「クラリスワークスのエイリアス」であった。
そう、先日のレッスンで、
私が置き土産として作っておいたものである。


ね。『奇跡の人』でしょう?
新しい自分が産声をあげた瞬間のドラマが、
こんなふうに自然に生まれていたんですよ。
でも、80歳になってからもう一度産声をあげるなんて、
自分の母ながら、「よっ!」と、
かけ声をかけたくなりました。

『私の名前はみーちゃんです。
80の手習いでパソコンの勉強を始めました。
まだ何もよくわかりませんが頑張ります。
そのうち皆さんのところにもみーちゃんからの
メールが届くかもしれませんよ』

ぼくは、50歳になって、
母の新しい産声を聞くことになって、
ほんとうに幸せ者だと思った。
「何もよくわかりませんががんばります」
と、80歳になっても言える母を、立派だと思った。

(で、さらに明日につづく)

第6章 もう2度目のレッスン(4)


えー、前回の事情にあわせて、今回からは、
母Aの呼称を「ミーちゃん」と変更させていただきます。
さぁ、先生のいない時に、
タイピングの自習をしていたミーちゃんだが、
先生の授業はさらに興味深いものになりそうで、
忙しくなりそうだぞ・・・。


エイリアスについて改めてご説明。
「影武者」-- やはりこれが最適?
オリジナルのコピーというわけではない、単なる影。
この影に働きかけるとオリジナルが呼び出される。
これは捨ててもオリジナルには影響なし。
使う側の都合に合わせていつでも好きな場所にこれを作り、
オリジナルを操作できる。
実に便利なものだ。

見学のユキエさんにご協力していただいての説明。
ユキエさんは「オリジナル」役。(笑)
Macの場合、日常のものに例えると
だいたい理解していただける。

クラリスのエイリアスをダブルクリックして
アプリケーションが起動したついでに、
せっかくなので、ワープロ以外にできること--
ドローとペイントについてざっと紹介しておいた。
「コンピュータって、本当に何でもできるのね〜!
デザイナーの方たちもこういうの使って
描いてるんでしょうねぇ」 
「プロ向けのもっと凄いのがありますけどね。
ま、クラリスでいろいろと遊んでみてくださいね」
たぶん、次回のレッスンまでには
また新たなファイルができていることだろう。
ファイル名予想:「ミーちゃんの初お絵かき」

あとは、ちょっとシンプルテキストで遊んでみた。
「とてもシンプルなワープロ」そして、それだけではない。
そう、これには「録音ができる」等の
サウンド面での面白さがある。
「じゃ、録音してみますよ〜」と録音ボタンを押す。
お母上A、何かしゃべろうとするが、
突然なので言葉につまる。
まわりの「ああだこうだ」言う声と笑い声。
初録音はとりあえず成功。
再生してみて、また笑い合う。
テキストなし、サウンド・データだけのファイル・・・
「あ〜、こういうこともできるのね〜」
かなり面白がってくださる。

そして・・・
「でも、これじゃ、しゃべったことが
全部ばれちゃうのね〜? 下手なことは言えないわね、
コンピュータの前じゃあ」と笑うお母上A。
「大丈夫よぉ。“録音”ってとこ押さなきゃ
録音されないんだからぁ」
絶妙のタイミングでツッコミを入れるユキエさん。

もしかしたら・・・
次回のレッスンでiMacが起動されると、
自動でシンプルテキストが起動し
「私の名前はミーちゃんです。80の手習いで・・・」
なんて声がスピーカーから聞こえてきたりして!?
それはないとしても、
絶対に「復習」してらっしゃると確信。

そうこうしているうちに、
部屋のどこからか突然アラームが鳴り出す。
「あ、先生、終わりの時間になっちゃいましたね」
わぁー、じゃあ今のは授業終了のベルだったんだぁ。
イキな計らい。

次に用事の入っている私のために、遅れないよう、
あらかじめアラームをセットしておいてくださったらしい。
感激。
そして、ますます興味深さを増す
お母上A--「ミーちゃん」!

でも、もう終わりなのかぁ。
もっと一緒に遊びたかったけど。
それにしても、全ての瞬間がイベントのようだ。
あ〜、楽しい。

「システム終了」しようとしていると、ノリコさん、登場。

「この間ねぇ、これ、ちょっといじってる最中に
ちょうどお客さんが来ちゃってね。
だから慌てて電源のコード引っこ抜いちゃったのよ。
そうしたら、次に電源入れたとき、何やら出るのよねぇ、
変な終了の仕方したから何やらを直してる、とかって。
それでやっと覚えられたわ、上のバーの
『システム終了』って所で終わりにするんだってこと。
失敗は成功のもとって、本当よねー!」

うぉ〜、出たぁ、コード引っこ抜き!
お母さま同様、ますます興味深さを増す
お姉さまのノリコさん!
Macを教える代わりに
私はいろんなものをこのお二人から学べそうだ。

インターネットへの準備(プロバイダへの申し込み)は、
また延期。
でも、まずは基本をしっかり身につけたいとお考えの
お母上Aのこと、急がず焦らず「80代のMac操り師」を
めざしていただきたい。

しかし、世間の予想よりずっと早く
「皆さんのところにもミーちゃんからのメールが
届くかもしれませんよ」!!
もうしばらくお待ちください。


ここまでで、第2回レッスンのレポートは終わり。
でも、この連載はまだまだ続くわけで、
もちろん、用意はオッケーですから、
明日も、この続きが掲載されていますよ。
南波あっこ先生、とりあえず、お疲れさまでした。

(明日につづく)

第6章 もう2度目のレッスン(おまけ)


2度目のレッスンを終えた南波あっこ先生から、
レポートの他にメールが届いた。
これは、いわば「PTAと学校をつなぐ連絡ノート」だ。
あ、ぼくがPTAの役です。逆みたいですが。
でも、こういう「連絡ノート」そのものが、
南波先生の場合、おもしろいので、
ぼくのたのしみを、読者の皆さんにもシェアします。
では、レッスン後の「楽屋ばなし」をどうぞ。



こんばんは、南波です。

本日、予定通り、第二回目、行ってまいりましたー!
あそこはホントに楽しい楽しい空間です。

今日も先日同様、「じゅんこさん」と「ゆきえさん」が
見学でいらっしゃってました。
「のりこさん」もちょこちょこと登場されましたが、
(たぶん)お隣のお店のお手伝いで、お忙しそうでした。

お隣の「ドイツ菓子」屋さんのお話を
最初に電話でお聞きした時、
私はてっきり「ドイツ歌手」とソラミミ。
「お隣さんはドイツ歌手」
(前橋とドイツ歌手のミスマッチ!)
と頭にインプットしてS町に車を飛ばしたわけです。
「ぐーてん・も〜るげん!」などと練習しながら。(笑)
いずれにしても、かなり
インターナショナル的磁気を帯びているスポットです。


> さっすがぁ!
> これは、いけますよ!
>
> 確信を持ちました。
> 松坂くんふうに言えば、
> 自信から確信に変わりました。

> こりゃあ、人気ページになりますぜ。

わぁ〜〜〜、あ、あんなのでよかですかぁ??
あ、あ、ありがとうございます!


> 憶えていらっしゃるかどうか、わかりませんが、
> 4月の初め頃に、
>「アザラシのお姉さん」が連載開始されたときの
> 細切れ毎日型の連載です。
> 毎日、原稿を区切って、掲載するのです。
> これをするために、ちょっとだけ時差をつくります。
> この次の第2回のレッスン原稿が到着
>したくらいのときに、「掲載開始」しまして、
>毎日毎日、10日くらい連続で掲載するのです。
> その後、おちついて、週1とかのペースにもどすとか、
> あらためて考えます。
> こんなところです。

はい、なるほどー。
さすが、いろいろな方法があるんですね。
イトイdarling様のお好きなように
どうぞ「配膳」してくださいませ。


> あと、あの母Aのことを表現するのに、
>遠慮はなさらぬように。
> ぜったいに「おしゃべり」です。
> うるさい時もあると思います。
>それ、書いちゃっていいですからね。
> 脱線、寄り道、まったく自由にしてください。

「おしゃべり」(笑)うほほほ・・・
はい、楽しーい方ですね!

お会いするの、まだ今日で二度目だというのに、
私は思わずもう「みーちゃん」と口走ってしまいました。
誰もがそうお呼びしたくなってしまうお人柄なんですね。
何でも、それを笑顔に変えてしまえるような
「みーちゃん」のこと、
私がもしちょっと失礼なことを書いてしまっても、
笑って、ウケてくださる気がします。
脱線話、寄り道話、はい、
何でも書いちゃいますぜぃ!(笑)

「これはいいネタになる」という瞬間の連続でして、
私の頭の半分はティーチング用、
もう半分はネタ記憶用として機能してます。
たいして容量のない記憶装置なので、不安ですが。
ですから「フリーズ」してしまう前に書いてしまわないと!
書く作業より一つ一つ思い出す作業の方が
時間かかったりします。
ほんと、盛りだくさん過ぎて!(笑)

今日はあまり時間がなかったので、
プロバイダ申し込み書は後日
時間的余裕のあるレッスンの際に、ということで、
またもや延期です。
用紙には一部記入が済んでましたが、
希望「メールアカウント」でまだお迷いの様子です。(笑)
(重複を避けるため、第3希望まで記入するのですが)
どうせ付けるなら「面白い」ものを、
とのお考え、サイコーです。

> そのうち欲がでて、
>[ISDN]にしたいとか言い出しそうですね。

それはもう絶対。(笑)

でも、「そのうち」ではなく、
「お教えしたら、その場で」ではないかと
想像いたします。
次回、話にちょこっと出してみましょうかねぇ・・・。

先日も「インターネット中、
電話が使えないのは、ちょっと困るわねえ」と
お母様ものりこさんもおっしゃってましたから、
それが解決される方法が
実は存在するということを知った日には・・・たぶん、
飛・び・つ・き・ます!(笑)

では、ちょっと今からネタの「箇条書き」作業を
いたします。
やっと落ち着いてこういう作業ができるのが
夜中になってから、という状態ですので、
何かとお待たせしてしまうと思いますが、
ちょうだいしました「てきにいじい」のお言葉に
甘えさせていただきますぅ。
すみません。

あ、そうです。
明日は午後から東京に行かねばならないので、
レポート提出は明日の夜中あたりに
なってしまうかと思います。
うーん、それより高い確率で、
その翌日になってしまうでしょうか?

松坂くんふうに言えば、
「明日」から「あさって」に変わりました
(ちっとも松坂くんふうではないですね、これじゃあ。笑)

さて、そろそろ、記憶装置フル回転モードに入ります。
でも、実は少々睡眠モードにも入ってしまってます。
さて、どちらが勝のでしょうか!?

では、失礼いたします。

<南波あつこ>



おもしろいんですよねー、南波先生のメール。
しかしさー、この企画に登場する人物って、
ぼく以外、全部おんなのひとなんですよ。
このそれぞれの人たちが、こんなことを考えたり、
こんなことをしているってこと、
ほとんどの男たちは知らないんだよね。
会社で「大事そうなこと」やっていたり、
街で「新しそうなこと」してたりしている男たちが、
この人たちのことを、ただ「オバさん」だと
認識しているんだと思うと、おかしいよなぁ。

「ほぼ日」は、ぼく自身は、このことを忘れないでいれば、
きっといつも「けんこう」でいられるだろうと思った。
明日からは、「3回目のレッスン」を掲載していきます。

(もちろん、明日につづく)

第7章 レッスン3は、晴れた日だった(1)。


平均年齢のちょいと高めの「女の園」にようこそ!
いずれ、日本のあちこちで、
こんな風景が見られるようになるとうれしいなぁ、
という気持ちを、読者と分かち合いながら、
ぼくらも楽しくやっています。
歩みは決して速くはありませんが、
読者にも、この速度に慣れていただいて、
のんびりゆったりと、進行していきたいと思います。
さっそく第3回レッスンを読んでいただきましょう。

とうとう、注文していたラックが届いていたんですね。



さて、レッスンも3回目を迎えた。
今日も晴れ。蒸し暑い。

レッスンレポートの前に
皆さまから承諾を得ておきたいことがある。

「お母上A」というより、
ご自身もお気に入りの「ミーちゃん」とお呼びした方が、
そろそろここでもしっくりくるような気がするのだ。
近所の子供達までもが親しみを込めて
「ミーちゃ〜ん!」
すでに、知る人ぞ知る町内のアイドル。
これほど素敵でかわいい女性に
「お母上A」ではどこか物足りない。
とにかく、理屈抜きに、とっても「ミーちゃん」なのだ。

というわけで、突然ですが、主人公の名称変更。
普通、小説などでは
滅多にお目にかかれないことではあるが、
このレポートはなんたってナマモノ、進行形。
筆者の気分しだいで呼び方も変わる。
時の流れに身をまかせ、暑くなれば服を脱ぐ。
そんな感じで、どうかお許しを。

では、そういうことで、改めて・・・
「ミーちゃ〜〜ん!」

笑顔のミーちゃん、玄関に登場。
いつも足取り軽やか。

あ、玄関からプリンタの箱が消えている。
ということは・・・
スリッパに足を突っ込んで見上げれば、
のれんの向こうにiMacの横顔。
「あっ、ついにラックが届いたんですね?」

iMac、ついに居場所確保!
上の段にはプリンタが置かれている。
狙っていたスポットにすっぽりと収まったラック、
おすまし顔のタンジェリン。
先日まで自分が鎮座していたダイニングテーブルを
見据えるような形で、どことなくかしこまっている。

「ぴったりでしたねぇ。これで作業もはかどりますね!」
「ええ、奥行きとかはしっかりと計ってあったので
ちょうどいいんですけど・・・
このアシは計算に入れなかったのよね〜」
アシ?
あ、はい、ラックの支えのことですね?
スライド式に引っぱり出してある
キーボード用テーブルの真下くらいまでは、そう、
アシが、というか、そのキャスター付きのつま先が
張り出している。
それは構造的に当然といえば当然のことである。
これがなければ、おむすび型のiMacなんて
簡単に床にコロリン落下してしまう。
なにもこれはiMacに限ったことではないが。
しっかりとそのアシで支えてもらわねば。

しかし、ミーちゃんにとってはそのアシが面白くない。
構造上、どうであれ、邪魔なものは邪魔なのだ。

ここの前を通り抜ける際に、
注意しないと自分の足をこのアシに
引っかけてしまう可能性があるのだ。
ミーちゃんの毎日は忙しい。
軽やかな小走り室内移動が身についている。
小走りではなくとも、
足もとに注意していなければ、当然危険だ。

そんなわけで、ラックの構造に
いまひとつ満足できないミーちゃんだが、
さすが、危険回避のための2つの作業が
すでになされていた。

1つめは、テーブルをラック側に少し移動したこと。
これで、イスが邪魔して、
その両者の間を通り抜けるのが難しい構造になった。
そもそも、そこを通らなければ危険に遭遇しない。
通り抜け禁止。
物事の基本をしっかりと押さえてらっしゃる。

そして、2つめは、問題のアシの横に
ゴミ箱を置いておくこと。
背の高い流線型ボディの素敵な籐のゴミ箱。
(デスクトップのゴミ箱にも
このくらいの色気が欲しいものだ。笑)
注意を喚起するのに最適なアイテム。
道路工事現場等に置かれている
円錐形のあの物体に匹敵するであろう。

また、それを見損ねてしまったとしても、
アシにつまずいてしまう前に、
まずはゴミ箱が蹴っ飛ばされるというシステムだ。
咄嗟のワンクッション。
この二重の危険回避メソッドにより
ミーちゃんの安全が確保された。

さて、今日の見学参加者は珍しく一名のみ。
ユキエさん。皆勤賞。
ノリコさん、家にいらっしゃるが、
今日はまたかなり忙しそう。



デスクトップ型のパソコンは、
置く場所のことを考える必要がある。
そういえば、ぼく自身も、はじめての時は、
「パフォーマ」ってやつを買ったんだけど、
あんまり気に入ってない「専用デスク」を買ったっけ。
いまは、ほとんどパワーブックで仕事しているので、
自宅では食卓で、鼠穴の事務所では普通のデスクで、
なんの問題もなく仕事をしている。

思うんだけど、マックのファンだったら、
リンゴマーク入りのデスクとかラックとか、
売り出したら買うんじゃないかな?
見た目の問題だけじゃないんだよね。
「気に入って使っている」という感じは、
どんな商品を使うときにも大事なんだよな。

(つづく、に決まってますよね。また、明日)

第7章 レッスン3は、晴れた日だった(2)


亀の歩みであろうとも、
我々は確実に、前に進んでおります。
今回は、いよいよプロバイダの契約手続きです。
ISDNの問題は、お読みになるとおわかりの通り、
予想がくつがえされました。
そして、うれしはずかし!
「メール・アカウント」候補の決定。
このあたりには、ミーちゃんは頑固になるんです。
なんでもいいわ、とは、絶対に言わない。

では、南波先生よろしくお願いしまーす。



今回の「ランチャー」は氷菓系。
赤福好きのミーちゃん、「雪見大福」を召し上がる。
まずは美味しいおやつをいただきながらの談笑。
もうこれがないとレッスンに突入できない体質に
なりそうだ。
まったく「先生」だか「飛び入り客」だか
区別が付きにくくなっている。

「せっかくMacの机も来たことですし、
今日は写真を撮らせていただきますね。
ホームページに載るかもしれませんよ」と私。
「あ〜ら、あははは、そうなんですかぁ〜?
そんなことかとも予想してたけど・・・
じゃあ出演料いただかないと!(爆)」

ご子息さま、早くマネージメント部門を
発足しておいた方が・・・。(笑)

さて、今日こそはプロバイダ申込書を
お預かりしていかないと。
ミーちゃんも同様なお考えだったようで、
さっそく申込書を取り出してきてくださる。

「回線の種類」を選ぶところで、ISDNについて
簡単に説明して差し上げた。
お電話がよくかかってくるとのことなので、
2回線分が利用できるなどの利点をお話しすれば、
もしや飛びついてきてくださるのではないかと
予想していたのだが・・・。

「あ、それは要らないわねぇ。
ノリコ用にもう1回線来てるし、
お電話くださった方も話し中なら
『あー、またインターネットやってるわ』
って思ってくださるでしょうから、
また後でかけてくるでしょう」
「あ、そうですよね〜。
一日中回線を占領するわけでもないですしね、
iMacは処理能力に優れてますから
データを読み込むのも速いですし、
ISDNは、そうですよね、要りませんよねぇ」

セールス・ウーマンには到底なれそうにない。
デジタルとアナログの違いを
簡単に説明するくらいが限界だ。

「話し中」イコール「インターネット中」という、
他者との暗黙の了解。
私自身の環境も、自慢じゃないが
一般のアナログ回線なので、よく人に言われる。
「ずっとインターネットやってたでしょう」
「昼間からそうやって遊んでるのぉ? 信じられなーい」
とも。
いや、あの〜、仕事するうえで必要なのです、
インターネットが。
しかし、やってない人に説明しても、
わかってもらえないことが多い。
また、「暗黙の了解」がなされてない人からの
「長電話してたねー!」とのお言葉もちょっと辛い。

仕事の合間についつい寄ってしまう
行きつけのサイトは確かにある。
そんなサイトに入り浸る合間に
ちょっと仕事をするような場合も、そりゃ確かにある。
でも、まぁ、これが私の生活だ。
でも、周囲との関係を保つためには、
やはりISDNにするべきなのか?
ミーちゃん周辺から、この先、
「お話し中」クレームが出ないことを祈る。

洗濯物干しながら掲示板に書き込みしても、
料理しながらリロードしても、いいじゃないか。
そういうネット主婦仲間はけっこう多い。
揚げ物する時までPCを離れなくなると、
これはちょっと危険だが。
(ん?そんな人、いないか・・・)

ミーちゃん、お庭いじりの合間にちょこちょこと
ネットライフを楽しんでくださることだろう。
どの程度ネットで遊んでくださるのか、楽しみ。

話がかなり向こうに飛んでいってしまった。
そう、プロバイダ契約の申込書の話だった。

ミーちゃん、生年月日を「大正××年」と表記するか、
それとも西暦の方がいいのかお悩み。
どちらでもいいのでは? と申し上げても
ちょっと「いいのかしらぁ」な表情。
結局「T ××年」と。
「大正」ではなく「T」なところがさすがモダン。
いや、「モダン」なんて言葉は失礼だ。この現代を
バリバリの現役で楽しんでらっしゃるミーちゃん。
同世代感覚でおつきあいさせていただける80代。
全国のインターネット「T」世代に乾杯!

後で裏面をよく読んでみたら
生年月日等はオプション的扱いだった。
でも「T」のプライドにかけて、
ここはもうはっきりと「T」宣言だっ。

あとは、メール・アカウント決め作業。
第3希望まで記入するようになっているが、
どうしても第1希望しか思いつかないようだ。
カタカナで「ミー」、ひらがなで「ちゃん」
これがご自身のアイデンティティであるようだ。
名前を選ぶという場面では
これ以外には考えられないとの印象。

ユキエさんも
「そうね、『ミーちゃん』でいいわよ。そう書いたら?」
ミーちゃん
「そうね。第2、第3希望欄は空白でいいかしら」
「う〜ん、でも、念のため、
何かしら書いておいた方がいいですね」
「何にしようかしら。考えつかないわ。
じゃレッスンが終わるまでに考えておきますね」
「はい、そうですね。お願いします」

でも、第1希望については今のうちに記入してしまおう。
別の紙に試し書き。
「こうでいいんですね?」とミーちゃん。

あ、やっぱり・・・。
カタカナとひらがなで、「ミーちゃん」だ。

「あ、すみません。こちらの例のように、
英数文字で、ということになっているんです。
インターネットでは・・・」と決まり事をご説明。
「あ、これじゃダメなの?」ちょっぴりがっかり。
改めてローマ字で「mi-chan」と。
よかった、8文字以内に収まった。
でも、もうすでに同じプロバイダ内に
存在してそうな予感もあり。
「みゆき」さんでも「みさき」さんでも
「みいこ」さんでも、
なんだか思い付いてしまいそうなアカウント名である。
「ミーちゃん」は「ミーちゃん」なのに
「ミーちゃん」と名乗れないとしたら
何だかとっても残念だ。
でも、「早い者勝ち」というルールには逆らえない。
「mi-chan」獲得成功を祈る。




思わず、俺も祈る。
しかし、ミーちゃんが、「mi-chan」になるのか。
この音引き「−」は、日本語だぜい、なんて、
杓子定規なことを言ってはイケナイ。
そういうルールの混血状態こそが、
新しい時代を生みだす原動力なのだ。
「セビルロー」が「背広」だぜ。
「アメリカン」が「めりけん」だぜ。
世代と世代の境界線のあたり、
文化と文化の汽水域のあたりにこそ、
いままでなかった何かが生まれいずるのだ。
・・・って、おおげさになっちゃったけど、
早い話が、「miichan」よりも「mi-chan」のほうが、
いいんじゃないの?
ということが、ぼくも言いたかったということです。

(明日に、またまたつづくんだ)

第7章 レッスン3は、晴れた日だった(3)。


そして、今回は、なんだか「謎」という文字が、
いっぱいでてくるような気がします。
あれやこれやで、謎・謎・謎。
でも、まぁ、先生のいない間に、
「コワイから触らないでおきましょ」と
消極的な考えをしていたら、謎もなかったわけなんで、
たくさんの謎があるといいうことは、
教室に活気があるということでもある。
ギターなんかでも、なにかとケースにしまう奴って、
上達しないらしいもんねー。

さぁ、南波先生、出番です。



用紙への記入も一通り終わり、さて、iMacの前に移動。
ミーちゃん、iMac正面に腰掛けて私は脇に。
具体的に言うと、例の危険回避ゴミ箱の前。
足もとからちょっとどけてはみるが、
後で元通りに戻しておかないと。
(今、思い出してみると、その重要な行為を
し忘れて帰ってきてしまったような気がする。
まったく気の抜けた「先生」だ。すみません!)

さて、いよいよ、というより
「やっと」と言った方がいいのだろうか、
お待ちかねiMacの電源オン。

デスクトップ上にまた発見
「新規フォルダ」・・・今回は1つだけ。
予想通りの空フォルダ。こうして、ああして、
この「新規フォルダ」ができたのでは?
という推理を一応ご披露した後、
「じゃ、要らないものなので
ゴミ箱へ連れていってください」と私。
さあ、ミーちゃん、今回のレッスン初めてのマウス操作。

マウスパッドはもう不要であった。
ラック付属の、何と呼ぶのだろう、
マウスパッドテーブル(?)上の操作となる。
これが意外と小さい。慣れている者にとっては
十分なスペースであるように見えるが、
ミーちゃん苦戦中。
「浮かせの術」を改めて伝授。
要はマウスボールだけが動けばいいのであるから、
とマウスの裏側をお見せした。
マウスの基本構造を理解していただけたようだ。

さあ、頑張れ、ミーちゃん。
「新規ファイル」はすぐそこだ。
しかし、クリックするタイミングが少しばかり早すぎた。
「獲物」の横のデスクトップ上から
選択範囲の四角を伸ばしてゆくことになる。
結局、「獲物」とその下にあるファイルが
共に選択され色が反転。
おっと、どんどんその範囲が広がってゆく。
このままだと、ゴミ箱まで選択されそうな勢いだ。
出番だ、先生!

「あ、ボタンを離して、別の場所を
どこでもいいですからクリックしてみてください」
今の状況をご説明。
でも、これが複数のアイコンを選択する際に取る方法だ
ということはまだお教えしないでおく。
混乱させたくない。
「目的のアイコンに矢印がたどり着いたら
ボタンを押してくださいね。
そしてそのまま持ってゆきます」
はい、今度は大成功。
でも、やはりマウスがパッドから落ちそうになる。

「浮かせてサッサとホウキ運動」には
時間がかかるかもしれない。
ボタンを押したまま浮かせるのはやはり難しそうだ。
iMacのマウスを
親指と中指でつまむようにお持ちだったので
ちょっと矯正して差し上げた。
がっちりとマウスを包み込むように持たないと
浮かせるにもクリックするにも力が入らないと思う。

さあ、めでたくゴミ箱に入った。
そこでタイミングよくユキエさんのひとこと。
「その新規フォルダ、
ノリコさんが作ったものじゃないのかしら?
自分の書類を入れるために作ったんじゃなかった?」

えっ? そうなんですか?
わからないが、可能性はなきにしもあらず。
はい、ミーちゃん、ではゴミ箱から
また戻しておきましょうか。
新規ファイルの大移動。
この一件、ちょっと笑えたが
マウスの練習にはもってこいだ。
「どこでもいいので連れ出しておいてください」

「あ、この間作ったお試し版の声ファイルがありますね」
と私。
「これは要らないわねぇ。
ちゃんとしたメッセージも入ってないし。
でも、これが消えないのよね〜」
「消えない」・・・ちょっぴりデジャヴュ。(笑)
「じゃ、これもゴミ箱へ入れちゃってください」
またお片づけ。
「あぁ、そっか。こうすると消えるのね」
「ええ、いつまで待っていても
このままそこにいるだけで・・・(笑)」
そして「ゴミ箱を空に」を改めて覚えていただく。

でも、ゴミ空を開けて以来
ずっと気になっていることがあった。
なぜか以前作っておいた「クラリスワークスのエイリアス」
ファイルを発見していたからだ。ゴミ箱の中に。
アプリケーション本体ではないのだから
そう焦る必要もないが、かといって、
そこにある存在理由がどうも納得できない。

なぜそのエイリアスがお払い箱扱いになっているのか。
間違って捨ててしまったとしか考えられない。
でも、どうやって間違ったかについては謎である。
デスクトップ上を旅させている間に
スッポリとゴミ箱に吸い込まれてしまったのだろうか。
それとも、そのエイリアスを選択している状態で、
メニューバーの
「ファイル」→「ゴミ箱へ入れる」あたりで
ふと手がボタンから離れてしまったのだろうか。
たとえば「情報を見る」まで指が我慢できなくて。
ま、深くは追求しない。
謎は謎のままゴミ箱の中で眠れ。
どういう経過を経てゴミ箱に入ったのか
「情報で見る」ことができれば面白いのだが。

一つのファイルがたどってきた足跡記録・・・
想像するとちょっと笑える。
「デスクトップ」→「ゴミ箱」→「デスクトップ」
→「ゴミ箱」・・・「捨てようかどうしようか考え中!」
って感じだろうか。(笑)

「これは必要といえば必要なものなので、
出しときましょう」
ミーちゃん、ゴミ箱からのファイル救出作業、再び。

さて、前回の「ミーちゃんの書類」ファイルは
どうなっていることだろう。
ミーちゃん初のワープロ作品。
続きが見たい。

「ジグソーパズルなんかだと
その場限りみたいなものだから、ちょっと飽きちゃった。
ワープロに凝ってるんですよ、今」
わー、さすが。
クリエイティブな作業の方がやり甲斐があるようだ。
では、さっそく開きます。
前回作った「ミーちゃん書類」ファイル。

おっ? 進んでる! 文字が増えている。




iMacの先生は、探偵もしなきゃいけない。
どうしてそうなったのか、について、
考えている南波あっこ先生の姿も、興味深いなぁ。
それはそうと、また、何か書いたのか?! ミーちゃん!?

(明日掲載の、つづきを待て!)

第7章 レッスン3は、晴れた日だった(4)。


ジグソーパズルにすぐ飽きて、
ワープロをコツコツはじめたミーちゃんは、
果たして何を書いているのだろうか?
こういうものは、普通ある程度お年を召した女性だと、
「あら、見ないでくださいよ」とか、
お弁当をフタで隠して食べるような反応をするものだが、
ミーちゃんは、ちがうようだ。
公になるならなればいい、って感じ?
このへんの度胸が、海外旅行体験数知らずの
経験のせいなのか?

今日はちょっと長めに掲載いたします。
んでは、さっそく南波先生、お願いします。



先日ここに書いた
「皆さんのところにもメールが届くかもしれませんよ」
であるが、本来、このあとに
「驚かないでくださいね」と続いていた。
いや、けっこう驚かれるんじゃないだろうか。(笑)

そして、今回の追加分は、
ノリコさんからミーちゃんへのメッセージで始まる。
どうやら重要書類等の整理をされたらしく、
それらの新たな保管場所を示す文章だ。
これはまた重要なメッセージである。
『ミーちゃんの○○は△△の中』というような極秘事項が
サラリと書かれている。

その下には
『○月×日 今日はよいお天気なので
朝から庭いじりをしました。
8:30から1時間半もやっていて
これだけしか打てませんでした』との文章。
(だいたいこのような内容だったと思う。もう少し長いが)
そして、すぐ下にはまたノリコさんからのレス。
『そうはいっても、なかなか頑張ってます』
という内容の文章2、3行。

ミーちゃんの一生懸命さとノリコさんの母親への愛情が
文字一つ一つからあふれ出ている。
どちらの文章も、そのさり気なさがすごくいい感じ。
全文をそのままここでご紹介したいところだが、
残念、覚えきれなかった。

しかし、素晴らしい。
これは母と娘の交換日記だ。
クラリスワークスやキーボードに慣れるよう、
ちょっと自習しておいていただけたら、とは思っていた。
ところが、お二方は
すでにそんな期待を遙かに超えた空間に突入されていた。
車内を何やらいじっているうちに、
気づいてみたら軽井沢あたりまでドライブしてた。
そんな感じを受ける。

日々の記録として、自己表現の場として、
そしてコミュニケーションが生まれる休憩所として、
どんどん増殖してゆく1つのファイル。
いつか、このHP内に掲載していただきたいものだ。
そんな価値ある逸品。

この調子だと、インターネットをやるにしても、
あれよあれよという間に遙か彼方の波の上。
ブラウザの操作がどうのこうの、
そういう問題ではないのだ。
目の前に広がる新しいスペースに
飛び込めてしまう好奇心と勇気。
これさえあればどうにでもなる。
知識は経験の後からついてくる。

ミーちゃんファイルにひとしきり感激した後、
ミーちゃんから質問。
「全部確定してしまってから
文の途中の部分を変えたくなったらどうしたらいいの?」
そうか、まだご存じなかったのだ・・・。

それまでのレッスンで私がちょこちょこっと
やってみせたデモンストレーションから
一瞬で各作業の手順を悟るなんてできるわけがない。
初めての方にとっては手品みたいなものだ。
その種明かしがなされるのより以前に、
ミーちゃんはご自身で試行錯誤、
そして見栄えのする結果を出してらっしゃる。
しかし、その試行錯誤の最中は、
やはり多くのご苦労があったのだろう。

「修正するには、まずマウスでこれ(ポインタ)を
その部分の先頭に持っていってクリックします。
そして、ボタンを押したまま、横にずらしてゆきます。
直したい場所が選ばれたらそこでボタンを離します。
この、色の変わった部分がもし必要なければ
[delete]で消してしまえます」

「ああ、そうやって消せるのねぇ。
私なんて、消したり直したりしたい部分まで、
書き終わった文の最後からぜ〜んぶ[delete]で消してたの。
そしてまた新たに書き始めるんだから
時間ばっかりかかってしまって。
そんなのの繰り返しだから、や〜っとこれだけ」

そ、それは、かなりの重労働!
せっかくの創作意欲をへこませてしまうような作業だ。

たとえば10行に渡る文章が完成し、
充実感たっぷりで読み返す。
「あら〜〜っ、出だしの部分、間違ってしまったわぁ!」
想像してみただけでも気が重くなる。
今から文の先頭に向かって
削除してゆかねばならないとしたら・・・。

ミーちゃんにそんなご苦労をさせてしまったとは。
ずっと背後で見守らせていただきたかった。
私のエイリアスをiMacの傍ら、
つまり籐のゴミ箱の脇にでも置いてゆけばいいのだろうか。

そこで、私は提案をした。
当然、私のエイリアスのことではない。
フォントが「平成明朝」になっているようで、
文字がクネクネしている。
「ちょっとこの字体は見にくくありませんか?
変えられますけど」
ミーちゃん、画面を見渡して
「そうねえ。クネクネしてるわねぇ」
「じゃあ、こんなのはいかがですか?」
そう言ってちゃっかり「OSAKA」に変えてしまった。
すると
「あぁ、こっちの方がはっきりとしてて見やすいわね!」
でしょう?
Macにはやっぱり「OSAKA」が似合っていると思う。
そして、ミーちゃんにも似合っている。
文字がずいぶん若返った。

クラリスの初期設定も同様に変更。
何するにも、何かを変えたい場合には、
まずはその部分を選択する。
このことをちょっとしつこく強調しておいた。

ついでに、ミーちゃんの文章とノリコさんの文章を
一目で区別できるよう、ノリコさんの方の文字色を
変えてしまおうと計画、提案。

紺色っぽくしてみた。これで区別がつく。
少し後になってノリコさんがひょっこりとお顔を見せると、
「ノリコのは青くしておいたから、
今度からそうしてちょうだいね」
ミーちゃん、学んだことをさっそくノリコさんに伝授。

ノリコさんからの質問。
「文頭を1文字空けたいときはどうするの?」
「この長いスペースキーを押せば1つ空きます」
「それでいいの? やってみたけどできなかったのよ。
なんでかしら」
う〜ん、なんでかしら。
カーソルが別のところにいたとか?
「あと、文と文の間を1行空けたいときは?」
「カーソルをここに置いて、
この[return]を押すと1行下がります」
やっぱりカーソルが別のところにいたとか?
下げたい文の文末とか。

お2人ともいろいろと試して
ワープロに挑戦してくださっているようだ。
iMacをいじり回すたびに
「五里霧中」が「四里霧中」になり、
そのうちすぐに「一里霧中」くらいになるであろう。
そして霧もいつか晴れる。

さて、お待ちかね、ワープロ実習。
「え〜っと、今日は何か書こうかしら」
ミーちゃん、あたりを見回す。
「新聞の記事でも写そうかしら。
う〜ん、でも、新聞じゃあ文章がかたすぎるわね」
私もあたりを見回してみる。
するとミーちゃん、ひらめいた。
「あ、そう、そう!
昨日は巨人が勝ったのよね! それがいいわね」
キラキラと目を輝かせてキーボードに手を伸ばす。

しかし、その喜びも束の間。
何かに引っかかりを感じてらっしゃる表情。

「ところで、これは何なの? この棒みたいな恰好の」
「あ、これですか?
これで文字を入力する位置を決めるんですが」
クラリスのファイルを開いて以来
ずっと存在していたポインタだが、
改めて疑問に思われたようだ。
マウスを動かせば矢印が動くものだと
覚えてらっしゃるのだろう。
ところが、その矢印はどこかに消えてしまっている。

「よーくご覧になっていてくださいね」
私はその先割れ棒状ポインタを
ゆっくりとウィンドウの端に向かって持ってゆく。
棒はスクロールバーに触れたとたん、矢印に変身。
ミーちゃん「あっらぁ〜、不思議ねぇ!」
私は手品師にでもなったかのような気分だ。

「ポインタはそれが今いる場所によって
いろいろに変わるんです。
文字を入力する場所ではこういう棒状になってますけど、
デスクトップなどですと、矢印になっていろいろ選んだり
移動したりできるようになるんです。
自動的に変わっちゃうんですよ、ほら」
「まぁ〜・・・!」
お馴染み、感嘆のお声。

「では、そのポインタを書き始めたい場所にもってきて
クリックしてください。それを確認しないで
打ち始めてしまうと、あらぬ所に文字が
挿入されてしまうのでびっくりしちゃいます」
ミーちゃん、納得の表情。

「えーっと、『昨日』だから『き』、『き』・・・
あ、あった、あった。[k]と[I]・・・、
次は『の』、『の』・・・」

ローマ字なんてお手のもの。
頭の中でアルファベットの組み合わせは
ばっちりできている。
あとは、そのアルファベットを
キーボード上で見つけるだけだ。

思わず私が
「あ、そこにありますよ」などと指でもさそうものなら
「あ、教えないでっ」・・・ターゲットは自分で狙う!
かっこいい!
最高の生徒さんだ。先生は見守るだけでよし。
真剣な横顔、華麗に舞う指先。
そのうちすぐにキーボードをマスターされるであろう。

『昨日は巨人が大勝しました。』
入力、変換、大成功!

そして数分後、もう1つの文が仕上がった。

『誰かさんもきっと喜んでいることでしょう。』

さすが、ミーちゃん、思いつくこと、センスが違う。
「巨人が大好きなのよね、あの子」そう言って笑う。

「あの子」さま(笑)、巨人の大勝が続くといいですね。

このあたりでちょうど時間切れ。
しっかりとファイル保存。




どうもどうも、誰かさんです。
いえ、誰かさんこと、「あの子」です。
ありがとうございます。

加速感がたまりませんね。
読者も、お気付きのように、登場人物のなかに、
ノリコさんが見え隠れしていますね。
なんというか、その、かなりやっぱりゴーカイな印象ですが
これから、もっと露骨に見え隠れして、
なんかやらかしてくれそうな気もします。
こっちもたのしみになってきました。

(で、明日につづくわけだ)

第7章 レッスン3は、晴れた日だった(5)。


ミーちゃんにとってのメール・アカウント問題は、
けっこう大問題だった。
ぼく自身も、そういえば悩んだっけなぁ。
はじめは、「itois」だった。
プロバイダを変えて、何にしようかと
さんざん考えたけれど、しっくりくるものがなかった。
そこで、急に「darling」を思いついたのだった。
誰でも知っている言葉なのに、
ひょっとしたら一生に一度も使わないかもしれない言葉。
言うほうの人が、口に出して恥ずかしさがある。
言われるほうも、かなり恥ずかしい。
この違和感というか、摩擦感をたのしもうと、
ぼくは「darling」に決めたのだった。
しかし、もう1年以上も使っているうちに、
羞恥心も消えてしまったようだ。
自分から平気で、「だーりんです」と、言ってるもんな。
ミーちゃんも、いっそ、第2第3候補は、
とんでもないものにすればいいのに。
「loveletter」とか、とんでもないやつに。
と思っていたら、もっといい感じの適当なやつを、
思いついたらしい。

では、南波先生、教えてください。



プロバイダ申込書は、
このあと私が代わりに代理店へ提出することに。
(当日、IDやパスワードをついに入手)
さて、未記入のアカウント名、
第2、第3希望はどうしよう。
お庭を見渡し、ミーちゃん、さっさと決定。
「ajisai」と「minibara」(アジサイ、ミニばら)
「これが咲いている季節にインターネットを
始めたってことがわかっていいわよね」と。

さて、第1希望が採用されるのか、
はたまたお花系となるのか。
4日ほどで結果が郵送で送られてくるはずだ。
お楽しみに。

***

二日後。
ノリコさんよりお電話をいただく。

「突然すみません。ちょっと助けてください。
動かなくなっちゃいましたー。教えていただいた
強制終了をやろうとしてみたんですけどね、ダメなの」

おっと、とうとう来たな、フリーズくん!
意外と早かったね。

「あれこれやってみてもダメなら、
やっぱり“楊枝”ですかねぇ」
「あ、やっぱり“楊枝”ですか、こういう場合は。
じゃ、穴に楊枝入れてみます」
「そうすると再起動するはずですので、
やってみてください」
「はい、やってみまーす。
多分、私が変なところ押しちゃったからなのよね。
OUTLOOK EXPRESSで。
じゃ、この後電話が来なかったら
成功したと思っていてください」

そして・・・めでたく、
初の「楊枝」作業は成功したようだ。

しかし、皆さん、お聞きになりましたか?
OUTLOOK EXPRESSと・・・確か・・・。
まだ私が一度も口にも出していない
ソフトの名を耳にするとは。

ミーちゃんとノリコさん、
クラリスワークスだけでは飽きたらず
もう気分はすっかりインターネット?
「どうせならメールソフトでワープロ練習しましょ」
なんて?
もうメッセージのボトル詰め作業に
取りかかってらっしゃるのかもしれない。
「早く海に流してみたいわよね、これ」なんて?
ホント、皆さま、
メールが届いても驚かないでくださいね。

次々に湧き起こる好奇心。
着々と前進し続けるお二人。
「先生」の知らぬ場で
どういうiMacライフが繰り広げられているのか・・・
やはり「エイリアス」となり、
ゴミ箱脇に立って眺めていたい。
(ラック・アシ危険回避システム、
それで3重構造になりますが、いかがでしょう。(笑)




ほんとに、先生のいない間に、大活躍しているようだ。
ぼくも、こんなふうに三味線をやっていれば、
いまごろは、人生が変わっていたかもしれないなぁ。
と、ちょっと反省。

(むろん、つづく。あしたは、重大発表があります)

第7章 レッスン3は、晴れた日だった(おまけ)。


さて、昨日、ここで、
「明日は重大発表があります」と、
思わせぶりな予告をいたしましたが、いよいよ、です。

実はぼくは、ミーちゃんであるところの母Aの年齢を、
知らないのです。
連載のはじまった頃に書きましたが、
ぼくは母Aことミーちゃんと、
まだ、10回くらいしか会っていないのでして、
会ったところで、「年齢はいくつですか?」なんて、
聞きはしないでしょう?
だもんだから、「80代」であろうとは想像したけれど、
84くらいになっているんじゃないかとか、
それとも82とか、それくらいかなぁとか、
いろいろ考えていたわけです。
こういう場合は、数字が大きいほど箔が付くというか、
80ちょうどよりも89のほうが
エライような気がするものであります。

そこで、あらためて本人に聞くのも照れくさいので、
南波あっこ先生に、それとなく聞いてもらうように、
お願いしたのでした。

今回は、その返信です。ジャーン!


おはようございます。南波です。

先日はメールを2通ありがとうございました。

総アクセス数にはびっくりです。
超人気サイトなんですねー!さすがっ。

おとといの水曜日、第4回目、行ってまいりました。
午後からの2時間半程度でしたが、
いつものメンバー勢揃い。
笑いの渦にまみれてのレッスンでした。

「ミーちゃん」はその翌日(昨日ですね)から
1週間ほど浦和や伊豆(←確か、こちら方面)の
お友達を訪ねる旅にお出かけになるとのことで、
次のレッスンまで少し間があきます。

ところで、
「ミーちゃん」は、
今年で(来月あたりでしたか?)
80才になるんだそうです。
だから実はまだ「70代」。(笑)
1919年生まれだそうです。
(覚えやすい数字なので、覚えてしまいました)
どなたかの「まだ70代よ!
って言った方がいいんじゃないの〜?」
に対して、ミーちゃんは
「いいのよ。『80代』って言った方が
企画的に面白いんだから(笑)」
さすがです、ミーちゃん!

それにしても本当に若々しくて感動してしまいます。
感性が全然「おばあちゃん」じゃないんですものね。
「女学生」のよう。

レポートについては、これから書き始めますので、
もうしばらくお待ちください。


というわけなんです!
いままで読者のみならず、スタッフ関係者も、
自分さえもたばかってまいりました。
誕生日が来れば、看板に偽りなしになるのですが、
それまでは、ちょっとウソをついておることになります。
でも、お目こぼしをお願いいたします。
しばらく目をつぶっていただければ、
やがては真の80代になりますから。

ただ、また、問題です。
ぼくは、誕生日のほうも知らないままで生きてきています。
そのうち、本人からメールで教えてもらいましょう。

あと、よく星占いの時に困っていたことがあります。
自分の生まれた時刻を、ぼくは知らないのです。
「たぶん、朝だ」ということで、適当にやってきましたが、
これについても、「重里」を産んだ本人から、
いずれ聞きたいと思っています。

親子とひとくちに言うけれど、いろいろあるもんですよね。
全国の離婚家庭のお子さま方よ、
んなこたぁ、たいしたことじゃぁねぇですぜ。
君は君だ。どんなことがあっても、君は君なんだ。


(てなわけで、明日につづく。こんどは、第4回レッスン)

第8章 4度目のレッスンは、蒸し暑い午後だった。


毎日掲載のスタイルでお届けしている、
「80代からのインターネット入門」ですが。
おわかりの通り、この連載は
リアルタイムでの進行ではありません。

レッスンがある。
   ↓
南波あっこ先生からのレポートが届く。
   ↓
レポートを何回かに区切って、
編集・構成の作業をする。
   ↓
更新・掲載。

こんな段取りで進んでいるわけですね。
ですから、ほんとの「現在のミーちゃん」は、
このレッスン4は終了していて、
その後いろんなところを旅行してきて、
今日あたりは静かにしているのかもしれません。

今日の掲載分は、レッスン4です。
このレッスンがあった頃に、「ほぼ日」の連載が、
スタートしていたわけです。

では、そのあたりのことが、
「ミーちゃんの周囲」で、どんなふうに語られていたか?
それを、お届けしてみましょう。

んじゃ、南波先生、スパイを、いや、レポートを!


いや〜、今日も蒸し暑い。
グイッとビールでも飲みたいような気分を封じ込め、
いざ出発。

約束の午後1時半に「レッスン会場」へ到着すると、
皆さん勢ぞろい。
華やかな声と笑顔のお出迎え。
どことなく「女の隠れ家」的なオアシスに
私のテンションもあがる。

「今、ちょうどお昼が済んだところなんですよ〜」
「あ、ちょっと早すぎましたか?」靴を脱ぐ。
「いえいえ、うちは、ほら、
いつもそこ(屋外)でいただくから
家の中は散らからないのよ。
先生もご一緒できたらよかったのにね〜」
ミーちゃん、ほんのりピンク。

あぁ、本当にご一緒できたらよかった。
かなり図々しい。
恒例の屋外ランチはヨーロッパの香り。
素直に憧れてしまう。
木漏れ日の中、美味しいご馳走と一杯のビールで
楽しく語り合うミーちゃんとそのお仲間たち……
これは絵になる光景だ。
次回のランチ付きレッスンの際には
ぜひレンズにおさめておこう。

「ついに昨日から始まったみたいねー!」
どなたかの声。たぶんジュンコさん。
ここで「何がですか?」などとボケをかまそうものなら、
一発退場、「先生」の称号剥奪だ。
「そうなんです。始まりましたー!
アクセス数も凄いらしいです」
しばらく「ほぼ日」の話題で持ちきり。

私が書いては送っているレッスン日誌も
そのうち掲載され始める。
「先生」という名の「密告者」であるかのような
一種の後ろめたさ。
レッスン風景を逐一「ボス」に密告していた
という事実を、そろそろミーちゃんたちに
お伝えしておかないと。
特別隠そうとしていたわけでもないが……。

「私が送っているレポートもそのうち載るんですよ……」

「あっら〜! やっぱりそうよね。それは楽しみー!」
ミーちゃんはじめ、誰一人として戸惑いの様子まるでなし。
戸惑うどころか、皆のテンション、ますます高まる。
「密告者」、意外なほどあっさりと、
単なる「報告者」と化す。

「初心者がどうやってパソコンを覚えていくかの
参考になるからなんでも書いてね」
「パソコンできる人にとっては
笑っちゃうような失敗の方がネタとして面白いのよねー」
などなど、
「報告者」としての私の立場をフォローする発言が続く。

「教えながらメモとっておいた方がいいわよ。
あ、どうぞ使って、このペン」
素早くペンと紙が目の前に用意された。
こうなったら別に速記者でも雇おうか。(笑)

「なんだったら、ノート型のパソコン持ち込んでもらって、
ここで教えながらレポートまとめちゃうとか(笑)」
さすがノリコさん。大胆な発想がキマッてる。
書いたレポートをここから即座に
送信してしまえたりしたらどれほどCOOLであろう。
どこかの通信社の記者にでもなった気分だ。

「いろいろと書いてはいるんですけど、
家に帰るとネタを忘れてしまうこともあって……
ですからレポートに書かれているのは
実際のレッスンの“ほぼ再現”でしかないので、
皆さんには失礼があるかもしれませんが、
よろしくお願いしますぅ」
ちょっとペコペコする「報告者」。

「どんどん何でも書いちゃって。
たまには脚色したっていいのよ、面白くなれば(笑)」
と、やっぱりノリコさん。
しかし、事実は‘脚色’よりも奇なり。喜なり。生成り。

それにしても、ありがたい。
取材される側にあってこの余裕。
まるで企画・制作会議のようだ。
「実験台」にのぼらされているような立場の
ミーちゃんまでもが、その立場をしっかりと
利用・活用しながら制作側に協力し、
自ら面白がってくださっているのだ。
「素人さん」集団じゃないな、これは。(笑)

「ミーちゃんもこの先『ほぼ日』に
文章送ることになるわけよね〜」
どなたかが言うと
「あら〜、そうなのかしら。
やだわぁ、面白そう〜」とニコニコ。
「また新たな人生の目標ができてよかったじゃない?」
ノリコさん、おっしゃる通り。
生き甲斐のひとつとなるに違いない。

では、大変お待たせいたしました。
その新たな目標に向かって
レッスンを始めるとしましょうか。


たしかにねぇ・・・素人集団ではないとも言えるけど、
よくよく考えてみれば、
完璧な素人集団なんですよねぇ。
「消費者」と「生産者」が同じ平面にならんで、
互いの情報を交換しながら、
モノやコトが生みだされていくという
「これからの時代は、もうこんなふうに、
すでに始まっているんでしょうね。
このレッスンの場そのものが、もうすでに
インターネット的であるというふうにも思えました。

(徹夜あけの釣り帰りで眠いけど、明日につづく)

第8章 4度目のレッスンは、蒸し暑い午後だった(2)。


「鬼のいないまに洗濯」という言葉がありますが、
南波あっこ先生は鬼じゃないので、
いない間に何が起こっていても、おもしろがるばかり。
「あっこのいないまにiMac」というのが、
新鮮なプロブレムを生みだしてくれて、
かえって好都合のようです。
マックのあまりにも有名な「ゴミ箱」にも、
そんな弱点があったとはねぇ。

では、南波先生、苦闘をたのしんでくださいね。


「さっき、これ(iMac)いじってたんですけどね」
とノリコさん。
「……ゴミ箱のフタが開かなくて困ってたのよ」
「そ〜なのよぉ」他の方々、うなずく。
えっ?フタが開かない……?
「えーっと、フタは
ゴミ箱にモノが入っている時にしか開かないので
何も入っていなかったとか?」と私。
「いや、どうだかわからないんだけど、
とにかく開かなくて」
相当お困りだった様子。
ゴミ箱ごときにもてあそばれてしまうのでは、
さぞかし悔しい思いをされたであろう。

ここでようやく電源オン。
ほどなくデスクトップが現れる。
しかし、なんだかいつもと様子が違う。
「あの〜、これでもいいんですけど、
わざわざこのようなふうに?」
アイコンが小さいのだ。
もちろん、問題のゴミ箱も縮小サイズだ。
一辺が数ミリのアイコンたちが、
それも重なり合うように並んでいる。
何か意味があってのことに違いない。

「えっ? ああ、これね。ホント、小さいわねぇ。
どうしたのかしら。こうなっちゃったのよ」
ミーちゃん、ちょっとコギツネにでも
つままれているかのよう。

メニューバーの「表示」から「表示オプション」を選ぶ。
当然、そこの「アイコンの大きさ」は
小さい方が選ばれている。
「ここでこうやって大きさを変えられるのですが、
大きくしておいていいですか?」
「はい、もちろん。う〜ん、でも、こんなところ、
いじってなんかいないのよねぇ……」
iMacが夜な夜な自己操作でもしているというのだろうか。
「今日の気分は小アイコンだ」などと言いながら。(笑)

重なり合っているアイコンを整頓する。
すると、先ほどまでは小さくてあまり目立たなかった
フォルダが目に飛び込む。
読者の皆様ならたぶん想像がつくであろう。
何を隠そう、お馴染み「新規フォルダ」だ。
律儀に3つ存在している。

「これは空っぽですか?」一応尋ねてみる。
必要なものかもしれない。
「あぁ、これねー。
またこんなのが出てきちゃって、困ってたんですよ」
私はミーちゃんの次の台詞を心の中で咄嗟に予想。
そして見事的中。

「・・・いつまでたっても消えてくれなくて」

ミーちゃんの声と私の心の声が重なった。
おっと、予想が当たってのんきに笑ってる場合ではない。
レスキュー隊出動だ。

「こちらでアクション起こさないと
消えてくれないんですよ」と私。
「そうよ、ミーちゃん、ゴミ箱に捨てなくちゃ」
どなたかの声。
「ああ、そうなの?
やだわぁ、毎回一からの繰り返しだわ〜(笑)」

これは、ちょうどいい。
「フタ開かず疑惑」が持ち上がっている、
問題のゴミ箱への移動になる。

「じゃ、よーくご覧くださいね。
この要らない『新規フォルダ』をゴミ箱に入れます。
今、フタは閉まってますよねぇ。それが・・・」

スポン! めでたくフタが開く。
そうだ、開くではないか。普通、開く。

「あらーっ? なんで〜?
さっきやったときは開かなかったのよ、ねぇ!」
ノリコさんやジュンコさん、
それにユキエさんも、びっくり。
「中身を出すとまた閉まりますよ、フタ。・・・ほら」

何度か繰り返してお見せする。
納得いただけるまでゴミ箱と戯れる覚悟。

ノリコさん、突然、トリックを見破った
手品ショーの観客のように
「はは〜ん。わかった」
何がどうわかったのか、さっぱりつかめぬ「エセ手品師」。

「フタが開くのはゴミ箱にモノが入った後なのね」
とノリコさん。
「あ、そうです。フタが開いてるのは
ゴミが入っているということを示すもので・・・」

「な〜んだぁ、そうなの〜?
ゴミをゴミ箱に持っていくと
フタが開くのかと思ってたのよ」
「え? フタなら開きますけど」

「違うのよ。
日常生活でね、フタが開いてないゴミ箱になんて
モノを捨てられないでしょう?
だから、捨てたいモノを持ってきて
ゴミ箱に重ねたところで、ずーっと待ってたのよ、
マウスのボタン押したまま。フタが開くまで!」
「そうそう。いつになっても開いてくれないわねーって。
これじゃゴミ捨てられないわねーって。
そういうのじゃないのね(爆笑)」

な・る・ほ・どー。
やっと「フタが開かない」の意味がわかった。
マウスのボタンを離して
初めてフタが開く構造になっているのをよく
理解されていなかったわけだ。

それまでゴミ箱について
特にそのような疑問は出ていなかった。
たぶん、捨てる際に、すでにたまたま
ゴミ箱のフタが開いていた、
つまりもう別のゴミが入っていた状態であったから、
問題意識を持つこともなく、捨てられたかもしれない。

「たとえば、ハードディスクは押し入れ、
メモリというのは作業台の大きさだと思ってください。
Macは、実際の生活等に照らし合わせてみれば
納得ゆくようなコンセプトで作られていますから
難しくないですよ」
私がよくそんなふうに説明していたからであろう。

しかし、日常生活の中で、フタの閉じているゴミ箱に
どうやってゴミを捨てられようか。
さすが、女性、気付くところが違う。
私も女性だが、気付かなかった。
かなり大雑把な人間だからだろうか。

「ゴミを運んできたら自動でフタが開くように
変えてもらいましょうよ、アップルさんに。
現実に沿ってもらわないと、ねぇ。
ほら、足で押すとポンとフタが開くような、
ああいうゴミ箱でもいいじゃない?」

フタを開けて「さあ、どうぞお捨てください」と
待ちかまえるゴミ箱。
ご主人様に忠誠を誓ったゴミ箱。ちょっと笑える。

女性軍、笑いながらも、
ひとつ革命でも起こすかのような勢い。
ゴミ問題・・・やはり、なかなか、深い。
「ゴミの種類によって分別しなくてもいいの?」
なんて質問も出るかもしれない。
ここはひとつ気持ちを引き締めてゆこう。(笑)

ミーちゃんの登場が少なくなってしまったが、ご安心を。
ちゃんとそこにいらっしゃる。
一つ一つに笑ったり、驚いたり。
ただ、ミーちゃんはゴミ箱のフタ以前に
「要らないファイルやフォルダが消えてくれない」悩みが
解決されたことでご満足だったのかもしれない。
「フタなんかどうでもいいのよ。消えてくれさえすれば」
なんて?(笑)


今日は、ちょっと長めにお届けしましたが、
おもしろかったでしょう?
誰が作ったか、ぼくは知りませんが、
ゴミ箱の作者に教えてあげたら、よろこびそうですねぇ。
バージョンアップさせちゃったりしてね。

(さらに、明日につづくんですよ、これが)

第8章 4度目のレッスンは、蒸し暑い午後だった(3)


いつまでもゴミ箱の話をしているわけじゃない。
レッスンは進行している。
今回は、登場シーンの多い、ノリコさんだが、
ミーちゃんの娘だということになる。
だから、ぼくの姉だということになる。
「だということになる」が多いが、仕方がない。
よく知らないんだから、ぼくが。
ぼくの父親(他界)と結婚したミーちゃんは、
たしか前に結婚していて、娘がいた。
たぶん、その父という人とミーちゃんは死別していた。
おそらく、これで合ってると思うけれど、
ひょっとすると間違っているかもしれない。
誤りが判明したら、追って報告します。

あ、ついでだから、
ミーちゃん家の隣のドイツ菓子屋さんで、
仕事をしている、石野みさ子さんからのチクリを、
ちょっとだけ紹介します。
石野さんは、まだネットにつながってないミーちゃんに、
「ほぼ日」を毎日プリントアウトして、
届けてくれている優しい女性さ。

「忙しくて、なかなかパソコンのお勉強ができない」
 と言うミーちゃん。

驚くほどパワフルなのです。
海外旅行で知り合ったお友達を訪ねて
横浜へ・・伊東へ・・浦和へ・・・
その合間にクルージングも楽しんで・・
このメンバーが、またスゴイ!!
80代・70代・60代・50代・40代・30代と
揃って、
総勢13人(40代男性2名・紀子さん・ユキエさん含む)
若い子(?)が船酔いしても、ミーちゃんは、ルンルン。
これらを、2週間たらずでこなしてしまうミーちゃん 
スッゴイ元気者!!

「なかなか、先生に来てもらえる日がなくて・・」と、
それでも、こつこつとワープロで日記をつけている様子。
インターネットが通じれば、
すぐにメールが送られて行くことでしょう。

そうそう、多忙なミーちゃんのお手伝いで
飛び入りで「紀子さんからのメール」もどうでしょう。
『糸井さんをおんぶして、ゴム跳びをガンガンしていた。』
(糸井さん、きっと首が頑丈でしょう?)  
幼いノリちゃんそのまんま素直に、
おばさんノリちゃんになったようです。


ってなノリコさんでした。
俺は、憶えてないくらい小さかったんです。
なんだか、ちょっと恥ずかしい。

登場人物の紹介もすんだし、
ではでは、南波先生、よろしくバトンタッチを。


ところで、前回のレッスンの後に
ノリコさんからお電話をいただいたことは、
すでにお話しした通り。
私が「OUTLOOK EXPRESS 」との名を耳にして
びっくりした一件だ。

「この間は突然お電話しちゃってすみませんでしたー」
「いえいえ、いつでもどうぞ。
で、メールソフトをもう試してらっしゃるんですね?」
「えっ? メールソフト?」
「OUTLOOK EXPRESS で
フリーズしてしまったようなお話だったので」
「え? えーと、あれはね〜、あのワープロのソフトよ。
クラリスなんとか」
あれれ? 話が違う。
決してガックリはしないが、新たな謎が生まれた。

ノリコさん、市販のiMacマニュアル本を取り出し、
ページをめくる。
「ここにね、書いてあるでしょう?
えーっと、何? アウト・・・」

『OUTLOOK EXPRESSは予期せず終了しました』
もしくは、それと似たようなアラート・メッセージ。

トラブル・シューティングのページであった。
強制終了の仕方が説明されている。
「OUTLOOK EXPRESS」は単なる例として
挙げられているだけだったのだ。
それを見たノリコさん、
「あ、OUTLOOK EXPRESSってのが
おかしくなっちゃったのね」と勘違いされた。
これが真相のようだ。

「リセットボタンは楊枝で大丈夫でしたか?」
「ええ、バッチリでした〜」
楊枝を使う用事が増えないことを祈るばかりだ。
駄洒落、苦しい。

「ワープロ打ってたのよ。
それが不思議でね、“大魔神”ってのを打とうとすると
トラブっちゃうのよ。それも3回もよ〜!」
「はぁ? 大魔神・・・? そこで必ず?」
「そうなのよ、“だいまじん”を変換していて
“大摩神”っていう“まの字”違いでも
同じようになっちゃったし。
思うに『神』っていう文字に反応して
トラブル起こすのね、このパソコン」
「いやぁ〜、そういうのはないと思うんですが・・・」

笑うのもちょっと失礼だ。
でも、その場の空気は笑っている。
つまり、はっきり言うと、その場は大ウケなのだ。
しかし、ノリコさんは、iMacには検閲機能が
備わっていると信じてらっしゃる様子でもある。

しかし、なぜ、そもそも「大魔神」などと?
「巨人と横浜の試合があってね、
『ハマの大魔神』て打とうとしたのよ」
ノリコさん、説明してくださる。
「このパソコン、送ってくれた人に似て
巨人ファンなんじゃないの?」
とミーちゃん。場内、爆笑。

ということで、先日の、その「大魔神」事件は、
iMac送り主さまのリモート検閲、
もしくは、念力によるものということで一件落着・・・
ということにしときましょう。(笑)
しかし、ミーちゃんiMacの周辺、
ちょっと笑える謎、多数発生。
そして、私は探偵ごっこを楽しんでいる。

謎といえば、もう一つ。

お馴染み、感動!母と娘の交換日記
「ミーちゃんファイル」であるが、
今回、またかなりの進展があった。
キーボードを打つ指さばきも快調さを増したのであろう、
一回分の文字数がとても増えた。
執筆作業が元々得意でいらっしゃるはず。
楽しんでくださっていることに大いなる確信。

その進化し続けている「ミーちゃんファイル」の
文字のほとんどが今回青くなっているのは、
さて、なぜなのか。
「なんだか青くなっちゃったんですよ〜。
黒く直せますか?」
iMacくん、夜な夜な、そんな悪戯までしたのかい?

「すべてを選択」で、
文字色を青く変更してしまったのだろうか。
ミーちゃんも、ノリコさんも、
その行為については身に覚えがないらしい。
「黒くしたい部分だけをこうやって選択して、
文字色で黒を選べばいいんですよ」

この交換日記の内容は、
いずれHP上で発表していただきたいものだ。
もしかしたら、それを想定して
書いてらっしゃるかもしれない。
私も、ミーちゃんのインターネット環境が整うのを
待てなくなってきた。

おっと、それを整えるのが私の任務であった。
ちょうどいい。というより、お待たせしました。
そろそろ、そちらの話題に移らねば。


そうそう、インターネットでしたよ。
いろんな細かい事件をたのしんでいて、
インターネットのことをすっかり忘れそうになってた。
こう来たら、明日はいよいよ「つながる」かと、
読者のみなさんも考えるでしょう?
結論から申しあげましょう。
明日も、つながっていません。わはははは。
あわてないあわてない。

(でも、明日につづくから、よろしくね)

第8章 4度目のレッスンは、蒸し暑い午後だった(4)


昨日、今日の分のレポートの
結果をすでにばらしちゃったので、
いけないことしたかなぁ、とは思うのですが、
でも、そう思って読んでもおもしろいから大丈夫。
一見、ぐんぐん進むんですよう、今回は。

南波あっこ先生、では、ぐんぐんどうぞ!


プロバイダ契約完了。
ログイン名、パスワード等も取れた。
さて、前回レッスンより引っぱっている
メール・アカウント。
「ミーちゃん」、いや「mi-chan」であるが・・・
結果・・・「mi-chan」取得作戦、大成功!
ローカル・プロバイダの底力が見えた気がする。(笑)

最近、私は個人的に
INTERNET EXPLORER (以下「IE」)を使用している。
Mac版はまだ4.5までしか出ていないが、
けっこう気に入っている。
iMacに入っているのは確か4.0なので、
持参した付録CD-ROMから
4.5をインストールしようと計画。

CD-ROMをお見せして、このiMacに
このディスクからIEを入れることをご説明。
するとミーちゃん、心配そうに、
「あら、それじゃ先生のそれが
CDからなくなっちゃうでしょう?
それでは申し訳ないわ」
あぁ、なるほど。カット&ペーストのように?
「あ、それは大丈夫なんです。
データをコピーするってことなので」
「あ〜、そうなの? よかったわ。
複写されるっていうようなことねぇ?」
ミーちゃん、ご心配、ありがとうございます。

そして、めでたくインストール終了。
よく確認していただいて、古い方はゴミ箱へ。
私自身、今のところ使ってはいないが、
一応、OUTLOOK EXPRESSも
最新バージョンのものに置き換えておいた。

メールについても簡単にご説明する。
「メールが届く」イコール
「このパソコンにメールが自動的に入り込む」
そのように勘違いされる方も意外と多いので、
そのあたりをあらかじめ確認しておかないと。
「メール・サーバというコンピュータに
メールが届くので、そこに入っていって、
それを受け取るしくみになっています」
「ああ、私書箱ってわけね」
さすが理解が早い。
「そして、そこに入ってゆくのに必要なのが
このパスワードです。
銀行のキャッシュカードでも何でもそうですけど、
このパスワードがないと本人として認められませんので。
でも一度設定してしまえばあとは自動で送られますから
覚えてなくても大丈夫です」
これについても、納得、満足。

さて、いよいよインターネットへの設定だ。
せっかくなので
「インターネット接続アシスタント」を使ってみる。
「順番に従って入力してゆけば
自然と必要な設定ができますからね」

一応、私がiMacの前に座ることになった。
しかし、私がさっさと済ませてしまうことなど
許されない空気が漂う。
一つ一つ納得して進んでゆきたいミーちゃんのお気持ちが
伝わってくる。
好奇心に輝く8つの目が見守る中、
一つ一つ確認していただきながら設定を進める。

「今すぐ接続しますか?」との内容の画面が出て設定終了。

「いえ、それはまだね。そんな焦るもんでもないわね」
そうです、ミーちゃん。焦りは禁物。
そもそも電話回線とこのiMacの間には
まだ何の関係も樹立できていません。

それでは、最終作業、その樹立に向けて進みましょう。

ロケット発射3分前というような緊張感がはしる。
電話回線のモジュラ・ジャックに
テレフォンケーブルを入れさえすれば全ては完了だ。
あともう少し。
パソコン・ラックを少し移動。
後ろの壁下方にあるモジュラ・ジャックを検証。

そしてちょっと嫌な予感。
前々から抱いてはいたが、現実味を増す、その嫌な予感。


ああ、また明日のことがわかっちゃったかな?
「嫌な予感」で終わってますからねぇ。
なにが嫌な予感だったのか、という興味で、
明日もおたのしみください。
でも、よかったよね、アドレスが第1希望で取れて。

(さぁ、つづきは明日。嫌な予感とは何か?)

第8章 4度目のレッスンは、蒸し暑い午後だった(5)


さぁ、本日明らかになる
南波先生の「嫌な予感」の真実!
ちょっとおおげさでしたか、こんなことで?
申し訳ない。
でも、ほら、まったくパソコンになじんでない家では、
同じようなことがあり得るわけですから、
できるだけ「アンダーライン引いておけよ」という感じで
失敗について書きとめておいた方が親切というものです。
よね?

では、あっこ先生。
ご報告をお願いしまーす。


壁には4つの口。
そこに差し込まれている4本のケーブル。
このうちの二つが一階用と二階用の
電話回線ジャックであるはず。
つまり、NTTと繋がっているものだ。
そして残り二つが玄関のドアフォン用と、
一階二階間を繋ぐ屋内用のものだろうか。
咄嗟にはわからない。
4本のケーブルは、ターミナルボックスだか
簡易交換機だか名称は知らないが、
二つの謎の黒い物体のいずれかに接続されている。
各ケーブルがどこに繋がっているのかをたどろうにも、
なにしろ長いケーブルが4本あるわけで・・・。

さて、どこにiMacのテレフォンケーブルを
差し込もうか・・・。
もうあまり時間が残されていない。
保育所のお迎え時間になってしまう。
こうなれば、もうくじ引きのようなものだ。運だめし。

「ど・れ・に・し・よ・う・か・な・・・」
試しに一つを抜き取って、iMacのケーブルを入れてみる。
リモートアクセスを開き、「接続」ボタンを押す。
さあ、どうだっ。
・・・なんと「お話中」との表示。
今までに「お話中」だなんてことは
私の経験上、ないことだ。

「だれかが繋いでるのね、インターネットに」
どなたかの声。
「う〜ん、でも、一つのアクセス・ポイントにつき
一人しか繋げないというような
システムじゃないですから(笑)」
それにしても、いくらやっても「お話中」だ。

次のジャックに挑戦。
今度は玄関のドアフォンが「ピンポーン!」
「あら、誰か来たかしら」
ミーちゃん、さささーっと玄関へ。
「違うわよぉ、ミーちゃん。これ、いじってるからよ〜」

では、このジャックでどうだ。
あらまっ、今度は内線の呼び出し音のようなものが
鳴り響く。

以下の作業、省略。
省略もなにも・・・いちいち覚えていない。
あらゆることを試みたのだ。
「黒い物体」の方も試してみた。
そのたびにiMacで「接続」ボタンを押してみる。
ノリコさんは、コードレスフォンで
一階用だか二階用だかの電話をかけてみては、
「あら、話中になってるわ」
「今度は何の音もしないわ」
などなどと、報告してくださる。
「あ、でも、今、電話使ってると、
また状況がつかめないので・・・」
全員で、あたふた、あたふた。

なにやら、状況はこんがらがった毛糸のようになってきた。
試験時間終了間際に、焦って、
とりあえずは回答欄をうめようとしている生徒の気分だ。
「次のカッコの中に適する語句を下から選び、
記号で入れよ」
あぁ、これを入れるとこっちが入らなくなる。
あ、いいのか、ここで。
いや、しかし・・・。

それでもこの現状を楽しんでいるかのように思えるのが、
このお宅の嬉しいところだ。ありがたい。

落ち着いて配線等を調べてみれば、
たいした謎ではないような気もする。
実はわりとそういう作業が好きだ。
「配線が趣味の主婦」だなんて大っぴらには言えないが。

そんなこんなの最中に突然の「リリリリリーーーン!」
ミーちゃんは今日も忘れることなく
目覚ましをセットしておいてくださった。
はい、タイム・イズ・アップ!

「中途半端ですみませんでした。
もし機会があったら、NTTにでも
ちょっと問い合わせてみてくださると助かります」
「いいの、いいの、そんなに焦ってるわけじゃないから。
まったくホント、どうなってんのかしらね〜、ここの電話」

結局、ちょっと残念な幕切れとはなったが、
次回の楽しみができたとも考えられる。

群馬名物「焼きまんじゅう」と草餅を
お土産にいただいて、本日のレッスン終了。
短時間だったので大したことはできなかったが、
すでに家族同然に扱ってもらえているようなiMacを
確認できただけでも大変嬉しい。

ところで、レッスン・メモであるが、
せっかく用意していただいた紙の上に書かれたもの・・・
「ゴミ箱のフタ」「大魔神」。
以上二点のみ。
結局、メモを取っている暇などないようだ。
そんな暇があったなら、
電話回線ジャック捜索に費やさねば。(笑)

このあと一週間ほど、ミーちゃんお留守に。
(確か)浦和、伊豆と、お知り合いのお宅を
ご訪問とのこと。
実り多き旅になりますように。

そして、お戻りになれば
すぐに旅行記の執筆が始まることであろう。
ミーちゃんとiMacの蜜月は続く。

この場を借りてミーちゃんへ私信:
宝くじ、結果はいかがでしたか?
三億円が当たったら山分けしてくださるとのお約束、
覚えてらっしゃいますでしょうか。
「ミーちゃんたら、なかなか腹黒ねー(笑)」
などとつっこまれてらっしゃいましたが?
ノリコさんの、
「全員プレゼントなんて魅力ないわよね。
やっぱりちょっと山っ気のある懸賞の方がモエルわよね」
に皆さん、大きくうなずいてらっしゃいましたね。
私はこんな皆さんにずっとついてゆきたく存じます。


このあたりの配線系のことって、
すっごく悩ませてくれるんですよね〜。
ぼくの自宅も、ISDN回線から、ファクシミリと、
自分のマック2台と、ヨメのマックを1台つないでいて、
しかも「ルーター」という、
岩田さん曰く「いずれ、みんなこれにつなぐでしょう」
という機械をつないでいますので、
(ああ、もう、この説明しているだけで面倒だ!)
ぼくには、「わけわかんないもの」です。

みんなの家は、どんなふうにつながっているのだろう。
というわけで、第4回レッスンが終了。
ミーちゃんが旅行から帰ったら、
第5回レッスンがはじまりますが、
読者の皆さまもご承知のとおり、
いま現在、ミーちゃんは旅行から戻っていますので、
当然、明日は、第5回レッスンをお伝えできるわけだ!

(がんばるなぁ。明日につづくよっ!)

第9章 レッスン5・接続の苦闘(1)


南波あっこ先生についても、
ぼくも読者も、かなりおなじみになってきた。
まだ、会ってないのにねぇ。
なんなんだろ? こういう親しみって。
メールの交換をしていても、新しい発見があるものだ。
ぼくが、あっこ先生の親切にまた驚いたのは、
送られてくる原稿のスタイルだ。
「ほぼ日」は、(まるで業務連絡みたいだけど)
掲載のスタイルを、
1行27文字以内で改行するものと決めている。
いろんな人の新しい原稿が届いてから、
スタッフが、そのカタチに原稿をつくりかえるのだ。
ところが、南波あっこ先生の原稿は、
その改行の手間が圧倒的に少ない。
おそらく、「27文字の規則」まで気付いていなくても、
きっと、そのあたりのことを考えて
改行してくれているのだろうと思う。
それとも、もともと27文字くらいの改行だったのかな?

ま、そういうところも、
ぼくらをニコニコさせちゃうんです。
では、レッスン5の前書き的なところから、
読んでいただきましょう。んじゃ、よろしく。


第4回目のレッスンから何日が過ぎたのであろう。
いつの間にか雨の多い季節になっていた。
今にも泣き出しそうな空のもと、
愛しのミーちゃんの笑顔を思い浮かべては心の中に
ひだまりを見つけようとする。

ミーちゃんに会いたい。会えない。

なにも「先生」役を解雇されたわけではない。
物理的に会えない状態なのだ。
まるで「遠距離恋愛中」との張り紙を背中に貼って
時を乗り越えているかのような私。

ミーちゃんは、今、「旅人」となっていた。
あぁ、私だけがこの日常に置いてきぼり・・・

・・・な〜んて感傷にふけっていたいものだが。(笑)

その「日常」、実は私にそんな余裕も与えてくれない。

タイミングよく、保育所の息子は風邪を引き、咳コンコン。
私の自由行動の機会が奪われた。
やっと保育所に復帰して、やれやれと思っていたところ、
今度は本来の仕事依頼。

押し寄せてくる原稿FAXを眺めながら、
『あぁ、なんていいタイミングでミーちゃんの旅と
私の用事がかち合ってくれたのだろう・・・。
天の神様がアレンジしてくださったのかしら』と。

仕事を納品した直後にかかってきた電話。
「無事、旅行から戻りましたので、
またご都合のいいときにレッスン、お願いします」
ミーちゃんは「千里眼」であることが判明した。

この20日間、ずっと前橋を離れてらっしゃった
というわけではない。
この期間中に、旅は、実に二回に渡って実行されていた。
そして、家に戻っても、多忙な日々に変わりはない。
そこには、お隣のお菓子屋さんの仕事を手伝う
アルバイトまで含まれている。
ターボエンジンが搭載されているに違いない。

さて、やっと待ちに待ったレッスン日がやってきた。

雨降りの前日とは打って変わって「ミーちゃん日和」。
吹く風が心地よい。

ミーちゃん、相変わらずの爽やかな笑顔。
旅の余韻は残っていても、
旅の疲れなんてものはどこにも見えない。
ノリコさん、玄関前、二階への階段の最上部分から
「どうも〜。ご無沙汰しましたー!」
この方も、人に元気と勇気を与えてくださる存在だ。
今日はいつもの見学参加者の皆さんの姿が見えない。

iMacはすでに起動中。
クラリスワークスのファイルが開かれている。
おー、やってる、やってる、ご子息さまのコメント通りの
「あっこのいないまにiMac」!

大切なのは、それである。
日常的にiMacをいじくり回すということだ。

突如、目の前に現れた、わけのわからない物体・・・
生まれたての赤ん坊のようなものである。
触ってみるのも、おっかなびっくり。
壊れてしまうのではないか、と。
そして、どうにか触れ合っているうちに、
扱い方がわかってくる。
たまには、ご機嫌斜めになることもある。
でも、意外と図太く生命力はあるものだ。

ミルクを与える手間がかからないだけ
iMacの方が楽であろう。
最低限、摂取すべきは電力だけ。
オムツだって必要ない。排出するのは熱と電磁波ぐらい。
オムツをしたらかえって危険だ。

こんなことを書いていると、「システム終了」するたびに、
「はい、Macちゃ〜ん、お昼寝の時間よ〜」
CD-ROMを入れるたびに、
「はい、お口、開けて〜。おやつよ〜」
そんなことを口に出してしまいそうだ。
気を付けてください、人前では。(笑)
iMacもかわいい顔してわりと腹黒い奴かもしれない。
甘やかす必要はない。好きなだけ触れ合っていただきたい。


やっぱり、マシンも「赤ちゃん」のようにイメージして、
育児のようなある種の「優しさと乱暴さ」で、
つきあっていくのがコツみたいだねぇ。
女の人、特に子供のいる人は、
この感じって、経験済みなので得意なんじゃないかな。
男性方の、ぎこちない扱い方と比べると、
そっちのほうがよさそうだと思わせてくれるよね。

(って、また明日につづくんです)

第9章 レッスン5・接続の苦闘(2)


いわゆるパソコン教室と、南波先生の家庭教師との違いは、
なによりも「時間の流れ」にある。
今日は何をするから、ああしてこうして、ということを、
効率的に追求したら、きっと、今日ぐらいからは、
もうレッスンは佳境にはいっているだろう。
しかーし、違います。ここは、そうじゃない。
お茶を飲んだり、逆に、生徒さんのミーちゃんから、
なんかしらを学んだりという、
情報の往ったり来たりやら、熟成やら、
時間を豊かにつかったレッスンが進行する。
もちろん、南波先生だって、ミーちゃんだって、
ただのヒマを持て余した主婦ではないのだということは、
読者だってもうご存じのはずでしょう。
時間はみんなに平等にあたえれている。
なのに、豊かに時間をつかっているのだ。

こんなふうに何かが学びあえたら、
もっといろんなことに挑戦する気にもなるよなぁ。

じゃ、あっこ先生、のんびりとお願いします。


話はミーちゃん宅のダイニングテーブルに戻る。

まずはミーちゃんの入れてくださる格別に美味しいお茶で、
しばし、ほっと心の休養。
今回の旅行2回分のフォトアルバムを見せていただいた。

海外旅行で知り合ったという全国各地の仲間数人と共に
伊東を旅するミーちゃんの姿。
うぉー、お洒落でかっこいい。サングラスもキマッテル!
最高齢のはずなのに、一番、若々しい。

「この赤い服はね、迷子になったときに
発見されやすいように着てるのよ〜(笑)」
いやいや、逆にそれは
リーダーの存在位置を示す色では?(笑)

「恋人岬」では「愛の鐘」を鳴らしてきたという話。
「本当に恋人ができちゃうかしら〜!」
そういって爆笑するミーちゃんは実にかわいい女性なのだ。

もう一つの旅行では、見覚えのある方々が勢揃い。
ここで見かけるメンバーを含む13名で
横浜港からクルージング。
「30代から80代まで各世代を取りそろえております」
そんな看板を掲げているような構成員。
飲めや歌えのスーパーミラクル元気集団。
さぞかし海もびっくりしたことだろう。

時間経過とともに、ビールに酔う人、船酔いする人が続出
した様子。写真は正直だ。
ところが、ミーちゃんだけは、変・わ・ら・な・い。
涼しいお顔で海風を受けて笑っている。

「きっと鈍感なのよね〜(笑)」
ミーちゃんはそう謙遜されるが、それは違う。
気持ちと身体をどんな場所にも同化できてしまう才能。
心理学的・生理学的に大変興味深い、この適応力。
Macの「先生」を卒業したら引き続き、
今度は「ミーちゃん研究」にいそしみたい。

この寄り道話の終わりに、もうひとつだけ。

聞き手:「若く元気でいられる秘訣は何なのでしょう」
ミーちゃんからの回答は以下の通り。

1. 美味しいものをいっぱい食べること。
2. たくさん動き回ること。
3. 欲望を持つこと。

この「欲望を持つこと」、これがかなり重要であるそうだ。
ミーちゃんの核心に触れた気がする。

「私はいつも目の前にエサがぶら下がってないとダメ。
そのエサを楽しみに生きてるようなものなのよ(笑)」

ノリコさんが笑ってこれに追加。
「なんたって、ミーちゃんは遊びの天才だもの!」

降ってわいてくるエサもあるだろうし、
自らちょっと向こうに
ポーンと投げておくエサもあるだろう。
具体的な目標(楽しみ)を目の前にいつも用意しておく。
「なんとなく生きる」なんて、ミーちゃんにはできない。
トシを取るにつれて、だんだんと欲望もなくなるものだが、
ミーちゃんは現役バリバリ、最先端。

今現在、ミーちゃんにとってのエサが「ほぼ日」への
メール送信だとしたら、おっと、どうしよう。
(十分、考えられることだっ)

「先生」、突然、焦り始める。
なにせ、前回のレッスンで、
インターネット接続に失敗している。
ほんの目の前にぶら下がっているエサをめがけて
口をパクパク開けている女性集団。
パン食い競走で、口元にあるはずのパンに逃げられ、
いつになっても食らいつけないようなものである。

ユキエさん、登場。
これから始まるパン食い競走に間に合ったようだ。

「じゃ、さっそくまたやってみましょう」
成功する確証はない。
ただ、今日は時間があるので、ゆっくりと検討できる。


わぁ!
10年くらい前に、ぼくは、谷川俊太郎さんとの対談で、
「世界は欲望で動いている、とも言えますよね」なんて、
小生意気なことを言った憶えがある。
「欲望」というコトバは、「愛」なんかに比べて、
あんまりいい意味では使われてないけれど、
もっと、ちょっとだけ言い方を変えれば、
すっごくいいコトバになるようなきがするんだよねぇ。

で、インターネット接続問題は、まだ持ち越しです。

(あしたに、つづく。どうなるかしら?)

第9章 レッスン5・接続の苦闘(3)


もう、忘れちゃっているかもしれませんが、
インターネットの接続が、まだできていませんよね。
それは、ぼくも、南波先生も、ミーちゃんも、
ミーちゃんちのギャラリーの皆さんも、
痛いほど知っているわけです。
iMacの内側のことなら、あっこ先生なんとかできるけど、
電話会社と各家庭の配線に関しては専門外ですからねぇ。
こういうケースでは、いわば素人に戻るわけですよね。

さ、つづきをお願いします。


今日も相変わらず壁にはモジュラージャックが4つ。
特にどこにも手が加えられた様子はない。
どうなるものでもないような気がしながらも、
前回同様、全てのジャックに繋いでは試してみる。
そのたびに、ノリコさんが二階の回線から下の電話を
呼び出してみたりして、回線状態をチェック。
とにかく、どういう構造になっているのだか、
それだけでも把握したい。

このコード抜き差しのせいで鳴る玄関の「ピンポーン」。
前回、思わずそれに「はーい」と
反応したミーちゃんであったが、
今回は即座に「あ、このせいね」と。
何度か鳴ったのであるが、
この中に本当のお客さまは
含まれていなかっただろうか。(笑)

どこかに繋げば成功するはず。期待を胸に一致団結。
例の「黒い物体」(「弁当箱」と命名--
しかし今回よく見てみたら「白い物体」だった)
に付いている
フタの中まで探ってみる。
中に複数のジャックを発見するも、結局、失敗。
素人業者たちによる、なんとも愉快なドタバタ劇。

こちらが専門の方、これをお読みになっていましたら、
ご一報を。というより、苦笑してやってください。

「もしかしたら二階のジャックが怪しいわよね。
この家、建てたとき、『二階でいいんですね?』って
NTTに何やら確認されたから、
たぶん、上のが本回線というか何ていうか。
とにかく怪しい」
ノリコ探偵、新たな推理。

「うちにすごく長い電話コードがあるんですよ。
あれ、持ってきてみたらよかったなぁ・・・」と私。
この素敵なお宅内の階段をダラダラと這う電話コード。
想像して笑ってしまった。

「もし二階のジャックで成功したら、ミーちゃん、
どうするぅ?二階にパソコン置いて、
そこまでいちいちやりに行くってのも大変よねぇ(笑)」
ノリコさん、それは確かに。
いくら足腰に何の問題もないミーちゃんでも、
それはちょっと面倒くさい。

「工事でどうにでもなると思いますけどね」
「そうね〜」
などと思案に暮れながらも、全員の心にわきあがる、
ある一つの欲望。

「二階にこのiMacを持っていって試してみたい」

誰の発案というわけでもない。空気に漂う好奇心。


運ぶってか?!
二階に、移動させるってか?!
なんだか、男手のない状況での、女の力仕事って、
「やったほうがいいこと」のひとつなんだと思いますね。
女子校でも、毎日こういうことが行われているわけで、
「かばってもらう女性像」みたいなもんは、
こんなふうに現実に乗り越えられていくんだな。
がんばれ、力仕事の女たち。

(よいしょと、あしたにつづくのであった)

第9章 レッスン5・接続の苦闘(4)


インターネット接続の実現に向けて、
力で二階にiMac を移動させようという女性部隊。
今日は、すぐに本文に入りましょう。

どっこいしょ、っと。
南波あっこ先生、ではレポートを、
開始してくださーい。


全てのコードを外す。
本体は私。
キーボードはノリコさん、マウスはユキエさん。

ヨイショっと!
これを落としたら一大事。
目の前のエサを逃がすどころの話じゃなくなる。
「iMacベイビー、さぁ、お散歩よ〜。
しっかりだっこされててねー!」

ミーちゃんを先頭に、二階への大名行列が始まった。
「下に〜、下に!」
いや、この場合、道ばたの民衆はいない。
二階めざして、「上に〜、上に!」
iMac、赤ん坊と言うよりお殿様気分か?

電源コードに引っかかってiMacが転がり落ちないように
ノリコさんがそのコードを持ってくださる。
コード、ウェディングドレスか何かの裾であるような、
はたまた、私の抱く猛犬の鎖であるかのような。
無性に可笑しくなり、腹筋とともにiMacが揺れる。
笑いは時として人を苦境に立たせるものだ。
「iMacと心中」・・・ま、これもなかなか。(笑)

二階の壁にはモジュラージャックが一つ。
そして、ここにも「弁当箱」が存在する。
さて、どうなるか。

結果・・・あっさりと失敗。

赤ん坊だか、お殿様だか、ご神体だか、
もうわからなくなってきたが、
とにかく、このiMacさまも肩を落とす。
皆、その孤独な影を見つめながら、
「これはもうNTTのお世話にならないとダメねぇ・・・」

最初からお世話になっていればよかったのに、って?
そこは女の意地である。
この軍団の好奇心がそんな
容易い手段を選ばせるわけがない。
でも、全員、十分楽しんだ。
そろそろ元を取ったかのような気分である。
ここはひとつ「降参」を認めよう。

ノリコさん、さっそく「106」に電話する。
事情を一通り話した後、私とタッチ交代。

「えっ?じゃあ、結局、
どうもがいてもダメだってことなんですか〜?」
「はい、ダメですね。この場合、
回線のジャックから一本線を出して
新たに差し込み口を作らなくてはなりませんね。
工事代がかかってしまいますが、それでもよければ・・・」

ノリコさん、工事日を指定して電話を切る。

あじゃ〜〜!
無駄なバトルをしていたわけだ。
一日かけて探していたモノが実はポケットに入っていた、
そんな時の「な〜んだぁ」な感触。
それでも解決方法が見つかった喜びには代えられない。
全員、とりあえず気の抜けた笑いでその場をしのぐ。

さて、また「下に〜、下に!」
iMacさま、帰り道もどうぞよろしゅ〜。

無事、所定のラックに戻ったiMac。
珍道中、大変お疲れさまでした。
NTTの工事は二日後。 もうすぐだ。


ワーオ、降参ですか。
はじめから降参していればよかったのに、
なんて考える人は、この「おたのしみ感」が
わからないと思うな。
要するに、女の意地もあるだろうけれど、
この人たち、こういうことも含めて、
たのしんでいるんだと思うんだよなぁ。

(降参しても、あしたにつづくに決まってますよ)

第9章 レッスン5・接続の苦闘(5)


インターネット接続が、電話会社の手を借りなければ
無理だということがわかって、
じゃぁ、することがなくなったかというと、
そんなこと、あるわけない。

プリンターが同じ時に届いたはずだから、
これもセッティングしなきゃね。
これまた、初心者にはめんどうくさいことなんだ。
そっちを、やっておこうというのが、
この時の南波先生の方針。

でも、その前に「お昼」だよ。


では、今のうちにプリンタを繋げておこう。
プリンタが入っていた箱から付属品を取り出す。
とりあえずインクカートリッジを
テーブルの上に置いたところで・・・

「そろそろお昼ですよ〜」
お隣からの声。

勝手口からランチ用サンダル(笑)を履いて表に出ると、
テーブル上は、例によってお料理の花ざかり。
すぐ横はお隣の調理場。効率的なロケーション。
ビールをついで「いただきまーす!」
各自、大皿から各種お料理を
好きなだけいただくというシステムだ。

ここでも恋人岬の愛の鐘が話題にのぼった。
「ミーちゃん、インターネットで
恋人さがしでもしたらいいのよ、ねぇ!」
「じゃ、18才って書いておこうかしら(笑)」
もちろん今のはミーちゃんの発言。
「会ってびっくりじゃ、それもどうかしらね〜」
「そうねぇ。あまりホラを吹くのも何だから、
それじゃトランペットでも吹いておこうかしら」
ミーちゃん、面白い。

今回の話題の中心はパソコンとインターネット。
「うちの店の通販もミーちゃんが
iMacで担当してくれるようになればいいのよね〜。
インターネットで」
ミーちゃん、目を丸くしながらも、
内心どこかでそんな欲望がふと芽生えたかもしれない。
新たな「エサ」出現か!?

店主、ハツミさんとノリコさんがさっきから
気になる行動をとってらっしゃる。
指先で何かをポーンポーンと宙に弾き飛ばしているのだ。
何かの儀式であろうか。

「この間をくぐり抜けるってのは、
やっぱりかなり難しいわよ」
とノリコさん。
「この間」とは、背後に立っているラティスの、
その格子の目のことだ。やっとわかった。
弾き飛ばされているのは、サクランボの種であった。
自然のものは自然に帰すわけか。
それにしても、両者、プロの指さばき。(笑)

このお二人は、よく海外旅行をともにする仲である。
「旅行先のホテルでは下着にせっけんをつけて身体を洗う。
これぞ、一石二鳥!」
大胆というより効率的かつ合理的。大いに気に入った。
・・・暴露してよい話であったのだろうか。(笑)

あ〜、たくさん食べて、たくさん笑った。
ほろ酔い気分がさめぬうちに(?)
さて、午後の部に入ろう。


おお、「通販」でも、「恋人探し」でも、
じゃんじゃんやってほしいものですね。
ノリコさんハツミさんの、
サクランボの種飛ばしは、ぼくもよくやります。
指で強くはさんで、すべらせるように飛ばす。
そういう方法でしょう?
・・・でもなぁ。
ぼくよりさらに年上で、
サクランボの種飛ばししている女性って、
日本中に何人もいないような気がする。
プリンタのことは、午後ですね。

(もちろん、あしたはプリンタの接続でしょう)

第9章 レッスン5・接続の苦闘(6)


いつまでもお昼を食べているはずがない。
ビール飲んだりワイン飲んだりしていても、
ちゃんと、お教室にもどるわけだ。
さぁ、プリンタとの接続だぞ。
また、なにかトラブルに出合うだろうか?!
つながってからも、プリンタってのは、
いろいろめんどくさいことしでかしてくれるんだけどね。

南波先生、プリンタ接続の部、
ご報告お願いしまーす。


iMac周辺に戻ったころ、ジュンコさんが登場。
いつも明るく楽しい方。やはり、結局は全員揃うのだ。

ミーちゃん、テーブル上に目をやって、
「あら、これ、何かしら・・・ようかん?」

「あ、これはインクなんですよ、プリンタの(笑)」
しばし、ミーちゃん含む一同、大笑い。

アルミ真空パックふうの物体。
言われてみると確かにようかんに見えなくもない。
このように包装された、ミニサイズのも売られている。
ダイニング・テーブル上に
普通置いてありそうなものと言ったら、
そりゃあ、ようかんの方だ。
ミーちゃん、がっかりさせてすみません。

袋を開けて、それがようかんではないということを
明らかにしてみせる。
「はぁ〜、そういうものが入ってたの〜。
でも、美味しそうな色してるわね」
確かにカラーインクの方は美味しそう。
でも食べられません。

そしてプリンタに装填。
「ランプが点滅している2分間は
絶対に電源を消さないでください」との注意書き。
ユキエさんが監視役。
「まだよ、まだよー。あ、ランプが点灯に変わったわね」
お役所勤務時代にコンピュータを
日常的に使ってらっしゃったとのこと。
Macについては初体験。

付属のCD-ROMからドライバソフトをインストール。
「Macは、この『インストーラ』
というものをダブルクリックするだけでいいんです」
ミーちゃんにインストール作業をしていただく。
セレクターで、このプリンタを選択し、
あっけなく作業完了。

さて、試しに印刷してみよう。
もちろん、その標的は「ミーちゃんファイル」だ。
「こんなワープロ用紙でもいいかしら」
ノリコさんが持ってきてくださった用紙をセット。
「インクジェット専用紙というものもありますけど、
今は文字だけですから、これでいいですね」

メニューバーの「ファイル」から
「用紙設定」を選び、「A4」に。
さあ、こんどは同じ「ファイル」から「印刷」を選択。

開かれている「ミーちゃんファイル」を
1ページだけ試しに印刷してみよう。
印刷設定の「きれい」という方を選んでみる。
速度は遅めだが、確かにきれいにプリントされて出てきた。
2ページ目以降は「速い」を選んでやってみる。
カラーではないので、どちらも見た目に変わりなかった。

それまでiMacだけが知っていたミーちゃんの心情が
プリンタを介して、今、紙の上に蘇る。


あ、ここで、ぼくの経験からの一言。
「インクって、すーぐ無くなっちゃうからね」。これだけ。
さぁ、いったい何が印刷されて出てくるのだろうか?

(それは、あしたのおたのしみ。つづく)

第9章 レッスン5・接続の苦闘(7)


いよいよ、ですね。 プリンタから、ミーちゃんの書いたナニカが、
紙に印刷されて世間に生まれ落ちてくる時です。
「文章」って、書かない人は
一生書かないようなところがあるんだけど、
そういう人でも、メールを憶えると書くんですよね。
カグチさんも、ゆーないとさんも、
文章書く人じゃなかったはずなんですが、いまは、
いっくらでも書いていますよね。
ぼく自身だって、「書くの嫌い」なんです、ほんとは。
なのに、毎日じゃんじゃん書いていますもんね。
不思議なんだなぁ、これって。
メールって、必ず誰かが読むって前提があるからかなぁ。
ミーちゃんは、もともと文章書くのは
嫌いじゃないタイプのようにも思えるんですけれど、
どうなんだろ?

さ、南波先生に、バトンタッチします。



「どうも堅い文章になっちゃって。でも、
びっくりマークやクエスチョンマークの出し方を覚えたら、
急に文字が前に飛び出だしてくるようになったみたい」

文字がイキイキとミーちゃんの気持ちを表現している。
一日分、約5行。
その、わずか5行の中にしっかりと
その日のミーちゃんがつまっている。
これは、かなり感動的である。

それにしても、ミーちゃん、
クラリスワークスでいろいろと遊んでらっしゃるようで、
とても感心。
「あいうえおかきくけこ・・・・」と練習し、
変換して爆笑!などなど。
成功話、失敗話をとても楽しそうにお話しくださる。

ミーちゃんはレイアウトにもこだわりをお持ちだ。

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6月18日〜22日
 東京。横浜。伊豆方面に遊びに行き5日間も留守にして
 日記をさぼってしまいました。
 みんな旅のお友達でしたのでとても楽しくすごせました。

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この例のように、
本文は左端を一文字分下げて揃えたいとのこと。
でも、どうやっていいのかわからず、体裁が不本意だと
ちょっぴりお悩みだったそうだ。
そこで、インデントマーカーをご紹介。
「好きなだけ下げられますよ」
「あっら〜、びっくり!そうそう、
こうしたかったのよね〜」

悩みが解消されて、めでたし、めでたし、
と言いたいところだが、
実はミーちゃんには別の悩みがあったのだ。
悩みというより、大きな疑問符がポッカリとミーちゃんの
頭上に浮かんでいた。

「どういうわけか、
初めの頃の日記が消えちゃったのよね〜」
消えた・・・?
ノリコさんも身を乗り出して
「そう、そう。旅行に行く前に書いてた分が
そっくりどこかに行っちゃったのよ」

えーーっ?
あの「80の手習いでパソコンを・・・」
というものを含む一連の名文が・・・?
それは一大事だ。
他のファイルに引っ越ししたのかもしれない。
どんなことでも起こり得る。(笑)
ハードディスク上をくまなく捜査。
しかし、結局、見あたらない。

「きっとあのときよ。○○さんが遊びに来て、
このファイルで遊んだときよ。
○○さんたら、すっごい大きな黄色い字で、
言葉は忘れたけど、なんとか親子、
みたいなこと書いたりして(笑)」
「そうそう。あら、その大きな字も消えちゃったわね〜」
「じゃ、それを消そうと思って前のまで
みーんな消しちゃったのかしら〜」
「でも、消した覚えなんてないのよね」
「ゴミ箱に捨てるのが得意になったから(笑)、
どこかで捨てちゃったのかしら」

ミーちゃんとノリコさんの推理は続く。

ゴミ箱の中をチェックしてみても、
怪しいゴミはなさそうだ。
前回捨てた分がそのまま残っている。
ずっとゴミ回収車を待ってらっしゃるのかもしれない。
「まだ来ないのよ。週に2度は来るもんでしょう、普通」
なんて言われるかもしれない。(笑)

iMacが勝手に文章を消化・吸収してしまったのだろうか?
「この子はそんな勝手なこと、
しないと思うのですが・・・」
ちょっと擁護してやりたくなる。

もったいないことをしてしまったが、仕方がない。
旅行以降の日記だけでも、十分面白い。
もし、また消えてしまうと大変なので、
プリントアウトした日記は私がいただいてきた。
ここにある。
お見せしたい。でも、それはあとのお楽しみ。
ミーちゃんご自身が送ってきてくださることでしょう。
それが皆様にとっての「エサ」になれたら幸いです。(笑)



いろんなことがあるもんだなぁ、実に。
でも、なによりビックリしたのは、
もうすでに、「書いたもの」が
いっぱいあったらしいと言う事実。
もともとあったからこそ、なくなったりするんだもんね。
タイピングの練習も兼ねてだろうけれど、
毎日ちょこちょこ書いていくって、
やっぱり重要なんですよねぇ。見習わなくちゃね。

(さらに、明日につづくのであった)

第10章 レッスン6・そして網のなかに(1)


若い、実用のために使うという人なら、
きっともっと急いでいろんなことを学んでいくのでしょうが
普通の人が、よりよいコミュニケーションのために
インターネットにつながりたいという場合は、
そんなにあわてることはないのだと思うのです。
ミーちゃんが、ゆっくりと着実に、
自分なりのスキルをアップしていこうとする姿勢は、
案外、「途中で投げ出してしまう人」には
欠けているものかもしれません。

また、先生である南波あっこさんの、
思いやりのある指導は、
そういうミーちゃんの姿勢を尊重してくださっています。
こういう師弟関係がうらやましいと、
たくさんの読者がメールをくれます。
ぼくも、うらやましいと思っています。

では、第6回目のレッスンの様子を、
南波先生、レポートお願いします。



なんである、アイデアル(懐かしい!)

間違えた・・・アメデアル。
ミーちゃんレッスンにおける、初めての雨である。

梅雨に雨など「当たり前田のクラッカー」?
あぁ、雨が脳味噌にまで浸透してしまったようだ。

湿った脳細胞と共にお宅にお邪魔するのは気が引ける。
が、しかたない。これも人生のひとこま。
・・・あぁ、相当やられているようだ。

それにひきかえ、
カラッと爽やかなミーちゃんの笑顔。
まるで乾燥機にかかったように蘇る私の脳細胞。

見学者の皆さんの靴がない。
前回の「パン食い競走」がいけなかったのだろうか。
皆さん、お忙しいから、しかたない。
そのうえ、この雨だ。

スリッパに足を入れながら、気を引き締める。

「今、日記をちょっと手直ししてたんですよ〜。
そうしたら、なにやらおかしなことになって・・・」

おっと。
トラブルのお出迎えとは、なかなか粋な計らいだ。
なにせ、トラブルあってこその「先生」だから。

クラリスワークスで書いてらっしゃる、その日記、
「ミーちゃんファイル」。
画面を見ると、
どうやら、その下の方(新しい方)から順番に体裁の
手直し作業をなさっているようだ。

前回、本文を一字分下げて揃えたい、とのご希望により
インデントをお教えした。
しかし、今日については、それを実行されているのだか、
スペースを一字分入れての作業だか、それはわからない。

一目見てわかるのは、とにかく一字分下げて揃える
作業をされているとことだけだ。

「ここに一行あったんですよ、さっきまで。
それが、どこかこの辺に触れたとたん消えちゃって」

あぁ、また、消えちゃった・・・?

「消えてしまった」「消えてくれない」
お馴染みのフレーズだ。
ということは、ミーちゃんを常に悩ましているのが
この「存在」のトラブルだということである。

自分の意志・希望とは別のところで、その「存在」が
勝手に操作されているような感触なのであろう。

「どこのあたりを押したら消えたんですか?」
「スペースっていうんですか?この長いの。それを
押したと思うんですけど」
「そのとき、カーソルはどこにありました?」
「その文の先端にあったんですよね〜」

それなら、スペースがひとつできるだけのはずだが?

一行ずつスペースを入れて文章を揃えてらっしゃった
ということはわかったが・・・
それまで成功していたことが、ある行になったら突然
失敗するとは・・・。

「じゃあ、その一行が選択されてたとか?青い色に
なってませんでしたか?」
「いや〜、それはないと思うんですよね。
そういうことはしてなかったと思いますけど」
「こういうふうに、文字を選択してあるとき、
スペース等を押すと一瞬で消えてしまうんですけど」

試し書きをして、それを消してみせた。 
「あらー!」びっくりミーちゃん。
「ここ(return)を押しても消えちゃうんですよ。
その選択した部分が改行に変わっちゃいますから」
「あらー!そうなんですか。それじゃ気をつけないと。
へたに選択しない方がいいわね〜」

「まったく、ちょっとできるようになったからって、
生意気して(笑)いろいろなところ、いじってみたり
したから」
「あ、いいんですよ〜、いじってくださって。
みんな、失敗しながら覚えていくんですから」

「生意気する」
私にとってちょっとしたツボであった。
「それにふさわしい身分や年齢ではないのに出すぎた
言動をする」
ミーちゃん、謙虚なんだから、もう。

「パソコンを使うにふさわしい身分や年齢」?
そんなもの、あるわけない。
「出すぎた操作・作業」?
そんなものも、ない、ない、ない。

しかし、
ミーちゃんのおっしゃる「生意気して」とは
明らかに「欲を出して」という意味。
なら、ミーちゃんの本筋ではないか。
当然、欲を出さねば進歩はない。

ミーちゃん、iMacいじりを「生意気」とは思わずに
どんどん「生意気」していってください。

・・・などと話をまとめているようであるが、
「一行消え」の謎が解き明かされたわけではない。
いつもの通り、謎は深まるばかりである。



なるほどねぇ。
「生意気する」かぁ。
これは、ぼくが好奇心につられて、
冒険的なことをやるときの気分そのものだなぁ。
ところが、ことコンピュータに関しては、
息子のぼくは、まったくと言っていいほど、
「生意気しない」のですよね。
なんども言ってきているけれど、
使うソフトは、メールと、ブラウザと、エディターだけ。
それ以外に、調子づいて買ったやつは、
ぜーんぶ捨ててやりました。
『釣り竿一本だけで釣りをたのしむ』というようなことを、
パソコンでもねらっているのかもしれませんね。

〔さぁ、山場が来てますね。明日につづく、です!)

「海の日記念臨時版」80代からのインターネット入門。


この余裕のない忙しさで、やっぱり、しわ寄せ。
最初に謝ります。すみません。
昨日のこの連載を読んだ人は、
意識してなくても、なんか変だなと感じたことでしょう。
そのあたりのことは、理由があったのです。
説明するより、読んでもらった方が早い。
では、まず、南波あっこ先生の緊急メールからご紹介。



darlingさま〜!

南波あっこです。
お世話になっております。

今、更新されたものを見て、ちょっと「あれれ!?」と。

先日、添付しました「第5回その後」
というタイトルの「追加レポート」が載らないまま、
「第6回」に行ってしまったようですので。
(中略)
すみません。
編集上の都合でしたら、それで結構なんですが、
上のミーちゃん日記の一部の話が
第6回に出てくるので、心配なんですぅ。

あと、ノリコさんからのお電話 --「接続成功」について
書きました「第5回追加分」が載らないと、
接続したという事実が予めわからないのではないか、と。

追加分の添付がうまくいかなかったのかな、と、
ちょっと不安です。

と言いながらも、たぶん、
編集上の戦略なのだろうと安心してもいるんですが。(笑)

でも、どうなのかなぁ〜?
添付したファイルに欠陥(?)があったかな〜?

・・・などと、ちょっと焦るあっこでした〜。

では、失礼いたします。
お忙しいところお邪魔いたしました。


南波あっこ


賢明なる読者諸氏が、すでにご推察のとおり、
「編集上の戦略」でもなんでもなく、
darling 担当編集員が、大ボケをかましていたのであった。

しょうがないから、時間は逆流するけれど、
「接続成功物語」を、本日掲載させていただきます。

で、ではでは・・・。
レッスンから2日後の午後、
ノリコさんよりお電話をいただく。
「今、NTTの方がみえて、
工事してくださったんですけどね」
そうだ。今日こそ、工事予定日であった。
これでやっとインターネット環境が整ったはずだ。
「はい、で、あの、繋がりましたか!?」
「それがね〜」
はっ?「それがね〜」・・・とは、どういうことだ?
当然、嫌な予感、再び。

「うち、ダイアル回線だったらしいんですよ」
「ダイアル回線? あー、そうなんですか〜」
「で、繋がらないの」

はは〜ん。
「繋がらない」は「繋がらない」でも、
ちょっと眉間のしわが去るのを感じた。

「NTTの方がね、
もうこれで繋がるはずだって言うんだけど。
パソコン側の設定をどうにかするんじゃないか、
ってことなんですけど、どうなんですかねぇ」
「はい、そうですね。
じゃあ、今からちょっと言いますので、
その通りに設定していただけますか?」

工事は済んだ。
iMac側の設定的には、もうこれしかない。
でも、これでダメだったらどうしよう。

「えーと、りんごのマークのところから
「コントロールパネル」、
そして「モデム」というのを選んでください。
はい、「モデム」ってところで
マウスボタンを離せばいいんです。
何か画面に出てきましたよね?」
「えーと、ちょっと待ってね。・・・あ、はい、出ました」
「その『ダイアル』ってところ、
『トーン』ていう方に印が付いてますよね。
それを『パルス』の方に変えてください。
はい、そちらに黒丸が付くように」
「はい、選びました」
「じゃ、それで一度やってみてください。
NTTの方はまだいらしゃるんですか?」
「ええ。じゃ、やってみまーす。一度、電話切りますね」

電話はまたすぐに来た。

「お騒がせしましたー。繋がったようです」
「『接続』を押した後、
変なピーピーガンガンみたいな音が聞こえてきましたか?」
「ええ、壊れたのかと思ったけど(笑)」

「そして、その後、『リモートアクセス』の『状況』に
速度だとか接続時間だとか、そういう表示が出ましたか?」
「うーん、出たと思います」

しつこく確認する「先生」。もう、がっかりしたくない。

「じゃ、繋がったってことですね!あー、よかった!
おめでとうございますぅ!
あのうるさい音は、さっきの『モデム』っていう設定画面の
『スピーカ』で『切』を選べば、
音が出なくなりますから、
うるさいようでしたらそうしてください」
「はーい、ありがとうございました」
「じゃ、お時間があったら、適当に繋いでみてください。
次回、INTERNET EXPLORERなどの
詳しい説明をしますので、
またレッスン日についてはご連絡します〜」

ふ〜。ついにスタンバイOKだ。
次のレッスンには、もう「嫌な予感」なしで臨める。

******

その後、私からミーちゃんへ、レッスン日確認の電話。

「繋がったようで、本当によかったですね!」
「えぇ、でも、よくわからないからいじってないんですよ、
インターネットの方は」
「あー、そうですか。
次のときには詳しくご説明しますので。楽しみですね!」
「よろしくお願いします。
私なんて、まだもっぱらワープロで(笑)。
今度は、どの指でどのキーを押すかとか、
そういう方に興味が出てきましてね。
これまでは、わからないから、
適当にキーを押してたんですけど、
だんだんと欲が出ちゃって(笑)」

いいぞ、いいぞ。その「欲」が大切なのだ。
さすが、ミーちゃんである。
新たな欲望により常に前へ前へと進んでいる。
ミーちゃんの吸う酸素、摂取する栄養素、
そういうものの全てが欲望という名のエネルギーに
効率よく変換されているようだ。

インターネットという新たな刺激が、
この先、ミーちゃんにどのような欲望をもたらすのか。
お待たせしました、いよいよ、
次回はミーちゃん波乗り初体験!

以上が、ずっぽり抜けていたんですよ。
クライマックスだったんですよう。
ラブ関係の連続ドラマだったら、
長いこと事情があって別れていた恋人から、
急に手紙が着いたみたいな回ですよ。

さらに、もっと、ヌケはあったんです。
これはすでに掲載用の原稿になっていたのに、
番号のつけ間違いで、死角に入っちゃっていた分です。
これは、このままのカタチで、載せます。
今日の分全体が長くなっちゃうけど、許してね。
第8章 レッスン5・接続の苦闘(8)

さぁ、今日のぶんは短いよ。
レッスン5の最終回というよりは、
エピローグって感じでしょうかね。
でもね、短いなりに、なんかいいんですよ。
「!」をいっぱい使いたくなる気持ちって、
メールの文章を書いていると、よく湧き起こりますね。

じゃ、その短いやつを、
あっこ先生、ご紹介くださいな。



と言いながらも、最新の日記をマル秘特別公開。
以下、ミーちゃんの日記。

また雨になりました。今日は早く練習を始めようと
AM11時から始めました。肩がはってしまいました。
今日は一人の昼御飯なので少し続けます。
明日は南波さんがきてくださるので
厭きれられないように頑張るつもりです。
何か一つでもしっかり覚えなければと思っています。
できるかな?
外野の生徒さんに笑われますものね。______。
助けて神様仏様!!!!!
今電話で22年程まえに初めて海外旅行へ行ったとき
同室になった人から
リュウマチらしく肩や手の指が痛いので
何も出来ないと悲しい便りで、
私のように馬鹿でも元気ならイイナー_____と
感謝の気持ちでいっぱいです。幸せダナー!!!!!
コノママでよいのかしら?

これで、もう隠れているものはありません。
明日からは、時間の流れが普通になります。
ああ、恐ろしい恐ろしい。
こういう大ボケを、やっぱりやっちゃうんだなぁ。

そんなわけで、昨日の分と、明日以後の分は、
「インターネット接続済み」のミーちゃんの家を想像して、
お読みくださいませ。ややこしくしてもうしわけなかった。

(明日は、レッスン第6回の(2)です。ふ〜っ)

第10章 レッスン6・そして網のなかに(2)


ほんとに昨日は失礼をばいたしました。
つまり、えーと、前号までのあらすじ、
といっても、そんなに説明はいらないけれど、
要するに、ミーちゃんのファイルが、
急に現れたり消えたりする現象が追求されているんだ。
あらためて、その続きです。

もう謝るのはやめた。
さぁ、南波先生、ぼちぼちまいりましょうか。



文を選択してもいない。
通常通りのことをしただけ。
グラスに注いだはずのビールが、一瞬のうちに、
目の前から消失したようなものである。
これなら私もショックだ。(笑)

実験。 「現場検証」だ。
そのカーソルの位置で、いろいろなキーを押してみる。
しかし、どこを押してみても、文章は消えてくれない。
消えてくれないことを悩むのも、これまた、おかしな
話だが。

その一行が選択されていた、としか考えられない。
たどり着くのは、どうしても、そこしかない。
無意識のうちに文字の上をマウスでたどっていた?
しかし、「被害者の証言」とは食い違う。

「あ、私にしかできない間違いだから、いいですよ。
いくらやっても、先生じゃ、できませんよ〜(笑)」
そんなぁ、できないなんて嫌だ〜!(笑)

iMac、美味しそうに見えた一文を
消化・吸収してしまったようだ。
しかたがない。これを仮に「真相」としておこう。

しかし、
数行に渡って文章を選択しておいて、
インデントマーカーをずらすような
作業をしていたとしたら。
もっと恐ろしいことになっていたかもしれない。
その全体が「消滅の危機」にある。
思いがけない場所をつい押してしまい、
「あ、みんな、消えちゃったわ〜!」と。

「取り消し」を選べば元に戻るわけであるが、
一応ご説明はしたものの、
咄嗟にそれを思い出すかどうかは疑問である。

なにしろ、免許取りたての人がおっかなびっくりと
車を運転しているようなものであろうから。
ただし、iMacは公道を走れない。
他人に物理的危害を加える恐れはない。ラッキー。

関連して、ちょっと余談であるが、
私がMacとおつき合いし始めた頃、ちょうど自分の
車の調子が最悪のときであった。
いつエンストを起こして止まってしまうか、
ヒヤヒヤしながら走っていた。

Macを扱う際にも、いつ「爆弾」が出るか、
フリーズしてしまうか、ヒヤヒヤのしどおし。
だから、意識の中で、いつも車とシンクロさせていた。
外でも家の中でも気が抜けない、受難の季節であった。

さて、さきほどの一行消えであるが、
「何が書いてあったのかしらねぇ」
ミーちゃん、ちょっと気がかり。
そこで、私は微笑む。
「印刷したものを私が持ってますから大丈夫ですよ」

実は、その一行の内容を私は覚えていた。
前回のレポートで極秘公開した、あの日記部分に
たまたま含まれていた一行でもあるのだ。
すでに読者の皆さまの目に触れているわけだ。

なかなかラッキーなミーちゃんである。


そっかー。
南波先生の、クルマの運転のたとえ話はよくわかるわ。
高速道路に、ガソリンが残ってないまま
乗ってしまった時の怖さと、
電源コード持ってない状態の旅先で、
「ああ、バッテリーが切れるう」というときも似てる。

そうだよ、人間に危害を加えないなら、
多少手荒にあつかって、クセを憶えていったほうがいい。

(つづきは、もちろん、明日も掲載されてます)

第10章 レッスン6・そして網のなかに(3)


ずっと読んでいる方にはおなじみでしょう。
ミーちゃんの質問メモ。
初心者のうちは、何をどう質問したらいいかさえ、
よくわからないものなのですが、
いろいろ考え込まないで、書いておくほうがいいに
決まってるんですよね。
ぼく自身は、しばらくカタカナの変換がわからなくて、
例えば「ディカプリオ」というカタカナが欲しいときに、
「デザート」から「デ」を、
「フィジー島」から「ィ」を、
「カナダ」から「カ」、「プリンス」から「プ」
「リオのカーニバル」から「リオ」といった具合に、
スペースキイを押すだけで必ずカタカナが出てくるような
特殊な単語を考えては、
その一文字をカット&ペーストして
カタカナ単語を完成させてました。

その時、親切なトモダチ
(いまではポケモンの作詞家として有名な戸田くん)が、
『たぶん、ご存じなのでしょうが・・・』と、
遠慮がちにカタカナ変換を教えてくれました。
戸田くんも、結婚おめでとう。

そんなこと言ってる場合じゃないか。
南波先生、つづきをお願いいたします。



一安心されたミーちゃんの手が黄色い紙に触れる。
あっ、質問メモだ。

「『ず』ではなく『づ』の出し方」

「『つづく』と書くようなときに、どうやって
『づ』を出すんですか」
それは[D]と[U]で出るとお教えすると、
「あ〜、そうなんですかぁ。
調べればどこかに書いてあるんでしょうけど、
さぼっちゃって」
ミーちゃん、すぐにメモ。

ついでに、たぶんまだご存じないと思われる
小さい「ぁ」「ぃ」「ぅ」「ぇ」「ぉ」の出し方もご紹介。
[X]と[A]で、小さい「ぁ」という具合に。
あまり使うことはないとも思うが、念のため。

「あと、よくポンポン鳴らされるんですけど、
あれは変なことしたってことですかねぇ」
「そうですね。警告音のことですね?」
「文字を打ってる最中にもポンポン言われて(笑)」
「クラリスワークスでですか?
普通に文字を入力してる最中に?」
「そうなんですよ〜(笑)」

文字入力中に警告される?
う〜ん、どんな操作をすると警告されるのか、
ピンとこなくてちょっと悩む。

「その文字、入力禁止!」
「それは変換禁止!」
「文が長すぎる!」
「正しい指で打て!」

そんなふうに注意されるのだろうか。
どうも、このiMac、
なにかと意思を持ちすぎているようだ。(笑)

また現場検証しようにも、
その現場がいったいどこであったか、
「被害者」(「加害者」?)ご自身の記憶が
曖昧になっている。
もどかしくも微笑ましい未解決事件。
そのうち、私の目の前で、
同様の事件が発生してくれるだろうか。
それまで待とう。

「あ、そうそう。今日は新聞休刊日でしょう?
ノリコがインターネットでこれ見られるのかって」
前日の新聞。「明日は休刊日です」のお知らせ。
「ニュースはインターネットでどうぞ」
とのことが書かれている。
「はい、見られますよ。後で見てみましょう」

ついに登場、待ってました「インターネット」!

やっとここで、
「本当によかったですねー、繋がって!」

これを言いたくてミーちゃんに会いにきたはずが、
今頃になって初めて言っている。
「えぇ、まだ怖くて触ってませんけどね」

確かに。
「接続」はできても、さて、
じゃあ何をしたらよいのだか・・・。
それ以上は、まだ特に何もお教えしていない。
ピーヒョロロガーンガーンの
音色を楽しむくらいしかできない。

「ノリコさんからの電話でちょっとびっくりしました。
ダイアル回線(笑)」
「ね〜。ダイアル回線っていうのは、
昔の、番号を回すアレでしょう?
ここ建ってからまだ数年なのに
電話の回線はやけに古くさいのね〜」
「てっきりプッシュ回線だと思い込んでました」
「使ってる電話はプッシュですもんね〜、
だまされてたわね〜(笑)」

そこで新しいモジュラ・ジャックを拝見。
どんな大げさなことがなされたのか、見てみよう。

プレートというかカバーが3つ穴用に変わっている。
単に一つジャックが増えているだけだった。
これなら、回線をiMacと電話機に分配する器具も
必要ないし、さっぱりとインターネットができる。

さーて、そろそろブラウザ起動だ。
これを覚えていただかないことには、
いつになっても「接続」止まりだ。
「ほぼ日」にも行けない。

デスクトップ上に元々用意された
「WWWブラウザ」というエイリアスをダブルクリック。
IEが起動。

「あら、これ、どこを押したら出てきたの?
よく見てなかったわ」
おっと、これは一番重要な部分だ。
まずはこれを自分で開けないといけない。
今度は、じっくりと確認していただく。

そして、設定。
「だいたいこのままでいいと思いますけど、
いろいろと自分の好きなように設定できます。
なんのソフトでもまずはこういった「初期設定」で、
自分の使いやすいように変えるんです」

「この動いてるマークはな〜に?」
「ツールバーのアイコン・アニメーション」である。
IEのマークがグルグルグルグルと回っている。
「『回る地球』っていうのもありますよ。ほら!」
今度はグルグルグルグル回る地球だ。目も回る。

「こっちの方がいいわね」
予想していた通りだった。
なにしろグローバル感覚あふれるミーちゃんである。
「これはデータの送受信しているときに回って
それを示すんですよ」

「ホームページ」の設定は、MS社には申し訳ないが、
デフォルトの「まずはうちのIEサイトへ」状態を変えた。
「使用しない」を選ぶ。

その他の設定も一通りご説明。

そして、ついに、IEのウィンドウ画面に。
さて、どこから始めよう。

あれ?
この画面、なんだか、どこかが自分のIE画面と違う。
なんとなく、見た目が寂しいのだ。
古いバージョンは捨てたはずだが、あれあれ?

「ちょ、ちょっとお待ちください」
バージョンの数字を確認。・・・合っている。
う〜ん。何が足りないのか・・・。


この終わり方は、ちょっと心配かけるでしょう?
わざと、です。スリルを感じさせるための演出ね。
実はたいしたことないですから、安心してください。

(どうたいしたことないかは、明日につづく)

第10章 レッスン6・そして網のなかに(4)




十数秒後。あっ、な〜んだぁ。苦笑。
「ボタンバー」が出ていなかったのだ。
「戻る」「進む」「更新」等が表示されているあの
バーである。これがないと、なかなか寂しい。
それのあるなしくらい、一瞬で気付きそうなものだが。

「このポインタがこういう手の形に変わったところは、
押すとどこかに行ける場所なんです」
「はぁ〜」
「『リンク』というのですが、別のページに飛べる
わけです。また、実際にやりながらご説明しますね」

どこをどう説明しようと、実際に経験してみないと
わからないはずだ。
他のブラウザを使っていた人なら「なるほどね」で
済むだろうが、なにしろ、まったくの初心者。
単なる説明量の多さとそれによる理解度は正比例しない。
かえって混乱を招くであろう。

「お気に入りバー」に並んでいるアップル・サイトへの
ボタンはどうも邪魔なので(アップルさん、すみません)
「お気に入りの整理」というところで削除。
初めから用意されたものを素直に
そこに置いたままにしておくのも無駄というものだ。
ソフトは、自分に合った使い勝手を追求できる。
それをミーちゃんにも知っておいていただきたい。

さてと、いよいよ接続だ。

コントロールバーから「リモートアクセス」を開く。
開かなくても「接続」を押せば接続されるのだが、
やはり接続状況をチェックしながらの方が実感がある。

「リモートアクセス」ウィンドウの
「接続」ボタンをミーちゃんに押していただく。
前回までの悪夢がふと脳裏をよぎる。心拍数が上がる。
「不安神経症のパブロフの犬」か?(笑)

しかし、その不安、一瞬で笑いに変換された。
笑うのも失礼だが、笑いの方がドキドキよりも上等だ。

「ピポパポピポポ」に慣れている二人の耳に
「ジリジリジリ・ジリジリ・ジリジリジリ・・・」

うほほほほ、ダイアルが電話をかけている〜。
久々に聞くパルス・ダイアル音。
緊張感をずっこけさせるに値する音だった。

「本当にそうだったのね〜!」
ミーちゃんも爆笑。

ダイアル回線をバカにしているのではない。
高度成長期の縁側でスイカを食べる夏。
パルスの向こうに浮かぶ、懐かしい日々。
ほのぼのとさせてくれる音であるということだ。

「これじゃあ接続するのに時間もかかりそうね〜」
と、笑うミーちゃん。

NTTの工事の人も、ISDNのパンフレットくらい置いて
いきそうなものだが、特に見あたらない。
ま、焦って接続しなくてはならない用事もないだろうし、
「ゆとり接続」ということで、満足していただこう。

と言ってる間に、ちゃんと繋がった。

「接続が確立されると、
このリンゴのマークが電柱みたいなマークと
交互に表示されるんですよ。
今、そうなってますよね?」
「あら〜、ほんとだ」

さて、
まずはちょっと「検索サイト」のご紹介をしておこう。
まずは「goo」に行ってみる。
ここで試しに「ほぼ日刊イトイ新聞」と入力して検索。
たくさんのページが釣り竿に引っかかって出てきた。
「この言葉が使われているページを
見つけてきてくれたんです」

適当に一つ選んでクリックしてみる。
「これは個人の人のページですね。
どこかに「ほぼ日」の名前が載ってるはずですよ」
スクロール。・・・あった。
見慣れたイラストのリンクボタン。

「自分の気に入っているページに、
ここから直接飛べるよう、
こういうのを載せて紹介してるんです。
で、ここをクリックしてみると・・・」

ミーちゃん「はぁ〜」の繰り返し。「半納得」。

しかし、次の瞬間、
「納得」の「はぁ〜!」。
ここが噂の『ほぼ日』でございます。

「こんなにいっぱいコーナーがあるんですよ」
本当にスクロールのしがいのある目次ページだ。
「本当に新聞っていうか、雑誌っていうか、
そういうつくりなのね〜」
「読むところがたくさんあって大変です(笑)」
「ね〜!」

「お気に入りに追加」しておいた。
ついでに、その使い方もご説明。

本のしおりのようなものである。
ネットスケープの
「ブックマーク」という名称の方が個人的には好きだ。
「お気に入り」?
最初に耳にしたとき、ちょっと笑えた。
気に入らなくても覚えておきたいページも
中にはあるかもしれない。(笑)

「じゃあ、ここをクリックしてみてください」
ご自身が知らぬ間に主人公となっている、そのページ。
「主人公」が、今まさに、そのドアを開く。

イシノさんが毎日プリントしてきてくださる、
お馴染みデザインのページが現れる。
ウキウキと楽しそうなミーちゃん。
ちょっとドキドキな私。

もちろん、ここも「お気に入りに追加」。
ミーちゃん、気に入ってくださるといいのだが。

自分の書いたものをこうして見せられるのは
なかなか恥ずかしいものだ。
誰かに送ったラブレターが、ふと町内掲示板にでも
公開されているかのような気恥ずかしさ?
ま、その例えを想像してみれば、かなり気が楽に
なるが。赤面度が違う。

「これが今日の分です。
後で読んでみてくださいね。私が帰ったあとで」
照れ照れ。


パンパカパーン。
とうとうミーちゃんのiMacが、「ほぼ日」につながった!
もう、それだけでも、元取ったくらいですがな。
カグチさんちの「八千代ちゃん」も、
毎日読んでくれてるのよねー。

レッスン6、これで終わりじゃありません。
さぁ、このあとあっこ先生は、何を教えてくれるんだろ?

(むろん、つづきは明日でんがな。まーだ、毎日連載だ!)

第10章 レッスン6・そして網のなかに(5)


それまで、ミーちゃんは、「ほぼ日」のことを
まったく知らなかったのかと言えば、そんなことはない。
人間、助け合って生きていくものですからね。
ちゃーんと、親切なイシノさんが、毎日、
プリントアウトして持ってきてくれていたんです。
ありがたいですね。
インターネットと、プリントの組み合わせで、
ほとんどのメッセージは、日本中に届けられるでしょう。
これが、現在のネット・コミュニケーションだぜ!
おっと、ちょっとマッチョになってるぜ、オレ。
(エーちゃんのビデオをかけて仕事していたんでね)

南波先生に登場してもらって、
いつものテンションにもどしましょう。



手元には、それまでにプリントされた紙の束。
きちんとファイルに入っている。
「もう80枚くらいになるんですよ」
びっくり。
えんぴつで通し番号がふってある。
あとでハードカバーでもつけておこうか。

「土曜、日曜と、イシノさん、お休みで。
それに、今日はお店の定休日だから、もう3日分、
読んでないわけね」
「その日付けの方にもちょっと行ってみましょう。
ページの読み込みが終われば、接続を切ってからでも、
そこが読めますので、後でゆっくり」

一度読み込んだものについては(限度はあるが)
このマシーンが覚えていて、オフラインでは
その読み込み済みファイルが表示される。

IEの「オフラインでブラウズする」を選択する、
しないで、iMacの動作にどんな違いが生じるか等、
できるだけ簡単に説明したつもりではいるが、
たぶん「半納得」であろう。

やはり、何でも実際に自分でやってみないと十分な
納得は得られないはずだ。
後になって、
「そういえば、こんなこと聞いた気もするわね」と
思い出す程度でいいと思う。
何ができるものなのか、なんとなくわかっていただく
だけで今のところはいい。

さて、今度は「Yahoo!」の検索システムを見て
いただく。

最初からキーワード検索してもいいが、
暇な時などは、カテゴリー別の検索を使って、
テーマを絞り込んでいきながら、あちらこちら
遊びに行くのが面白い。

「海外旅行のところをクリックしてみましょうか」

「インターネットで予約できるんですってね?」
「そうなんです。便利ですよね」

では、もう少し絞り込んでみよう。

旅行会社がずらりと並ぶ。
「格安航空券」の文字にミーちゃんの目が輝く。
「やっぱり格安で行かないと(笑)」

すごい。格安チケットで海外を渡り歩く80代。

年齢を増すにつれ、人間、「安心」を高く買いそうな
ものだが。
ミーちゃんは、そんな必要以上の「安心」よりも
必要な「ワクワク・ドキドキしそうな楽しさ」を
買うのであろう。
もっとも、健康あっての必要性ではあるが。

某・観光会社サイトで、航空券情報をチェック。
「あ〜、○万円で行けるのね〜」
格安チケットに対する、ご自分なりの基準が
あるのだろう。さすが。
後でゆっくりと御検討ください。

ここで、ミーちゃん、しばし、飛行機体験談の
ほんの一部をお話くださった。

機内(まさか外の?)の露だか何やらが、
ちょっと傾斜している天井を伝わって集まり、
ミーちゃんと一緒のグループの、ある女性の頭上に
ポタポタ。
彼女、傘をさしたとか、ささないとか。(笑)

某・ロシア系航空機の太ったスチュワーデスさんが
食事を持ったまま、すってんころりん、したとか、
しないとか。(笑)

そんな楽しい話に花を咲かせているうちに、
「そろそろお昼ごはんですよ〜」
ノリコさんの声。

午前の部、素直に終了。必須、充電タイム。

外へ出てみると、雨は止んでいた。
いつも通り、「パティオ」でのランチ。
パリのカフェのような「ひさし」がついているので
雨でも大丈夫ではあるのだが。

今日はノリコさん、二階でお忙しそう。
染色教室を主宰。
お隣の調理場からお昼を運ぶノリコさんと
生徒さんたち。
あちらもランチ付きレッスンだったか。(笑)

お隣の店主であるハツミさん、ミーちゃん、私。
この3人が今日のテーブルメンバー。

ダイアル回線の話題から始まるインターネット話。

「ミーちゃん、同じ区域から引っ越してきたから
電話番号も以前と同じだし、NTTで何も変更する
必要がなかったんじゃない?
だから、昔のままの契約。ダイアル回線」
はい、そうですよね、ハツミさん。
ミーちゃんと私、大きくうなずく。

ハツミさん、
「マイナーな言語を使ってる国の人もホームページ
作るでしょ? で、その言語で書いたとしたら、
それはこっちのパソコンではどう見えるわけ?」
「あらかじめ入っている文字セットで、
いろんな言語に対応できるようになってます」
「じゃあ、その言語で表示されるってこと?」
「そうですね、はい」
「自動的に翻訳されたりはしないの?」
「特別なソフトを入れない限り、ちょっと
そこまでは」

ずっと疑問だったとのこと。
パソコンなら、そのくらいはできそうなもの、
との想像をされていたらしい。なるほど。
がんばれ、ブラウザ諸君!

いつも通り、美味しいデザート(赤福とムース)
までたっぷりといただき、満腹感が腰を重くする。
適度のアルコールも入っているわけで、
このまま心地よい昼寝に突入したいような。

雨が降り出した。
午後のレッスンへと私たちをせかすように。
空にまで気を遣わせてしまっているのだろうか。
ミーちゃんを取り巻く「タイミング」には
いつも驚かされる。


「インター」な感覚っていうの?
国際、とか?
そういう匂いが、してきていますよねー。
群馬県の前橋のある家が、この時から、
世界とつながりはじめるんだ。
そんなこと、ミーちゃんが生まれたころには、
想像すらできなかったことでしょうねぇ。
「時代は回る」ボブ・ディラン/中島みゆき。

(さらに明日につづくんです。がんばろう、俺たちも!)

第10章 レッスン6・そして網のなかに(6)


長めの回が続いたので、今日はさらりと行きましょうか。
ネットにつながったからといって、
それだけですべてはオーライとはいかない。
正直にもうしますが、
知識がふえないまま、もうじき入門の時から2年になる
ぼくは、これから書いてあるようなことを、ずっと
知らずにきていました。

どういうことかといえば・・・。
南波あっこ先生に聞いてみないとね。



家の中では、インターネットに繋がったことで
鼻高々のiMacが待っている。
「ボクは、本来、こうして外の世界と接触する
ために生まれてきたんだよ〜」
そう言いたげな顔つきだ。
もっとも、その時点では、彼もすっかりお昼寝
モードに入ってしまっていたのだが。

ノリコさんがふと通りかかり、
「この『スリープ』って状態、30分っていう
設定になってるみたいだけど、もっと短くは
できないんですか〜?」

「コントロールパネル」から
「省エネルギー設定」を開いてお見せする。
「スリープするまでの非動作時間」
これが「30分後」に設定されている。
「そうですね、一応、30分後というのが一番
短いものですかねぇ」

ここで、「なぬ?」とお思いのMacユーザーの皆様、
すみません。
私は普段「スリープ」は使っていないので、
咄嗟にこんないい加減なことを答えてしまったが、
実は、はい、そんなこともないわけで・・・。

「画面のスリープを別指定する」という設定が
あることを忘れていた。
「詳細を隠す」という画面になっていたので、
そこはちょうど隠されていたのだが。

そう、5分後から設定可能。
次回レッスンでは訂正しておかないと。

また、
手動で即座に「スリープ」させることもできるの
だから、一刻も早くiMacをお昼寝させたければ、
メニューバーの「特別」から「スリープ」の
ところでマウスボタンを離せばいいわけだ。

ノリコさーん、
iMacはいくらでもご主人さまの言いなりになる
素直な子です。よろしくお願いしますね〜。

さて、またインターネットに再チャレンジ。


そういうことができるならと、
自分のパワーブックもスリープ設定しました。
いろいろ考えてやってみたのですが、
これでよかったのかどうかは、使い込んでいかないと
わかりませんね。
あんまりすぐ眠ってしまうと、これはこれで不便だろうし。

(さぁ、また、明日につづくのであります)

第10章 レッスン6・そして網のなかに(7)


ついに、ここまで来たか、の今日のレッスンですよ。
仕組みがどうなっているかを考えているよりも、
わからないなりに「使う」のが、
理解の助けにもなるんですよね。
旅行の好きなミーちゃんに、そのへんのサイトを
覗いてもらうというのは、
見事なアイディアでしたね。
ぼくは、そのへんのページって、
いちども見たことありませんでした。

さぁ、どういうふうに興味がかきたてられるのでしょう。
南波先生に、バトンタッチしましょうね。



今度は試しにJALのページに飛んでみる。
まずは、本日の「空席情報」をチェック。
ずらずらずら〜っと出てくるリスト。
こうして私がのんきにしている間にも、飛行機、
しっかり飛びまっくっているのか。

「パリ、シャルル・ド・ゴール空港着」便の
「ファーストクラス」の文字をクリック。
予約画面が登場。

こんなに簡単に予約ができてしまうというのでは、
ついうっかり実際に予約してしまいそうだ。
空席は・・・まだ、ある。
さあ、ミーちゃん、どうします?(笑)

「ずいぶんと便利になったのね〜」
「世界」を間近に感じて感激のミーちゃん。

そんなこんなで遊びながら、さらに、というか、
もう一度、ブラウザの使い方を覚えていただく。
ミーちゃん、スムーズな相づちで進む。

すると、ノリコさんが通り過ぎ、
一度出ていったドアを開け、顔をひょっこりと出す。

「ミーちゃん、今の返事は『わかってない』って
いう返事のしかたよ(笑)」
ミーちゃん、一瞬、「あっ・・・」
あ、ばれたか・・・って?(笑)

「調子よく『はい』『はい』って、
あれは、わかってない『はい』だったわよ」
そして、にっこり笑い、
「私の分までちゃんと聞いておいてよね〜」
「あ、ほんと、そうね〜。ちゃんと理解しなくちゃ」
素直にノリコさんからの忠告を受け入れる。

ここの母と娘の関係、いつも素敵だ。
ノリコさんの言葉は、ちょっとクールな水面を這う。
でも、すくってみると手の中で暖かい。

ミーちゃん、みんなに愛されるためにこの世に
いらっしゃるかのような存在。
そして、それは、ミーちゃんの人徳がもたらす
結果に他ならない。

さーて、そろそろ、メールソフトに移らねば。
とりあえず、使用するのは、先日、最新版を入れた
OUTLOOK EXPRESS。

実のところ、私も、
レッスン前日になって慌てて使ってみたという状態。
短時間で把握できた基本だけしか教えられないが、
前日のメール送受信テストは成功したから、
ま、いっか。

まずは、やはり「初期設定」だ。

「メッセージの作成」で、
「メール送信の形式」を「テキスト」に変更。

OUTLOOK EXPRESSというと、
いつも最初に思い浮かべるのが、ここであった。
「HTML」がデフォルトというのは、あまり
親切ではないな、と感じてきた。

文字化けしたHTMLメールを受信するたびに、
プレーンなテキストが電子メールの基本であるはず
なのでは?と思ってしまう。
知らずにそのままの設定で使用してしまう人のことを
考えると、居ても立ってもいられない。

他の設定については、特に変更はしなかった。

メインウィンドウの左側のアイコンと文字から
どれを選択するかによって右側の表示がどう変わるか
お見せする。

「受信トレイ」「送信トレイ」「下書き」等は
実際の箱。
順に、「届いたもの」「送る準備のできたもの」
「まだ書いている途中のもの」を保管しておく
3つの箱を想定してもらって、納得していただいた。

「削除したいものについては、
このゴミ箱に持って行けばいいんです」
そう説明すると、
「あら。こんなところにまでゴミ箱があるの〜?」
ゴミ箱といえば、デスクトップ上だけだと
思い込んでらっしゃったのだろう。
「ええ、これはメール専用のゴミ箱なんですよ」

とりあえず、「ほぼ日」と私のメールアドレスを
アドレス帳に入力していただく。
「ここで人を選んで『メール送信』を押せば
その人のアドレスが自動的に入った新規のメール
ファイルが画面に出てきますので」
試しにやってみた。

私宛てに「テストです」とだけ書いて
「後で送信」を押し、「送信トレイ」に入れておく。

「ほぼ日」宛てのものについては、
宛先アドレスだけ入ったファイルを作っておき、
後でゆっくり内容を書いていただこう。
こちらは「保存」を押しておく。
すると自動的に「下書き」という箱に入る。

その「下書き」等の箱から、どうやってまた
メッセージを書く画面まで引っぱり出すかについて、
つまり「メッセージを開く」についての説明も
したのだが、いくらやっても不安がつきまとう。

「まったくの初心者が一回で覚えきれる範囲」を
ちょっともう超えてしまっているように感じた。

接続して、とりあえず、私宛てのメールを送信。
このiMac、生まれて初めてのメール送信作業、
無事、成功。
ちょうど目覚まし時計も鳴ったので、ここで終了。

物理的に接することはなくても、お互いの気持ちを
やりとりできるEメール。
ミーちゃんもきっと気に入ってくださるはず。

若者を含む、あらゆる世代の人たちと接し、
一緒に楽しむこと。
なにしろ、これが、ミーちゃん若さの秘訣(追加分)。

そのうち、ミーちゃんの「アドレス帳」も
いっぱいになるだろう。

また、
メールだけでなく、掲示板やチャット等を楽しむ
ミーちゃんの姿を想像するだけでもワクワクする。

ミーちゃん、老け込むチャンスも暇もありません。


そうそう。
これはちょうどいい機会だから、言っておきましょうね。
「OUTLOOK EXPRESS」を
メールソフトとして使っている方は、圧倒的に多いのですが
これが、ほとんど、必要のない「添付ファイル」が
付いてくる仕組みになっているんですね。
つまり、それが、メール本文とおなじものを
「HTML」にしただけのファイルなんです。
これ、まったく、不要ですよね。
必要な場合もあるのはわかるんですが、
今回のレポートを読んだことをきっかけに、
やめたりしてくれても、いいんじゃないかと思います。

いやぁ、それにしても、ここまでたどりつきましたねぇ。
ミーちゃんと、南波先生の二人三脚に、
みんなが拍手してくれるにちがいありません。

(そして、まだ終わりじゃないから、明日につづく)

第11章 子連れのレッスン7だった(1)


もう、7回目のレッスンなんですよ。
家庭に出張してくれて、ていねいで、やさしくて、
こんな先生が日本中にいたら、
日本は確実に変わるでしょうねぇ。

あと、誰かに教えることでの発見というのも、
たしかにあるので、PCを使える方は、
「南波先生のように」生徒さんを見つけて
教える立場に立ってみてはどうでしょうか?
「ほぼ日」に寄せられるメールを読むかぎりでは、
近しい人に教える時って、ついイライラして、
乱暴になってしまうものらしいですね。
(それは、先生の側の課題だと思うんだよね)
リーダーシップの勉強のために、いかがでしょう?

さぁ、新しいレッスンのレポート。
南波先生、まいりましょうか。



なんやかんや忙しく、一週間以上ミーちゃんのお顔を
拝見できずにいる。
そして今日も昼間にいくつかの雑用が・・・。

しかし、そんなことばかりも言ってられない。
ミーちゃん、「ほぼ日」に
早くメールを送りたいのに送れない。
いつでも送れる状態なのに「先生」からの
許可が得られないで、
やきもきしてらっしゃるかもしれない。

もしくは、メールソフトの使い方がよくわからず
「これなら、やっぱり手紙の方が便利ね。
封して切手貼ってポストに入れるだけですも〜ん」
なんて思ってらっしゃるかもしれない。
これじゃ私のミッションの意味も疑われてしまう。

そりゃ大変だ。
それに「毎日連載」用のストックも切れてしまう。
さて、あわてよう!あわてるぞー!
こんなこと自分に言い聞かせる人も珍しいが。(笑)

「子連れになりますが、今日、よろしいでしょうか。
それに、夕方、ちょこっとの
『レッスンもどき』になってしまうと思いますが」

「あわてた」感じが出ているだろうか。(笑)
実際、本当にあわてているのだ。
そのあと、空までがあわてて、雷を落とす始末。
まだ正午過ぎだというのに。
そして、大雨になった。

さあ、保育所からミーちゃん宅へ直行だ。
空は、今度は、あわてて大雨を小雨に変えてくれた。
人間も空も、天地万物、まったく忙しいもんだ。

ちょうど玄関の外にいらっしゃったミーちゃん。
道路一つ隔てたところにある駐車場まで
お迎えにきてくださる。
わざわざ、どうもすみません。

車からぴょんと飛び出た私の相棒の手をとり、
「いらっしゃ〜い。一緒に行きましょうね」
傘の下に入れてくださる。
やけにすんなりと手を引かれて歩いてゆく相棒。

この4才の「小さな見学参加者」は
玄関を抜けると、何の迷いもなく、
向こうに見えるiMacに直行。
ちゃっかりとイスに腰掛け、電源ボタンを押す。
「恐竜のゲーム、やろーっと」

今回の「子連れレッスン」を少し悔やむ瞬間。
「その恐竜のは、
ミーちゃんちのiMacには入ってないから」
それを聞くと、彼の手は自動的にマウスを掴み、
アップルメニュー(りんごマーク)からジグソー
パズルを起動する。

得意顔の彼は「世界地図」を
細かいピースにしてパズルを作り始める。
そして、そうすぐには完成できないと
察知するやいなや、「パズルを解く」を選び、
iMacに作業を続行させた。すました顔して。

「あらー、何でも知ってるのねー!
こんな小さいのに、偉いのね〜」
ミーちゃん、これが彼の日常なんです。
もし、こういう味を覚えていなければ、
彼も朝寝坊しないで済むわけで・・・。

そのあと、運悪く、恐竜のゲームの在処がばれてしまう。
ノリコさんもミーちゃんも、
そんなゲームがそこに入っていたことを
初めて知り、びっくり。
「ボク、やってていいわよ〜。
先生は、どうぞお茶でも召し上がっててください」

この子供の父親などは、iMacが発売された頃
このゲームをやりたいがために、
日々パソコンショップに通っていたぐらいだ。

しばらくして、ゲームオーバーになると、
さっさと[コマンド]と[Q]を押して「終了」させる、
小さなMacユーザー。
ぴょこんとイスから降りて、
美味しそうなアイスクリームの乗ったテーブル方向へ進む。

特に教えたこともないのに、必要に応じて、
「ここと、ここと、ここかな?」と、
なんとなくキーを押し、強制再起動までしてしまう。
字も読めない子が当たり前の顔をしてパソコンを操る。
特にMacの場合、
感覚だけで基本操作ができるような気がする。


またまた、新しい登場人物ですねぇ。
そうなんだよなぁ。
なにか、大人って、パソコンを怖がっちゃうんだよねぇ。
爆発物でもないし、
人間を傷つけるようなものでもないのに、
なんだか「異人さん」に恐怖するように、
おそるおそるの付き合いになってしまうんですね。
自動車とかテレビとかいうものも、
こういうところからだんだん人間社会に
溶けこんでいったんでしょうね。

(無事、毎日連載は続行。明日につづく)

第11章 子連れのレッスン7だった(2)


「子供の方がやっぱり覚えは早いし、
私なんかよりすごいわねー」
ミーちゃんはそうおっしゃるが、
さすがに、幼児はワープロソフトで日記はつけられない。

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こんなのが並ぶのがオチだ。

ただ、子供は「ちゃんとやらなくちゃ」という
構えがない分、気軽にパソコンと遊んでしまえるのだろう。
爆弾マークが突然目の前に現れれば、
さすがに焦りもするだろうが、
どんなことをしても、爆発するとか、
ガス漏れを起こすとか、
そういう恐れがないことをわかっているので、
安心してじゃれ合っているのだと思う。

大人が仕事で使う場合と、気負いが全く違うわけで。

ミーちゃん、
iMacを操作することを
「仕事」だとは思わないでくださいね。
単なる「遊び」としてお気楽にどうぞ。

先ほどまで自らを「本日の実演者」だと勘違いしていた
「小さな見学参加者」が、
美味しそうなクッキーをパクパク食べている間に・・・

さて、
今日の本題、メールソフトの復習に移ってしまおう。

OUTLOOK EXPRESSが起動される。

あっ!
「受信トレイ」や「送信済みトレイ」の中身に変化が
あるではないか。
ということは、使ってらっしゃるということだ。

ある夜中、目が覚めて、ふと振り返ってみると、
ハイハイしかできないと思っていた赤ちゃんが、
なんと、当たり前な顔して歩き回っている。
それも「ママー、今、自分でミルクつくってきたよ」
なんて、話しかけてきた(笑)。

大げさすぎて、ミーちゃんにはとても失礼なたとえ。
でも、ニュアンス的は、少しだけこんな感じだ。
(いや、やはり、大げさだ。撤回、撤収、回収!)


「仕事」だと思わないで、「遊び」だと思う。
このことは、実は、簡単そうで難しいことなのだ。
ぼく自身も、あらゆる仕事が
「遊び」の楽しさになるまで、
かなり息を止めてのめりこむような時間を過ごす。
来週あたりに、ここに掲載するはずの
「ミーちゃんの日記」を読むと、
お気楽に見えるミーちゃんだって、
責任感の重さによろけているような時間を
持っていたようだ。
申し訳ないけれど、どんなことでも、
新しい世界にはいりこむときには、
そういう苦労をしなければならないものなのだ。

とてもたくさんの「ほぼ日」読者の応援が、
もちろん重圧にもなるわけだし、
たいへんな励みにもなっているわけで、
そういう「大試合」で活躍できるのは、
やっぱりシアワセなことなんだと、
思っていただくしかありません。

(そして、さらに明日につづくのです)

第11章 子連れのレッスン7だった(3)

ミーちゃん、ほんとは、Eメールを
「半・使える状態」にまでなっていたんです。
このあたりで、先生が離れてしまうと、
「うろおぼえの綱渡り」が、かなり
ながいこと続くことになるんでしょうね。
ぼくみたいに。

さ、メールのお教室を、
早く読みたいです。
先生、よろしくねー。


「わぁ〜、使ってらっしゃいますね〜!」
「あ〜、いえ、いえ〜(笑)」
ミーちゃん、ちょっと照れてらっしゃるようだ。
「イシノさんがね、
メールをご自分のところに試しに送ってみようって、
ちょっと一緒にやってみたんですよね〜」

確かに、宛先や差出人に、
イシノさんのお名前がいくつか見える。
メールの内容は一行ほどの短いものだが、
ちゃんと送受信ともに成功している。

イシノさんがいてくださることで、
ミーちゃんも私も心強い。

「なんとなーく、やってたら、
たまたまできちゃったって感じで(笑)、
ちゃんとした操作はわかってないんですよ〜」

本当かな?(笑)
たぶん、把握してらっしゃるのではないだろうか。
それに、やはり、感覚というものは大切で、
「あら、できちゃった!」
というので正解なのだと思うが。

ミーちゃんは、それでも、
やはりきちんと覚えておきたいとのこと。
紙とペンの登場だ。

メールを送信するまでの作業を順序立ててご説明。
今日はこれだけを集中的に確認したいとのご希望。

アドレス帳から、たとえば、イシノさんを選択。
次に、ツールバーの「メール送信」をクリック。
自動的にイシノさんの
アドレス入り・メッセージ入力画面が現れる。
そこに本文を書く。
そして、「件名」を書けば、もう出来上がり。

ミーちゃん、その順序をしっかりとメモ。

「この件名ってのは適当でいいのかしら」
「はい、そうですね。書かないと、
こちらとしてもあちらとしても、
やっぱり、ちょっと不都合ですし、
何か書いておいてください」
「じゃあ、え〜とぉ、何にしようかしら。
私らしいのがいいわね〜」

はい、メール一丁、出来上がり。

メッセージ:『今日は、南波さんがみえています。』
件名:『苺大福』

意外な件名が、これまた、いかしてる!(笑)

「これは、もう送ってもよいものですね?」
「ええ、じゃ、送るには、ここ押せばいいの?」
「『今すぐ送信』よりも
『後で送信』を選んでおきましょうか。
もう一つ、練習してみますので、
後で、まとめて送信した方が一回で済みますし」

どこを押すと、そのメールがどの「箱」に入るのか、
また、どの「箱」に入れたとしても、
後でまたそれを書き直したり、
書き加えたりという編集ができるということをご説明する。

今回は前回よりも、「納得度」が高そうな感触だ。
初めて目の前に現れたものと、
何度か目に触れてるものとでは、当然、反応に差が出る。
何においても、「慣れ」がポイントであると実感。


この「後で送信」の便利さについては、
いい加減にメールソフトを使っているぼくにも、
タメになっちゃったなぁ。
その通りですよねぇ。
ぼくなんか、ほんとに律儀に1通ごとに
「すぐ送信」してるもんねぇ。
これからは、考え直します。
でもね、「早いレスに感激!」って返信をもらいたいという
見栄だか意地だかが勝っちゃうので、
「すぐに送信」はやめられないかもしれませんね。

(でもこのつづきは、「すぐに掲載」明日です)

第11章 子連れのレッスン7だった(4)

あっこ先生には、野望があった。
それは、ぼくの興味でもあり、読者の期待でもある、
公共の福祉的な意味のある野望である。

といってもなにか大それたことをするわけでもない。
今日は、急いで南波先生にバトンタッチだ。


さて、次は今日の(私にとっての)メインイベント。

「ミーちゃんファイル(日記)いただき作戦」だ。

「今度は私宛てのメールを作ってみましょうか。
順序はさっきと同じなんですが、
今度は添付の練習も兼ねてやってみましょう」

イシノさんへのメールと同様に、アドレス帳から私を
選び、本文、タイトルを書く。
両方とも、ただ単に「添付」。的確だ。(笑)

「せっかくですから、
ミーちゃん日記のファイルを添付してみましょう」

ミーちゃん、メモ取りの方も忙しい。
「添付する場合」との文字。

ノリコさん、通りかかり、足を止めて見守る。
「ミーちゃーん、そんなの書いてばかりじゃ、
理解できないわよ〜。
説明を聞く方に集中しなくちゃ。
はい、それ貸して。私がメモ取ってあげるからー」

イシノさんもご登場。
「さっき、イシノさんにメール書いたから、
おうちに帰ったら読んでね〜」とミーちゃん。
「わぁ、楽しみだなぁ」
「でも、タイトルに騙されないでね〜(笑)」

さあ、添付作業を始めよう。

「このツールバーに『添付ファイル』
っていうところがありますので、ここを押します」
「あら、添付だから、クリップの絵が描いてあるわ」
「ええ、そうなんです。そこを押すと、
どのファイルを添付するのかを聞いてきますので・・・」

ウィンドウが開く。
いきなり「OUTLOOK EXPRESS フォルダ」
の中身が表示される。

このウィンドウ
(通常「保存」のときに出るものも同じだが)
慣れている者にとってはなんともないが、
初めての者にとっては、どうやって目的のファイルまで
たどり着いていいものだか、わからないかもしれない。

これまで、ミーちゃんのところでも、
なんとなく通り過ぎてしまっていた箇所なので、
これはいい機会だと少し丁寧にご説明。
なんとなく、わかっていただけただろうか。

「Macintosh HD」の中から
目的の日記ファイルを探し出し、
それを選択して「追加」ボタン。
そして「完了」ボタン。
これでOK。
めでたく、ミーちゃんファイルが添付されたようだ。
添付するファイルの場所さえわかっていれば、
特に難しい作業ではない。

そして、またこれも「後で送信」。
「送信トレイ」を開けてお見せする。
イシノさん宛てのものと、私宛てのもの、
二つがそこに表示されている。
クリップ・マーク付きは、私宛て・添付書類あり。

ここで、イシノさんへのメールの件名がばれてしまった。
「苺大福」・・・。
イシノさん、思わず喉が鳴る(ように見えた)。(笑)

ミーちゃん、ニコニコして、
「苺大福も、こうして送れたらいいわね〜」
いつかは、そんな時代もやってくるのだろうか。
デジタルに変換されて送られる苺大福?(笑)

おっと、そんなことより何より、
接続してメールを送信しなくては。

さてと・・・。えっ!? ・・・接続できない!
なぜ? そんなバカなことがあるか?
まさか、悪夢、再び・・・?

「あっ、そうだったわ。アレ、あのままだったわよね」

ノリコさん、「アレ」や「あのまま」とは・・・何?
本能的に、パソコンラックの裏に回る私。
なんと、電話のケーブルが壁のジャックから外れてる。

「雷が鳴ったから、危ないかと思って外しておいたのよ。
すっかり忘れてたわー」

なるほど、それで納得。単純なことで、よかった。

その後、無事、接続され、
二つのメールはネットにひょいっと流れ込んでいった。

「あ、この『送信トレイ』からは消えてしまいました
けど、書いたものはちゃんと『送信済みアイテム』と
いう中に残ってますから、ご安心を」
「あ〜ら、なるほどね〜」
「コピーされたものが送られていっただけですから」
「あ〜、そういうことね〜」


どうしましょう。
その問題の添付ファイルは、
ぼくの手元にあるのですが、明日掲載するか?
それとも、このレッスンの続きが一段落してからにするか?
考えているんですが、
それは、明日のおたのしみということにしましょう。
そういう気まぐれも、ぼくのたのしみのひとつですから。

(なんにせよ、明日につづく。どしようかなぁ?)

たまには見せましょう。「PTA通信」です。

毎回、ミーちゃんの家で開かれている「教室」の
授業参観ばかりお伝えしていますが、
これが、「80代からのインターネット入門」の
すべてではないわけです。

南波あっこさんが先生だとすると、
ちょっと逆なんだけれど、母のミーちゃんが生徒で、
ココでの立場は、ぼくが父兄になるわけですよね。
となると、先生と父兄の「連絡ノート」だってあるんです。
たいして教育的ではないのですが、
このやりとり、父兄のぼくには、けっこうたのしいんです。
ですから、ときどきはPTA通信というものを、
ここにコラム的に情報開示していこうと思います。

今日のぶんは、「レッスン5」と「レッスン6」の間に
交わされたやりとりをご紹介してみます。
あっこ先生が、レポートを送ってくれた時のメールです。


南波あっこです。

速攻レス、ありがとうございました。
私の方はメールの確認はしていたのですが、
書くのが遅くなってしまいました。すみません。

ワシに、ツキはある。
「鷲に月」って、なんかか切手みたい。


ははは。花札の絵柄のような切手が浮かんできました。

で、どうやら「渡しにも月」があるようです。
矢切の渡し上空の月。(?)

なんとなく、昔からツイているんです。
ま、たいしたことはないのですが。
こうしてミーちゃんレポートを書いていられることも
そのツキの一つだと感じています。
ありがとうございます。

夕方から、ムスメが来て、
「めし、何食う?」というような時間を過ごしたりします。


受験じゃあ、今年は大変ですね。
一緒に美味しい「めし」が食べられましたか?

あとちょっと、カナダ放浪のスタッフが戻るまでは、
部屋の豚小屋化は進行するばかりです。


ほんと、豚小屋化というのは想像ができます。(笑)
うちも一晩で見事な豚小屋に模様替えされます。
狭いから余計に。すごいです。
保育所の学生さんがミニカー狂いでして、
ちょっと目を離したすきに、
もう無法地帯の駐車場のようになっています。
注意して歩かないと車に乗り上げてすってんころりんです。

あ、豚といえば、先日、桃井小から県庁前道路に出た付近、
清水商店(文具店)前で、
豚輸送のトラックが乗用車とぶつかっていました。
「豚ブーブー」と「車ブーブー」がごっつんこです。
私が通りかかったときには、救急車が出ていくところ。
豚たち、さすがにブーブー言ってるんです。
騒いでるんです。
シートベルトもしてませんから、
衝撃があったことでしょう。
じゃあ救急車の中身も豚?と想像しながら帰ってきました。
こんな目にあう豚も中にはいるわけですね。ブーブー。

あしたの月曜は、立川談志師匠と三谷幸喜さんと座談会で、
そのあと吉本隆明さんのインタビューです。


おぉ、またそれは楽しそうなメンバーですねー。
ひそかに「80代からの〜」も
宣伝しておいてください。(笑)

今日のうちに「いっぱい」やっておかないと、
山中湖での合宿「ほぼ日」のグループに
入れなくなります。


釣りといえば、うちの夫が突然同僚に誘われたとかで
釣りに興味を持ち始めてしまって。
「何、釣るって?」と尋ねたら「バス」と。
榛名湖でもできるとか?私にはまったくわかりません。

最近、どうも「釣り人」と知り合う機会が多いんです。
鮎の解禁日、大雨の中、
浮き世の義理もへったくれも気にせず、
沼田の方まですっ飛んでいった知り合いもいます。

では、追加分、
たいしたことはないのですが、添付いたします。

では、よろしくお願いいたします。

*これ、明日ミーちゃんにお教えするため、初めてOUTLOOK
EXPRESSで書いてみています。ちゃんと送信できるか、
ちょっと不安ですが、やってみます。


南波あっこ


「てぃーちゃー」と「ぺあれんと」は、こんなやりとりを
しているんです。
それはそうとなんですけれど、
ぼくも20歳の頃、前橋でバイトをしていて、
豚を積んだトラックに追突されて、むち打ちになりました。
前橋では、そんなにたくさんの豚が
運送されているのでしょうか?!

(さぁ、明日はどんな内容になるか? つづく!)

第11章 子連れのレッスン7だった(5)


いろいろ考えたんだけれど、
ミーちゃんの日記は、明日以降の掲載にします。
いちおう、レッスン7を締めておかないとね。
毎日ちょっとずつ読んでいる方のなかには、
「早く日記を読ませてください」というメールを
くださる方もいるのですが、
そんな「タイソーな文芸作品」じゃないんですから(笑)。

ま、とりあえず、南波先生に、
この回のショートレッスンを締めていただきますね。


「まだ、帰らないの〜?」
忘れそうになっていた。「小さな見学参加者」だ。
彼はといえば、隣の畳スペースの座椅子にすっぽりと
座り込み、テーブル越しにこちらを見守っていたり、
ノリコさんのガイドで、二階へのツアーに参加したり。
ミーちゃんのお宅を満喫しているようだった。

ここで、タイミングよく、お隣から
「準備できましたよ〜」

夕飯の準備だ。
ちょうどいい。本日のショート・レッスン終了。

玄関にて、ミーちゃん、
「あら、何か持って行く物があったんじゃないですか?
日記のファイルのプリントとか・・・?」

そうそう、朝の電話で、
そのファイルが欲しいとのことを
言っておいたのだった。

「あ、それなら、さっき、
もう私宛てに送ってしまいましたから、いいんですよ。
あれで済んじゃったんです。
メール添付で。プリントする必要、ないんですぅ」

ちょっとキツネにつままれたようなお顔。
でも、すぐに
「あぁ、そういうことですか〜(笑)」

雨は止んでいた。そして、道路は渋滞。

「ボク、ミーちゃんちみたいな色の
iMacが欲しいって言ってたのに・・・」
「はい、はい、5色揃えようね〜」
ちょっと嘘つきなママ。いや、嘘じゃない、希望だ。

家に帰ると、父親にも、姉にも、
「今日、ミーちゃんち、行ってきたんだよー。
いいでしょ!」
そう自慢しまくっている。

「早く字をみーんな覚えて、
ミーちゃんにメール書いてみようね」

ミーちゃん、子供からのメールが届くかもしれません。
驚かないでくださいね。(笑)


そっかー。
南波先生んちの小さい市民諸君のなかには、
日本語の文字よりコンピュータのほうを
先に憶えてしまった人物がいたんですね。
これからの時代って、こういう国民が増えるんでしょうね。

さ、では明日からは、日記の掲載ですね。

(つづくんだなぁ、まだ、毎日の連載で)

第12章 ミーちゃんの日記を入手した(1)


南波あっこ先生は、特に宿題を出すわけじゃないけれど、
生徒のミーちゃんは、予習復習をちゃんとやっていました。
おそらく、ぼくも長いことそう考えていたけれど、
「キイボード」というものが壁なんだなぁ。
鉛筆1本あれば文字を並べて文章を書けるけれど、
キイボードで文字を「打つ」という行為は、
日本人にはなじみがない。
だから、なんだかエライような
難しいような気がしてしまうものなのだ。

だから、ミーちゃんも、そこいらへんのことが
とても心配だったのだろう。
日々、コツコツと、タイピングの練習をかねて、
簡単な日記を付けていたのだった。

文字やコトバの不思議な使い方や、
記号のヘンに見えるところには、
目をつぶってください。
なにしろ、80年近い人生のなかで、
はじめてのことに取り組んでいるのですから。


6月18日〜22日    
 東京。横浜。伊豆方面に遊びに行き5日間も留守に
 して日記をさぼつてしまいました。
 みんな旅のお友達でしたのでとても楽しくすごせ
 ました。 
                
6月23日                                      
 しばらくテレビも新聞も見なかつたのでプロ野球の
 動きがわからなくなりました。其の方がよかつたかな。    
 今日は遊び過ぎて疲れたようで何を書くかすらすらと
 でてきません。ただ練習するだけのようです。
 ひたすら手を使う事が最高の上達の秘訣の様ですね。 
  
6月24日      
 今回の旅のお友達へのお礼の電話などで1日中
 落着かないでまた夜になつてしまいました。
 ほぼ日刊のコピ-をつぎつぎと見せてくださる人が
 居りますので南波さんの素敵な言葉使いに感激する
 やら羨ましいやらでこれからの私はどうしたら
 良いかわからなくなりました。
 この次は作文のお稽古でもしていただきますか。

(ここからノリコさんが書いた分)
 みーちゃんは久しぶりにワープロを使ってみたので
 かなり苦戦した様です。約一週間、間が開いたので 
 無理もないかも知れません。 
 性格的に、”まず、まちがわないように”
 と考えるのでちょっとそこらへんがまずいかも
 知れない。たぶん、いろいろ失敗して、それを
 あーでもないこーでもないとツッツイテいるうちに
 なーんだこういうことだったのかと思いがけず正解が
 でる、ということだろうと思います。
 いかがなもんでしょうか。
 どうしてワープロで文章を作ると小学生の作文の
 ようになっちゃうんだろう、と考えながらやって
 みたら少しだけ自分の言葉っぽくなってきたような
 気がします。この『します』なんていうのがどうも
 変(です)。     
(ここまでノリコさん)      
                                                                                                       
!!!±±○○○○★★★★@@@@@※※※※※
★★★★★&&&&&′¥HH」」ェェオオオオ
%%%%氣氣、、※※
(この作者は不明でした)                                   

6月25日(金) 
 今日はパ-トで働いたので練習は遅くなつてしまつた。
 夕方Kさんが見えて面白い絵など を書いて楽しんで
 行きました。あの調子だと度々遊びに来そうです。
 ミ-ちやんより皆の 玩具になるのでわ?’’’’’’。
 私は頑張るより方法が無いですね。家事より重点的 
 にやるかな?重点的にやるかな?
 なんて考えてしまいます。
 でも私には出来ないでしよう。


どうでしょう。
外面は、ひたすらにお気楽で元気な80歳に見えますが、
やっぱり、内面のところでは、
はじめての経験にとまどったり、
見知らぬ人々に注視されているというプレッシャーに、
軽いおびえを感じたりしているんでしょうね。

悪いことではないとはいえ、
乱暴な「たくらみ」に巻き込んでしまって、
ちょっと申しわけない気持ちも、ぼくにはあります。
でもね、毎日、このページを待っていてくれる人が、
いっぱいいるんだし、
新しい世界を獲得できるんだし、ってことで、
許してください。

(明日も日記のつづきをおおくりいたします)

第12章 ミーちゃんの日記を入手した(2)


ミーちゃんの日記がスタートしたから、
なんだか、ぼくが妙に落ち着かない。
なんなんだろう? この気分は?
やっぱり、僭越ではございますが、PTA気分なのかなぁ?
遺伝子的には近いものを持っているミーちゃんだけど、
何をどう考えているのかなんて、
それこそ知る由もなかった。

ミーちゃん、周りの人たちは、
「できなくて当たり前」と思って見守っているんだから、
うまく行かなくても気にしなくていいんだよ。
いまやっていることだけだって、たいしたもんなんだよ。
どこでも旅行に行く時の、
他人には「向こう見ず」にさえ思える勇気を、
ここでも心のなかから取り出してくればいいんだ。


6月26日(土)
 又出かける支度をしてから思いきつて練習を
 始めました。情けないことにうつた字が分 
 かれたり1行が離れてしまつたりして大変でした。
 そのうち何となく出来てきましたがその経過は
 わからないようです。頑張つてもつと研究しな
 ければいけませんね。この調子では前途遼遠です。
 でも諦めないでやれば何とかなるかしら?
 今午後2時です。少し太陽がのぞいてきました。
 庭の紫陽花がいろずいて大きな花を咲かせています。
 去年たんばらのスキ-場で買つてきた鉢植えの
 ブ-ゲンビリアも咲いています。
 でかけてばかりいて南波先生にペ-スを狂わせて
 申しわけないと思つております。7月の2日からは
 しばらく予定がないので真面目にやります。
 どおぞよろしく

6月27日(日)
 朝から雨で憂鬱です。今日こそ絶好のチャンス
 なのでみつちり勉強しましよう。
 マウスの回し方を早く出来る様になりたいと
 思うのでこれからしてみます。あまりあれこれ
 動かしたのでいろいろの機能がめちゃくちゃに
 なつてしまいました。うつかり練習もできない
 生徒では困りますね。
 この行は斜体にしてみました。
 やはり普通の書体の方が読みよい気がします。
 これでいいでしょうか?元にもどしました。
 雨があがり夕焼けがきれいです。
 多分明日は良いお天気になるでしよう。
 皆で東京湾クル-ズなのでこのまま晴れれば
 本当に嬉しいことです。 

6月28日(月)
 朝5時半9人乗りのハイヤ-でいつも親しくして
 いる人達と前橋を出発して横浜へゆき予約して
 あつた船に前日に行つていた人と13人で東京湾
 クル-ズをしました。時々少し雨がふる時もあつた
 けれど船の中は食べる飲むの賑やかさ!
 そこへ突然の大揺れ!!
 キヤ-ツと全員の大声!!!!!。
 テ-ブルの上のものは落ちるやらのおお騒ぎ後は
 ワハワハ笑いがとまらず楽しいもりあがりとなり
 ました。これもクル-ズならではないでしょうか。
 夜は8人帰り5人で中華のテ-ブルを囲みホテルに
 帰り気分は上々。!!!!!。 

6月29日(火)
 ホテルの朝はゆつくり起きて山下公園を散歩し
 又中華を食べ陶器を買つたりして前橋へ5時頃
 つきました。あまり良く遊んだのでたつた2日間
 なのに4日間位に感じました。   
 遊んでばかりいるのでコンピュ-タ-に申し訳無い
 様な気がします。明後日もう1度出かければ遊ぶ
 予定が終わるのでその後は全力投球でやるつもりです。?
 本当かしら?

6月30日(水)
 今日は昨日の旅の荷物の整理と明日の支度など
 済ませてやつと5時頃練習を始めました。 
 何か1つでも納得できればいいな-と思いながら
 やつてます。まだどうしてなつちやつたかわから
 ない事があまりに多くあきれてしまいます。
 何回もやり直してやりましょう。
 根気!!根気!!!フレ-フレ-’ミ-ちやん。


ぼくも、実は、一年に数回、
「がんばれっ、オレ!」とつぶやきます。
誰に応援されても、自分が応援しないとダメな時が、
あるものなんですよね。
もうすっかりオヤジっぽくなっちゃったけど、
郷ひろみさんが若いアイドルだった自分に、
毎朝、布団から出るときに、
「がんばれ、がんばれ」って、
自分を励ましていたという伝説があります。
アイドルも、がんばっているんだなぁと感じましたねぇ。
エーちゃんも、大きいコンサートの直前に、鏡に向かって
「矢沢、よくやってるよ」と
声をかけるんだと言ってましたっけ。

ぼくは、こういう話に弱いんですよ。みんな、誰でも、
ただラクに生きていられる人なんていないんだよねー。

(わーい、明日につづくぞう。日記はまだまだあるんです)

第12章 ミーちゃんの日記を入手した(3)


今日のミーちゃんの日記は、
ギタリストの運指の練習みたいです。
スケールを繰り返し繰り返しやってみることが、
とっても大事なんですよね。

南波先生の教え方がそうだったのでしょうが、
ミーちゃんはローマ字入力で憶えているんですね。
いま、どっちが多いかといえば、
きっとローマ字入力のほうがだいぶん多いんでしょうが、
ぼくは、何人かの「かな入力」ユーザーを知っています。
アルファベットにいったんコトバを直すことが、
ひと手間増えちゃうのがイヤだと思うんでしょうか。


7月1日(木)
 やつと6’7月の遊びの予定が終わりました。
 これからは全力投球でお勉強です。
 南波さんにお願いしましよう。
 遠分先生を悩ませることになるでしょう。
 どうぞ厭きれないでよろしくお願いいたします。
 今日も海外旅行で知りあつた人のお宅へ招待
 (浦和)されてとても御馳走になり楽しくて
 時間がたりない様でした。
 雨にもあわず夕方には家に帰ることができました。

7月2日(金)
 例のパ-トで半日終わり先日の伊豆旅行の写真が
 友達から送られて来たのを見たりして又6時頃に
 なつてしまいました。
 サア-なにから始めるか迷つてしまいます。
 あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなに
 ぬねのはひふへほまみむめもらりるれろわいうえを
 ------いろはにほへとちりぬるおわかよたれそつ
 ねならむういのおくやま けふこえてあさきゆめ
 みしえひもせすん-----
abcdefghijklmnopqrstup----aaaassssssssss
dddddddddddffghjkllllp
大文字が打ちたいのに小文字きり打てないので
 今日はやめ。---
 次の課題にします。

7月3日(土)
 今朝は早く目が覚めたので(ことえり)をベツドの
 中で見て???(読むものではない かしら)居たら
 大文字の英字が打てるのが分かつたのですぐおきて
 やつてみたがわからないで夜になつて紀子に聞いて
 やつとわかりました。うつてみます。 
 ABCDEFGHIJKLMNOPQRXYZ
 !!!!!!!              
 今はお上手でした。______。明日もよろしく。


誤字は気にしないようにね。
これ、南波先生にあらためて聞いてみたいんだけど、
「ことえり」って、ぼくは信頼できなかったんですよ。
でも、もぎカエル部長なんかは、
「ワタシはことえりを育てて使っているんです」と
言っていたけれど、どんなもんなんでしょうか?
ぼくは、漢字の変換にストレスがありすぎて、
いつもイライラしてました。
その後「ATOK」にしてからは、
そのストレスはなくなったんですけれど、
他のソフトと干渉しあうようにも思えたしなぁ。

ちょっと、両方、使ってみよう。
左が「ことえり」で、右が「ATOK」。

人じゃ仏閣         神社仏閣
天井裏の鼠         天井裏のネズミ
射れた手のお茶       入れ立てのお茶
神宮休場          神宮球場
ナイター中継延長      ナイター中継延長
雨のふる日は天気が悪い   雨の降る日は天気が悪い

まぁ、ちょっと「ATOK」のほうが分がいいかな。
別に、ぼくはどっちかに贔屓しようって気持ちはないけど、
神社が仏閣といっしょに打って「人じゃ」になるのは、
ちょっと悲しいなぁと思ったな。
「入れ立て」は、「煎れたて」が正解だよね、たしか。

(がんばる、ミーちゃん、明日につづく)

第12章 ミーちゃんの日記を入手した(4)


コンピュータを前にした時にくらべると、
ミーちゃんの日記でもわかるとおり、
「身体を動かしたり、なにかを感じたりしているとき」
のほうがミーちゃんの元気がいいような気がする。
コンピュータが遊び相手になるまでには、
まだ、なっていないんだなぁと感じます。

しばらく日記の連載がつづいていて、
南波先生の登場がないので、ちょっとさみしいですね。
このところは先生も「読者」になっているのでしょう。


7月4日(日)
 朝から良く晴れたのでシ-ツやタオルケツト等お洗濯
 して例のパテオでお昼御飯をすませしばらく遊び
 過ぎたせいか眠たくてベツドでしばらく眠つて
 しまいました。
 それからあれこれコンピユ-タ-を練習しましたが
 なかなか思う様にいきません。すこしなまいきに
 なつたからかしら????????。
 本当にわかつているのでないとゆうわけでしょうね。
 先が案じられますね。
 頑張ります先生どおうぞよろしく。でわ又明日。


7月5日(月)
 又雨になりました今日は早く練習を始めようと
 AM||時から始めました。
 肩がはつてしまいました。
 今日は一人の昼御飯なので少し続けます。
 明日は南波さんがきてくださ
 (ここから後の一行が「一行消失事件」の
 現場です。消えてます)
 何か1つでもしつかり覚えなければと思つています。
 できるかな?
 外野の生徒さんに笑われますものね。_____。
 助けて神様仏様!!!!!。
 今電話で22年程まえに始めて1人で海外旅行へ
 いつたとき同室になつた人からリュウマチらしく
 肩や手の指が痛いので何にも出来ないと悲しい
 便りで私のように馬鹿でも元気ならイイナ-
 ______と感謝の気持ちでいつぱいです。
 幸せダナ- !!!!!。コノママでよいのかしら?

7月6日(火)
 にこやかな南波さんのおでましで私の心配は
 飛んでしまいました。
 南波さんは不思議な魅力のある人ですね。
 プリンタ-の取り付けでいろいしてみましたが
 結局2階と下の2本 の回線の元が2階でしたので
 この機械を1階で使うにはNTTに直してもらう
 ことにしました。
 外野の生徒1名もはいりパテオで賑やかに楽しい
 昼食になりました。午後はいろいろお勉強を
 してただただ感心するばかりでした。
 説明を聞く度にうなずいていましたが 
 さて次の時は?????________
 考えるだけで笑つちゃうことですね。
 ミーちゃん頑張れ!!!!!。


おおっと、今日も、頑張れで締めた。
このエクスクラメーションマークの5連打が、
なんだかかわいらしいですね。
「ぼーっとした女子高生」もカグチさんも、
よく「!!!!!」やりたがりますよねー。

あれって、気分の余韻なんでしょうか。
さぁ、まだまだ、明日もおたのしみに!!!!!(笑)

(むろん、明日につづく)

第12章 ミーちゃんの日記を入手した(5)


しばらく日記の連載が続いているけれど、
はじめの日の分と比べると、
ずいぶんスムーズに書き進めているように見える。
ぼく自身も、はじめの頃は、
長いメールをもらうと、それに見合った長めの文章を
書かなくてはいけないような気がして、苦悩したもんだ。
読者の皆さんは、もうお忘れかもしれませんが、
キイボードを使って自分の思ったことを書くのって、
ほんとに大仕事でしたよね。
「ブラインドタッチ」が出来ないと、
ちゃんと使いこなせてないような気もするし、
おそるおそる一文字ずつ打っては、
漢字変換をして、思うように成らなかった時の、
いらだちを、ぼくはいまでも一昨年のことのように
くっきりと憶えています。
(ほんとに一昨年なんだけどね)

・・・ここで南波先生にバトンタッチするパターンが
しばらくないので、なんだかサミシイような気がします。
では、ミーちゃんの日記の続きを、どうぞ。


7月7日(水)
 爽やかなお天気になつてきました。
 私の頭の中もそうありたいと願いながら始めます。
 昨日南波さんが(ほぼ日)で重大発表があると
 言つていましたので何かと思つていましたところ
 ミーちゃんの80才の???怪しさのことの様でした。
 裁判沙汰になる?といけませんから???
 この際内緒で話しますが1919’8’3生まれです。
 このあいだ恋人岬へいつたからこれが知れると
 世の若き?????男性にためられるかな?
 (少し心配?)ですね。
 ____ところで誕生祝い等御心配なく____。 
 (ほぼ日)の調査不足でしようね。
 _____かんべんしてあげましよう。

7月8日(木)
 パ-トの日でなんとなく練習がおそくなつて
 しまいました。今日は何から書こうかしら? 
 NTTの人が接続に来てくれたのでやつと
 機械の方は終わりのようです。これからはそ
 れらを使いこなせるかが問題ですね。
 気楽なミ-ちやんでも少しばかり心配です。
 がんばれ!!!。この次のレツスンにはどんな事に
 なるでしょう。お遊び気分ではいられそうも
 ありませんね。お勉強が嫌いになりませんように。
 祈りたい様です。

7月9日(金)  
 今まで漢字変換を単語毎にやつていたので
 長い文章がうてなかつたが昨夜紀子の打つたのを
 見ていたところ長く打つて変換していたので
 びつくりし悔しいけれど習いました。 
 どうにか納得して一夜明け朝食前に答案を出して
 もらつて直したのたのですが(脳)が疲れ昼前に
 20分程(脳休み)____ 
 農休みは 昔から此の辺農家の行事ですが___。
 うふふ。____________。
 さて横浜の友達からこの間の写真が送られて
 来たので整理でもしましょう。

7月10日(土)
 清清しいお天気になつた。
 この間からやりたいと思つていたアマリリスの
 植え替えをした。此の冬すばらしい大きな花が
 咲いたので又来年も同じように咲かせてみたいので
 熱心です。3日程前のうぜんかずらの花があまり
 綺麗に咲いたのでカメラを出して来て映して
 みました。昨年より花は小さいけれど沢山咲き
 ました。お花の事など話していられるなんて
 本当に幸せですね。梅雨にはいつてから窓ガラスが
 汚くなつたので気になつていたので目立つところ
 だけ拭きました。ちよつと見えるところだけは
 気持ちよくなりました。このところ私の目の前に
 餌がなくなつたとおもつていたらやつぱり出て
 来ました。それは草津国際音楽アカデミー&
 フエステイバルです。昨年は大雨で吾妻線が
 不通になりキャンセルしたのでその時の友達が
 又是非計画をしてとのことになり8月にまた餌が
 つるさがりました。そこまで健康に注意して頑張る
 -----という仕組みなのです。
 都合のいい仕組みでしよう!!!??。

 


すべて原文のママで掲載しておりますので、
わかりにくい部分もあるかと思います。
それでは、前橋あたりの古い方言について、
ぼくが、わかるかぎりの解説をいたします。

・『世の若き?????男性にためられるかな?』
「ためる」がわからない方もおられるでしょう。
ぼく自身も、ごく何十年も前に、耳にしたことがある
というくらいでしたから。
おそらく前橋にいる若い方々も、
知らない言葉なのではないでしょうか。
しかし、文脈から判断して、
「狙いをつける」
というような意味であることがわかりますね。
広辞苑をひいてみたら、ありました。
<ねらいをつける。ねらいをつけて放さない>
弓をひいて的を矯(た)めるというような
使い方をするのでしょう。
これは、方言というより古語に近い領域なのかもね。
つまり、上記の文は、
「世の若き男性に、ターゲットにされちゃうかな?」
というような、なかなか若々しいジョークであることが
わかりますね。

・『つるさがりました。』
これは簡単です。「吊り下がりました」なのです。
前橋では「ぶらさがる」は「ぶるさがる」、
「吊り下がる」は「つる下がる」と、言います。
発音どおりに表記すると、漢字変換ができません。
でも、それは、発音のほうに問題があったんですね。
ついでですが、この地方では
<来る>というカ行変格活用がありません。
「こ・き・くる・くる・くれ・こい」ではなく、
未然形の「こ」が「き」になっているので、
「きない」となります。
「あの人が、まだ来(き)ない」というように。

また思いだしたら、書きましょう。
ついでに、『(脳休み)』というような、
だじゃれを言っていることにも注目ですね。
タイピングは骨が折れるけれど、だじゃれは言う。
こういう性格の人の日記であります。


(さらに、明日につづくのであった)

第12章 ミーちゃんの日記を入手した(6)

まったくパソコンに関わったことがない人が、
とにもかくにも、ここまでたどりついたのだから、
十分にりっぱですよ。
逆に考えると、難しいと思われているパソコンというものが
案外簡単なものなのかもしれないですね。
たしかにトラブルさえなければ、
そんなに難しい道具じゃないんだよな。
爆発するようなこともないし。

んじゃ、ミーちゃんの日記の続きです。



7月11日(日)
 昨日やつと窓ガラスを拭いたのに又雨になり
 がつかりです。
 少し長い文章を打つてから変換出来るように
 なりました。アルファべツトを手で覚えたいのですが
 まだまだ無理のようです。南波さんが明日来てくれる
 事になりました。どんな展開になるでしょう?
 楽しみですが付いていけるか心配です。
 ずうつと心配は着いてくる事でしょう。
 何となく自信が無くなり困つたものですね。
 決まり文句ですが頑張ります。
 雨がふつたり止んだりで庭にも出られないのでもう
 少しつずけます。昨日から高校野球が始まりました
 (県の予選)今年も松坂君のようなすごい選手が
 出るでしようか?

7月12日(月)
 南波さんが見えたのでいよいよインタ-ネツトの
 お勉強がはじまります。
 いろいろ見せていただいたのですが殆どわかつて
 いないようです。自分でも情けなくなります。
 でも良く考えてみるとこの日記を書くのがやつと
 なんですから無理ないです。 
 のんびり進みましょう。
 急がば回れ?おかしいかな???。
 もつと勉強----勉強。---

7月13日(火)  
 今日は前橋市での無料で40歳以上の人に
 1年に1回の(さわやか検診)で午前中いつて
 来ました。いろいろしましたがもう1回胃の
 検査に行かなくてはなりません。
 これが大変なんです。何故大変か???
 経験者はわかるでしょう。-------。
 今日は殆ど雨でした。今夜のヤクルト-巨人戦は
 神宮球場だから多分中止になるでしょう。
 夜もお勉強ができるかな?楽しみです?????。

7月14日(水)
 もうインタ-ネットもつながつたのでメ-ルも
 打てるはずなのに1人では出来そうもありません。
 南波さんはお宅からメ-ルをするから受信の方は
 時々開いてみるようにと言われたので何回か開いて
 見たのですがありませんでした。
 10時頃石野さんが見えたので見てもらつたの
 ですが出ないのでお忙しいのだとおもつています。
 夜になつたら又開いてみましょう。
 夕方すごい雨が降り夕立ちのようでした。
 20時過ぎてもまだ蒸し暑くてたまりません。
 石野さんから私が昼間打つたメ-ルの返事のメ-ルが
 来ました。取り急ぎ電話で受信した事をつたえ
 夕食の後でメ-ルをしました。
 わかつたようなわからない様なおかしな気持ちです。
 早く自信を持てるようになりたいな------。
 メ-ルばかりでなく絵も書きたいし---- 。
 第一上下のマ-クも良く分からないし----。
 当分南波さんのお世話になる事でしょう。
 どうぞよろしく-------。

7月15日(木)
 今日の日記は翌日本文と日付の間が-だん空いて
 いたのでつめる作業をしたところ全部消えて
 仕舞いました。
 残念ですがもう書けません。呆れましたね。
 駄目駄目ミ-ちやん_____。 


ううっ。
この最後の日の日記は、痛いですねぇ。
「全部消えて」しまったら、がっくりきますよねー。
ぼくも、間違って「初期化しますか?」に対して、
つい「はい」と答えてしまったことがあって、
あの時は、脳みその一部が盗まれたかのような、
とんでもなく悲しい気持ちになりましたっけ。
あんなことでも、経験としては役立っているんですよね。

(日記はさらに、明日につづく)

第12章 ミーちゃんの日記を入手した(7)

さぁ、今日は「ミーちゃんの日記」第1部の最終回です。
毎日10行とか、ですけれど、
こうしてまとめてみると、けっこうな分量になりますね。
明日からの分は、ストックがなくなりましたので、
しばらくお休みになるかもしれません。
ちょっとサミシイですけれど、
亀の歩みが当たり前、とはじめた連載ですので、
ガマンしてください。
また、次のステップのレッスンがはじまったら、
その報告が届くと思いますから、
それをお楽しみにね。



7月16日(金)
 朝からの失敗でガツカリして今は何も書け
 そうもありません。
 昼間は落着かなく過ぎ夜はお客さまが来たりで
 おそくなつてしまいました。
 落込みも幾らか和らいで来たので始めました。
 後ろでテレビが阪神-巨人戦をやつています。
 6対0で巨人が勝つています。
 あ!!松井がホ-ムランを打つて1点追加!
 さてこの後はどうなりますか?お楽しみ-- 
 ではこの辺でやめます。

7月17日(土)
 昨晩は7-0で巨人が勝つた。松井も目が覚めた
 感じだといつてますから此の調子でつつきます
 ように----。
 今朝は早く斉藤医院へ行きさわやか検診で
 バリュウムを飲んできた。胃の方は無事でした。
 別に悪いところも無いので安心しました。
 そうなるとお勉強の方をもつと頑張り時々散歩
 でもしなければならないと思います。

7月18日(日)
 夜中はとても蒸し暑いのに昼間になるとだんだん
 涼しいくらいになりました。
 久しぶりに掃除機で丁寧に掃除をしたので気分
 爽快です。でも相変わらずどんより曇つているので
 憂鬱です。早く梅雨が開けないかな-!!!!
 今日は大分変喚がうまくいきます。
 私が素直になつているからかしら?-----------。
 室内で気温26度湿度74度ですから気持ちが
 悪いくらいです。暑くなれば又暑い暑いと文句を
 言うし人間はほんとにかつてですね。

7月19日(月)
 昨夜ついにやりました!。(パソコンラツク)を
 入れる時に台になる板の寸法ばかり気にしていて足
 (私の言うところの)ガ前に出ている事に気ずかず
 前を通る時に躓く恐れがあるので足の脇に屑篭を
 置いて邪魔物があつて通れない様にしたのです。
 それ!!!を夜中にけつてしまつたのです!!!!。
 おかげで足につまずかないで無事べツドへ戻れました。
 南波さんがこの(屑篭作戦の話)を名案だと面白く
 話してましたがやつぱり名案でした。
 お陰で助かりました。
 さて----。9月〜10月にかけての(餌)が見つ
 かりそうです。お誘いするお友達が留守でまだ
 決められません。
 早くコンピュ-タ-の方をもう少しよく覚えなければ
 とあせつてしまいます。

7月20日(火)
 庭の水仙の球根を掘り返さなくてはならないので
 この間から雨の晴れ間を待つていました。
 やつとできるようなお天気になつたので汗をかき
 ながらやりました。
 思いがけず沢山出て来て驚きました。
 そこへ2年程前家をたてた紀子のお友達が来たの 
 であげられました。球根は秋に植えるのだそうです。
 この冬はきつと花が良く咲くしょう。
 自分で世話をしたものは楽しみですね。
 早く見たいな----。いつもお花の話をしてる時が
 本当に嬉しいと感じます。???
 他にまだあるでしよう。ほら---うふふ---
 海外旅行でしよう?やつぱりね-。


っというわけで、いったん、毎日連載を
ストップすることになりました。
ミーちゃん、南波先生、ひとまず、お疲れさまでした。

(次回まで、しばらくお待ちください)



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