「 2000年12月までの清水ミチコさん」


第1回

今日からこのページに
店子としてお邪魔することになりました。
よろしくね。

テーマソング

10月6日(火)
今日はなぎら健壱さんと一緒に新潟へロケ。
ロケはスタジオより好きだ。
気が楽なんだもん。
なぎらさんもそのようだ。
しかし、ナギーだからこそいいのかもしれない。
気が合わない相手だとどっと疲れるのよね。
水商売わかるわよね。
ナギーはどんどんしきって行くマッハ文朱さんに
けっこう疲労したと言っていた。
本当にしきりがマッハ級なのらしい。
人間頭の回転が遅いとしきれないのだそうだ。
そりゃそうだ。名言。
言いながらナギーはマッハッハと泣き笑いをした。

私は林寛子ー! と泣きつきあっているとロケバスの窓から
「妖精美術館」の看板を見つけ、
いったい何だ妖精って、小さなおばあちゃんが
スプーン曲げるんじゃないか、
ナスカのあれじゃないの、口から出るホラ、
ああエクトプラズマの写真?
展示してあるんじゃない?
と笑ってるとドライバーの方が
「そんなに行きたいのなら、寄ります?」と、
途中で下車。いいねえ。感謝して降りる。

一人300円だった。ここはお客さんが来たら、
そこで電気をつけるというシステムらしい。
中は「妖精のような女性」が描かれたと思われる
妖精(外人らしい)の絵の展示と、
妖精が使う歯の入れ物、
妖精の指ぬき、
妖精の欲しがる物(私たち人間の使うやかんや楽器)
が展示されていた。
あと、なぜかオルガンと、バリの神まで展示してあり、
妖精と神聖と、どこでラインを決めるかは難しいようだった。
妖精は全体に琥珀色が好きと見た。

1998-10-08-THU

第2回

10月9日(金)
生番組「ぴかいち倶楽部」(NHK金曜お昼2時〜)が
国会中継で飛んだ。ラッキー! いいぞ政治家! 
何をしましょう、と考え、CDかけつつ冷蔵庫の整理。
もういっさい買わないわよ、瓶詰め。いつも残る。
ふりかけも買わない。
冷蔵庫は扉をあけた時にパアッと光がさしてないといやだ。
たんまりあると苦しそう。わかる。
何事もエア欲しいわよね。
残り物で不思議なしそ味噌汁と
不思議なまぜごはんができた。
でも残さず食べてた。さすが家族だね。

10月10日(土)
東北学院の学祭へ。
外で学生がジャズを演奏していた。窓からながめて聞く。
知っている曲が流れてきたので
合わせてひとり小さくキーボードで参加。
しかしやはり難しく、ついていけずに途中であきらめた。
楽屋に実行委員の方が来て
「きをつけ!」の姿勢のまま今回の主旨、
ならびに感謝の意とともにきちんと
挨拶をなさったので驚いた。
えらいねえあんた、ちゃんとしてんだねー、と言うと
「リハしましたので!」とパリッと言った。
とてもいいカンジの学生さんがいっぱいで楽しかった。
ただしみんなに、
インターネットとか、やってる?と聞くと
ほとんどやってない事が判明。
実際はまだまだらしいぞ電子文明。
帰りにまた「きをつけ!」で挨拶、
感謝の意をしっかり聞き、
萩の月

「萩の月」をおみやげにいただいた。
学生諸君、また会おう。
そのあと都内でFMのジャズの番組に収録へ。
帰りにビデオをレンタルし、
夫婦で 「フェイスオフ」と
「グッドウイルハンティング」を見た。
「フェイスオフ」期待してたのに最悪だった。

10月11日(日)
吉田照美の「やる気まんまん」ゲスト。
なぜか好みの男性に細野晴臣さん、と答えてしまった。
私は本当は(本当に?)
しゃべりたがり屋なんだなあと思った。
時間が足りなくて帰りに、
ちぇっ、もっと話したいぜ、と思っていた。
フロムAの原稿を書き、コドモとプレステのI.Qで戦う。
さすが小学生、ボロ負けだった。

1998-10-15-THU

第3回

10月12日(月)
横浜でおよばれライブ。
気持ちよか。
しかしビデオまわしてるヤツがいて、
かなりヤなもんだった。
カメラと違って、(カメラは全然平気なのに)
いつも気持ちが悪いもんだなあ。
ビデオ撮ってる人に悪気はないんだろうけど、
ぜったい口元がにたにたしている。
そこがゲー、だ。
最近のは小さいから、とくにいやらしいね。
ニッポンのヒト。スケベね。
帰ってから馳星周「不夜城」を読んだ。
歌舞伎町がかっこよく見えてきた。
ハタチの頃、ムシャクシャして、
夜、歌舞伎町を一人歩いた事が何度かあった。
ただ歩くだけなんだけど、これだけでざま見ろ! 
と思ってた。
今思うと何やってたんだろう。清純派か。小さい。

10月13日(火)
マネージャーやのっちと夫と私の3人で
「月に一度は行こう」と決めたスカッシュへ。
近所のエクザスで。
本当にスカッ、シュッ。だ。
友情なのだ。
そのまま夫は会社へ、
私はナレーション撮りへと別れる。
ナレーションは好きな仕事だけど、
ときどき自分でも明らかに
ナレーターのモノマネをしているのがわかる。
実はモノマネってそんなに上手ではないんだけど、
好きこそものの、とも言う。
夕食に麻婆豆腐と鶏肉のスープを作り、
焼いた鮭の残りとともに家族で晩ごはん。
麻婆豆腐は我ながらおいしかったが、
「NHK7時のニュース」を見たい夫と、
TBSの島田伸介のクイズ番組を見たい私とで、
20秒ほど気まずい、いやあな雰囲気。
だいたい夕食にニュースが合うのか、まずくなる、
ああまずいまずい、というのと
これでもクイズか、簡単すぎる、という対立。
どんなごちそうでも、
本当にぜったい一気に舌がバカになる。
そしてまずくなる。
これ法則。
そして察知し、笑顔でまあまあ、とコドモ。
これも法則。
結局、じゃああんたやってみてよ。
10問正解したらニュースに変えたるわ、
ただし画像は見ないでよ、答えが出るんだからね、
人間つい読むんだから、と、
険しく言い、クイズに夫が参加。
全問正解した。
するとおまえもやってみろ、と夫が言い、トライ。
8問できた。ふふふふ、と笑いながら麻婆豆腐を
レンジでも一度チンして食べた。

1998-10-18-SUN

1998-10-31-SAT

第4回

10月17日(土)
「天才テレビ君」に出演。
メイク部屋でレギュラーの小学生に
「Xファイル、すっごくよかった、
ジブリのもののけはいまいち!
前のに比べると!」と教わる。
ぜったい人間の全体的な
知能指数はあがってきている。
と、思う。
しかし心の方はどうや、どないや、と思ってみるが、
そっちも昔より澄んでいる気がする。
かといって私達が劣っている、
というカンジもしない。
これ理屈では変な話だが本当。

10月18日(日)
共立女子大でトークアンドライブ
というヤツ。
ピアノが小さく、音もひどかった。
アップライトはないだろう。
私でセーフ、だ。
昔、ここを受験したいです、と言った時、先生が半笑いで
「え?」と言ったのを思い出した。
すぐに今のは冗談です、と言う顔で取り消したのでした。
ここの学生はとてもお嬢さんぽく、おっとりしていた。
このおっとり、こそがお嬢様の証明なのだ。
私はせっかちだが、せっかちはせっかちを嫌う、
というか、苦手なものだ。
おっとりは全てをやさしく包み込んでくれるね。
私の格言ね。
夫はおっとりね。それで結婚ね。
1階が楽屋になってて6階が会場だったのだが、
本番直前、エレベーターに乗ったら
どうも下に向かっている。
「下に行ってない?」と聞くと
「あ、そうです、すみません。
でも地下は駐車場ですので」と、
花のような笑顔でわけのわからない返事。
しかし、その言い方がなんともかわいらしく、
口には出さないが(駐車場ならいいさあ、駐車場は
誰だって好きさね)、という気にすらなった。

10月20日(火)
名古屋パルコのCMナレーション撮り。
中野裕之監督の1本。
ちょっと大人っぽいカンジでやった。
お弁当に「HOMEWORKS」のサンドイッチが出て、
とても嬉しかった。
ハンバーガーしか知らなかったのだが、
サンドイッチ(アボカドと海老)もおいしかった。
あんまり「ありがとう!」というカンジが強かったのか、
スポンサーは
「どうしたんだこの人」という顔をしていた。
いいさ。
私は今こういうテイクアウトのショップが
とても好きでいるのです。
「STAR BUCKS」のカプチーノなんて
「おまえは千円だ」、と思っている。

中野さんはついにハリウッドに行って
「『水着の女王』をリメイクさせてほしい」
と持ち込んだそうだ。すごい。
一般人にわかりやすいところが
中野さんの身上でもある、と思う。

そのあと和田誠さんの事務所に行って
和田誠プロデュースのコンサートの打ち合わせ。
タモリさん、平野レミさん、小松政夫さん、水森亜土さん、
斉藤晴彦さん、私、団しん也さんの7人。
最後どうしようか、という事になる。
「私だったらベタでも全員で歌ってほしい」と意見を言う。
何の曲にする? と聞かれ
文字バケの歌「7人だから
ドレミの歌!どう?」
と言うが、言ったあと赤面。
どうも私の中には
ジュリーアンドリュースがいる。

10月21日(水)
楽しみにしていた「6DAYS,7NIGHTS」の試写会が
渋滞で間に合わず、
「10分遅れそうですが、なんとか入れてくれんか」
とお願いしてみるもやはりダメだと言う。
そりゃそうか。あ、そうですか。
余った時間をどうするかと考え、
結局六本木WAVEで時間をつぶす。
サムルノリのCDをバーゲンで500円で買った。
いいのかどうかわからないCDは
いつもジャケットのデザインで一か八かで決める。
普段はレンタルなんだから、と自分に言い聞かし
たくさん(6まい)買った。
「マジカルパーカッション」という
世界のパーカッショニストを集めたのが良かった。
ちょっと笑ってしまった。
打楽器のみとか、打楽器と声のみははおかしい、
というか面白いと思う。
いつだったか和田誠さんから電話で
「ミッちゃん、バイブはやらない?」と聞かれ、
けっこうこの人下ネタ言うんだ、ガッカリだな、
と誤解した事があった。
ビブラフォンはバイブと言うんですな。

1998-10-23-FRI

第5回

10月22日(木)
ニッポン放送「ビバリー昼ズ」生放送。
高田文夫さんは性格、価値観、好み、
いずれもまったく気が合わないようでいて、
なぜか放送になると合う。とても楽しい。
笑って苦しんでしまう。不思議な人だ。
水道橋博士に言わせると、
両者ともにボケになっているのだそうだ。
聞いてる方が突っ込みたくなると言う。

10月23日(金)
レギュラーのNHK「ぴかいち倶楽部」生放送。
ラジオ体操、第三、というのをわざわざ実践する。
糸井さんもそうなのらしいが、
私も「踊り」に似たような身体で表現することが下手で、
まじめにやればやるほど、まるで{笑わせている}ような
動きなのがわかる。けどそれ違う。

パントマイムデビューしたての時、
お笑いの女性評論家に、
「とっても、
惜しいの!」
と言われた。
「身体がコメディアン
じゃないの。
動きがないの。
あなたは
パントマイムをやったら
絶対うまく行くタイプ」
と言われて、
当時まじめだった私は
すぐに駒沢の
マイム研究所へ通った。
しかし、「カベ」が上手くなるほど、
「何かが違う」と直感し、すぐ止めた。
「カベ」は、なぜか生理的にとても
顔が赤くなるものなのです。
いまでも「カベ」は上手なので、時々無関係にやると
「さすが」と言われるのに、
私は奇妙なおかしさをもらってしまう。

10月24日(土)
某有名芸能人と一緒。
しかし隣の楽屋の罵声がこわくてこわくて、
付き人さんにそんなに怒ってあげないでちょうだい、
とにかく聞きたくないよ、と願った。
男性芸人はこういうところが嫌い。
女性の芸人は絶対にやさしいし、
残酷なところがぜったいにない。
こいつの私らに対する笑顔がとても感じがいいのが、
またいっそう気分が悪くなる。
男性芸人は、少なくとも声がけっこうもれている、
という事に気がつくべきだ。
芸を磨く前に自分を磨け、だ。

10月25日(日)
NHKで「熱血!オヤジバトル!」収録。
キッチュさんと御一緒。
40才以上のバンドを紹介する番組で、
うまいも下手も、音楽を聞いてるだけでけっこう楽しい。

キッチュさんは
気がついているのかどうかわからないが、
会うと必ず、
「僕は同い年のようでいて、
1月生まれのミッちゃんとは、
学年では違って、年下なんだよね、
実はトシが下なの」
と言われる。
これが毎年マネージャーと
「また今年も言われたあなた」と、噂になる。
私も私で、なんでだか必ず
「はあっ!そうですか!」
驚いたような顔をしてしまうのだ 。

第6回

10月27日(火)
たまっていた原稿書き。
書きたいのに、ある名前がどうしても思い出せず、
友達のコトミちゃんに電話すると
「ロビンウィリアムズのさあ」と言っただけで
「ジャック!」
「甘くて黄色でさあ」
「サバイヨンソース!」と返事が早いので、
「いつもどうしてすぐわかるの?」と聞いたら、
「ミッちゃんの顔を思い浮かべると
なぜか答えが見えてくる」と自分でも不思議そうだった。
こないだは
「こないだ名古屋は強ーい雨だったから、ひまだったし、
わざわざベランダに出て
一人実況中継やってみたところ!」と言っていた。
私はすごい風の日にやった事がある、と話して笑った。
こういうところはとても似ている。

10月28日(水)
コドモの連絡帳に、毎日親のサインが必要なのだけれど、
それに変わったデザインのサインや
小さなイラストを勝手に書いていたら、
「クラスのお友達の一人が、
それを見ておなかを抱えて苦しそうに笑ってた」という。
ものすごく嬉しい。
どれに笑ってたか、と聞いて、
どれどれとそれを見ると
あら? これかなあ。だった。
あんまり自信がないデザインだった。

そのあとコドモの話で笑ったのは、
さすが今のコドモ、クラスの女子の中で今、
「ブラ」をしてくるコが出たんだけど、
そのうち、そうブラの必要のない子も
2、3人つけてくるようになったのだそうだ。
体育の着替えの時につけてない子が、その子に、
「ねえ、どうしてそれ、つけてるの?」
と聞いたと言う。
そしたら黙って、しばらくして
「暖かいじゃない」。と大きな声で言ったんだそうだ。
かわいい! 暖かい!

1998-11-01-SUN

第7回

11月1日(日)
コドモと一日遊んだ。
生まれたばかりの時は「かわいいじゃん」と思ったが
一年たつと、
「あれ、だんぜん今年の方がいいなあ。
去年は今年ほど強くなかったか」
と思え、3年後には
「コドモはぜったい3才児に限る、
1才児はまだまだぬるかったのだ」
となり、5年で
「これがコドモがかわいいのピークなのか!」
と思え、10年で
「このまま成長して! 
いや、成長しないでくれ!」と願う。
そんな話を昔、玉袋筋太郎さんにしたら、
「今(4才)、その気持ちがすごくわかる」
と言っていた。みんなそうなのかな。
性格全然似てないのに、
なんでこんなに好きになれるのだろー。
子離れできるのかな。不安。
いつか嫌いになれる時がくるのかな。おもしろい。

11月2日(月)
東京経済大学で学園祭。
いつか、某アーティストが私に
「私は学園祭に出演なんて考えられない。
なんで学生がプロをよべるの。
そんなの日本だけだし、おかしい」と言っていた。
けど、今日はすごおく楽しかった。
本人が楽しめたらお互いいいわけだ。
私は出たい。学生は呼びたい。需要と供給。バランス。

11月3日(火)
学習院大で学園祭。
入学して何が良かった? と聞いたら
「隣の席のあか抜けしない男の子が、
大会社の御曹司だったりするのがとてもおもしろい」
「SPをしゅっちゅう見る」
「自分は大して金持ちじゃなかったと知る」と言っていた。

ここは歴史が古いだけあって、
とても「お祭りー」という雰囲気が強かった。
本番中、背中で何やらモメ事が聞こえた。
「さっき、どしたの、なんだったの?」
と聞くと、
「始まってからだというのに入場しようという方がいて、
お断りするのに騒ぎが起こりました」
と言っていた。
こういうとこ、お坊っちゃんだ。固いねえ。
そんなもん入れてあげればいいじゃん、と言うと
「それはやはり、できません」とのことだった。
ま、それも君の個性だわな。

みつを

そのあとNHK-BSで美術番組の生放送。
鶴太郎さんは、芸術家としての出演のようだった。
それにしても全ての芸術は誉められすぎではないか。
アナウンサーが、ラストに
「美術館での絵は平均して一人一枚につき
1分ほどしか見てないのが現状です。
もっとちゃんとガマンして見るべきではないでしょうか。
それではさようなら。」
の、「ガマンして」がおかしかった。
すごいリアル。

11月4日(水)
赤坂のスタジオで
NHK「課外授業ようこそ先輩」ナレーション撮り。
日比野克彦さんが先生。薄く岐阜弁なのがわかった。
授業は面白かった。

11月5日(木)
「ビバリー」と「かもネギ」ラジオ生放送。
あいた時間に美容院へ。
そこに明本歌子さんみえて驚いた。
たまたま「コズミックファミリー」というエッセイを
読んだばっかりで、
ここんとこ彼女の事ばかり考えていたから。
紹介されるも「あなたはどっかで見たことあるわよ!」
とひらめいたように言っておられた。
勝手に想像するシャーリーマクレーンに
似ている雰囲気だった。

1998-11-01-SUN

第8回

11月6日(金)
レギュラーの「ぴかいち倶楽部」生放送。
その前の「スタジオパーク」のゲストで
大西順子さんがいらしていて、
ピアノのリハを勝手に見学する。
すっぴんで愛嬌のないところは
友達のスタイリストの綿引さんにそっくりだ。
ちょっとした目つきで仲間に
曲の「ここで終わろう」などとコンタクトをとるヤツ、
一回マネしてみたい。
いや、かつて一度それをピットインでのゲストで
マネした事があったのだが。
照れ笑い、そして苦笑い。

私の番組でのゲストは見栄晴さんだったのだが、
裏の見栄晴さんに感心してしまった。
たいがい「自分はこう出るぞ!」としているのだが、
彼は全体の流れを見て、それから「自分はこう出よう」
と考えておられたようだった。
やはり、長くやっておられるだけある。
タレントとして、とても優秀な方だと思った。
しかも妙に腰を低くもしてなく、ごく普通。

11月7日(土)
WOWWOWで「ガープの世界」を見る。
水道橋博士のHPに
「ガープの世界をまた見る」と書いてあり、
私が昔、自由が丘でこれを見て、どこがいいのか、
なんでこんに評価されてるのかがちっともわからんな、
と思っていたので、どれどれもう一度、と思って拝見。
二度目とあってじっくり見たが、
再びどこがいいのかわからず。
市民ケーン、だ。
「植草甚一の世界」と同じで、
女性にはどうにもわからんが、男性にはくるのかな。
たとえば、なぜかずっといじわるをしてくる
女の子「プー」や、異常にたくましい母親、
あっさり浮気する妻、女性の団結力
(レイプされた女性がいて、
男性社会に抗議として舌を切る)
など、案外男から見た不思議な女が見えるのかもしれない。
実情は、そうでもないぞ。
ただし博士から勧められた本や映画、情報で
感謝したものはたくさんある。
友達っていいな、だ。
たとえば山川健一の「マッキントッシュハイ」。
読み返し、やっぱマックだ、とまた思った。
家のスタッフの中川さんなどは、これを読んではまりまくり、
話題のアイマックの歴史までに広がり、
今、マックの中で一番欲しい!
と思っているのだそうだ。
ただしかし、事務所で今度買おうとしてるのはWINDOWS。
そのうちホームページを作ろう、と口約束。
もし作ったら、ここに(1101)日記を
クリックできるようにしましょう。
その時はやり方をモギさんに聞こう。

11月8日(日)
えびすさん

名古屋CBCで「太郎と花子」ゲスト。
今田さんと東野さん司会の番組。
前に出たとき、楽屋でこの二人と板尾さん、
ホンコンさん、
山崎邦正さんらがテレビでずうっとプロレス中継を
真剣に見ていたのだったが、
「蛭子さん、いいかげんにしてくださいよ!」
とその中の誰かがどなった。
「なんでそういちいち笑うんですか!」と言う。
それに対して蛭子さんは
「だって、ワザかけてるんだもの。」
とクスクス一人で笑っていた。
それを見てると私もおかしくなって笑ったが、みんなは
その答えに全員で無視するしかない、という風だった。

その日はこの番組が押して新幹線に間にあうか、
という事態となり、
しかもタクシーが一台しか来ず、急遽私とマネージャーと、
同じくゲストだった蛭子さんとの3人で乗ったのだったが、
タクシーの中で蛭子さんが
「清水さんのカバンは重そうだから、
駅に着いたら僕がそれ持って走ってあげるよ」
と言ってくれた。
なんとやさしい、と思ったが、
「慣れてますから大丈夫です」
と自分で持つことにした。
しかし、いざタクシーが到着し、
三人でダッシュで走り出したら、
蛭子さんだけがとてつもなく足が遅く、
ふざけているような走りだった。
イライラしだして、逆に「私があんたのカバン持つわよ!」
と言いたくなった。
今日も一緒だったので、「よく呼ばれますねー」と言ったら
「僕ネ、どうやら気に入られてるみたいよ」と言っていた。
一言一言が心に残る人だ。

1998-11-12-THU

第9回

11月9日(月)
10月の新潟のロケでお世話になった方から
お米が10キロ届く。とてもきれいだ。
さっそくお米3合を研いで、いい水で炊いてやろ! とし、
そうだ、せっかくだから炊飯器はやめて、
久々にオーブンで、と
土鍋に米を入れ、オーブンで炊いた。
秋から冬にかけてはオーブンを使うべき。
つけてみるだけでもいいです。
つい、何か入れたくなり、
そうするうちに慣れてくるから。
そのままストーブになるし、
ストーブよりもいい匂いがして、
冬が好きになったりするもんです。

ところでお米を炊くのはけっこう簡単で、
オーブンを230度くらいにしておいて、
30分そのまま火加減も見ず、そのまま放置。
タイマー鳴ったらそのまま10分蒸らす、
で必ず上手くいく。
ところが、これを炊き込みごはんなんかにして、
炊き立てをお客さんに出すと、必ず客人から
「ミッちゃんってすごーい!」と合唱される。
ガスコンロなんかでもうけます。
ぜったいお米ってのは
炊飯器でないと炊くのがむずかしい、
と思われていて、ソンをしてそう。
タイなんかだとお米を炊かずにまんま
茹でているのに。

昔、夫と同棲していた頃(フケツ!)、
これを作ってやったら、
「この人には、できない事がないんじゃないか!」
と思ったのだそうだ。
しかし、今は
「この人は、何かひとつこれ、
といってできる事があるのか!」
としばしば思うのだそうだ。
慣れ、というものが夫婦間にとっての危機に直面します。

11月10日(火)
「マイフレンドメモリー」という
かったるい映画を試写会で。
これを見て文章を書かなくてはいけないのだ。
ただしかし、これは邦題のセンスが悪いのであって、
(原題は、「THE MIGHTY」)
まだわからんぞ、意外にいい時もあるぞ、
とも思ったのだが、
邦題が皮肉にもピッタリ。
まったく「マイフレンドメモリー」だった。
ま、泣いたけれども、
私くらい体質的に涙腺の弱い人間だと、
心の底からの涙なのか、
単に音楽で情感を走らされてなのかがすぐわかる。
私は嘘泣きでもすぐに涙が出るのだ。
嘘だとわかっているのに、それにまた感動できて
ずんずん泣けるタチなのだ。

THE MIGHTY

本当に私の涙ってのはうまく、早く、安い。
それにしてもこの映画は、とにかく説明がうるさい。
「ここで少年はこう思ったのだ!」、
なんてのが、歌や映像でしつこく説明的に出てきて、
画像を見ながらも想像させるのが映画だろ、
クラブ活動!
と頭の中でプラカードを持って行進した。
そのまま前進し、レンタルビデオ屋に行き、
「スリングブレイド」を観る。
これはいい。泣かなかったが、これはいい。
詳しくは「FROM A」に書いたので
立ち読みしてレンタルしてほしい。

1998-11-14-SAT

第10回

11月11日(水)
フジテレビB-WAVEにて矢野顕子のマネ。
テレビで彼女のモノマネするのは何年ぶりかわからないが、
矢野顕子の歌だけは、昔から私にとっての笑えないネタで、
サンクチュアリで、ピアノはどうあれ、
歌声だけはMCを含め、やにうまい。

ムトゥ

思えば高校時代から20年もやってる
ことになるんでした。
こう書いてみるとすごいモノマネ人生だ。
実は、私が高校3年だったか短大一年生かの頃、
モノマネ番組で、
榊原郁恵がまるでかなりアホが入った表情で
彼女の弾き語りのマネをしたのを見て、
家族と夕食の茶の間で見ていた私は
「あっ、コンチクショー。
私にそのピアノを貸しなさい」と、
無性にメガホン持って
立ち上がりたくなったことがある。
でも、これが立候補したきっかけに
なったのかもしれないのだから、
今は幾重にも(しゃれ)感謝。

そのあと、ビデオレンタル前で車から降り、またレンタル。
「ダイヤルMを廻せ!」と、「天国と地獄」と、
CDで真心ブラザーズ。ところが帰ってみたら
CDは間違えられたのか「B’z」のCDだけが入っていた。

このところまわりで、なぜか映画やビデオの話ばかり。
糸井さんにメールで「私は(自転車泥棒)という映画、
ストーリーとオチを聞いただけであまりに悲しいため、
いまだに(多分今後も)見ていない」
と書くと、
「今ちょうど泣けた映画ベストテンという企画を
立ち上げようと思ってたのだ」
とあった。
似たような事を思うものだ。
東急文化村でモギリをしている私の知り合いが、
「ポネット」がかかったとたん、
ずうっと大にぎわいの長蛇の列ができて、切るたびに
「おまえらそんなに泣きたいのか、
ホロリ好きか、と聞きたくなる」
と言ってた。

ついこないだ会ったホンコンさんも、ぐうぜん
「ワシ実は、映画は泣けるヤツが
好きやおもうてますねん」
と言っていた。スナオな言葉。花束。
夫は「泣いたと言えば、ひまわりと鉄道員」
と言っていた。
私は「砂の器と、ほたるの墓と、ET、
ダイハードのラストで
奥さんに俺は悪かった、と言ってくれ、
とあやまったシーン」が思いついた。
私はまだ見ていないけれど、ポネット、どうでしょう。
見たくなってきました。
もしもこのまま、「泣ける映画ブーム!」となったら、
誰かがすぐコメントで「今は不況だから」、
と結びつけそう。

1998-11-15-SUN

第11回

11月12日(木)
ニッポン放送の「ビバリー」のコーナーの中で、
北野大さんから
「塩を溶かしたお湯で足を暖めると風邪の予防になる」
という事を聞き、さっそく夜やってみる。

ストレス

部屋でポワーンとしながら風邪とは関係ない事が
なんだかわかった。
ヒラメキ!
全てのストレス解消というものは、これなのね。
自分の身体への愛情表現、ですか。
ちゃんと一回やさしくする、
してあげる、した、って事実。
心はつながってるようでも、身体の方は案外バカだから、
ちゃんと実行してあげないとわからないのではないかしら。

昔、聞いた話、
英語には「胸焼け」、とか(肩が)「こる」、
という言葉が
実はなかったそうなんだけど、
この言葉が訳されて輸入されたとたん、
「そういえば、思いあたる」とア
メリカ人に思われたそうで、
ここからサロンパスに
似た商品などがいきなり売れたのらしい。

ストレス、という言葉も私は
「これかな、これだろう」
と探すうちに体がわかってきたような、
むしろ宿ってきたような気がします。
そしてそれを感じてしまったら、
「解消」という言葉はもっと
早く溶け込んで行ったのです。
そのいわゆる「解消法」はどれもまるで、
身体が「俺の存在を、よく覚えておけよ!」
といってるものが多い気がします。
なんか、かわいくも思え、
よしよし、と足だけ暖めた。

この日、淀川長治さんの訃報。
泣ける映画、とか言って楽しんでたら、
映画が泣いてそうな。
確か、私の記憶ではある日の淀川さんのベスト3の映画に
「ひまわり」と「カオス・シチリア物語」があって、
もひとつがどうしても思い出せない。
「ひまわり」は見れたけど、「カオス・シチリア物語」が、
どこを探してもビデオで見つからない。
「記念にどっかで上映してくれないかな」
とラジオでさりげなく頼んだ。

1998-11-19-THU

第12回

11月13日(金)
「ぴかいち」生放送。
マネージャー・ヤノッチが
サンドイッチを持ってきてくれた。
体は小さいのにやさしい子。
ときどきコーヒーもポットに入れて持参してくれる。
話やセンス、好みなど(もと女子プロサッカー選手)
私とは正反対で、まるで男の子のようでいて、
とてもナイーブかつペシミストな横顔がある。

そのあとステラ取材。
話が早い記者、大好き。
蕎麦を食べ、場所変えて
ホテルでサンデー毎日のユーミンについてのコメント。
取材お疲れさまでした、の別れの挨拶で、
「清水さん、ピアノでユーミンを
歌った事があるというのは本当ですか?」と
ニコニコ聞かれ、
あ、だいじょうぶなのかな、記事、と一抹の不安。

家で原稿2本書いた。
ここで(日記を)やるようになってから
何でも早く書けるようになってきた。
何事も練習だね。
あ、これって練習、、。

夕食にオムライス作る。
コドモの舌はまったく低次元だなー。
黄色に赤かよ。ベタだねえ。
早くわけぎのぬたあえとか
カマの塩焼きとかの味を知ってくれんかな。
でも夫もちょっと喜んでた様子。
そのあとナタデココと柿。

1998-11-21-SAT

第13回

11月14日(土)
那須にある、「那須ハーモニックホール」
というところでライブをやった。
いいところでいい天気だと、
人はやさしくなれるものだなー。
そしていいホールで、いいスタインウエイだと
さらにやる気が加わるものだなー。
お客さんまでまるで輝ける人々に思えてきた。

本番5分前にカーテンの後ろにいたら、
24、5才くらいの現地スタッフの女性が
(話しかけようか、どうしようか、勇気がない)、
という迷った顔をしていたので、
やさしいモードに入っているこちらから、
ニコッと微笑みかけた。
そしたら、(じゃ、)という顔で
こっちにささっとやってきて、私に耳打ちした。
「清水さんの、OL百科、大っ好きです!
 いつも楽しみなんです!」
私の心の中で、大きな声で
(OL百科ってなんなんだよお!)とシャウトした。
「そうだ、きっと、清水ちなみさんという方が
私に名前も顔も似ているので、
多分、ちなみさん方面ではないか」、
とこれまたやさしく述べる。
女性はまたたくまに沈没してきそうだったので、
「あれ、おもしろいのよね!」と、
知りもしないくせにてきとうな事を言った。
しかし、沈没はとめどなく、
舌を噛みきって死にそうな顔で
あやまりながらうしろにさがって行き、
私はそのまま照れ笑いをしながら客前に出た。
OL百科って何なんだ。

そのあと深夜、インターネット番組「茶ナイト」へ。
ヘトヘトで1時間。
でも4秒にヒトコマずつ写るのはおもしろいかな、
と思い、動作を4秒ずつ動かしてみたが、
数秒後、まったく関係ない事に気がついた。
そのまんまでいいんじゃん。

11月15日(日)
TVブロス原稿を書く。私の雑誌の連載は全部で6本。
けど、その中でひとつだけゴーストが書いている。
なんでかというと「そういう風にしてくれ」と、
頼まれたからであるが、
最近「あれ、本人じゃないでしょ!」と指摘された。
ピンポーン。わかってくれてありがとう。

ベルマーク

そのあとベルマークをセロテープに貼っていく作業。
私はPTAのベルマーク委員なのだ。
小学生の親になると、
全員PTAに加入となるものらしい。
ずっと何もやってなかったので、
今年くらいは楽そうな
ベルマーク委員に立ったのだが、
これがけっこうチマチマとたいへん。
そんな事をいつかラジオでぐちってたら、
高田文夫さんがおもしろがって
「清水、ベルマーク募集中!」
なんて言ったもんだから、否定したというに
ほぼ1キロくらい集まってしまい、
(これって捨てられずに困ってた人が
 結構いるものなんですね)
またこれをそのまま出したらみんなが困るし、
と思い、少量ずつ出してたら、同じ委員さんに
「ラジオで、たくさん来たって聞いたけど、
 このくらいなんですか。」
と言われてしまった。
ごまかしちゃった、と言って笑ったが、
来月、本当に全部出すからな。知らんぞ。

11月16日(月)
ピアノ調律してもらう。
調律師のために買っておいたミントの紅茶を出す。
前に来てもらった時、コーヒーを残してたので、
こういう上品なヤツならどうだ、と思ったのだが、
案の定すっかり飲んでいた。
ついでに私も飲んでみたが、なかなかおいしいじゃないの。
終わって「これでどうでしょう」と聞かれ、
(またかよ)と思いながらイチ音ずつ弾き、
「けっこうです」と言う。
まさかどこが変わったかわからん、とも言えず。
あっちも(おまえ、ホントにわかってんのかー)
と思っているに違いない。

11月17日(火)
エグザスでまた夫とヤノッチとでスカッシュ。
マシンもやった。じろじろ見られるも、
ここだとみんないい顔いい心身としてるので、
いつも平気でへたばりながらも楽しめる。
横で人気のエアロビが楽しそう。
でもやったらきっと笑ってしまいそう。
私は学生時代に行ったディスコでも
「あいつが、踊ってる!」と思うと笑ってしまい、
ちゃんとみんなと踊るように注意された事がある。
しかし、私がしゃにむに踊るとそいつは笑っていた。
だろ? という顔をしてまたいちだんと激しく
踊ってやった。
なつかしいなあ。
なんであんなに六本木だったんだろう。

そのあと試写会「6DAYS、7NIGHTS」へ。
タヒチへ旅行したみたいだ。
しかし主役が、ハリソン・フォードだと、
もっと危険に!もっと若く!もっと驚かせて!
と思ってしまう。
でもまわりはよく笑ってた。
主人公の女性はきっと、
日本女性の「やせたい願望」を
さらにつのらせるだろうと見る。

11月18日(水)
部屋の模様替え。
これをしてもしてもいつも汚い私の部屋。
および居間。
部屋をきれいに! とでかい張り紙をした。
コドモの部屋もいつも汚い。
思えば私の実家の部屋も、どこもいつも汚い。
これはきっと家系なのだ。
血がつながった人はみんながみんな、
だらしないところで暮らしている。
家事の99パーセントは何かを片付けることだと
誰かが言ってたが、本当にそのとおりだ。
しかし、今後は私から血をきれいにする。
祖先は私からがスタートになるのだ。
清潔な家系になる。
まずは、物を買わんことだ。

サンデー毎日の記事、不安が当たった。
ああくやしい。
「初めてユーミンと会った時、
手を差し伸べられ、できた人だと思った」、
と言ったのに、記事には
「あんまり変なマネ、しないでよね、と肩を叩かれた」
となっている。
いつもこうなる。
書くんだったらいっそのこと
もっとブラックにしろ、と言いたい。
いい人そうな記者だったのに。
くやしかったので、抗議として本屋さんにすぐ電話して
サンデー毎日の定期購読を止め、HANAKOにしてもらった。
ザマミロ。
しかし、なぜ、口に出たのがHANAKOなのか
我ながらわからんが、
これでスカッとした。

11月19日(木)
ニッポン放送のあと、DA・PUMPの番組に出演。
DA・PUMPには、わらわらと
大人の関係者がついていた。
メンバーより多い。
わらわら。そしてわらわら。
DA・PUMPの一人が田原俊彦のマネをし、
うまかったが、瞬時にNGが入った。
この待ったり! という感じ。
さすが大人のチェック。わらわら。
(DA・PUMPについてはTVブロスを読んでちょうだい。)
そのあとTBSラジオに行く。
この時間にヨッ!大統領(本物)が来日してて、
やたら警備員がいきいきと嬉しそうに注意。と見た。
台風みたいなもんで、
ちょっと嬉しいのを隠せない顔をしていた。
しかし、輝き丸だしだ。
大統領の顔はまるでニセモノみたいだった。
いや、CMのニセモノがやに風格があるのであって、
聖子ちゃんのそっくりさんみたいな
カンジじゃないのだった。

11月20日(金)
NHK「ぴかいち倶楽部」に出たあと、
洋服を買いに下北へ。
またブラブラぼろい自転車に乗ってる柄本さんを発見。
芸能人で一番好きな人で、一番よく会う人だ。
あんた、もちょっとパリッとしなよ、と声をかけたくなる。
そういえばナンシーさんの乗ってた自転車もボロかった。
新しい銀のヤツのを買ったらしいが。
ボロい自転車って人柄を見えるようで、何とも味がある。
私は無印のヤツ。ださ。

1998-11-28-SAT

第14回

11月21日(土)
NHK-BS「俳句王国」ゲスト。
俳句の偉い先生が歯に衣着せない人で、おもしろかった。
私の句はボロクソだったが、本当に我ながらひどかった。
客観的に見るとあまりに下手なのが
かえってかわいく見えてきて、笑えた。
「秋空に 弁当開ければ 栗ごはん」はないだろう。
栗ごはん嫌いな気持ちを出したつもりだった。


こんなサイン見つけました

そのあと名古屋名物うなぎの「ひつまぶし」を食べる。
茶づけにして食べる。おいしい。
そのあとコーヒー。まずい。
よく臆面もなく600円も取るなあ。

コーヒーと言えば、
私の実家はコーヒー屋さんを経営してて、(今も)
そのあと東京で感激したスパゲッティ屋(壁の穴)の
チェーンとして隣の店舗で経営し始めたのだが、
この時、両親は「あれれれ」
と思ったのだそうだ。
コーヒーだと原価が
安かったのに(約5分の1でできる)
スパゲッティだと、安くしようとしても、
2倍にすると高いカンジになるのだそうだ。

普通、こういう商売は原価×3倍、とされているのに、
そうも言ってられないらしい。
私がケーキ工房でバイトしてた時も「あれれれ」、
と思った。
いい生クリームでいいフルーツ、
いいバターを使ったとたん、
ものすごく高くしないと本当にモトが取れず、
なんてコーヒーってのはワリがよく、
支払いもカンにさわらなくできてるんだ。
だいたいがカツ丼みたいな値段なのだ。
豚に下味をつけて、揚げて、煮て、卵でしめて
ごはんに乗せる。
おしんこも付けてお茶も出す。
テマヒマ考えたら絶対おかしい。
値段というものはいちいち考えていると
全体がまちがっている事がわかる。

11月22日(日)
東海テレビ40周年記念で上岡さんの番組にゲスト。
暖かい服装で、と言われ、そうして行ったら
この日はめちゃめちゃ暑い。
寒いと人は笑いにくいと聞くが、暑いのもこれまた。
帰りの新幹線でいいパソコンをやってる人を見た。
パソコン、SONYの「バイオ」を注文したら、
あまりに人気のため発注も間に合わず、
いつになるかわかりませんと言われる。
柔らかく断わってまあす、ごめんくださあい、という感じ。
商売人が何をしとるか。
実家なら徹夜して作るところだ。
ウチに発注しろ。

1998-11-29-SUN

第15回

11月23日(月)
甲府の夫の実家へ行って泊まる。
ここは自分の実家(忙しい)よりもいつもよく眠れるし、
よく食べる。
何もなくて、と言われるが、
ホントに何もなくて、私も何もしない。
ばあさんと庭で焚き火しながらしみじみと焼き芋を焼いた。
夫のコドモ時代の話に、コドモと笑った。
小学校の帰り、生まれて初めてヘビを見た時、
「僕、ヘビ見たよ!」と興奮していうので、
「そうけ、どんなヘビだった?」と聞くと
「北島三郎みたいな顔!」と
そのまま真顔で言ったんだそうだ。
笑いながらなんだかちょっとしみた。
ここんちの葡萄で作った密造ワインを飲んで寝る。

11月24日(火)
午後起床。
マイニューファミリーは起きてこないので
ひとり畑をうろつき、春菊などをゲット。
またじいさんばあさんが焚き火。
コドモは何とかとかいう学校の記念日となり、
今日も学校が休み。
宿題をやらせるが、小数点なのに、
途中で「0÷3=」という問題。
ニューファミリーで苦戦。頭が混乱。
割れるわけないわ、ミスプリ、という結果に。

そういえばいつか、
コドモの友達二人が家に来て三人で宿題をやってた時、
ぐちが聞こえておもしろかったのが、
「国語の問題はまだいいけど!
算数っていつも、みかんの数を、出しなさい、とか、
幸子さんのおつりは、いくらか、とか、
自分の事聞いてんのに言い方がぜったい
命令っぽく書いてあるからむかつく。」
だ。
そら、まったく正論だ。
私の時代でも、そういうところあったあった。
人様に、なさいって事はないよ。
わかるよそれ! と隣の部屋から顔を出した。

11月25日(水)
日テレ「メレンゲの気持ち」ナレーション。
そのあと伊勢丹で買い物。
かーわいい洋服や毛布で作ったバッグなど
一気に買って、家で総計してみたら
結局20万円ほど使ってしまった。
しかし、どれもこれも後悔しないものってカンジ。
今年一番損したかな、と思えるのは英和ペンかなあ。
モノマガジンを読んで、つい購入。
ラインマーカーのように英語の部分をなぞると、
ペンに日本語で訳して出る、というヤツ。
英文の本を読む時、きっといいぞ、と思ったのだが、
そんな機会ないじゃないの。
ま、いつかね。
英和ペン
英和ペン

1998-12-01-TUE

第16回

11月26日(木)
アナウンサーという職業の女性はどうしていつも会うと
「さあ、あなたのギャグに、笑ってさしあげますよ!
 さあおっしゃい!」
という笑顔で接してくるのだ。
「シルバーシートに手作りのクッションを置きました!
 さあ座って!」と、感じる。
ちょっと座ったとたんに、目の前で笑い踊りをしてくれる。
本番電車は降りられないし。
乗り込む前も、「今日、寒いねえ、」と言っただけで、
「やだあ! 寒いですよそりゃ! 冬ですから!」
とひとり爆笑している。ちっともおもしろくない。
うざったい。
うざったいといえば
IZAMの前髪。

11月27日(金)
NHKぴかいち倶楽部出演。
そのあと中川さんらと3人で海砂利水魚のライブ。
笑った。
ちゃんとネタを作ってて、えらいなあと思った。
上田さん、メールではけなしあってるが、
今日はまじめに誉めメールを作文した。

母親の誕生日なので、電話した。
毎日何時に起きてんの?
と聞くと、「今は4時半くらい」と言う。朝のだ。
びっくりしたが、
5年ほど前に「弁当・かやく屋」を開業して以来、
そういう決まりでいたのだった。

私は「年中無休」って
当たり前の商人生活だと思っていたんだけど、
中学生頃に「普通は週1日は休むもの」だとわかった。

11月28日(土)
天才テレビくん2本撮り。
ヘアメイクさんがうまい人だった。

そのあと府中の森で矢野顕子さんのコンサートへ。
私にとっては一番大切な日。
暗くないのになんで泣けるのだろう。
芸術はそもそもそういうふうにできているのかな。
糸井さんは天才だ。

始まる前、パンフを見て心で舌打ち。
「曲のアンケート結果」が
ひとりひとりのっていたんだけど、
これが家にもFAXで来てた内容と同じ。
事務所にやたらイタズラみたいなアンケートが
来てた時期で、電話が入らないアンケートはあやしいのだ、
として無視しちゃっていた。
本物だったのね。
しかし、そんな事などは小さく思えてきた。

一緒に行ったのは、
私のライブを全部見ているファンの女の子で、
そのうち一回二回と矢野さんのコンサートに行くうちに、
こっちにはまっちゃった、清水さんに感謝してます!
というヒト。
そういうところが好きだが、考えて見れば
なんだそれは。

帰りに二人でお鮨やさんに行くが、
久々の外食なのに興奮しててあまり食べられず。
喜びは食欲を減退させる、という格言はどうか。

昔から、矢野顕子さんの顔と、渥美清の顔だけは、
いきなり本やポスターなんかで見てしまうと
ウッとくるものがある。
意味は違うけど。

お鮨やさんの帰りにどうしても歌いたくなり、
私の家でマネ聞かんか、と誘おうかと思ったが、
コンサート直後では似てないのがばればれだと計算し、
別れ、家に帰って夫にどんなに幸せだったかを語る。
夫は風邪を引いてて少し迷惑そうだった。
ピアノ、聞かないよね? と聞くと「今度でいい」、
とせきをしながらもヨワヨワしく
答えたので、あやまりつつも
そのテンションの低さについ笑ってしまった。

1998-12-03-THU

第17回

11月29日(日)
以下はN.Yにいる友人、高平みくからのメール。

昨日、書き忘れたのですが、日曜日に
"Life is Beautiful"という映画を見ました。
それが、とっても良かったので見て下さい。
ロベルト・ベッジーニ監督・主演で、映画の中盤から
突然ホロコーストの話になってしまうんですが、
それが、別に泣かそうとしているわけではないのに、
泣けて泣けて。
家に帰ってから想い出してもう一回泣いてしまいました。
やっぱり、私は平和至上主義です。
人が人に悪いコトしてはいけません。
そう思って、今日"Babe"を見たら、
豚にも悪いコトしちゃいけないなぁと思いました。
でもなぁ、食べたいし。
"Babe"でも泣いてしまったんですが、
やだなーなんででも泣く人間だと思われたらば。

さて、いつも思うのですが、メトロポリタン美術館に
なんだか稚拙な作品が展示してあり、
別段だれも見ていない一角があるのです。
そこに、こっそり自分の作品を置いてくるっていうのは
どうでしょう。
もう、盗むとかじゃなくて、無理矢理置いてくる。
レーベルとかもそっくりに造って。
これからは、やっぱりそうじゃなくてはいけないと
思うんですよね。
で、「私の作品ね、メトロポリタン美術館所蔵なの」
って自慢するの。
へーそれはすごいね、って感心されるでしょ。
最近、ちょっと考えていたんですけど。

みくちゃんという知人は上のように、とても文章が面白い。
話ももっと面白いのだが、声はもっと面白い。
ただ、babeで泣くな。

ところで今朝は学校からの指令で、遊歩道の掃除。
家の掃除もヘタなのに、なんで、シンデレラ。
掃いてるそばから風が吹き、
軽やかに落ちてくる枯葉にむかっ腹が立った。
枯葉よー、ソラシミー、は掃除しなかった人間の歌。

そのあと「天才てれびくん」の来年分の2週撮り。
昔、大阪でやってたレギュラーの
コドモ(小3・girl)と一緒になった。
「清水さんな、あの頃とちいとも変わらへんなあ。
 あのな、うち、清水さんいつかやった
 『おら田舎者じゃけのう』と言った時の顔、
 時々思い出して夜中、笑うとったねんで」
なんの事かわからないが、私ならいかにもやってそう。
そうかそうかと喜ぶ。
そのあとも
「うちの担任の先生な、授業中にな、気がつくとな、
 のどぬーるばっか塗りよんねん。ごっつ気分悪いねん」
も、よかった。
のどぬーるかあ。

11月30日(月)
このHPにある、「プラグイン幼稚園」を教えるたびに、
知人からも感謝の声。
私も簡単につなげた。
私にお礼がくる。ぱくっ。
ソニーのバイオ、業者さんから電話があり、
なんと探したらあったのだそうだ。
わーい。

そのあと晦日にオンエアの「今日の料理大賞」へ。

ところが料理の時、
どうしたことか偉い歌舞伎役者さんの手が
アップになるとぶるぶる震え出し、
カメラが遠くにひくと、ピタリと止まる。
またアップになるとぶるぶる震え出す。
カメラさん、「どうしました?」と聞きながらも
笑いをこらえる震えが止まらず。

このラストで周富徳さんは
「表彰状」がなかなか言えずに
「しょうひょうじゅう」とか
「ひょうしょうちゅう」
「ひょうじょうしょう」
など、ひょうひょうと落ちついて
何度もまちがえたのも苦しかった。

「今日の料理大賞’98」

そのあと、ルーさんが
タレントコーナーの、優勝を発表する。
スタッフにわざわざ
「一等賞はダレダレか、第一位はダレダレ、
 のどっちかの言い方でお願いします!」
と言われたのに、ミックスしてしまい
「第一等賞は!」発言。
ついに場内、ふっきれたように笑った。
第一等賞。

1998-12-05-FRI

第18回

12月1日・火曜日
香川でAIDSデーのシンポジウムに呼ばれる。
実は12月1日にAIDSデーを設定したのも
知らなかったけど、12月1日は好きだ。
11月いっぱいは秋なのか冬なのかハッキリしないけど、
12月1日になると、さあ、こい冬!
という気にハッキリ気持ちが決められる上、
クリスマスに向けてツリーが飾られる初日だ。
でもなんで西村知美や東ちづるでなく、私。

ここで発見したのは、
人はモノマネしがちである、ということ。
シンポジウム、という言葉に負けるのか、
合わせてしまうものなのか、司会者はじめ、誰もが
「シンポジウム顔」をして、どよーっと暗い雰囲気。
それで、私なのね!とわかり、パカッと陽気に出た。
みんなもパカッとなったようだった。ホント。
楽しみにしていた醤油と生姜だけをからめる
「醤油うどん」が、本当においしい。
私は穀物(ごはん、麺、パン)が、
イジョーに好きなんだけど
こういう具がない麺というものにはひとしお惹かれる。

12月2日・水曜日

仕事の帰り、紀伊国屋書店で
「ぼくが愛するロック名鑑(ピーターバラカン)」と
「深夜特急2(沢木耕太郎)」を買う。
クリスマスツリー設置。
夕食、おみやげに買ってきたうどんを茹でたのと、
大根のサラダ、れんこんのソース炒め、
飛騨牛ステーキ1枚を3人で。

家の前を焼き芋屋さんが通ったので、
コドモと「デザート買い行くか!」と言って
コートをはおって走り、2本買う。
昔よりずっと安い(400円)。
帰りにクスクス笑ってたので、何がおかしいの、と聞くと
「あのおじさん、本当に焼き芋みたいな顔だった」という。
そういえば本当だ。
似てくるもんなんだよ、商売って、と答える。

12月3日・木曜日

MDで「息子よ」を聞きながらニッポン放送へ。
勝手に天気予報を「よく聞けキャンペーン」としてから
これが楽しみになってきている。
こないだは腹話術でやった。
吉永コーナーも笑える。
(吉永小百合様の、断れよ仕事! 
 と言いたくなるような過去の歌特集)

そのあとのTBSまで時間が余り、
やのっちとラーメン屋さんへ。
ここは前からガイドブックを読んで楽しみにしてたけど、
サラダなんかがついてきて、げっと思う。
しかもラーメンがあらっ、という味。
「日清のラーメン屋さん」にそっくり。
いや、ラーメン屋さんがヘタなのではなく、
今やインスタント食品がうますぎてるのかも。
STAR BUCKSでコーヒー。
TBSについたらエレベーターに高田順次さんが
ごく普通の顔で乗っておられ、
それがいっそうおかしくて、
私を含め乗客みんな静かにニヤニヤしていた。

1998-12-11-FRI

第19回
12月4日(金)
朝、ベッドで、
今日はこの幸福感のまま、1日を過ごす、と決意。
「自分さえ良ければ全部いい」、という考えは、
まるで悪い言い方のようで、そうではない。
自分すら気分良くできない人は、万事急須なのだ。
不幸よ、アクシデントよ、
来るならさあカムカムいらっしゃいー、で始める。

朝食を作って、めずらしく食べて、そのあとテレビ生放送。
帰って、家で1時間メトロノームでピアノ。
JAZZコード名の基礎。
ここでもうアクシデント到来。
むいてないんじゃなく、コードが別に必要ないのだ、
今までだって適当だったんだから、
そうだ、トイレに貼ろ、とF・AUGを貼る。

メール3通。
中に1通、大瀧詠一さんからのがあり、嬉しい。
さっそく返事。
なぜかあやまってる1通も来てた。
どうやら私の送ったメールがその人を傷つけていたらしい。
バカバカ、冗談よ、と思ったが、
メールというもの、音声でもなく字ズラあるわけでもなく、
軽い気持ちで書いたものが、
けっこう傷つけやすいところがあるようだ。
わかるわかる。
私もメールであやまって、驚かれた事があった。
電子文明の悲しさよの。
朝の決意、夕方頃にはケロリと忘れてて、
普通な1日になってた。

12月5日(土)
てびちとTBSで。
てびち、というのは私が勝手につけた伊集院光さんの手。
豚足の沖縄料理だ。
性的に興奮したりさせるのがセクハラなら、
こういう食欲をそそる手を、
人目にナマでさらしているのもセクハラだろう。
そのせいか、帰りに脂っこいものが食べたくなり、
肉を解凍しといて、と家に電話。
挽き肉しかないぞ、と言うので近所の焼き肉屋に誘った。
自分の腹がてびちに。

ビデオで「タイタニック」また。
これはコドモと初めて一緒に見に行った大人の映画。
この時は嬉しくて、ちょっと興奮した。
私が幼稚園児の頃、親が夫婦喧嘩をすると
どっちかが映画館に連れてったもんだった。
「座頭市」や「男はつらいよ」は、
今も胸がきゅーんとしまる。
浅草キッドの玉袋さんは
「いつか俺は初・大人映画にJAWSを、
あっちゃんと見るんすよ」
と嬉しそうに言ってた。
しまった。予定する、という楽しみがあったか。
しかしコドモは「こんなに感動した映画はない」、と言う。
今度は「ポセイドン・アドベンチャー」を見せたくなった。

12月6日(日)
事務所にVAIOきた。

元旦の「テレ東ラーメン番組」打ち合わせ。
お正月にラーメンをぶつけてくるところが
この局のいいところだ。
原宿の和田誠事務所へ行く。
打ち合わせは簡単に終わり、
そのまま近所の鉄板ステーキをごちそうになる。
お店を出た路地で、
石田純一さんが携帯電話をかけているところに遭遇。
やけにあせってたみたい。電話落としそうだった。

RAJIOに行き、
和田さんに映画で一番泣いてしまった
ベスト3を聞いたら、
「グレンミラー物語・子鹿物語・
素晴らしき哉人生!」なのだそう。
グレンミラー、どこで泣くんすか、
と聞くと、
「ラストの明るい音楽に俺は泣けるんだよ」、
と言っておられた。芸人の話も面白かった。
ナマで見たもののネタの記憶力。
そのままボロンテールに行き、帰宅AM3:00だった。
9時間もしゃべっていたのか。
上に書いたこと以外、中身の記憶がない。

1998-12-12-SAT

第20回

12月7日・月曜日
事務所の中川さんが、下北沢の「水の戯れ」に行ってきて、
えらく感動してきた。
中川さんはウチの事務所の、TVブロス誌上での
「スタッフ募集」を見て勤務3年目になる人なのだが、
とにかくフットワークが軽い。
どんなミクロなライブハウスも見逃していない。
今年はライブより演劇、なのだそうだ。
そういう方面の雑誌もあるのだそうだ。
タイトル聞いてちょっと笑った。

中川さん
「私はなぜだかあがる、という事がないのです」と言う。
今までも結婚式のスピーチにしろ歌にしろ、
「あがる」という感情がどういうカンジなのか
よくわからないそうなのだ。
「自意識がもともと低くて、これつまり
アーティスト向きじゃないって事なんですよ」と
サラーッと言ってて、ははあやっぱ、言う事が違う、
冷静にライブ見てきてんだなあ、
そういうもんかもなあ、
どこかでちょいと平等だなあ人間、と思った。
「ホーキング本」にもはまってて、
数学をまた「勉強したく」なったそうだ。
おまえが宇宙だ。

12月8日・火曜日
金曜日に出る新宿ルミネのイベントのために、
ネタ「悲しみワルツ」と「MYWAY」をピアノ用にして
自己トレ。
ピアノ、コード練習すればするほど、
どんどん遠のくというか、ヘタになってるような。
そんなバカな。書くな書くな。

コドモが90点とってきたので、
ワーあんた天才だなあ、すごいすごいとおだてる。
仕事の時間まで遊んだろか、と言うと
「久しぶりにあれをやってほしい」と言う。
あれ、というのは恥ずかしい話、
「みじめ暮らしごっこ」というもの。
詳細は書くのをやめとく。
とにかく何で思いついたのか、
いったいどこが面白いのかわからない設定。
「これ(みじめ暮らしごっこ)を、一番乗ってくれるのは、
みつるちゃんとばあば(私の母)で、
とてもカナコ思いつかないようなセリフが
すらすらと出てくる」と言っていた。
どんなセリフなのかを聞いてみら、吹きだしてしまった。
書くな書くな。悲しみワルツを。

12月9日・水曜日
ヤノッチとスカッシュ。
左手を器用にしたい、と思い、
思いきって左手で打つことにしてみたら、
これがうまいうまい。
打ちながら、あんがい私って運動神経いいんじゃないか、
頭で「悪い」と決めつけてたんだ、あの時の運動会、
あれで自分のキャラクターをまちがえたんじゃ、
なんて思いが浮かびつつ。
右にやって来た玉は、素早くさっ、と
左手から右手に持ち変えて打つ。
こうなると体を左右に動かさなくても、どんどん拾える。
ヤノッチに、「こう、両手で持ちかえて打つのって、
いいと思うんだけど、プロテニス界でのルールは、
アリなの?」と聞くと、
「聞いた事はないけど、
とにかく今日、蟹、みたいですね!」
と誉められ(?)る。
蟹とは、うまいこと言う。

マシン20分。
使い方のわからないマシンを
インストラクターのお兄さんに教わる。
教わったあとで、お兄さんから小声で
「バラクーダー、って知ってますよね」と、言われる。
ははあ、お笑い芸人は
けっこうジムに通ってきてるらしいと聞いてたから、
「もしかしてバラクーダー、ここに来てるんでしょ!」
と聞くと、
「いいえ! 来てません」とニコニコして言う。
そのあとでクイズの答え(さて、正解はー!)のように
「実は私、バラクーダーの息子なんですよ」と言われる。

バラクーダーの息子、という言葉もいいが、
なんだか顔もちょうど良かった。
そのあと必死にマシンをやってもやっても、
チャッカー、ポッコー、チャカポコチャ、
が頭から離れず。

1998-12-15-TUE

第21回

12月10日・木曜日
LFビバリー放送中、「交通安全」のさとう玉緒のマネ、
そっくりにできた。
本番リハ。

みじめ暮らしごっこ(ド貧乏ごっこ)、
なんでコドモが好きなのか、惹かれるのか、夫婦で話。
「俺には言わない」のらしい。
「しょせん、あんたは貧しさを知らないから。
ぼんぼんだわ」
と言うと、俺んとこだってけっこうあったぞ、と
お互いの細かい記憶の貧乏トークになったのだが、
これがけっこう面白いものだった。
いつのまにか自分たちが新・みじめごっこに。
そういえば昔、松っちゃんともこれではりあった。
「じゃ、昔のおまえんちの冷蔵庫、チーズ入ってたか」
という質問に、
「あ、入ってた」と言うと、
「な」と、すでに勝ち、のような顔だった。
貧乏、いったいどこの何を刺激するんだろう。

12月11日・金曜日
NHKぴかいち倶楽部で、「お母さんと一緒」特集。
「清水さん、『イカイカ・イルカ』という歌、
イルカのかぶりモノで踊ってください」、と言われる。
しかし、イルカよりもイカの方がどうしても大きく、
好きだった。
「イカじゃダメ? イカ着させてくださいよ」と頼むと、
イカ、結構重くて大変そうですけど、いいですよ、と言う。
イカのかぶりモノで歌って踊る。
踊りながらやっぱりイカで良かった! と思った。
すごくいい歌じゃない! とノリノリ。
イカのかぶりもの

そのあとルミネのイベントライブ。
なんてことだ。
このために練習したのに、ピアノミスしっぱなし。
新しく練習したやつも、やらないで終わった。
きっと、「せっかくピアノ練習したんだから」
の「せっかく」のヨコシマな部分だ。
パカッ、だけで出よう。
かわいいモヘアの手編みのマフラーを
これまた同じような髪のかわいい女の子から
すごく楽しかったです! 盛り上がってましたね、
と、もらう。
そうか、そうなんだ、と言葉を反すう。

しかしやはり家について
どうにも否定的顔つきになってて、
「笛、吹いてあげる」と言って、
真横でコドモがリコーダーを吹いてくれた。
(学校の課題曲・映画トトロより「迷子のテーマ」)
マイナー調だし、音がどうにも貧乏くさくて
(やっぱコドモ)
曲が盛り上がるにつれて吹き出してしまい、
(いつかリコーダー、使える)と思い、
たいへん元気になった。
コドモもその笑いがわかったのか、
途中で笑いだして苦しみながら吹けなくなってんの。

12月12日・土曜日
赤坂泰彦さんの番組に、泉麻人さんと。
泉さん、ジェントルなカンジで、変わってなかった。

赤坂さんの「自信」を、
以前顔マネと文で書いてたことがあり、
本人知ってて、ちょっと緊張。でも大丈夫とのこと。
CM中に、
「僕ね、昔、永ちゃんと二人で飲んでて
殴り合い寸前まで行った事ある」
という話。なんでか、というと
「あんた、日本一の田舎モノだよ!」
と言ったからだそうだ。
「どっちがですか」と聞くと(これもいきなりな質問だが)
「僕が、矢沢に」と言っておられた。
「赤坂さんが。矢沢さんに」リピートしてんの。

12月13日・日曜日
宝島原稿。顔マネ。
あまりにも似てないと笑える。
クイズか。

1998-12-20-SUN

第22回

12月14日・月曜日
FM-TOKYOで番組収録。6時間かかる。
麻木久仁子さん、コロッケさんと御一緒。
麻木さん、
「どういうわけかちっともモノマネされない
イラストなんかも描かれないの」、と言い、
思わず「あ、私もやる気しない!」と、
ヒラメキのままに言う。
じっと見られた気がした。
「さわやかだから!」
とわけのわからない答弁。
しりゃしたで怒られ。

12月15日・火曜日
インタビュー取材。
そのあとレンタルしたビデオ
「ユージョアルサスペクツ」が、日本語吹き替え版だった。しまった。
吹き替えがうまいヘタにカンケーなく、
見ててなんとも気持ちが悪い。感情移入が難しい。
もしも自分が出てるヤツを
違う人で言葉を吹き替えされたら、
同じ日本語でもああっ、ニュアンス違うー、
と思うんではないか。
でもこれ、使えるかもしれない。
何に。

12月16日・水曜日
元旦のテレ東「ラーメン特番」収録。
坂東英二さん司会。
よく見ると理想的なラーメン職人の顔。

もっとぬるくなったような、
うまいけどのびたラーメンが出ると覚悟してたら、
これが全て作りたてで出してくださった。ありがたや。
熱くて本当にうまい。
しかし、ここでわかったこと。
1.
人間、本当においしいと思うと、顔は喜びを出せない。
なんというかその瞬間、表情が静止、止まるモノだと実感。

そのくらいおいしかったのです。
半分くらいの量ずつ、でも6杯食べた。
ここでわかったこと。
1.
人間、ゆっくり腹がいっぱいになると、
胃が重くはならず、あとで背骨にくるモノだと実感。

「ぼうまんかんに、効くザッツ」をいただいた。

 

1998-12-24-THU

第23回

12月17日・木曜日
TBSラジオ(カモネギ放送局)でのニュース、
印象的だった。
「オーストラリアの少年が日本で落とした財布が、
つい最近、広島だかのゴミ収集所で見つかり、
届けたところ、母親がお礼とともに、
『まったくこのお財布は、私の家族の中の誰よりも
長い旅行をして帰ってきたわ』と語った」のだそうだ。
本当かいな。
どうして外人たちはいつもそう瞬時に
イキな事をしゃべれるのか。謎。

洋画で、「リアリティのある」と言われてるものでも、
死ぬかもしれないって時なのに、
必ず「イキ」なセリフが出てきて、
「あれ」と、不思議だった。
「死ぬのは俺からかい?
それとも君の弔いをしてからになるのかい?」
ってなセリフ。(比喩、ヘタですが)

最近の「6DAYS,7NIGHTS」のテレビCMだって、
敵に殺されそうな時に崖っぷちで、
ハリソンフォードが女の子にキスをする。
そして「ごめんよ」とあやまる。
「このキスのこと?」と女の子。
「いや、これさ」と女の子を海に落として、自分も落下。
こんな風な事、やたらある。

こないだだって、
マグワイヤの記録的ホームランボールを、
たまたまキャッチできた男の子が、
本人にボールを渡すとき、
「マグワイヤさん、これ、落とし物です」
と、言ったと聞いた。
なんなのだ、この蝶ネクタイ。
(本当にてっきり落とし物だとばかり思ってた少年、
という話だったら面白いけど。)

アジア圏に内緒の言語教育があるのではないか。
なんて言うと、この質問の答えもまた、
すぐにエスプリで答えそう。

12月18日・金曜日
「金曜スタジオパークからこんにちは、のあとは
ぴかいち倶楽部でーす」。
の、ナマ放送。
ゲストはつぶやきシローさん。

夕方、早めの忘年会。
さすがNHKで、まじめに鰻を食べ、
番組の反省やら来年の期待など一人一人が明るくスピーチ。

車中、MDで真心ブラザーズの「スピード」をかけて
一緒に早口で歌った。
「♪ウダウダ考えてるとスピードが落ちる!
アイルトンセナ!」
のところ、めちゃ気持ちがいい。

12月19日・土曜日
茗荷谷の貞静学園(お嬢様女子高)で、トーク。
女子高生は、本当にかわいいなあ。よく笑うわあ。

ピアノもあったので、
自らてきとうな校歌など、即興で歌う。
こういう時はラクーにできる。
帰りに、まったく疲れってもんがない。
そのあとまた、NHKに行って来週の収録分の撮り。
この時は夫が来てたので、ちょっとかわいくしてみました。おえ。

矢野顕子さんのさとがえるコンサートが
生放送でオンエアされてたらしく、
友達からビデオが届いてて、見る。
毛帽子、グリーンフィールズ、素晴らしい日々。
また快感うるうる。

12月20日・日曜日
家族にうなぎの炊き込みめし、サラダ、
吸物などをいそいそと作り置きし、
楽しみにしてたお食事会へ。おめかし。

キンタマの会のメンバーで、
(仲良し女性4人組。まるで男みたいな性格なので、
さっき笑いながら電話でそう名前がついた)小笹鮨へ。

恐い(顔だけ)ご主人が
「俺が適当に出すから、まかしな」とおっしゃる。
うまかねー。幸せばい。女同士はいいねえ。
食べる食べる。

そのあと、下北のMOTHERへ。
途中、「清水ミチコじゃねえか」
とか言って某ギタリストが現れ、
(私は知らないが有名なんだそうだ)
めちゃめちゃ酔っててからんでくる。あんまりだ。
びびりそうなところを、さすがキンタマの会メンバー、
「女同士で話したいから、あっちに行ってください!」
とバシッとキメてくれた。
カッコいいったら、もー。
店をザジに変え、
仕事の話、ややお品のない話や、かわいい話。

なんと、みつるちゃんが、
私のコドモが通ってた同じ幼稚園に、
(コドモを)預けようかとちょっと考えてる、
なんて言ってて、すごく嬉しい。ちょっと鼻高く。

その幼稚園とは、下高井戸の「小羊幼稚園」といって、
小さい規模ながらも、健常者のコドモと障害者のコドモとを
平等にシゼーンに預かってるところで、
そういうところを、少しも先生(クリスチャン)が
いばっていない、
まかせんしゃい、という「顔」をしてるのがわかって、
気に入った。
もしかしたら、人生の教育上、こういう幼稚園は
コドモのためにとてもよろしいんじゃないか、とも思い、
通わせたのでした。
でもホント、友達のめんどうを見てる姿など、
かわいかったな。
今、ちょっとワルな格好をしてみたいなんて言ってるのが
(ワルとはモスグリーンなのらしい)嘘のようだ。

12月21日・月曜日
原稿3本。
注文していた高山の「中華そば」が届く。うれしい。
偶然、実家から「飛騨りんご」も一箱届き、リッチに。
そのうちお歳暮で「グリコのお菓子いろいろ」
なども来た。まあ。あらまあ。

来年のお正月に予定していた家族のバリ旅行、ナシに。
正月は旅行、
となんとなく決めてたところがあったんだけど、
ウチのコドモ、たいくつでたまらん長期休みを
あんまりしらないんじゃないか、との夫の見解。
確かに忙しいかも。承諾。

1998-12-26-SAT

第24回

12月22日・火曜日
スタッフで事務所の大掃除。
といっても、私は何もしないで、リンゴむいて差し入れ、
そのまま忘年会に参加。
近所にある、中華料理というより中国の家庭料理っぽい店。
なかなか日本語が通じないが、
味、とてもおいしいお店ある。
12月という月は、国内の年間ビールの3分の1が
消費される月なのらしい。
というのは嘘。
でも私の体内ではそうなっている。
明日のためにあまり飲まず。

12月23日・水曜日
ビバリー終わったあとで、日テレのロケ。
昔、私が6年アルバイトしていた
田園調布のデリカテッセン「PATE屋」へ。
ここは私のサンクチュアリだ。

年末で忙しそうなところへ、カメラが入って
パテ屋のスタッフに申し訳ない事をした。
あやまるのもおかしいし、いや、私は今タレントなのだ、
気にするな、堂々と、と、数分頭を整理。

別の仕事を終え、帰りにまたPATE屋へもどってみた。
たまたまここの経営者の義兄にあたる林泰義さんが、
「地域の交換取引システム」についての
ディスカッションを軽いパーティ形式でやっており、
東京工業大学の学生ら約30人とともに参加、
という事になった。
林さん、なんと自分のアイデアで、
かわいいデザインの「流通紙幣」を作成しておられた。
この「地域の交換取引システム」というのは、

1「私はこれができる」という事をいくつか紙に書く
2「私はこれを求めている」という事をいくつか紙に書く
3 それを目録にする
4 おたがいの供給を手持ちの流通紙幣で買い合う
というもの。

これだと、たとえば
「高枝切りバサミを持っている」と登録しておけば、
「今だけちょっと欲しい人」は買わなくても借りられる。
借りた人は何か「自分ができる事」の人への地域奉仕で
また通貨を取り戻す。
誰も現金が儲かったりも、損したりもしない。
個人の得意な事を点数でわかちあえるのみだ。

「しかし、図々しい性格だと、
得ばっかりする人間が出るのでは」と、
質問の挙手があがった。
「そういう人は必ず出るとは思いますが、
地域で借金の額がこのくらい、
とリストに名前が出ますから目立ってしまい、
かえって出にくいんじゃないかと思います」と、林さん。

「もったいない個性が
小さな社会でラクに参加できる」のが特徴。
子供の世話、パソコン操作、ハンガリヤ語、
セラピー、歌を歌いたい人、歌を聴きたい人、など。
案外原始的なようで、とても新しい考えだ。
説明に鼻息が荒くないところも、聞きやすく、
「それ、インターネットで
やったらいいんじゃないか」と、私が意見。
よくよく私は考え方がせっかちだなあ。
まず、地面でやってみて、ってところがない。
だからここが好きなんだろうけど。

12月24日・木曜日
ビバリーのあと、
沖縄での「JALSTORY」イベントに呼ばれてライブ。
沖縄ならどんな仕事でも行きたい。仕事と思えない。
ギャラなんていらない。人を幸せにする島だ。
飛行機が遅れ、
9時半からのステージに間に合うかの瀬戸際であり、
かつ、車が渋滞。
普通ならイライラするところが、
やはり明るい地の力のせいか、
遅れたら遅れたでいいじゃない、踊ればいいじゃない、
と開放的思考、楽天的考えに。

しかし、運転の方はそうも言ってられないらしく、
生まれて初めて時速160キロを味わう。スカッ。
暴走族の気持ちわかるわかる。遅刻なし。

面白いライブだった。タガ、はずれてるんだもん。
ホテルで鉄板焼。
いつも接待はできるだけ辞退しているが、
ここだと、ぜひ、食べさせてください、
という感謝の気持ち。
どんなにいい思いをしてるか、コドモに電話。
ちょっと迷惑そうだった。
ゲーム、そんなにいいのか。

12月25日・金曜日
帰りの飛行機の時間まで余裕があり、
ホテルで午前中テニス。
那覇市内の、おなじみ公共市場2Fでごはん。おおうまい。
おばさんに「ミッちゃん来また来てくれたね?」
と親しいカンジで聞かれ、嬉しい。
「ミッちゃん! 沖縄通じゃん!」
とスタッフに言われ、そーさ、と得意顔。
しかし「ちゃんぷるー」と「いりちー」の違いを聞かれ、
わからず。
聞いてみたら同じ意味だとの事。炒めものですな。
路上でウベ・アイスクリーム食べる。

しかし、どうもスタッフの一人が体調悪いのか、
時々ひどく匂う。
食べ物ダメそうだったマネージャーかいな、
いや、坂田さんかな、あ、柴田さんだな、
なんて想像するが、
そのうち、自分が買って持ち歩いていた
生ラッキョウの匂いだとわかった。

買い物しすぎたつもりだったのに、
家で包みを開けてみると、
あれ? こんなもんだっけ? と思う。
家に帰るといつもこう感じる。
「おみやげ」って、
どうも途中の道で減ってるような気がしてならない。

1998-12-29-TUE

第25回

1999年1月1日・木曜日
皆さん、あけましておめでとうございます!
の第一声、名古屋のCBCの鉄柱に登りながら
大声で叫んだ。
なんと年越しは名古屋で迎えたのでした。
山崎邦正、雨上がりのバラエティ番組。
中のスタジオにもどる時には、マジックで、
いきなり小さな箱の中から私がパッと登場する、
というしかけ。
うまくいったけど、知らされてなかった山ちゃんが
あんまり驚いた顔してたので、
それ見てたら、妙な話、
なんだか我ながらびっくりが移ってきた。

隠れるという行動は、けっこうドキドキするもんです。
野沢直子一家が、去年家に来た時、
ウチの家族入れて7人全員で
「かくれんぼ」をやった時も、変な話こわかった。
隠れる方って、あんまり見つけてくれないと、
一人暗い中で、ものすごい寂寥感、孤独感、
あと恐怖に襲われるのです。
ナミダ。
見つけてくれるとホッとします。
皆さんも大人になってから、
ためしに一度やってごらんさい。

お正月

ところで、東京行きの新幹線の中で
それはそれは美しい富士山を見ました。
圧倒ー。できすぎてるー。日本一上手ー。正月似合うー。
ぱちぱちぱちぱち。

1月2日・金曜日
今ごろだけど、大掃除。
というより小掃除を家族で手分けした。
そのあとクラッシュバンディクー2。
今日から禁煙にむけて量をへらす。

1月3日・土曜日
和田誠さんからプレゼントいただく。
何だろうと思ってたら、私の顔のハガキ千枚。
発注してくれてたんでした。
じーん。友達っていいなあ。
明日から禁煙。
このページもしばらく禁煙日記になります。
恥書く事になるかな。
何回決意しとるかわからん。

1999-01-09-SAT

第26回

1月4日・月曜日
新年そうそう、気の利いた
読者さんからメールをいただきました。

------------------------------------
清水ミチコさんの日記、
矢野さんの音楽を深く敬愛する同士ということもあって、
いつも楽しませていただいています。

唐突ですが、読んでいてつい反応してしまったので
メールさせていただきます。
12月17日の日記に書かれていた
> どうして外人たちはいつもそう瞬時に
> イキな事をしゃべれるのか。謎。

ということですが、
現在、米国で仕事をしている私も、これは、凄く感じます。
会社のパーティーやら催し物の時も、自らマイクを取って
スピーチを始めちゃう人が、沢山いるんです。
しかも、皆、場慣れしている。
スピーチの途中に気の利いた科白の一つでも、
という気合いが感じられます。

うちの会社には、アジア系の移民も沢山いるのですが、
彼らや日本人出向者は駄目ですね。
いきなり人前で話そうなんて度胸のある人は少ないし、
いざ喋らせてみても、なんか堅苦しい話しかできない。

どうやら、これは、学校教育で、自己主張の仕方とか、
スピーチのテクニックを叩き込まれているみたいですね。
日本人の価値観だと、スピーチは立派であるべし、
なのに対して、こちらの人々の価値観は、
スピーチでは自分を印象づけるべし、なんだと思います。
日本人が、敬語の使い方に頭をひねっている間に、
米国人は気の利いた言い回しを研究しているようです。

映画と言えば、(古い話ですが)カサブランカなんて、
製作者達が、かっこよさそうな科白を持ち寄って、
それをつなげていってシナリオを作ったということです。
その時代からハリウッドには
「こういうときにはこういう科白」
という膨大なデータベースが蓄積されていて、
今では、映画の基本設定をインプットすれば、
即座に会話部分のシナリオが出力されるシステムが
密かにできあがっているに違いありません。

ということで、
全然エスプリの利いてない文章になってしまいましたが、
今後も日記楽しみにしています。
また、愛情溢れる矢野さんの物まねを
拝見したいと思う今日この頃です。
------------------------------------

という事です。
やはり実感ある言葉は
知りたかったこちらに
わかりやすく入ってくるもんですなあ。
でもやっぱりあったのか、スピーチの学校教育!
ほら見ろ! です。

ところで禁煙今日から開始。
禁煙してる、というのを感じた3時間目あたりで
で、もうプレッシャーになり、吸いたくなる。
いつのまにこんなスモーカーになっちゃったんだろー。
でも達成できた。
少なくとも1日。

1999-01-11-MON

第27回

1月5日・火曜日
今年の年賀状、鈴木その子デザインが目立ってるみたい。

友人と電話で話。
このあいだ、吉村作治さんの講演を
聞きに行ってきたんだそうだ。
ところが、本人、すこぶる機嫌が悪かったのらしい。
そこまで聞いただけで、
「なんかもうおもしろそうな! 聞かせて聞かせて」
とたのむ。
なんと、挨拶でマイクの調子が悪い、と言っては中断、
持ってきたスライドが見えにくいと言ってまた中断、
会場のお客さんたちのマナーの諸注意で中断、と
どんどん雲行きが悪くなる中、
注意されたばかりだというのに、前列のお客さんの
携帯電話が「ぴぴぴぴー」とまぬけな音を立ててしまい、
また、烈火のごとくその人中心に怒ってたのだそうだ。
怒りのショー、だったのだそうだ。
どうも講演やコンサートに行って来たという話は、
どんなに良かったというものよりも、
いかに悲惨だったかという方がだんぜん聞きたくなる。
まさかそれ、録音してないよね? と聞いたら、
あの現場でそんな勇気が出るもんか、
と言っていた。

禁煙した翌朝というのはなんてすがすがしいの。
お口の匂いがきれい。
もちろんお部屋もすがすがしくしてあるの。
掃除して、整理して、新しい机、窓ピカピカ、
アロマテラピーなの。
帰ってきた、新しい私なの。

1月6日・水曜日
コドモの友だち、大橋君が来る。
半ズボンとハイソックス姿。かわいー。
大橋君、(おととし)お母さん亡くなったんだったよねー、
元気になったじゃん、えらいじゃん。と言うと
「ううん。僕ってカワイソーなコドモなの。シクシクー」
と、クレヨンしんちゃん声出しながらすでにコタツに入り、
ドラえもんに手をのばしていた。
じゃーこれ飲んでまた強くなってね、と
おやつにミロとホットケーキ。
そのうち「おばさん、今度サッカー部の男の子たちね、」
と言うので
「おばさん、やなんだけど」
「えええっ、じゃ、おねえさんでえっ?!」
とオーバーにひっくり返るような、
泡でもふきそうなリアクション。かわいー。
なんと同じ小学校のサッカー部のキッズたちが、
「日テレ営業中!」のCMに出るのだそうだ。
すごいじゃん。ハデじゃん。
「あーあコタツ、いいですね。
やっぱり冬はこたつとみかんが、一番ですよね」
と、この人は時々じいさんみたいな事を言う。
みかんないぞ、と言うと
「そういう意味ではないのですうー」とまたもぐった。
二人で一冊のドラえもんを
(次のページ行って)「いい?」
などと聞きながら読んでいた。よく読めるな。
コドモが、
「ママ、アレ、大橋君に聞かせたげるの、ダメ?」
とねだるような口調。
アレ、とは紅白をビデオで見ながら、ふとできた私の
「ダパンプ」のモノマネ。
凄い凄い、とウケてたので、
何回も何回もやってたのでした。
でも「じゃ、大橋君、ダパンプって知ってる?」
と聞くと知らない、と言ったのでやらなかった。

夜、ワインの味がぜんぜん違う。
これまでは一枚、薄ーい、えぐい皮膜が口の中に
貼られていたかのよう。
しかし、深夜にモーレツにタバコ吸いたくなる。
タバコというより、ニコチン欲しいってカンジ。
すごい言葉。はしたない。でもホント。
一本ならいいか、と迷う。
ここで吸ったら、禁煙じゃなくなるのか。
いいえ。1日一本で1ミリ。
吸いました。

1月7日・木曜日
ラジオ2本、生放送の日。
移動の間にバーニーズで買い物。
バーゲンやってて、ラッキー。
しかし財布を忘れているのに気がつき、
サザエさん、マスオさんに電話して
実は今、すごくあなたに似合う服を見つけた、と嘘をつく。
しかし、ホントに来てくれた。ラッキー。
だがしかし、本当に似合う服も見つけてしまい
買ってさしあげるはめに。
美人店員さんが、
私、本当に大好きなんです! ファンなんです!
と、うるむような目つきで真剣に。まあまあ。
ほーっほっほ。いい店じゃない。
支払い、瞬時にちょっといい方のカード出してんの。

車に乗ったらまたタバコが欲しくなり、マスクした。
タバコの本によると、
禁煙すると、ストレス時だけではなく、
機嫌がいい時でも唐突に吸いたくなるものなのだそうだ。
たとえ禁煙して一年ほど吸わなくても、突然の欲求は
ずうっとなくならないものなのだそうだ。
なんちゅうことですか。
禁煙できたという人、心から尊敬しよう。
家に帰ってから、公園を一人ジョギング。
きのうのニコチン流す。

1999-01-12-TUE

第28回

1月8日・金曜日
移動の車の中で磯野きりちゃんから電話。
「ゴルフ行かない?」
私から一番遠そうなスポーツ。びっくり。
まるでセクハラでもされたかのような声で
「やるわけないでしょ! 私が!」と答えた。
「やっぱり! あはははは!」と言って切ったが、
とても嬉しかった。
ゴルフの誘いじたい、生まれて初めてだ。
切る前に「ところで、私、今ね、禁煙してるの!」
と教えた。ふうん、なんで、とそっけない。
だいたいみんなこういう答えだ。
わかってないな。
私は、この禁煙、
自分の中ではもの凄く大きな変身をしていて、
まさに精神的肉体的大改革が起こっているのだが、
これがまったく誰にもわかってもらえないものなのだ。
まず、地味。
初めから吸ってないヒトのノン・スモークと、
禁煙したヒトのそれとでは全然わけが違う。
自己改革なのだ。
だから私は今、禁煙中です!と、
実はテレビでもラジオでも
マイクを持って大きな声で叫びたい。
でもきっと、「で?」で終わる。
しかし、今日は、昼間の禁煙がラクに。
戦いは夜の一人になった時間にあり、
おととい一本吸ったし、という
変な、しかし強い理由にあり。
忘れようとしてやたら身体を働かせるため、
家中がキレイになっていく。
この、好きだけど自ら失恋を選んだの、という歌、
ユーミンの曲にあったな、と思い出しながら
またマスクしつつ、冷蔵庫を掃除。

1月9日・土曜日
内田春菊さんからハガキくる。
「去年のルミネの(私の)イベントに行って」
きたんだそうだ。なんちゅうこっちゃ。
(詳しくは去年の12月11日の日記参照)

ピアノ弾きながらネタ書く。
前より集中力がなくなった気がする。
タバコの効力、悪くなかったんじゃないか、と思う。
そんなバカな。だいたい一番スラスラ書けてたのは
吸ってない高校の頃じゃないか。
でもあの頃は、遊びだったし。
じゃあ、遊びだと思えばいいじゃないか、と一人で会話。

とにかくヤニにまみれるココロとカラダはもうイヤなのだ。
仕事がなくなってもいいから、
ちゃんと自分の好みに生きよう。そう決心したのだった。
カッコいい女だなあ。私って。
禁煙、破り破られながらも今日で6日目。
体重3キロ増えていた。なんちゅうこっちゃ。
顔がおかめになっている。
食べ物がおいしうてならない。
あと、お茶。
コーヒー党だったのに、
初めていろんなお茶がおいしくてしかたない。
紅茶、日本茶、中国茶、がぶがぶ飲みながらも、
まちがいなく味わっている。
知らない品種を探してまわっている。

FMつけたら大瀧詠一さんの声。
日本の歌謡曲について。おもしろかった。
メールした。すぐに返事がきた。
深夜、レンタルショップまでジョギングし、
「スクリーム2」。
夫と観るつもりが、夫、仕事で遅くなり、一人で見た。
ひいっ。茶。きゃあっ。茶。わあっ。茶。

1月10日・日曜日
和田誠さんから電話。
「家で映画上映するんだけどこない?」とのこと。
レギュラー入ってる日で行けなかった。残念。
息子さんの(トライセラトップス)こないだのCD評、
読んだ? と聞くと、
「え、新譜みたいなの出したの? とにかく何も
教えてくれないし、知ってるといやがるみたいなんだ、
テレビも疎いしさあ、全く知らないんだよ」と言う。
芸術家はその家庭では評価されない、と
歴史的に決まっている、と何かの本にあったが、
ここの家では、それが母なのか父なのか子なのか
他人の私すらわからない。

禁煙についてのHP見る。(禁煙マラソン)
しかし、「わかる!わかる!」と読んでいるうちに、
想像でタバコの味が蘇り、にわかに吸いたくなる。
あんまり考えすぎてもダメなようだ。
グレープフルーツ2個食べる。
そのあと歯磨きし、モンダミンをし、パックし、
お風呂に入りながら噂の真相を読み、
汗でニコチン流すとイメージし、
部屋でビル・エバンス聞き、マニュキアをキレイに取り、
ていねいに塗り終えたところで、
「ほぼ日刊」読んで、ついたまらず一服す。
まるで変わった愛好家となっている。
おそるべしニコチン中毒患者。
しかもものすごく効く。くらくら。
しかし、こういう一本の良心のとがめが、
かえって失敗になるのらしい。
とがめないとがめない。
1日1本を目標にして何が悪いか。
悪くない悪くない。

1999-01-14-THU

第29回

1月11日・月曜日

素晴らしい本を紀伊国屋書店で発見。
「禁煙の愉しみ」山村修(洋泉社)。
書き出しを立ち読みしただけで、感動した。
始まりを書いてみましょう。
「禁煙というものは、ミルクのように白い、
いい匂いのするクリーム状のものである。」
どうです。気になるでしょう。
読みたくなるでしょう。

「禁煙するのは、健康のためでもなく、
社会的圧力のためでもない。
味わうに足る人生の快楽である」
凄いわ。
わかるわかると一気に読めた。
いかにその苦しみを面白味に変えていくか、とか、
いかに毎日の時間が不思議に膨張するものか、
禁煙はマラソンなのではなく、ハイジャンプである、
のところなど、本に赤線ひきまくり。
南方熊楠らの禁煙日記(これがぜんぜんダメダメ)なども
著述されてて、
ああみんな一緒じゃない、と感動的ですらある。
一本も吸わず。
シャンらら、ららら、ららっらー、ってカンジ。
(ニュースステーションのCM入る前のテーマ)

1月12日・火曜日
ロケで日大のアメフトチーム「日大フェニックス」へ。
私がアメフトに挑戦するのだ。
アメフトの防具、3キロほどもあるのにびっくりしたが、
防具のみの姿だと、自分が正義の味方みたいな、
ヒーローみたいになるのにも驚いた。
めちゃかっこいい私。
今年はなんだか体育系でいくっす!
アメフトする。

1月13日・水曜日
糸井さんに(私の禁煙)「失敗すればいいと思っている」
などとここのHPに書かれていた。
こういう言葉がどれだけ禁煙者のはげみになるものか、
わかって書いているに違いない。
きっと何度か試みたことのある人間なんだわ。
そして失敗。
原始人なのにいいとこあるじゃない。
(別にそんなつもりじゃなかったりして)。
人に「私、禁煙してるのねー」
なんてしゃべりまくってるくせに、
応援や激励などされたら、とたんにつまずきそうなのだ。
だから、応援しそうな人に会うと、ぜったい話さない。
へーえ、そうなんだー、などと言いつつ、
目の前でタバコ吸ってくれたりする方がたのもしい。

1999-01-20-WED

第30回

1月14日・木曜日
ニッポン放送ビバリーのあと、
1月27日の「東京ナイトフィーバー」リハーサル。
もうチケットが完売だそうだ。
水森亜土さんだけは、初めてお会いしたんだけど、
あのモノマネのイメージと全然違い、かっこいい!
繊細で陽気で、ラフ。
都会の女性像というもの、初めて感じ入り。
七人で本当に「ドレミの歌」を
全員で歌うことになっていた。

最近のこのタバコ離れ。
肩コリ全滅ね。お茶がおいしいね。
もはや禁煙中、という気分ではなく,
あ、禁煙してるんだっけ?
なんて思う時までやってきた。
この時の「?」のマークは水色。

しかし、そのあとラジオで一緒だった女性タレントが
「本当にすてきですよね、天童よしみさんって!」
なんて本気のトーンで言うんで、出た、嘘こけ!
と思い、そんなどうでもいい事で、一服したくなった。
あの流行った「よしみちゃんキーホルダー」とかも、
女子高生による無意識の差別じゃないの。
しかし「それを放送で言ったら負け!」というところが
もどかしい。誰もがやわらかくほめるのだ。
素敵じゃないぞよ、天童よしみは!
それがどうした! 天童よしみ!
「ってそんなにファンでもないんだけど」。

1月15日・金曜日
ABC大阪で、「お笑いコンテスト」の審査員。
おーもしろかった。
今年は本当にレベル高いのだそうだ。
大槻ケンヂさんと一緒、とはつゆ知らず、
たまたま大槻さんの本「のほほんと熱い国へ行く」を
読んでいたので、それを報告→陳謝→雑談→弁当→本番
→休憩→本番→終了→再陳謝。
帰りの新幹線で読み終えた。
インドって、しんどそうだな、
確かさくらももこさんもグチってたもんなあ、
と思いだしながらMDを聞く。バッハ。
東京に着くと、たまたま
「インドロケ」二週間の話がきていた。
行くかやめるか、もの凄く迷う。

コドモが「今日、社会で聞いてきたんだけど」
とちょっと驚いたような顔をしてこんな事を言った。
「かかしって、カラスなどから
守るためにあるんだって!」
当たり前じゃん、なんの為だと思ってたの、と聞くと、
「山や畑にいつもあまりにも人がいないから、
淋しいだろうと思って、なんとなくかかしを置いてあるの」
だと思っていたらしい。
一人で笑っていた。
「こんなんでか」、と両手を上げてかかしのポーズ。
「さみしくないだろうー、なんて」
とコドモもかかしのポーズで答えた。

1月16日・土曜日
顔マネおよびその原稿。
いつも写真は夫に撮ってもらっている。
初・夫婦(めおと)仕事。「なっちゃん」で。

公ちゃんが今日と明日の二泊、遊びにくる。
幼稚園時代からの私の一番長い友達であり、
ウチのコドモのめんどうを見てくれていた人でもある。
現在は高山に住んでいる。
あれ、やせた? と私が聞くのと
太ったねえ! ミッちゃん! とほぼ同時に。
タバコ止めてるんだよ、と言うと
あれまあ、とだけ。
公ちゃん外食嫌いなので、みんなで手巻き寿司、
パスタ、じゃがいも焼き、おすまし、
私がブレンドした3種の緑茶、シュークリーム。

そのあとこたつで地味にトランプ。
七ならべ、大貧民、スピード。
スピード、やっぱり面白い。
いつのまにか声が大きく高く激しくなっていた。

1999-01-22-FRI

第31回

1月17日・日曜日
TVブロス原稿。
食べ物・飲み物がどうにもおいしく、
体重も増加し続けていて、今日1日、絶食を決意。
決意は、私の趣味なのだ。
決意! で立ち上がる事が気分いい。
長続きはしない。それが私の生き方。私流。今井美樹。
飲み物だけで過ごす。
しかし途中から
「梅こぶ茶はよしとする」
「ほとんど水のようなおかゆ・可」
「スープに入っている具は仕方がないとす」
「わかめはノンカロリー」
「お茶づけはローカロリー」
など、結局は絶食ではなく小食。
禁煙に似ている。

1月18日・月曜日
体重1.5キロへっていた。
宝島インタビュー。
終わって、インタビュアーの三獄さんから、
「山田美保子さんに、バカラもらったでしょ!」
と言われる。
「何かのお礼にもらったよ」と答えたのだが、
山田さん、記事で芸能人数名にバカラをプレゼントして、
その時その人たちがどういう反応をしたか、を雑誌に
書いているのだそうだ。
ぬるかった。
そのあと浅草キッドの水道橋博士が
友達を連れて遊びにきた。
博士、この日記を覚えてきたらしく、
コドモにさらーりと
「あれ、今日は大橋君きてないの?」
「ああ、みじめ暮らしごっこやりたいなあ!」
など、なぜ知っているのか不思議がる
コドモの心をくすぐりトリコにした。

「あれ(この禁煙日記)を読んでいると、
タバコがかえっておいしくなるよ」、
などと言いながらさりげなさそうに「葉巻」を吸いだした。
わざわざ買ってここまで持ってきた、というのに笑った。
しかもものすごくサマになってない。
どっちに火をつけていいのかわからなそうだった。
くゆらす、というよりフカシまくり。
ちびっこギャングがやってきた、の巻。

1月19日・火曜日
「ユーガットメール」と「メリーに首ったけ」、試写。
お上品なユーモアと下品なギャグの2本。
ゆうべ2本吸っちゃったし、と深夜に1本。

1月20日・水曜日
恵比寿駅前の歯医者さん、山手歯科へ。
ここで、歯にうっすらついているであろう
長年のタバコのヤニを全部取っていただく事に。
こうして外側からも美しく変えていく。
今日から本当の禁煙がスタート。

ここの先生、やさしいし、何よりすごくいい声。
マスクしてんのにすごく聞きとりやすい声。
毎回感心する。
私の夫もとてもいい声で、昔、私の父は、
夫からかかってきた電話の声を聞いて、
すぐにいい声を出して
「ミチコさん、いらっしゃいますか」
と、受話器渡しながらモノマネしていた。
やっぱうまかった。やっぱって。

だが、それよりいい声。
「今、禁煙していますんで、これを機会に
歯を白く磨いてもらおうと思って」
とわざわざ言うと
「どのくらい」といい声。
「ええ、ぼちぼち2週間になりますか」
と見栄を張ったが、
「2週間ならまだ磨かなくていいんじゃない?」
とせちがらい事を言う。
しかも、医師として一番言ってはいけない一言
「あ」
と、言って虫歯を2本発見された。

1999-01-27-WED

第32回

1月21日・木曜日

LFでビバリー。途中で松本明子さんが顔を出した。
キレイになられていた。
気品というか、凄みというか。
なんだか「キレイになって」という言葉すらはばかられた。
本当に女は女を見るのが好きだ。

彼女の番組で、声優さんがアニメソングを歌うのがある。
「声優さんってどうにも不思議な電波、送ってる時ない?」
と聞いてみた。
これは前々から気になっていたのだ。
なぜそこにバンダナを巻く? というファッションや、
歌に対するテンションの高さ、お化粧、たたずまいなど、
やはり一線を画しているというか、変。
松本さん、返事さけるようにただカラカラと笑っていた。

TBSへ。
映画好きな土井敏之さんに
「キング・オブ・オメディ」見た?
と聞くとまだ見てないとのこと。
すごくおもしろかったので、誰かに
言いたくてたまらない。
山口さん、あいかわらず凄いハイテンション。
「一度こう、裸になって話そうよ」と言うと、
「これで普通ですよっ!」なのだそうだ。
女性版ルー大柴。というか十勝花子さんタイプ?

「女性の禁煙プログラム」という本を買ってみた。
もっともっと自分をうまく
はげましてくれるような本が欲しい。
とりあえず知人三人に「禁煙の愉しみ」を送る。

1月22日・金曜日
WOWOWの鴻上さんの番組に出る。
また浅草キッドさんと一緒。
ふと気がつけば、博士がさりげなく
片手に2本もタバコをさして
吸っているのに気がつき爆笑した。
そんな人はいない。却下。

もとマネージャーのコトミちゃんが
「清水さんってどんな人? とよく聞かれるんだけど、
あの人はテレビよりも生の方がおかしい、と答えている」
と言ってるのだそうだ。
でも、今日は自分でもなるほど、と思った。
いったい何をしゃべってるのか
自分でもよくわからなかった。
めちゃめちゃな話で、鴻上さんもたいへんだな、と思う。
たぶん私には基本的にメッセージというものが皆無なのだ。

1月23日・土曜日
原稿2本。
散歩の途中、ペットショップに家族で行く。
猫が欲しくてたまらない。
猫か犬、あらためてすごく好きだ。
しかし、飼ってはならないマンション住まい。
せめてコドモと私とで、
コドモが前からずっと欲しがってた
「ハムスター買ってください!」とたのむ。
「明日な」。と冷たくもあたたかいお返事。
これからもその甘さでいろよなー。

PANTAさんからメール、読む。
頭脳警察の歌とはまるで違う、二重人格のような軽さ。
や、彼が軽いのではなく、パソコンに手を出す人じたい、
フットワーク軽い人が多いみたい。
コドモ、飼えるかもしれないってことで
ハイテンションになっており、
ちょっとした事で一人でよく笑う。
「明日から毎日、忙しくなるー」などと言う。
ならないわよ、と言うと
「なる」と夫。

今日もまた、しーみじみと一本吸う。
このしみじみ、で本当に今、吸っている自分を感じる。
これまではタバコ吸ってることに意識もなかった。
体の隅々に快感がぷわあっと走るのがたまらない。
夫は「俺は酔っぱらいよりは
タバコ・スパスパの方がいい。吸えよ」なんて言う。
もう禁煙じゃなくて1日一本運動にしよう。
また決心だ。
決心上手だ。

1月24日・日曜日
ハムスター2匹買う。
ペットは初めてのことなので、なんだか新しい風。
顔がかわいい。家もかわいい。
エサ、巣、水やり、すべてがちいさくてかわいい。
「おしっこの匂いのついたものを砂場に置いておけば
ここがトイレだな、と学習します」とのこと。
かしこいじゃない。
いろいろペットショップの人に説明してもらったのだが、
私が「夜はどのようにしたらいいのか」
という質問をしようとして
「先生、あの」
と呼びかけてしまい、恥ずかしい。

箱を開けたら震えていた。これまたかわいい。
「今、家に(ハムスターが)本当にいるのが
信じられない!」
とコドモ。
カゴに放つと動きまわる。
なにしても、どう見てもかわいい。
ただ集中して見てるコドモもの横顔かわいい。
でもさわったあとは、きっちり手を洗ってんの。
それはそれ、なんですな。

鶴見済の「檻の中のダンス」おもしろい。

1999-02-02-TUE

第33回

1月25日・月曜日
仕事に行く前にピアノ。
ドアのピンポンが鳴って中断。
コドモの友達4名わやわやとやってきた。
大橋君もいる。
私は大橋君のですます調のしゃべりが
本当にかわいくてしかたがない。
それを聞きたいがためにわざわざ質問するほどだ。
コドモたちの会話の中に
「ロクだ! ロックだなあ!」というのが何度か出てきてて、
「それってなんなの、大橋君」とさりげなく指名。
大橋君
「ロクでもない、ってことの反対の意味ですー」
と言う。
たいへんカッコいい事を意味するのだそうだ。
「ばかうけ」と「蒟蒻畑(ライチ)」「牛乳」を出した。
4時になり、
「じゃ、私は出ますから、みなさんごゆっくりー」
と言うと、みんな口々に「いってらっしゃーい」と
照れたカンジで答えた。
帰ったら10枚ほど、絵が残っていた。お絵かきでしたか。
しかしオリジナル見たいのにどれも丁寧なポケモンばかり。

1月26日・火曜日
明日の洋服を買いに伊勢丹へ。
バーゲンやってて、しかもこれ、というのがなく、
がっかりしつつ、手持ちので出ることにする。

1月27日・水曜日
本番。
タバコなしでの本番に挑むのはデビューして初めてだ。
「やっぱりスパスパ吸ってる声帯で出るのと、
吸わないのどとでは全然声そのものが違った」
なんて思えられたらいいな。
そう思ったが、実感としちゃ全く同じだった。
リハでタモリさんが
「ミッちゃんコドモ、大きくなった?」
と聞くので
「うん! 今10才で、
産んだ時よりかわいく感じるもんなのねー」
と言い、
「タモリさんとこも、奥さん、大きくなった?」
とさりげなく聞くと
「うん! 今60でさ。
還暦前のがかわいく感じるもんなのねー。」
と言った。
タモリさんのチックコリアのネタは、
私にとっての大きなもの。
本番を、着替えながら楽屋で見てて、
なんだか感動に近い状態になってしまった。
ミスターボージャングル、だ。
2部は、司会に黒柳さんで「天国の部屋」。
ゲストが故人ばっかりで、今日のニュースを語る。
タモリさんは寺山修司、小松さん淀川長治、
団さんが三船敏郎さん、という設定。
みんながとりつかれたようにやってて面白かった。
もっといろんな女性になってやってみたくなる。
こんなチャンスは(モノマネ同志で話す設定)案外ない。
私は最年少だった。こんな時がまだあるんだなあ。
どこへ行っても年長さんクラスなのに。

 

天国の部屋リハ

うちあげでホワイトへ。
たいへん尊敬する方とぐうぜんお会いし、
さることがおこり、個人的に感動的な一場面に。
こんな事があるんだなあ。
何も食べてなかったのも手伝って、
ナミダ出そうになる。B型よの。
本当に空腹はデリカシーを太らせる。

山下洋輔さんもいらしてて、
いかに尊敬しているかという意味の事を
理路整然と言われる。
またお世辞だよ、と思うがやはり嬉しくなり、
今日は本当にいろいろと凝縮したいい1日になった。
凄い誕生日だった。
家に帰ったら花がたくさん届いていた。
生け花をし、その途中で寝た。

1月28日・木曜日
コドモから誕生日プレゼントとして絵をもらう。
夫も私も毎年誕生日に絵をもらう。
今年はちょっと、恒例だから、というカンジの、
ちゃらちゃらっと書いたような絵で、義理を感じる。
成長するなよなあ、と思った。

昨夜のライブに高田文夫さんもいらしてたらしく、
ラジオの本番で冷やかされる。
そのあとTBS。
結局一日中頭痛がして何も食べられなかった。

この二日で体重ちゃんともとにもどってる。
頭部に傷(たんこぶ)があり、
ヤノッチに、なんでだろう、気持ち悪いわ、と愚痴ると
「ゆうべ、ずっと店で(連弾で)ピアノ弾きながら、
今日! 楽しい! と言いながらいたるところで、
頭を打っていた」のだそうだ。
じゃ、私けっこうカッコ悪かったかな、と聞くと
私はヒキました、との事。
映画のような1シーン、夢だったのか。
いろいろ悪いわね、ありがとね、と言う。
いえ。とヤノッチ。
ちゃんとした感謝は親しい人ほど照れくさい。
ヤノッチも照れている。
こんな時はタバコを吸えた。
ひっそり地味にウーロン茶飴をなめた。

第34回

1月29日・金曜日
番組で滝大作さんゲスト。
楽屋で西条昇さんの話題。
由紀さおりさんもゲスト。上品だった。
実は私の中で「ナマで会って上品な女性芸能人」の
ベスト2位なのだ。
(1位は菅井きんさん)。

そのあと、劇団四季のライオンキングへ。
ミュージカルだった。当たり前だ。
パンフを見たらまた浅利慶太さんが暗い顔で
バーンと出ておられる。
これまたライオン(ムファサ)にそっくり。
いつも何に苦悩しておられるのだ。
一度ほんがらかに歌ってみたらどうかな。

留守録画しておいたWOWOWで、
夫と一緒にキッドさん推薦の映画
「モハメッドアリかけがえのない日々」を見る。
興奮して2度見た。
2度目はアリさんの
胸のすくようなセリフを覚えようと思って見た。
偶然、西条昇の毎日新聞の私の記事が届いていて、
「PATE屋」にいたころ(暗かったらしい)
の自分にフラッシュバック。
今でも暗いところあるけど、
当時は暗い前に重かった。(体重)
禁煙、良好。

1月30日・土曜日
取材。
女性は本当に人から幸せに見える自分が好物だなー。

コドモと二人、自転車で笹塚図書館へ。
「立ちこぎでついておいで!」
というのに、立ちこぎは学校で禁止だ、と言う。
このキマジメさに腹がたち、(この人いつもこう)
じゃ、私しゃお先に、と言ってスーと到着。
コドモまた「冬の日のコンサート」借りていた。
「それ、前も一回借りてたじゃない?」
と言うと、
「好きだから」
と、ちょっと無視した態度。
帰り、道の途中で鉄棒をした。
「へえっ! 逆上がり、できるんだー」
と、さっきのムードを忘れてるように驚いてやると
2度やっていた。

しゃぶしゃぶ食べる。

1月31日・日曜日
電話でおこされる。
また墓地のセールス。
塾か墓地か、クリーニングか、マンションか、
いつもこの4つのどれかだ。

ハムスターの名前、まだ決めておらず、
「ハムちゃんとスターちゃんでどう」、
と言ったら、そんなのイヤだ、ださい、と言いつつ
「マウとスーにしたい」と言う。
同じじゃないか。
しかもややパクリじゃないか。
2匹の顔がそっくりで見分けがつかず、
1匹のしっぽの部分に赤マジックで色つけようよ、
と言ったら猛反対された。
コドモが外に遊びに行ってる間につけてやった。

深夜、1ミリ一本。
「禁煙日記」は「ほぼ禁煙日記」にすべきだったか。

1999-02-11-THU

第35回

2月1日・月曜日
ドラマロケ。
ロケバスで高嶋政伸さんと音楽の話。
「清水さん、クラシック詳しいでしょう?」
から始まった。
すごい誤解だ。
しかし、この人の鼻歌は日本一うまい、と思っていた。
私は以前、たまたま廊下ですれ違いざまに聴いて
びっくりした事がある。
口でドラムスとトランペットを小気味よく鳴らして
テイクジAトレインをやっていたのだったが、
確かにそれがうまかった。
こんな人はざらにはいない。
それを言うと照れていた。

私は人の鼻歌をすかさず聴いて、
そのタイトルや歌のクセなどを
一人心の中で確認するのが好きだ。
印象的なのは森口博子さんで、
ある日のロビーで、私の目の前で高い声で、
オリビアニュートンジョンを口ずさんでて、
それが長かったのだ。
これはめずらしかった。
ついにラストまで歌った。

私も歩きながらよく歌うのだが、
たいがい人がいるとわかると、どうしても止めてしまう。
しかし、一度やはりスタジオの廊下で
私が一人大きな声で歌ってたら背後で、
私の音程に合わせて下の旋律を上手にとった人がいた。
振り向くと玉置浩二さんで、「わ」、と思った瞬間に
「はい、そのまま。続けよー」
という顔をなさり、仕方なく最後まで歌った。

2月2日・火曜日
NYから日本に帰ってきた、高平みくちゃんと
「寺内貫太郎一家」を観に行く。
みくちゃん、6才の時、初めて家出をしたそうだ。
向かった先がなんと当時近所だったタモリさんの家で、
(親は知り合い)タモリさん、みくちゃんに
「小学一年生」(本)を買ってあげたそうだ。
普段から親が絶対買わないシリーズの本なので、
すごく面白かったと言う。
自分の家に、困っている6才の少女がたずねてきたら、
どんなに(意外と)嬉しかっただろう。
みくちゃんはそういうふうに自然と、
人を喜ばせる才能(?)がある。
しかし、若いのに建築家の名前や、
絵画の手法らしき名詞など、サラサラ言うので、
こっちはついていけず、
それ何なの、と中断することしばしば。
みくちゃん、あやまりながら、
あ、またあやまると嫌味ですかね、
と気を使っていた。

2月3日・水曜日
ドラマスタジオロケ。
佐野史郎さんが高嶋政伸さんに
「俺の好きな音楽」を教えようと、
いろんなCDをわざわざデッキでかけていた。
私もメイクしながら横で聴いていたのだが、
いいものだった。
途中、いやに気味の悪いのが流れてきた。
「なんですかその気持ち悪いのは」と佐野さんに聞くと、
「あ、わかります?」
と言う。
「これ、やっぱり気持ち悪いって感じます?」
と嬉しそう。
なんでも大瀧詠一さんお勧めの中の一枚で、
この、気持ち悪いのが今、かえってヨイのだそうな。
ベルトケンプフェルトという人。
佐野史郎さんと。

2月4日・木曜日
ビバリーとTBS。
終わって遅刻しながら山下達郎さんのコンサートへ。
実に面白かった。
ミュージシャンに対して
こういうと失礼なのかもしれないが、
まちがいなくおもしろかった。
ほぼ4時間。アンビリーバブル。
MCで「タバコ止めて10年になりますが」と言ってて、
これはやはり自分に喫煙止めろ、という啓示だと解釈。
この日はたまたま誕生日だったそうで、
竹内まりやさんが一緒に歌うという一幕もあった。
家に帰って、達郎さんが歌ってた
「煙草が目にしみる」をピアノで弾く。
カンで弾いたのだが、なんだかうまくできて、
練習したかのようだ。

2月5日・金曜日
NHK生放送。
家を出るとき玄関に張り紙がしてあり、
「このマンションにお住まいの方、
深夜11時以降のピアノ、近所迷惑です!」
とあった。

弟も(ジャズ研)、やはりマンションで
サックスを練習していると、下の部屋から
コン! コン! と何かを上にぶつける音で
「やめろ!」と苦情が来ていたそうだ。
私のピアノはわかるが、
弟のサックスはめちゃくちゃうまい。はずだ。
ちなみに書いていた小説も妙にうまい。
小さい頃から天才天才、とまわりから言われてて、
私も、そうだ、そうだ、と身びいきで応援してたのだが、
とにかく人前に出るのが嫌い。
このネックは大きく、
「小説どれかどっかに出せば。姉ちゃんハクがつく」
と言っても、
なんだかんだと理由をつけられては断られている。
まるで前に出ている私がバカにされているようでもあり、
けっこういらつく。

1999-02-13-SAT

第36回

2月6日・土曜日
ドラマロケ。
そのあとでTBS「見ればなっとく」打ち合わせ。
図書館で借りていたS・キングの
「ドロレスクレイボーン」読む。
途中で、いつかビデオで見た映画だったとわかったが、
映画より悲しく、おもしろかった。
同じく借りた
「音がなければ夜は明けない」(山下洋輔)の中に
「糸井さんには背後にせっぱつまった覚悟が
ある気がしてならない」
と書かれてあり、
あ、これだ、これだ、となんだかスッキリした。

2月7日・日曜日
ピアノメトロノームで。
うまくなる。あなたはだんだんうまくなるー。
と暗示をかけながらの練習。
一拍のタイミングを、
自分の中でギリギリまでのばしきって、
ピッと放つという、(普通、どーしても短くなりがち)
基本ながらも永遠の一瞬(C/byユーミン)を
感じることが大切なのらしい。
と、同時にコードを覚える。
大人になってからの勉強は楽しいな。

そのあとコドモが行きたがってた
代官山のショップ「アランジ・アロンゾ」へ。
コドモが筆入れをここで買って学校に持っていったのに
翌日、体育の授業中に紛失してしまったのだ。
(ぱくられたのよーあなたはぜったいぱくられたのー)
とも言えず
「今度から気をつけなさいよ」と、
わけのわからない注意をして、
いつかまた行ったる、と約束してたのでした。
ここはいつもぎゅうぎゅうの混雑。
店は6畳ほどしかない中、30人ほどがひしめいているので、
窓ガラスがいつも完全に曇っている。
これ全て、人の息からの湿気、と思うとぞーっとし、
一生懸命忘れた。
私も「ワルモノ」というデザインの財布600円を
自分用に選ぶ。
コドモ、また同じデザインのを選んでて、
「どうせなら新しいのにしたら」
と、貧乏くさい意見を言おうと思うが、
また「好きだから」と言われそうでやめた。

2月8日・月曜日
ドラマロケ。
そのあとでTBS「見ればなっとく」ゲスト。
南美希子さん、カイヤ川崎さんと一緒に。
「夫から誉められればキレイになるか」
という内容だったのに、私にだけ質問が
「顔マネする観点からどうか」
という問いになっていた。
質問やり直させる。

移動の時、車中で、遅れるかもしれない
→本番に間に合うかギリギリ
→ハッキリと遅刻中
→だいたんに遅刻中
と、刻一刻と車中で時間の名前が変化し、
すごーくタバコを吸いたくなった。
しかし当然、持ち合わせもなくあきらめかけてたところ、
メイクさんが私の吸っていたブランドを持っていて
奪うようにしてすがり、一服した。
マネージャー、スタイリストさんら、
「あ」「あ」「あ」と口々に。
こういう中で「え? 関係ないじゃん、別に」
というヤンキーのようなヒトを無視しきった
スパーッという吸い方、何ておいしいことであるか。

1999-02-17-WED

第37回

2月9日・火曜日
ドラマロケ。
いつもの事ながらバラエティに比べ、
ドラマの時間のかかり方というものはとてつもなく長い。
それだからこそか、佐野さん、今日はギターを持参し、
待ち時間に歌っていた。
そのうち文庫本を読み始め、
「何を読んどるかな」と取り上げると、
隠そうとしたが、なんとニーチェで、笑ってしまった。
「佐野さん、家でお香炊いてるでしょ」と言うと
「あ。炊いてる」という。
「戸川純さんの歌大好きね。」
「好き好き」。
「江戸川乱歩ファン」
「はまりましたねえ」。
「両親が幼い頃に離婚。」
「しないしない」
「けどトラウマ大きい」
「そうねそうね」
と、ひどい当てずっぽう。
いちいちワーハッハ! と私が笑うので
ちょっと心外そうだった。
しかし、役者になろうとする人で、
トラウマない人はいないんじゃないか、とのこと。
それを横で聞いてた菅井きんさんに、
「失礼ですが、、、何か、、」
と聞くと
「あたし、今までずーと平凡なのよ。恥ずかしいほど」
と意外にも早口なトーンで答えられた。
「こないだも{いつ見ても波瀾万丈}に出て
って言われたんだけど、ネタがなさすぎて
番組が難しいって言われましたの」
とおっしゃってた。
どこか上品なはずだ。

佐野さんとすがいさん。

2月10日・水曜日
美容院へ。
いつもは麻布の「ツイギー」と決めているのだが、
たまには変えてみようと
原宿の知り合いの店でカットしてもらう。
帰りにヤノッチの誕生日プレゼントを買おうとブラブラ。
プレゼントを選ぶのは才能だと思う。
これもあれだし、これも違う、と迷ううち、
夕食の時間が間に合いそうになくなる。
結局ノースフェイスのシャツにした。
お好み焼きを作り、家族で。
ホットプレートは、結局実家の方がうまく使ってるようだ。
こんな時でしか使わない。
しかもしぶしぶの、ガス信仰。
広島風より、大阪風のヘルシーではない方が好きだ。

自分の部屋でピアノを弾いてると
コドモが「失礼しまーす」
と入ってきて、ビデオを見始めた。
ライオンキングの英語版。
ピアノうるさくないのか、と聞くと
うるさいけど仕方ないんじゃない、と言う。
居間で見たらいいじゃない、と言おうとしたが、
ライオンキングに出てくる曲に合わせて弾いてやった。
「お、やるねー、清水ミチコ、出た、清水ミチコ」
などと言われる。

2月11日・木曜日
ビバリー放送。
家に帰ると、
コドモのクラスの転校生と、いつものメンバーが家に来た。
会うなり転校生に
芸能人でしょ? と高飛車に聞かれ、
転校生だって? と聞き返す。
勝手に私の部屋に入ろうとしたので、
「これこれ、そこはだめ、入らないでね」、
と言うと
「なんでダメなの」。
「そこ私の部屋で、汚いから」と、本音。
「えー芸能人なのに汚いんですか、部屋汚いの?
みんなに言おー。言っちゃおっと」
なんて言う。
カツンと来ると同時に、
コドモが
「家にいる時は普通の人なんだよ、清水ミチコじゃないの」
と助けてくれる。
あとで掃除しながら、あの時ありがとうね、
実は一瞬ムカついたんだよ、
とバキュームしながらお礼を言うと
「あたしも自分の親だからー、
かばうのもナンかなー、と迷ったんだけどー、
ここは言った方がいいかなと思って言っちゃった」。
あーおまえはいい子だー。
と、ほっぺたや鼻をべろべろなめた。
いやがったが、
今までのそれ(いやがり方)とはちょっと違って、
一瞬、すごく本気で厭そうな顔をした。
お、おい。

1999-02-21-SUN

第38回

2月12日・金曜日
メレンゲ、ナレーション録り。
家でビデオにとっておいたドラマ「鬼の棲家」を見る。
そのままにしておいたら去年、録画してた紅白が出てきて
安室ちゃんが感極まりながら歌ってた。
再び、じーんときてたら、コドモが
「ね、なんで、この人急に泣いてるの」と聞く。
「この人はねえ、こないだ出産したわけ。
やっと体調がもどって、大晦日にこうしてステージに
もどってきたから、本人も嬉しいし、
見ているみんなも、お帰りなさい! 待ってたんだよ!
っていう拍手だから、涙で感動しているわけ!」
と、一緒に盛り上がろうとばかりに言うと
「かわいそうだねー。赤ちゃんひとり」
あーおれは、そんなことちっとも考えてなかったー。

2月13日・土曜日
「テレビタックル」ゲスト。
覆面で、凄い男が出た。
コドモの入試なら、俺に金を出せば有名私立、
どこでも入れられるぞ、という男で、
ちっとも悪いことしてない、むしろ親切な仕事、と
やくざな口調で胸をはっていた。
「じゃあ、テレビにあなたの顔、出してもいいですよね」
と私が言うと
「おー、俺はいいよ平気だよ!」と言う。
たけしさんが、こんなのあとでメンドーになるんだよ、
と止められた。

マネージャー・ヤノッチ、インフルエンザでお休み。
大丈夫かなと、携帯に電話したらお母さんが出られて、
どうも清水ですー、と言うと、
なんとやのっち本人だった。
体調がどんなもんかが、
60才くらいのシワシワしゃがれ声になってるのでわかった。
かわいそー。
「声、こんな風だったよ」、と中川さんにマネして伝えた。

1999-02-23-TUE

第39回

2月14日・日曜日
宝島の顔マネ写真撮って、原稿。
タタターと、やっつける。
パエリヤとアホ(にんにく)スープ、
ほうれん草とベーコンのサラダを作った。
これもタタター、とやった。
「あとは焼くだけ!」の状態で売られている
白い冷凍フランスパン、
下北沢の輸入食品店で買ってあったので、それも焼いた。
バリバリ。うまい。
夫が読み終わったマークスの山、借りて読み始める。
夫がもらってた義理チョコ、家族みんなで食べる。

2月15日・月曜日
ピアノ弾く。本を片手に。
コードなど、憶えても憶えても
果てしなく知らないことばかりで、いやになる。
途中で、知らなくてもいいんじゃないの?
音楽って学習するもの? 違うんじゃない?
と、途中できれいな言い訳が出る。
禁煙もそうだ。
きのう、おとといと2本。
1月は1本、2月は2本よしとしてまた一年が始まる、
というサイクルでこのままふえるのではないだろうか、
と思い、明日あたりスポーツクラブに行こうと決意。
汗を流すとニコチンまで流しきれる気がするし、
ぜったいやめる、とぜいぜいしながら
また気持ちを新たにできるからだ。
しかし、私が明日、たとえ一箱吸いきったとしても、
これは長い人生をおもんぱかれば禁煙中である、
と言えるのである。
おもんぱかれば、のあたりに今、
なにかが出たような気がするけれども。
自分の単純なところを伸ばす。これモットー。

そのあと、インタビュー1誌。

2月16日・火曜日
本当にスポーツクラブへ。
筋肉トレーニングをやっていると、禁煙したいどころか、
ちょっとしたタバコの匂いが気になり、
やだなあ、タバコ吸う人、かわいそう、
なんてちゃっかり下に思ってしまった。
そのあと(このクラブでは)初めてサウナに入った。
バスタオルを巻いて文庫本を読んでたら、
裸の団体が入ってきて、
「ずるい! みんな裸なのよう!」
という顔をいっせいにされたような気がした。

ずっと昔、友人がサウナに入ってたら、
あるヌードで話題のタレントさんが
バスタオルをしっかり巻いて入ってきたのだという。
その時、とっさに「あんた、いつも裸じゃない!」
と、思ったのだそうだ。
すごい論理だ。

にらと豆腐のちゃんぷるーと、味ごはん、
レタスににんにくたっぷりのドレッシングを作って
混ぜたので夕食。

2月17日・水曜日
赤坂泰彦さんの番組の、ユーミン特集に出るので、
リクエストを7曲選ばなければならず、
一連の曲目のリストを読んでいると、コドモが
「私、青春のリグレット好き」
なんて言うのでびっくりした。
歌詞をあわてて読み返すと、
「私を許さないで、憎んでも憶えてて
今では痛みだけが、青春のリグレット」とある。
スゴイ、あんたわかるのか、と言い、
「いつのまにこの曲を知ったの?」
と聞くと
「学校で、先生がよくかけてるから」
と言った。
親バカだったのか。
先生はまた、なんでかけるのか、と聞くと
「いつかこれを運動会で全員で踊るんだって。
だから教室でコンサートビデオのフリツケを見た」
と言っていた。
驚くことが多すぎる。
でもこれはないよな。

1999-02-25-THU

第40回

2月18日・木曜日
LFで、ラジオビバリー昼ズとTBSかもネギ放送局。
収録の合間がいつも3時間ほど空くので、
ここをどう有効に使うか、楽しみ。
映画もいいし、エステもいいな。
たまにはランチをゆっくり東京ウォーカー片手に
探してみるか、と、雑誌をめくりながら迷う。
結局、ヤノッチとハンバーガーとポテトを食べながら、
渋谷のシネマライズで、ベルベッドゴールドマインを見た。
きっとまわりにポテトの匂いが充満したのではないか。
家に帰ったら、パソコンの調子がおかしく、
ちっとも開けられない。

ここんところ、フローリングの部屋のみ、と限定で
放し飼いをしているハムスターが
カリカリカリカリカリカリカリカリと、
部屋の隅っこで音をたてていたが、
もしかしたらどっか、かじられたのかもしれない。
でも結局出てくるときの顔はかーわいい。
「え?」ってな表情をしている。
「探してました?」なんて顔をする。
パソコンどうしたらいいんだ。
カリカリカリカリカリカリカリカリ。

2月19日・金曜日
NHKで生放送あと、取材2本。
部屋で隣のカリカリカリカリカリカリ聞きながら
ワープロでカタカタカタカタカタカタ原稿打つ。
そのあと、夕食作りながらコドモと立ち話。
おかずは何かと聞くので、
今日は地味です、納豆と焼き魚と煮物、
あと冷蔵庫の残りもの。
と言うと
羽田空港見学に行ったとき、ある男の子のお弁当が
なんとも言えないものだったそうだ。
なんと、なごみ茶と、佐藤のごはんと、
スナックさやえんどう。
え、おかずは、と聞くと、
おかずないから、お茶漬けにしてたんだって、
なんて言う。
当日まで、親に言い忘れたのかもしれない。
しかし、本人なんと、けっこう元気に
なごみ茶でなごむちゃ、なんてふざけながら
笑って食べてたらしい。
しみるなあ。

2月20日・土曜日

赤坂泰彦さんのLFの番組にゲスト。
ユーミンになりきってコメントする。
途中、本物と間違えて
挨拶にやってきたディレクターがいて、私を幸福にした。

テレ朝の番組に出て、
夕方、ビバリー昼ズのディレクター橋内さんの結婚式へ。
名前を書くところで、ある女性から
「おひさしぶりです! 会社、やめました私!」
と声をかけられた。
いきなり赤信号点滅。
いったい誰だかわからないまま、
(多分覚えてない)作り笑顔で答える私。

会場の奥の部屋に
高田文夫さん、大瀧詠一さんがいらしていた。
グラスに乗ったおいしそうな牡蠣を食べながら、
LFの方と話をしていると、いきなり大瀧さんがその人に
「あのねえ、今、会話してる清水さん、
 多分あなたの名前を知らないよ」
なんてささやくではないか。
鋭い。
まるでさっきの事件を見てたかのようだ。
しかし、はい、そうです、とも言えず
「馬鹿なことを、、。ねえ、、。」
とお茶を濁すつもりで、ビールを取り、小さな時間を作る。
ヤノッチが(LFの局長、小笠原局長! 一番偉い人!)
と口のパントマイムで教えてくれた。
「さ、小笠原局長! どうぞ」
と瞬時に名前とビールを入れたが、
ばればれだったようだった。
「ね?」なんて笑ってんの。
これで私は一生小笠原局長の名前は忘れないだろうが、
局長も私の事を一生忘れないだろう。
なんてことをしてくれる。

橋内さんの結婚式

1999-03-03-WED

第41回

2月21日・日曜日
今日から3日間オフ。
すばらしいサーンデー。
3日間を有効に使おう、とベッドで決心。

また自転車でコドモと二人図書館へ。
しーん、としていて心地いい。
全く音楽がかかってない所は、
今、なかなかないかもしれない。
コドモが「今、子供用閲覧室で友達に会った」と報告。
A君、といえば必ず図書館で会える、
という噂があるくらい、本が好きな子なのらしいが、
同時に、ここで会うとなぜか学校よりも態度がそっけない、
という噂もあるらしい。
コドモが「あ、A君」と声をかけたら、振り向きざま
「悪い?」
とだけ言われたそうだ。
そっけないわあ。笑ったわあ。

スペイン料理の本、宮部みゆき、町田町蔵のCDを借りる。
レンタルショップでビデオ「冷たい月を抱く女」も借りた。
借りてばっかりだ。
ファーストキッチンに行く。
さっきからいちいち会話の語尾に
「悪い?」とつけながら、お茶を飲んだ。
コドモはソフトクリーム、私はカプチーノ。悪い?

家に帰ってから、どういうわけだか
いきなり気持ち悪くなり、横になる。
夕べの牡蠣にあたったらしい。悪い。
牡蠣があたった時にしていた友達の話と同じ症状なのだ。
苦しい苦しい、と言いながら薬を飲んで死にながら寝た。
夫が帰ってきて、夜、笑いながら白粥を作ってくれた。
人が死にかけているのに、
何を思ったら笑顔になれるのだろうか。

2月22日・月曜日
体調良くなり、午前中ピアノ弾く。
午後、恵比須の歯医者さんへ行って治療してもらう。
ああ、このなんともイヤな音。
苦しんでいる途中、
はははは! と歯医者さんが笑って機械を止めた。
私の表情がオーバーだと言う。看護婦さんまで笑っている。
ほんとですか、と顔が赤くなった。
人が苦しんでいるのに、ここでも笑顔だ。

夕方、フライパンでパエリヤを作る。
料理の本でどうしてもまた作りたくなってしまった。
イカとえびと玉ねぎとニンニクとトマトと塩とサフラン。
米を洗わない、とあえて本格的な作り方をしたのに、
洗った方がおいしいような気がした。
サングリアも作った。

2月23日・火曜日
夫が夕べのパエリアのイカに当たったらしく、
顔にじんましんができていた。
笑った。スタンディングオベーション。
笑いながら夫婦で同じ薬を飲む。(ミヤリサン)

たくさんのベルマークが玄関に届けられていた。
見ただけでたるくなる。
PTAのベルマーク委員、けっこう細かくてたいへん。
今月は300グラムはありそうな量だ。
こんだけやってんのに、
何をもらうか決めるのは教頭の一存だ。
なんでなんだ。と、思いつつ切っては貼っていく。

コドモが帰ってきて、
ドラえもんの映画版ビデオいっしょに見ながら、
またジャイアンがやにいいヤツになっている。
ジャイアンはテレビでは好きなだけ悪さをしているのに、
いつも映画化されたとたん、おとなしくなってしまう。
おまえもなんでだ。

夕方、スーパーに行く。
途中でコドモが店頭を指さし、
「サレ」。
と言う。
なんだろ、と思いつつそのまま黙って歩く。
しばらく歩くとまた店頭を指さして、
今度はハッキリと「サレ!」
と言っている。
そのうち、私に向かって
「ね、サレって何なの?
 なんでいっぱい店にサレサレって書いてあるの?」
と聞く。
わけがわからなかったが、指さす方向を見たら、
そこら中に「SALE!」と貼ってあった。

1999-03-05-FRI

第42回

2月24日・水曜日
日テレ、ナレーション撮り。
南麻布を通ったら、
SUPER・NISSINという看板を発見。
すごそうな巨大スーパーマーケットにときめいた。
「ちょっと車止めてー、お願ーい、
ここで40分ほどお互い自由行動にしようよ」、
と勝手な言いまわしでヤノッチにたのみ、フリーで買い物。
楽しかった。
カートがとても大きく、
すべり出しから開放されたような気分になる。
心の中で一人しゃべりが始まる。
商品を誉めたり、説明を読んで、
こういう味なんじゃないの、
こりゃまた美鶴ちゃん喜びそうなパイじゃない、
まだまだ食べたことない食べ物はこんなにあるのか。
これ、コドモの友達に出すか、
賞味期限までに来るかしら、など、とめどなく続く。

ケテルのポテトチップス、ピザ生地、胡椒挽き、
プルーン、珈琲の豆、ポークチョップ、レンズ豆、
ナムル、醤油、ハーシーズのホワイトチョコ、
ワイン、ナッチョチップス、コリアンダー、など。
太った外人気分で購入。
中でもホワイトマッシュルーム1キロ450円とあり、
その安さにちょっと興奮。
よって夕食はハイテンションのまま、
マッシュルームガーリックソテーと
焼ポークチョップマッシュルーム添えに
マッシュルームサラダを作った。快感。
マジックマッシュルームだ。

2月25日・木曜日
ビバリー生放送。
この曜日に届いている新しい週刊文春、
いつもまっ先に読みたく、高田さんと奪い合いになる。
(買えよな)
それにしても、ラジオは本当に楽しいなあ。
今日は動物の鳴き声、各種できることがわかった。
できるなよ、わかるなよな、と高田さん。
日曜洋画劇場特番の打合せのため、
ラサール石井さんのいる下北沢の本多劇場へ。
ロビーで打合せ。
この劇場は公演前の早い時間に行っても
役者さんの気が濃く残ってるようだ。
そのあとTBS。
食堂で納豆おろしそば。
空気が乾燥していて、マスクしたくなる。

2月26日・金曜日
NHK生放送。
番組の途中で、地震のニュース。
生まれて初めてこういうセリフをまじめに言いました。
「えー、番組の途中ですが、
ただ今、緊急ニュースが入ったもようです。
繰り返しお伝えします、ただ今、、」。
私は今、仕事中なのだ、という感じ。
学研の取材。
家に帰ったら夫がいて、
「あの時のニュースのフリって、
あんたのそのテのモノマネみたいだった」
と言うので笑った。
確かに。

そのあと、きんたまの会2。
下北沢の佳月で。
座ったとたんご主人が
「ゆうべ高田さんここに来てあんたの話して
皆を笑わせてたーアッハッハ」と言う。
「全部、嘘ですから」とコメント。
今回はなぜかドナーの話から死まで、
下品でなくまじめな展開になった。
途中、「清水さんですよね」とお客さんの一人に言われ、
またややこしい人だったらやだな、と思ったら
なんと近藤房之介さんだった。
私たちみたいにガツガツ食べないで、
ちゃんとお酒を楽しむ風。大人の雰囲気。

そのあと腹苦しーとか言いながら、
夫の行き付けの店でもある、ストーリーズへ。
ほとんどウーロン茶を飲んだはずなんだけど、
やっぱりフラフラしてしまった。

1999-03-07-SUN

第43回

2月27日・土曜日
朝、コドモが部屋に入ってきて起こされた。
あ、ごめん、と言うつもりが時計の針を見て驚き、
「早く早くっ」、とせかしてしまう。
しかし、今日はコドモも休みの土曜日だったのだ!
やたっ! こっちゃ来い、とベッドに連れ込んだ。
あーいい肌触り。
また寝ましょう寝ましょうと言って
抱き合い足からみ合い寝る。
途中、コドモだけ起きてマンガを書いていた。
おじゃる丸というアニメに出てくる脇役の
電ボというホタルが主人公で、実は家族がおり、
兄弟の為に活躍するというストーリー。
私が小4の時はエロマンガストーリーを書いて
友達に好評だったので、えろう違いまんなあ、と思う。
が、説明できず。
夜、夫が友達とストーリーズへ行こうとする。
浮気しないでねー、と言うと
「ロベロベなんだね」、とコドモ。
ロベロベとはラブラブのことで、
なんでクラスの女子はアルファベットで
ロベロべばっかり書くのかわからなかったそうだが、
こないだのSALE! から
いろいろ英語が見えてきたのらしい。

NHKを見てたら高平哲郎さんが
「今でいうと清水ミチコがあちゃらかで、、」
という意味のことをおっしゃっており、
きゃーっと、嬉しかった。
高校時代の憧れのライター。
あー、あの時代の私に教えてあげたら喜んだだろうな。
信じないかも。
ママ、あちゃらかなの? あちゃらかって何、とコドモ。
そのあと二人でお風呂に入った。
一日まるで、愛人を持つおやじと何の変わりもない。
そのうち
「もしかしたら私はこのコを自分から離れないように
いつのまにか洗脳してるんじゃないか?」
とシャンプーしつつ、疑う。
丸一日、禁煙できた。

2月28日・日曜日
原稿3本。
タバコ吸いたい。ニセタバコ・ネオシーダーを吸う。
(いちおう医薬品)部屋がすごい匂いになる。
あるからいけない、と思い、
自分のタバコはとっくに全部捨てたんだけど、
夫の強いタバコが置いてあり、私を誘惑する。
しかし、頑張った。
1本ですんだ。
もはや1本ごときは禁煙のうちになってしまった。
今度ニコチンガムを買ってみよう。
阿木耀子さんのインタビュー誌を読んでたら偶然
「私、もともと男っぽいところもあったんだけど、
タバコ、今日からやめようと思ったら
スパッとやめられたの」
とあった。
なんてことだ。こんな人がいるんだな。
禁煙に個性があるんだなあ。

こないだ近藤房之介さんに会ったと思ったら、
今度BSで、ちびまる子ちゃんの特集に
出る事になっていた。
ちびまる子ちゃん、夕方テレビで見る。
やっぱり面白いなあ。
小学生がもともとおもしろいのかなあ。
3月のスケジュール表、トイレに貼る。
あまりに忙しそう。
一瞬たりとも時間にふりまわされない、
阿木耀子、と念じる。

1999-03-09-TUE

第44回

3月1日・月曜日
テレ朝で日曜洋画劇場の特番撮り。
休憩で、ラサールさんがお菓子をつまみながら
マンガを読んでいた。(スピリッツ)
見るとその他にも数冊カバンに入れておられるようなので、
マンガ、好きなんですか、と聞くと、
「僕は食事中にも、マンガや活字を読んで一緒に
吸収するのが大好きなんだ」、とおっしゃってた。
わかるわあ。
スターウォーズの新作のCM見ながら、
楽しみですね、なんて普通のコメント言ったけど、
本当に楽しみになってきた。
友達のみつるちゃんからファックスもらう。
なんとこの日記を初めて読んで、
タバコがやめられない人の理由、
ニコチン中毒だったのがわかって
目からウロコだったそうだ。
その気になるだけですぐ止められるものかと
思っていたそうだ。
タバコを知らない人はこれだからのんきなものだ。
禁煙やってみたい人増えたりして、ともあった。
でも万が一増えるとしたら、
タバコがいかにおいしいかのキャンペーンになりそうだ。
と書いて一本。

3月2日・火曜日
「踊るさんま御殿」に出演。
さんまさんのテンションは天才的だ。
何かが「降りて」きてるみたいだ。
いろいろつまらない事を聞き、
家に帰って俺はダメな人間だ、と夫にぐちると、
実は今日は俺もだ、と言った。
いろいろあるものだな。

3月3日・水曜日
ひなまつり。
パンタさんからまちがいメール届く。
文面を読んで、失礼ながら
パンタさんはパンクな生きかたをしているなあ、と思う。
パンクロッカーなんだから当然かもしれないけど、
あんた実はそうでもないだろ、って人も多いみたいだから。
日常がすごいなあ、と思った。

そのあと自宅に電話があり、「はい」と低音で出る。
妙ないたずらも多いのだ。
「し、し、清水ミチコさんですか」
とぎこちなく言うので、いたずら!と思い
「どちら様ですか、」
と聞く。
なんとさくらももこさんからだった。
「何だよ、おどおどして。びっくりするじゃん」から
長い会話が始まる。
25日に会う約束する。
ドラマ衣裳合わせ。
そのあと日テレの近くでヤノッチとオムライス食べる。
ブルータス読みながら。この雑誌、頑張ってるなあ。
中身濃いねえ。

3月4日・木曜日
ビバリー生放送中、
「笑っていいとも」から電話入る。
いわゆる「あがる」のと、
「テンションがあがる」のとある。
今日は一気に後者だった。
テレビはテンションなのかなあ。
明日は普通の自分で出たい、と思った。
誰もがそう思うのかもしれないけど。
こびずに、こわがらず、ことわらず。の3K。
それにしても笑っていいともは
なんだか特殊な番組だと思える。
次のお友達として、テレビに前に出た時の私の写真が映り、
我ながらあまりにひどい顔なんで
「それ止めてください」と言った。

その5分後にメールが届いていた。
大瀧詠一さんからで、
なんとその私のいやな顔の写真がアップで送られてきた。
面白い男だ。
笑いながら、私の3Qが浮かんだ。

1何を意味するのか。
2どんな機材を持っているのか。
3それでも大人か。

しかしそれなのに大瀧さんのことを書いているこの日記、
貴重なのです、として重宝されている方が多いらしく、
感謝のメールをいただく。
そのどれもが大瀧さん、とは書いてあっても
心は大瀧様、という感じ。
私はそんなことで役に立ちたくない。


私にとってはガマの油


3月5日・金曜日
朝、NHKリハのあと、いいとも。
NHKのゲストにジュディオングさんなんで落ち着かない。
私のネタに「魅せられて」の替え歌で、「建てられて」
(ジュディさんは自分の記念館を建てられている)
というのがあり、案外知れ渡るこの業界、
もしかして知ってて怒ってるかも、と思った。
その答えは結局わからなかったが。
リハでは私がオープニングで「魅せられて」を歌うと、
今のモノマネ何点、何点、何点!と出て
ジュディさんが最後に0点と出す、というはずだった。
しかし本番で、ジュディさん、最後に100点! と出した。
ぜったい、ジュディだなあ。

そのあと「す」という変わったネーミングの
私のラジオのゲストに服部幸應さん。
私は食べることの話は大好きなんだけど、
服部さんはマニュアルどうりで、
話をしてて今イチおもしろくなかった。
知識を立て板に水のように話すんだけど、
それこそインスタント食品のよう。うまいけどね。

ここのディレクター松野さんが牡蠣にあたって緊急入院。
心労も手伝ったらしい。
お見舞いに大塚病院に行く。
その姿があまりに新鮮で、
あんたの写真撮ってもいいか、と聞いて
笑いこらえつつパチリ。
着替えなどの時間、休憩室にいると、
そこにみんなの読書棚コーナーがあり、
自分の顔マネの本置いてきちゃった。

1999-03-11-THU

第45回

3月6日・土曜日
街のパトロール30分。
というPTAの義務。
といってもてきとうに主婦が街をうろつき、
ヤクをやってる人いないか、
不純異性行為してないだろうな、
と近所を見まわりするのが目的なのらしいが、
どう考えても日中堂々とそんな行為をしている人が
いるわけがない。
しかし、やらなければならないのだ。
こんなことでだいじょうぶなのかな、公立小学校。
しかし、私は今、パトロールしている、
という気分は人生でなかなかないもの。
と、自分をはげまし、片手をかざし、夫に
「行って参ります、ハッ」と挨拶して出る。
途中やはりアホらしくなり、本屋さんで本官、立ち読みす。
コドモと映画「ドラえもん」観ようと誘い、新宿へ。
「よかったねえ!」と言うと
「あんた、寝てたじゃん」とのこと。

3月7日・日曜日
知り合いの大久保太郎くんの挙式に、夫婦で出席。
私は歌を歌う予定。
その前には、誰が何すんのー、と聞くと
「鈴木慶一さんが謡をするそうです」
という。
しかし、鈴木さんは来ず、早めに歌となる。
フケたもようです、との事。
解散する途中、ニコニコ鈴木さん顔を出す。
あんた今ごろ何やってんだ、と叱る。
しかし、顔が神様みたいなんで、どうしても憎めない。
いつかは私を呼んでくれてありがとう、
こないだ聞いた新譜がとてもよかった、と言いたかったが
なんとなく言えずに別れた。
そのあと前のマネージャーの古都美ちゃん、
夫婦連れで家に来る。
コドモとトランプのスピードなどやって
名古屋に帰っていった。

1999-03-14-SUN

第46回

3月8日・月曜日
恵比寿の山手歯科へ。
帰りにDEPTとHRMで洋服を買う。
焼き魚と味噌汁、タコスにチリ、
挽肉、レタスと不思議なメニュー。
食後、夫とプロレス。
コドモが本気で母をかばうのでかわいい。
「リングでは相手がワルツを踊ろうとしたら
 ワルツで返すのよー!」。
と、聞きかじったセリフをコドモに教育。
は?と言っていた。
アゴタ・クリストフの「悪童日記」読み始める。

夜、ディズニー映画のパンフレット見ながら
「わあ、かわいい名前!
 こんな名前があるんだ、こんなの見たことない!」
とコドモ。
いいなー、こんな名前ー。
としげしげながめて見入っている。
どれどれ、なんて名前、と聞くと
「木の実ナナ」というので、吹いた。
確かにかわいい名前に思える。
ハムスターの名前、木の実ナナにしなよ、と言ったらだめ。

3月9日・火曜日
天才てれびくん打ち合わせ。
そのあとVTR出演2本。

「NHKマンガ夜話」ゲスト。
ディレクターが「トップランナー」で
さくらももこさんを後姿で出演してもらった経歴あり、
いつかは大瀧さんを、と希望に目を輝かせておられた。
出るかなあ、彼は、ふふふん、と知ったような顔で答える。
この時ご一緒した東ちづるさんは、昔見た
「ちんころ姉ちゃん」、というマンガのイメージに
なんとなく似てるので心の中でいつも小さく
ちんころ姉ちゃん、と呼んでいる。
すみません。
この時一緒だった堀井憲一郎さんに
廊下ですれ違いざま、
「なんでも数えるなよー」
と言ってみると、
「あ、何でそんな言われるスジアイあるですか!」
と吠えた。笑った。
結局、今日一日お弁当の一食しか食べなかった。

3月10日・水曜日
日テレに行く途中、路上でぐうぜん、
携帯電話中の堀井憲一郎さんを発見。
すばらしきシンクロ二ティ。
「聖なる予言」もびっくり。
お隣にたぶんバイト学生とおぼしき男の子連れ。
「おーいホリーさーん」と呼んでみると、
近づいてきて「親しげに呼ばないでくださいね!」
と言われる。
学生さんに「あんたも何でも数えるのやめてね」と告知。
「は、はい!」と敬礼顔。
堀井さんの「なんで数えて悪いんだー!」という声、
遠くなり、また笑えた。

夜、事務所でこの日記書き始めると
無償にタバコが吸いたくてたまらなくなる。
やさしい性格のマネージャー、
ヤノッチの机の中を探してみたら、
1カートン買ってあった。
まったくこんな事じゃ困るわあ、
と思いつつせっかくなので吸った。

3月11日・木曜日
ヤノッチ怒ってた。
人の机、勝手に机あけたな、と言う。

ビバリー。ディレクターの橋内さん、新婚旅行、
フランスからお帰りなさい。
ほとんど外食せず、
アパートメントを借りた部屋で料理を食べたそうだ。
この時、橋内さんの後輩たちが見学にきてて、
お菓子をいただいたら、まずかったので、
それをどうまずいか、語る。
ひどい女だ、と高田さん。
でもそれはベルギーワッフルの次に来る、
と言われてるお菓子「ポルト」で、
今年、流行するであろう、といわれてるもの。
うす甘く、うす塩味。
おととしのカヌレもどこがいいのかしら、
失敗みたいな風味じゃないの、なんて思っていたのだが、ヒットした。
ポルトも、ヤノッチはじめみんな、おいしい、と言ってた。
さすがに気まずくなり、
私の大切なチョコレートを差し出す。
そのあと、中京テレビのいたってまじめな番組の
ナレーション撮り。4時間もかかった。難産。
TBSに入ると、また堀井さんとすれ違う。
なんだ、あんたはブームか。
生放送中、クレジットカードの話になり、私が
「私の暗証番号は4325!
シミチコと覚えてくださいね!」
と冗談で言ったら、まわりが騒然となったのにびっくり。
プロデューサーまで飛んできた。そんな?

1999-03-20-SAT

第47回

3月12日・金曜日
NHK生放送。
リハで、高見知佳さんにパンプディングと、
シュークリームをいただき、それがブランチとなる。
朝のまだ起きてない脳にしみ入る糖分、
とてもおいしくしみわたり、お店の名前を聞き、
今度「料理王国」の原稿に使わせてくださいよねー、
とカメラでパチリ。
しみわたる糖分

そのあと天才てれびくんの打ち合わせ。
最近のコドモはなんと家族でカラオケに行くのらしいが、
それにあやかり、ひいては清水さんに
「モノマネをコドモに教えるコーナー」を
4月から作りたいとの事。
しかし、最近のシンガーで、と言われ、
できましえん、桜田淳子止まりなの、と泣くが、
似てなくてもいいのです、そういう姿こそ面白いのです、
なんて言う。
とりあえず、月末収録の、宇多田ヒカルが一本目。無理。
でもちょっと面白そう。

そのあと日テレでIZの収録。
坂上みきです、ワーオ。
夕方、おなかがすいて
スタッフとともに近くにあった中華料理店へ。
ぴーたん、じゃじゃめん、餃子、棒棒鳥などで
体があったまる。ヤノッチ、デザートに杏仁豆腐。
私は寒がりなので、最後にまた暖かい中国茶を所望した。


3月13日・土曜日
顔マネ写真撮る。そのあと原稿。
ジャズのCDに合わせてピアノ弾く。
思いっきり自由に、と念じるが
頭に描くコード(鳴らしたい音)の構成がわからない。
しかし、きのうの番組、IZでは
私に不可能なピアノなどないのです、と嘘をついた。
長時間没頭できて、気がついたら真っ暗な部屋だった。
今度、こういう練習を録音したやつを
この日記に連載していくと、立体的になる上、
私もうまくなるのではないか、と思ったが
禁煙の例もあり、却下。


3月14日・日曜日
朝からピアノ。気持ちいい。
最近、趣味は完全にピアノだ。
コドモがパジャマのまま、黙って踊りながら部屋にきた。
笑ってしまう。
しかし、
「いつかステージにこういう変な人が現われたとき、
自分は弾き続けられるか、という練習」
にしてみた。
没頭せよ、と思えば思うほど踊りが気になり、
そんな曲、だいたいないんじゃ、とも思い当たり、
ついでにコドモの歌もメシ、メシ、朝ごはんー
という替え歌付きにになってきたので、
じゃーその前にー新聞取ってこいー、と歌って、
ごはんにした。

夜8時、新幹線に乗って越後湯沢へ。
明日の早朝からなぎらさんとテレ東のロケ。
マネージャー・ヤノッチは金曜日から彼女の父親の持つ
越後湯沢の別荘に前乗りしてて、スノボーを終えた頃。
夫に東京駅まで車で送ってもらう。
別れる時いやに寂しくなる。
「ホームと家族」という図は、
いつも絶対しゅーんとくる一瞬がある。
しかもものすごく恥ずかしい。
夫にあがってた。
何なんだろう。
ホームスウィートホーム。

1999-03-25-THU

第48回

3月15日・月曜日
なぎらさんが私のことを
ミッちゃん、ではなくミチミチと呼ぶ。
この曲は、なんでテレビもない時代から
全国的にくまなく知られ、歌いつがれているのだろう。
そして私はあのような音3つ(ラソミ)だけでできてる
スカトロソングを一生歌われるのだろうか。
みっちゃんミチミチ、のところまでは洒落になってるが、
そのあとのウンチはかなりいきなりな展開だ。
ぜんぜん脈絡がない。
その上、紙がないからって、、、。
じゃ、最初から紙で拭くような人じゃ
なかったんじゃないの、とロケバスで寝ながら思った。

帰りの新幹線で、
なぎらさん、座席をわざわざくるりと回転させ、
私と食べ物しりとり。
けっこうむきになってしまった。
特にるのつく名前だとルッコラ、るいべ、
ルノートルのケーキ、あたりであと出ない。
しかも、結構、「る」で終わる名前は多いようなのだ。
あと「り」も。
今度ウィンドウズを買われるそうなので、
接続したらすぐにほぼ日から開くと約束。
なぎらさんと向き合っていると、なんでだか
「いまだに結婚しない息子とその母」
という図に見えてくる。
なぎらさんと

3月16日・火曜日
仕事から帰ると、コドモとその友達が家にいた。
また算数の宿題を見て
「くだらない!知らないってばよお!」と
笑っているのでどれどれと読んでもらう。
「一円玉の長さは2センチです。
約9000メートルのエベレストの高さまでになるには
何枚いるでしょうか。知らないっちゅーの」
「地球を一周するには何枚いるでしょう。
考えるなっちゅーの」などと言ってた。
大きな数に慣れるための練習問題なのらしい。
図を想像するとむずむずする。
コドモ同志でしゃれを言う。
それを言った者にすぐに
「さむーい!」などと言いあってる。
さむーいなんて言葉、小学生が言うとホントいやになる。

3月17日・水曜日
おわびの丁寧な手紙が届いてて、びっくり。
いつか、浅草キッドさんのアサ芸の連載
「アサヒ芸能人」が300回記念という事で、
コメントを求められたのだったが、
おめでとうございます、というのも平凡かと思い、
「いちいち私にコメント求めるのやめてください。
                  清水ミチコ」
とFAXしたのだった。
ところが、今日速達で編集者の田口さんから
おわびと反省(今までもささいなことでコメントを
お願いしておりました自分が恥ずかしく)などと、
心のこもった手紙をいただき、
わあ! 田口さんへの返事と思ったのか、とあせり、
コメントのつもりだったと、アサ芸編集部に電話するが、
田口はもう帰りました、とのこと。
自宅の連絡先を教えてください、と言うと
それはちょっと困ります、と言う。
緊急なんです! そこをひとつ!
と名前を出し(やらしいな)連絡先を聞き出し、
本人にあやまるとホッとしておられた様子で、
こっちがホッとした。
「ちなみに掲載文ってどうなったんすか」と聞くと、
勝手ながら「おめでとうございます」のみに
させていただきました、との事。
今の私にこそふさわしい言葉だよ、などと言って笑った。
田口さんのみならず、ここの編集者は(会ったかぎりでは)
誰もがとてもまじめで性格がいい人が多い。
驚くほど、って失礼だけど。
私も一度、反省しつつわびた手紙を書いたことが
あったので、そん時の気持ちになってしまい、
読んだ一瞬は、暗ーくなってしまった。
でもそのあとレンタルしたドラマ
「愛していると言ってくれ」シリーズを見て、
すっかりのめり込む。

1999-03-28-SUN

第49回

3月18日・木曜日
ビバリーのあと、
車内でハンバーガー食べつつ移動し、
事務所でテレビの打合わせ。
そのあとTBSへ。
何かの話の時、
「おばあちゃん(自分)は、そうだねえー、、、」
と、一段と声を低くして言ってみら、
アナウンサーの方にニコニコと
「まだまだお若いですよ!」なんて言われる。
この、さりげないやさしさが。
ここに野沢直子がいたらどんなに笑っただろう。

ところで、
いくつでも若く見られるとつい喜んでしまうのは、
なんでなんだろう。
まだ少しでも死に近づきたくない、というカンジかな。

私は20才の頃、ばあちゃんが死んだとき、考えました。
もし、次の人生がまたあるとして、どっちがいい?
自分の子供への選択としてもいいです。

120才までの長生きだけど、結構つらい暮らしの一生と、
13才でとても幸せな一生にして死んでしまうのと。

この120才の人は早く死にたい、
なんて時があるかもしれないし、
死ぬ間際に死ぬ事に本当に感謝するかも。
そして家族も、お葬式の時は悲しみが少なくなれますね。
13才は、ああ、死にたくない、と
きっと一番死を恐れるでしょう。
そして、家族もどんなに悲しむでしょう。
幸せだと死への恐怖がつのって、不幸だと死が恐くないの。
ここだけは人類みんなが平等なのが皮肉ですよねー。

3月19日・金曜日
NHK「ぴかいち倶楽部」の最終回。
「けっこうNHKの人は固いかと思ってたら
軽い人が多かった」と、
ここだけは言ってください、と言われ、うっそ、と笑う。
しかし打ち上げは楽しかった。
すごく凝ってくれてて、やさしーんだなあ、と思った。
レギュラーの清水伸くんに
「最近はまってて、ラジオもテレビも
イトイ新聞も欠かさずチェックしてますが、
TBS、今ひとつノレませんね!」
とミクロな指摘。
うるさいよ、などと言いながら
二次会出られず、移動してナレーション撮りへ。
ぴかいち

3月20日・土曜日
コドモのクラスのお楽しみ会へ。
歌いたい子のカラオケを聞く。
(といってもCDに合わせてそのまま歌うという、、。)
歌う曲の中に、つボイのりヲの「キンタの大冒険」があり、
不変なんだなあ、この世界、と思った。
みんなくすくす苦しそうに笑ってた。
しかし、父兄はこの曲を知らなかったようで、
なんなのこれ、という表情。
これはですね、名古屋の、、、と説明するが、
うなずかれるたび、
知ってる自分が恥ずかしくなった。

そうだ、ベルマーク委員会へ提出する
ベルマークのちまちま集計、間に合いそうもないぞ、
とハタと気がついて、暇を持つ知人の妹にバイトで頼む。
テレ朝のドラマ、なかにし礼の「兄弟」にはまった。

1999-04-02-FRI

第50回

3月21日・日曜日
花粉症つらい。
めそめそしながら原稿書く。
こないだ、ペットショップに行ったら、
「ハムスターは、歯だけが異常に成長します。
そのため、エサを食べられなくなり、死んでしまいます」
という説明文とともに
「ハムスターがかじる木」が売られていた。
しかし、どうも脅されてるみたいな気がして、
その時は買わなかったのだが、
その効果はのちのち効いてきたらしく、
やはり今日になって買いに行く。
しかし、巣箱に入れてもちっともかじらない。
「僕ら今までかじってきたもんで、充分っすー」
とでも言ってるようだった。
ピアノ奏法(井上直幸)読む。

3月22日・月曜日
祝日。
コドモと約束した新宿の映画館(バグズライフ)へ。
その前に紀伊國屋書店へ寄って
あがた森魚、ハンプトンホース 、民族音楽のCD、
「兄弟」と「五体不満足」など買い、バッグ重くなる。
映画が始まる時間までけっこうあったので、
ハンバーガーをやめ、中村屋の2階で食事。
「バグズライフ」に出てくるドット、めちゃかわいらしく、
自分用にドットのミニバッグを買った。
コドモは携帯のストラップを欲しがり、
これをランドセルにつけるんだー、と言ってた。

3月23日・火曜日
霞ヶ関ビルでNTTデータのイベントで
パソコンについてトーク。
途中、女性のお客さんの携帯が鳴り、
どれどれ、とちょっとその人とトーク(兼・ウケねらい)。
吉村作治さん思い出す。
事務所でパソコン雑誌の取材。
予習してたようなものだった。

家に帰るとコドモ、
通知表や絵などの作品をいっぱい持ち帰ってた。
君も頑張ってるねえ。
担任の先生、若くてベリーかわいい女性で、
今年で担任ではなくなるかもしれず、PTA全員で、
お礼の言葉を書いたアルバムを作ったのだが、
今日、子供達がそれを渡したところ、
瞬時に泣いておられたそうで、
私たちまでうるうるきちゃった、らしい。

夜、スチャダラの生番組(SKY PERFECTV)に
来週出る約束を電話で。
「清水の母です」と、最後まで声低くして話す。

3月24日・水曜日
今日も霞ヶ関ビルでトーク。
途中、パソコンギャルに、
「洋服いつもかわいいですが、どこで買うんですか」
と聞かれ、これはですねー、青山のー、
と上機嫌でペラペラ。
帰りにYAMAHAに寄り、
来月の高木ブーさんの「趣味悠々・ウクレレ編」用に、
ウクレレを買ってみる。
箱を開けたら、注意書きに
「ウクレレはちゃんとした楽器です。
あまりバカにしないで」
という意味の事が書かれてあり、
自意識感じ、笑ってしまった。

3月25日・木曜日
LFに行って、日テレへ。
スターバックスでカプチーノを買いつつTBS。
カモネギ生放送、最終回で、
好きだったスタッフさんたちと写真撮る。
丸一日ずーっとノーメークだった。呼吸。

家に帰ると
事務所に10年いてくださった美鶴ちゃんから暖かい手紙。
お子さんができて、なかなかカムバックできそうになく、
退社されるのだ。
「ただ、ここを去っても、キンタマの会はやめないです」
とは書かれてなかった。継続。
ちなみに赤ちゃんの名前は、美雨ちゃん。
やはりファンである矢野顕子さんのお子さんの名前を
ぱくったのだそうだ。
ぱくり事務所だ。
夜、ドラマのセリフ覚える。

1999-04-04-SUN

第51回

3月26日・金曜日
日テレのドラマ「ロマンス」の収録。
主役の宮沢りえさん、会うなり、
「おっはよーごじゃいましゅー! ラブラブなんれすー!」
と、吉川ひなののモノマネをしてきた。
「それじゃあ、ただのアブナイ人だよ。こうしてごらん」と、
ひなのちゃん声を教える。
しかし、何度教えてもうまくならない。
「ちゃんとひなのちゃんの顔思い浮かべてる?」と聞くと、
「ううん。私、幸田シャーミンもやるんだけど、
いつも清水さんの顔を思い出しちゃうの」
と、これまたきれいな声で答える。そこだな。
しかし、つくづくその美しい顔を見ていると、
モノマネしたいという気持ちになる方が
まちがってるような気がした。
いらないじゃないの。

秋本奈緒美さんにも10年ぶりで再会。
中国でのロケ以来なのだが、あいかわらずさっぱりしてた。
彼女はなんと、当時撮った、(大きな口を開けて笑っている)
清水ミチコと自分の2ショットの写真を
玄関に貼っているのだそうだ。
ここまでは嬉しい。そのあとだ。
家に友達が来ると、その写真を見つけて、
誰にもぜったいに同じ事を言われるのだと言う。
「ついに会ったの? サイババに!」だって。
私が、あのサイババに似とるらしい。
しかもその言い方が、「さもおもしろそうに」でもなく、
実にマジメにさっぱり、と言うので、感心してしまった。
感心しとる場合か。


3月27日・土曜日
ビバリーの放送作家、松岡さんの結婚式のため、
恵比寿のQ.E.Dへ行く。
松村邦洋さんと二人で、モノマネで祝辞。
当日に打ち合わせ。一人5人ずつ交代して、
合計10人の著名人の祝福。
べんりなコンビがあったものだ。
そのあと、
しめやかに花嫁と花婿二人の写真を撮る時間になり、
「今ここで、なぜか私たちが前に出てって、
隣でニコニコしてると面白いんじゃないか?」
と松ちゃんに耳打ちし、本当に横に並んだ。
結婚式

3月28日・日曜日
小堺一機さんの番組に出る。
村松友視さんとは初対面。なんとおやさしそうな。
打ち合わせの時、何かの話題から、
「だって小堺さんなんて、司会も踊りも楽器も、
なさるじゃないですかー」などと言う。
言いながら、ああ、それに比べて隣の村松さんは
きっとどれも苦手だわ。芸がない男って何てカッコいいの。
と、横目で見ながらしみじみ思う。
その間も、小堺さんはずっと器用にモノマネをして
皆を楽しませておられた。人間平等だ。

村松さんは、昔、
私の実家の店にいらした事があるとかで、
それを聞いて、えー、いつ頃ですか、と驚いてると、
小堺さんがなぜかタップを踏み始めた。
それがまるで、
あんたはこっちの人間、と誘われたかのようで、
思わず「踊るな!」と言うと
「僕ねー、いつもこうやって清水さんにしかられるのよー」
とこぼしてた。笑った。
そういえばそうだ。
先輩なのに、思い出せば、
会えばいつも最後にはうるさい、などと叱ってる。
そのあと、「天才てれびくん」2本撮り。
宇多田ヒカルとキロロになって歌った。
なったってことはないが。
小堺一機さんの番組に出る

3月29日・月曜日
夫が会社に行くと同時に、コドモ、塾へ行った。
結構楽しいらしい。笑わせてくれるんだそうだ。
私はエステに行って性格を(?)直した。
というのは、ここへ来て肌をいーこいーこしてもらうと、
感謝の気持ちが自然とわき起こり、
明日からちゃんとしよう、とか、
なんとも気持ちがやーさしくなってくるのだ。
その効果は約2日間もつ。

帰りにコドモと待ち合わせし、二人で歩いていると、
「最近、二人とも同じところで笑えるから、いいよ」
と言う。
「今までって、私が小さかったからー、
私が笑うときはママはそんなでもなさそうだったし、
ママが笑ってる時は私、
よく意味がわからなかったんだけど、
今は二人とも同じ話で笑えるじゃん」。
そんな事を思ってたのか。
大きくなったんだなあ。
しかしそのあと、
「歩きながら、せえので一緒に、別々の歌を歌わない?」
と言った。
なんで別々なんだ。
1日禁煙できた。

1999-04-07-WED

第52回

4月1日・木曜日
ラジオ収録後、
お昼にマネージャー、ヤノッチと麻布の堀井でそば。
注文した「つけとろの大盛り」が到着する間、
「誤釣生活」を読もうとバッグから出そうとふと見ると、
遠目に漫画家のやくみつるさん発見。
俺を見つけないで、という信号を
勝手に帽子あたりから感知し、声かけず。
六本木のスタジオに行き、週刊ポスト用の写真。
藤圭子と宇多田ヒカルの親子顔マネ写真撮る。
さすが、メイクもカメラマンもちゃんと参加すると
違うもんだねえ。
家に帰り、夜、下北沢のピーコック前で
さくらももこさんと待ち合わせし、食事。
さくらさん、
「ねえ、ここ(ピーコック)で、お総菜買ってさー、
ミッちゃんチで広げて食べよーよ」と
嬉しい事を言ってくれる。
しかし、家はちょっと混み合っているのだ。
久しぶりに会ったのだが、
こういうところは変わってないなー。
「私、禁煙してるのねー」と言うと、
えーやめればー、そんなの、と言う。
健康についちゃいくらでも語れる人なのだが、
「ムリは絶対いけない」のだそうだ。
それもそうだと思い、二人で開放的に吸ってもた。

宇多田ヒカル

藤圭子

4月2日・金曜日
高田文夫さんから依頼の「絵」の出品、
うまく書けずに(プリントアウトできず)
あー、もー、とやめたくなる。
そのあと、芸能人、友人たち総勢8名ほど来宅。
つくづく料理だったら簡単なのに、と思う。
ヨーコちゃん、ハムスター苦手らしく、
「か、飼ったんですね。か、か、かわいいですね!」
と身体は後ずさりしながらの社交的会話。
私も、もしも他人の家でヘビなんか飼ってるの見たら
こうなるかもしれないと思ったが、
「ほり、抱けるのよー」と手に乗せてみせると、
飛びあがりそうだった。

4月3日・土曜日
ドラマ「ロマンス」収録。
宮沢りえさんにライブはいつやるんですか、と聞かれる。
「7月に渋谷のジアンジアンであるよ。
ジアンジアンなんて知ってる?」と聞くと、
「ジアンジアンは、いつか友川かずきさんの
ライブで行きました」との事。
友川かずき、という名前が
宮沢さんの口から出るのが意外だった。
心の中で「生きているって言ってみろ」鳴りやまず。
帰りに「神戸屋キッチン」で浅蜊のスパゲッティ。
ヤノッチはベークドチキン。
一口交換してみたら私の勝ちだった。

4月4日・日曜日
天才てれびくん2本撮り。
メイク室で子供タレントたちの会話を聞いてると
「○○、からみにくいよねえ」とか、
「○○、つっこむところが見つけにくいやろ。
見えへんねん」
「そうそう」など、
聞いてて笑える。おっさんか。

こないだ、家に来たコドモの友達に
しゃれを言ってやったら「ひゅるるー」、と言って
両手を寒そうに上下こすってやがった。
北風の表現なのだ。
あんたら用にレベルを下げて、
あえて、の、しゃれなの! 本気じゃないの!
とも言えない。
しかも後でのコドモ同士の会話、
めちゃめちゃベタなところで笑いあってるのだ。
大人だから「おまえらこそ寒いっ!ああさぶっさぶっ!」
と叫びながら走ってもいけない。

1999-04-15-THU

第53回

4月5日・月曜日
倉敷でお呼ばれライブ。
高校生らが卒業し、
新社会人おめでとうという主旨のためのもので、
さすが教育熱心な県民性の岡山だ。
みんなまだ似合わないスーツなどを着て
ピシッとしてるものを感じた。
終わったあとのスタッフとの夕食が楽しみ、と思い、
朝もお昼も食べずで、期待だけふくらます。
駅に着いたとたん、いかにも美味しいモノが
豊富そうな街だったので。
しかし、この日は月曜日で、美術館もお休み。
街中オフみたいで、決め手になるお店見つからず、
歩きながらしょげる。
スナオにお弁当を食べないからこういうことになる。
結局天ぷらなど、飲み屋さんみたいなとこでいただく。

4月6日・火曜日
新幹線の時間まで、と、朝から坂田さんと散歩。
エル・グレコで珈琲。永六輔さんのサイン葉書見つける。
いいな、と思う外国には絶対大橋巨泉さんの別荘があり、
いいな、と思う国内には絶対永六輔さんのサインがある。
そのあと大原美術館へ。
10年ほど前、パテ屋(私が昔アルバイトしてた
デリカテッセン)で、経営者の林さんと一緒に
写真に写ってた外人を見て、
「この方はどなたですか」と聞くと
「サム・フランシス、、」と、
おっくりした口調でおっしゃってて、
それを聞いてたアルバイト大学生など、
ひっくり返るほどびっくりしてたが、
私は誰なのかも知らなかった。
今日、作品をナマで見て、かーん、ときた。
かーん、までに時間かかったねえ。
篠原牛男さんや、岡崎乾二郎さんなど、
林さん関係の方の作品を見つける。
刺激的なところでもあったんだなあ。
林さんは、パテ屋に来られる有名な芸術家にも、
暗かった私にも、
ホントーに同じ態度で接してくださってた。
しばらく林さんの事や、パテ屋での事を
思いだしながらながめ歩いた。
東京にもどってそのまま番組の打ち合わせ。非刺激的。

4月7日・水曜日
「おじゃる丸」打ち合わせと、取材2本、
メレンゲナレーション。原稿1本。
コドモが世話になった咲ちゃん家に行って、
おみやげを渡す。
つまんないお菓子です、と言うのに、
一家であんまり喜んでくれて、私まで嬉しくなる。
ほころぶな、ほころぶな、ここで、と自分に言い聞かす。
夜「古畑任三郎」を見てほころび、「兄弟」読む。
どっちにも充実。
ところで、ほころぶ、というのはやはり目からではなく、
口元から一気に上へと動くと思われる。
「目が笑ってない」、というのも、
その人は心から笑ってないわけではあながちなさそう。

いつか友人に、「絶対に笑わないでよ」と約束し、
あなたの顔がいかにいいか、を誉めたたえてみたところ、
不細工な顔で瞬時にほころんでた事があり、
よし、いつか、夫婦でケンカした時に、と思い、
本当にやった事がある。
言い合いしてる途中、ふいをついて
「何よ! ちょっとハンサムだと思って!」
と言ってみたら、
しまった、というカンジでたちまちほころんでいたのだ。
何かすごい勝利感がこみ上げてきた。
みなさんも、ぜひやってみてください。

1999-04-18-SUN

第54回

4月8日・木曜日
コドモの担任だった先生、事情があって
しばらくバングラディッシュに行く事になり、
生徒と、つきそえる親とで見送りに。
私は行けなかったが、コドモの話によると、
先生、みんなが見送りに行く事を知らなかったようで、
みんなの姿を見て、驚いて、
すぐ泣きじゃくるかのようにしておられたそうだ。
そうして先生が乗った電車が発車すると、
手を振り泣きながら追いかける子供がいたのだそうだが、
それと同時に、
「これ以上はドラマじゃないんだから」。
「おいおい。やめたら。危険」。
という現実的な派もいたというのが
いきなりな展開だった。なるほど。

今日はビバリーで何かの拍子に
「バルサミコ酢がね」
と言うと、高田文夫さんに
「何それ、メキシコのプロレスラー?」
と聞かれ、笑った。
いそう。
そのあと、ピアニスト佐山雅弘さんのコンサートに、
青山円形劇場へ。
外に誰もおらず、あっ、遅刻か、と走ると、
同じ場所へと急ぐ男性がいて、
チケットを渡す所で顔を見たら
偶然にも和田誠さんだった。隣の席。
いつか大瀧さんが
私のジアンジアンのライブに来てくださった時、
「(確か)和田さんの隣席だったのでちょいと緊張」
というような事をおっしゃってたのを思い出した。
和田さん、しばらくは映画監督として忙しそう。
私は酔っぱらった時、
えらい失礼なことを言ってるらしいとわかった。
コンサート、なんともいい空間で、幸せだった。
しかし、休憩時間にのどがかわいたかのように
タバコが吸いたくなり、喫煙室へ。
あのいやーな、煙もくもくの喫煙室まで
行ってまで吸いたい、と思うのは生まれて初めてだ。
いつも死臭がはいってるような、収容所みたいな部屋。
変な話、タバコは空気がきれいなところでこそ
スパーッと吸いたいのだ。
まずい、と感じながら、みそぎのように吸う。何の。

4月9日・金曜日
ドラマ「ロマンス」の番宣に出る。
長い収録だったなあ。合間にタバコ吸う。
家に帰ると、ぱく・きょんみさんから
本人の「庭のぬし」という本が送られてきていて、
しばらく読みふける。
ぱくさんという女性は在日韓国人の詩人で、
パテ屋でずっと一緒にバイトをしてきた友人でもあり、
当時、彼女の顔の表情や嘘のない言葉がたいへん好きで、
休みの日など、しつこいほどつきまとっていた。
返事を書きながらまたパテ屋の事がよみがえった。

4月10日・土曜日
マック故障。まただ。
マックのせいで、面白くないからと、タバコ。
もう禁煙なんてできないようだ。
こんなにニコチン中毒が根深いものだという事を
誰が教えよう。
タバコの横に
「あなたの健康を損なうおそれがありますので」
なんて水くさい事書かないで、
「ニコチン中毒、マジで強力!」
なんてゴシック文字で書いたらどうか。
止めたい、という希望だけ残したまま吸うのが
一番ニコチンが悪く残りそう。

ところで、
担任だった先生からの一本の電話がクラスに廻る。
今日、到着できたのだそうだが、バングラディッシュは
覚悟してた以上にきついらしいとの事。
ただ、4階のお部屋は広いので、
いつでも全員で泊まりにきてくださいとのこと。
電話でそれを言う方も聞く方も一緒に笑った。
さすがあの先生だ。
すごいオチ。

4月11日・日曜日
テレビブロス原稿書いてFAX送る。
あれ? 都知事選挙の用紙がない。
どうも、家に来てないようなのだ。でもまさか。
もしかしたら、それと思わずに、私が捨ててしまったか。
とりあえず、夫と賭け。
私は石原さん。夫は鳩山さん。
スーパーの買い物ついでに紀伊國屋に行って
「少年A」の本などを買って読む。
親はいつも残酷なもんだなあ。
身体が冷えてきて、電気毛布を高い温度に設定し、
そのままくるまってちょっと寝た。
都知事選挙の用紙がないんですけどー、と
バングラディッシュの先生に電話で相談する夢を見た。
来週からまたちゃんと禁煙にトライしよう。
趣味にしよう。

1999-04-21-WED

第55回

4月12日・月曜日
峰竜太さんの番組にゲスト。
雛形あきこさんと。かわいい。
そのあとまじめ服に着替えて「チャリで行く保護者会」。
校長先生のお話から始まった。
「子供に夢を持たせたい、この時代は夢がなさすぎる、
大いに感動をもたせるよう」との事。
昔っから、校長先生が生徒に言いたいことというのは
変わってないな。
また夢、夢が好きなのね、と思った。
たいへん小声の方でいらっしゃっるのだが、
「えー、声が小さいせいか、ワタクシの話は
ねむたくなる、と生徒さんに言われます」
と仰有ったところは好きだった。
父兄全員が、その一言でパッと起きた様子。
ライブだった。

家に帰るとコドモの友達、いつもの3名が来てて、
ハムスターが人気者になってた。
家の玄関に「落書きできるやたらでかい紙」が
貼ってあるんだけど、それがいつのまにか
願い事を書くようになってしまっている。
今日はそれが増えていた。
「64が欲しい!」
「ディズニーランドに行きたい!」
「跳び箱6段!」
「野球に苦情! ポケモン中止するな!」など。
これらを「夢」と解釈したらよさそうなもんだが、
それは夢ではなく欲、とか言われそう。
欲と夢の境目も、難しいものがある。

石原慎太郎さん、都知事に。
あんまり興味がなかったけど、
「ニュースステーション」に出てる姿を見たら、
ありゃ、と思った。
やたらにしつっこいモノを感じた。

家の玄関にある
「落書きできるやたらでかい紙」

4月13日・火曜日
私が時々世話になっている青山のウチイケ治療院で、
クロワッサンの取材。
サーモなんとかという装置で体温を見てもらったら、
身体の先端の温度が低すぎて、
まるでユーレイみたいですよ、などと言われた。
おなかが空いてたまらず、
帰りにヤノッチと更科で天ざる。
前にここで、凄い食べ方を見たのが忘れられない。
たまたま隣に座ってた男性なのだが、
「もりとライスね」というのだ。
信じられない。
店員さんも普通に「はーい」と返事をし、
本当に「盛り蕎麦」と「ごはん」だけが到着して、
男はこれまたごく普通、という顔で
淡々と食べていたのだ。
なんてさえない組み合わせなんだ。
地味にもほどがある。
どう考えてもおかずはネギしかないじゃないか。

4月14日・水曜日
スポーツクラブに行き、禁煙再スタート。
紙に「なぜ止めるのか」と理由を書いて
部屋とトイレに貼る。
今度は衝動的に始めるわけではないのだから違うと思う。
そのあと打ち合わせへ。
帰宅し、コドモの宿題の「国語の本読み」を聞く。
「そんなもん、証拠ないんだから
マジメにやることないって。はんこ押すからほれほれ」
と言うのに、ぜったいやる。
こういうところは性格がまったく異なる。
私がトイレに入ると、読みながら着いてきて、
トイレのドアの前でせつせつと朗読。
しかし、聞いてるとなかなか面白く、
主人公が行った沖縄の海の色が見えてくるようだった。
ほほう、と思い、手を洗いながら
誰が書いたのかと聞いたら椎名誠さんだった。
「絵は沢野って人だったりして」と聞いたら、
「あたり」だった。

「時計の長い針は、夜9時を過ぎると、
早く回転しようとあせってるみたいであやしい」
とコドモが言った。
夕食終わってから寝なくちゃいけない時までの時間は、
親が見ててもかわいそうなほど少ない。
寝る前にコドモと屋上まで行き、10分ほど立ち話。
なんでも、
「ぜったい言わないという約束で、
お互いの好きな男の子の名前を、ある女の子と
打ちあけあったら、とたんにばらされた」らしい。
あるある。
しかし、それを聞いた、本人とは別の男の子が
聞いてすぐ「えっ、じゃ、僕、失恋しちゃったー」
と言ったらしく、
「でもそう言われても私……」と、
いかにも複雑そうなヒロインの表情で
夜空をながめておられた。

しかし、と私は考えた。
きっとその男の子が本当に好きだったのなら、
そんな事をとっさに言えないだろう。
そういう時に機転のきくやさしさを
持っている男の子と言ったら、
あの大橋君ではないか、と思い、名前を言ってみたら
「あたり」だった。
当たったのも嬉しかったが、小学生の分際で、
さりげなくかばってくれてたという事に
感謝したくなるとともに、
大橋君の事がまたいっそう好きになった。

1999-04-25-SUN

第56回

4月15日・木曜日
タバコ吸わずにビバリー。
ゲストの徳光さん、CM中に、
「僕の息子って、清水さんのファンなんだけど、
その嫁は、あなたのことちっともおもしろくない、
ぜんぜんわからないって言うんだよねえ。
どうしてかねえ。」と、のほほんと言われる。
なんで聞くかな本人に。
ダメな嫁ですね。なんて言えるか。

そのあとCBCに出て、FM-TOKYOへ、というラジオデー。
飯野賢治さんの遅刻を待つ。
殺人的に忙しそうなのだが、
どうもそれにかまけとるんで、
「あんた根本的に間違っとる」と本番中に注意し、
アシスタントのかわいこちゃんから拍手をいただく。
飯野さんは笑っておられた。
でも、他人への注意はこれまた簡単なものだ。
自分はタバコ一本止められないのに。
「他人の仕事は気に入らないようにできている」
と誰かが書いていたっけ。
タバコ吸わず。

4月16日・金曜日
ヤナセのイベントに中村江里子さんと。
顔マネの本を渡しながら、わ、しまった、と思った。
中村さん、実際に会ってみたら
たいへんにイメージと違ったのだ。
しかし、簡単にあやまるのもかえってナンなので、
失礼な態度のままで通してしまった。
タバコ吸わず。

4月17日・土曜日
タバコ吸わず、きれいな身体で「ロマンス」収録。
CXでナレーション。
いい声だ、軽く出るようになって、と
自分で思うようにする。自分を励ます。
カレンダー見たら明日は結婚記念日だった。
そうか、もう12年になるんですな。
「おい、明日って結婚記念日!」とお父さんに言うと、
「そうさ」と、とっさに言う。
しかし、その反射的な言い方は、知らなかったな。

4月18日・日曜日
休み。嬉しい。
記念日、記念日、といって
家族で電車に乗って、まず新宿・紀ノ国屋へ。
ここの2階のCD屋さんは、
マイナーからメジャーまで、品揃えが豊富。
豊富というか上手。
このHPでも話題の綾戸智絵さんの
デビューCDもあり、購入。
新宿の中華・随園別館で食事。うまい。
ここの店員さんのマネした。うまい。
しかし止められた。
お父さんが、帰り道を歩こう、と言う。
旅行に行っても夫は本当に歩くのが好きなようで、
平気な顔で闊歩するが、私達は得意でなく、ヘトヘト。
嫌味に足をひきずって歩く。
「清水ミチコ!」
と若者に呼びかけられた時だけしゃきっと直した。
そのうち「ウンジャマラミー」のショップを見つけ、
かーわいいランチボックスを、メイク道具入れとする。

「ウンジャマラミー」の
ショップで買った、メイクボックス

名古屋に嫁にいった、もとマネージャーの
コトミちゃんから夜、電話があり、
「NHK教育って、いっつも変な髪型の人とか、
妙な話し方する人けっこう多くって、
私そういう人出ると、集中して見ちゃうんだけど、
こないだ、また変な女だ! チェック! と思ったら
ミッちゃんだったんですね。あれ、いいですよ!」
と、笑っていた。
記念に載せてみました。(写真参照)。

NHK教育より

1999-04-28-WED

第57回

4月19日・月曜日
「天才てれびくん」2本撮り。
ダパンプと山崎まさよしさんをレクチャー。
夕方、「女性自身」の対談で「天厨菜館」へ。
ラーメン王・石神さんと対談。
細かくてうざい男じゃねえけ、と思ってたら
いいカンジの若者で、しゃべる言葉にコクがあり、
面は細目のおしょうゆ顔で、脂ぎってない。
ラーメンの話だけなのに、実におもしろかった。
帰りにお勧めのラーメンが食べたくなった。
しかし、雨なので止めた。
帰りにビデオ、「CUBE」見る。

4月20日・火曜日
「7月のジアンジアン」用のネタ、
そろそろ作らにゃと思いつつ、
しかし大事なのは常に目の前の仕事なのだ、と
長ーい原稿書く。
友達から「メール、到着したかな」という電話。
ややこしいことに届いていない。
書き終わって、夕食に「焼き味噌」作る。
これはふるさと高山の名物で、
朴葉の上にサラダオイルで長ネギ、しいたけなどを焼き、
そこに味噌をまぶして焼くだけ。卵も乗せる。
なーつかしい濃い味。
夫の母、なんと甲府のFMで、2年間のレギュラーが
決まったそうだ(川柳の先生として)。
笑った。嫁はAMなのに。

4月21日・水曜日
「まるごとおじゃる丸」(5月5日放送)に
小倉久寛さんと共演した。
小倉さん、
ついこないだ「寺内貫太郎一家」の芝居に出て、
「ああ、今、おれは芸能界の中にいるんだ、
と始めて実感できた」という。
「ミッちゃん、そういう風に実感した事ってある?
つまり芸能人の中にいる、とは思ったことあっても、
芸能界にいるんだ! ここだあっ!って実感て、
案外わかないもんじゃない。」
そういえばそうなのだ。
局にいる、とは思うけど、芸能界という場所は、
見えないようにできてるみたいなのだ。
いい事言うなあ、小倉さん。
で、何がそうさせたかと聞けば
「普通、俺らみたいな劇団に届けてくれる差し入れって、
いなり寿司とか、サンドイッチ系じゃん。
みんながつまめるようなね。それがさ、あの芝居の時、
浅田美代子さんからお弁当が差し入れされたんだよね。
一人に一つ、なんだよ。『ノブ・トーキョー』という
NYからの逆輸入みたいなレストラン。
青山に支店あるんだって。そこのさ、お弁当。
お弁当ってカンジじゃないね。
柔らかいステーキとか、伊勢エビとか、すんごいんだよ。
食いながらさ、あ、俺は芸能界に来たんだな、
って思ったんだよ。」
思い出しても幸せそう、な話し方なのがおかしかった。
もっと精神的な話かと思ったので、それにも笑った。
「あ、あとね、小林亜星さんからの
薩摩揚げもうまかったよ。」だそうだ。
それはサラッと言ってた。うまかった、で終わってんの。
「それは芸能界じゃなかったでしょ」と聞くと、
「そうね、作曲界って感じかな。」だって。


4月22日・木曜日
ビバリーとCBC。
帰りにヤノッチと青山「武蔵」で、ラーメン。
さんまの出汁、なるほどおいしゅうございました。
ヤノッチ、しーんと音もなく食べる。
「どうしてこう、ずずっ、と品悪くいかないのか」
と聞くと、すすれないのだそうだ。
いまどきのヒトだねえ。ホントに外人みたいな。
「まず唇をすぼめてえ、
息を吸い込むと同時に、麺の数本をね、」と、
すするのを言葉で教えようとするのは、
ものすごく難しい事を知った。
皆さんもやってみてください。
しかしすすらないで、普通と同じスピードで食べるのも、
技術的にはもっと難しそうだ。
「すすらずにラーメン早食い選手権」一度見てみたい。

1999-05-01-SAT

第58回

4月23日・金曜日

ロマンス収録。
宮沢りえさん、私の背中に
「清水ミチコ・清水ミチコ」と一人静かに繰り返すので、
なんですかいったい、と言うと
「清水さんって、ナマで会うと、まさに、しみじみと、
清水ミチコってカンジなんですよね。」と、
よくわからない事を言う。
「そんなの自分だって
宮沢りえでございって顔してるんだよ」と言う。
結婚して良かったですか、と聞くので、
早すぎて後悔中、遅い方がいいよ、
遅いほどいいかも、(本音)と言う。
主婦もいいけど、独身は本当に貴重な時間があるのに、
見えてないところがある。
そしたら他の出演者に
「今の、すごいリアルな言い方だった」
と笑われてしまった。
いや、なにも決してすごく悪いこたないんですよ、
うちはね。
と、強調すれば強調するほど疑いが増したようだった。

4月24日・土曜日
ドラマ収録。帰りにモスバーガー。
あらかじめ電話でオーダーし、
受け取って車の中で食べる。
おごるからー、と取ってくるのを
ちゃっかりヤノッチに頼む。
そのうち花粉症のクスリも手伝って、
車内でうとうとと寝てしまった。
ところで、ヤノッチは本名「矢野悦子」といい、
業界では名刺を渡すたびに驚かれるらしい。
有名なスタイリストさんと同姓同名なのだ。
もとプロサッカー選手なのに、写真がうまい。
事務所に行くと、
この日記ページを読んだ大手雑誌関係の方から
「庭のぬし」の書評頼まれる。
こうしてCMにもなっているのですな。
CDの依頼も、どこかでこないですかな。
CMの依頼なんかもたいへんいいですな。

4月25日・日曜日

多摩スタジオで収録。
帰ったらコドモは友達の家へ行ってて、
夫も仕事で、家に誰もいなかった。
しーん、という音とともに自由になる。
妙なもんだ。
ふだんは
「こいつらさえいなかったら、あれもできるし、
これもできる」と、望んでたはずの時間なのに、
いざこうして目の前が自由に展開されたとたん、
する事がみつからない。
ハムスターの部屋の掃除する。
最近2匹ともちょっと太ってきたので、
野菜中心のエサにしたところ、臭くなった。
ハムスター用のエサに消臭剤が入ってるとは
聞いてたんだけど、これで実感がわいた。

ところで最近、この日記が遅れがちなのだが、
日記連載の担当の金澤さんに、
「本当に毎日やってるってのは、凄いことですな。」
と、メールしたら、
「養鶏場で働いてるみたいです。玉子拾わないと
腐っちゃうし、エサやらんとニワトリ弱ります。
乳牛の酪農とか、ハマチ養殖にも近いですね。」
とのこと。しっくりきた。
メールくださる方も、いつもありがとうございます。
と、ここでお礼を述べさせていただきます。
励みになってます。
ま、単に好きでやってるんですが。

4月26日・月曜日

テレビ局で、タレントさんが携帯で話してる姿を、
続けて3人も見る。
ここでわかったこと。
どうも、携帯だけは、「パン買ってきて」と言えそうな
「パシリ感」のある人ほど
似合うようにできているようです。
ちゃんとしたレディというか紳士には
似合わないというか。
携帯を持った姿を鏡で見て、
「私って似合うわ」と思ったら、
あなたはまだまだということです。ぜひお試しください。

今日は美鶴ちゃんの事務所の送別会。
10年も勤務してくださってたので、
辞める実感まだわかず。
スタイリストの綿引さん「タバコやめて1月半になる」
と、ごくおっとり言っててびっくりした。
妊娠したからって、
じゃあそんな程度の縁だったの、ってカンジ。
あっちは私があんまりびっくりしてることに
びっくりしてた。
悪かったすか、みたいな顔をしてた。
他人にコドモができると本当にうれしい。
これはコドモを産んでから思える。
そして、新聞なんかで読むコドモへの虐待記事には、
憤慨のあまり一人涙してしまう。
これもコドモを産んでから。
野生的ですな。ウオー。

4月27日・火曜日
仕事、山のように残っており、
かたづける前に、自分の部屋を掃除したくなる。
学生時代のテスト前のようだ。
そのうちふと見てしまったコドモのワンピースに
刺繍したくなり、集中して針を持つ。
何年ぶりかな。かわいくできたー。


4月28日・水曜日
このページ担当の金澤さんからラーメンの返信メール。
「武蔵、魚の味して、けっこう好きです。
昨晩は、糸井と池尻大橋(246沿い)の
和歌山ラーメン『まっち棒』いきました。
豚の骨髄液、ドロドロ。脂。ダメージ大。うまい。」
という内容。
この中の「ダメージ大」、というところ気になり、
どしても行きたい。
多分ダイエットへの事なのだろうが、
この文章の中でなぜか一番おいしそう。
ダメージ大か。

私は今のところ、
日本で一番ラーメンがおいしいのは飛騨高山であり、
その中でも「まさご」のラーメンは最高だ、
と自信を持って思っているのだが、
ここはさすがに通信販売をやっていない。
だから通販できる「郷里」のラーメンを
ときどき注文する。自分の故郷、丸だしの店名だ。
書いてるうちに無性に食べたくなってきた。
私は本当に炭水化物が好きだ。
チャーシュー麺など、注文する人の気が知れない。
一枚でちょうどいいじゃないの。
慢心すな、と横目で思う。

1999-05-07-FRI

第59回

4月29日・木曜日
ビバリーとCBC。
帰りに麻布の永坂更級で「納豆そば」。
ここの納豆蕎麦は、とてもとてもおいしい。
蕎麦に納豆なんて、と思ってる人でも、
これならきっと好きになる。
納豆の粒の小ぶりさもいいし、胡麻と紫蘇、葱、
おかかが、それはそれは細ーく繊細に切ってあり、
中央にある卵黄と混ぜて食べると、
微妙な色彩が舌と鼻に届く。嬉しい。
混ぜる時点ですでにもう嬉しい。
ありがとうございます、と感謝したくなる。
胃袋ヒーリング。
しかし一緒に行ったヤノッチは
また「かしわ南蛮そば」なので、信じられない、ださい、
なんてもったいない食べ方、と思った。
ヤノッチもまた
「納豆なんて、どういうセンス、くさい、信じられない」
と思っているようだ。
一口交換したが、お互いノーコメントだった。

夕方、もとダウンタウンのマネージャー、
新田君の結婚パーティへ。
私の前のマネージャー、松島美樹子嬢も来てて、
「タバコやめて2週間目なんだよ」、なんて言う。
「いつでも吸える、と思うと自然に止められた」
のだそうな。
決心しないほうがいいのかな。
そのあとナレーション。

4月30日・金曜日
CX「どーなってるの」ゲスト。
新司会の吉田照美さん、番組にマッチしておられたカンジ。
余裕だった。

この日記についての、表紙の糸井さんのコメント
「あそこのラーメンって、う、う、うまいか?」に笑った。
まずいと思う、と書かないところが。
あの日はねー、ま、いろいろあったんです。
でも麺はいいじゃない。
とりあえず、味覚だけは、
うまいと誉める人が10人いたとしても、
1人が「まず。」とボソッと言ったら、
一気に正解、というか「勝ち」となるところがある。
けなす時は慎重に、だ。
「う、う、うまいか?」は、
う、う、うまくて笑っちゃった。
日記なんかの当日の糸井さんの文章って、
24時間ですぐなくなっていくんですね。
もったいなかとです。
コドモ、学校の写生会で代々木公園に行ってて、
「あー、疲れた」と言って帰ってきた。
しかし、できた絵を友達や先生にすごく誉められたらしく、
思いだしては笑ってた。幸せな人だ。
誉め言葉に素直になれず、傷つく大人になってしまった。

ウチは、実はずっと別居状態みたいなもんで、
3人が別々の部屋で寝室を持つようになってから、
とても寝心地がいい。
朝、「おはよう」なんて言いあうのだ。
夜、自分の部屋で夕方7時ころから5月の朝まで
死んだように眠った。

1999-05-10-MON

第60回

5月1日・土曜日
図書館へ行く。
私の小さい頃も、外で仕事をしてた母(日本旅行)と、
自転車で二人して行くのが楽しみだった。
水曜休みだったので、水曜日になると。
そのあとなぜか餃子を作って食べるのも水曜日だった。
人がここに来るという理由は、本や読書が好きだから、
というだけじゃないかもしれない。
本ヒーリングみたいな。
何かやさしーく語りかけてくれるものが確かにありそう。
「たくさんの本」を見ると、トイレに行きたくなるのも、
きっとふだんテンパってた胃や腸や膀胱が、
安心してゆるむせいではないか。
ゆるみながら詩の本を3冊借りた。

5月2日・日曜日
「ロマンス」収録。
「演技」ってのは想像以上にむずかしい。
ストーリーにそんなに大切な役でもないのだけど、
そんな時こそよけいに、うまくやってみたい、
認められたい、やっぱお笑いの人はどっか違うね、
などと言われたい。
「うまい演技」と言われてる人を真似すればいいのでは。
そういう人はたいてい
「押さえて・淡々と・普通に」やってるわけだから、
と思って本番やってみるが、実際に出てみると、
「テンション低い」とか、
「実感してないんじゃないですか?」と、
鋭い事を言われる。
「あ、なんでわかった?」なんて言いたくなる。
本当に、顔や声の微妙な動きを感知するものなのだ、
とわかった。
決められてるセリフなので、
実感というもの、すごい沸きにくい。
あっちは次にこう言う、とわかっちゃってるんだもん。
奥の深いものなんですね。
たとえば「えっ?!」と驚くってな演技の時、
単にびっくりしてみりゃよさそうなもんなのに、
カメラが回ったとたんに自分の中で、
(知ってるクセに)とか(リハでやった、よお言うわ)
など、雑念であふれかえるのだ。
役者さんは、瞬間自分をだませているのか。
ま、足ひっぱてなきゃいいですけど。
メイク中

5月3日・月曜日

休み。コドモとスカッシュ。
というか単なる駐車場での壁打ち。
コドモのスニーカー買いに出る。
いろんな種類があるというのに、
「今のとサイズだけ違うのがいい」なんて言う。
まーた同じデザインのヤツかい、と言おうとした矢先、
「この色とデザインが気に入ってるから」
と先に言われる。出た。

夫婦で「シティ・オブ・エンジェル」見る。
「実は、天使はいつも図書館に集まっている」
っていうシーン、妙に気に入った。
感じるものがちょっと一緒だったような。
まさか、いるとは思ってませんが。
しかし、オープニングで、子供が高熱出した時の
とっさのお母さんの処理法、国柄が違いすぎてた。
神経ゾー、とした。
お風呂に冷水をはって入れてるのだ。
ゾー。

5月4日・火曜日
宝島の連載「顔マネ塾」用に撮影。
写真より文章の方が立っちゃったかな。
そのあと、前から欲しかったテーブルを
青山に買いに行った。
ライトグリーンの、それはきれいな色のヤツ。
帰りに街頭でティッシュをもらった。
以前、南米に移住した知り合いが、
「日本というところは、歩けば歩くほど
タダでティッシュペーパーがもらえるのか。
これだけでも驚きなのに、さらに驚くべき事に、
それを断る人が多いというのは本当なのか」
と真剣に聞かれたそうだ。
そういえば、なんであれってもらうのを
ついこばみたくなるんだろう。
さりげなくよけてしまう。
けっこう助かるのに。
ところで今度の7月に、
綾戸智絵さん含む多数のミュージシャンらと、
大きな会場で御一緒することになった。
凄いメンバーですよ。
詳しいことはまたあらためて書きますね。

1999-05-18-TUE

第61回

5月5日・水曜日
目医者さんへ。
カッコいいおばあさんのお医者さんで、早口。
私は人にはせかすくせに、人にせかされるのが
大の苦手なので、ここでは
一生懸命キビキビと動作をする。しないとせかされる。
「目によくないのでは」と、笑えるほど汚い職場で、
あっと言う間に結果を出す。コロンボ医師。
「さん粒腫」なのだそうだ。
恐いなあ。
自分でも調べることにした。
飲み薬と目薬をもらう。
帰りに八百屋さんで「しょうぶ」を見つけ、菖蒲湯にした。
これっていいですよね。
なんか、薬膳みたいなお風呂にもなるし、香りもいいし。
私はこれに限らず「お風呂にナニかを入れる」のが
好きなのだが、夫は何も入れないのがいい、
白湯(さゆ)で入りたい、俺の後で好きに入れてくれ、
と言う。
それもわかるので、言われるたびに高らかに笑ってしまう。
人は同感した時に笑うのだそうだ。

5月6日・木曜日
ラジオ2つ。
その帰りにマネージャー・ヤノッチと、
代々木上原の「紅白屋」のラーメン。
なるほどの味。
こないだ、ラーメン王・石神さんと対談してから、
「自分はいかにまずしいラーメン人生であったか」
とわかり、
「いつも車の中に置いてあり、
時間がある時に役立ってた『そばの本』(文春)」を、
石神さんからいただいたラーメンマップにかえてみた。
ラーメンの写真ってのは、蕎麦よりだんぜんそそる。
活気が違う。食欲が増す。
そのうち都内全店制覇、制覇、と豚骨の口臭で誘った。
 
5月7日・金曜日
表参道でロケ。
私は「晴れ女」と呼ばれて10年になりそうだ。
気持ち悪いくらいに毎回ハレルヤー、なのだ。
また帰りに「紅白屋」へ。
今度はお勧めメニューじゃない、普通の醤油で、と注文。
ここではスープを
チャーシューの煮汁でとっているのだそうだ。
それだけで今日もおいしそうに感じた。
私の舌は割と鈍感。
スナック菓子でも、CM文章を読みながら食べると、
かなりおいしくなったりする。
ヤノッチ「かなりすすれるようになりましたー、ほら」
と言って、成果を見せた。
よろよろと上へはい上がって行く麺。まだまだ。
そのあと、宝島インタビュー。
「宝島」は月1回の連載だけど、
写真と、原稿と、インタビューの3つがあるので、
けっこう時間がかかる。

5月8日・土曜日
「料理王国」「テレビブロス」「フィガロジャポン」原稿。
そのあと、コドモを誘って近所の「福寿」へ。
ちょっとしたラーメンライフ。やればできるっすよ!
コドモとラーメン屋さんに
ラーメンをちゃんと食べに行くのは初めてかもしれない。
ただし、ここはご主人がいい人すぎて
普通のラーメンがおいしいのに、私の顔を見ると、
「また来たね!」という顔で、
必ず「卵・野菜・ワンタン」を
黙ってたっぷり追加してくれる。
わーん私、そういうのいらないのよー。
でも言えないしー。
しかしすでに「わあ、すみません」なんて
喜んだ顔してる自分。これも顔マネか。
コドモにまでそれらをくださった上、
「持ってって。お好きでしょ」と
なぜか「シャブリ」をくださり、
メニューにないアイスコーヒーを置いてくれ、
「支払い」まで拒否された。
帰りに、お礼というよりは、
万引きした主婦がぺこぺこと謝るかのような状態で
お店を出た。
コドモと二人、逆・一杯のかけそば状態。
でも、おいしいですよ。
ちくらないでね。

1999-05-20-THU

第62回

5月9日・日曜日
「天才てれびくん」3本収録。
ハデな格好の東京の女の子と、さらにハデな大阪の女の子
二人が会った瞬間から仲悪い様子だった。
歌ってるうち、東京の女の子がちょっとまちがえた。
「ちゃんとしいやーあんたはー」、
「事務所から落とされんで」みたいなつっこみに、
ついに涙ぐんでしまった。
こういうセリフ、周り(大人)がうけるんで、
大阪「私は冗談で言っとったねんで」みたいな顔していた。

私もこういうタイプの子供だったので、
大阪の気持ちもわかった。
コドモって、
うけたい・ほめられたい・認められたい一心で、
大人びた事を言っちゃ、
驚かせようと頑張る生物でもあるのだ。
「君はもすこし上品に、あなたはもすこし下品に」と
アドバイスし、楽しく収録、のはずが、
収録合間での、私へのつっこみまでけっこうきつくて、
そのうち頭からもくもく煙が出てきた。

家に帰り、今日は母の日で、
コドモからメッセージが書いてあるカードと、
好物の「塩大福」2つもらった。
「塩大福って、ハムスターに似てるね」と、コドモ。
笑った。確かに。
大きさや、柔らかい白の中に黒く濡れた丸、
という構図がそっくり。

塩大福
塩大福
ハムスター
ハムスター



5月10日・月曜日
羽田空港で時間が余り、THE・GINZAで買い物。
富山で、北陸一帯に流れる料理番組
「清水ミチコのおかず屋さん」の司会。いつの間に。
ところで行きの機内で雑誌を読んでいたら、
林真理子さんが
「言葉使い(敬語)」について怒っておられた。

これを読んで思い出したのが、私の知り合いの怒り。
新幹線で、ある好きだったタレントさんが
立ち去った席を見て、そのちらかしっ放しの様子に、
ものすごく腹を立ててたのだ。
「あの人、そんな事しそうなタイプじゃん」と私が言うと、
「そういう問題か? いっぺんで嫌いになったわ、最低!」
と怒り収まらず。彼女はものすごく
公衆マナーがきちんとできている人だった。

この怒りが、どうも私にはピンとこなかった。
悪いことは悪いけど、何もあんたが怒らなくても、
と不思議だった。
しかし、林さんのでわかった。
人はどうやら、その人が「得意とするジャンル」にこそ
怒りエネルギーが爆発しやすいようなのだ、と。
また「清水・格言シリーズ」でしめてみました。

5月11日・火曜日
プロの料理人を横に司会。楽しかった。
料理に集中しておられるので、つまみ食いしたり、
ナスで遊んだり、歌いだしたりと、
いろいろな司会の仕方を編みだした。
きびしい一社提供なので、たくさん偉い人が来ていたが、
オッケーなのだそうだ。
オッケーなのだ。
オッケーって何だ。
プロの料理人を横に司会
土地の方と、何でもない話から、
「富山から出た有名人には、
本当は西村雅彦さんがいるんだけど、
多分、どうも彼は隠したがってるようです」
というのに笑った。
真偽は知らないが、(どちらでもいいのだが)
「薬売りの行商の姿で
東京までひたひたと歩いてきた西村さんが、
今刑事をやっている」という
松本清張シリーズの絵みたいなのが浮かんだ 。

1999-05-22-SAT

第63回

5月12日・水曜日
「走れ!ガリバー君」に、カイヤ川崎さんとコンビで。
これは変わっている番組で、まず、新幹線で大阪駅に到着。
ホームで二人がゲームをし、その運命によって、
宿泊する一晩が「天国か地獄の旅か」
本当に別れるのでした。

この「地獄」ってのが、キツくって、
本当にマネージャーなし、携帯なしで、
ハンディカメラを持ったディレクターと
ただ二人で民家に泊まる。食費などはアルバイト先を探し、
働いてお金を得なければいけない。
なお、そのマネージャーだけは天国の旅に同伴して、
一日仕事なし。
「天国となると夢のような豪華旅」なのでした。

ヤノッチ
清水ミチコ撮影:
マネージャー・ヤノッチ

ただ、地獄の方がたくさん映るため、
いわゆる「おいしい」状態でもあるらしい。
しかし、私はきのうも旅先だったので、
地獄だったらいやだなあ、と本気で思った。
ところが、新幹線でお隣の席だったカイヤさんが、
英語の本を読んでおられ、
「何の本?」と聞いたら
「ペラペラペラペラ(英語のタイトル)。
つまり、強く思い描いた事は、必ず実現するという意味」
と言っておられ、
おっしゃ、それやってみっか、と思い、
「私は今夜、スイートに泊まっている、ああ幸せ」
とイメージ。そしたら本当に勝った。

フルコースのディナーをいただき、
ホテルのスイートでシャンペン。
おーっほほほ、という顔で収録。
多々羅大橋の陸橋のてっぺんの景色が一番よかった。
けれど、実際カメラがまわっていると、
味覚や安泰など吹っ飛ぶものなので、さすがに疲れ、
夜、マッサージをお願いした。
このマッサージャーの方の人生の話が濃く、途中まで
「お、こりゃ“ほぼ日”に書けるわ」と思ってましたが、
結局悲しすぎて、泣く泣く筆を折りました。

5月13日・木曜日
この番組、関西・広島方面で視聴率が高いらしく、
朝から会う人ごとに必ず
「あ、ガリバーやない?」なんて番組名で言われる。
いきなり「どっちが勝ったんですか?」なんて質問まで。

それにしても瀬戸内ってめちゃめちゃいいところだ。
海のおだやかさが、人にうつってしまったかのようだ。
数年前に一度だけ、「ベル・カントホール」というところに
来た事があったのだが、そこでも
「遅刻しそうなんです!」と言ってるのに、
タクシーの運転手さんに
「家が近所なので、ちょっと庭で
みかんをもいでいってほしい。うまいから」。
と言われ、えー、と言いながらも、
3分ほどもいでた思い出がある。
両手に「ハサミとバケツを持って立っている」写真が
今もまだ残っている。
今日はロケ先で一般の方から
「ところで、ちょうどキムチを
つけ終わったところなのだが、持っていくか?」
と聞かれ、喜んで2キロほどもいただいた。嬉しかった。

カイヤさんに「キムチなんて食べる?」と聞いたら
「オー、大好キ」とのことで、半分こした。
家に帰り、さっそく切って
「なんてえ、うまいキムチなんだ」と、舌鼓を打った。
甘くない、酸っぱくない。
私はうまいキムチを食べるたび、
身体が喜ぶのがわかるので、
本当の故郷は韓国じゃないかな、と、思いを馳せる。
でもたいがい外国では
「Are you from Taiwan?」と必ず聞かれる。
夕方、東京でナレーションの仕事。
ヤノッチを先に帰し、いったん家に帰り、
10時に日テレへ向かう。

5月14日・金曜日
朝、学校に行くコドモを夫にまかせ、
朝食も作らずたっぷり寝た。
午前、迷ったけど肌ボロボロなのでエステに行き、
帰りに下北沢の「一龍」で、普通のラーメンすする。
たった一人でラーメン食べるっての、
十何年ぶりってカンジー。
ちょっとうるさいメにあう。
しかし、原宿の美容院でカットしてもらい、
家に帰ってピアノ弾き、と、命の洗濯。
充実した。

夜、コドモの宿題に頭脳全開。
やりながら今度のライブ用に
そろそろネタ書きしにゃいかん、と思う。
7月16日、17日、18日(マチネあり)の
3日間が決まったのでした。
チケットは1カ月前から渋谷ジアンジアン、
チケットぴあなどで発売します。
お暇でしたらよろしく。

(編集部註)
清水さんからライブの情報をいただきました。
クリックすると、詳しいことがわかりますよ。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~jamhouse/live.htm
「第2回 清水ミチコディナーショー(食事なし)」

1999-05-25-TUE

第64回

5月15日・土曜日
ドラマ収録。
何かの話から、宮沢りえさんに
「今度私、清水さんと
海外に旅行してみたいです。仕事で」。
などと言われ、オヤジのように顔がゆるむ。
しかし、「行ってみたい国」を
お互いせえので、同時に言ってみたら、
私は「ハワイ、メキシコ、カナダ」と、
わかりやすい国名なのに、
りえさんは「チベット、インド、アイルランド」と、
沢木耕太郎方面なので、話がそこで終わった。
成田離婚の前に帰国した。

秋本奈緒美さん、あいかわらずさっぱりと、
「こないだ、タクシーの運転手さんに、
お客さんはもしかして、女性なんですかと、
おかまに間違えられてた」話を、
ごく普通にしてたのに笑った。
長く話してたい人だ。

そのあと、BSの「世界の教科書」収録。
同じ小学校でも海外では、
こんな事をこんなふうに教科書に掲載、
という内容で、おもしろかった。
アフリカの給食も食べた。
マッシュポテトに赤い煮豆をかけたもの。渋い。
マーシーさん、小堺さん、ダンカンさんらと
御一緒したのだが、
ダンカンさんって、ふとしたたたずまいやコメントが、
「えのきどいちろうさん」に似てる気がした。
えのきどいちろう、ウチの事務所で長年のブームなのだ。
えのきどさんがね、と、誰かが話しかけた時点で、
もう笑ってしまう。

5月16日・日曜日
休み。
不思議なファンレター2通。
いたずら電話にしてもそうだが、
いろんな人がいろんな場所にいそうなのに、
日にちが案外きちーんと重なってるのが不思議。

のろのろと新聞を読んで、
家族でハンバーガー屋さんに行き、そこでブランチとする。
この「家族全員がゆるゆるとたるんでる姿」って大好きだ。
といって、これがずっと続いてもダメなんだろうけど。
昔、私が好きなアーティストが、何かのインタビューで、
「家庭という場所は、エゴの吹き溜まりになりやすい」
と言ってて、それには強く膝を打ったものです。
いや、ほんと、「自分は忙しいなあ」って感じただけで、
「王様」になってしまうんですよね。
王様じゃないから忙しいのに。
だから「忙しい」という漢字は心を亡くす、
と書くんだったりして。グラッチェ。

本屋さんで3人それぞれ3冊買う。
子供のマンガ本って、かわいそー。
大人よりも、立ち読みで選べない
(ビニ本みたいにされてる)。
決められたおこずかいで、表紙のみを見てのカンで
選ばなくてはならない。
家に帰ると北海道の近藤さんから紅鮭が届いていた。
わーい。
「切っただけで、これはうまいとわかった」と、
夫が言っていたが、本当においしかった。
最近おいしくって炊きまくってる「赤飯」の残りも
あったんだけど、ここはやはり、と、白米を炊いた。

5月17日・月曜日
「ごきげんよう」打ち合わせ。
そのあと自転車でコドモを塾まで送る。
ホントにごきげんよう。
帰りも待ち合わせし、時間まで本屋さんとスーパーへ。
主婦らしき上品そうな女性に、すれ違いざまに突然、
「あの、いつも、素敵な芸をありがとうございます」。と、
丁寧に言われた。
普通、「いつも見てますよ!」「ありがとーっす」、
くらいだったもので、はっ、と一瞬驚いてしまい、
あろうことか「こちらこそ!」と返事してしまった。

1999-05-27-THU

第65回

5月18日・火曜日
ビデオをレンタル。
私は今まで、あまりにもドラマを見ていない方なのだが、
ここ最近、「ヒット作品」をシリーズで
一気にたくさん借りて観るのが好きになった。
「古畑任三郎シリーズ」や、
「愛していると言ってくれ」など。遅い。
でも、こうやってパパパッと観ると、
集中できるし、時間の節約できてるってカンジ。
気のせいでしょうか。

今日から「ロング・バケーション」。遅い。
3本つまり6回分まで借りた。
こういう時気をつけたいのは、
はまってしまい、翌日つい
「あれ、おもしろいわよねえ、ロンバケ!」
なんて言わないようにすること。

5月19日・水曜日
「ごきげんよう」CXで3本撮り。
メーク室で偶然ピーコさんと会う。
生放送の後だったらしく、ハイテンションで、
いきなり、「わっ! やだっ、ミチコ!」と、
パチンとたたかれた。
「蚊じゃないんだから、、」と、つぶやいただけで
爆笑していた。

本番前の人間と本番後の人間とでケンカしたなら、
ぜったい後者が勝つようだ。

帰りにまた「ロンバケ」456を
レンタルしようとしたら、なくって舌打ち。
ま、世の中には今頃こうやって借りる人も
ちゃんといるわけですな。
「始皇帝暗殺」借りた。
これがまたおもしろかった!
こないだ夫と観た「ジャッカルの日」もよかったなあ。
ドキドキした。暗殺モノが好きになりそうだ。
でも昔から私がたまらなく好きなのは
なぜか「脱獄モノ」。キムチですよねー。
いい「脱獄モノ」があったら教えてください。

5月20日・木曜日
ビバリーとCBC。
そのあと電通の「アドバタイジング」と「ポスト」取材。
最近、まるで決められた運命のように、
ちょうどいいタイミングで仕事が入ってくる。
そんなに忙しくもなく、かといってひまでもなく。
そのあと敬愛する「パテ屋」の林のり子さんとともに、
パテ屋のOB会。夫に送ってもらう。
林さん、30年ぶりに「行きつけの店」ができたらしい。
ピーターバラカンさんのラジオで
「自由が丘のアイルランド系のパブ」を紹介していたのを
聴いて行ってみたのがきっかけとか。
ウチも実は夫婦で日曜日の朝はけっこうつけている番組。
本当にいいお店で、天井が高くて
ビールも食べ物もおいしかった。
ぱくさんに、
「矢野顕子さんに、私の本を渡してほしい」と頼まれる。
ちょうどライブに行くんで、ひきうけた。
すぐおいとましなくては、と思ってたのに
楽しくて長居してしまった。

5月21日・金曜日
ロマンス収録。
行く前の午前中、ピアノ弾いてMDに録音。
なんちゅうヘタなことか。私ならモノマネする。
でもこれでいいのだ。仕方ないわ。
スタジオに行って、しばらくしたら
台本に私の顔が落書きしてあった。
主演女優が書いたイラストらしい。

「HOTDOG・PRESS」の原稿と「FROM・A」の原稿、
今夜書いてくださいね! とヤノッチに言われる。
原稿なんざ、ちょちょいのちょいだよ。
しかし実は、字だけの普通の本を出せたためしがない。
ぜったい何かオプションつきで、と言われるんだ。

5月22日・土曜日
母校の文教大でトーク。なつかし週間だ。
奥平教授も変わってないのねー。
まりちゃん、きてくれてありがとう。
当時を思い、じーんとしながらも、帰りにはお腹がすき、
ちゃっかり行ってみたかったラーメン屋1位である
「はるばる亭」へ。
おいしかった。が、勝手な期待も大きすぎた。
映画とラーメンだけは、期待しすぎず
ノーマルな状態にして行くものかも。
ここで聞いた「ザ・ブーム」の新曲、
いったいこりゃ何だ、と思い、ちゃんと聞こうとする。
そんな時、いつも駅前のレンタルアコムへ。
お世話になっております。
はるばる亭

1999-06-01-TUE


第66回


5月23日・日曜日
コドモの運動会。
毎年泣けて泣けてしかたがない。
といっても私の場合、「こんなに大きくなって!」
という美しい感激なのではなく、
「音楽がなってる状況のもとで人が動く」という構図に、
昔からなんでだか涙が止まらない体質なのだ。
音楽で数人が踊ってる、と感じると、
それだけで泣けてしまう。

ミュージカルでも、ユーミンのステージでも、
ディズニーランドのパレードでも、
踊りを見たら一人でひっそり嗚咽が止まらない。
こないだはスーパーの店頭で、
アメリカ人のチアガールたちの踊りを突然見せられ、
感動もなんともないのに号泣しながら帰った。

小学校の頃も、鼓笛隊で、
笛を吹きながら街を行進している最中、
途中からこらえきれずについ、一人泣けてしまい、
あとで先生と親から「ちょっと話が」となった。
「何か悩みがあるんじゃないか」だった。
初めてうまく説明できなかった事件だった。

ところでコドモは100メートル走で、4人のうちの2位で、
「私の血を引いているのに、凄いじゃない!」
と思ったけど、泣きまではしなかった。
それより踊り。
鼻をかんでもかんでも泣けてきて、
とにかく横になりたかった。

5月24日・月曜日
渋谷スタジオで、「北野チャンネル」収録。
テリーさん、絶好調で飛ばしてた。
ガダルカナル・タカさんに挨拶する。
今度、名古屋の番組で、一緒に司会をするのだ。
できたばかりのチラシを渡す。
「ディナーショー、食事なしって。本当に出ないの」
と率直に聞かれるのは初めてだ。
チラシを配るのはいいが、
肝心の中身がまったくできていない。
いつもプレッシャーで胃が痛くなりつつ、
なんとか書けてたのに、
なんと、プレッシャーを感じられないのだ。
これは成長なのか、その逆なのか。
それすらもよくわからない。
北野チャンネル
5月25日・火曜日
矢野顕子さんのコンサートにジァンジァンへ。
何度聞いても素晴らしい。
この瞬間、生きていてよかった、
実は腹が減ってたんだ、と切実にわかる。
泣けてくる。ほどける、というか。

いったいいつまでこうして我々はこの情熱を、
この愛をナマで聞けるチャンスがあるのだろうか。
HPの「あしたには消えてる歌」のように、
録音やコピーでもしなければ、永遠でありながらも一瞬だ。
永遠の一瞬、というものは、
このようにあっけなくタダで宝石をパラパラくれるので、
もらう方は呆気にとられる。
呆気にとられるために行くんだけど。
鈴木慶一さん自身にも感動。

矢野さんに挨拶に行くと、
「最近メール出さなくてごめんねー」と明るく言われた。
現実の人間。
「そんなのいらないのです、
こうしてあなたの音をナマで聞ける、
それがどんなにありがたい事であるかくらいは
わかっているんです。」
そう言いたかったが、
「いいえー」のひとことで平凡に終わる。

ぱくさんに頼まれた本を渡すと、
「ああ、ぱく・きょんみさん?」と言われた。
「彼女と一緒に“パテ屋”で働いてました、
あんがい狭いですよね。でもこれ、いい本でした。」
なんて答える(来月号のフィガロ・ジャポン参照)。

帰りの駐車場で鈴木さんと会う。
「おお。いつか、ありがと」
(以前私がムーンライダーズのライブで司会した事)
「いえ、ポカスカ、行かれます?」
(ポカスカジャンライブの事)
「行くよ。ときどきあれ、読んでるよ。俺も出たでしょ」
(この日記の事)。
「座布団は?」
(ポカスカジャンライブに座布団持つか、どうかの意)
「俺は、実はいる方なんだ。」
(さる病気の心配があるという意)

一緒にいた友達が、業界用語かと思ったようで、
「座布団、ってどういう意味」だったかを、
「龍の髭」でしじみなど食べながら説明する。

1999-06-08-TUE

第67回

5月26日・水曜日
中京TVの報道番組のナレーション。
「ドキュメンタリー・ダムの里に遠い昔が響く」。
「なんとか」っていう有名なコンクールに
出品するのだそうだ。
私も「頑張りましょ!」と思い、
渋い声・落ちついたトーンに気持ちをしぼる。
「ここはこういう言い回しにしませんか?」とか、
「あ、ここは少しあっさり行きませんか!」、
なんてアイデアをバシバシ提示してたら、
そのうちディレクターさんが不機嫌になってきたようで、
雰囲気が暗くなってきたのがわかった。
「あの、」とか言いかけたら
「はいはい、ちょっと待ってくださいっ!!」と、
声がすでに怒ってるのだ。
ありゃ、また出しゃばったか、と思い、
(あんまり口出ししない方がいいか?)
と手話でマネージャーに聞くと、
「しー」、と口に指をあてる仕草をしたので、
やはり、と思い、
しーんと従うことにした。

5月27日・木曜日
強風。お台場まですごい渋滞。
ニッポン放送の山口さんに「遅刻しそう」、と電話する。
しかし、なんと出たのはタクシーの運転手さんだった。
山口さん、携帯電話をタクシーの中に置き忘れたのだった。
なぜかペコペコあやまって、切ってから笑った。
とりあえず携帯で生放送に出演。
遅刻している状態はとても辛いものだが、
顔を曇らせながらも、ちょっとした
「売れっ子気分」を味わった。
でも、実際「この放送だけは私がいなくちゃ!」
と思ってたのに、放送を聞いているとそうでもなく、
かえってなごやかにスムーズみたいなので、
ありゃ? と、自分が渋滞した。

5月28日・金曜日
CXの「どーなってるの」にナマ出演。
「夫、子供の汚い部屋」特集。
帰りに評判のいいラーメン屋
池尻の「まっち棒」に行ってみる。
が、やっと見つけたのに営業時間ではないらしく、
しまっていた。
仕方なくその近くの「中華・龍の子」でラーメンをすする。
「中華風ラーメン」は、
私の理想よりもやや高級に位置する。でも安かった。
偉い仕事をなさってるお店、と見た。

1999-06-06-SUN

第68回

5月29日・土曜日
昼、BS「土曜元気市」に出演。
沖縄料理特集だったので、まかせろー。

深夜、パソコンに向かっていると夫が
「おい、ちょっと見ろ!」と言う。
行ってみたら、ハムスターの一匹(マウ)が
空気孔にはさまって死んでいた。
空気孔の奥に入ってみようとして、
突起してる部分にささったまま、
だれにも気がついてもらえなかったらしい。

基本的に鳴かない動物なので、助けも呼べなかったのだ。
抱いて目をつむらせながら、私も静かに泣いた。
かわいい瞳のまま、あまりにあっけなさすぎる。
もう一匹に見せたら、
匂いを嗅ぎ、しゅーんと寝床に去っていった。
「まるで、わかったみたいな顔だな」という、
夫の声がやさしく聞こえてしまい、
いつかは私達もどっちかがこうしてわかってしまうんだな、
と思うとまた悲しくなり、深みにはまってしまった。

5月30日・日曜日
時間を置いて、コドモに報告。
「ちょっと悲しい知らせでさー」
と言っただけでわかったみたいで、
ハムスター? とすぐに言った。
しばらく自分のベッドで泣いてから、
「もう大丈夫になった」
とあんがい明るく言い、
「あれ? やっぱ、まだだった」
と部屋にもどっていった。ひい。

そのあと、親子で土に埋め、
小さい葬式をした。
コドモはハムスターの死で
悲しみがいっぱいのようだったが、
私はまたまた夫か、自分の姿と重なってしまった。
ちょうど空が薄白く、マウの背中の色みたいで、
きっと天国に行けたわ、わかるわかる、と言う。
きのうはハムスターが死んだ日だが、
今日はコドモの誕生日なのだ。
ま、こういう日もあるのだね。

5月31日・月曜日
イベントのため、母は宮崎シーガイアへ。
父も仕事へ。
そしてコドモは「川場教室」という二泊三日の林間学校へ。
大丈夫かなあ、このコドモ、などとちょっと不安。

しかし、本番前はすっかり忘れ、
ピアノ、気持ちよく弾けて嬉しかった。
このように仕事ってのは、いい時も多い。
さて、私が一泊した部屋は、100平米ほどもある
超豪華なスイートルームで、本番前に通された瞬間、
「よっしゃ、このあとのステージングがよかったら、
もどったこの部屋を堪能する喜びに変わるんだわ!
やるぞ!」
と直感したんだけど、
あんがい終わってからもどるとそうでもなかった。
でかいお風呂に入りながら
「仕事、終わったんだから喜べ! 私の中の林真理子よ!」
なんて思ったんだけど。
結局「あー幸せ」、などと感じられるのは、
「もらう」よりか「出す」事なのか。
いや、単に私が貧乏性ってことなんだろう。

1999-06-09-WED

第69回

6月1日・火曜日
朝、起きてからタクシーが到着するまで、
3時間も余裕があり、
普段できない「海を見ながらの朝食」をした。
海、なんで透明な水のはずなのに、
全体になるとブルーに見えるのですかな。
空が曇りだと、その通りにしょぼい色に
変わるところを見ると、やはり空を写してるんですか。
いえ実は錯覚、と、一人で会話。

いろんな遊び場所をもつ巨大なホテルだったが、
図書室に直行。
さすがにヒマヒマで、お客さんがいなかった。
外国の写真集がたくさんあり、
「フランクロイド・ライト」
という人が住んでいる家の写真にはまった。
でっけー。気持ちいー。どんなー。

事務所にもどったら、因島のマッサージのおじさんから
お礼の手紙と、ご本人が写した因島の風景写真と、
なぜかアルバムまで届いていてた。
ヤノッチ、つい泣けてきたと言ってたが、
私もこれにはぐっときた。

6月2日・水曜日
獨協大学で講演。
どこが講演なのだ、という内容ですが。
600人ほど、出る前からすでに盛り上がってた。
どよめきや、笑いが治まるまで、
時間をかけつつしゃべっていくという感じ。
獨協大学出身で、世話になった
高須ディレクターという人がいかに凄かったか、
という話になると、知ってる風なので驚いた。

6月3日・木曜日
ビバリーとCBC。夏休みの相談をする。
こういうの、昔から、テレビよりラジオの方が気を使う。
お菓子を買って持っていくか迷う。
なんで? ってくらい言いにくいのだ。ホント。
しきたりの違いなのかな。
休みをとるのはお客さんに失礼、という意識が強いし、
すごい事言う! びっくり! な顔をされる。
こっちもそれに気がつかず、
まるで当然のような顔をして、夏休みをとった。
ヤノッチ、双方にあやまってた。
絶対「マネージャー」って早死にする職業だ。
でも仕事のあと、ディズニーランドに行くのだそうで、
夕方からは、えらく長生きしそうな顔をしてた。

(編集部註)
清水さんのライブのチケットが6月16日から発売されます。
場所は渋谷ジャンジャン。7月16〜18日の3日間です。
クリックすると、詳しいことがわかりますよ。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~jamhouse/live.htm
「第2回 清水ミチコディナーショー(食事なし)」

1999-06-12-SAT

第70回

6月4日・金曜日
「日経ウーマン」で、糸井重里事務所にて座談会。



総勢12人ほどがいたのだが、
「マネージャーの矢野です」と、紹介すると、
すぐにわかったりする。
私もこの日記担当者である金澤さんがすぐにわかった。
写真、かなり損してますな。

全員明るい才媛というカンジ。
ネットで知り合いになれる、という図を初めてナマで体験。
ぺちゃくちゃ話している中、事務所の方から
「フィナンシェ」と、「フルーツのババロア」に、
「チョコレートケーキ」の3種類が
時間差で出されて嬉しかった。

でもなんでこんなに出しおしみしないのかしらこの事務所。
経済的にナンなのに。くくく。
そうか、「ババロア」は日経ウーマンから、と読む。
そうすると「フィナンシェ」はここの事務所からとして、
「チョコレートケーキ」は読者の方から。
と、手ぶらながらも食べつつ直感。
帰りの車の中でヤノッチ、
「お茶のグラス、センスいいのが
みんなに全部揃ってるのが、喫茶店みたいですごい。」
と、またそっち系に目が行ってた。
どうも彼女にも私の貧乏性がうつってきたようだ。
ごちそうさまでした。

6月5日・土曜日
宝島誌「顔マネ塾」用に。
夫(撮影)に
「いっそスピードの4人一気にやってみたら?」
と言われ、できるわけないでしょ、
1人でもたいへんなのに4人なんて!
と言いながらも、どれ、とメイク。
最近頭よりもカラダの方が早い。

コドモが学校から帰ってきて、
「やー、ちょっと。スピードはムリじゃないの。」
なんて言う。参加するな。
昼頃、写真が焼き上がり、
それを見てコドモが「ね」と言った。参加するな。

コドモの友、大橋君登場。
今日は(ウチの居間)キレイですねー、
掃除したんですねー、なんて言う。いつもきれいでしょ。
久保ちゃんも遅れて来た。
私が中学生の頃、一番好きだったおやつの
「ちびホットドッグ」を作ってやる。
お料理じょうずですねー、こんなの初めてですよおー!
など、ウチでは聞けないお言葉をいただく。
私も前にもそうやってほめられたもんだから、
ついつい大橋君か、と思うと腕を軽くふるってしまう。
(いつもはカルビーやらブルボンやらギンビスを、ポイ)。

バングラディッシュに行った前の先生に
メールの返事するから、ついでにみんなも
メッセージ言いなさい、と言うと
「僕、あいかわらずおかまでーす。うっふーん」
と大橋君。子供らだけで爆笑。
どうやら男の子同士が、おかまのマネしあっては
笑ってるらしい。幼いのか大人なのか。
「大橋君のウチ(商店)ってどこにあるの?」
と聞いたら、
「ええっ、マジでぼくんちを知らないんですかー!!
てっきり有名だと思ってた! ひえー。」
と驚いてた。幼いのか大人なのか。

6月6日・日曜日
朝7時から八王子に行き、「ロマンス」収録。



車の中でヒステリック・ブルーの「春・スプリング」を
フルでかけて歌いながら向かう。
この曲を今日中に覚えなくてはならんのだ。目も覚める。
スタジオでセリフを練習しながらメイクし、
がぶがぶコーヒーを飲む。
終了後、そのメイクで、
「どうやる」か考えながらNHKへ移動。
遅刻セーフで、「天才てれびくん」収録。
「ですから、ヒステリック・ブルーのたまちゃんは、
こうすると似てくるわけですー。」
と、子供に教える。すごいスリル。
そのあともう一本撮って、食堂で朝食兼昼食兼夕食。
胃が小さくなっている気がした。
「もう、口聞きたくない。
コーヒーだけ入れてたらいいんじゃない」そんなカンジ。
かわいそうな、胃。
この「胃」って名前もあまりに短い。

夜、糸井さんの事務所で「ポカスカジャン」を見る。
おもしろかった。ハイになって、
人が笑わないところでも一人爆笑するのをこらえた。
なんか、すきっとさっぱりした。
挨拶に行こ、と思ったが、
コドモ留守番させてたので、すぐ帰る。

(編集部註)

清水さんのライブのチケットが6月16日から発売されます。
場所は渋谷ジャンジャン。7月16〜18日の3日間です。
クリックすると、詳しいことがわかりますよ。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~jamhouse/live.htm
「第2回 清水ミチコディナーショー(食事なし)」

1999-06-16-WED

第71回


6月7日・月曜日
羽田から金沢へ。
「清水ミチコのおかず屋さん」収録。
ヤノッチと一緒に番組をちょっとしきった。
「清水ミチコのしきり屋さん」だった。



夕方、小松空港までのタクシーの中で、運転手さんが
「右手に見えるのが、松井という選手の野球館なのだが、
建てられたご両親は、もう少し時間を置かれた方が
良かったのではないか」
という意味の事を、やや乱暴な言い方で述べられていた。
私は全くの野球音痴なのだが、
はあはあ、なるほどと、てきとうな合いの手。
しかし、降りてみたら空港には
「松井サブレ」という製品までちゃんとあり、
じゃあ、館くらい、いんじゃないよね、
とヤノッチに告げ口。

6月8日・火曜日
12:30、「8の日パトロール」(父兄による街の見回り)
のため、腕章で集合場所の公園に走って行くと、
皆さんから口々に「えらいわあ」
「ちゃんといらして、ねえ!」など、
にぎやかにほめられる。
謙遜するため、まじめな顔でいえいえ、と頑張るが、
またどうしても口角が上にあがりきってた。

見回りは主婦2人ずつで行なわれるのだが、
歩きながら、某主婦、
「実は(父兄の)みんなが、
何のためにしてるかわからない、って言ってんですよ。」
と言ってた。実際そうだ。
腕章つけた主婦が歩いているのが見えたら、
ちょっと機転のきく子は隠れるだろうし、
かなり悪い子なら
日中堂々とワルサをさらさないものだ。

でもこれも与えられた義務のひとつ。
ぶらぶらと二人で歩く。
歩きながら、(たとえば、たまたま中学生が
路上でタバコ吸ってたら注意できるかな)と思う。
小学生ならぶんどっても、高校生なら見過ごすな。
負けるもん。
中学生、顔で判断だな。など。

終わって事務所に行くと、中川さんが
「お疲れさまです。悪い人は、いましたか」
と聞くのに笑った。
まあ、今日はいなかったからよかったけど、と答える。
そのあと日テレの「電波少年」。
司会のチューヤンに一言冷たくつっこんだら、
「あなたは、チメタイ人だ!」と言われる。
おまえこそチメタイアル。



6月9日・水曜日
ネタ書く。
某女性歌手の作曲法、ぜったい見えてきたのに、
しっくりできないまま、書き直しては2カ月。
たぶんどこかで好きなんだなあ。
こうなったらいっそ苦手な他の人でやってみよう、と思い、
たとえば彼がどう歌を作るか、
しかもどう歌ったら嬉しいか、と集中して書いてみたら、
すぐできた。
放送はできないだろうけど、実に楽しい時間だった。
帰ってきた夫にさっそく聞いてもらう。
下を向いて顔が笑ってたので、返事はいらなかった。

6月10日・木曜日
楽しいビバリー。そしてCBC。
その間をぬってヤノッチとCDルームを借り、
60年代の歌手のCDをかたっぱしから録音。
「今度のジャンジャンで、60年、70年代、80年代、
90年〜来年くる歌手をモノマネでメドレーしてみっか!
ほぼ半世紀メドレーっちゅうことで!」
と思い立ったため。
60年代って歌謡曲のテンポがすごく遅いんだなあ。
とりあえず歌えそうな歌手と順番を決め、
事務所でMDを夫に渡し、
短くなるよう、相談しつつ編集してもらう。

「音楽と踊りに泣く」についての同感メール、
多数いただきました。しかもこれがほとんど女性。
自分だけじゃない事が判明してホッ。

じゃあ、これはどうでしょうか。
私は幼児の頃、怒りだすと、
上からどんどん洋服を脱いでいったそうです。
まわりの園児たちも、驚いて
「わかったわかった」と言ってゆずってくれてたらしい。
不思議なおどし。

(ここからきれいな声で)
さて、こないだ原田伸郎さんと私とで、
ナレーションをしました五味太郎さんのビデオ
「きんぎょがにげた」を、TDKコア様から皆様へ、
5本プレゼントしていただけるそうです。
あて先は下にあります。おはがきでよろしく。
(注・ほぼ日に、この件の質問メールなどは
 しないでくださいね。)

< 応募方法 >
ハガキにあなたの住所、氏名、年齢、性別を書いて
東京都中央区八丁堀1−9−6
TDKコア「きんぎょがにげた」プレゼント係まで。
締め切りは6月25日(金)。
当選は発送をもってお知らせします。


「きんぎょがにげた」


(編集部註)
清水さんのライブのチケット発売中。
場所は渋谷ジャンジャン。7月16〜18日の3日間です。
クリックすると、詳しいことがわかりますよ。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~jamhouse/live.htm
「第2回 清水ミチコディナーショー(食事なし)」

1999-06-20-SUN

第72回

6月11日・金曜日
ロマンス収録。
撮影の合間に、宮沢りえさんが
私の顔(イラスト)を描いていた。
「似てるでしょう?」だって。
キムチの話でみんなと盛り上がる。


夫の作ったチャーハンを家族で。
夜、PATE屋の林さんと電話。
なんとも話し方が美しく、
最近自分は汚いしゃべり方でどんどん平気になってるなあ、
と実感いたしました。

アイスをガリガリかじりながら、夫が
「こういうB級のキャンデー系の味は、アカギにかぎる」
としみじみ言ってた。アカギ。
夫はキーンと冷たい触感フェチで、
コドモも嗜好が似たらしく、
二人そろってガリガリ阿呆みたいに音を立てていた。
私はシュークリームを、
音も立てられずしーん、と横で食べた。

6月12日・土曜日
TBS伊集院光さんのラジオ番組のゲスト。
同室に気象協会の方がいらしたので、待ち時間にお話。
そういえば、なんで海の色は青いんですか、と聞くと、
「空の空気も海水も、実は色が透明なんだけど、
発光のプリズムによって青が一番強く見えるのだ」そうな。
(もっとうまい説明でしたが。)
「じゃ、錯覚ですか」、と聞くと、
「錯覚。そうですね。そう見えるようにはなってますね」
との事でした。
本番、すごーく楽しかった。
ボケあい、そしてつっこみあい。しかもまじめに。
FAXで、
「今日、清水ミチコさんは壊れてます!」
というのまでいただいた。ありがと!

6月13日・日曜日
コドモを送り出し、
朝刊と、熱いコーヒーと、瓶のままの冷たい牛乳。
私はカフェ・オレよりも、
「両方を別々のまま飲む」ってのが好きで、
わざとこうして飲んで豪勢な気分になっている。
喫茶店じゃこうは注文できないし。

そのあとチャリで行く下北沢、
買い物・WITHエステの豪華2本立て。
ミドリ色の泥のパックで横になったまま、エステの先生に、
「あなたはまだわからないでしょうけど、
35すぎてごらん。シミってものをを実感するから」
と語りかけられ、たちまち口角が上がるのがわかった。

帰りに自転車に乗ると、
後ろのタイヤの空気が抜けてるとわかり、
凄いスピードで家までぶっ飛ばす。
日差しを浴びるとそれだけで疲れるという、
ひ弱な体質になってきたのがわかる。
やはり、寄る年波ですな。

6月14日・月曜日
じゃーん。家庭訪問。
担任の先生は、毎年どなたも、「決まりですから」と、
玄関先だけで話をして帰られる。
しかし(今年は、もしかして)と
毎年、家中を徹底的に掃除。
いつもハムスターの部屋より汚いのに、
さすがに今日はきれいになっていた。
新しい担任の米山先生、
「(お子さんは)ふだんはマジメですが、
誰かがドラえもんの話をし出すと、
とたんにサッと顔つきが変わるんですよね」と、
先生自ら(こんなふうに、と)瞬時にささっ、と
集中する顔を変えたのがおかしかった。
「ワッハッハ! それわかるわかる! うまい!」
と指さして笑ってしまった。
いい先生に恵まれているなあ。

1999-06-27-SUN

第73回

6月15日・火曜日
原稿。
ヤノッチ、今度「10年は乗れるような」新車
(シボレーの4WD)を買う、という恐ろしい行為に出る。
いつもヤノッチの買い物は男っぽく、
ブランドやらの、ちまちました小物には目もくれず、
長くつき合えるモノをよく調べては買っている。
老婆心ながら「どれ」と、
ヤナセの担当の方に電話してみた。
「初めまして、清水ミチコですー、
このたびはウチの矢野がお世話になるそうでー(笑)。
いろいろ、よろしくお願いします(笑)」
と挨拶してみた。
この(笑)に、少しはおまけしてくれないですかな、
との意味をこめた。
しかし、この御時世だけに、期待は薄く。

6月16日・水曜日
ニッポン放送の新番組
「お願い!DJ!ハッピーウイークエンド」の顔合わせ、
打ち合わせ、番宣、写真、スポット撮り。
小林克也さんとコンビで、
なんと毎週土曜日、朝7時から11時までの、
4時間生放送が始まってしまう。
土曜日、気がついたらぜひ聴いてね。


6月17日・木曜日
夕方、テレビを見てたら、
うんと若い頃のマイケル・ジャクソンが踊ってて、
うまいなあと思い、たまにはと一緒に踊ってたら、
夫が帰ってきてそのまま披露。
夫、つくづくという口調で
「清水、やっぱコメディアンだよ。
このマイケル・ジャクソンの歌をそのまま流して、
ライブでやれば」と言う。
「嘘、おもしろい?」と聞くと、
「いや、すごいよ。そのくにゃり方は」とほめられた。
やりませんけど。

踊りといえば、
去年、NHKで「フラダンス講座」(マジ)の司会をした時、
リハで思いっきりふざけて踊ったら、
生徒のみんなが笑って、
それを見たハワイ人の妙齢の美人の先生が
ツカツカッとやってきて、
「日本人で、フラダンスでふざける人が
多いんですが、シミズさん、あなた、
そういう事ぜったいしないで下さい!」
とみんなの前でピシッと叱られた。

悪い事をした、と思うと同時に、
ちゃんとした態度で叱れる、という先生を少し尊敬した。
それなのに、本番でちゃんとまじめに踊ったら、
その先生が(私、もう涙が止まらない) という顔で
ハンカチで笑いをおさえていたのが見えた事があった。
何なのだ。

声はモノマネのため、
指はピアノのネタのため、
顔は顔マネのため、
そして身体は踊りのためだったのか。
全身器用貧乏。

1999-06-29-TUE

第74回

6月18日・金曜日
朝、ぼーっと窓の光を見てると時々
「光のつぶ」みたいなのがピチピチ泳いでるのが
たっくさん見えることってないですか?
はじめは「ぽやぽやーっ」としか見えないんだけど
動きの中のひとつをじっと視線でとらえたとたんに、
今度はもっとくっきり見えてくる。
もしかして錯覚かもしれないけど、
私はきっと、これが俗にいうエネルギーなのだ、
と勝手に思ってます。
日中の飛行機の窓からだと、
どういうわけかしょっちゅうクリアーに見えてきれい。
あ、妙な宗教には入ってないです。いちおう言っとこ。

そういえば昔、下北沢のショップで
「木が水を吸う音が聞こえる聴診器」というのを買って、
さっそく樹に当ててみたのですが、
これがぜんぜん聞こえやしない。
しかたなく何か聞こうと、自分の腹に当ててみたら、
これがあんがい鳴ってるもので、
高い音、低い音、長い音、短い音、といろいろで、
それがSF映画の宇宙の、
ぴゅーんという音にも似てるのだ。
夫に「ねえねえ、聞いてみ、すごいよ、宇宙宇宙。
人間の身体はやっぱり小宇宙なの。わかる?」と、
自分の音を聞かせたところ、
ゆっくりとした口調で、
「くだしてるんじゃないの」と言われたことがありました。
くだしてませんから。いちおう言っとこ。

6月19日・土曜日
仕事の帰り、代々木体育館での、ユーミンのコンサートへ。
思ったより早く着いたので、
近くの「THE・GINZA」で買い物をしていると、
きれいな店員さんに
「すみませんがお願いがあるんですけど」と言われた。
なんと
「ユーミンのコンサートが終わったら、
非常におこがましいんですけど、ユーミンにことづけを」
なんて言う。
「あなたは、お知り合いなのかな?」と聞いたら、
「そうではないけど、来月横浜のコンサートを
見に行きますので山中(仮名)がよろしくと」。
本当におこがましいのがおかしく、
できるわけないっしょ、私が! と笑って断る。
味わい深い人だった。

ところでコンサートは、えらい事になってきていた。
豪華なことはもちろんだけど、
ユーミン様はまるで、サイキックな力を自分にではなく、
全員のために降ろしておられたようだった。
ふとうすく見えた。
でも最後の「どうもありがとうー!」は、
「わかったかー!」と、聞こえた。
わかった。

6月20日・日曜日
今日も営業していた、ほぼ糸井新聞。
ふと「今日くらい休んでたりして」と疑って
パソコンをつけると、やっぱり変わっている。よし。
でも、ほぼ、なんだから
たまには休みをとってもいいのにな。
でも私も今日も朝から仕事だ。
仕事が好きというより、
毎日の家事の生活に向いてないのだった。

打ち合わせのあと、移動してドラマの収録。びゅーん。
最終回という事で、ラストのシーンが終了したら、
両腕に重いほどのきれいなバラをいただいた。
(私には)めずらしく、宮沢さんと電話番号交換する。
家に帰り、ハイ! 父の日、おめでとう! とちゃっかり
バラを水切りして花瓶へ。
どうにもヘタな活け方で、生け花は習っておきたかった。
これも家事。あれも家事。たぶん家事。きっと家事。
ちゃーらららー。

1999-07-06-TUE

第75回

6月21日・月曜日
ダスキンさんに家のお掃除をお願いした。ふふふ。
詳しいことはこちらに書いております。
CRICK HERE

6月22日・火曜日
父兄参観をパスし、
「おかず屋さん」収録のため、羽田から小松空港へ。
ちゃんと「おいしい!」とか言えるように
(実際、おいしいんですけどね)お弁当をパスした。
パス日だ。
ライブ用の60年代の歌謡曲をMDで選曲しつつタクシーへ。

メドレーって、脳がないみたいで
あんまりやらなかったんだけど、
21世紀直前だし、60年代から99年までの、
「ほぼ半世紀メドレー」
がばっとトライすることにしちゃった。
打ち込みを、中川さんの知り合いに
お願いできる事になった。
しかし60年代だけで2週間はかかるという。
そりゃそうだ。
とにかく早く何かしないと。
何もできていない。ひい。

6月23日・水曜日
ライブで使う電光掲示板の文章書く。なんかつまんない。
夜やり直すと決めて、
午後、週刊朝日・増刊本のインタビューへ。
喫茶店で答えながら写真を撮ってると、
そこにいた女子校生たちが
「あ、清水ミチコだー!」とはしゃいだので、
私もわざとらしく「プリティなカンジ」で手を振ったら、
「キャー、ネタやってくれた! ネタ!」と言っていた。
ネタとはなんですか。
そのあとさる人と対談。
あれっ、こんな業界ノリの人だったっけ。
日テレ「メレンゲの気持ち」ナレーションへ。
夕食、夫と作る。
夜、電光掲示板パカパカさせながら打ち込み。
今年はナシにしようかと迷う。
私じゃなくて世の中が電光の気分じゃないのよね。
電光の気分とはなんですか。

6月24日・木曜日
また電光にトライ。
そして楽しいビバリーへ。そのあとCBC。
「テレビで最初に野村沙知代さん、カンジ悪ー!
と怒ってたのは清水ミチコだった」、
という葉書をもらってた。
確かに2年ほど前。私もまだ青かった。2年前でか。

そのあと雑誌「CMナウ」の対談、鈴木慶一さんと。
鈴木さんに
「最近、ユーミンの方がミッちゃんに近づいてきたカンジ」と言われ、
「どうもありがとう」と低い声でうすら笑み。

撮影してたらカメラマンさんが、ややうっとりと、
「鈴木さん、あなたの目がすばらしくきれいだ!」
とまじまじと言われて
鈴木さん、やめてえ、、、と、
どんどん小さくなっておられた。新宿2丁目系か? と噂。
マネージャー・ヤノッチは、もとプロサッカー選手なので、
サッカー好きの鈴木さんに今度一緒にやらない?
と言われ、喜んでいた。

1999-07-11-SUN

第76回

6月25日・金曜日
朝、居間に行ったら夫が徹夜明けで
コーヒーを煎れて飲んでいた(音編集をしてもらってる)。
私は生まれてから一度も徹夜をした事がない。
夜が明けちゃった、という事はあるけど、
そのあとぜったい少しでも寝る。
徹夜なんて考えただけでも恐怖なのだ。
ヤノッチは今日から早めの夏休みをとり、ハワイへ。
夏休みは交代制で、私は8月。
楽しんでこいよー、と、
こないだ見つけた「130度の日焼け止め」をあげた。
シミは20代で決まるらしいっすから。
ネタ「みんなの精神科」書きはじめる。

6月26日・土曜日
「ペット植物」のモニターになる。
植物の花の部分が、本物の動物の顔で、
口にエサをあげられ、声も出す。
私が選んだハムスター編は、すごいヒゲで、
鼻の下がふくらんでいて、鼻歌を歌っていた。
なまなましかった。
と、そういう夢を見たんでした。

やり始めた音源の打ち込みが楽しく、
気がついたらぎょっとするような時間が過ぎていた。
仕事場へタクシーで移動。
乗り込んだらタクシーの運転手さんに、しみじみと
「私ゃねえ、お客さん(私のこと)が乗るまで
4時間ですよ。4時間ずーっとひとりぽっち。
もうこの仕事やめたいって考えてたところへ、
お客さんだ!」との事。
不況なんですなあ。
でも私としゃべっている間も車の中はしーんとしてて、
ラジオでもつけたらいいのになー、と思った。
音楽が昔から苦手なのだそうだ。
そのうち、グチがすごく長くなってきて、
そこまで客に言わなくても、という内容
(安いお客は実際腹が立つ、とか
自分の会社のひどい月給など)で、返答に困ってきた。
もしかしたら、あなたのそのけっこう短気なところが
この車に出てるんじゃない、
などと言ったら、どんなにか激昂するかな、
それとも笑うかな、と想像した。

6月27日・日曜日
名古屋東海テレビで、
ガダルカナル・タカさんと2時間特番の司会。
楽しかったー。笑った。
帰って「ユルマゲドン」というネタ書いて一人で笑う。
夫に見せたら、全然意味がわからないという。
あれ?

6月28日・月曜日
こないだ書いた日記(6月15日・金)について、
担当の金澤さんからこんなメールをいただいて、
ショックしつつ笑った。
「“光のつぶ”って、ミジンコとかの
プランクトンに似てるやつですか?
そうだとしたら、
昔、子供電話相談室かなんかで聴いたのですが、
眼球だか、網膜だかについた傷だそうです。
明るい空とかを見ると、よく出てきます。
傷だと知って、金澤少年はがっかりしました。
それまで自分は不思議なものを見る力があると
思ってましたから。」
なんてことだ。私もがっかりだ。
いつかコドモに見えるぞと教えたのに、
「ぜんぜん見えない」とか言われて、
「こうやってほら」とか言いつつ
弱めの寄り目にしていた私は何だったの。
母の愛は、眼球だか、網膜だかについた傷。
そういう曲か。

1999-07-15-THU

第77回

6月29日・火曜日
コドモを連れて歯医者さんへ。
やれやれ母の目の次はコドモの歯。
待合室にあった「歯の本」を読んでいると、
隣で同じ「待っている」状態のお母さんが、
文庫本を読みながらクスッ、クスクスクスッ、
くくく、と声をこらえながら笑っていた。
ぜひ知りたい、そんなおかしいこと書いてある本、
誰の何、と、自分の本がさっぱりモノクロに感じた。
その間もその人のくすくすがとめどなく、
こっちまでもらい笑いしそうになってきた。
実際口角が上に。
それにしても書いた人は、
読んでもいないまわりの人間まで
笑わせてしまうシーンがあったなんて事を知ったら、
どんなにうれしいものだろう。

さりげなく、しかし何度となくのぞいたが、わからず、
「おや? 自分の足のこんなところに
何かついてるじゃない。」
みたいなふりで下から一瞬のぞき読んだ。
タイトルこそわからなかったが、
「○○ふみ」とだけ読めた。
そうか! 柴門ふみ! とピンときた。
いつ帰ってしまうかもしれない時間内に、
その方のお名前がわかっただけでホッとした。
それにしてもどんなエッセイなんだろう。

6月30日・水曜日
猿、どうして捕まえなくちゃならないんでしょうかね。
ところで今日はピアノを弾いて、
やってきた子供達にやれやれとおやつを出したところ、
(ブルボンのエリーゼとチューペット)
約5年ほど前、糸井さんからもらった言葉を思い出した。
「シミズさん今度さー、エリーゼのくせに、
ってのやってよ、エリーゼのくせに」。
なんだそれは、と笑っただけで、
それもずーっと忘れていたのだったが、
今日ひらめいてさっそくいただいた。
譜面にレだのラだのと
カタカナでふりがなを全面に書き込み、
読みやすくして練習した。
エリーゼの弾き語りのために。

1999-07-18-FRI

第78回

7月1日・木曜日
ビバリーとCBC。
そのあと、ライブでやる80年代メドレー用の
カラオケを探しに、いろんなレコード店へ行くが、
欲しくない曲ばっかり。
「演歌以外のカラオケのCDは?」と聞いただけで、
びっくりされるほど置いてないものなのだ。
90年代のシングルCDだと、
カラオケがB面に入ってるのが当たり前なんだけど、
80年代はないも同然。ありゃあ。
打ち込みを誰かに頼むのも時間がない。
インターネットのカラオケから買おうとしても、
打ち込みの音がスカスカな音で使えそうになかった。
夫から「カラオケが一番置いてある」とされている
秋葉原のイシマル店で、「赤道小町」と
「アリスメドレー集」が買えた、恥ずかしかった、
と携帯電話で連絡があった。
ありがとう、あなた。

私は中川さんとカラオケボックスに行き、
80年代のカラオケをMDに落とすことにした。
いくら料金を払うとはいえ、もしかしたら
法律上やばいんじゃないか、お店の人に見つかるかも、
と思うとドキドキし、なんかごまかすために歌っててよ、
とお互い楽しくもない歌を、陽気に歌いながら、
一人はジャックのつながる部分を探す。
アレンジが使えそうで、なおかつ私が歌えそうな曲。
見つけるのだけで、ものすごく疲れた。

7月2日・金曜日
スポーツクラブへ行って1時間走る。
さる音楽のプロの方から、
「30分も連続で歌うなんて、そんなのぜったい無理だよ、
 本物の歌手だってできないことだ」とまじめに言われ、
しまった、万が一、モノマネで息切れしてたら
カッコ悪すぎるもんなーと思ったので。

そのあと、宝島の顔マネ写真撮り。
撮りながら夫が、似てない、違うなあ、と
ゆっくりした口調で言うので、
うるさい! もとが違うんだよ! と険悪なムード。
でも顔は葉月里緒奈の被写体のままなので、
タンカ切るほど冴えない。

学校からコドモが帰ってきて、
「あ、サラダひかりのつもり?
 シャキッとサラダにー、の人?」と言う。それだ。
そっちだ、と夫婦で急遽方向を変更し、ギターを持つ。
コドモ、アラビア語の歌を軽く鼻歌で歌いながら
トイレに行ったのがおかしかった。
君、覚えたのか。ヨソで歌うなよ(ネタで使用する歌)。

7月3日・土曜日
テレビブロスの原稿など、3本書く。
この日記を連載してから、とにかく
書くペースがどんどん早くなっている。
でもこの連載、締め切りがないため、
遅刻しがちでいつもすみません。

こないだ書いたネタの「ユルマゲドン」読み直すが、
なるほどさっぱりわからない。
こないだは上機嫌でハイになってたのかも。
コドモと「ムーラン」をレンタルして見る。
おもしろかったあ。泣けたー。2回見た。
ムーラン、ママに似てるね、と言うのでよけいよかった。
昔のネタのノートを見直したら、
「犯罪者としてではなく、
 作曲者としてみた麻原彰晃・作曲法」とあって、
本当にやったかどうかおぼろげながらも、
読んでて笑っちゃった。
「ひーとつふーたつ(数え歌)
 私はやってない潔白だ(バラード)
 ショショショショショショショショーコー(マーチ)。
 この3つをリミックスして以下のように歌う」だって。
よくもまあ。
「みんなの精神科」(多重人格モノ)、オチができて
夫に見せ、二人で静かに笑い、直しを入れる。
不気味な夫婦だ。

1999-07-22-THU

第79回

7月4日・日曜日
麻布にある美容院に行って、パーマをかけてもらった。
いつも思うのだが、あの頭の上でくるくる暖めるやつ
(天使の輪っかみたいな)が黙ってまわりだすと、
鏡に映る姿がどうも間抜けなカンジ。
「こいつが、パーマあてています」と、
まわりに訴えているみたい。
色もちょっと赤くしてもらう。

今度、私は土曜ワイド劇場で、
「コドモもいるというのに、10歳も若い男と
つきあっている女性」の役を演じるのです。
いいなあ。このフレーズ。
美容師のミホちゃんに
「コドモもいるというのに、10歳も若い男と
つきあっている女性らしくしてね」と、
わざと大きな声でお願いした。
また永坂更級でつけとろ。
夕食用の魚を買って帰る。

7月5日・月曜日
坂本龍一の「energy flow」をピアノで弾き、
それを録音した。うまく行かずに何度もやりなおすうち、
すっかり覚えてしまった。
録音した音に電光掲示板で文字を流し、
ライブのオープニングに使う予定。
世界初のエッセイつきピアノだ。

コドモの友達、大橋君ら3人が来て、
「ウンジャマラミー」を思いっきりやり始めたので、
うるさくてしょうがない。
「居間じゃなくて、あっちに行ってちょうだい、
ゲームはあとあと。オラオラ」と、
コドモの部屋に行かせる。
「おばちゃん、あの本はありますか?
あの、変なマンガ、こないだここで見たんですけど」
と笑いながら聞く。
そのマンガとは私の「伝染るんです」(吉田戦車)で、
今、この子たちにものすごくうけているのだ。
1ページ1ページを皆でセリフを読みあっては
長時間爆笑していた。
私も小さくなってその輪に入りたくなった。
大人だとありえないからね。
なぜか「しいたけ」が人気らしい。
あと斉藤さんのぶぶぶぶーと飛ぶ姿。

7月6日・火曜日
峰竜太さんの「ホンの昼メシ前」に出演。
来月あたりからできたらレギュラーで、とお願いされた。
ひゃあ。
そのあと、NHK「スタジオパーク」にコメントで出演し、
夕方、TBSの「見ればなっとく」のゲスト。
また峰さんと御一緒。
峰さん、とっくに石原プロから
独立しているように思えてならない。
でも気持ち的には、もうそうなんしょ、と聞いたら
一生懸命否定しておられた。


7月7日・水曜日
「イライラしてくるDJ」というタイトルの、
ワイドショーから音をとったばかばかしい声などで
不快になる曲の打ち込み。
しかし、本当にイライラしてきた。
ヘッドフォンポカーンっと投げたいような。

そのあと、東映の大泉撮影所へ行き、
ドラマの衣装合わせ。
さすがに「恋愛の真っ最中!」という
かわいい洋服ばっかりで、
口角が上にならないように気をつけた。
仕事で仕方なく着ています、という顔で
写真を撮ってもらう。

夜、夫、
「energy flowは、録音したピアノより、
やっぱナマで弾いた方がいいんじゃないの?」なんて言う。
無理だよそんなの! 録音もったいないじゃんっ!
と、斉藤さんのぶぶぶぶーと飛ぶ顔で言う。

1999-07-27-TUE

第80回

7月8日・木曜日
ビバリー、毎週お台場から放送中。よろしくね。
レインボーブリッジを渡る時、
海と空の美しー景色を、車の窓からチェック。
いつもここでは小沢健二をかけながら。
眠いときは真心の「拝啓ジョン・レノン」を、
無理矢理一緒に歌う。
舌のまわり、もともと悪い方なので、
この早口の歌はとても助かる。
洋楽音痴の私にはジョン・レノンへの思いは
なきに等しいが、これを一緒に歌うと
凄い好きだったような気になる。
こんなちょぴっとした事で「眠気」も
「やる気」になるのだから歌とは不思議なものだ。
ビバリーが終わってCBC出たあと、
小林克也さんとの新番組のランスルー。
小林克也さん、サンドバックのように打っても
よけてもつかめない、みたいな。
ただ、あるがままに、ってな歌、
ビートルズにあったんだよなあ。

7月9日・金曜日
ひとりでスポーツクラブへ。
なんと、若い筋肉ムキムキ男から
「よくお会いしますね。前にもここで……」
「マシンの使い方教えましょう」など、
キラキラした目で何度も話しかけられる。
いわゆるナンパのようだ。
場所を変え、一人で走りながら、
(でもこれだな、主婦の浮気するカンジ)、とわかった。
きっと自分はまだ若い、声をかけられる、
まだいける、という「確認」をしたくなるのではないか。
生命への執着。
それを愛だの恋だの言葉で塗ってるんだな。
スポーツクラブという所は
もともと生命(若さ)維持を目的とする空間だけに、
けっこう淫靡な場所に転身しやすいかもしれない。

夕方、事務所で小さなライブのリハをする。
キーボードと、電光と、ヤノッチの「出」と、
テープ出しのタイミング。
楽しいのと、恐いのと両方に襲われる。
でもキャパシティは4回でたかだか1000人ほどなのだ。
このHPの連載や、ラジオは毎日数万人。
テレビに及べば何千万人単位なのだ。
ああくだらねえ、小さい、小さい、と自分に言い聞かす。

7月10日・土曜日
LFで小林克也さんと「ハッピーウイークエンド」生放送。
4時間とちりっ放し。新人か。
でも来週からはぜったい大丈夫、という予感がした。
家に帰って寝ていたら、野沢直子から電話で起こされる。
あっちは明るいがこっちはボケボケのままで話をする。
切ったあとで、全身、ものすごく嬉しくなっていた。
私は本当に野沢直子が好きだ。尊敬に近いものがある。
芸能人としても大好きだが、知人として
彼女ほど正直で、デリカシーのある女性はいない。
ってゆーかあとにも先にも、
業界に友達はこのヒトしかいない。
26日に一家で家に遊びに来る。わーい。

7月11日・日曜日
朝、直感で「イライラするDJ」やめることにした。
また無駄な時間をさいてしまった事になる。
徹夜明けの夫、新聞を読んでたので、
一番心配な「歌謡曲メドレー28人」を
聞いてもらおうとたのむ。
ヤノッチ、「長いっす」、と言ってたのが気になるのだ。
しかし、それはカラオケだけを聴いたからであり、
きっと歌が入ると違う、でも証拠はない。
「えー、では」と、いざマイクを持ち、
夫を目の当たりにしたら、一気に恥ずかしくなり、
「ま、あんたから歌いなさい」とマイクをゆずる。
夫、あっさりと出ていった。
ゆずりあわんか。

1999-07-29-THU

第81回

7月12日・月曜日
土曜ワイドのドラマロケ。
田中美佐子さんを殴ろうとして、
逆にやられて転倒するシーンで、
足にサポーター巻きながらも、
プロの殺陣師にいろいろと教わる。
私の持つ「殺陣師のイメージ」って、
「武士」だったんだけど、実際はカメラアングルや、
写されるタイミングを深く把握しての、
現代人のプロの仕事であった。当たり前か。
でも、やっぱり際だって男らしかった。
しばらく見たことない凛とした後ろ姿。
蛭子さんがいたなら逆に吹き出すかも、とも思った。
たくさんシーンを撮った。


7月13日・火曜日
スポーツクラブ。
汗をふきながら走っていると、
ふと自分がすごく「ストイック」になってるカンジがする。
私にはないキーワード。
でもこのストイック気分が目的、という人も
実はけっこう多いのでは、と思った。
心身ともにまっすぐにきれいになっていく気がするから。

そのあと鍼を打ちに青山の治療院へ。
きのうのドラマの転倒するシーンで、
左ひじの様子がどうもおかしく、あざができていたので。
お、ストイック。
そのあと圧力釜で玄米を炊いて、焼き魚とスープの夕食。
メシ・ストイック。
コドモがっかりストイック。

7月14日・水曜日
「ウンナンの気分は上々」スタジオゲスト。
でかい身体で実は気持ちのやさしい
星野ディレクターと久々に会う。
初めて出た番組の「冗談画報」から
「夢で逢えたら」まで長いつきあいなんだけど、
何度会っても私はちょっとあがってしまう。
あさってライブあるから来てよ、と言おうとしたが、
なんとなく誘えず。
「こないだ、直子ちゃんから電話あったよ。
日本にいるんだってさー」と、
ナンちゃんと星野さんに言ったら、
「おー、じゃ、みんなでメシ行くぞー」と言ってた。
行けるといいなあ。

7月15日・木曜日
ビバリーとCBC。そのあとリハ。
なんだか楽しみになってきた。めずらしい。

7月16日・金曜日
ライブ本番。
ヤノッチの新車を借りる。
電光掲示板など、楽々運べて大活躍。ありがとー。
ジァンジァンに到着したら、もう列ができていた。
わ、きっと早めの人にはリハーサルの声ぜんぶ聞こえるー。
はずかちー。

槙原敬之さん入院で来られなくなったとかで、
マネージャーさんらが「槙原からでーす」と、
きれいなひまわりをくださった。
ありがとうございました。

ライブは楽しかった。皆さん、ありがとう。
家に着いて、明日の朝が早いので(5:30出)、
早く寝ようと思うが興奮しているのかなかなか寝られず、
深夜にアンケートかたっぱしから読んだ。

7月17日・土曜日
ライブ日だけど、朝7時から11時まで、LFで生放送。
集中すべきは、常に目の前の仕事のみ。しゃきっ。
でも、いしだあゆみの曲がかかったら、
いしだあゆみを歌う事で小さなリハをいたす。
これはよしとする。

ライブに初めてコドモが来た。
「ママが出てきた時、キャーッて言ってる女の人の気持ち、
わかった気がした」と言っていた。
そうか、やっとわかったかね、うひゃひゃひゃ、といばる。
たまたま大瀧詠一さんと野沢直子とが
隣同士の席だったらしい。笑った。
業界の両極端に位置しながら、
メジャーを拒否した人間同士。
それがせまいジァンジァンで隣かー。人生よのー。

楽屋で紹介したら、私の言い方がヘタだったらしく、
直子ちゃんには
「こちらが、太田・慶一さんだよ」と聞こえたらしい。
直子ちゃん
「あ、ども、こんばんわー(誰?)」ってな顔をし、
あとになってから、
「えー!? ミッちゃん、さっき大瀧詠一さんって
言ってたの? あれじゃあ、まるで私、
大きな態度だったじゃないよー」とぐちっていた。
ごめんごめん。
大瀧さんからメール。嬉しい。

1999-08-01-SUN

第82回

7月18日・日曜日
ライブの昼の部に、名古屋から前のマネージャー、
コトミちゃんが、夫婦で見に来てくれた。
嬉しかったが、私は矢野顕子さんの曲の一番の途中で、
思わず思い出したりして、涙が出てしまい、
間奏ではしーんと泣きながら弾き、
2番もそのままただしーんと演奏ばかり。はずかちー。
お客さんは「いったいどーしたんだ、この人」
という顔をなさっていた。

夜の部では急に糸井さんたちがかけつけてくれた。
普通「ごめん、急に行けなくなっちゃったの」
という事は(私も)よくあるものだが、
「ごめん、急に行けちゃったの」というのは
めずらしくも嬉しいものだ。

楽屋にもどって、アンコールに出ようとし、
ふとマネージャーのヤノッチを見たら、
なんとヤノッチが泣いてんの。
私はむくむくと嬉しくなり、
「もっと泣かしたーい!」と、
さらに強力な踊りで舞台に出た。
ありがう、ヤノッチ。いいぞ、ヤノッチ。

7月19日・月曜日
糸井さんのここのHPの言葉、
嬉しくなり、思わずコピーした。
コドモ、終業式だった。今日から夏休みなのだ。
親まで嬉しくなる。なぜかわくわくする。
パーン、と通知表を渡される。
良くも悪くも、鮎、解禁みたいな。
釈放、みたいな瞬間だ。
夕方頃、中川さん、矢野、夫、私、コドモの5人で
スペイン料理屋でライブのミニミニ打ち上げ。
でも、お礼の言葉をうまく言えず。
ありがとね。

7月20日・火曜日
日テレ「ホンの昼メシ前」に出演。
次の仕事の時間まで、テレビ用の洋服の買い物。
売場のかわいい女の子に
「これ、ぜひ清水さんみたいな人に
買ってもらいたかったんですー。腕、細いですよねー」と、
ブレスレッドを見せられ、お世辞とは思いながらも
「えー。一万円もすんのー」と言いつつ、いただいた。

そのあと土曜ワイド劇場のロケ。
ロケバスの中でグレートチキンパワーズさんに
「ビバリー聴いてます!」と言われ、喜ぶ。
ラジオを聴いてる、と言われるのは、
テレビの10倍以上、嬉しい。
そのあとまた日テレへ。
ケーキをいただく。うまかですたい。

7月21日・水曜日
「ごきげんよう上半期大賞」。5日分収録。
藤井隆さんが、楽屋にいらして挨拶。
実はファンだったので、ナマで会えるのが楽しみだった。
なんと、藤井さんは、学生時代にお兄さんと、
私のCD「幸せの骨頂」を聴いててくださったのだそうで、
顔マネの本まで持っておられるとの事。
うっそー、と驚きながらも、また喜ぶ。
CDを持ってた、と言われるのは、
ラジオの10倍以上、嬉しいものなのです。

でも、1日目分の録りの本番後、
「どうでしょうか、今の」と、
海砂利水魚の二人とともに相談に来たので、
わざと「先輩の姉さん芸人」って顔で、
「全然ダメなのね」と、
いばって注意してたら(冗談のつもりだった)、
本気に取られて、藤井さん、
マネージャー・ヤノッチつかまえて
「あのダメ出しは本気なのでしょうか……」
と相談してたらしい。
今度は本番後に、こっちから
「あの、さっきの嘘ですからね」
と楽屋にノックしておわびに行く。
何を互いに往復しとるか。

1999-08-07-SAT

第83回

7月22日・木曜日
ビバリーとCBC。
そのあと、明日のためのリハーサル。
今年は「著作権100周年」という事で、23日、
初台の新国立劇場で大きなイベントがあるのでした。
「ほぼ半世紀メドレー」なんてもんじゃなく、
ちゃんと100年間の日本の一世紀のメドレーを、
高平哲郎先生演出のもと、20数名の芸能人が歌うという。
振り付けの土井はじめ先生のもと、
4時間にも渡る踊りリハ。

私は小堺さん、斉藤晴彦さんと「ベアトリ姉ちゃん」、
マリリンモンロー「I wanna be loved by you」、
矢野顕子「丘を越えて」、ニューミュージック数名など、
時代ごとに出番が違うので、記憶力を駆使したつもり。
ヤノッチ、さすがもとスポーツ選手で、
鈍い私と違い、踊りの覚え方が早い。
帰り道に、復習。
動きのコツを教えてもらった。


7月23日・金曜日
「著作権100周年イベント」。
楽屋の中は、私、綾戸智絵、ケイコ・リーで、
低音ばっかりの笑いの部屋となる。
そこへ渡辺えり子登場で、いっそう恐怖の館が強化された。

私はあれだけ覚えたのに、
本番、マリリンモンローの踊りが、途中で、
なんだか「ブホッ」と吹き出してしまった。
「ブホッ、じゃねえぞー!」と、
階段で堺正章さんと小堺さんに言われてしまった。

山下洋輔さんの演奏に麿赤児さんの舞踏、
という組み合わせを、客席の後ろのほうに行って見てたら、
「ま、麿さんって、ど、どういう方なんですか?
笑っていいんですか?」とヤノッチ。
ともかく4時間の本番が終了した。楽しかった。
帰宅したら、コドモが
「今日、ファービーが踊った!」と言ってた。
「今日はママも踊った!」という話を着替えながらした。

7月24日・土曜日
いいお天気。朝から生放送。こちらも4時間。
小林克也さん、ライ麦パンのような風貌であるが、
毎回、奥様お手製のおにぎりを食べておられる。

そういえば昔、私の友達がサラリーマンと結婚し、
「うちの主人の手製のお鮨、
ぜひ食べてほしい! 感激するから!」
と言われた時は笑った。
「あんたらは愛し合ってるからいいかもしれないけど、
よく知らないヒトの握り鮨なんて、
世の中で一番食べたくないわよ!」と、
おえっ、という顔で言った。

友達「あ、そうか!」と言ったくせに、
わざと会うたびに「鮨、鮨。まだ?」と言ってくる。
鮨は鮨屋。

帰ってきたら、知人からメールで、犬の写真が来てた。
ペット好きな人が陥りがちな一枚で、笑ってしまった。
しかも本人はかつて、
「なめ猫」について怒っていたはずではないか。

1999-08-10-TUE

第84回

7月25日・日曜日
自分の部屋で、
テレビブロス、宝島、FROM・Aの原稿を書く。
締め切り直前にあせって書く方が好きだ、という人は多い。
私もそうだ。
だんぜん、しっかり書かなきゃ!と、やる気になる。
ただし、先日もらったライブのアンケートに、
「ブロス」とこのHPの連載と中身がだぶってるのは困る、
ブロスには安いけどちゃんと金を払ってる、とあった。
えへっ。気をつけます。
でも日記なんだからいいじゃない。

コドモ、部屋にやってきて、
「実はこのあいだテストの時に隣の人の答えが見え、
カンニングをしてしまった」
と言いにくそうに言う。
なんてまじめなんだ。親に言うか。
私なんかずうっとカンニング人生よ!
もっとちゃっかりしなさい!
信号が黄色だったら、うまいこと渡りなさい、
ちゃっかりが足らない、ちゃっかりが、
普通するわよ! と変な注意となる。

笑ったのは、友達A子ちゃんの話で、
左の手のひらにびっしり細かく漢字を書いて、
しかもわざわざ
「これならカンニングじゃないよね!
自分の身体だから!」
とまわりに確認してたらしい。
みんな返答に困ってたそうだ。
これもちゃっかりがもひとつ足りない!
おしい!

7月26日・月曜日
仕事の帰りにスーパーへ。
今日は野沢一家が遊びに来るのだ。
直子ちゃんの夫のボブ、到着するやいなや、
勝手にウチの冷蔵庫を開け、
自分の持ってきたフルーツなどを入れ、
「タルトヲツクリマス。イツモタベルダケダカラ」
と作り始めた。
やさしー。
野沢直子はえへらえへらしながら
私とボブの料理を食べるだけだ。
「これが、ちゃっかりだから」と指さして
コドモに教えるいい機会に。
そのうち、美鶴ちゃん一家、ヨーコ、ヤノッチ、中川さん、
遅れて夫、と到着し、にぎやかになる。
コドモ、全部で4人が一緒に遊んでる姿
またかわいいかわいい。
かくれんぼ、ちっとも隠れてないのに隠れた気でいる表情。
「いったい、どこだ?」
「私の子がいない! 困ったわ!」
なんて言うと、
「ココデス! ワタシハココデス!」と
真珠ちゃんが必ず飛び出てくる。

7月27日・火曜日
羽田から青森市へ。
全国の保母さんの集いの、東北編と、東京編の2つに
私が参加するのでした。
今日は東北編。

一緒にトークをする代表の保母さん1名、
ステージ上でいきなり私に、
手話で(こんにちわ!)と挨拶。
とっさに私も「あ、こうやるんですか!」と覚える。
しかし、まわりに手話を必要とする人はいないのになぜ。
そのあともちょこちょこと手話で答えようとするので、
「あの、ちょっと自慢してるっしょ! 手話!」と言った。
英語と手話、ニーズがない時にやられると
途方に暮れてしまう。
なぜかいきなり英語で怒り始めた
「藤田朋子の記者会見」もおかしかったな。

メークを取り、タクシーで帰ろうとしたら、会場の目の前に
ナンシー関さんの実家「関ガラス店」を発見。
「ちょっと、待っててください」とおもむろに
マネージャーに写真を撮ってもらう。
そしたら、本物のお客さんがやってきた。
待っても待ってもお店の人が出てこない様子で、
私にまじまじと
「お店の方ですか?」と訊いたのには笑った。

7月28日・水曜日
ダスキンマンにお掃除をお願いした。
そのあと「アド街っく天国・高山編」のゲスト。
同じく仲代達矢さんもゲストっだったのだが、
気のせいかもしれないけど、スタッフが、まるで
「この方に失礼があったら、刀で斬られる!」かのような
平身低頭の挨拶の仕方だったのがおもしろかった。
心の中で(斬ったりして)と思ったらまた笑えた。

しかし、VTRを見てたら、その笑いも止まった。
なんと、カメラ目線で私の父が出てきたのだ。
確か昔、
「タレントの妻や親がテレビに出てくるほど
みっともないこたーない」と言ってたのに。
しかも、
「愛川さん、ミチコをよろしくおねがいし、ぶほっ」
と吹いていた。
9月3日頃、放送らしいです。

1999-08-18-WED

第85回

7月29日・木曜日
ビバリー昼ズとCBC。
そのあと「天才てれびくん」の収録で、
子供たちにユーミンとUAの歌マネのコツを伝授。
教えといてこう言うのもナンだけど、
だんだん子供たちが、モノマネうまくなってるのが不思議。
うまい、うまいねー、とほめたたえる。
いきなり、担当のディレクターが
「転勤になってしまった」と聞き、しょんぼり。
いい人だったのに。
ヤノッチから「ダンス・レボリューション」という
ゲームソフトを借りた。
向いてなかったなあ。

7月30日・金曜日
日テレ、ロンブードラゴン収録。
いろんなお店に行って、
有名人のサインを見つけるゲーム。

たまたま発見したシンクロの選手、小谷実可子さんの
サインの絵があまりに下手だったので、爆笑してしまった。
普通、ヘタだと、悪いから口にできないもんだけど、
これは、気持ちよくヘタで、
思いっきり口にしてもいいよ!
そんなのびのびしたデザイン。
水中で描いたんじゃないか? そんな絵柄。
欲しくなっちゃった。

YOUちゃんも一緒で、お互いのメールアドレスを交換。
UVケアしながらも強い日差しにしっかりあたってたので、
パックし、たっぷり水分をおぎない、早く寝た。
小林克也さん、暴漢に襲われる! という
大きな見出しの夢を見た。

7月31日・土曜日
LFで生放送。
小林克也さん、暴漢に襲われてなかった!
そのあと、移動。
上野国立科学博物館で、「大顔展」というのをやっており、
南伸坊さんとトークをした。
二人とも顔が大きいから選ばれた、のではなく、
顔マネしている同士だからです。
シンボーさん、
「最近、電光掲示板を見ると、
ちょっとふざけてくれないかなと、思うようになった」
とおっしゃっていた。
スライドを使って二人の顔マネを評価しあう。
ふたりとも、ず、ず、ずさん。
いいお客さんで、楽しかった。
南さん、本当に器の大きな方だなあ。いつもそう思う。

そのあと新宿へ移動し、友達の西条昇くんに頼まれた
「全日本お笑い選手権」の審査員。
小中高生の中から、
日本で一番おもしろい子供を選ぶ、だって。
高校生の部は、さすがに言葉の選び方がおもしろかった。
光ってた。
先生の部、なんてのもあったけど、
こっちはいまいちで、ちょっと寝そうになっちゃった。
テレビにラジオ、新聞社まで来ていた。
いろんな仕事があるものです。

1999-08-21-SAT

第92回

8月27日・金曜日
宝島、夫と写真撮影する。
女子マラソンでニコニコスマイルだった
市橋選手を撮ろうと、外でニコニコ撮影したが、
あまりに似てないため、ボツに。

ヤノッチ、コドモを誘ってプールに連れてってくれた。
後ろ姿がまるで友達同士のようだった。ありがとー。
私は麻布のTWIGGY(美容院)に行き、
WAVEにちょっと寄って、青山ブックセンターへ、
と、独身のような3時間を満喫。
ブックセンターのレジの横に、
ポケモンカードが置いてあった。
そういえば、
野沢直子(サンフランシスコ在住)から聞いた話によると、
ここ最近、道を歩いていると、
しょっちゅう小さな男の子に「あ、見つけた!」
というような表情をされるんだそうだ。
続いて「ARE YOU JAPANESE!?」と、
必死の表情で聞かれるのだそうだ。
「YES」というやいなや、
「READ ME! READ ME! PLEASE!」とか言って、
日本のポケモンカードを
わらわらとポケットから出されるのだという。
「ベトベトン……」など路上で読んであげてるんだそうだ。
すごい事になってますな。

8月28日・土曜日
LFで生放送をして、家に帰り、
コドモと約束してた「自由研究」を手伝う。
到着すると、コドモ、すでにエプロンと
バンダナを用意して待っていた。
「カスタードプリン作り」をやるのだ。
私はもとケーキ屋さんでアルバイトしてたので、
得意になって教える。
砂糖を焦がしたカラメルの甘い匂いと、
焼きあがるあいだのバニラの香りが家中に広がって……。
と、まるでCMのようないい光景みたいだが、
夏のオーブンは最悪だった。汗だーらだら。

できあがったプリンの余熱をとり、
冷蔵庫で冷やしきるまでの間、
コドモはノートをとり、私は洗い物。
そのうち、いろんなところの掃除をしたくなり、はまる。
スカッ。
きれいなダイニングで、レンタルしたまま観てなかった
「シリアルママ」を見る。おもしろかった!
異常な心理モノはおもしろいな!

8月29日・日曜
名古屋CBCで「今田・東野の愛のホンネ家族」のゲスト。
また蛭子さんと御一緒だ。
本番中、話の流れから
「蛭子さんは、誰かのファンだったんですか?」
と聞いてみたら、
「僕はずっと、佐良直美」と、
ごく普通に言ったのに笑ってしまった。
なんでかと聞くと、
「気品があって、歌がうまいし、顔がかわいいから」
なんだそうだ。
気品。

そうして一本目が終わり、
楽屋で私や今田さんたちに聞かれるまま、
賭事などの話をするうち、
「あと一億円はためたいなあ」なんて
軽く言っちゃったもんだから、本番で
「こいつ、一億円欲しいんや! 汚い男やで!! 守銭奴!」
などとつっこまれ、また小さくなっていた。
 
帰りの新幹線のホームに、たくさん人が見に来ていて、
誰だろうと見ると、
「ドラゴンズの選手たち」がいらしていたようだった。
しかも私の前の車両には、SPらしき人がたくさんいて、
ヤノッチが見に行ったところによると
「菅直人代表」だった。
「写真、撮ってもらおーよ! HP用にさー!」と言うと、
「一緒に撮ってくださいなんて、どうしても言えない」
と言う。
本当だ! 私も言えないわ。
「SPがピストル持ってるかもしれないからかな」
と言うと、
「それはない、殺しはない」
とヤノッチ。
政治・芸能・スポーツと
車両をモーラしたのぞみだったけど、
雨で遅れて東京まで4時間もかかってしまった。

8月30日・月曜日
夫、皮膚科に行って帰ってきた。
このところ、なぜかしっしんができてるので。
皮膚科のおじいさんのお医者さんが、
「アレルギーかもしれませんねえ。最近、動物とか?」
と聞くので、
「あ、ハムスターを飼いました」と言ったという。
「どのくらいかな?」と、聞かれたので、
「2月っころでしたか……」と言いかけたとたん、
お医者さんが「ひ、ひいっ!!」という表情で、
瞬間、確かに椅子のまま後ずさったという。
同時に横にいた看護婦さんも、
「ひゃっ!」と目を丸くして凝視したんだそうだ。

「あの、2月っころ、って何かあるんですか?」
と聞いたら、
「え、今あなたニガツッコロって言ったの? なあんだ」
と、ホッとしたらしい。
お医者さんには、ニガツッコロが、
「ニヒャッピキっほど」と聞こえたんだそうだ。
ニガツッコロと、ニヒャッピキっほど……。
ハムスター二百匹じゃ、後ずさりもするだろうて。
そのあとも、
なんだかずっとお互いのニヤニヤが止まらないまま
診察されてたんだそうだ。

8月31日・火曜日
日テレの番組に出たあと、
ヤノッチと四谷でお昼(お蕎麦)。
そのあと、久々に友人のジャズピアニストの
中島久江さんと会った。

「私は今ー、ジャズっていう形にとらわれない
 ピアノ(演奏)に向かっててー」、
と、あいかわらず私の好きなおっとりした口調。
「ここで、せえので盛り上がろう!
 ジャン!で終わろう!」
というのに、すっかり「飽きて」しまったんだそうだ。
なんともったいない言葉。
「盛り上がらなくても、こういう絵を描きたい」
という方向が見えてきて、
そういう演奏だけをしてたくなった、と言う。

しかし需要は、つまり頼まれるライブは、
やはりいつもいつでも
「盛り上がるジャズ!」なのだそうだ。
特に地方ほど「できるだけ、盛り上げてネ」
という顔をされるのらしい。
「盛り上がりに富んだ演奏」、
それをずうっと目指しつつ、続けているのに、
空しく感じられてきた、と。

私が、
「じゃあ、場所によって、ここはプロとしての商売、
 ここでは自分の絵、というように分けるべきでは」
と言ったら、
「うーん、それがねえ、そーゆーことやってると、
 じぶんが表現したいのは何か、というのに、
 嘘つく事になるでしょ? それだとー、つまらないからー。
 ビンボーでも商売の演奏は、
 いっさい、やめようと思ってるの」
と言ってた。

私は感心すると同時に、すっかり手垢のついたような
自分の案が恥ずかしくなってしまった。
とりあえず、新宿PIT-INNなんかだと、
好きにやらせてくださるそうで、
それはありがたいスペースなんだそうだ。

もしよかったら、「ぴあ」など見て、
そういうクリアな考えを持ったピアニストの演奏を、
ぜひ聴きに行ってみてくださいな。
本当にいいピアノなんですよ。

1999-09-12-SUN

最新の日記↑


8月の日記↓

第86回

8月1日・日曜日
羽田から金沢へ。
空港で「伝染るんです・5」を買い、飛行機で読む。
シティモンドホテルというところでライブ。
ここはめずらしいことに、
ホテルなのに、小ホールがあるのだ。
デラックスなシャンデリアの大宴会場じゃない。
いいねー。金沢、リッチだねー。
お客さんもデラックス?で、本当に
「白いハンカチで口を押さえながら笑ってる女性」が
客席にいた。
私はこれをまだ1回もやった事がない。
いつか、記者会見でね。何の。

8月2日・月曜日
そのまま福井へ行き、「おかず屋さん」ロケ。
「実はね……」で始まった、
あるおっさんの自慢話(カネ)にあいづち。
途中からうざったくなってきて、さりげに席を移動。
おっさんたちは本当にカネとカネの話が好きだなー。
「100円あげるからあっちに行ってろ」と、
大空にぽーんと投げてやさしく言えたらなー、と想像。

終了後、「映画に行こうよー」とウチのスタッフを誘う。
「何時から何やってるか、
ぜんぶ私が調べるからさー。ねー」とたのむ。
映画館を調べ、電話、かたっぱしからかける。
「ぴあ」のなかった頃を思いだし、楽しくなってきた。
「そちらの映画館の場所はどこですか?」と聞いたら、
「ウチの映画館を知らない人がこの世にいるのか!」と、
驚いたような声だったのがおかしかった。
場所を聞かれたのは初めてみたいだった。
「ハムナプトラ、7時からなら見れるって。場所はここ」
と指定。
しかし、映画はつまらなかった。
虫がくどい。

8月3日・火曜日
「おかず屋さん」3本収録。
東京へもどり、夜、LFでラジオ番組の録音。
自分の夏休みをとるため、スケジュールも忙しいが、
こうやってまわりにも迷惑をかけてしまっているの。
でも死守するの。
ヤノッチもさすがに疲れてあまり話も出ないの。
でもマイクの前だと元気になるの。
元気なふりをしていると
本当にたちまち元気になってしまう不思議。(字余り)

8月4日・水曜日
郵便貯金ホール(メルパルク)でライブ。
全国の保母さん対象の関東編というわけです。
一見、コギャルたちとなんら変わりはない
保母さん1800名。ほぼ、保母。
でっかいステージで気持ち良かったー。
ピアノもいいやつで、リハから弾きまくり。
「ピアノどころか、ジァンジァンより
自分の声がよく聞こえる!」と言ったら、夫に
「ジァンジァンのスピーカーは
モノラルだったからなあ。」と言われた。
それでミュージシャンたちはあそこで、
わざわざスピーカーを搬入してたわけだ。
そうだったのか!
ステレオ・スピーカーばんざい!

そのあとNHKで8月19日の番組の打ち合わせ。
現場の仕事は好きだけど、打ち合わせみたいなのって、
いきなりたるくなる。
会議室中にエナジーフローが漂っていた。
家に帰ってコドモの部屋で、そのままコドモと一緒に寝た。
タバコ吸わない人のベッドは、
いい香りまでついてるような気がする。

1999-08-24-TUE

第87回

8月5日・木曜日
高田文夫さんが夏休みのため、ビバリー昼ズは
海砂利水魚としゃべった。
久しぶりー。
とにかく何をやっても上機嫌な私。
そのあとCBCを終え、麻布で「アド街ック天国」の
打ち合わせ。
今度、高山で(番組内の)CM撮影をするのだ。
そしてこれが、国内最後の仕事となる。ふふふふー。
そのあと家に帰って荷作り。たくさん本を詰めた。
夜10時の飛行機で、家族との夏休みが始まるのよーん。
どこかは教えないわー。アロハー。
部屋から一歩も出ず、海を見ながら
「何も考えない」ってのをやってみるのだー。

機内で「この気分にピッタリ合う、おだやかーで、
かつ、フレッシュな音楽」を聴こうと、
チャンネルを探していたら、高田文夫さんが一席やってた。
すぐ変えた。

8月6日・金曜日
古ーいコンドミニアムに到着。
ボロくて静かで安くて、外人さんばっかでー、
音にしたら、ワーイ、キキッ、ってカンジ。
どことは言えないけど。ごめんね。

ここでしか着ることのないであろう、
ハデハデなミニワンピースを着た。
気分は日系人なのであーる。
昼寝したあと「マリカのソファー」を読む。
コドモも起きてマンガ。
夫は松本清張。
誰かがごはんと言い出さない限りはこのまま読むぞー。

夕方、中華料理を食べ、
夜、海を見ながら「何も考えない」をしようと、
一人ベランダの椅子に座った。
しかし、実際のところなかなかこれが難しい。
ぼーっとできるのは顔だけで、あんがい頭の中は
いろんな事をしゃべり出すもんです。
頭の中に流れてきた歌にもストッパーがきかない。
ずーっと鳴っていた。
(しかもあまり好きじゃない、
ナショナル住宅のテーマソング
「家を作るーならー」ってヤツ。
「思うのであーりーますー」のところが、
とくにくやしいカンジ)
あんがい「本当に何も考えない」って事って、
修行がいるよーな事なのかもわかりませんね。
いかに「ぼーっとした女子高生」だって、
これは無理だろうて、と、
今度はその女子高生の事を考え始めたりした。
いかんいかん。

8月7日・土曜日
朝起きたら、夫がいなかった。
夫は昔からものすごい「散歩」好きで、
旅行のたびに一人、遠出をして帰ってくる。
これがぜったいくたびれるので、家族は誰もつきあわない。
今日は「適当に3時間くらい」歩いてきたのだそうだ
(3時間って散歩って言えるんだろうか)。
結婚する前も、この人と歩き始めると
「じゃ、次の駅まで」とか言ってえんえん歩くので、
心の中でしょっちゅう文句をたれていた。
ブランチを作って食べ、いざ泳いだら寒かった。
コドモは一般的に、なぜ平気なのだ。
「カゼの子」というけど、コドモというもの、
本当に体感温度に鈍感なのかもしれない。
小さい頃は「そんな格好で風邪ひくじゃないの!」
なんてしょっちゅう言われてましたし。

コドモに「いろんなもぐりのしかた」を見せてもらった。
「では」という表情が、かわいー。
私は「寝泳ぎ」をした。
上向きで寝たまま、えんえんと浮いていられるというのが、
私の特技。いいでしょう。これだと寒くないし。
本当は、そのまま本も読めるんだけど、
これやるとすごーく「これ見よがし」みたいな
「自慢げーな姿」になる。無念である。

そのあと親子で「スターウォーズ・エピソード1」
字幕スーパーなしに挑戦。
理力(フォース)で観ろ、と説得。
映画館ガラガラ。
途中、迷子になった部分もあったが、
なんとか宇宙に飛んできたーっ、て気分で楽しかった。
コドモ、C-3POが気に入ったらしい。
うまいことマネをした。
サイズもそっくりなのでおかしかった。
夜、確かユーミンが「小道に、神を感じた」と、
雑誌で言っておられた
「ロミロミマッサージ」に電話予約。
「いっぱいですが、あさってならOKです」というお返事。
ミロミロ、と、心でしゃれ。

8月8日・日曜日
朝、また夫がいなかった。
「散歩男だよね」と言うと、
「散歩、一回くらいつきあってもいいな」と、コドモ。
「でもおとーさんは一人がいいんじゃない、きっと。
そーゆー時間が欲しいのかもよ」
などと噂しつつ、サラダ、ベーコン目玉焼き、
トースト、コーヒーを作った。
こういう所での料理はなんて楽しいのー。

コドモ、宿題している間に、宮部みゆき読む。
黒人がいきなり部屋に侵入してきたと思ったら、夫だった。
灼けちゃったよ、と言ってた。当たり前だ。
買い物に行ったら、サイババ・グッズに、ブッダ関係、
クリスチャン関係、ヒーリングCD、パワーの石など
売っているニューエイジ・ショップ発見。
購入して行く人をじっくり拝見。
ちゃんと「そういう顔」をしているものだ。

ふと見ると「サイキック・リーディング
(15分35ドル・30分60ドル・1時間100ドル)」
と書いてあるポスターがあった。
ヒラメキ。ぜひ、やってみたい。
ネタになるかもしれないし、
逆にとんでもなくはまるかもしれない。
どっちにも惹かれる。わくわくする。
「日本語の通訳の方っているんですか?」と聞いたら、
「ちゃんと予約すればつきます」とのことで、
「じゃ、あさって!」とやや興奮気味に予約。
鼻息荒くおとーさんに話す。
詳細は次回に。
では、乞うご期待。

1999-08-28-SAT

第88回

8月9日・月曜日
朝、また夫が散歩でいなかった。
今日は現地の大学まで行って来たそうだ。
私は「出た、ムダッ!」と言ったが、
「サイキック・リーディングとかいう方が
ずっとむだ好きだ」と言っていた。

ブランチ後、130度の日焼け止めを塗って、
3人でプールへ。また寒い。
私が低温人間だからなのだろうか。みんな平気そうだった。
夕方から友人お奨めのホテルへ移動。なるほど、豪華な。
でも、正直なところ、ボロ・コンドミニアムの方が
なんだか落ちつく気がした。
豪華って、シャンデリアにしろ、大理石にしろ、
クルーザーにしろ、なんか寒いんですよね。
低温という意味で。
予約したロミロミマッサージ受ける。
あー、いい気持ちーって以外、
深いモノはなにも感じなかった。
ロミロミにもいろいろあるのかなー。鈍感なのかも。

夕方、レストランに行く。
カベルネ・ソービニオン、おいしかった。
しかし、待っても待ってもコドモのだけで、
大人用の料理が遅い。
その旨、文句を言ったら、ウエイトレスが
「確かに、遅かったです。
今夜、パーティーを優先した私が悪かったのです。
マネージャーと相談しました。
お料理、全て無料にさせていただきます。
ソー、ソーリー」と、あっさり。
「いやいや、食べた分は払いたいのです」と
あせってぎくしゃくした英語で止めた。
でも、タダになっちゃった。

8月10日・火曜日
「サイキック・リーディング」、
ドキドキしながらショップの2階の個室で受ける。
リサという女性が見てくれて、
通訳の方が日本語で教えてくださるのだが、
私の背後や、顔などを見ながら言うのではなく、
ちょっと寄り目にするカンジで、
空間の中央一点を見て話す。
「前世から見てみます」と言う。
ちょっと笑いそうになっちゃった。
いきなり普通に言うんだもの。
とにかく私の前世は
「イタリア人で、被爆した人々の
皮膚を調査する仕事をしながら、
励ましの言葉で弱った人間をたくさん癒していた」
のだそうだ。イタリア。リタイア。
「そ、その前は何だったんですか?」と聞いたら、
「イギリスで、アートを見極める仕事で、
のちに画廊も経営してました。
絵を見極める、という目の力が大切な仕事です」
とまじめに。
「現在のあなたには、たいへん重みがあり、
かつ非常に明るいオーラを感じます。
人々を癒したり、アート関係に思い当たる何かを
お持ちではありませんか?」と言う。
アート。顔マネか。あれ、癒しか。
と同時に(いや、こうして占いみたいに、当たってる
ところを自分で探してしまうものかも)とも思った。
でもそのあと、
「あなたのお母さんはどーのこーの、
お父さんはどーの」と、ちょっとぎょっとするような
プライバシーな事実が当たっていくので、
「すごいじゃん!」と見直した。
立ち上がって拍手したくなった。
しかも、
「言いにくいのだけれど、
あなたは普段あまり、まじめな姿でいない事が多いようだ。
ちょっと不真面目?な印象です」なんて笑って言う。
どんな姿が写っているんだ。
でも、ピンポンじゃん! と、
ここですっかりミイラとりがミイラになっちゃった。
あんまり感激してたら、個人的に
「力になってくれる石」をプレゼントしてくれた。

帰りながら、この浮き立つような楽しさは、
もしかして、もうひとつ、
「自分だけの事を、誠心誠意、
心をこめて集中して話してくれる」ところにも
あるのではないか、とも感じた。
これって大人になると
誰にでも不足しがちなことですもんね。
いつか日本で流行るかも、と思った。

8月11日・水曜日
夫、散歩で、妻、読書、
コドモ、プールでプッカプカという構図、また再現。
プールサイドに、
日本人旅行客が置いていったらしき雑誌があり、
音楽雑誌をめくってみたら、世良公則の記事に
「俺は一生をかけて、世良公則になりたい」
と書いてあった。
切り取って、こういうのを集め、
いつかライブで何かを言いたい。
でも破る勇気がない。
せめてこの日記で、と思ったのでした。
夫の読み終わった松本清張「わるいやつら」を借りて、
はまった。単純に面白い! サイコー!
カネ欲もエロも、淡々と事務的に描かれている方が
ずうっとやらしーもんかも。

夕食、生まれて初めて「アーティチョーク」を正式に注文。
これって下の歯でこそいで食べるもんだったのか!
知ってましたか、皆さん!
いつか、茹でても茹でてもまずかったのは、
茎まで食べてたからだったんだ!と納得。
メニュー見ながら「チョコラテ!チョコラテ!」とコドモ。
見ると「CHOCOLATE」だった。笑った。
英語を読めないけど、ローマ字で読むのって、
なぜかおかしく、夫婦で、これは?これは?と、
どんどん読ませる。
「メヌ!(MENU)」
「スントリー!(SUNTORY)」
「ベー!(BEER)」
「フレー!(FREE)」など、
聞くたびになぜか笑いが止まらなかった。
コドモも笑っていた。

部屋に帰ってコドモ、テレビで昔の
「トムとジェリー」を見ながら、
人はこんなに笑えるものなのか、と思えるくらい
苦しそうにベッドを叩きながら笑っていた。
宿題、途中で完全に忘れられている。
こんなに笑わせられる制作者が羨ましかった。

そのあと日本のニュースで、
きんさんぎんさんの誕生日をやっていた。
「成田きん、ヨーダそっくり!」と、夫。
誰だってトシ取ると、シワの顔なんじゃない、
と言いながらも見たら、本当に似ていた。
アホ知的、と言ったら失礼か。でもそんなカンジ。
アホ知的。いいじゃない。

コドモが寝たあと、TVで「レニー・ブルース」の
ドキュメンタリーをやっていたので、深夜まで夫婦で観た。
わっ、そこまで写さないで! という部分もあり、
けっこうきつかった。でも顔がカッコいい。

8月12日・木曜日
帰宅。
数少ないメールの中、ナンシー関さんから1通きてた。
「(送った写真を見て)地団駄踏んでみました」に笑った。
「写真を見た瞬間、カメラをわしづかみにして、
飛騨高山のジャズ喫茶(私の実家)に行き、
写真を撮れない自分の行動力のなさがくやしい」
とあり、ひゃっひゃっひゃーと、爽快。

野沢直子の制作した映画を観る。
途中、ふと予感がして、コドモに見せないようにした。
「おめこちゃん」だって。
今度は私が地団駄踏んでみました、だ。
メールした。

8月13日・金曜日
「ごきげんよう」を観てたら、
「高校生になった清水ミチコ」の写真が出てきてびっくり。
X-GUNめ。
そのあと2本仕事。
夏休みは終わった。たまってた原稿書く。
でも、仕事もけっこう好きだ。
趣味かもしれない。

1999-08-30-MON

第89回

8月14日・土曜日
今日、本番前のニッポン放送のブースに、
小笠原局長がテンション高く、明るく入ってきて、
いきなり小林克也さんに「おはようーございまーす!」
と声かけて肩をもみはじめた。
10秒ほどたって、局長、もみながら
「おやっ? 肩、コッてないっすねえ!
いつもこんなにコッてないの?」と、まじめに驚いていた。
小林さん「え? コッてますよ、僕は」だって。
「いやあ、コッてないコッてない。
ぜんっぜんコッてない!」と、
言いきる局長もおもしろかったが、
しばらくして、小林さん、奥さんに
「肩、コッてるよねえ? 僕。いつも」と、
まじめに確認していたのがおかしかった。
局長と小林さんの両方の大人が、
まるでコッてた方がえらい、みたいな会話なんだ。
肩コリがあってこそ一人前の男、みたいな。

8月15日・日曜日
FM群馬で花火中継のゲスト。
気分よくしゃべっているのに、
アナウンサーの男性がいちいち
「どーですか、幸田シャーミンさん?
あ、楠田枝里子さんだ!」などと、
モノマネふってくるのがしまいにうざったくなってきた。
はい次これ、はい次これ、ってカンジ。
しかも「ふってあげた」みたいな顔でさー。
私の話も聞けよ!
いい事も言ってるじゃん!
今ボケたでしょ!
と最後はすっかり不満を顔に出してしまった。
もうここには呼ばれないな! きっと! と思ってたら、
別枠の時間でのレギュラーの話をいただいた。
わかっとるねー、だって。

それにしても
花火をあんなに近くでちゃんと見たのは初めてで、
これがけっこう感動。音もいいですよね。
一発50万円ほどもするんですって。
一発っすよ。
知ってましたか皆さん!
私は今までの人生の中で、
花火の値段なんてちっとも考えてなかった。
こんなに見事で立派なカネの使い方があったなんてね!
日本は、いいね!

8月16日・月曜日
ヤノッチ、コドモを誘って
ボーリングに連れて行ってくれた。
ヤノッチの行動力はホント、すごいなー。
よく小学生なんか誘ってくれるわー。
私はとにかく眠かったので、
昼寝したいよー、と甘えて寝る事にした。
コドモ、凄いコーフンして帰ってきて起こされた。
今って、ボーリングに
「ガーターが出ないようになるシステム」が
あるのだそうで、ヤノッチが
「そーいうのやってみる?」とコドモに聞いたら、
「やらない。ガーター出してもいいから、
自分でやりたい」と言ってたらしい。
「カンニングもさー、やっぱりした時気持ち悪かったもん」
と、私を見ながら言ってた。むせた。

8月17日・火曜日
日テレの峰竜太さんの番組に出演。
取材2本済ませて、東京国際フォーラムに行って、
デビッド・カッパーフィールドのイリュージョンを
ヤノッチと観た。
16列目と、前の方の席で観る事ができたせいか、
びっくりした。
目を疑ってしまった! イリュージョン!
デビッド・カッパーフィールドって、
外人なのに、やけに足が短いのだ。衝撃だった。
足長く見せるマジックなんて、簡単なのに!
まれに見る短さ! 個性的!
ホントに、舞台に出された、日本人のお客さんの方が
ずっと長かったんですよ!
外に出てもっとびっくりした。
おっかけがいっぱい! カメラいっぱい!
マジックもすごいんだけど、
そっち関係の方にびっくりしてしまった。
あと、本人が消えたり、宙に浮いてたり、
瞬時に遠くに出るのを普通にやってる、
ユーミンのステージってのは、
世界的にすごいレベルって事なんだなあ、とわかった。
今週は、日本人って凄い、と思う週間だ。

1999-08-31-TUE

第90回

8月18日・水曜日
先月ごろ、
「えーっ! いーの?」と言いたくなるような
映画のお仕事をいただいていた。
でも、ヤノッチが
「清水のスケジュールこんなんですが、いかがでしょう」
と、その方に相談したところ、
「えーっ! こんなに忙しいのーっ?」
(ホントにそう言ったそうだ)ってな事で、
今日、あらためて話がボツになってしまった。くしゅん。
私は今年から
「できるだけ仕事を断らないキャンペーン中」を
はってるので、こんな事にもなる。
コツコツやりなさい、とは聞くけど、
ちまちました仕事って入れないようにした方がいーのお?
などと考えてしまいました。

8月19日・木曜日
ラジオのあと、お台場のZepp Tokyoというクラブで、
NHKの番組「歌と踊りの大冒険」の司会。
ゲストの高野寛さんに、
「ほぼ日の清水さんの日記、読んでますよ」
なんて言われて、たちまち嬉しくなった。
ちまちまいいぞー。
(って、これって仕事じゃないんだけど)。

番組の収録後に、みんなでビールで乾杯し、
写真大会になったら、細野晴臣さん
「清水さん、顔マネしないの? じゃあ、僕、やろうっと」
と、おっとりと言い、
いきなり坂本龍一さんの顔になられた。
めずらしい人だ。
記念に掲載いたしました。


8月20日・金曜日
朝早くっから、車で岐阜・高山へ。
安房トンネルの開通で、到着が早ーい。
ドア・トウ・ドアで4時間。
仕事なんだけど、実家なんで、コドモも連れていく。

さっそく父親が「まあ聴け」と、
買ったばかりのでかいスピーカーから、
フルボリュームでジャズを流した。
あまりにも嬉しそうなので悪い気がしたが、
母親に「じゃあ孫をよろしく」と言って、
すぐにホテル(「アド街ック天国」の撮影の
集合場所だった)へ移動し、着替えとメーク。
ドレスでピアノを一曲弾いて、
着物に着替え、人力車に乗った。

終了後、世にもおいしい食事をいただき、
夕方、コドモと一緒に私の幼稚園時代からの友達である、
公ちゃんの家にぷらぷらと出かける。
公ちゃんは去年からアジア系の民芸小物ショップを
開いており、ちょっとの間「どれ」、と店番。
コドモはビーズでネックレスを作ってた。
信じられなーい! そっくりさんじゃないのー!
と、広島からきた高校生たちに囲まれた。
ビーズのネックレスができたのを見て、
「これって売り物? 私が欲しい!」
とおせじを言って買ってやろうとすると、
「お店に本当に置いてほしいからダメ」とコドモ。

8月21日・土曜日
高山の「ホテル・アソシア」(いーとこよー)で、
去年からお願いされていた1時間ライブ。
なつかしい友達がきてて、ちょっとうるうる。

そのあと家族と夕食。
その食後に、私の好きなラーメン屋さんへ。
贅沢っていうか、貧しいっていうか。
でも、高山のラーメンはだいたい小ぶりにできてるので、
いけるもんなんです。
実家では「ざぶっと、行くか? ざぶっと」
(ラーメン食べるという意味。方言ではない)
なんて言い方するので、ますます食べたくなる。

8月22日・日曜日
「偶然、きのうから高山に帰ってた」
という、よっちゃんが実家に来た。
小学生から一緒で、みんなの憧れの女の子。今もかわいい。
「公ちゃんと、食事に行くんかー」と
ヤキモチ風に私に言ったのがおかしかった。
私とよっちゃんと公ちゃんの3人は、
当時から仲がいいのに、どっちか取り合いの、
ヤキモチ焼きあい、みたいな仲だったんで。
よっちゃんチ(資生堂化粧品販売店)まで歩き、
アルプチン効果のエッセンスなどを買う。

夕食に家族で、
実家(スパゲッティ屋と、お弁当屋をやってるんで)
のものをいただく。これも私の家庭の味なんだなー。
ずるずる。
母親と話をしてるうちに、
「ピアノ見た?」なんて言うので4階に行ったら、
グランドピアノが置いてあった。
中古で買ったらしい。わーい。
帰宅した弟の
「矢野顕子のコピー・奥田民生のコピー(歌なし)」
演奏を聴く。

今やジャズよりも「矢野顕子様のピアノものCD」に
はまっているんだそうで、それはとても正しい、と評価。
この歌詞はこういう意味、あの曲はどうの、と、
兄弟で話しながら弾きあう。
それにしてもCD
「ピアノナイトリイ(PIANO NIGHTLY)」は、
本当におすすめです。

「パソコン貸してー」と言って、
このHPを見ようとしたら、
(遠くに行くと見たくてしょうがなくなるんですよね)
今、まさに故障中、と言われた。

1999-09-04-SAT

第91回

8月23日・月曜日
東京へもどる前に買い物。
ここは岐阜の高山なのに、
DEPTや、HOLLYWOOD・ランチマーケットなどが
並んである一角があるのだ。
しかも品揃えが豊富なんだなー。
明日のテレビ用の洋服を数点購入し、朝市によって野菜と、
ラーメン屋さんでラーメンまで買い、実家の家族と谷口さん
(壁の穴のやさしい店長さん、実の娘よりも長く
 ウチにいてくださっているありがたき方)に挨拶した。
お弁当をもらって、車に乗った。
手を振りながら、
「ちょっと泣きそうになっちゃた」とコドモ。
じわっとしてる間もなく、すごい渋滞にはまり、
なんと6時間。
音楽聴くのも飽きるしよう。
しかし、こんな時こそお弁当がありがたかった。
みょうがごはんと、煮物と、野菜のてんぷら。
お茶にコーヒー。おお、お菓子まで。
さすが家のママ、天職だねー、
サンキューベリーマッチー、と感謝して食べる。

8月24日・火曜日
「笑っていいとも!」のコーナーゲスト。
メーク室でみんなと軽く話をしてたら、
私が住んでいるマンションと、ココリコの田中さんの
マンションがすぐ近所だとわかった。
私もへえー、と少し驚いたが、田中さんは、何というか、
息が止まったくらいの、「驚愕」の表情だった。
それを見た私が、また再び驚いてしまったくらい。
驚きは伝染するもんなんですね。
暗闇などでのバッタリも、先に相手に激しく驚かれると、
驚かれたこっちがそれにもっとびっくりする、みたいな。
しかし、よく見れば田中さんは、
もともとそういう顔つきでもあるようだった。

ところで、田舎のおばさんと、都会のおばさんの違いは
この「驚き」具合にある、と思います。
都会のおばさんって、すぐに驚く、というか、驚き上手。
たとえば何かあげた時なんか、
「あらっ!! こんないいものをっ!?」と
ややオーバーリアクション。
田舎は、ちっとやそっとじゃ驚かないですよね。
じわー、の、しーん、って感じ。
「なんでくれるん……?」みたいな。

8月25日・水曜日
仕事から帰ったら、大橋君たち4名が家に来てた。
「ごきげんよう大賞の受賞、おめでとうございまーす」
だって。
「君のこと話したの、見た?」と言ったら、
「ハイ。お役に立ってましたねえー」と、
あいかわらず「ですます調」で嬉しくなった。
「すみませんが、テレビをつけてもいいですか?」
と聞くので、いいけど、何見るの? と聞いたら、
夏休みにずっと見てた「昼ドラ」にはまってるという。
「大好き! 五つ子」とかいうタイトルで、
見ながらウチのコドモも、
「私も時々これ楽しみなの」なんて言ってた。
おまえは30代の主婦か。
しかし他のコドモらみんな見ていたのだった。何なの。
夕方、それをヤノッチに話したら、即座に
「あ、あのドラマ! 私もはまってる!」と言う。
みんな、何なの……。いつのまに……。

8月26日・木曜日
お台場の帰りに、ヤノッチと遅いお昼ごはんへ。
麻布の焼き肉屋さんで、
ランチの「石焼きビビンバ」セット。
あまりにもおいしい。時間よ止まれ。
じゅっ、と香ばしい。甘くて辛くて香ばしい。
私は焼き肉屋さんの主役の「焼き肉」よりも、
脇役のメニュー(ケジャン、ナムル、ユッケ、
ビビンパなど)の方がずっと楽しみです。
最近の焼き肉屋さんには
「ランチ」というシステムがあるんで、
焼き肉ナシでも大手をふって単品でオーダーできるから
めちゃ嬉しい。

(もとスタッフの)美鶴ちゃんたち来宅。
娘さんの美雨ちゃん(1才)連れてきてて、かわいー。
しかし私が抱っこしたら、
たちまち火がついたように泣いた。
泣きたいのはこっちだー。
歌(まいごのまいごのー)など、気味が悪いくらいの
やさしいソプラノでゆったり歌ってあげた。
じっとニコニコ聞いていたので、ころ合い見て
また抱こうとしたら、また泣き出した。
こういう時って、親がおろおろしたりする。
(なついてあげて!)みたいな。
わかるわかる。大丈夫大丈夫。
「しかたないよ、そう面識ないんだから」と言ったのに、
コドモ、1才児をスタスタと抱っこして歩いていた。あれ。
それを見ててふと思いだした。
ウチのコドモが、やはり1才くらいの時、
テレビ局に連れてった時があったんだけど、
他の芸能人には誰にでもニコニコしてたのに、
松本人志さんが顔を出した時だけ、
ぎゃっ、というカンジで、たちまち火がついたように
泣きだした事があったのでした。
赤ちゃんって、みんな何かを、感知できるものなのね。
何かを。

ところで、「イチョウ」って、知人に聞いたところ、
なんと、の、の、脳軟化症に効くんだそうです。
じゃ、身体が摂取したがってた私って、もう始まってるの。

詳しくは、このHPのスタッフ紹介の清水ミチコの項目 参照。
わーん。

1999-09-07-TUE

第92回

8月27日・金曜日
宝島、夫と写真撮影する。
女子マラソンでニコニコスマイルだった
市橋選手を撮ろうと、外でニコニコ撮影したが、
あまりに似てないため、ボツに。

ヤノッチ、コドモを誘ってプールに連れてってくれた。
後ろ姿がまるで友達同士のようだった。ありがとー。
私は麻布のTWIGGY(美容院)に行き、
WAVEにちょっと寄って、青山ブックセンターへ、
と、独身のような3時間を満喫。
ブックセンターのレジの横に、
ポケモンカードが置いてあった。
そういえば、
野沢直子(サンフランシスコ在住)から聞いた話によると、
ここ最近、道を歩いていると、
しょっちゅう小さな男の子に「あ、見つけた!」
というような表情をされるんだそうだ。
続いて「ARE YOU JAPANESE!?」と、
必死の表情で聞かれるのだそうだ。
「YES」というやいなや、
「READ ME! READ ME! PLEASE!」とか言って、
日本のポケモンカードを
わらわらとポケットから出されるのだという。
「ベトベトン……」など路上で読んであげてるんだそうだ。
すごい事になってますな。

8月28日・土曜日
LFで生放送をして、家に帰り、
コドモと約束してた「自由研究」を手伝う。
到着すると、コドモ、すでにエプロンと
バンダナを用意して待っていた。
「カスタードプリン作り」をやるのだ。
私はもとケーキ屋さんでアルバイトしてたので、
得意になって教える。
砂糖を焦がしたカラメルの甘い匂いと、
焼きあがるあいだのバニラの香りが家中に広がって……。
と、まるでCMのようないい光景みたいだが、
夏のオーブンは最悪だった。汗だーらだら。

できあがったプリンの余熱をとり、
冷蔵庫で冷やしきるまでの間、
コドモはノートをとり、私は洗い物。
そのうち、いろんなところの掃除をしたくなり、はまる。
スカッ。
きれいなダイニングで、レンタルしたまま観てなかった
「シリアルママ」を見る。おもしろかった!
異常な心理モノはおもしろいな!

8月29日・日曜
名古屋CBCで「今田・東野の愛のホンネ家族」のゲスト。
また蛭子さんと御一緒だ。
本番中、話の流れから
「蛭子さんは、誰かのファンだったんですか?」
と聞いてみたら、
「僕はずっと、佐良直美」と、
ごく普通に言ったのに笑ってしまった。
なんでかと聞くと、
「気品があって、歌がうまいし、顔がかわいいから」
なんだそうだ。
気品。

そうして一本目が終わり、
楽屋で私や今田さんたちに聞かれるまま、
賭事などの話をするうち、
「あと一億円はためたいなあ」なんて
軽く言っちゃったもんだから、本番で
「こいつ、一億円欲しいんや! 汚い男やで!! 守銭奴!」
などとつっこまれ、また小さくなっていた。
 
帰りの新幹線のホームに、たくさん人が見に来ていて、
誰だろうと見ると、
「ドラゴンズの選手たち」がいらしていたようだった。
しかも私の前の車両には、SPらしき人がたくさんいて、
ヤノッチが見に行ったところによると
「菅直人代表」だった。
「写真、撮ってもらおーよ! HP用にさー!」と言うと、
「一緒に撮ってくださいなんて、どうしても言えない」
と言う。
本当だ! 私も言えないわ。
「SPがピストル持ってるかもしれないからかな」
と言うと、
「それはない、殺しはない」
とヤノッチ。
政治・芸能・スポーツと
車両をモーラしたのぞみだったけど、
雨で遅れて東京まで4時間もかかってしまった。

8月30日・月曜日
夫、皮膚科に行って帰ってきた。
このところ、なぜかしっしんができてるので。
皮膚科のおじいさんのお医者さんが、
「アレルギーかもしれませんねえ。最近、動物とか?」
と聞くので、
「あ、ハムスターを飼いました」と言ったという。
「どのくらいかな?」と、聞かれたので、
「2月っころでしたか……」と言いかけたとたん、
お医者さんが「ひ、ひいっ!!」という表情で、
瞬間、確かに椅子のまま後ずさったという。
同時に横にいた看護婦さんも、
「ひゃっ!」と目を丸くして凝視したんだそうだ。

「あの、2月っころ、って何かあるんですか?」
と聞いたら、
「え、今あなたニガツッコロって言ったの? なあんだ」
と、ホッとしたらしい。
お医者さんには、ニガツッコロが、
「ニヒャッピキっほど」と聞こえたんだそうだ。
ニガツッコロと、ニヒャッピキっほど……。
ハムスター二百匹じゃ、後ずさりもするだろうて。
そのあとも、
なんだかずっとお互いのニヤニヤが止まらないまま
診察されてたんだそうだ。

8月31日・火曜日
日テレの番組に出たあと、
ヤノッチと四谷でお昼(お蕎麦)。
そのあと、久々に友人のジャズピアニストの
中島久江さんと会った。

「私は今ー、ジャズっていう形にとらわれない
 ピアノ(演奏)に向かっててー」、
と、あいかわらず私の好きなおっとりした口調。
「ここで、せえので盛り上がろう!
 ジャン!で終わろう!」
というのに、すっかり「飽きて」しまったんだそうだ。
なんともったいない言葉。
「盛り上がらなくても、こういう絵を描きたい」
という方向が見えてきて、
そういう演奏だけをしてたくなった、と言う。

しかし需要は、つまり頼まれるライブは、
やはりいつもいつでも
「盛り上がるジャズ!」なのだそうだ。
特に地方ほど「できるだけ、盛り上げてネ」
という顔をされるのらしい。
「盛り上がりに富んだ演奏」、
それをずうっと目指しつつ、続けているのに、
空しく感じられてきた、と。

私が、
「じゃあ、場所によって、ここはプロとしての商売、
 ここでは自分の絵、というように分けるべきでは」
と言ったら、
「うーん、それがねえ、そーゆーことやってると、
 じぶんが表現したいのは何か、というのに、
 嘘つく事になるでしょ? それだとー、つまらないからー。
 ビンボーでも商売の演奏は、
 いっさい、やめようと思ってるの」
と言ってた。

私は感心すると同時に、すっかり手垢のついたような
自分の案が恥ずかしくなってしまった。
とりあえず、新宿PIT-INNなんかだと、
好きにやらせてくださるそうで、
それはありがたいスペースなんだそうだ。

もしよかったら、「ぴあ」など見て、
そういうクリアな考えを持ったピアニストの演奏を、
ぜひ聴きに行ってみてくださいな。
本当にいいピアノなんですよ。

1999-09-12-SUN

第92回

9月1日・水曜日
コドモの始業式。防災の日で、小学校で
「親による子供の引き渡し訓練」もあった。
「防災の話を聞き、頭巾をかぶったコドモと家まで
一緒に帰る」というものです。
しかし、約束の午前11:00に父兄集合の校庭に行ったのに、
誰もいない。青空ひとりきり。
事務の方に「今日、引き渡し訓練ですよね?」と聞くと、
「11時半からです」、と言われ、
カン違いだったと気がついた。

しかたなく、20分ほどコンビニで雑誌を立ち読み。
コンビニって涼しい。本当にありがたい。
でも、これといって欲しいモノがなく、
久々にメロンパンを買った。
メロンパンってよく見るとただの黄色じゃなくて、
メロンだけに薄く黄緑だったんですね。
余裕で到着すると、頭巾をかぶった小学生、
みんな頭がムレムレだった。

9月2日・木曜日
ラジオ2本生放送。
始まる前に、「こないだSFの人喰い人種の語を読んで、
面白かった、なんて話をしたいんだけど、
人喰い人種ってまさか差別用語じゃないですよね」
と、笑いながら聞く。
「当たり前でしょう、存在しないんだから」、
とすぐ言われるかと思ったら「え、ちょっと調べます」、
なんて言うので、「あ、それほどの話でもないから
別に大丈夫。」(本音)と、止めた。
いたりして。禁止だったりして。

用語と言えば、前々から私が気になってたのは、
「バラバラ殺人」という言い方。
ちゃんとしたニュースでも堂々とまかり通ってるんだけど、
いくら「バラバラだったから」って、
けっこう失敬なんじゃないでしょうか。
あまりにもまんまじゃないですか。
もし自分がそういう事態になった時、
「あ、バラバラ」なんて思われたら、
よけいにくやしがりそう。
「バラバラじゃないの! 個別になっただけ!」と、
墓に刻んでほしい。

試写会・「奇人達の晩餐会」を見に行った。
毎週水曜日になると、それぞれが奇人を連れてきて笑う、
というパーティがあり、ある日主人公がこれこそ奇人!
という男を発見するが...。というお話。
私はこの登場する奇人たちがどんなん出るのか
すごーく楽しみでウヒヒヒー、だったんだけど、
けっこうヒューマンなフレンチポップスでした。
まあこれはこれで。

9月3日・金曜日
友だちのみくちゃんたちと、高平哲郎さん演出の
ミュージカル「上を向いて歩こう」を見に行った。
見に行ってよかった。たっぷり面白かった。
今まであんまりプレスリーに興味がなかったんだけど、
中で歌われてた曲がカッコ良くって、
休憩時間に生まれて初めてプレスリーのCDを買った。
CDについてる湯川れい子さんの解説、
湯川さんのしゃがれ声で聞こえてくる。
ちょっと挨拶に行った帰りに、楽屋口にカメラを持って
集まっていたおばさまたちから「お疲れさまー!」
と口々に言われた。出てないのに。

9月4日・土曜日
LFで生放送。そのあと、ヤノッチが「サッカーの試合」を
見に行くと張り切っていた。
帰りに一人でタクシーに乗ると、雨が降ってきた。
もうすぐ家に到着、という頃、コドモが傘をさして
下校している姿が目に止まり、
「あ、やっぱりここで結構です」
と、途中でタクシーから降りた。
「おーい! 傘に入れてよー」と言ったら驚くだろうな、
フフフ、と思ったのだ。

しかし、そう言ってみたら一瞬、うっすら迷惑そうな顔を、
(さっともとに)もどしたのがわかった。
友だち同士の方が良かったのに、みたいな顔を
見てしまった。
わ、成長! 昔と違う! しかし、引き下がるのも変だし、
そのまま一緒に帰った。子供たちも、気のせいかうっすら
「大人用の子供同士の会話」に切り替えてたみたいな。
自分だけはうざったいおかんにならない、
私の場合、なれないのよネ、なんてタカをくくってたのに。

9月5日・日曜日
「天才てれびくん」収録。
本当は槙原敬之さんの歌をマネする予定だったが、
あの事件で、振り付けの南流石さんと一緒にPUFFY。
南さんとは、たまたま先月も別の番組でお会いした。
その時は私に「踊り以前に、清水さんの身体に芯がない」
と名言し、笑ったのだが、今回は「芯」を持って
張り切り踊る私に「ひざがふざけてる!」と指摘してきた。
ひざがふざけていたのか。
それで踊れば踊るほど、「踊りをコバカにしたような踊り」
になってしまうのか。

ただし南さんは、多少のサービスもあって
あえてきつめに言ってくださってるのだが、
終了後、子供は本気でなぐさめの言葉をかけてくれた。
私も始めはヘタだったの、とか、
でもおもしろいと思うよ、だって。

1999-09-15-WED

第94回

9月6日・月曜日
家に帰ったら、コドモが足にホータイを巻いて
「おかえり」と言うのでひゃっ、と背筋が凍った。
階段から落ちたのだそうだ。捻挫らしい。

しばらくして、大橋君ら3名がやって来た。
お見舞いですー、だって。嘘つけ。
キッチンでさりげなく子供達のうわさ話を聞いていたら、
みんなである一人の男の子の悪口を言い始めた。
そう言うな、とあとでコドモに言おうかと思ってたら、
その噂を聞くうち、そら言われるわ!とアッターきた。

女の子の顔にツバをしたり、机ごとひっくり返す、など。
でも笑ったのは
「注意してもすぐ怒ってさー、
そんで、自分っからぴょーんとジャンプしながら、
頭ごと誰かに自分のデップをつけるんだよな!」
と、いうワザ。
ジャンプ、がかわいい。

おやつを出しながら、
「あんたたち、いっつもゲームして
やりっぱなしで帰ってるから、ちゃんと帰るとき
かたずけてね。特にコンセント!」と言うと、
全員で「はーい」といい返事。

でも、コンセントだけ抜いてあって、
結局放ったらかしだった。
アッターきた。

9月7日・火曜日
友達のみくちゃんと新宿・伊勢丹の
「ピカビア展」に行ってきた。
初めは、うまいのかヘタなのか、
それすらよく分からない絵だなあ、と思って
歩いて観てたんだけど、
後半、すごーく興味が出てきたと同時に、
ぐんぐん気持ちが悪くなってきて、ぐったり疲れ、
強力な睡魔に襲われた。
なんか、絵って見てるとこういう時ないですか?
バシッと頬をひっぱたかれた、というんじゃなくて、
くにゃ、と、音もなくどこかをねじられたような
不快なカンジ。

おもしろいな、と思い、
帰りにピカビアのポスターを1枚買った。
自分の部屋に貼ってみたら、
やっぱり見てるうちにずーんと重くなり眠くなり、
すぐに寝た。催眠絵画だ。

9月8日・水曜日
仕事が早めに終わり、また今日も別の美術館へ。
芸術の秋ですね。
でもこっちはいまいち面白くなかった。

それより読みかけの文庫が面白くなりかけてて、
美術館の椅子に時々座って読みふけってしまった。

もう少しで読み終わる、という帰り道、
今度は近所の本屋さんで「ちょっと寄ってこ!」と、
マンガ「BANANA FISH」を買って読み始めた。

連れの夫、歩きながら「皮膚科の結果が出た」と言う。
原因は、「ストレスの一種」だったそうだ。

あっ。私じゃないよね! 原因は。
ぱくぱく。ぱくぱく。

9月9日・木曜日
ビバリーとCBC。
つくづくラジオは楽しいな。

家に帰ってから、コドモを美容院へ連れて行く。
「段カットでお願いします。段カットで。
では、失礼します」と言って、
時間までスーパーへ行った。
なぜ2度も強調したかと言うと、
前回、この美容室でやはり段カットとお願いしたのに、
できあがったコドモの頭を見たら、
完全に「おかっぱ」状態だったため。
あれっ?ぜんぜん伝わってないじゃん?と思ったのだ。
文句言うのもなんだし、
その時はスマイルでお礼を言ったのだ。

しかし、今日は2度も強調したのだ。
1時間ほどして引き取りに行ったら、
なんと、また「おかっぱ」じゃねえか!
なんだなんだ、ウチの子は「おかっぱ」がお似合いとでも
言いたいのか! ワカメ似か!
と、のどまで出かかったが、やはり言えない。

それにしても、「まちがえました」でもない、
「こちらの方がよろしいかと思いまして」でもない。
伝わってないわけがない。
店員さん、みんなただただ幸せそうに
ニコニコ送ってくれたのだ。

段カットがどうのこうのでさあ、と、
夫に文句をたれてる途中、友達から電話がかかってきて、
また同じ内容をしゃべった。
段カットって言葉ばっかり、何度も口にした日だった。

9月10日・金曜日
午後、番組で山下洋輔さんとお会いした。
すごかった。圧倒的。
なんというか、紳士的でやさしく、カッコ良く、
人と距離を取られるすべを
自然に身につけておられるような。
誰にもやさしいけど、見えない強いバリアー。

もしかしたらカリスマと芸術家の違いって、
「徹底的に人々を寄せつけてしまう術」か、
「(寄る人々を)いかに寄せつけないかの術」を
身につける違いにあったりして、と、ちらっと思った。

それにしても最近の日本の50代は、
会う人会う人みんなが強靭というか狂人というか、
ともかく特殊な人間のように見える。

夕方、気を取り直し(?)、
ヤノッチと坂本龍一さんのオペラへ。
これまた濃厚に面白く、今日は本当に、
ロウソクでも立てたいような豪華な一日だった。

1999-09-23-THU

第95回

9月11日・土曜日
仕事で始まる土曜日。
今日は夕方、たまたまいいテレビを観た。
一回っきりの放送みたいだったけど、フランス制作で、
子供にもわかりやすい宇宙の30分番組。

「こうしている今も、地球はらせんを描きながら、
凄い速度でどんどん中心(ビッグバン)から
遠くに離れて行ってるのです」
って、皆さん知ってましたか?
地球って本当に「船」なんですね。

ナレーションも、まるで詩の朗読でもするかのように
「ビッグバンの爆発以前は、
宇宙はどうなってたのでしょう。
答えは、何も、ないのです」。
何もない。だって。超クール。
あと、
「太陽によって地球は生きています。
しかし、その太陽もいずれは燃料切れします。
じゃあ、私達の子孫はいったいどうなるのでしょう。
ご安心ください。その頃には、
とっくに生物は死滅しています」
など、スケールのでかい話が希望もなく進むので、
小気味よかった。

9月12日・日曜日
このところ毎週ビデオをまとめて7本ほどレンタルし、
一日に1本観るぞ、というのをやってる。

今日は「何がジェーンに起こったか?」。
幼少時代に売れっ子だった妹と、
後年になって演技が評価される女優の姉の、
皮肉な内容のこわーい話。
二人とも今は年寄りになってて、
妹は気が狂ってる設定なんだけど、
そのメークが鈴木その子さんのように白くて濃い。
志村さんのバカ殿にしろ、暗黒舞踏にしろ、
白いメークは妙に恐いものだ。
最近の鈴木その子さんには、
ずいぶん慣れてきたものだけど、
最初に見たananなんかの広告ページでは、
確かにかすかな恐怖が走った。
白いと「死に顔」に近いからかしら。
もしまっ白なメークをした人に、
何か理不尽な命令されても、きっとすぐ服従しそう。

夫が友達と、ロン・セクススミスのライブに行ってきた。
高野寛さんも出演されていたらしく、
きのうよりずっと(本人も)良かったらしい。

9月13日・月曜日
金沢で「おかず屋さん」しきる。
私は「pate屋」に6年もいたので、
調理の仕込みだけは早い。
あれした? これしました? と、チャチャッ。
また予定より1本早い飛行機で帰れた。
pate屋の林のり子さんに感謝ー。
おっとりした人柄でありながら、建築家であり理数系で、
かわいいポエムなお料理ではないが、
ムダな効率というものもない。

でも、こないだ久しぶりにお会いしたら、
「あなた、こんな時間が止まったような総菜屋に長くいて、
どんなに苦しかったでしょうねえ」と、おっとり言われた。
林さんこそ、得体の知れない無能なバイトの私に、
料理に限らず、よくぞいろいろと
話をしてくださったものだ。

そういえば林さんのお父さまは、
山下洋輔さんのお父さまと同期であり、
たまにお会いすると外国人のような微笑みで
「あんなにやさしくて立派な人はいなかったなあ。
息子さんはジャズを、演奏しておられるの。ああそう」と、
これまたやさしく話しておられたのを思いだす。

夜、家で「乱」を見る。
黒沢明の自伝「蝦蟇(ガマ)の油」を
読んでたところだったので、
よけいにはまる。合戦に参加したい。

9月14日・火曜日
「ホンの昼メシ前」レギュラーに。
そのあとエステへ行き、家に帰ると、
コドモの足がまだ痛むようだったので、
お医者さんへ連れてった。
お医者さん、二人いらして、
若い方の先生がやさしくてカッコいい。
私は気がつかなかったが、帰る時、コドモにだけ、
Vサインして手を振ったそうだ。
カッコよかったね、と言うと、やっぱり? と言った。

スーパーに行って、今日のおかずはここで買うから、
好きなモノをカゴに入れなさい、と言うと、
「松茸というものを食べてみたい」と、
いつのまに発見したのか指をさした。
値段がすこぶる高かったので、
松茸はおかずにならないし……と言葉をにごして
止めさせる。まだその時期ではない(コドモが)。
「じゃあ、これは?」と言って、
今度はさんまを持ってきた。おまえは62才か。
夜、「東京物語」観る。しみじみちこです。

9月15日・火曜日
日テレでナレーションのあと、
ウンナンの「気分は上々」ゲスト。
「引っ越し」がテーマだったんだけど、
今日に限らず、どうも芸人(男)は、
家に帰れない生活のくせに、
引っ越しにこだわりたがるような。好きなような。

いつか、ロンブー(の亮)も、
「引っ越ししたら、またすぐ次の引っ越しに
興味わくねん。きりないねん」とこぼしていた。
衣・食・住のステップアップのうち、
衣(ブランド)は女性タレント、
食(グルメ)は中年タレント、
そして住(引っ越し)は男性芸人、と
興味が分かれているようなのでした。

家に帰ると「もしかしたら、」とニタニタとコドモ。
「このカンジって、初恋なんじゃないかな」。
きのうの先生の事らしい。
「あ、これ、ほぼ日に、書いてもいいよ」と
照れながら言った。成長とは、こうやって
少しずつ口をはさんでこられるものなのか。

1999-09-26-SUN

第96回

9月16日・木曜日
楽しいビバリー昼ズとCBC。
あんまり寝てない時の生放送やライブって、
終わっても、身体は疲れてるんだけれど、
神経はやっぱりコーフンしているみたいで、
くたくたなのにハイテンション。
いつも最後は
「ああ、もうこの時間が終わってしまうのかよ、未練」
と淋しくなり、車の中なんかで瞬間、不思議な夢を見る。

私のような小規模タレントでもそうなんだから、
すごく売れてて、しかもナイーブな人が
クスリ関係にはまってしまった、というあやまちも
なんだかわかる。賛同はしないけれど。
ところで、ユーミンの「ひこうき雲」という歌は、
飛び降り自殺した少女の歌だとばっかり思っていましたが、
あれって、そういうドラッグで亡くなった
少女の歌のようですね。

9月17日・金曜日
さる女流マンガ家から電話。
すごい濃い人生だ。なんて事だ。
でもうらやましい。勇気がある。
生きてる! ってカンジ。
羽ばたき! ってカンジ。

そのあと、さる男性と仕事。
体調すこぶる悪いらしく、めちゃ機嫌が悪かった。
しかし、このままの雰囲気じゃイヤだったので、
「輝け!ミッちゃん!はばたけ私!1999!」と思い、
(絶対笑わせる、絶対笑わせる)と暗示をかけ、
前へ前へと出てみたら、
その人の調子もどんどん軽くなっていった。

これだ! 人はどんなに偉くても、
目の前の人間に単純に影響されるものなんだな!
明るいって事は単純にすごい力だな!
今後ももっと解放したろ、と、
本日は正解をもらったような、すごくいい仕事を実感した。

9月18日・土曜日
参観日。
LFの生放送があるので、
コドモが発表する頃には間に合わないんだけど、
大橋君のには間に合いそうなので、車を飛ばしてもらった。

しかし、結局間に合わなかったのがわかった。
大橋君の顔を見たら、すでに
「終わってホッ」とした余裕だったので。
ちぇっ。

終わってから、展示してある夏休みの工作をながめてたら、
ある女の子(ちょっとケチ)がやってきたので、
「○○ちゃん、工作は何を作ったの」と言ったら、
「ペットの亀の成長記録!」と言うので、
「なんていう名前?」と聞いたら
「ゼニ子!」だった。
この言い方をうまく書けないのが残念。
ふりしぼるような声だった。
一人うつむいて笑った。

そのあとコドモとハムスターのエサを買いに行く。
○○ちゃんのマネをしつつ、
その時の会話をリピートしたら、うけた。
ハムスターのかーわいい赤ちゃんを見ると、
また欲しくなる。

家でコドモ、
「一度このエサ(ビスケット)
どんな味なのか食べてみたいんだ」
と言う。
「別に食べても大丈夫じゃないの?」
と言ったら本当にかじった。
実は私も、実家でドッグフードを見ていて
妙に味を知りたくなり、かじってみた事があった。
まずいったらなかった。
粘土みたいな味だった(なんで知ってる)。

しかし、コドモは「あ、普通の味」と言ってたんで、
こっちはそうまずくはなさそうだ。
みなさんもぜひ一度、お試しください。

9月19日・日曜日
休日。ベッドで、
「せっかくの休みなんだから、
だらだらすごくリラックスしようかな、
いや、こういう時こそ積極的に外に出ようかな」と迷う。
私はパーティも嫌いで、
黙ってたらずうっと家の中にいたい、
すごいインドア派の、日陰人間なので。

とりあえず今日だけは、自分中心で機嫌よく、
おだやかに、地球最後の日のように大切に、
と心を決めて、まずはコーヒーを煎れた。

結局はピアノに気が向いた。
いつもは近所に遠慮して閉めているフタを開け、
左手ばっかりで弾く。
左手って、あかの他人みたいなのだ。
いつまでもなつかない継子。

ところでこないだ、東京駅で
エレクトーン奏者の演奏を久しぶりに見た。
私はエレクトーンの音や、指の触感、
そのフタのデザイン、ハデに弾く(そう見える)姿が
昔っから大幅に嫌いなんだけど、その人は上手かった。
でも、センスが古かった。
エレクトーンによる歴史的名曲がないのもわかった。
聞くというより、弾くための楽器なんだな。あれは。

9月20日・月曜日
粗大ゴミを出す。
みなさん、粗大ゴミって、
出す前に掃除会社に電話
→コンビニなんかでシールを買う(500円)
→きちんとわかるようにゴミに貼る
→必ず指定された日の早朝にのみ出す、
ってルール、知ってましたか?
都会生活じゃのう!(と、菅原文太の声で)。
どうりでいっつも清掃車に無視されっぱなしだったのか、
とわかりました。ライフ。

コドモが塾へ行くと同時に、
久しぶりに夫と電車に乗って、映画「リトルボイス」へ。
夫と私は昔から席をひとつ空けて座る、
または一列ずらして観るのが常識だったんだけど、
混んでて隣の席。
映画は、ちょっとふざける役の女性が
ふざけすぎかなあ、と思った。
品のいい映画なんで、ちょっとでも下品だと
かえって目立ってしまうカンジ。

帰りの電車、
これもどちらからともなく席を離れて座るんだけど、
(でもこの気持ちは結婚するとわかる。)
本を読んでたら、2つ駅を飛ばしてしまったようで、
見たら夫は乗っておらず、
アナウンスの「明大前ー」を聞いてあせった。

逆行して笹塚駅に着いたら夫が待っており、
照れながら走った。
「まさか、降りないとはさー」と、
責めるカンジでもなくのんびり言った。
私なら皮肉のひとつでも考えておいたところだろう。
ペットショップをちょっとのぞき、
レンタルビデオを借り、無事に帰宅した。

1999-10-06-WED

第97回

9月21日・火曜日
日テレの番組に出演し、お化粧を落とし、
化粧水だけのえらいシンプルな顔のまま車に乗り、
有楽町の試写室で「グレン・グールド」の
ドキュメンタリーフィルムを見た。
ピアノを弾きながら、足でリズムをきざみ、
口ではそのメロディーを歌い、
休んでる片手では指揮棒をふり、という、
とてもクラシックの常識ではいけない事ばかりの演奏家。
気持ちいいだろうな。
ところで男性のピアニストは
どの人を見てもキリッと整った顔だ。
ウクレレ関係の顔と違う。失敬な。

映画が終わって、帰ろうとしたら、
映画関係者の人に「一言でも!」と、
感想を求められた。困った。
こういう時、気の利いたコメントを
さっと言える人を私は尊敬する。
自分はこの映画を観てどうよかったのかを
頭の中で即座に言語化できない。
「あとで、電話します」と約束。

ずいぶん昔に、水道橋博士に聞いたのだが、
試写会に行ったら、たまたま隣の席の山田雅人さん、
途中でぐっすり眠っていたらしい。
時々いびきが聞こえてくるので、
自分とまちがえられないか、ちょっと心配だったという。
映画が終わって、カメラを向けられ、
インタビューをお願いしますと言われたのだけど、
そういう場が「苦手なので」と、断ってるその横で、
山田さんが、
「ホンマにええ映画でした。泣きました、
 とくに主人公のコドモの心情、どうのこうの……」と、
本当に上手に映画を再現し、
感想もうまくまとめてあったのに俺は舌をまいたね、
と言っていた。

山田さんもなんだかたいしたものだ。
タレントによる
「見てもいないまま、
 即座にアドリブでコメントしあうゲーム」
みたいなのって、あってもよさそうな。

9月22日・水曜日
生まれて初めて京劇を観に行ってきた。
東京芸術劇場の「楊門女将」。
チケットを2枚手配してあったのに、
夫も、近しい友人も、
誘うなりこぞって「その日はたまたまダメ」と。
結局マネージャーの矢野様に御同行願った。

幕があがったら大中の店内と同じ香りがした。
甘いような青いような、竹みたいな匂い。
字幕スーパーが大きな電光掲示板で出るので、
ストーリーもよくわかった。
ハデなメイクに、ハデなドラ、
そしてハデな歌声がよく合い、
まったく晴々と、気持ちのいいものだった。

父を亡くした女性陣や
子供による仇討ちの話なんだけど、
ときどき、
「あっ、どうしてそういう心情の時に
 ばくてんするか? あれまた」
と思いながらも、結局最後は泣けてしまった。
“けなげな”姿は、海外や時代を問わず泣かせるもの。

9月23日・木曜日
ビバリー。
いつもブースに週刊誌が豊かに置かれてあるので、
本番前はいつも集中して読む(趣味で)。

それにしても雑誌は偉いなあ。
ちゃんと定期的にネタを見つけ、
ちゃんと毎週、刷り上がっている。
下世話な話にしろ、
常に全員がプラス思考で、いつもアンテナをはって、
かつ好奇心がなければできない仕事だなあ、と思う。
(ちゃんとした仕事はね)。
そして多少は軽薄でないと、
神経参っちゃう仕事かもねえ。

ところで番組の中で、たまたま教師の話になり、
「国語の先生はだいたい人格者が多い。
 数学の先生は神経質でやせている。
 社会の先生はいつも中立を求めてるわりに反体制で、
 理科の先生は実験好きな変人型。
 美術の先生は職員室でひとり浮いててー」
と勝手に決定してるうち、
校長は肥満気味で体制派、
教頭ちくり屋、
給食の先生料理好き、
緑の先生は旗好きが多い、など、
ぜんぜん先生でもなくなってきたところでお時間。

9月24日・金曜日
「おかず屋さん」今日は公録。
いつもはペラペラとよくしゃべる
べらんめえの料理の先生が、
お客さんとカメラの前で、
すごい大人しくなってしまった。
本番前は
「俺にゃあ、そんなもなー関係ねえ」と、
ちょっとビール飲みながら高らかに言ってたのに。

「多数の人間を目の当たりにするとアガる」という
誰でも持つこの心情は、本当にどこからくるのだろう。
私は本当に本のひとつでも執筆したいくらい、
この謎について考えてきた。
人にもよく聞いた。でも、まだわからない。
どんな大スターだって、小物だって、
本番前になると、これが歴然として「やってくる」。
ステージングブルー、というやつ。
また、
スピーチとかぜんっぜん平気っていう人のスピーチが、
(うまいけど)意外とつまらない、というのも謎だし。
アガってしまうと、とたんに身体が硬直して
脳から神経から筋肉から、
スムーズにいうことをきかないのも、
これまた面白く、知りたくなる。

人前で自然に振る舞う、のではなく、
本当に自然にいられる、というのは
ステージの回数という、キャリアでもなさそう。
私は
「今日は、やに堂々としてたな!」という時もあるけど、
そんな時ですら終われば、次のステージの不安への戦いが
すでにちらりと始まっているんです。
まるでふと、次はアガらなきゃ、と思っているかのように、
「アガる」のを回避しながら求めてるようなのだ。
この謎を、言葉ですごく知りたい。
悩みでなくて、好奇心で。

9月25日・土曜日
LF生放送。
そのあと宝島の顔マネを撮る。
お化粧なんかより、人を選んだり考えるのに
あんがい時間がかかる。
でもこうやって、ほこ先がちょこっと変わるという
仕事ライフは面白いな。
まあ、(大きくとらえれば)私のやりたい事は
ひとつなんだけど、どんなに
「ひとつのパターンに集中しなければいけない職種」
だって、きっと細分化されてないわけはないですよね。

実家のスパゲッティ屋だって、
茹でるだけじゃ務まらないわけです。
ソースの作り方や、値段の設定からサービスの仕方、
ナプキンの折り方、バイトへのうまい注意の仕方、と、
目的の仕事と関係ない事が
たっくさん出てくるもんなんですよね。
そっちの方が多いものかも。
だから「マルチタレント」とか書かれると、
とても無能なイメージがしますよね。
たいへんなのは主婦の仕事。
見返りナシ、ですぜ。

1999-10-09-SAT

第98回

9月26日・日曜日
弘前の映画祭に行ってきた。
青森!「青森」の青(ブルー)ときて、
森で緑、りんごで赤っすよ。
しかもねぶたの光よ。
なんかゴダールみたいな色彩。
らっせーらー!ですよ。
これも、日本語っぽくないしね。
矢野顕子さんの弟さんのお店も近所なのだそうだ。
関係ないが。

黒田勇樹くんと御一緒。
私とは別の映画でゲストで、
(映画館が一気に6つもあるんです)
私が始まる頃は、時間差で黒田くんは
帰りの飛行機に乗ってるはずが、
「ちょっと勉強しようと思って」とかいって、
わざわざ飛行機を遅らせて私のを見にきてくれた。
帰りにお礼の変わりに、ちょうど聞きまくっていた
真心ブラザーズのMDをさしあげた。

ところで、黒田くん、
「ウルルン滞在記」で、すごい国の奥地に行った時、
初日から虫を食べたのだそうだ。
ところが、これがけっこう
「あれっ、おいしい?」だったという。が、週末には
「かなりおいしい!もっと」に変わってたんだそうだ。

「それって、その土地にいたからそうなるのかな、
たとえば東京だと、虫見ても食欲沸かないわけでしょ?」
と私が言うと、
「それが不思議で、コンクリートについてたかもしれない、
と思うと食べたくなくなるんだけど、
それを忘れてじっと見てると、あー、こいつの触角取って、
尻尾をとってから軽く焼いたらうまそうだな、
と、思えるようになった」のだそうだ。
進化。
というかその逆なのか。
でもまだ高校生なのだ。
私ならロケの段階で断る。
ミュータントは増殖中だ。

9月27日・月曜日
ここんとこ、自宅にかかってくる電話に
ロクなものがなくって、たいがいが墓地やら土地やら
塾やらエステやらの勧誘ばっか。
敵もさるもので、
「初めに会社名を名乗ると、すぐに断られる」
と悟ったらしく、
「鈴木ですが、」とか、「佐藤と申します」、など、
名前から名乗るんで、
えっと、誰だっけ、と思ってるあいだに勧誘、という手口。

今日、また墓地野郎から電話がかかってきて、
「こないだも言いましたっしょ!」と、
凄みを効かした声でカンジ悪く切ったら、
怒ったのか、また即座に電話が鳴った。

恐るべし、この執念。むかつきながら出たら、
「もしもし、山田ですが。」と言う。
おや、やさしいな、と思ったが
「はい」とまた低音で憮然と出る私。

少しの沈黙があって「清水ミチコさん?」と言う。
あれっ、と思うと、
「山田洋次です」と続いた。
私は山田さんのお嬢さんと同期だったので、
電話番号を知っておられたらしい。
危険な赤色手旗信号が、黄色いハンカチとなって点滅。
出演のお話をいただいた。
スケジュール次第、というカンジだったが、
切ったあと、どっと疲れた。
感じよく出るんだった! 勧誘電話め!

9月28日・火曜日
ここんところ、ずーっと腰が痛かったので、
近所にある整体へ行ってみた。
そしたらそこは、中国人の経営だった。
顔を見るなり、「アナタ、ニジューダイカ!」と言う。
口角を上げないように「いいえ」と否定。
全く中国人系による日本語は、発音が強くて、
しかも嘘っぽくない。
だからニヤニヤを止めるのに必死。

でも整体終わったあと、いちおう保険証を見せたら、
「ア、コンナトシカ!トシトッテタカ!」と、
語調強く、人様の前で大きく驚く。
ニヤニヤするしかなかった。
人様もニヤニヤしてた。

9月29日・水曜日
「天才てれびくん」に出る。
子供達にモノマネを。

夕方、あがた森魚さんのレコーディングに参加した。
鈴木慶一さんのプロデュースによる「日本少年2」。
行ってみたら、ご本人さんの歌入れの最中だったので、
ラッキー!とばかりにしばらく拝聴する。

あがたさん、歌っていくウチに、
どんどん歌詞を変えて行かれるので、
「なるほど、レコーディングって
こうやって一言ずつ作っていくんすね!」
と鈴木さんに言うと、
「普通は違うからね。普通は!」、
と苦笑いで言っておられた。
そして私の番。
あがたさんによる、歌への注文も独特で、
「ローレライがさ、いるよね、ローレライ。
海の向こうにセイレーンを見つけたんだね。
そのセイレーンが歌うんだよ。かすかな感じで」とか、
「ランドセルがまだ重たい子供の歌う、
あの小学校唱歌みたいに、
たくましいけど、まだおぼつかない感じ」など、
詩人のようで、
フレーズをヤノッチにメモしてもらうように頼んだ。

帰りに、鈴木さんに
「ほぼ日の“アッコちゃんを誉めよう”
どうもありがとう。」
と、お礼を言ったファン心理。



9月30日・木曜日
大好物のラジオ。
そのあとテレ東
「デュエットソング特集」のレモンスタジオへ。

小堺さん、鈴木史朗さんと私の3人で司会。
先週、青山で見つけた、
「テーブルクロスの一部を張りつけた」という
ブルーのアンティーク生地のかーわいいドレスを着用。
値段はかわいーくはなかった。
テレビ用の洋服って、
普段も着られるようなものも多いんだけど、
この服はたぶん一回っきりかもな。

ところでこの番組で感じたわけではないんだけど、
(しかも私が言うのもナンだけど)、
最近のTVタレントさんは全体的に
どんどん口が悪くなってきた、ような気がする。
あけすけ、というか。
鈴木史朗さんと話してたら、逆に新鮮!な気がした。



1999-10-14-THU

第99回

10月1日・金曜日
なぎら健壱さんと「田舎暮らし」のロケで、新潟へ。
なぎらさんは本当にいばったようなところがなく、
俺の位置なんざこんなもんさ、というところが、
実はすごくカッコよく、渋い。
ロケが予定より3時間も早めに終わったので、
「東京駅に着いたら2時間のマトリックス、
みんなで見に行きませんか?」と誘った。
芸能人を映画に誘うのは生まれて初めてだが、
ナギーも
「あっ、俺、芸能人と一緒に映画見た事ない! 行こ!」
と言ってくださった。
しかし、今日は奇しくも「都民の日」で、
リサーチしてみたらものすごく混雑していたので、
断念した。
帰りのバスで、また「行き遅れた息子と、その母」のような
二人の図で、ミニミニクイズ大会を催す。




10月2日・土曜日
ニッポン放送・「はっぴいウイークエンド」で、
「パーソナリティ賞」をいただいた。
ありがとうございますですー。
小笠原局長、私に
「ミッちゃんのコドモ、高校生の男の子だっけ!」と言う。
「放送ちゃんと聞いてね。小学生の女の子なのね」と言う。
「ああ、そうだったそうだった! 
今が一番かわいいだよ! なっ!」と言う。

私はかねがね、コドモが赤ん坊の時に
「今が一番かわいいだろ!」と言われ、1才で言われ、
3才で言われ、ランドセル時に言われ、と、
ずうっと「今が一番!」と言われ続けてきたので、
実は「いったい、ピークはいつなんだ!」
と叫び聞きたいくらいだったんですよ、と言ってみた。

すると、さすが局長ランク、すかさず
「それはね! ミッちゃん! 
ピッタリ小学校5年生なんだよ!
小6からピタッとかわいくないんだ!」と言い切った。
気持ちよかった。

世の中、声量だな! それで決定でいいじゃない!
きっと、何歳でも正解なんだ。要は、言いたくなった勢い!
小笠原さんって人は、とにかく晴れてる!

10月3日・日曜日
勝沼ワイナリーでライブ。
250名キャパで、ワイン飲みながらゆったりと、
という話だったので、
「 いいねえ。小野リサのボサノバかげんでゆったり」
と、イメージしていた。
ところが、フタを開けたら3000人も立ちで来てた。
それを見たらすっかりハイになって、
ボサノバ小野リサをやめ、急きょドサノバ小林幸子理想。
日本晴れ。

一升瓶のワインをいただき、
スタッフで(3人だけど)飲んだ。

10月4日・月曜日
休日。
コドモが「寝てていいよ」と、私の部屋にきた。
「自分で朝食作って食べるから」と言う(しくしく)。
いやいや、と起きあがると、
すでにキッチンで父親が作ってた。
結局一緒に食べた。

乾貴美子さん(ニュース・ステーションのお天気お姉さん)
から、ずっと前にビジター券をいただいていた、
「青山のエステ」に行ってみた。
かねがね「男の芸能人は仕事が終わったら、
飲みにいったり、お姉ちゃんと遊んだりと、
楽しみが持てていいよ!」と思ってたのだが、
それを「いいえ、女性の方がお得なのです」と、
さとしてくださるのが、このエステ。
性格もおだやかになり、感謝に溢れた丸い笑顔で、
すっかりいい人となって帰った。
マザーテレサテン。

10月5日・火曜日
日テレに出たあと、帰りの車に乗ってたら、
路上に見たことのない雑草を見つけ、ふとむらむらした。

こないだから、小さい鉢植えでいろんな草花を
ちょっとだけ育てていたのだが、
つい最近、夫と散歩の途中に近所の路上で
ペンペン草みたいなのを見つけ、
それをひとつ掘って家で育ててみたら、
たちまち増えてかわいく育ったのだ。
それ以来、路上でかわいい雑草を見ると、
ふと持ち帰りたくなる。

コトミちゃんから
「今、病院からなんですー」という電話。
なんと、入院したばっかりなのだ。が、
「病室に入って、いよいよひとりになった時、
テレビつけたら“天才てれびくん”にミッちゃん出てて、
ふざけてんの見てたら、よかった、ここにいるよいるよ、
と思えてきて、嬉しかった」と言った。
「それ本当? やっぱタレントっていいね!」
と思わず実感していうと、
「あ、そういう冷たいところも電話で聞きたかった!」
と言っていた。

野沢直子からメール。
なんと制作した「おめこちゃん」のビデオが、
賞を取ったそうだ。監督と呼ぶように。
今、またすぐ2作目に入るところなのだが、
お金がないので、とほほな日本のテレビの仕事を
入れちゃった、とあった。「美川・うののぶらり旅」。
すごいぶらり人生ここにありだ。

1999-10-20-WED

第100回

10月6日・水曜日
ナレーションの仕事。地味だけど好きな。
ちなみに私は、中学時代の国語の時間も「本読み」だけは、
(当ててくれよー、先生よお!) と思ってたほどで、
「(ためて)……メロスは。
  走った!!(←大きく・感動的に)」と、
思いっきり芝居口調で読むのが大好きだったんですよ。
みんなもクスクス笑うし。
こういう、朗読に限らず、歌声やピアノに、
「ムダに心を込めてやる!」という世界は、
ずうっと私の得意ジャンルとするところ。
ムダに、やみくもに、なのがポイントね。

この日記もやみくもに
今日でちょうど一年になろうとしてます。
今までのご愛読を、皆さんに感謝します。
またお会いしましょう、さようなら。
と、一年前には結ぶつもりでいましたが、
もうちょっと残ることにしました。

皆さん、返事書いてないけど、
メールたくさんありがとうね。

ところで、今日は事務所の仕事が終わった夕方に、
家族とスタッフ全員を誘って、電車に乗って、
「ハンバーガーをテイクアウトして持ち込み、
 映画(マトリックス)を観に」行ってきました。

5人くらいの人数で映画を観に行ったことって、
ありますか?
私は一人が一番好きだ、と思ってたけど、
こうやって仲間とつれそって行く映画って、
こんなに楽しいのか! と思うくらい、楽しかった。
夕食はそんなんだったし、映画が終わってすぐに
バラバラに電車に乗って帰ったんだけど、
スペシャルスイート・デイってカンジ。
みんなも確かにそういう顔をしていたようだった。

誰も何も盛り上げようともしてないのに、
なんだか盛り上がる日、というのがあるもので、
今日はそういう日。
自分が幸せだと、
ぜったいに巻き込まれる人間がいる、と思えました。
とかいって、
私が誰かに巻き込まれてたのかもしれないんだけど。

10月7日・木曜日
ニッポン放送でナマ放送。
そのあと、たまっていた原稿書く。

事務所にそれを持っていって、
そのついでにした中川さんとの話が面白かった。
ナカガーさんの友達の話なんだけど、
「市販の歯磨き粉の研磨剤には、
  たくさん漂白剤が入っていて、
  結局は体に悪いのである」
という事がわかったので、
「漂白剤の入ってない、天然だけで作られた
 歯磨き粉を買って使い始めた」のだそうだ。

そうしたら、2週間目で、歯がマッキッキに
なってきたのだそうだ。歯がマッキッキ。
世にも楽しい語呂じゃないですか。
その友人が、「おや?」と思う頃、たちまち家族に
「あんた、歯が黄色くなってるわ!」と指さされ、
急に怖ろしくなって、すぐ市販のものにかえたら、
1週間でたちまち白さがもどってきたという。
すごいねえ。歯がマッキッキ。
ってことは、昔の人はみんな、歯がマッキッキ。

多少、鈍感でなけりゃ、生きにくい世の中って事ですなあ。
そのあと、私が
「歯ブラシっていえば、舌のこけを取るときさー」、
と、話しだしたら、ナカガーさん、
ぎょっとした顔で、話の中身よりも
「何ですか! 舌のこけって!」と、驚いてた。
“こけ”ってのはつまり、舌べらについた垢のようなもので、
これは取り出してみると、取らなかった自分の時代が
信じられないほど、気になるんですよね。
でも、「舌のこけ」、ってのも、
誰がつけたネーミングなんだか、人聞き悪い。
ものすごく悪い。
でも、一回取ると、取らないと気になるしー。
白い色は恋人の色、なんではなく、
現代の求める色、なのかもねー。

10月8日・金曜日
「誰でもピカソ」で、久しぶりにクマさんと会った。
「ほぼ日で、市川の新作品見ちゃったよ!」と言うと、
照れながら、
「そっか! 見たか! メール交換しよっか?」と言った。
この言葉が日本一似合わない男、決定1999!。

楽屋に行って静かにお化粧をしてたら、ノックが聞こえた。
普通ノックは「コン、コン」と2回やって、
相手の返事をうかがうものなのに、
「スコココココココココココココン!!」と、
「いかにも両手で連打ってる!」という音。
誰だろう、いったい、と思ったら、
綾戸智絵さんだった。出た!
「ミッちゃん、元気やったか!? 
 いやあ! 元気そーやんか! わかるわあ。
 あんな! うちな! ちゃんとつけとんねんよ!」と、
早く早く!と言わんばかりに、自分の首を指さした。

実はずっと前に彼女と楽屋で御一緒した時、
私のアクセサリー(ビーズだらけ)を見て、
「うわあ、えーなあ! えーなあ!」と、
すごく羨ましがっておられたので(こんな人も初めて)、
「どれでも1つあげよっか〜」と言ってみたら、
本気で喜んでゲットしてくれたんでした。

それにしても、まじかに顔を見ただけで
パワーをもらった気がした。コドモみたいなのだ。
帰られたあと、またメイクにもどりながら考えた。

彼女はおそらく、無邪気なままだったのではなく、
人生のどこかで「コドモに変わった」のではないか。
ターニングポイントがいったい何だったのかは
知らないけれど。
きっと、そういう地点があったのでは。
「細かいポイントなんかよりも、今を見てほしいねん!」
という顔なのだが。
大人になると、こういう人に会えるのがお値打ちだ。

10月9日・土曜日
LFで生放送。
この御時世に、ブリジストンが
新しく協賛に加わってくださった上に、
「皆さんにどうぞ」と、
出演者にゴルフボールのセットをくださった。

でも「私には……豚に真珠なのね……」と思ってたら、
元祖スケバンデカ(と、心の中で呼んでいるご婦人)が
やってきた。
そうだ、ま、ゴルフ好きのスケバンデカにあげたろーかな、
と思ったその矢先、
「それ、ちょうだい! ゴルフ嫌いなんでしょ!」と、
当然のように私のゴルフボールの箱に手をかけた。
私もつい「彼女に渡すもの」と
脳に命令したばっかりなんで、
ポカーンと渡してしまってた。直後アッターきた。

なんでこう「宿題しようかな!」と思ったときに
「宿題しなさい!」と言うのか、妙齢のご婦人は!
ちょっと待てば、
お互いにどんなにいい気分だったかしれないのにさー!

しかもそのあと
「清水さんね(←笑って)、
 これって1コ600円するもんなのよ。
 6×6で3600円するのよ?」と私に教えた。
おいおいおいおいおいスケバンデカよおー、
ありがとーよおおおお!!

10月10日・日曜日
コドモが「たれぱんだ」のイラスト入りの紙に
絵を描いていた。

私が「たれぱんだって嫌い」と言うと、
「なんで」とコドモが聞く。
夫もいたので、ちらっと聞こえるように話した。

「つまりですね、今の世の中、昔と違い、
 勉強できない学生で何が悪いんだ、成績が悪くても、
 本人さえしっかりしてたら別にいいじゃないか、
 という風潮になってきました。そこまではいいです。
 ところがそのうち、かわいかったなら、
 なんーでも許されるようにまでなってきました。
 ボーダーラインが、ゆるくなったわけです。
 しかし、たれぱんだ。
 これは、顔がたまたまかわいいってだけで、
 キティちゃんのように、立って歩いて活躍もする
  ってことすらしないのをまだ前提としています。
 だらー、と死んだように寝ているだけです。
 本人はぜったい『たれてる方がかわいい』と
 世間に思われてる事を確信しておる。
 ここが太いと。
 ですから私には、
 その甘さに甘えた鈍くさい鋭敏さが、
 こにくったらしい、と思えるのです」
と演説した。

そしたらコドモ、
「なるほど、そんな事まで考えてたのかー」と、
顔もあげず、ゆっくり言ったあと、
「けなげやのお」と、ピリオド打つかのようにいった。
「今の“けなげやのう”は、うまかったな」と、
夫が笑った。
確かにそうだった。
「けなげやのお」は、クラスで流行ってるんだそうだ。
なんて事だ。
「さむっ!」よりひどいボキャブラリーだ。

1999-10-23-SAT

第101回

10月11日・月曜日
TBS「スーパー知恵MON」に出演。
「この番組、なんか暗いから、明るくしたろー!」
と思ったのだが、やればやるほど浮いてたようだった。
このところ仕事がまるで
「明るさ救急隊」のようになってきたような。
私は暗い部分も大いにあるんだけど、
のべにしたら実はくどくて、周りを疲れさせるほど軽い。
でも実はそれが昔はずうっとコンプレックスだったの。
うざったいんじゃないか、くどかろう、と思って、
暗く見せようと、努力までしてたんです。
変なもんでしょう?
でも、このミックスされた味も、
私のひとつの個性なのだ、と最近思えてきました。

10月12日・火曜日
日テレにパカッと出演。
そのあと「TX・平成お見合いスペシャル」で
ナレーション。VTR、濃かった。
そのあと「WOWOW」で「サウスパーク」の吹き替え。

アメリカでヒットしたアニメで、
主役の子供二人の口がかなり悪い。
私はこてんぱんにコドモにやられる
「バーブラ・ストライザント」の役。
気位の高い女性をおちょくるのは、
古今東西にかかわらずおもしろいもの。
ただ、ふと思ったのは、英語の悪い言葉って、
いつまでたっても「FUCK!」だの、マザーなんとかだの、
ここ一番!のボキャブラリーが少なくて、
やっぱり日本語の細かで、繊細なやらしい言葉の方が
きついし、能力が問われていいな、と思いました。
スタジオで、KORNさん、キッチュさんらと
久々にお会いしました。
私はアニメは「ちびまるこちゃん」
(カニ缶もらって「ありがとう」と言う山口百恵の役)
以来だった。




10月13日・水曜日
高田文夫さんの主催するイベント
「高田笑学校」のため、新宿「サザンシアター」へ。
いっこく堂さん、浅草キッドさん、松村邦洋さん、
昭和のいる・こいるさんらと御一緒。
うけなかったわけではなかったんだけど、
女で良かったなー、救われたなーと思った。
お笑いって、なんでかわからんけど、
絶対的に「男の」領域なんですよね。
だから、いっつも「こんちきしょー」、
なんて思う時も多いんですけど、
今日はもし自分が男だったら、かなりしょげてた。
ま、負けたんです。
こういうステージって、かなり怖い。
えー皆さん、私は、面白いのでしょうか、と、
マイクを持って問うてるようなもんです。
みんなもあがってたけど。
笑ったのは昭和のいる・こいるさん。
「どうしてそれをやろうと思われたのか。発見者は誰!」
と、聞きたくなった。
一度聞いてみてください。
情のなさったら、この上なし。




10月14日・木曜日
楽しいビバリー。ラジオ大好き。
思えば私はラジオでデビュー。
そのあと、事務所に行って、来月出る番組の打ち合わせ。

夕食を作ってから、渋谷のコクーンの、
「かもめ」を観に行く。
事務所の中ガーさんが、岩松了さんにはまっているので、
私も、どら、と観に行ったのだ。笑った!
最後のシーンの(え?まさか、、)という顔は、
こわくてこわくて鳥肌が立って、
忘れられなくなってしまった。

コドモと屋上へ行ってしゃべる。

10月15日・金曜日
青山のスポーツクラブで1時間半。
ヤノッチとスカッシュなど。
体力、みるみる落ちているのがわかった。
ヤノッチは、さすがもとサッカー選手で、
たまたまここに大学の知り合いがいたらしく、
格安で入れてもらえるんだそうだ。
ここは、サウナも全員
「バスタオル巻いて入るの、当然ざましょ?」
というノリなのでラクちん。

そのあと仕事一本。
「いかにもスポーツクラブ帰り!」という
ギラギラ顔でのぞむが、別に誰もわからなかったようだ。

1999-10-28-THU

第102回

10月16日・土曜日
LFで生放送。帰りに買い物。
家に帰ると、久々に大橋君たち3人が来て、
居間でゲームをやっていた。
おいっす、とだけ言って自分の部屋へ。

しかし、どうも明るい大橋君が、
声をかけても目を合わせないような、
ツンと無視しているような顔だった。
あとでコドモに聞いたら、泣いた後だったそうだ。
それで目を合わせなかったか!
表情を思うとかわいい!
っちゅーか、いとしー!
男の子もいいな!

理由を聞くと、A子ちゃん(めちゃ強い)に、
「おーちゃん(大橋君)、ゲームの仕方がとろいよ」と
いびられてて、初めは笑ってたんだけど、
そのうちに静かに泣いちゃったそうな。
そして泣き止むか、というころ、私が帰ってきたそうだ。
あの顔は「そう見せまい」とする顔だったのだった。
「もっとどういう風だったか、ちゃんと詳しく教えて!」
と言ったら、
「書くからだめ」。

10月17日・日曜日
TEPCO横浜へ。夫と、マネージャーと3人で移動する。
夫、どんどん湿疹が増えてきて、
どんなお医者さんに行っても
「ストレスです」と言われちゃ
同じようなクスリをもらってくる。
このところ私が毎晩それを背中に塗るのだが、
(ちょっと楽しい)いっこうに治らない。

「このままじゃ、気味悪くて、人に会えなくなるよ」
とこぼしていた。
しかし、ついこないだ雑誌に、
「いわゆる新人類と言われている体質に、
 ストレスからの湿疹が増殖中」
という記事があり、それを見せたらちょっと喜んでいた。
帰りに夫のケータイが鳴ったんだけど
(ちょっとクセのある人からだった)、
「声を聞いたとたん、全身が一気に
 ブツブツっと動いて痒くなった」のがわかったそうだ。
男は繊細な。

でも、私の場合は「何時から何時まで」と
ハッキリわかっている仕事で、
ストレスも発散できるような仕事なんだけど、
夫はやっぱり「ご苦労様でした」ってな事もないのだ。
やってあたりまえっちゅーか。
中年の男子は誰もがそうなのか。

といって、「私は夫が病気中」という状態が
実はすごく好きだったりする。
ずっと病気だといい。
やさしくするのに理由ができるもんね。

10月18日・月曜日
〆切3つ。でも原稿を書くのは好きな仕事。速いよー。
苦手なのはインタビューや対談。へたよー。

事務所に行き、中ガーさんから聞いた面白い話。
妹さんが、
「大手の会社に出向いての健康診断のアルバイト」を
しているそうなのだが、その会社によって、
「ものすごく個性が出てる」そうだ。

たとえば「大蔵省」に出向くと、
「人生のレール、もうすでに決まってるんです……」と、
全員がなんら病気でもなく健康なのに、
顔に全く覇気がないそうだ。
ちょっと健康的な仮死状態みたいらしい。

逆に元気なのは「宅急便屋さんの某会社」だそうで、
これはみんな誰もが、ちょっとした注意を、
「ハイッ!」そして「ハイッ!」と、
気持ちよく返事してくれるんだって。

感心したのは「パソコン会社」で、
ちょっとした注意書きの、たとえば
「耳の聴覚検査をしておりますのでノックは静かに」
なんて張り紙を、わざわざ頼まなくても、
絶対に自ら読んでくれ、それはもう、
かすかな響きのノックをしてくれるんだそうだ。
ともかく「文字」を察知するという能力が違うと。

この点では「宅急便屋さんの某会社」は、
言われた事は「絶対!喜んで!」なのだが、「張り紙」は
「まったく目に入ってないかのよう」だそうで、
ちゃんと言わない限り、
「ダダダダ!」そして「ダーッンッ!」と、
すごいノックで、しかも爽やか!な笑顔で現れるんだそう。
笑ってしまった。
会社によってこんなに個性が違ってくる、ということは、
やはり「朱に交われば赤になる」というもんかしら。
それとも、もともと「赤かった人が朱に寄っちゃう」のか。

10月19日・火曜日
日テレ生放送へ。そのあと大阪で仕事。
大阪って「笑いに厳しい土地柄」と言われているけど、
実は「笑い」に対して、
日本一「おおらか」なんじゃないかな。
なんとも楽観的で、やさしくて、
いっつも帰りの新幹線でしみじみーとする。
なんだこれは、と考えてみると、
どうも「おっかさん」みたいな人が多いようなのだ。
東京はお父さんかな。
品がないと、怒られるような。

ファッションセンスにしろ、言葉にしろ、
そりゃもう包むような暖かみがある。
プライドも感じるけど、
人を好きになりたい、さあおいで!
という気持ちが溢れてるようだ。

音楽の「ブルース」も、大阪では独特な流行があって、
長いあいだしっかり生きているのもわかる気がする。
なんか聴きたくなる。

10月20日・水曜日
神奈川の高校に呼ばれた。すごくうけた気がした。
私は、笑いも必要だけど、
もひとつ何か、役目があるような気がする。
このところ「出る」事に意味があるような、と感じました。

夕方、たまたま読んでいた本、
「ラジオの鉄人毒蝮三太夫」(山中伊知郎)の主役でもある
毒蝮三太夫さんのドキュメンタリーをテレビで観た。
私にないもの・あるものを感じつつ、夕食の準備。

コドモ、「学芸会の練習で最近忙しい!」のだそうで、
横でセリフ(でも3言)を繰り返していた。
「おーちゃん(大橋君)は、セリフを“おかま”みたいに、
 うっふんとやりたがってる」のだそうで、
先生にも「そのアイデア、個性があっていいね」と、
誉められたらしく、
「ウケるか、どうか」みんな注目中なのだそうだ。

1999-10-31-SUN

第103回

10月21日・木曜日
ラジオビバリー昼ズ、イッセー尾形さんがゲスト。
CM中に
「ジァンジァンって、どういうところが
好きだったですか?」と聞いたら、
「あすこはねえ、
俺の方が偉いぞっ!って思える場所なんだね」
と言ってらした。笑った。

ちなみにイッセー尾形さんが「すげー怖かった」という
ジァンジァンのライブは、
お客さんに渥美清さんがいらした時で、
「一人だけ顔がすごく目立ってて、
みんな笑ってるのに、一人だけずーっと笑ってない上、
目が光ってるだけなのがわかるんだ」と。
もの凄く怖い話でしょ。

そのあとCBCに出て、
帰りに麻布の「スーパー・NISSIN」へ寄り、
友達数人で集まり、久々に多人数の料理をする。
料理の腕がにぶってるのがわかった。
あれ?と思った。
なんというか“作った時の自分のコーフン度!”が低い。
前日から漬けておいたチキンが丸ごと焼き上がっても、
「できたわ!今日もミッちゃん大・成功!」ではなく、
「そら焼けるわな」ってなカンジ。
このところ、忙しかったからだ、ってことで、かたつけた。
でも食べ始めたら楽しかったー。
ヤノッチも大好きな田中さん(キンタマの会所属)が、
洗い物を担当してくれ、横でヤノッチが手伝いながら
しゃべっていたのも、いい光景だった。

10月22日・金曜日
打ち合わせのあと、「天才てれびくん」2本録り。
hitomiさんのモノマネをやってた時、
本番中、歌い踊りながらチラッと見たら、
ヤノッチが吹き出してたがわかって、いっそう激しく踊る。
もはや、モノマネじゃない。別モノ。

帰りに書店で本を買って、
今夜はどれから読もーか、迷う。
ついこのあいだ買った
「レンジで4分チンして、しっとり首を暖めるまくら」
(肩こり・冷え性におすすめ・いい香り)で、
匂いを嗅ぎながら暖まりつつ、
読み寝するのが流行っている。
私にだけだけど。

笹塚の電気店で買った「30分タイマー付き蛍光灯」も
その時ついでに、ワンタッチで押しておくんです。
この製品はいいよー。
デザインも気まじめだけど、よく働いてくれる。
もう4年以上は大切に使ってます。
勝手に30分で消灯してくれ、時間延長もでき、
うとうとしてても、そのうち消えると思うから、
読み寝が気まま。
ただ、恐怖モノを読んでる途中なんかだと、
「ヒュッ!」と音もなく消えるので、
「ひゃっ!」と、呼吸や動悸が激しくなり、
死んでしまいます。

10月23日・土曜日
銀座お米ギャラリーのニューオープンで、
平野レミさんとトーク。
「できるだけでけっこうですから、
お米についてもふれていただきたい」と、
向こう側から要請があったんだけど、
平野さん、いきなりお客さんに向かって、
「えっとねえ!パンなんか絶対だめねっ!
お米食べよーっ!さあ食べよう!すぐ食べましょー!
戦争起きても米食べてれば、勝つのよねっ!」と、
まるでコントのようなハイテンションぶりで、
ずっと笑っていた状態だった。

聞けば、人気の歌手の息子さんは、
夕食中でもテレビに自分が映ったとたんに、
「プツッ!」と消して部屋へ行ってしまい、
料理番組でレミさんが映った日には、
家族中がまるでクモの子をちらすように
パアーッと一気に解散して、
一人になってしまっているのだそうだ。
でも、そんな事をおおっぴらに語れる性格の
レミさんファンも多く、暖かい目を感じた。

私は、芸能界でも自分ほど、
平野レミについて語れる者はなかろう、
と思ってるほど詳しいつもりなんだけど、
レミさんの方はあいかわらず私に、
「ねえねえ、3人とも子供、元気!?」だった。
ウチは一人だけです、という説明もこれが初めてではない。
「だってー、この人の顔ってさー、
いっかにも子供3、4人産んできたって顔よね!
アッハッハ!」
「それはひどいな。アッハッハ!」と、
めずらしくペースに巻き込まれた状態のままで、おひらき。

10月24日・日曜日
福岡で番組「熱血!オヤジバトル」の司会。
11月8日、オンエアです。今年で3年目になる。
始まる前、ステージ脇にあった椅子に座っていると、
近田春夫さんが
「おお、本日もお美しい!」と言うので、
「本当ならここに伏してみよ」と言ったら
本当に伏したので、そこをすかさずヤノッチがパチリ。
コント直前にもヤノッチと一枚しこみました(↓写真参照)。

帰りの飛行機で、南こうせつさん、萩原健太さん、
近田さん、キッチュさんらと御一緒。
飛び立ってから文庫本を読もうとして、ふと周りを見たら、
近田さん、キッチュさんも本をお手持ちの様子だったので、
「この二人は、いったい何を読んでいるのか」が
知りたくてたまらなくなり、
「私はこういうもの(「広島に原爆を落とす日」
つかこうへい )ですが……」と、表紙を見せて聞くと、
近田さんは文庫の「女囮捜査官」で、
キッチュさんは、ぶ厚い「UFO・超能力を見破る!」
といった類の本だった。
なんだかおかしかった。

10月25日・月曜日
また事務所の中川さんから聞いた話。
中川シリーズ。
毎年10月の終わりの土日には、
世田谷線の松陰神社前で小さなお祭りがあり、
この街に住む人々にとっては、まあなんというか単に
「商店街の祭り」としてのにぎわいのようなのだが、
中川姉妹は実は、そろいもそろって長年の
「大の吉田松陰ファン!!」なのだそうで、
毎年秋になるとウキウキ楽しみに出かけてるのだそうだ。

で、今年もその祭りに行き、
「屋台でモグモグする」→「チャンバラを見る」→
「大学構内でやってる落語をのぞく」
(今年も理解不能だった)→「またもぐもぐ」→
「神社を散歩して帰る」というコースのはずが、
落語を見物したあと、すぐ横の看板に
『時代劇映画上映中! いつでも入れます』と
書いてあるのが目に入り、
「ちょっとのぞこっか、そんですぐ出よっか」と、
軽い気持ちで二人で入ってみたら、
すでに映画は終わっており、
あれよと思う間にいきなり司会の人が出てきた、と。

そして、
「では、今の映画に出ていらっしゃった、
原田大二郎さんです!」と言うと、
本当に、原田さんがあの笑顔で
「やあやあ!」と出てきたんだそうだ。
ここで、客席にしっかり明かりがついてしまい、
二人はここで帰ったらいかにも目が合いそうで、
1時間、まんじりと濃いトークを聞く覚悟を
するしかなかったらしい。

ところが40分くらい熱弁して話の途中、
原田さんがいきなり、
「あの、皆さん、くどいんでしょう?僕の話が」
と客席を見まわしたのに、
めちゃくちゃ驚いたのだそうだ。
そして、
「わかってるんです。皆さん、ひいてる。
でもね!僕はいつもこういう性格なんだな。
だから、いやだったら皆さん帰ってくれていいんだ!
ただ、目の前に人がいる以上、
僕はこのまましゃべりたい!」
という熱い言葉に、妙に感動したのらしい。

「こんなに白けないで、自分をわかった上で
頑張ってる人が世の中にいるのか」と、新鮮だったそうだ。

でも、1時間半すぎても、まだ終わらない。
司会の人が
「ありがとうございました。
ではここで皆さんお手持ちの抽選券で、景品を」
と言いかけたら、原田さんがまた、
「いや!こうしよう。抽選はヤメ。ヤメましょ。
ここから、僕と、ジャンケン大会ーっ!
さあ、やりたい人!」と、
こぶしをあげておられたのだそうだ。
「今の若者には、元気がない!」と
言ってらしたらしいが、
そういえば若者に「本気で濃い!」タイプが
いなくなったのは確かかもしれない。

1999-11-07-SUN

第104回

10月26日・火曜日
鹿児島でライブ。
すごい人数(1000人くらい)だったけど、
見ると、ほとんどが女性だった。いいねー。
「男の人って、どこかにいますかー?」と聞いたら、
一人だけいた。すごいいたたまれなさそうだった。

帰りのタクシーの運転手さんから、人生相談。
「娘の恋人はやさしいのだが、
その恋人のお母さんがきついきつい。
遊びに行っても料理から洗い物、洗濯物までやらされ、
あげくに電話で『おたくの娘はずぼらで困る』と
聞きたくないことまで言われる」のだそうで、
来年に結婚をさせるのにしのびないのだそうだ。

“FMのユーミン”をイメージし、
「弟に聞いた話なんだけど、
冷たいようですが、恋というもの、
どんな魅力的な人でも、3年間で冷めるように
脳の構造ができているそうです。そうじゃないと、
ずっと熱にうなされ続けるような状態になってしまうから。
ですから、3年間だけは結婚に反対をして、
それでもダメだったら、
きっぱり賛成してはいかがでしょうか」と言ったら、
「携帯で娘にそれを言ってくれないか」と言うのに参った。
ユーミンの番組にそれはないのだ。
「いや、他人じゃ、まずいでしょう、多分。
かえって火がついてしまいますし」と逃げた。

タクシーから降りしな、運転手さんに
「清水さんがね、とにかくモノマネ王座に
出られるよう祈る。私はあの番組が大好きですけんね!
がんばってください」と言われる。
そのあと空港で鹿児島ラーメンをすすった。うまか。

10月27日・水曜日
青山のエステへ。
エステは「女のソープ」と言われてるんだそうだ。
お下品だけど、わっかるわあ。
そのあと、テレビ用に自前の洋服を数着買って
(これまた気持ちいー)、日テレのメレンゲへ向かう。
このところ毎日クリスマスプレゼントをもらってるような。

たまたま家にきてたコドモたちの会話を聞いて絶句した。
サンタクロースが、いまだ、「いる」か「いない」か、
意見が別れてるのだ。なんてことだ。
(いないに決まってるじゃん!)と心で絶叫、顔で無視。
ウチの子はどっちだと思ってるのか、
みんなが帰ってから聞いたら、
ちょっと笑うような顔で
「あれはないと思うよー。空をトナカイで渡るっていうの。
でも、サンタクロースは、どう。いるんじゃないの」
と言うのに、(ダメだこりゃ)と思った。

昔と比べ、コドモ達は全体的に
明らかに幼くなっているようだ。
でも、親のほうから
「いませんよ、そんな人」とも言えない。
これが、本当にどうしても言えないのだ。何だろう。
「ファンタジー(善)への、大人のぬるい思い」が
蔓延してるかもしれん、と思った。

ところで、こうして子供達をながめていると、
どうも、(死別・離婚・あるいは冷酷で)
母親がいなかったりするという子供は、とても大人びる。
まるで少しでも早く大人に近づきたいかのように。
でも、それは悪いばかりなのか、と言うとそうでもなく、
とても賢く育ち、本当にたくましいほど。
このへんは明らかに平等です。

10月28日・木曜日
ビバリー。
先週行ってきた福岡の、若いビバリストの女の子
(ビバリーファンで、わざわざ有線で聴いている)から、
LFあてにFAXをいただいた。
「あの時見た、ヤノッチのみんなへの腰の低さに、
プロを感じました」と書いてあり、ヤノッチに
「あれ、あんた、どっかでそんな姿を見せたっけか?」
と聞くと、
「さあ。どこかで見られてたって事でしょうね。
ふふふふ。ふふふ」と、嬉しそうだった。
マネージャーを誉めてくれるとは、さすがビバリストだ。

そのあと、いったんコドモの夕食を作りに家にもどって、
メイクをし、あがたさんの映画
「港のロキシー」トークショーのため、渋谷の映画館へ。
あがたさん本人もカッコいいが、
あがたさんファンもこれまた若く、
ファッションもカッコいい人ばっかりズラー。

話しているうちにわかったのだが、
なんとずーっと昔、あがたさんは私の家に来られ、
「私の手料理を食べた事がある」のだそうだ。
私は全然覚えてないので、ただ、びっくりした。

10月29日・金曜日
オフ。素晴らしい言葉。
しばらく弾いてなかったピアノにさわる。
そのあと、冷蔵庫の野菜室を徹底的に掃除。
なんだか、SFみたいな匂いがして、
えらいことになってるなあと、笑えてきた。
すでに悪性の「笑気ガス」が発生したのかもしれない。

そうか。それでウチはいつも明るい家庭なんだな。
けたけたけたけた、と笑いが止まらずにいると、
夫が踊りながら帰ってきて、
笑いながら私と一緒にタンゴを踊り、
コドモも笛をふきながら
ハムスターをぞろぞろと引き連れ、
一家の陽気なパーティが始まった。
と、そんな事になったら困るので、
野菜室はこまめに掃除をしましょう。

10月30日・土曜日
LF生放送。
苦手なスケバンデカ、
なぜか強力に上機嫌でやってきて、その陽気さったら、
私にまでふと、うつってしまってたほどだった。
こんな事でなんだかスケバンが好きになっちゃった。
上機嫌というもの、実は人類最大の武器かもしれない。
「相手に好きだ、という状態にさせる」
という事は最強の勝利だもんねー。

いったん家に帰り、コドモと近所にある
無印良品(下北沢)へ行く。

コドモ、お菓子売場で見つけた袋を指さして、
「『カリッ青梅』って読みにくい!」と、笑いながら
「カリッ青梅、カリッ青梅。ほら言いにくいよー」
と繰り返していた。
私も口にしたら確かに。

コドモ、「チェキッ娘」も、
「チェキッむすめ」と読むのだと勝手に思い、
これも(言いにくいな)と感じてたのだそうだ。
結局「カリッ青梅」と、ソックスひと組を買って帰った。

10月31日・日曜日
和歌山放送へ。
機内で、またヘタな返事をした。
本を読んでいると、
席に来てくださったスチュワーデスさんに、
「ご搭乗ありがとうございます」と言われ、
その時は黙礼だけし、本に目をもどしたのだが、
そのあとすぐ、
「清水様とワタクシとは、
実は今回で3度目の飛行になります」といきなり言われ、
つい、「あっ!どうもありがとうございますー」と、
語尾をのばしたのだ。
彼女はすぐ去っていったが、どうも今の返事が
間違っていたような気がして爪を噛んだ。

そのあと、
「じゃあ、本来はどう答えるべきだったか」を
考えてみたのだが、これ!というナイスな答が、
いまひとつ見つからなかった。

タクシーに乗ったら、本で見た事のある
「井出商店」(元祖・和歌山ラーメンのお店)を発見!
(帰りに絶対食べる!・すでに食べている自分の姿)を
集中イメージトレーニング。

本番終了後、本当に行けた。
素晴らしい500円の使い道だった。
カロリー気にしないで全部飲み干した。
私の感謝の気持ちを、丼の底の形で表したつもり。
店員さんは、「や、別に」と
見慣れた顔でさっさとかたつけておられたが。

1999-11-09-TUE

第105回

11月1日・月曜日
先月から楽しみにしていた学芸会。
大橋君を探せど探せど見つからなかった。
休んだのかなあ、おかま役、見たかったのに、
と思っていたら、最後になって発見。
と、いうのはなんと、顔がかわいい上に、
声ももともと高いのがわざわい(?)し、
まったく女装しているとはわからなかったのだ。
つまり、完全に女の子だ、と素通りしてしまい、
誰もが(普通に演技をする女の子)と、
思ってたようだった。
失敗の大成功なのだ。

コドモは、あとからビデオを見て
「私、こんなヘタクソだったの?!」と、こぼしていた。
わかるよ、その気持ち。
一人一人にビデオがなかったコドモ時代に生まれて、
本当に良かった、と思えるくらい。

11月2日・火曜日
日テレ生放送。
アナウンサー(女子)が
「私、将来、かわいいおばあちゃんになりたいんです!」
と言ってた。なんともぬるい。私なら自殺する。
そのあと羽田へ。
「唐津くんち」、NHK生放送のため。
こういう仕事でもないと、祭りには参加しないなあ、
と思っていたら、ホテルに「中尾彬御一行様」との看板が。
趣味でいらしているのだそうだ。
すごいな。これぞ「男の」趣味と実感した。



11月3日・水曜日
くんち、凄い。派手!彩色!
私は高山出身なので、
祭りは雅びーなものしか知らなかったんだなー。
男しか参加できず、女性はウラで豪勢な料理をふるまう。
ここにドメスティックな日本人の姿を見たような。
女性はちいとも
「なんで参加できないんですか! 女性差別です!」
なんちゅうもんも、なかったようだった。
「頑張りんしゃい!」そんなカンジよね。いいねー。
だってホント、祭りって、
絶対的にどっか「男の」趣味なんだもん。



11月4日・木曜日
ビバリーのあと、「スーパー知恵モン」録画撮り。
「自由が丘特集」だったんだけど、
あのO監督(仮名)が電話に出られ、
さすがの野球音痴の私ですら、
(そりゃあ、この時期ゃ、
 ダイエーの優勝について聞かねば)と、
思えるところなのに、志の輔さん、O監督に、
「ナボナ」についてのトークを終始せねば、
という気まじめさが面白かった。
O監督も、「ナボナ」についてだけを、
マジメに振り返っておられた。
「話題のあの監督が、ナボナを語る!」というのは、
もったいないようで、貴重かもしれない。
ちなみにナボナは4種類あって、チーズ、パインなど、
「お菓子のホームラン王」の味を、続投してるそうです。

11月5日・金曜日
夢でガスターテンのCMに出ていた。
それを話したら、なんという偶然か、
ヤノッチがそれをたまたま持っていて、
「これ、おいしいんですよー、胃薬なのに」と言う。
これは現実の話。
私も味見してみたら、ホントにおいしかった。
「こういう仕事が来てるんだけど、、」
という声を聞いているうちにまた眠くなった。
「疲労を披露するヒーロー」のようなカン違いの顔は、
まったく気持ちいい。
でも、内容はぜんぜんヒーローじゃなかった。
そのあと、ファンレターを全部まとめ読み。
私のファンは、私に似ている。

1999-11-20-SAT

第106回

11月6日・土曜日
朝からLF生放送。
早起きして出かけると、
「ちゃんと働いてる!」というカンジがする。
同じ内容でも、遅くから始まる仕事だと、そうでもない。
なんでだ。

そのあと今年最後の「おかず屋さん」収録。
上品な先生と、料理を作っていると、
どこからか「ハエ」がやってきた。
料理番組には一番向いていない生き物と、
ひとりさりげなく戦ったつもりだったが、
時々パン!パン!と、私が濡れタオルでたたくので
(これしか武器がなかった)、
先生、驚いておられたようだった。
ハエ2匹の上、信用まで逃した。


おかず屋さん、スタッフ

そのあと、山田五郎さんとトーク。
「ヤマダゴローさんって、本名ですか?」と聞くと、
「そんなわけないじゃん!まさか!」と、
驚いたように笑っていた。
昔、さくらももこさんにも、
同じ驚き方をされたことがあったっけ。

11月7日・日曜日
天才てれびくん収録。
椎名林檎とゆず。まるで果物つながりのようだが、
ぜんぜん爽やかじゃないモノマネ。
この番組のディレクター山田さんが、
この日記を読んでくれてるんだそうだ。

ところが私が、
「私と会った人が、その日の日記に、
自分の登場シーンがないと、
読んでからすごくガッカリするらしいんだよ。
でも、全員を全部書くなんてさー、
できるわけないじゃんねー」と言うと、
「や、すごくわかる、それ!(自分と会った事が)
小さいことなのか、と思っちゃう」と言っていた。
皆さん、本当に大切な出会いを、ここに書くでしょうか。
いいえ。
忘れそうだから、書いているにすぎないのです。

家に帰ると、松任谷由実さんから
新譜の「FROZEN・ROSES」のテープと
手書きのメッセージが届いていた。
驚きながら夫に見せると、
すぐに「いたずらだよ」と言う。
どうしてすぐ人を疑うのかな、かわいそうな人、
と思いながら、夫の指さすところ
(差出人のシールをはがしたあと)を見てみたら、
知り合いの名前がうっすらと残っており、
このいたずらに、一気に激怒。
しかもこの日記を読んで、
ほくそ笑んでいるそいつの姿を想像すると、
さらにくやしい。ま、笑ったけど。

11月8日・月曜日
「BS・マンガ夜話」に出演。
「ガラスの仮面」編。
ゲストは私と呉智英さんと、荻野目慶子さん。
なんでも荻野目さん、この「ガラスの仮面」を読んでから
すぐに劇団に入りたくなり、本当に入団して、
そのあと「奇跡の人」のくだりを読んで
オーディションを受け、ヘレンケラー役に合格して、
舞台に立ったのだそうだ。

吸い込まれるような目で、
「私にも本当に、紫のバラの人がいたんです……」と言う。
「ファンという意味かな?」と聞くと、
「そうじゃなくって……」と言う。
興味深くなったところで、
呉智英さんが話を主題(マンガ)にもどそうとしたので、
「今は、しーっ!!」と、止めた。
ここまでピュアだと、
そのゆっくりした話し方から、表情から、
見てるこっちまでストイックさがうつりそうなほどだった。
いつかUFO見るな。

11月9日・火曜日
日テレ生放送。
そのあとそのままの格好で女性誌取材。
カメラマンさん、毎週ビバリーを
聴いてくださってるんだそうだ。
「ビバリー聴いたあと、こっちの番組にチャンネル変えて、
何時になるとここ行って、深夜はここで」というルートが
聞いてておもしろかった。
「普通、カメラマンってFMっしょ?
俺は違うんだよお、わかってんだよ」と、嬉しそうだった。

そのあと、地味な服に着替えて、
チャリにまたがり、小学校の個人面談へ。
「(コドモが)けっこう恥ずかしがり屋ですね」
と先生が言ったので、
「あー、私もそうでしたねー」
と言ったら、笑っておられた。
しかしそのあとはずうっと誉められるので、
「いいえ」、「いやいや」、「そんなそんな」
という、謙遜の返事ばっかり。

周りの主婦に聞いたところ、
「今のちゃんとした先生とは、そういうもの」らしい。
「欠点をけなすより、長所を誉める」と。やっぱり。
でも、えらいなあ、その姿勢。
私も、子供の頃は、「誉められた!」と思ったら、
本当にやる気になってたもんなあ。
実は大人になってもそうなんだけど。

11月10日・水曜日
「スーパー知恵モン」生放送。
そのあと銀座で雑誌の仕事があったので、
限られた時間の中、THE GINZAや、BEAMSなどで買い物。
買うときは必ずヤノッチに相談。
試着しても、彼女が首を横にふると、
私があっさりもとにもどすので、お店の人はヤノッチに、
「何者なんだこの人」という顔だった。

セーター、ブーツ、パンツなど、
暖かそうな洋服をいろいろ見てまわった。
来週、吉田日出子さんと二人で、
佐渡へ行く旅番組があるので、それ用にと。

夕方、家でそれらをもう一度着てみて、
「やっぱり正解!」と思いながら、
新しいブーツのまま派手に居間を闊歩し、
家族に披露した。コドモも「私も歩く」と、
そのブーツをぶかぶかとはいて歩いた。
しかしそのうち「暖まるから」と言って、
ハムスターをブーツの中に入れたがるので、
すぐに箱にしまった。

1999-11-24-WED

第107回

11月11日・木曜日
ラジオ、ビバリー昼ズ。
めずらしく放送がつまーんなかった。
高田さんもあんまりのようだったが、
私もローテンションで、
あがけばあがくほど最悪なコンビと化した。
不思議なもので、こういう時の終了後の疲労はきつーい。

よかった時は、それだけ体も使ってるハズなのに、
疲れを知らない子供のように(シクラメンの香り)、
「もう10本録りませんか!」なほど、元気になるのに。

いきなり天気や交通情報をお願いするという、
AMのださーいところは、結構好きなんだけど、
それすらめちゃくちゃ「くだらねえ事」に思えてしまった。

そのあと歯医者さんに行ったら、虫歯を発見されるし、
夫はまたアレルギー出てるし、
コドモの部屋はまたちらかってるし、と、
とにかくマイナーコードな一日。

11月12日・金曜日
悪いことは続くもので、某番組の偉い方から
「あんまりふざけないで(コメントして)ください」
と言われる。あれ!意外な!
ただ「あっ、すみませんでした」と頭を下げながらも、
心では(ふざけを叱られている女性の姿=自分)が、
なんだかちょっとすごい、と思えた。
小学生のレベルじゃないの。
それにしても私は、生まれてからずっと
同じ注意ばっかり受けてるような気がする。

11月13日・土曜日
北海道の友達に電話した。
こないだカニを贈ってくれたので、お礼がてら。
つい最近、この友達は自宅にFAXをつけたばかりで、
紙を送り合うのがが楽しく、しょっちゅう人と
やりとりをしてたのだそうだが、彼女のおばあちゃんが、
「清水ミチコさんのところに“のしイカ”も、
 それ(FAX)で送ってやれんのか」と、
まじめな顔で袋を指さしたと言う。
なんてかわいーのだ。
想像すると、匂いが残りそうだ。
夫と二人、深夜までしゃべる。

11月14日・日曜日
神奈川大学の学祭へ。
気の利いた声がかかり、さーすが、と思った。
ヤジというもの、すごーくそこに出る人の空間を象徴する。
いいヤジだった。ありがとうね。

帰りに、久々に田園調布のPATE屋へ行って、
レバーパテとガーリックトーストなどを買う。
家用と、ヤノッチ用、プレゼント用にと分けてもらった。
久々におっとりした林さんと話をしながらも、
言いたかった言葉がどうしても照れてしまい、
また言えなかった。
林さんも、臭い言葉に敏感そうなので、
どうしてもストッパーがかかってしまったりしてね。
「こういう意味の事を、気兼ねなく伝えたいときには、
 どう言ったらいいか、のハウツーに答えてくれる」
という職業があったら繁盛するんじゃないかなー。

そのあと、懐中電灯を片手に月の観測する。
これは仕事などではなく、コドモの宿題のつきあい。
月って、黙って見てると、
見てるようで、見られてるような不思議な気分になる。

11月15日・月曜日
吉田日出子さんと、新潟駅で待ち合わせ。
BSの番組で、二泊三日の旅行をするのだ。
しかしながらそこは仕事。
前もってスタッフが下調べをしてくれて、
この場所へ行こう、と言って移動するはずが、
吉田さん、わかってるくせにニコニコと
全く違う場所に行きたいと言う。
そのまま行った。さすがアングラの女王。

今やパンクロッカーですら、言われた事を聞くようで、
時間どおりにちゃんと来たりするもんねえ。
そこへもってきて、
料理がヘタ、眼が悪い、スローな話し方、と、
もてる女性の3要素を全て持っていた。

食事をしてたら、吉田さんに、妙齢のご婦人が思いっきり
「古田さん、ですよね!」と、話しかけてきて、
「や」と、つまっておられた。
顔、隠して笑った。

私はいつか、新幹線で、メガネのご婦人に、
「お、落合先生じゃ、ございませんか!」と、
感動の目で話しかけられてこられ、
「や、違いますね、私は」と言った事がある。
落合先生って、誰。信彦か。恵子か。

ちなみにナンシー関さんは、駅で切符を買ってたら、
若い女の子がさーっと隣にやってきて、
まちがいない! という表情で
「ドラムスの、ユキ、さん、ですよね!」と、
嬉しそうに言われたんだそうだ。
いったいどんなグループなのだ。
ドラムスのユキ。

1999-11-27-SAT

第108回

11月16日・火曜日
吉田日出子さんと小型飛行機に乗って新潟から佐渡へ。
低空飛行で、ゆっくりと海を渡るのって、
けっこう怖かった。
ここで死ぬかもしれないから、
「カメラに向かって最後のメッセージを二人で言う」
という事をしたのだが、
終わってから吉田さん、私にそっと耳打ちで、
「私ねーえ、ホントーにいつ、死んでも、いいのよねー」
と、おっとりと、でもマジメに。
独身は言えるからねぇ、私はまだ困るよー、と唱えた。
パンクになれんー。

佐渡は能がさかんな所なんだけど、
夜、能舞台とピアノまで借りて、二人で歌を歌うことに。
右には古い神社、左手には鳥居、
前にはかがり火と、超渋豪華。
でも寒くて、
“体中に貼ったホカロン”で一命をとりとめた。



深夜、一人で、「たぶんもう誰もいないでしょ」と、
温泉に入ってみたら、のんびりと歌声が聞こえてきて、
その声の主は吉田さんであった。
私一人で照れて、
「どーもー、きゃー」と、笑って入ったが、吉田さんは
「お先にー」と、まったく平気。高い。
(って言葉はおかしいかもしれないけど)高いのよねー。
バディは二人ともある部分低いんだけどさ。

湯船で二人、窓の景色を見ながら、
自由劇場について、性格とのつきあいについて、
岡林さんとの話などを聞く。
頭の回転のいい人って、業界に多いし、
話しててもムナシーくなったりするんだけど、
ゆっとりした話し方の人って、
じわじわと脳裏に味がしみてくる。しみたねー。

寝る前に部屋でヨーヨー・マをMDで聴きながら寝る。
(佐渡にヨーヨー・マなんてどうよ、案外)
なんて思って持ってきたんだけど、
北の海では演歌っぽいような、うなるような
日本のこぶしの声が聴きたくなるもんなのでした。

11月17日・水曜日
二人で名物「たらい船」に乗る。どうなのこれ。
カメラ回り終わったところで、空にとんびが飛んでいて、
吉田日出子さん、まじめに空に向かって、
船からホーイ、ホーイ、ホーイ、と、
何度も呼び続けていた。
アホみたいですよー、と言いながら降ろした。

ところで、吉田さんのお姉さんは、
アメリカで精神科医を営んでいるそうなんだけど、
吉田さんが20代の頃、さる事があり、
かなりブルーで、ずっと部屋に閉じこもっていた時、
たまたま日本に帰っていた「お姉ちゃま」に、
「あなた、なんだかおかしいわ。
 お姉ちゃまとお話しましょう」と言われ、
「いやなの」、
「しましょうよ」、
「診てもらうのって、いや」、
「あら」と会話が止まり、
「どうして、診てもらうのがいやなの?」
と訊かれたという。
「誰とも話したくないから」。
「それは、どうして?」と、
そのあとずーっと「どうして?」を
繰り返されたんだそうだ。

そして、
「どうして」「どうして」「どうして」と、
少しづつ言葉でたどって行くと、
もちろん結果は出ないんだけど、
ひもとけるものが見えてきたんだそう。
あ、こんなことだったのか、
ここをクリアすればいいのかな、と、
小さな糸口が見つかったんだそうです。

こうやって人の話をずんずん聞いてきた職業の人も、
精神的にすごい鍛えられてるんじゃないかなあ。
もとシンガーソングライターで、
精神科医のきたやまおさむさんの
「みんなの精神科」という本でも、
「とにかく話を聞き出す、
 このくらいで、我々はお金をもらってます」
と書いてありました。
ただし、「私はどうしてモノマネをするのか」を
どんどん考えていったら、ややブルーになってきたので、
面白半分に自分に聞かないように。

11月18日・木曜日
ラジオビバリー昼ズとCBC。
そのあと美容院で、髪にストレートパーマをかけてもらう。
一瞬でサラッサラに。10代の時を思い出した。
この、サラッサラ、を肌で何度も感じたく、
「呼んだ?」とか言って、
意味もなく左右に首をぶんぶん振る。

夕方、井上陽水さんのコンサートへ行った。
私が「生まれて初めて行ったコンサート」は小6の時、
親に連れられて行った名古屋での
「デューク・エリントン WITH カウント・ベイシー」
だったが、自分で決めてちゃんと行ったのは、
中学の時、飛騨高山体育館に来てくださった
井上陽水さんだった。
カルチャーショックだったねえ。
自分がワンランク・アップした!かのようでした。

今日のコンサート、中身が濃くって、
お客さんもよかったし、歌は余裕だし、
あー、モノマネする気持ちもわかるわ、私。
ある意味正しいわ、私。ってカンジ。

しかし、楽屋に顔を出すのがはばかられて。
ご本人に、どう挨拶したらいいのかわからない。
だいたいここに顔を出すべきだか。
あやまるのも失礼でしょう、
かといって、軽いノリでごまかすのもイヤなのよねー。
さー、どう出るべきか、と、思ってたら、
クマさんが陽気に、
「おーい、陽水、コイツさー、
 おまえをバカにしてんだるぞー、
 あのネタ、知ってるかー」とちくった。軽すぎる。

そしたらご本人がヨユーでニヤニヤしながら、
「あなたさあ、ずいぶん僕に、
 あこぎな事してるそうじゃない」と、
あの声で言われた。あこぎ。確かに。
「あ、いや、どうですか」などと濁す。
しかしそのあと、
「全員で写真を撮りましょう」ということになった。



日本人とは不思議なモノで、
こんな時でも瞬時にニコニコ集まる。いいところ。
私はたまたま一番前にいたんだけど、
後ろの誰かに「ペシッ!」と頭を叩かれた。
「あ、井上陽水」とすぐにわかった。
その方向と、手のでかさで。
ところが、そのあとも続けて3発、
「ついでに」という感じで
「ペシッ」「ペシッ」「ペシッ」ときたので、
私は振り返って、
「一発目はわかります!でも、そのあとの3つは、
納得いかない。どなたですか!」と聞くと、
みんなニヤニヤとカメラを向いて黙っていた。
どうも私は高校の頃からこんな役目だ。
(先輩のマネする→うける→またやる→ちくられる→
 叱られる→しょげる→別の意味で笑われる)という、
被害者的加害者。

11月19日・金曜日
コドモ、社会科見学から帰ってくる。
日野車体工場、東芝科学館、日清製油工場、
などに行ったそうだ。
なんでも「とても素敵なところ」だそうで、
将来はできたら、東芝か日清に勤めたいそうだ。

「宝島」で、ライフスペースの高橋さん顔マネ。
ひくかなあ。

大橋君、ちょっとだけ来てすぐ帰った。
「こないだ、大橋君のこと、私はわからなかったよ。
 女の子とばっかり思っちゃった」と言うと、
「うーん、そうねえ、
 そういう人、多かったみたい、ですねー」と、
井上陽水のようにしみじみ語尾をのばした。
おまえは大人か。
別件で、お父さんにえらく叱られたんだそうな。

まったく「(昔と違って)最近の子供は」、
なんてよく言うけど、実際は昔とおんなじで、
実は環境が違うってだけで、一人一人の個性というもの、
面白いほど違うんだなあ。
「子供に完璧な環境」なんて、
実はそもそも存在してないような、ねー。
「子供に申し訳なく思わない」親なんて、
現実にいるのかなあ。
「子供を思う親心」って、
いつまでも不当に美化されてるような。

11月20日・土曜日
LF生放送。
ここに時々出る「山本元気さん」という、
「やな名前」のニュースキャスターがいるんだけど、
あまりにもムキムキにできた体型なので、休み時間に
「なんなのその筋肉?」と聞いてみたら、
彼は“古武術”をずっと習っているのだそうだ。

“古武術”とは、忍者みたいな武術で、
(けっこう汚い手も多く)、攻撃的というより、
相手から身を隠す、自分を消してスキをつく、
とにかく守る、といった訓練につきるのらしい。
それにはとにかく「リラックスする練習」が必要だそうで、
ハタから見ると、まるで「アホみたいな笑顔集団」で、
集合してるらしい。

人間というもの、ここぞ、って時に
「怒りや恐怖」を持つと、
「またたくまに、思うように筋肉を動かせなくなる」
ものなのだそうだ。
だから、まずは「リラックスを修得する」練習なんだって。
習いたい。

「それ、今まで役だった事ってあったの?」と聞いたら、
「僕はまだないんだけど、道場に通ってる友達は、
ある日の夜、イラン人にナイフを持って来られたんだけど、
顔は弛緩したまま、スキをついて、一気に左手でナイフを、
そのあと右足で急所を蹴って、とにかく自分を守れた」
のだそうだ。
でもそのあと(教わったとおり)、すぐに
「それ(放って道に落ちたナイフ)をハンカチで押さえ、
警察への証拠として右手につかんだ」のだそうだが、
その時初めて、驚くほどぶるぶると手が震えて、
すぐ目の前にあるナイフが
うまくつかめないのがわかったんだそうだ。
その時初めて、
「ああ、やっぱり俺は怖かったんだ。
だって今、すごかったもん、この現場」と、
「安心の涙」がとうとうと流れてる理由も
わかったんだそうだ。
なんとも実感のある話でしょ。

きっとこの道場は「自分の弱さ」を
しっかり認識できた人が通おうと思うところ
なんじゃないかなあ。それすら難しいもんね。

「じゃあ、放送なんかじゃもうアガらない?」と聞いたら、
それも含めて通っております、との事だった。

1999-11-30-TUE

第109回

11月21日・日曜日
「天才てれびくん」収録。
そのあと、この番組の大晦日スペシャルの打ち合わせ。
家でコドモ、
「クリスマスプレゼントに、
ハムスターの子供を頼むかもしれない」と、
真剣に言ってきた。
「ハムスターの研究レポート」を読むうちに、
「自分のしつけがいかにまちがっていたのかが、
よくわかった。エサなどに甘すぎた」
のだそうだ。
「えーまたー? あのマンガはフィクションです、
って書いてあるじゃんー。まー、考えとくけどさー」と、
鈍い返事をする。
「頼みます、どーか!」と、土下座していた。オーバーな。

大根の茹で味噌、納豆、野菜炒め、玄米、焼き芋、
という、薬膳のような夕食。
時間があると、かえってこういうメニューになるような。

11月22日・月曜日
午後からLFの番組「井上陽水スペシャル」で、
陽水さんとせまいブースで2時間半。楽しかったー。
「感謝知らずの女」かからなくてよかった。
かかってたら、どんな顔で。



なんと「終了後、食事でも」と、ヨユーで誘ってくださり、
ジャガーに乗せていただいた。
車の中でかかったCD、私にはなつかしい声で、
「これって! タモリ1stですよねー!」と言ったら、
「うん。あれ?あー、そうか。よくこのCDかけるとさ、
助手席の人に、意外な選曲だなあ、って顔されるんだけど、
あなたは、そうなの。普通なわけね、これが」
と言っておられ、そこからずうっとタモリさん談義。

途中、陽水さんが携帯電話をかけられたので、
「次に何が入ってるか調べてみよ」と思い、
失礼ながら「CD・2」を勝手に押してみたら、
「タモリ2nd」のイントロがおもむろに出てきたのには、
一人で笑った。変な人だなあ。

ところが、食事をしながら話していると、
「やっぱり、あなた、変」と、
まったりした精神科医のような口調で言われていた。
1時間ほどして、ご子息登場!
ご子息、まるで「目の前の人を必ず幸せに!」を
モットーとされてるような明るい学生さんで、
まぶしかった。
親子の会話を聞いているはずなのに、
親子のようでなく、といって他人でなく。
たいへん興味深いものを持った。
凄い一日。

11月23日・火曜日
ゆうべの一件、夫に話ながら
コーヒー、新聞、トースト、電動歯ブラシ。
そのあと日テレへ。
向かいながら
「そういえば私の車のCD、最近は何を入れてたっけ」と、
チェックしてみたら、
「魅惑の民族音楽〜インド編」。

メーク室で、メークさんに「靴がかわいい」と言われる。
コキュの靴って、安っぽいところがいいよねー、と、
二人でうなずく。
楽屋でふと見た雑誌に、マライア・キャリー発見。
あの人、今年もあからさまな薄着で来日。
またぶるるん、をかもしだすのね。冬なのに。

帰りに本屋さんで、
「イギリス式・いたずらの天才」を買った。
糸井さんはすごいなあ。
(これの濃い本をずっと昔に出しておられる。
しかもタイトルは「スナック芸大全」)。
立ち読みして笑ったのは、
タイトルは忘れちゃったんだけど、
片平なぎさの「私が2時間ドラマで訪れた土地」を、
日本各地、くまなく紹介するガイドブック。
ちゃっかりしてる。

11月24日・水曜日
そろそろ、と思っていた「こたつ」をついに出す。
こんな事で息が切れた。
「こたつ」と言えば大橋君。
早くここで寝そべってマンガでも読んでほしい。
黒沢明「七人の侍」、
昔ビデオ録画したやつを観ようとするが、
コドモが帰宅した。
さっそくこたつに足を入れながら、
「宿題中だから音しぼってー」と言われる。
ちぇっ。自分の部屋で宿題やれよー。
ま、私もそうだったけど。
しかし、ヘッドフォンをしてみたら、
これが今まで何を言ってるのか、
ボリューム28くらいにしてもなかなか聴き取れなかった
「七人の侍」のセリフが、よーく聴き取れて驚いた。
農民のアイデア大成功。
今度からこうやって観よう。

こたつで夕食をとると、顔が近くなるせいか、
いかにも家族でございます、という構図になる。
でも食べたのは夫の作ったチャーハンとスープ。

11月25日・木曜日
ビバリーとCBCとTBSでTV。←早口言葉。
そのあと、パソコン雑誌でソラミミストの安齋肇さん、
イラストレーターのなんきんさんとの3人で、
「バカHP大賞」を選ぶ。
安齋さんの話によると、なんきんさんは、
「最近ダンスに凝っていて、
バレエやタンゴなど欠かさず観に行き、
『“ターン”ができないヤツは男じゃない』と、
長い髪でくるくるっとターンをしながら言いはる」
のだそうだ。
ははははは。



安齋さん、自分で
「太っちゃったよー」なんて言ってたけど、
横浜に移住したら、来る人来る人みんなが
「じゃ、中華街に行こ!」と、
当然のように誘われるのだそうだ。
チャイナ太り。
でもあいかわらず品のいい人ですこと。
この日はそのあと番組の打ち合わせもあるのに、
HP笑いながら見るうちに時間は過ぎ、
ヤノッチ、何度も苦しいマキを入れてくれていた。

1999-12-06-MON

第110回

11月26日・金曜日
クリスマスのツリーや、リースなど出す。
いつもだらしのないこの家も、
ちゃんとかたづけてこうして飾ってみると、
なかなかいい住まいじゃないですか。あとはキープ。
トイレにもデコレーションする。
トイレと言えば、こないだの吉田日出子さんとの番組の
女性ディレクター、夜中の佐渡の「ボットン・トイレ」で、
ポケットに入れていた携帯電話を落としてしまった。
彼女はなんと同じ失敗を、
これで3度も繰り返した事になったのだそうだ。
(また落とすんじゃないか)、と思った瞬間に、
ほんとに落ちたの、と、絶望的表情でした。
呼び出し音を鳴らしたら、どうなるのかしら。
返事きたりして。
「はい。よくも落としましたね……」と聞こえたら、
こわいですね。

11月27日・土曜日
LF「お願いDJ・ハッピーウイークエンド!」生放送。
聴取率がよろしいのだそうで、
局長から小林克也さんと共に賞を受け賜った。
ありがたいことですー。

今日は私のお母さんの誕生日で、実家に電話した。
さっそく「清水でございますー」と、営業用のすました声。
「私だけど」と言ったら普段着の声にすぐもどった。
声を変える血統なのか。
久しぶりに長話をする。
夜、年賀状デザインやり直し。
事務所のバイオでやってみるが、
うまくいかず、自分の部屋で。
こういうことはやっぱりマックよね、なーんて思う。

11月28日・日曜日
天才てれびくん2週分。
こないだ、この番組のレギュラーの小学生の
男の子の一人が、休み時間に文庫を真剣に読んでたので、
「なに読んでるのー」と、本を取り上げたら、渋澤龍彦。
私にはタイトルの漢字も読めず、たじった。
これ、いいっすよー、とマジで軽く言っていた。
ヤノッチはつい最近
「少年マガジン、そろそろ定期購読するのを
止めようと思って」と言っていた。
どっちかがまちがってる。
いや、どっちもだろう。

そのあと「渋谷・原宿ポップストリート」生放送。
50年代から90年代までのファッション対決で、
オセロさんらとご一緒。
時間が押したところで、
ADさんから指でくるくる合図される。(早く早く!)。
私はどーも昔っからこの「失敬な感じ」に笑ってしまう。
わかるけど。わかるだけに。
さっきまで、あんなにシタテに出てくださってた
ADさんが、本番でいきなり指先で命令する、
というこの図式が、何度見てもやっぱりおかしい。

オセロさんの話では、
「彼はまた、昔っから心配性やねん」だそうで、
私が、ドロンズが出た時に、
「お帰りなさい!ドロンズ!」と、(わざと)言ったら、
「遅い!」というしかめっ面を満面に出していた。
さらに、エンディングで、
「よいお年をー!」と言ってみたら、
また、(早い早い!)と、
必死で手でバッテンを作っていた。
まじめなのかな。

11月29日・月曜日
コドモとテーブルで、「せーの!」で、詩を書く。
お題は「悲しみ」。
そのあと「怒り」の4コママンガで勝負し、
「喜び」イラストで競う。笑ったー。
といっても、全部ボールペンで
ちょちょいのものなんだけど。

夫に判定してもらうが、毎回ついつい
コドモを優位に立たせたがりがちで、
「ちゃんと考えてね」と、コドモから釘を打たれていた。
笑えた。わかってたのか。
しかし、コドモ、
「悲しみ」の詩を書くとき、妙にうっとりとした表情で、
あ、これも彼女が好きだった
「みじめ暮らしごっこ」の一種ではないか、と
ちょっと不安になる。
これも将来のイメージトレーニングというヤツに
なるのではないかと。
ひとり、という字を、
「一人」ではなく「独り」と書いていたのが、
不安をさらにつのらせた。

11月30日・火曜日
チャイムで起きた。
夫はとにかくやさしーヒトで、妻に甘い。そこがいい。
よほどの事がないかぎり、何時まで寝ていても
(自分の事で)私を起こす、なんて事が
今まで一度もないのだ。ありがとう、あなた。
でも、実はできるだけ顔も見たくなかったのでは、
という強い疑念も。

チャイムの主は宅急便屋さんで、
夫の青森の知人から、発泡スチロールに入った
「ほたて貝」がどっさり。
見ると、ぜんぶがぜんぶ、しーんと生きていた。
この生命感の怖さよ。鳥肌。
しかも、それら全てをすぐに私の手で殺す、という構図。
声が聞こえなくて良かった。
さっそく夫婦で貝にスプーンを突っ込んで順にさばく。
ちょっと聞こえた。
「ヤツらに痛みの神経はないと
誰かに聞いた事があるけど、本当かな」と言ったら、
「本当だ」と即座に言った。同じ事を感じてたのね。

夕食用に、刺身用と、
バタ焼き用(←「暮らしの手帖」風。バタ。)
とに分ける。
それ以外は全て冷凍。
なのに、タッパの中で、まだうごめいていた。
すぐドア閉めた。
確かに殺したのは
いなめない。(←「山崎まさよし」風。いなめ。)

1999-12-11-SAT

第111回

12月1日・水曜日
ウンナンの某番組で、リハーサル。
たくさんの女性タレントと長い時間ご一緒する。
なにげに話していて、「あっ!」と一人で思ったのが、
顔のキレイなタレントさんは、声も美しいが、
そうでもない方は、それなりのボイスである、という事実。
たとえば、松坂慶子さんの声と、
泉ピンコさんの声を思い浮かべてください。
もちろん、どちらも美しいのですが、
個性の差は歴然としてあります。
これは思うに、たぶんこれは女の子として生まれてきて、
(そろそろ顔を自覚する)、という頃に、
(あ、私の路線って-、こんなもんでいっかー)、
というあきらめから発声されるのが、
癖になってきたのではないか、と思いました。
そんな事を考えつつ、ふと見た山田花子さんは、
かわいい声で顔もおぼこいので、
声は顔から出る、なんて思った。

12月2日・木曜日
ビバリーとCBC。
家に帰って、深夜、録画しといた古館さんと養老さんの
「脳についての番組」を見た。
脳の話って、なんだか特別に
「こんなにわかってるものなのか!」と思うと、
恐くなったりしませんか。
気持ちが悪くなるというか、変にかゆくなるというか。
うまく想像ができないからかなあ。
特に「脳にできた傷について」のVTRが恐かった。
顔を何度もかきむしりながら頑張って見た。
知りたいのに、知らなきゃよかったような世界で、
それでもめずらしく「保存」にと、ビデオの爪を折った。

12月3日・金曜日
年賀状デザインやり直し。
クラリスで作ったら、なぜか印刷方面の方に、
「クラリスだめです」、と言われたため、
「イラストレーター」MAC用買って、1から出直し。
終了後、なんだか腰から疲れて、
いっそのこと「テトリス」を始めてみたら、
やめられなくなってしまった。
ムダな時間を費やすことで、
ざまみれー! みたいな到達感。
誰に向かっての十字キー。
夜、夫が帰ってきてどらどら、と参加。
ぜったい負けたくない!
と思う回ほど負ける事がわかった。
美空ひばり。

12月4日・土曜日
LFでタッタカター、と4時間しゃべる。
そのあと走ってメイクして「TVタックル」。
久しぶりにお会いした黒鉄ヒロシさんと、立ち話など。
終わってから、年末の「天才てれびくん」の総集編を収録。
山崎邦正さん、過去に私がやった
「ジュディマリ」のVTR見ながら、
「矢野顕子さんかと思いました」と、
ニッコリと、とんちんかんなコメント。
この人は、たまに自分に似ているところがある。
ヒトの話をあんまり聞いてないような。
私も私で、つい「なるほどね!」と、
ココロにもない返事を即座に返していた。
そのあと矢野顕子様のコンサートへ。
演奏、凄いことになっていた。
この方はきっと、仕事に前向きになる姿勢が
当たり前の事なのだ。
たちまちプライベートな時間がやってきて、
絶対的に人には見せたくない表情! になった。
自分がふだん思っているプライベートの下に、
もう一枚ありました、とはがされたような。
円形劇場ではなるべくやってほしくないタイプ。
あそこってお互いの顔が、丸見えですからね。
本当に感動すると、
人は立ち上がって喝采! などできるものなのではなく、
むしろ脱力感によろよろ〜、とするものなのか、
なんて思った。

12月5日・日曜日
「ほぼ日」について、のコメント取材。
午後からまた、矢野さんのコンサートへ。
2回目は冷静に聴くため、などと思いまして。
そうでもなかったけど。
帰りがけに葉子ちゃんが、
「ああ、これ(コンサート)で今年も、終わりましたねー」
なんてため息まじりに明るく言ってたけど、
本当にそんなカンジ。
メンタル除夜。
ちょっと早いけど、個人的にはみなさん、
明けましておめでとうございますです。

1999-12-15-WED

第112回

12月6日・月曜日
「北野チャンネル」で、テリー伊藤さんとご一緒する。
テリーさんがよく、
「久しぶりに会うなり挨拶もなく、
いきなりの展開で話を進める」のは有名な話で、
私の知り合いは突然、肩を叩かれたかと思うと、
「あの試合、茶番だよね!」と言われ、
何の試合だったか考えているうちに熱く語りだし、
急に「あ、それじゃね!」と、手を振られたのだそうだ。

ヤノッチはこないだ廊下で会ったので、会釈したら
「近いよね!」と言われ、
「何が? どこが……?」と、集中して考えているうちに
サーッといなくなった、と言っていた。
今日は何を言うかな、と思ってたら、
私と目が合うなり大声で、
「ダメじゃないかっ!!」だった。
「何がなのよ」と言うと、
フフフフ、と何かを思いだすかのような表情で
笑ってスタジオに走っていった。
人はハイという、
ただそれだけの事で、喰われてしまうようだ。

12月7日・火曜日
保護者会へ。
渡されたプリントに驚いた。
冬休み中の子供の諸注意なんだけど、
「深夜の徘徊、ドラッグの乱用、喫煙、飲酒」とある。
乱用て。使用の間違いなんだろうけど。

家に帰ってHPを見たら糸井さん、
「お歳暮、年賀状もやめる事にしました。」
と書いてあって、こっちにも驚いた。
しましたて。過去形て。できるのか。

そりゃ、理屈じゃできるんだけれど、
心の中で「だって、ナニが、アレで、ほら」と、
大人のレールをたどって行くと、
「嫌われるんじゃないの?」という終着駅に着いた。
いやな場所を教えてくれる。
どうも性格がよろしくないようだ。

もしも中森明菜が今そんな事したら、どんな書き方される。
「明菜、お歳暮ゼロ!」
みたいな。
「明菜ついに賀状無視! 業界年始困惑!」
みたいな。

よく、政治家の方針は変えるべき!
なんつって吠えるけど、
個人の政治(しきたり)を変えて行くのには
えらい勇気とエネルギーがいる。
考えただけでしんどくなった。

12月8日・水曜日
年末〆切の原稿2本。
でも字を書くのは好きなので、
ワープロ打ちながら充実の休日ってカンジ。

夕方から家族とスタッフとで、
うまいと噂の焼き肉屋へ。
コドモ、
「お好み焼きの名前が、チヂミ!
覚えやすい! チヂミ!」と、一人で笑ってた。
韓国の言葉って、日本語みたいだからおかしい。
あれ、偶然にも縮んでるような形だし。
韓国でも日本語を笑ってるのかなー。
「お好み・焼きだって! 好みのソテー! カスミダ!」
なんつって。

12月9日・木曜日
ビバリーとCBC。そのあとTBSへ。
スターバックスでカプチーノを買って持って入る。
最近まったく「喫茶店」という場所で
コーヒーを飲んだ事がないなあ、と思った。
なんか古いような。
実家に叱られそうだけど。

TBSでご一緒した女優さんの気の強さが
なんとも面白かった。
普通に会話しているのに、いつのまにか
「最後には絶対勝つ!」
という意気込みが感じられる会話になっているのだ。
「気が強いっすよね!」と言ったら、
雰囲気がラクになるかというと
そういうカンジでもないんだな。

私は時々、どんなに目上の方や年下の人にでも、
空想で“黄色い帽子と、赤か黒のランドセル”を
つけて見てみる。
そうすると、
「このコは、こういうモノが欲しいんだな」とか、
「このコは、まだ愛情からくる傷みたいなのを
 背負ってるんだな」、
「お、まだまだすくすく成長中!」なんてのが、
いったん自分と平等になって
見えてくるような気がするんです。

ニュースに出るような犯罪者にもかぶせて見ると、
シンパシーみたいなのが沸いちゃうんだけど。
この女優さんはとりあえず、
しっかりした優等生でいるよーに、と
親から期待されてきたコドモの姿をかいま見たようだった。

12月10日・金曜日
顔マネ写真を撮りながら、
「そういえば、「ターザン」いいんだってよー、
 連れてってよー」と、夫に言ったら、
「アメリカって国はつくずくターザンのストーリーが
好きだよなあ、何回もリメイクしちゃ
ヒットするってゆう、もう古典芸能なんだよな。
でも混むだろーから、そのうちなー」と言われた。

そういえば、なんでアメリカ人は、
あの話が妙に好きになんだろう。
移民が多いからとか。

そうなると、日本人は本当は、
今まで彼らほどは感動してないような気がしてきた。
スカッとする、だけでいい!みたいな。
そのノリ!いただき!みたいな。
今度行くときは、アメリカ人になった気持ちで、
映画を見てみよう、と、
鈴木あみさんの顔の気持ちに立ちながら決心した。

ところで、こないだ収録した
「熱血!オヤジバトル」という番組が、
年末にロンドンとアメリカでも
放送される事が決まったんだそうです。
そちらに在住でこのHPを見てる方、
ぜひ見つけてくださいな。

1999-12-22-WED

第113回

12月11日・土曜日
ニッポン放送「お願いDJ!ハッピーウイークエンド!」の
生放送のあと、スタッフ全員と早めの忘年会を銀座で。
ただし、この番組でみんなの顔が揃うのは、
番組終わった直後しかないので、お昼間の忘年会。
なんか清潔。軽い。
ヤノッチ、じゃんけん大会でマウンテンバイクをGETした。
しかしまわりからのヤジなどで、
「もうけっこうです」と、返そうとしていた。

家に帰ってもまだ午後4時。
「夜、家族で、映画行こうよー」と誘うが、
コドモは「サラリーマン金太郎」、
夫は「ブレアウイッチ」、私は「ファイトクラブ」と、
意見がバラバラで合わず、
結局三軒茶屋にある2番館でやってた、
「ライフイズビューティフル」を観にいった。
この映画館のボロさ、コンクリートの底冷えの感じ、
トイレの匂い、なつかしかったー。

「ライフイズビューティフル」、
泣けるとは聞いていたが、途中鼻をかみながらも、
(くどい)(くどい)(くどい)と、
何度も自分に訴えかけるもう一人の自分がおかしかった。
監督は誰だ、とパンフを探したら主演の男性だった。

12月12日・日曜日
朝から子供と、
ほうきと軍手とちりとりを持って公園の掃除へ。
これもPTAの仕事なのだ。好きでPTAなわけじゃない。
小学生の親は、全員そうなっとるものなのだ。

掃いてー、掃いてー、ちり取ってー、の1時間。
やっと終わった! と思ってたら、お母さんの一人に
「あの」と声をかけられる。
「もう卒業もあと1年とせまっていますよね。
そこで、清水さんにちょっとご相談が」と言う。
結局「ライブをやってもらえないか」というお話だった。

「あの日差しのきれいな体育館で、
私はほのぼのとしたネタをチョイスし、
知り合いの多いお客さんの中には、
かわいい我が子の顔が見え、緩やかな笑いが広がる……」。
考えただけで鳥肌。
「や、それはちょっと」と逃げたら、
「柄本明さんも、一人芝居をやってくれましたし」
などと言う。柄本め。
「彼はいい人ですよー。先日もですね」
などと噂話でごまかす。
「生理的にイヤです」が一番しっくりくるのだが、
個人に向かって言葉でうまく説明できない。
私はただ、こういう場所では透明でいたいのじゃが。

12月13日・月曜日
TBS生放送。
そのあと雑誌の取材2本。
某道路公団からの取材がおっかしかった。
好きな高速道路は? とか、
印象的な高速道路は? 思い出の高速道路は?
私も途中から、いいかげん出ないわよ! と吹き出し、
一緒に笑った。
こういう人でよかった。
「こういうコメントはどう?」なんつって試作してんの。
夕方、すごくいい曲が浮かんで、カタカナでスコア。
誰も聴かないかわいそうな名曲。

12月14日・火曜日
「笑っていいとも!」で、
マネージャーが主役のコーナーに出る。
ヤノッチは普段からノーメークなので、
メイクさんにちょっと塗られただけで、
眉間にシワを寄せまくっていた。
ドーランって、なんで塗らなきゃならなんだと
自分でも思うんだけど、公的に考えると、
せめて塗らずば。

でも、もっとガッカリくる姿は、
メイク室で見る男性タレント。
男らしいイメージで人気があっても、
メイクを塗ったり落としたりする鏡ごしの姿を見ると、
たちまち悲しい。
あ、この人は慣れてる、なんて思うとよけいに。
おかまか、なんて思えてしまう。
ただし、“おかまっぽい部分”が全くみじんもない人は、
たいしておもしろ味もないという。
女もおかまなのです。

深夜、コドモの具合が悪くなり、
あたふたして夫婦で緊急病院へ。
今年の子供の風邪の症状のようでした。

「8年前もこんなあたふたした夜があったねー」と、
話しながら車で帰った。
私達よりも先にいた隣の親子をよく見たら、
大竹しのぶさん親子だった、というおまけつきで、
お互いびっくりして、妙な初対面の挨拶をした。
大丈夫ですか? ええ、大丈夫です。なんつって。
大丈夫なわけがないから来てるのに。
そんな話をまじめにしていると、
コドモの口角が上がってたので、
「話聞いて笑ってんじゃん」と思ってホッとした。

12月15日・水曜日
「気分は上々」のミレニアム会を温泉地で。
女性陣で「モーニング娘。」にチャレンジ。
「キッツイぞー!」なんて笑ってたんだけど、
さすがはタレントで、みんなメイクなんかしたら、
そこそこ結構見られるようになってしまい、
一人、あわててガン黒メークをほどこす。
セーフ。何が。



でも、お客さんのすべてがタレントという中で、
何かを披露するのって、誰でも結構緊張するものらしく、
みんな、出番が終わったら、
やっとくつろげる、という顔をして飲んでいた。
緊張あんまりなかったのは柳沢慎吾さんくらい。
これだけまわりの誰からも好かれる人気者だというのに、
友達がいる、という姿がイメージできない人も
めずらしいな、なんてニヤニヤと思った。
もちろん実際はいるんでしょうけど。
なんか、いらなそうなのだ。
そこが面白いなあ、と、時々横顔を見つめた。

コドモに電話したら、学校休んだ人は8人もいて、
今、自分は暇なんで「ちゃお」を読んでいる、
と言っていた。

1999-12-25-SAT

第114回

12月16日・木曜日
ラジオ2つとテレビ司会1つ。

家に帰ったら、お歳暮に
おいしそうなラ・フランスが届いていた。
ラ・フランス、名前がいいよね。

梨って、りんごに比べたら
いっつも名前に恵まれてる気がする。
幸水とか、長十郎、20世紀など、
「毎度個性的な商標を考えられます!」みたいなんだけど、
りんごは世界一、国光、紅玉、と、
どことなーく重いカンジ。
顔かわいいのに、明治生まれ、みたいな。
ラ・フランスの送り主は坂上みきさんから、
というのにちょっと驚いて、玄関にいた夫に、
「なんで、わざわざ私にくださったんだろう!」と
食べながら言うと、靴を履きながら
「おまえには、ようなし。」
とゆっくり言われたのが、あまりにもくだらなかった。

12月17日・金曜日
ヤノッチ、私の仕事の少ない時期をうまくとって、
早めの冬休みを取り、今日から北海道へ
スノボー旅へ行った。と言っても4日間だけど。
でも、こんな風にまわりの人間が、
趣味のためにどこかへ行くのって、
見ているだけで生きてる! というカンジがして、
とても好ましい。

私はずーっと前、一人でパリへ行ってみた。
しばらくして夫は、一人で屋久島へ行った。
コドモは来週、スキースクールに参加したい、
つって、群馬に行く。

家族旅行だって、絶対おのおの孤独な(大切な)時間が
生まれるものだけど、個人で行くのって、
もっと「孤独と向き合える状態」を強く作るから、
なんか、神秘的なんです。

12月18日・土曜日
ニッポン放送へ。
赤のセーターに、黒のブーツを履いて入ったら、
たまたま会った若いアナウンサーに、ニヤニヤと
「さすが清水さん、さっそくサンタ・ルックですね!」
とポン、と言われ、
「や、違いますけど!」と言いながら
“ちっ”と腹が立ってた。

クリスマスに向けて、
さりげないサンタ・ルックのおしゃれ。
そんな事をするタレントがいるか。
アナウンサーって職業の人は絶対記号で考えてるな。
なんで私はアナウンサーが嫌いかっていうと、
普段の会話がこんな風にすげー適当で、
言葉のメリハリばっかりいいから。
正義感はともかく、世俗に疎いときてる。

ところで、こーゆー腹が立った時にイヤーなのは、
実は自分なんです。
なんつっても瞬間、自分がひとりぼっちーになるから。
私は、本当に世界で最もかわいそうなのは、
飢えた子供や、身よりのない年寄りよりも、
「何かに激怒してる人」だと思っちゃう。
あれって、最悪の状態よね。

怒ってる人を見つけるたびに、
心の中であめ玉を口に入れたくなる。
かと言ってホントにあめ玉入れると、
その人をいっそう怒らせてしまうときてるんだな。

12月19日・日曜日
またテトリス。
じーんと、とりつかれてるようにやる。
夜中、起きてきたコドモに
「あっ、精神的にやらないで!顔がこわい!」と言われ、
笑ってしまった。
鏡があったら私だって恐い。
すごい真ん中にシワよってんの。
何度やっても夫に負ける。
性格的にそんなはずはないので、それを確かめたいのだ。
落ちてくる形の先を読め、なんて言われると
無性に腹が立つ。

12月20日・月曜日
渋谷に「ジアンジアン」という、
小さなライブスペースがあるんだけど
(私はそこで勝手にデビューしたようなもん)、
悲しいことに、そこがついに閉館されることになり、
『清水ミチコ・ベスト版ラストライブ(泣きマネあり)』が
1月21日と22日(マチネもあり)に決定。
どうせやるんなら、
もうちょっと長くやらせてくれませんか、
立ち見多くて気の毒なんでー、
なんて頼んだんだけど、
「もうこちらのスケジュール、埋まってますんで」、
との事で、残念した。
それにしても、ここがなくなったら、
私もどこでライブをしたらいいか、そろそろ考えねば。
(チケットはさっそく売り切れたそうで、
皆さん、どうもありがとうございました)。
広い場所でやっても、よろしくね!

1999-12-31-FRI

第115回

12月21日・火曜日
「天才てれびくん」収録のため、NHKへ。
すーっと通ろうとしたら、
また警備さんに玄関で呼び止められてしまった。
「またっすかー」と私を笑ってたヤノッチ、
会う人会う人に「テレビ見ました!」
「出てましたね、いいとも!」と声をかけられていた。
立場が逆じゃないの。
あの番組に出たら、ヤノッチ、
たちまち電車の中でも視線を感じるらしい。

一度家に帰って、私たち夫婦と、MIDIという
レコード会社のもと社長の宮田茂樹さんと、3人で会う。
私のCD、インディーズレーベルから出さないか、
というありがたいお話であった。
帰りに夫婦で下北沢をブラブラしながら帰る。

12月22日・水曜日
CX「どーなってるの?」に出演し、
帰りに隣のニッポン放送にちょこっと顔を出した。
今日のビバリーのゲストが、大瀧詠一さんだったので。
そしたら急きょ「乱入せよ」との指示が出され、
野球トークへ参加。
私はまったくの野球音痴なんだけど、
音感だけで、適当にしゃべり、
夫のLP「風街ろまん」にサインしていただいた。
なんか、いい雰囲気だったなー。



そのあと、TBSに行って、
「気分は上々」のスタジオゲスト。
メーク室でのTAKE2の深沢さんの
「今、妻が、生き急いでるんです」の話に笑った。
笑ってはいけないんだけど、
生き急いでるんです、というまじめな表現が。
とにかく私は年上だから、早く死ぬんだから、
日々を充実させないと!と、
体に鞭を打つような毎日で、
「僕はとにかく、休んでほしいんですよ、彼女に……」と
本気で言ってた。
なんだか失礼だけど、いい話だなあ。

12月23日・木曜日
ヤノッチと青山のスポーツクラブへと、生き急いだ。
そのあと洋服を買って、事務所で原稿を書く。
事務所の中川さんが
「こんなメールが!」と笑っていたので、見たら、
「山下達郎さんのCDのテレビCMの、黒人のアップは、
清水さんの顔マネではないでしょうか」というもの。
違うよ。でも、ありえそう。

12月24日・金曜日
コドモ、通知表を渡し、スキースクールへと、
学校からバスに乗って群馬へ出かけた。
わーい、もどるぞ独身生活ー。
この2泊3日、たっぷり遊ぶぞー、
なーんて思いながら、結局「日本青年館」へと急ぐ。
WAHAHA本舗と、坂田明さんらとの
合同ライブがあるのだ。

出番前に裏でやってた、「ガチョーン・ケチャ」の
リハーサル風景見てたらじーん、ときた。
WAHAHAのメンバーは、みんなにうっすら
背中に羽が生えてるのが見える。
なんて汚い天使。

打ち上げ会場で、ヤノッチ、
鈴木慶一さんと電話番号交換していたらしく、
「ふふふ、鈴木さんの、
さすがに知らないっすよね、ふふふ」と
携帯ゆらして自慢していたが、
「おまえ、あのお方はね」と、私が語りだしたら、
「言わないで!深く知ると楽しくしゃべれなくなる!」と
あせっていた。
わかる。うなずいた。


12月25日・土曜日
ニッポン放送「ミュージックソン」に
山田邦子さんのゲストで出演。
「いつも元気だね、ミッちゃん」と言われ、
「でもウチの夫なんか、いっつも元気ないのが
普通なんだよ。テンション低いよー」と言うと
「あ!ウチも!すごく元気ないの!」と言ってて、笑った。
平野レミ夫妻もそっち系じゃない?
なんて言い合ったんだけど、
どっちかが妙に高いと、
低い人と一緒にいたがるものなのかな。
バランス。

家に帰って、「わ、コドモがいない自由時間」が
あと数時間だ、と思い、夫婦で生き急ぎながら
新宿の映画館へ。
「ブレアウイッチプロジェクト」。
しーん。期待しすぎたか。
何も聞かずに行ったらよかったか。
夫も「アイデアいいのに長くて切りたくなった」、
なんて言ってて、ちょうど10分後に上映する映画を
発見し、続けてまたもう1本
「ファイトクラブ」を観た。
これまたもひとつで、
なんか観る側のこっちが衰えたのかな、
なんて言いながら、せめて食事を、と、
新宿ニューヨークグリルへ電話予約するも
クリスマスで満員と断られ、
近所の下北で食事をして散歩して帰った。
家に帰ったら玄関のクリスマスツリーだけが、
一人でずーっと点滅したまま待っていた。

2000-01-01-SAT

第116回

12月26日・日曜日
高平哲郎さんのFMの番組に出た。
「何かやってよー」と言われ、
見るとキーボードもしっかり置いてあった。
なんだかネタやるのもなんだし、どーしよっかなー、
で、思いついたのが、
こないだ打ち上げで、坂田明さんが私に
「井上陽水の、良かったよ」と言うのを、
「井上洋輔よかったよ」と間違ったのを思いだし、
「手は山下洋輔で声は井上陽水」をミックスでやってみた。
ひどかった。
顔がバラバラになったようだった。

コドモ、すごい疲れて帰ってきてて、
「とにかくスキーはすごく楽しかったよ……寝る」。
が、すごく小さい声だった。
コドモも言ってるセリフと顔がバラバラになってた。

12月27日・月曜日
朝から仕事。でも3時には帰宅。
テレビを見ていたコドモに、
「年忘れナントカの“年忘れ”って、どういう意味?」
と聞かれ、一瞬絶句。
みんなで一年を振り返って、さらにそれを忘れよう!
と記念するんでしたっけ。でもなんで。

「忘年会」もそんなカンジですよね。
昔はそんなに「忘れよう!」とするほど
一年が辛かった生活だったのかしら。
でも、年末に近づく頃って、
忘れるどころか、私は心の中で
すごくはしゃぎ出すスイッチが入るのがわかる。
恥ずかしいので、はしゃいでるのを
誰にも察知されないように心がけている。
こんな時、アメ横なんか行ったら鼻血出して失神しそう。
これが、31日がピークで、
元旦になる12時にいつもピッタリ終わってるのだ。

これを言っちゃおしまいだけど、
元旦に、ああめでたい、と、
ホントに実感できてる人っているのかな。
「めでたい」の、この感情がまず難しいよね。

12月28日・火曜日
吉田日出子さんとのロケ番組のナレーションへ。
映像では二人とも、寒さでこごえ死ぬかのような顔で、
もう化粧パリパリ。
その帰りに、路上で、「ジョニー」の人形を
売ってる凄い人だかりの光景を発見。
「ジョニー」って知ってますか?
売り手の人が「ジョニー、ほら、お客さんに立って」
と言うと、それまで座っていたかわいい人形が
本当に立って、「挨拶は?」と言えばぴょこん、
と挨拶してくれる、不思議な小さな、ペラペラの紙の人形。
これがホントに不思議で、
私はずっと昔、思わず路上で買いました。
そしたら、しばらくして、
私の父親もジョニーを買ってた事が判明しました。

この光景を、なんとパリでも見た時は
驚くと同時に妙に感動。
ここでもすごい人だかりだったんです。
しゃべりたかった。
さて、いったいどうなっているしくみだったか、というと、
とにかく誰でも「なるほど!凄い!」
と、うなづけるという。

12月29日・水曜日
ビバリー忘年会。
きれいな店内で、噂どおりものすごくまずい鍋で、
みんなでクスクス笑った。
鍋は普通、誰がどう作ったって、
まずくはなりにくい料理なのに、どうしたらこう。
と、言ってる間に
「そのつみれ鍋の中に、
こちらをしゃぶしゃぶしてください」
と言って牛肉が出た。
この肉がしゃぶしゃぶの薄さではなく、思いきり厚い。
続いて豆腐を出し、
「はい、豪華・湯豆腐になります」と、
まじめに水をさす、そのあっぱれなカンジ。苦しかった。

松村邦洋さんから聞いた
「スチュワーデスとのコンパ」は、
会社によってこんなに違う、
という話が具体的でおもしろかった。

12月30日・木曜日
ビバリーとCBC。
これで、今年の仕事がぜんぶ終わった。
さあ、ライブの構成まとめるぞ、なんて思いながらも、
「あ、行ける、行こう!」と、
コドモを誘って電車で映画「ターザン」へ。
やはり心は妙にはしゃいで(興奮して)いるらしく、
ちょっとした音楽にも泣けて泣けて。
そのあと夫と待ち合わせをし、家族で食事へ。
夫、会うなり「え、ターザン見たんじゃなかったの」と、
泣きはらした顔を指さした。

12月31日・金曜日
こないだ知人から「(この)日記読んで」と連絡があり、
「ちょうどハムスターのコドモを
もらってくれる人を探してる」なんて情報をもらった。
クリスマス頃、と約束したのが、のびのびになって、
なんと大晦日の今日、やっといただけることができた。
かーわいいジャンガリアン。しゃっくりしてた。
名前は「しわす」だそうだ(コドモ命名)。
コドモ、「私、今夜は、最高」と、
偶然にも昔のテレビ番組の名前を言っていた。
心清き友人、高山の公ちゃんから電話があり、長電話する。

2000-01-07-FRI

 

第117回

1月1日・土曜日
私が小さかった頃、たいそう器量のいい
おせちという女がいて、誰もが夢中になるという
華やかな時代があった。
しかし、今日の食卓の席をもって、と、
引退声明をのべたのが、私にはわかった。
たぶん、来年の今頃は、もうここにはいない。
さよならおせち。ごめんねおせち。
誰も喜ばなくて。箸がのびなくて。
器量は悪くとも、ずっしり、しっかり者の雑煮が、
このあとも継いで行くらしい。
「最後に湯気で勝つなんて、思ってもみなかったべっさー」と、
訛りながら雑煮がすまなそうに笑った。


イラスト:清水ミチコ

1月2日・日曜日
新年早々ネタ書き。
今日から私は部屋にこもるから、とは言いながら、
部屋のいろんな所が気になり、掃除してまわる。
受験の時みたい。
実は自分はA型で、几帳面タイプなんじゃないかな、
と思うくらい。
ノート類を整理してたら、
学生時代に、友達(女の子)からもらった、
「ノート一冊にびっしり書いてある手紙」、が見つかり、
思わず読みふけった。
それはもうまるでそういう世界。
「おじょーは(当時のあだ名)、
いつも何を考えてるのかわからない」を、詩にしてある。
へこんだ。
友達も、これが大人になってから
また見る可能性がある、とは思ってなかったんだろうな。
私もきっと、忘れている恥ずかしいモノが、
どこかで生きているかも。ぞうー。

1月3日・月曜日
初電話に出たら、ものすごいダミ声。
まちがいなくいたずらだ! と思ったら
「今、高平ん家にいるんだけどさ、来ない?」と、
ご陽気な坂田明さんだった。
「監督、何人くらいいるんですか、そっちは」と聞いたら、
「そうねえ、ざっと見て160人はいないけど、5人」。
心はもの凄く揺れたが、
「今、ネタ書いてるんで、やめときます。
ジアンジアン、来るように皆さんに言っといてね」と、
こっちから誘った。
行かねえぞー!と遠くからヤジが聞こえた。

1月4日・火曜日
コドモとハムスターのオリを買いに行く。
今日まではティッシュペーパーの箱の中。

私はハムスターが増えるのはぜんぜん構わないんだけど、
「成長が違うハムスターを
同じオリで一緒に生活させると、ケンカになって、
弱い方が死んでしまう可能性があります」だそうで、
当然この、「家の中にオリが1つ増える」、
というのがすごくイヤなんだなー。
2つもあるといきなり部屋が超カッコ悪くなる。
1つ置いたってそうなんだけど、2つだと、意味が違う。
意味が。
異常に好き!みたいなインテリアになるのが
もう目に浮かぶ。
私は客人の一人一人に説明するだろう。
そう好きではないんですよ、みたいな顔で。

そんな意味のことをコドモに言う。
「ああ、わかる、わかるけどー」と言っていたが、
もうオリを買う事で頭がいっぱいで幸せ!
ってな表情だった。

店内で選んでると、男子高校生らしき2名、
くすくすと笑いながらハムスターを選んでいたんだけど、
ちょっと聞こえてしまった冗談が、
いかにも買ってからすぐにいじめられそうで、すくんだ。
帰りに歩きながら、
ブルーになるな、忘れろ、今の会話、と暗示かける。

1月5日・水曜日
TBSへ。
お正月休みはたっぷりあったはずなのに、
かえって疲れてるのは何なんでしょう、ゆるむんですかね、
なんて会話を、メークしながらヤノッチと。

ヤノッチ、
「お正月はたくさん番組をとりまくるから、
ビデオのテープをたくさん買っておいたのに、
結局これ、ってのが1本だけだった」と言ったので、
何を録った? と聞いたら
「ジャッキー・チェンの映画!」(タイトル忘れた)
だそうで、
「お、さっそく年始から気が合わないね!」
と言って笑った。
しかし、
「ジャッキー・チェンの映画は、かえって
日本語の吹き替えで見ないとカンジが出ない」
ものなのだそうだ。

そんなに面白いんなら、私も1回見てみよっかな、
たまたま見逃してるんだよ。
ブルース・リーものは全部見てるのに。
どれから見るのがわかりやすいかな、と聞いたら、
「どれも確実にわかりやすいっす!」との事だった。
意表をつかれた。

2000-01-14-FRI

第118回

1月6日・木曜日
ビバリーとCBC。
ピアノ練習する。
指先が冷たいので、洗い物をし、お湯で暖めてからやる、
というのがかしこい主婦芸人のやり方。
もっといいのはお風呂のあとなんだろうけど、
「こたつ」の登場で、生活態度が、
だんぜんだらしなくなってしまった。
お風呂のあと、しばらくしたら、
だらだらと本でも持ってそこに集まる、というカンジ。
嫌いじゃないんだけど。
友人kさんなどは、
「ぜったいだらしなくなるから、
 結婚する時、こたつは生活から捨てた」と言っていた。
さすがO型の魚座だ。

1月7日・金曜日
歯医者さんに行く。
行かなければいけないのを、
ずうっと忘れたかのようにして自分をごまかしていた。
ホント、細かい注意をされて帰ってきたんだけど、
(フロスをしろとか)いったい昔の人は
どうしてたんだろう。
虫歯が、ありながら死ぬのが当たり前だったりして。
今とは食べ物が違うから、なんて言われそうだけど、
もしかしたら現代のヒトは、
目に見える事が多くありすぎてるんじゃないかしら、
昔はわからなかったから、それで済んでたってわけでえ、
なーんて思った。
でも知ってしまった以上、行かずにいられない。

家に帰ったら「通販生活」が送られてきてたので、
読んでみたら中身がえらい業界っぽいのでびっくりした。
タイトル「通販生活」なのに。

1月8日・土曜日
ニッポン放送で番組。
放送前に送られてきたハガキやFAXを読んでたら、
(読むの好きなので)
「なんで、ミッちゃんはビバリーの時と違うの?」
というのが数枚あった。笑った。確かに。
でも、変えているつもりはないんだけどなあ。
違ってる理由は、自分でもよくわからないんだけど、
どうも私は「目の前にいる人と気を合わせよう」とすると、
その人自身に似てくるようなのだ。これホント。
実は主張のない、暖かいごはんのようなこの清水ミチコ。
よそってあげてください。心に。
そういえば、そのハガキの山の中に、
「清水ミチコの鼻歌コーナー様へ」というのがあって、
(そんなコーナーはない。)思いきり笑ってしまった。

1月9日・日曜日
ジアンジアンライブ用に、何をやるかまとめる。
ベスト、簡単なようで、これがなかなか決まらない。
アンケートより、自分がやりたいものを
中心にすることにした。
と、思ったら夫からクレームがついたりして。
また難儀な。
苦し楽しい時期がやってきたってカンジ。
そのあと新ネタを紙に書いたものを読んでもらい、
「野球を全くわからない人に聞こえる野球中継」を、
夫妻で夜中に録音する。

1月10日・月曜日
厚木市で成人式。
着物を着て、白いフワフワを肩にのっけて歩いた。
とうとう頭がおかしくなった、というわけではなく、
最近ちょっと有名人の顔マネにも飽きてきたので、
宝島の〆切日でもあったりして、
ここでのライブ(いい子だった)を一本やったあと、
ヤノッチの着物を借りて、成人の皆様の中に
まぎれてみたわけです。
一般の方の顔マネですね。
しかし、さすがに40も近いと、すぐばれてしまい、
歩きにくい恰好で、ばれないところへと、よたよたと移動。
二度と着ないと思った。

清水ミチコはどこにいるでしょう?

2000-01-19-WED

第119回

1月11日・火曜日
コドモの冬休みがきのうで終わって、
今日から新学期が始まった。
コドモがいると、こういう日の親の生活の気分も、
スタート切らねばってカンジになるもんなのです。
玄関からしまっていこー、とちょっときれいに。

シゴトの帰りに寄った紀伊国屋書店で、いわゆる、
「すごいブな人!」を発見して、
一瞬ウッと、見つめてしまった。負けた!みたいな。
あまりにメークも圧倒的!な強さを持っていて、
そこそこの美人なんかよりもパーン!とくるんですよ。
このカンジ、わかります?
まわりをスカッとさせるような、派手な不美人。
昔、私がコントでやってた「ミドリ」も、
超ブス(性格も)なんだけど、
なんかまわりのスタッフからも、
ミドリを見るたび、“スカッ!”という、
気持ちのいい音が確かに聞こえてたのを思い出した。

1月12日・水曜日
「スーパー知恵MON」へ。
そのあと「UNの気分は上々」のロケ。
出川さん、ウッチャンたちと一緒に
プロの先生から似顔絵を習うんだけど、
描いてみたら、先生から
「やはり、ミッちゃんは、少々意地悪な絵ですね」
と言われた。
「やはり」が気になるんだけど。

私は「暗ーいウッチャン」を描いたんだけど、
ウッチャンの描いた私の顔も、「鬼」さながらだった。
一番おかしかったのは、テレビ初めて出た、という
性格の良さそうなその先生で、おだやかにコチコチ。
はげますほど、汗タラタラ。
美術系の先生って、どっか夢の中に生きてるみたいだなー。
起こした。

 
作・清水ミチコ          作・内村光良

1月13日・木曜日

ビバリーとCBC。スタッフの男性が、
「きのう、カラオケで“河内のおっさんの歌”を、
 標準語で歌わされた」と言ってた。
「かわちのー、おーじさまのうたー」と上品になり、
メロディーに乗りにくくなるんだそうだ。
「ワレ!」の部分も、「あなたー」となるんだって。

私がカラオケ行くとよくやるのは、
「恐いシャンソン」。
仲間一人一人を真剣に見つめ、
本気で「愛の賛歌」を心を込めて熱唱する。
遊びのカラオケ、2年は行ってないなー。
あー、でかい声で歌いてえー。

そのあと青山の鍼灸院へ。
隣の部屋から、女優さんらしき人の声が聞こえ、
「今夜、10時からスタートします。先生、見てね!」
と言ってたので、「誰だっけ、この声」と考えながら
ポキポキされる。
テレビ局以外で、芸能人と接近すると、
「超ラッキー!」な気がするのはなんでなんだろう。
気がついたら一人でニコニコきてた。

1月14日・金曜日
原稿を書いて、FAXで送ろうとしたら、
どうもパソコンの「FAX機能」が故障しているようだった。
しょうがなく、プリントアウトしてから、
ファクシミリで送る。
こんな、たった5分くらいの事で、一瞬、
「あっ、すごく時間のロスをしているんじゃないか」
などと思った。
ネタができないとこうなるのだ。
「だいたい世の中、私を中心に回ってないのが
 おかしいのよ!」とでも言いだしかねない。
「今すぐ気持ちを平和な方向へ直すのには、
 さあどうする!」と、考え、
答えは「屋上に行って、気持ちを整える!」と出て、
今日はそのまま屋上へ。いいロス。

1月15日・土曜日
ハッピーウイークエンド。
放送作家、Sさんは、閉所恐怖症なんだそうだ。
私は初めて閉所恐怖症を持つ人間に会った気がしたので、
「どういうカンジになるものなの」と聞いたら、
「僕の場合、狭いのが恐いんじゃなくて、圧迫感なんです」
と言っていた。
「観覧車とか?」と聞くと、
「そういうのは断れるからまだいいんだけど、
 タクシーの中なんかで圧迫感を感じると、
 一人むずむずしてきて、体全体が上へ下へ横へ、と
 秒刻みに動いてないと耐えられない」のだそうだ。
しかも、運転手さんにミラー越しに
(ぜったいコイツ、挙動不審!)と
思われてるのがわかるらしい。

そんな話をしてたら、Kさん(女性)は
「私は結婚してから、しばらくして
 高所恐怖症になったのよ」と言いはじめた。
なんでも、もともとは
ご主人が高所恐怖症なんだそうなのだが、
「高い所に登った時、ウチの主人の恐怖感を想像しながら
 マネして、最初は笑っているうちに、
 すっかりうつっちゃった」のだそうだ。
こっちの話の方がきた。
イメージトレーニングになっちゃったっていうことか。
人ってマネしたがるもんなんだなあ。
気をつけよう、なんて思いながらもつい、
帰りのタクシーの中で
「Sさんの気持ち」になってしまった。

2000-01-25-TUE

第120回

1月16日・日曜日
天才てれびくん収録する。
寒いので、黒のダウンコートを着てたら、
「あー、また太ってるよ、清水さん、デブになちゃったー。
 甘い匂いがするよ。甘いもの食べてばっかりじゃ
 頭がバカになるんだよー」と言う
小二の女の子の声がかわゆうてたまらん。
「でぶで悪いっすか・ぜいぜい」と、力士の声で返答する。
これが何回やってもよく笑う。
子供は繰り返しに弱いそうだ。
たとえばドリフの番組も、と、何かの本に書いてあった。
でも大人だっておかしいよ。
そのあとCXの「ハッピーバースデー」の、
楠田枝里子さんへのコメントをイマジカで。
楠田さんは、私がどんなにネタでバカにしてても、
怒るどころかライブまで見にくるようなタフガイだ。
心を込めてモノマネした。

1月17日・月曜日
ゆうべ見た「ビューティフルライフ」について、
メークさんと熱く語る。
それを聞いてた坂上みきさんが、
「私、途中で眠っちゃったあ」と
のんびり言ったばっかりに、冷血人間呼ばわり。
私からだけど。
そのあと長寿庵でつけとろ。

家に帰ってジァンジァン用の写真を撮る。
相撲って、私はよく知らない世界なんだけど、
専門用語が「かわずがけ」とか、「うっちゃり」など、
聞いてるといつも京都の料亭のように
「これ、うっちゃりどすー。へえ、めしあがれ」
「ああ、これが。うっちゃり。どうりで。
 ぱく。あ、甘いんだー」と、
門外漢にはたまらなくおいしそうに感じる語感なので、
それを料理でわかちあおう、と思って。

1月18日・火曜日
「相撲料理」の調理中、楠田枝里子さんから電話があった。
「嬉しかった」とのこと。
私まで嬉しくなる。
しかし、すもうの調理が思ったほど嬉しくない。
わかちあえなそうなのだ。
なんでだ。
思い立った時は絶対!と思ったのに。
写真、じゃなかったのかな。
きのうからいったい何時間かけて
こんな事やってた事になるんだよー。
夫はカメラを覗きながら
「いや、まだわかんないよ」と言っていた。
相撲料理の残りで、世にも不思議な夕食を家族で食べる。
この風景の写真の方が笑えるかもしれない。

1月19日・水曜日
CX「どーなってるの?」生放送。
そのあと、日テレの「メレンゲ」に移動して、
TBSのウンナンの番組のスタジオへ。
ライブの前後の仕事を全部オッケーしてた。
私は「ライブなんざ、ふだんの仕事のほんの一部、
おりゃー」と、できるだけサラーッと感じたいのだ。
ラジオやテレビは数万人、
ライブはほんの数百人を目の前にするだけだというのに、
なんでだか「特別」な気がしちゃう時がある。
これって、まちがってるよなあ。
これまでは、まるで「神聖な日」とでもするかのように、
ライブ前後の仕事は入れないでいた。
自分のその日こそが、大切、みたいに。
アイデンティティ!みたいな。
でも、どっちも両立できるはずなのだ。
メディアもライブも。
本当におもしろい人間であればな。
わー、低い声で言うなー。

1月20日・木曜日
ビバリーとCBC。
ライブはライブ、ラジオはラジオ、
両立・両立と思ってたのに、生放送で
「あんたカリカリしてんなー、あ、ライブ前だからなー」
と、高田さんに言われ、
あっ!!カリカリなんかしてないよ!
どこがか言ってみ!と、からむ。
人に言われた事がちょっと当たってる、という時、
人は怒りに達するそうだ。
降参してラジオに集中した。

ところで、私は生まれ変わったら
南伸坊さんみたいになりたい。
顔も心も大きくなって、
いばらず、テンパらず、おもしろがる。
嫉妬すらさせない。消す術。
しかし私の中にはこぶ平が。
両立させて、CBCに出た。

2000-01-29-SAT

 

第121回

1月21日・金曜日
ライブ。
寒い中、並んで見に来てくれた皆さん、
ほんとにありがとうございました!(と、メガホンで)。
でも、あんな苦しい思いをお客さんにさせるのも、
これで最後。
アンケートによると、「ほぼ日で知った」という方も
たくさんおられ、ここにからまってよかったなー、と実感。
連載させてもらってる事に、心からお礼を申し上げます。
(と、和装で)。

嬉しかったのは、
ジアンジアンのチケットを切る係の女の子が、
「いつも売場の席で、
 漏れてくる笑い声だけ聞いてるばっかりで、
 どんな事してるのか一度見ておきたかった」と、
個人的に並んで見に来てくれたこと。よーこそー。
ステージに出たら、お客さんみんなが赤い鼻をして
ニコニコしていた。
感謝を踊りであらわした。

1月22日・土曜日
ジァンジァンという場所は、 開場まで
お客さんを並ばせるのは通常という所なんだけど、
今日、昼間の部で返ってきたアンケートを読んだら、
こんなのがあった。
「並んでいる私達の列を見た女子高生に、
 ぷっ、清水ミチコだって! と歩きながら笑われます。
 笑われてるのは清水さんなのに、
 私達が笑われるのは、理不尽です」。
それをそのまま客に言ったら喝采を浴びた。
理不尽なのはどっちだ。

なんかリクエストはあるか、と聞いたら、
(さすがよく知ってるな、そんなネタ!)
というのがたくさんあって、それも嬉しかったんだけど、
その中で一人「アグネス・チャンの親知らず」と、
普通に言ったお客さんに笑った。

何それ、なんて言ったけど、
いかにも過去にやってそうで、
本番中ずっと語呂がいい「アグネス・チャンの親知らず」
のフレーズが消えなかった。

アンコールが4回あって、5回目に出た時は、
私も感動的に、ゆっくりと開場を見回し、
「みなさん、2500円なんだから、
 そろそろ帰ってくれませんか」と
おだやかに心を打ち明けた。
暖かいライブだった。

楽屋でのミニ打ち上げ、
高平さん、浅草キッドさん、あがたさん、
和田誠さん、南さんらに、美女多数(私含む)。
新聞の記者の方がいて、カメラを向けられると、
誰もがいっせいにうつむくので、
「みんな、恥ずかしがるな!」と一喝。

原宿のお店・東波に移動。
「矢野顕子さんの歌って、みんなから
 いいよー、いいんだよ、最高だよ」って、
強く言われるから、かえって、
「わーったよ、いーんだろ! 音楽通なんだろ!」
という気持ちになっちゃって、
うまく消化できない人もるんだけど、
「ミッちゃんの聞いてると、
 言葉よりツーヤクになっててサ、
 あ、ホントだ!ってわかってくる事があるんだよ」
なんて言われたのがもの凄く嬉しかった。
そんな事があるのか!
家に帰ってから、明け方までアンケート読みまくり。

1月23日・日曜日
それはそれ、と気分を一新して、
TBS・伊集院さんの生放送「日曜大将軍」へ。
ライブの次はデブ。

しかし、ただのデブなのではなく、伊集院さんは
「THE RADIO・MAN」って感じで、
ラジオで話すのが大好きなのが
びんびん伝わってくるような放送なのだ。
私はときどきデビ婦人になったりしたが、
伊集院さんの奥さんは、ずうっとデブ婦人なんだそうだ。
夜、たまちゃんとメール。

1月24日・月曜日
スーパー知恵MON。
B級タレントほどよく働くと、
こないだ読んだ週刊誌に書いてあった。うるさいぞー。
コーヒーとサンドイッチをお昼に食べて、
そのあと雑誌のインタビュー。

家に帰ってテトリスをやってたら、コドモが帰ってきた。
去年書いた読書感想文が、区から賞をもらったそうだ。
「インコのルーの贈り物と、私のハムスター・マウ」。
どうせまた、悲しいペットの話に、
自分のハムスターの悲しい思い出を
つなげて書いてんじゃないの、
なんて思ってたら、当たりだった。
笑いをこらえた。
どうしてこう、この人は
悲しみにうっとりするのが好きなんだろ。

夕方、今度は「ちゃお」のマンガのイラストを
懸命に描いていた。クラスの女子は、
「ちゃお!」「りぼん」「なかよし」派の3つに、
きれいに別れているんだそうだ。
「りぼん」と「なかよし」は、
私が小学生の時もそうだった。
私はりぼん派で、「一条ゆかり、土田よし子、
もりたじゅん3大先生による、対談ソノシート」が
おまけだった時は、
声が聞ける! と、嬉しかったことを思いだした。

1月25日・火曜日
番組の打ち合わせ。そのあと取材を何本か。
某女性月刊誌(高いヤツ)のインタビュー、
「あなたにとって、何々とは?」ってな、
無謀な質問の繰り返しで、くたびれた。
「妻として、母として」とかさ。
考えた事もないわ。
「私は、妻」「私は、母だ」なんていう自覚なんて、
日常本気で持ってる女がいると思ってるのかしら。
見たことないわ。
また、答えてるタレントもいるからなー。
安いゴシップ女性週刊誌の方が、
少なくとも会話にずっと血が通っているよ、
なーんて思いながらも、
途中でカメラが入るので瞬時にスマイル。

2000-02-03-THU

第122回

1月26日・水曜日
LFの浅野さんから、本を1冊いただいた。
「ハリーポッターと賢者の石」というファンタジー。
ファンタジーは、30年ほど前の「星の王子様」以来、
ちゃんと読んだことないと思い、どりゃ、と読み始めた。
こういう「個人的な趣味を、そのまま人にあげる」
ってのが、あんがい
「お仕着せ」とか言われてる事もあるようだけど、
私はめちゃ嬉しい方だ。
ほう、あんたこんなもの好きだったのか、と
その人を見直す時もあるし、
やっぱりな、くくく、と笑える時もある。
やはり過去に一度、友達のみくちゃんから
「自分が、今はまっている曲を編集したMD」を
もらった事があるんだけど、これも聞いてると、
「自分の耳」を通しながら、
「彼女の耳」も感じられて、2重に楽しめるものなのだ。
そのせいなのか、渡された人より、渡した人の方が、
やに照れてる事が多いみたいだけど。
時々私も、そのMDプレゼントをマネして、作っている。

1月27日・木曜日

誕生日。
たくさんのメール、どうもありがとう。
私がここで書くのはいつもあなたへの返事と
思うてください。
あと、ライブのアンケートも郵送でたくさん届きました。
全部、くまなく読んでいます。
読むのはもともと好きなんですよね。

でも、この記念日をしめくくる今日の最後のシゴトは、
「テレビチャンピオン」の、ラーメン王の審査員。
でも、ってコトはない。
なんたってここのディレクターは、
「鬼!」と呼ばれてるような、
キビチイ仕事を堂々と成しておられる方。
いろんな意味でテレビチャンピオン。
嫌われてもいい、という覚悟は、
実はすごく難しいですよね。
あなたはできる方ですか?

1月28日・金曜日
割りと好きな監督、デビッド・リンチの
「ストレイト・ストーリー」の試写へ、
夫と二人で観に行ってきた。
音楽、良かったね、CD買おっかな、なんて話してたら、
電話で訃報が入った。
PATE屋でお世話になった、林さんの
お母さんが亡くなったのだ。
これが、自分でも驚くほど悲しかった。
80をとうに超しておられるのだから、
ありえる事じゃないか、と、思うんだけど、
ショックだった。
たまたまきのう、私はめずらしく誕生日を迎えたことが
めちゃ嬉しかった日だったので、
よけいに生きてる事と、死っていう、
まぎれもない前提にカーンときたのかも。

その方はとにかく人の話をよく聞いてくださる女性で、
「あ、そう、そうなの」と、
そのうなずく声と顔ばかりがよみがえった。
変な話だけど「めしあがれ」(ケーキなど)なんて
サラッと言われたのが、私は生まれて初めてだったんだ。
「今、私、めしあがってるんだ!」なんて
本気で思いながら食べた事も思い出した。

少しずつ、忘れてたんだなあ。
着替えて、お通夜へ。
実は私は、長谷川町子さんみたいに、
訃報を親戚にも知らせないで、後になって、
「あの人亡くなってたんだってー」というのが理想ざます、
と思ってたんだけど、
参列してみると、残った人に
時間と場所でちゃんと節目をつけさせてくれるというのは、
最後にくれる親切でもあるんだなあ、と
しみじみ感じた。
しみじみちこでした。

2000-02-08-TUE

第123回

1月29日・土曜日
小林克也さんとラジオ生放送。
「音楽好きの小林克也さんが、一番いい!
 と感動した日本の歌手はどなたですか?」と聞いたら
忌野清志郎さん、なんだって。
返事が早かった。
私は勝手に、シブイ系の大御所を出すとばっかり
思ってたので、意外だった。

タクシーで帰宅。
コドモが「(ちゃお!の)応募者全員に大サービス!」に
応募する、と封筒を持ちながら嬉しそうに言っていた。
「それは、大サービス! なんじゃなくて、
 切手450円分を同封の上なんだから、
 買ってる事になる」と言うんだけど、
あんまりわかってない、というか
でもいいじゃんってカンジ。
私は「大サービス!」が、くやしいんだけど。
あんた、おこずかいでやりくりしなさいよ、と言う。
この「なさい」と言う時、いきなり母親っぽくなる。
でも、私もやってたんだよなあ、同じ事。

1月30日・日曜日

本屋さんに行ったら、
目線の下に、3才くらいの男の子が歩いていて、
その後ろから、母親らしき女性が、
「ひいらぎちゃん! こっちでしょ? ひいらぎちゃん」
と呼んでいた。
へえ、ひいらぎちゃんって名前か、
ちょっといいじゃない、と思ってたら、
隣にいたカップルの女の子が、
「絶対聞こえるように言ってるし」
と小さくつぶやいたのがおかしかった。
(そういえばちょっとそうかも!)と、
顔は本に向けたまま、心の中で返事。

誕生日を理由に、夕方家族で下北沢のレストランへ。
ビレッジバンガードに寄って、
おもしろそうなCDや本、小物など買う。
帰り道で、知り合いにバッタリ。
家族と一緒だと、妙に照れながらの立ち話になる。
大橋君チのお店の前を(ここかよー)通って、
カプチーノ片手に歩いて帰った。

1月31日・月曜日
TBSに出て、メイクを落として車に乗り、
ヤノッチとスポーツクラブへ。
約6人ほどしかいない中に、
渡辺美里さんがおられたらしい。ヤノッチ報告。
「なったことあるぞー!」と思いながらスカッシュ。
そのあと
「あ、hitomiさんに、センチバさんも!」と
ヤノッチ次々と発見。
なんで、ノーメークなのにすぐわかるんだろ、
最近の若い人は。
場内モノマネ・オン・パレードにもびっくりだけど。
肩幅は広くなり、肩身は狭くなり。
そのあと、スーパーへ行って、食事作って、
家で友だちの順ちゃんと会う。
夜中には順ちゃんがお皿を洗ってくれた。
ついで、とか言ってキッチンピカピカに。
ラッキー。

2月1日・火曜日
「今朝、朝市で買いたてですよ!
 誕生日おめでとうございます」
という手紙と共に、香川県の知人からお魚の干物が届く。
ありがてえ。
さっそく夕食にした。
大根おろしと共にいただく。なんてうまいのだ。
私は日本酒は飲めないんだけど、
こういうのを肴にしたらおいしいんだろうな。
うるめ、鯛、かわはぎ。
サメの干物は生まれて初めて口にした。
うるめなんか、ウチのコは初めてだろう、と思ってたら、
給食でけっこう出てるんだそうだ。
今年一番おいしいおかず!
と、コドモ、興奮して食べてた。
「俺も!」と夫。実は、私も。
料理って、テマヒマかけない方がおいしいような。
(普段もかけてないですけど)。

2月2日・水曜日
黒沢明の「夢は天才である」を読みつつ、
「七人の侍」のところで、
三船敏郎が自在に「青っ鼻」を出したところ
“あまりに汚いので、映画ではカット”に、笑った。
なんて人なんだ。
芸人でも、ガスの方は出す人はいるけど、
鼻汁の方を自在に、の人は、ちょっと見た事ない。
撮影中に、「俺は、出るよ」と、言ったそうだ。
そして、本当に出されたんだそうだ。

ときどき、
「もし私が男だったら、そのくらいの事
 (お尻やおちんちんを出す)はできるぞ」
と思う事もあるけど、
鼻を出す方は、自分が男だったらと仮定してもできない。
技術(?)もそうだし、人格としてキツイもんなー。

それにしても、時代が、
こうして同士を呼ぶ事が不思議だと思った。
赤塚不二夫さんが住んでらした、
「ときわ荘」もそうだし、
(詳しくないけど)文芸界や、ジャズ、フォークの世界も。
そうして、天才が出るって事。
で、いちように
「なんだかわからないけど、当時はよく集まってね」
なんて答えてるんだよね。
言ってみてえー。

2000-02-12-SAT

第124回

2月3日・木曜日
ビバリーとCBC生放送。
帰りにヤノッチと原宿「じゃんがらラーメン」へ。
席に座って待ってると、メニューのあたりに、
なにやら格言っぽい人生の言葉が
貼ってあるのに気がついた。
こないだはウチの近所のラーメン屋さんにも、
相田みつをさんの言葉が貼ってあったし、
ずっと前に行ったラーメン店に
もそういう教訓カレンダーがあった。
これってお鮨屋さんやファミレスでは、
まずなさそうな光景。
なんか、ラーメンって、しょっぱさ、暖かさ、湯気、と、
特殊に切実に人生と結びついてる食べ物なのかなあ、
なんて思った。
でも、おいしかった。でもという事はないが。

ビデオで「39」を夫と観る。
夜、大瀧詠一さんとメール。笑った。
このHPでの糸井さんと陽水さんとの対談といい、
この世代はまじめなようで、(と、ひとくくりにするのも
失礼だけど)どっかおかしい、と思う。
私達の世代の方が、ずっと生まじめみたいだ。

2月4日・金曜日
ピアノ弾く。そのあと近所で買ってきた魚を焼く。
このところずうっと焼き魚ばっかり夕食にしている。
今日は魚屋さんで買ったいさきを焼いた。
それに平目のお刺身に、油揚げとお豆腐の味噌汁と
小松菜のおひたしに、豆腐と卵の炒り煮。
ところで私がいっさい作らないのは天ぷら。
春野菜の天ぷらなんか、大好物なんだけど、
キッチンに、匂いや、うっすらつく汚れがつくよりも、
「あれはばあちゃんの家で食べるごちそう、
 あるいは買ってくるもの」と、
決めていくことにしたのだ。

2月5日・土曜日
LFで生放送。
LET IT BE(あるがままに)、
とナチュラルに始まる一日より、
「よりおもしろく」と思うと、
それだけでボキャブラリーも違ってくるようだ。

本当に自然体でいると、ろくなもんじゃなくなる。
私は「口が悪いようでいて」、
実は意外と善人、のようで、実はそうでもないという、
やっかいな性格のよーだし。

ところで、今日は絶対的善人、
滝本淳助さんから年賀状が届いた。
「今年から旧正月制を取り入れました」
と書いてあったのに笑った。
去年の年賀状には「今年、ヨロシク!」と、一言あった。
「今年」と「ヨロシク」のあいだに、
「も」がないだけで、おっかしかった。
今年ヨロシク。
これは、彼の声と顔を知ってる人だと、
よけいおかしいだろうな。
とにかく一言ヒトコトがおもしろい人なのだ。

滝本さんはかつて、QRの、
えのきどいちろうさんの番組のレギュラーだったんだけど、
その最終日のむっつり感もおかしかったなあ。
聞いてた車の中で爆笑した。
子どもみたいなんだ。
ぷんぷん怒ってるんだよ。終わるってことに。
彼に限らず、QRは、地味に見えて
ホントに見る目がある放送局だ。

2月6日・日曜日
仕事の帰り、本屋さんで友部正人さんの
「耳をすます旅人」を見つけ、
あ、と思って立ち読みしてたら、
なんと高山で私の実家の喫茶店に立ち寄った、
という一行を発見し、思わず購入。
実家に送ってやろ! と思った。
帰って夫に見せたら、違うページに、
偶然にも夫のカレー屋のいとこが
アップで思いっきり登場してた。
遠くて近い友部正人。

コドモ、好きな人がなかなか決まらない、とこぼしていた。
もうすぐバレンタインデーで、まわりの女の子と、
「手作りチョコは作ろう!」と、
イベントとしてはもりあがってるのだそうだが、
あげる人が見あたらないんだそうだ。
しかも、クラスのH子ちゃんが
「好きな先輩に告白するのに勇気がない、と頼まれたから、
私が14日に渡すんだ、と言ってて、
それを聞いた夫と私が
「何それ、ワッハッハ!」と笑ったら、
なんで笑われるのかまったくわからない、
とまじめだった。

2月7日・月曜日
TBSでシゴト。
メークを落として、渋谷へ行き、
楽しみにしてた映画「シックスセンス」へ。
おーもしろかったなあー!
映画館を出てから、頭っからのストーリーを
もう一度思い返し、また、おーもしろかったなー!
もう一回見たいー。

そのあと「北野チャンネル」で、
テリー伊藤さんとご一緒し、廊下で
シックスセンスがいかにおもしろかったかを
しゃべりまくる。
映画では、
「この映画のどんでん返しを、
 決してしゃべらないように」と
冒頭で出てくるんだけど、言いませんとも!
まかせてください! そんなカンジ。
で、こうして自分から広告塔に立ちまくっている最近です。

2000-02-17-THU

第125回

2月8日・火曜日
恵比寿の歯医者さんへ。ここの歯医者さんは、
たぶん誰もがとろけるようなヴォイス。
声優になればいい、と、いつも思う。
ショーン・コネリー系かな。
そのいい声で話されたところによると、
関根勉さんや、柄本明さんもここの患者さんなのらしい。
ややお笑い系歯科か。

それにしても柄本さん、ここんところ謎のように、
会わないかたちで私のまわりに何度も登場している。
こないだは、たまたま夫が行ってきたエッグマンの
下田逸郎・高田渡ライブで、ま後ろの席におられ、
「まわりまで楽しくさせるほど幸せそう」だったそうだ。

2月9日・水曜日
髪の毛のエステへ。
と、慣れてるように書いたけど、生まれて初めて。
全体に緑の泥みたいなパックをしてもらうのだが、
これがものすごくおいしそうな匂い。食欲がわく。
「濃厚なおぼろ昆布、みたいな匂いっすよね」
と言ったら笑われた。
髪つやつやになって、メレンゲのナレーションへ。

こないだ浅草キッドの玉ちゃんから、
新宿・アイマックスシアターでやっている
「ファンタジア」は、子供連れて行くといいっすよ、
という意味のメールをいただき、
夕方、時間がある、と見て、コドモ、ヤノッチ、
夫と待ち合わせし、4人で見に行った。

昔見た、シネラマサイズのまた2倍くらいの大画面で
(そういえばシネラマってどこいったんですかね)、
迫力あって酔いそうなくらい。
予告によると、ガラパゴス諸島の実録ムービーも
今後やるみたいで、見ただけでめちゃ見たくなった。

ファンタジア、ニューバージョン部分の、
ドナルドがディジーと再会するシーンなど、
また一人だけいきなりウッ! ときて、泣いてしまった。
どうも、ディズニーの音楽的盛り上がりには、
わけもなく嗚咽してしまう。
これまたすごく気持ちがいいんだ。
ストレス解消ってぜったいありそう。

2月10日・木曜日
ニッポン放送のビバリー生放送。
番組の終わりに、生まれてはじめて
時報を担当させてもらい、気持ちよかった。
1時をお知らせします。
ピッ、ピッ、ピ、ポーン! ってヤツ。
「えー、わたくし、清水ミチコが、
 ついに今、まさに1時を、皆さんにお知らせします。
 い・ち・じ・よおーん!」と、
後半をピッ、ピッ、ピ、ポーン! に合わせて歌った。
「時報の音階ってちょうど1オクターブ上がるんだね!
 ポーンのとこで、裏声になった」と言ってたら、
1時に始まった次の番組で
「ただ今、放送事故がありました」と言われていた。

2月11日・金曜日
CX「どーなってるの」へ。こないだ玄関で、
警備さんに「待った!」をかけられたので、
今日は背筋を伸ばし、オーラをかもし出し、
ノーメークでも自信! みたいな目つきで、
つっつと堂々と入った。入れた。
しかし、後ろにいたヤノッチが
「あの方は……?」と訊かれていた。おしい。

ところで、ヤノッチに聞いた話によると、
このあいだ、車の会社に、車の私の席のヒーター、
ちょっと風が弱いようです、と、
苦情を言ってくれたんだそうだ。

そしたら、
「でも、座るのは清水さんですよね。
 あんまり風が強いと、清水さんの鼻がかわくでしょう?
 大丈夫ですか?」と、言われたらしい。
それをあんまり普通にスーッと言われたんで、
ヤノッチ、瞬時に「業界用語か!」と思い、
つい「はあ、そうですかね」と
まじめに答えてしまった、と言ってたのに笑った。
「鼻がかわく」って、何なんだ。
人間にそんなジャンルがあるのか。犬以外で。

でも、言葉を味わってみると、
確かに業界用語にありそうなのがおかしい。
「今日の客じゃあ鼻もかわくわ、パリパリ」みたいな。

2月12日・土曜日
ハッピーウィークエンド、生放送。
FAX番号、おまちがえのないように、なんて言ってたら、
隣にいた放送作家の清水さん、思い出したように、
「実は俺んチにもしょっちゅう間違いFAXが来て困る」
と言う。

なんでも週1回くらいのペースで必ず
「遺体確認の認知FAX」が送られて来るんだそうだ。
そういうシステムがあるんですかね。
亡くなられた方のお名前を読んでしまうたび、
とにかく人間は毎日のように
しょっちゅう亡くなってるもんなんだと、
一日ブルーになるらしい。
そりゃそうだろうなあ。

私は、初めて携帯を持った時の、初めての留守電に、
せっぱ詰まった大阪弁の子供の声で
「あ、お父ちゃん、今な、家が燃えてんねん、そんでな」
で、切れていた事があってびっくりした。
その時は、マニュアルがなかったので、
そのままにするしかなかったのよ。
とにかく、番号はお間違えのないように。

2000-02-23-WED

第126回

2月13日・日曜日
「長崎ぶらぶら節って、泣けるよ、いい本だよ」と、
信頼している放送作家の松岡さんに言われ、買ってみた。
まだ読んでないけど。
こういう、「まだ読んでない本」っていうものって、
いっぱい本棚の脇にたまってる。
いつか、とは思っているのだ。
こうしていつも、心より身体が先行してしまう。

音楽の世界でも、リズムを練習しようとすると、
たいがいの人間は、つまびくうちに
「あっ、メトロノームが遅れる! 狂ってる!」
と思いがちなのだそうだ。
つまり、先へ、先へ、と走っちゃうんだそうですね。
「メトロノーム、自分のペースよりも早いわ」
と感じる人は少ないのだそうだ。
ある意味、あせりがちなペースなのが、
誰しもの生来の性格なのかも。

2月14日・月曜日
番組で、生田智子さんとご一緒。
スポーツ全般音痴の私は、生田さんが
結婚してるなんてことすらつゆ知らず、
「へー、結婚してるんだ?」なんつったら、
「ジュビロ・イワタの……」と、
とても言いにくそうにおっしゃる。

「ジュビロ・イワタなんか、
 私にだってめちゃ有名じゃない!
 知ってる! 大丈夫!」
と言い、近くにいたサッカー少女・ヤノッチに、
「ヤノッチ! この方、ジュビロ・イワタ夫人!」と
指さして叫んで、めちゃ恥かいた。
そんな夫人は絶対にありえないのだそうだ。
(万が一、この意味がわからない人は、
 まわりの常識人に聞きましょう)。

コドモ、
友達の好きな、学年がひとつ上の男の子に
代理でチョコレートを渡しにいったそうだ。
しかし、
「ごめん、ノー、って言ってくれる?」と、
すげなく言われたらしい。
それを聞いて、また、私たちに
「わっはっは!」と、笑われ、
「こんな時でもあんたたちは笑うものなのか!
 わからん!」
という顔をしていた。

2月15日・火曜日
「レタスクラブ」という雑誌で、
私が平野レミさんに料理を教わる、という連載が始まった。
レミさんの料理はまったく自慢っぽいところがない。
フィニッシュの写真の飾り付けも、
どうも照れてしまうらしく、ちゃらーっとザツで、
これもいいよな! わかる! と、思った。
反対に、いばってる先生の料理だと、
「それがどした! メシくれーでよ!」と思い、
味まで腹が立つせいか、嫌いになる。

レミさんは「今、子の七光を浴びているの!」だそうで、
「お母さんですよね!」と、キラキラした目で
若い女の子たちから突然握手をもらったり、
自分の講演に、いかにも料理の嫌いそうな
高校生軍団がやってくるんだけど、
途中、眠そうにしてるので、突然、
「そういえば、ウチの息子がさあ!」と
サービスで言ってやると、
しゃん! と起きるんだそうだ。

2月16日・水曜日
友人、ジャズピアニストの中島芳枝さんと会って話をした。
彼女は、今度めでたくドレミ音楽出版から、
自分が解釈した、ジャズピアノの基本の
やさしい本を出されるんだそうだ。

ところで、話を聞いて驚いたんだけど、
音楽のコードって、どんな名曲でも童謡でも、
必ず5度上がって、また5度下がる、という
単純なルールが存在するんだって。

5度、絶対に上がりたがるものなんだってさ。
もちろんそのルーツに、めちゃ横道にそれたりして、
音楽的に飾ったりするんだけど。
でも結局はどんな曲であろうと、5度登っては帰ってくる、
という登山を繰り返してるんだって。
よく気がついたもんだよね。

2月17日・木曜日
ビバリーなど。
ここんところ、ずうっとブルーな事件が続いてる中で、
一面にあった「ニホンカモシカ食べた」というニュースが
よかった。スカッとした。
スカッとしちゃいけないんだけど。
大人なのに、食べちゃいかんじゃないか!
と注意されたのかなあ。
つい、笑いながら注意したんじゃないかなあ。
もし私が婦人警官だったら、
早く現場に行って証拠をあげたかった。
取り調べも楽しみ。
鍋だって。

2000-02-25-FRI

第127回

2月18日・金曜日
岐阜市で、「WELCOME・岐阜」のイベントに出た。
山本寛斉さん、モンキーパンチさん、
野中ともよさんらと御一緒。
山本寛斎さん、岐阜の出身とは思えなかった。
なんというかたくましさと、自己顕示欲と、
エネルギーが圧倒的に強くって、外人入ってた。

話がどんどん自分に脱線し、
「それじゃあ、寛斎さんの(自分の事を指す)シゴトを
 見てもらおう!」と言い、
ロシア各国での活躍を映像で流し、
この時、いかにすごかったかのトークは、
自分大好き! な、ルー大柴さんを彷彿とさせた。

会場も、この思いがけないサービスに盛り上がり、
最後に「いかにしたら元気になれるか」と、
自分の著書のトークもなさり、会場で売っていた。
感心した。
自分大好き! な人は、
無意識にこうやって他人を激励しているものだなあ。

2月19日・土曜日
シゴトで、名古屋に泊まり。
連絡を取り、ヨメに行った、もとマネージャー、
コトミちゃんの新居を見せてもらった。
「大工さんに嫌われる覚悟で、どんどん口を出した」
と言うだけあって、本当にすごい家だった。

頑張り屋の彼女でしか建てられなかっただろう、
という住宅で、なんと、平屋建てで、
その中に小さな地下もあり、土間があり、
北米の薪ストーブに、
天井は高く、広い窓はたくさんで、
中庭の芝生が見えるように置いてあり、と、
ところどころの個人的工夫がまた美しい。
リゾート・癒しの家。

ただ、お風呂を大きく作るのが夢だったんだけど、
そのため経費もバカにならない、
薪も電気より高い、と言っていた。
そのくらいはチャラだろうて。
しまいにゃお風呂が光るんだそうな。
そら払ってもらわんと。

2月20日・日曜日
泊まりの間、ばあさん(夫の母親)に
来てもらってたのだが、
「お礼に洋服でも買ったる」と言って、
二人で新宿・伊勢丹へ。
年寄りと歩くのって久しぶり。
私の母は東京生まれで、
地味に見えていいモノしか着ない人だけど、
こっちはマジで地味なところが
かえって私のオヤジ的・購買欲をそそる。
安いモノ買えないから。
芸能人なんだから、と言うも、試着すらとまどっていて、
オーマイエンジェル、ってカンジ。
体小さいし。

家に帰ったら、夫がジァンジァンの方と会って帰宅して、
こないだのライブの時に、ジァンジァンのスタッフが
「ファンの方から渡されていたプレゼント」を渡された。
その中に偶然にも「ちゃお」の漫画家、
杉木ヤスコさんからのプレゼントがあり、
コドモ、瞬時に夢の中に入っていった。

2月21日・月曜日
テレビのシゴトをして帰宅。
異種・ハムスター2匹を
ちょこちょこ対面させてるんだけど、
どうもソリが合わないらしく、すぐケンカしてしまう。
「どっちもいい子なのに、なんでかな」と、
コドモが言っていた。

今日もケンカしそうになったので、手で止めようとしたら、
コーフンしてたのか、噛みつかれてしまった。
しかも「わっ!」と驚いて、振りほどこうとしても、
私の小指を噛んだまま、負けまいとぶら下がってて、
すごい絵になった。
なんだよー! 助けてやろーとしたのにー!

バンドエイドをコドモに貼ってもらい、
「おやつでも食べよう」と気を取り直し、
珈琲をポットに注いでたら、
今度はお湯で足をちょっとヤケドしてしまい、
バンドエイド大活躍の、トホホな一日だった。

2月22日・火曜日
休み。
一回起きて朝食を作り、
また寝て起きたら、家に一人だけだったので、
「今日はとにかく、ものすごーく落ちついた日にして、
 静かーにすごしてみよう」と、
ベッドで決心し、そろりそろりと生きた。
テレビも音楽もかけない。
必要な家事だけひっそりとやって、
沈黙の長い時間を、身体に染み渡らせるのだ。
自分リゾート。

夕方から、しーんとする中、
凝った料理を、できるだけゆっくり作り始めた。
それでも根がせっかちなのか、
思うよりも手が早く動いてしまう。
さあっと一気に人参の皮を剥こうとするので、
“今、皮を剥いているのを、感じる”、
“捨てる皮を見る”、“切った人参をながめる”と、
手にも言い聞かせるようにして時間を取るようにしてみた。
じゃあ、味はいつもと違うか、というと、
そうでもないのが実状なのだが。

2月23日・水曜日
夜、ニッポン放送で
「リクエスト番組」の生放送を、小林克也さんと。
局に到着する前に時間があったので、本屋さんに行った。
そしたら田川律さんの
「シンガーソングライター」という本があった。
田川さんは音楽評論家なのだが、
林さんの友人で、私がパテ屋で働いていた頃、
よくやってきては、音楽の話などせず、
料理の話ばっかりしてカレーなんかを作ってくれ、
その風貌や大阪弁にも魅力があって、
まわりを楽しくさせ、忘れられないカンジの人だった。

本を買って一気に読んだ。
夢中になると、本も1時間で読めるものなんだなあ。
へえ、こういう人生の人だったんだー、
などと思いながら本番へ。
この、今の集中をそのままシゴトへ持ってけー! と思い、
ホントによくしゃべり、よく遊んだ。

2000-03-04-SAT

第128回

2月24日・木曜日
シゴトの帰り、車の窓から
「馬麺(まめん)」(ラーメン屋さん)の看板を発見し、
車を急停止してもらった。
確かここは、中村ゆうじさんが「よく行くんだ」と
言っておられたお店だったはず。
さっそくお店に入って注文したんだけど、
おなかがあまりにも野性的に空いていて、おいしいのか、
それとも普通なのかよく判断できないまま、
とにかくおいしかった。おかわりしたかった。

お勘定のついでに、
「こちらのお店の名前の馬麺、とは
 どういう意味なんですか?」と聞いてみた。
中国の馬が、走りながら小麦粉の袋をぶるんぶるんと
うまいことこねている、などという光景を期待しつつ。
しかし、返ってきた答えは、
「あ、ウチの店長、馬年の生まれなんで」に笑った。
「ああ! 馬年! なるほど!」だって。
意味ないじゃん。

家に帰ったら、ナンシー関さんから新刊本
「ナンシー関の記憶スケッチアカデミー」が届いてて、
読みながら笑った。
素人の記憶と、そのスケッチ。
よく「犯人」は捕まっているものだ。

2月25日・金曜日
夜、夫と
「ETVカルチャースペシャル・20年目の再会」を
ビデオで観た。すごかった。
「まだちょっとワルなコドモたち」を更正させるため、
実際、刑務所にその子たちを連れて行き、その囚人たちに
「いかにここの生活はキツイか、
 更正する方がどんなに楽で、生き甲斐ある事か」を
実際に説得してもらう、というドキュメント。

いちばん驚いたのは、そこの囚人たちが、
ものすごいスピードで、
スラスラとハイテンションのままで
長時間強くしゃべり続けてたってこと。
なんで、一度としてカマナイまま、
こんなに熱くどんどん言葉が波のように出てくるんだろう、
と思ったら、言いたい欲求の違いなんだなー。
いいものを見た。

2月26日・土曜日
生放送4時間。
思いついた事=言いたいこと、と思ってしゃべり、
模範囚を目指した。
そのあと沖縄へ。FM番組の公開放送。
那覇に着いたとたん、なんだかなつかしくなる。
ただいまー! と言いたくなる。
お客さんもめちゃフレンドリー。
私の好きな「名護のアルゼンチンチキン」を
差し入れにいただいて、それにも好感度アップ。
深夜、「ちゃたん」のフリーマーケットで
古着やアクセサリーやチョコレートなど、やたら買う。
沖縄では花粉症が止まる、という噂は本当だった。

2月27日・日曜日
二間基地のホテルに宿泊、
窓から見える球場に、
野球の選手の方たちがたくさんおられ(キャンプ)、
朝はその練習の声で起きた。
なんとも幸せそうに練習しておられ、
野球音痴の私でも、なるほど! と意味もなくわかった。

タクシーに乗ったら、運転手さんが、
車内に英語の本を置いておられた。
お客さんに外人が多いので、
ずいぶん役に立ってるそうなのだが、
「こんなに英語が必要な土地なんだから、小学校から
 英語を教えるようにしてくれればいいのにさー、
 どこのアジアだってコドモのうちから
 ペラペラしゃべれるんだよー」と言っていた。

公共市場の2階でのお昼のごはんを楽しみにしていたのに、
行ってみたら日曜日は休み、と看板にあった。
悔しかったが、大人らしく、
そのへんの定食屋さんで済ませた。
そしたら「ごーやちゃんぷるー」などはきたけど、
私が注文した「そーきそば」が
いつまで待っても来なかった。
「そーきそば、まだですか?」と、聞いたら
「あっ! 私が忘れてました!」と、
店員の女の子が正直だった。
「また食べに来ますから、大丈夫でーす」と言いながら
お店を出て歩いてると、その女の子が走ってきて、
「あのっ! 今のこと(ハアハア)、
 テレビやラジオで言わないでくださいね!(ハアハア)」
と、真顔で言った。
「それ言うために(走ってきた)?」と聞きながら笑った。
書くのは止めてなかったので。

2月28日・月曜日
テレビ。そのあと原稿を数本。
イギリスに行っている夫の友人の、
松本きょうじさんから手紙が来てた。
住んでいるアパートの窓から、
アビーロードが見えるんだそうだが、
毎週、世界各地から来た旅行者たちが、
しょっちゅう「ビートルズのマネ」をして、
そのように並んでは、写真を撮って行くんだそうだ。

たとえばインド人はインド人の恰好のまま、
4人で並んでいる、という図がおかしい。
アビーロードって、
そんなにヒットしたレコードなんだなー。
そういえば夫は、オーディオを買ったら
まずアビーロードのB面でチェックする、
という事をやっていたようだ。
一度ちゃんと聴いてみよう。

2月29日・火曜日
ロケで、ロンブーの亮と浅草や巣鴨を歩く。
ここもある意味、人種のるつぼだった。
平日なのに圧倒的に混んでいて、人波を見て、
「これからあの中に入ってロケをする」と思っただけで
気負けしそうな雰囲気。
しかし、順調にロケは進み、楽しかった。
意外にも亮は素人さんに気を使うタイプなのらしく、
ロケバスの中でスタッフに
「ちゃんと送ってあげて」などと指示を出していた。
「えらいじゃん」と誉めたら、
俺はホントはそういう男で、最高にいいヤツやねん、
と自分で言う。
ところがしばらくしたら、
実はどんなに最悪の人間かという話をし始めた。
やはり、こっちの方がより味があるものだ。
バツゲームで、私がチアリーダーの恰好をしたら、
「ほぼ日に送ればいいじゃん」と言っていた。

2000-03-08-WED

第129回

3月1日・水曜日
きたねー。花粉症の季節。
くるしいくるしい。
そんな中だけど、ちゃんとシゴトをし、
夕方、コドモの家庭科の宿題のつきあいで、
野菜炒めを一緒に作ったです。
ピーマンと、キャベツと人参、
と、緑、黄、赤の3色をちゃんと入れてね。
にんにくはやめたね。
ついでに久しぶりにいちおうエプロンしたんだけど、
これって普通やっぱり、みなさんやってるもんなんですか?
私は正直言うと、撮影の時しかつけてないもんで、
肩がこった気がした。

3月2日・木曜日
LFの帰り、ヤノッチと、代々木八幡にある
「ハシヤ」のスパゲッティを食べた。
私の実家は、もう25年も「壁の穴」という
スパゲッティのチェーン店をやってるんだけど、
そのお店を始めた当時、
「ハシヤ」というお店はライバル、というか、
「茹で上げスパゲッティ専門!」っていう店が
そこくらいしかなかった時代だったので、
なんとなく競い合うような雰囲気があったのだった。

「壁の穴」では「フォークにスプーンで!」というのが
斬新だったのに、こっちは「箸で食べる」というのが
かえって新しい! みたいなカンジで。
メニューもすごく似てるんですよね。
私は「あさり・しいたけ・納豆」が好きなんですけど、
ここでも注文したら、感動的においしかった。
やっぱりスパゲッティは、麺が太くなきゃね。
「ハシヤ」さん、「フォークにスプーン形式」に
変わってたようだった。時代だねえ。

そういえば、数年前、周富徳さんと御一緒した時、
周さんに、ウチの実家の話をし、
「茹で上げって、やっぱり時間かかっちゃうもんだから、
 お客さんに『まだ?』なんて
 聞かれるらしいんですよねー」と言ったら、
「ミッちゃん、それにはいい方法が、ひとつだけあるよ」
とじっと目を見ながら。
「ぜひ、教えてください!」と言ったら、
「それはね、朝から茹でておくんだよ」だった。
周さん、もともとすごいせっかちなのを知ってたので、
そのアイデアがおかしかった。
「茹で上げじゃないじゃん!」と笑ったら、
「お客さんには、わかんない」と、自信ありげだった。
そら、いろんなこともバレるわ。

3月3日・金曜日
NHKの番組の打ち合わせへ。
そのあと、日テレのナレーションをして、
MXの「シネマラウンジ」という番組で、
「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」について話す。
私の前にしゃべってた方がGACKTさんで、
男なのになんてきれいな肌なんだ、
どんなクリーム使ってるんだ、とヤノッチと。
しかもすごく話し方が、ぐーっとローテンションで、
ロマンに溢れてた。

そのあと、武道館のキヨシローさんのコンサートに
間にあった。オープニングのVTRで私の顔も出た。
すごくいい曲を、
こんなにたくさん作っておられたんだなー。
ロリータ18号による、
不思議な「僕の好きな先生」が特に好きだった。

アンコールの陽水さんとキヨシローさんのデュエットは、
聴いてるだけでモノマネ欲が沸いて沸いて
しょうがなかった。
独身だったら、カラオケに走った。

3月4日・土曜日
LFで生放送。
「プレイステーション2が当たるよーん!」と言ったら、
こんなにたくさん10代のリスナーがいたのか!
と思うほどのFAXと電話がばんばんやってきた。
今までで最高の数字だった。
いつもください。
Dの伊藤さん、これをGETするために、必死だったそうだ。
一人の努力がこうしてまわりで実を結ぶ、
の見本のようだった。

午後から、NHKで三宅アナウンサーと、
「お国言葉研究所」という番組の司会。
ヒップアップの島崎さん、(NHK的な仕事に)
あまりにもアップアップしてて、つっこむ。
NHKはなんというか、タレントは特に
思考回路を一回、ちゃんと変えてから
くくって出ないと、難しいところがある。

木野花さんの東北弁、さすがうまかった。
うまいと言われてもなんでしょうけど、
流れるようで音楽みたいだった。
一般の沖縄代表の方(美男子)、
リハの時、私の目の前に来て、
ぺろっと中に着ているTシャツを出して見せてくれた。

その柄はなんだったかというと、「ほぼ日」のサル。
いっせいに盛り上がったので、隣にいた三宅アナが
「何なんですか、そのデザインは?」
と、不思議そうだった。



3月5日・日曜日
休みの日曜日。
明日っからのテレビ用の洋服を買いに、
自転車で下北にでも出よう、と予定してたんだけど、
やめて、部屋着のまま一歩も外に出なかった。

ハムスター出してゆっくりすごす事にした。
コドモ、学校の「将来の夢」のところに、
「ペットショップの店員になりたい」と書いたそうだ。
夫と二人、夕方からビールを飲みながら、
夫の料理する姿を見つつ、つまみ食いなどする。
夜、メールのやりとり。

2000-03-14-TUE

第130回

3月6日月曜日
TBSで生放送のあと、番組のロケで、島崎和歌子さんと、
私、ハイヒール・モモコさんとの3人で、
都内の一流ホテルめぐり。モモコさん、
全身シャネルで現れたので、
「それってもう、ネタじゃないの」と私が言うと、
「そやねん。シャネル、シゴト着やねん」と言ってた。
高い仕事着があったものだ。
島崎さん、さっそうと大きなロケ用バッグを
肩にしょってて、さすが、「ロケ慣れしてる」ってカンジ。
超豪華なホテルで、優雅なフランス料理を食べるシーンで、
いっせいにがっつく。3人とも(このほうが楽しい)と
意見が一致してたかのようだった。
そしてまた、夜、一流料理を食べる。政治家とかって、
こんな豪華な食事を毎日しているのかしら。
そうとうしんどい事だねえ。


3月7日火曜日
午後、TV打ち合わせ。終わってお蕎麦やさんに行ったら、
「土曜日の朝の放送、いつも聞いてるんですよ!
 あれ、いいわよ!」と、注文を取る女性に嬉しそうに
言われて、照れながら喜んだ。私もかつてはバイト先の
ケーキ屋さんの厨房で、ラジオを聞いてたもので。
パイを練りながら「ああ、もう毒蝮さんの出る時間か、
じゃあ、もうスポンジが焼き上がるな」、なんて
時計変わりにもなってたなあ、と、思い出した。
この頃、特に内心ラジオに出てみたかった時期で、
(私ならこう答える)(こうすればもっといいのに)
などと、しょっちゅう一人で考えながら作業してたんです。
で、そうやってこの頃思ってた事が、けっこう今になって、
役に立ってたりするんですよ。
食後、ニッポン放送に行って、
「マジカルミュージックツアー・清水ミチコ編」に出る。
ところが、主役で座っているのって、どうも居心地悪くって
しかたない。しゃべりもあせりがちになるし、
ホント、サブでいる立場の方がずっと落ちついていやすい。
バイトでラジオ聞いてた当時、「主役でペラペラ話す自分」
をイメージをしていればよかったかも。

3月8日水曜日
また月曜日のトリオで、ロケバスで都内を移動。
実はモモコさんの事、(ちょっと下品な人)なんて
思ってて、正直言うと、あまり好きになれなかった
タイプなんだけど、まったく私は上っ面でしか
人を見てなかった、と反省させられた。
ホント、させられた、ってカンジ。とにかく、移動中も
携帯で、大阪のベビーシッターさんに、
「今、子供たちはどうなっとん、そうか、おおきにな。
 夕食はこれとあれが冷蔵庫にあるねん、ほんで、
 それらをやな、こう煮ればマーボー豆腐そっくりに
 なるやんか、うん、それをな、ごはんにかければ
 ええやん。賞味期限? アホか、あんなん全部嘘やで。
 大丈夫に決まっとんやん、読まんとき。
 あんた神経質やから」
などと、まったく一言一言がたくましい。
あまりに太く暖かく、生活感があり、
ふと聞いてて涙ぐんだほど。
ここをカメラで映した方が、ロケよりずっといいくらいで、
「あなたのようにオープンな人は見たことがない、
 私なら隠れて電話する、今のはちょっと感動した」と、
褒めちぎった。しかし、そのあと「最近腹が出てきたねん」
と言ってみんなに腹を見せまくったので、
「心の窓を開きすぎても、困るの」とその腹を隠しながら
注意した。


3月9日 木曜日
ロケの続きで、「モンローとディマジオが新婚旅行で
とった」、という某ホテルの朝食を3人で食べ、
一人抜けてビバリーとCBCへ。そのあと、またロケに
もどって「マニキュア専門店」で爪を塗ってもらう。
あまりに気持ちよく、睡眠不足も手伝って、
寝そうになった。お姉さんがおっしゃるには、
「やはり、リラックスするのか、よく塗られながら、
 うとうと寝てらっしゃる方も多い」のだそうだ。
皆さん、たいへんなんですね。まるで手タレのような、
すごく美しい手になった。でも、完璧な爪でいると、
疲れるもんだ。ハイヒールをずっとはいてるみたい。
爪も呼吸してんだなあ。

3月10日金曜日
顔マネ含めて、〆切6本。「〆切、6本ね」と自分に
言い聞かせた時、脳味噌は「無理」と出て、
心では「楽勝」の文字が、同時に出た。
こういう事ってないですか?
たぶん、人間は本当は何でもできるように
なってるんですよね。きっと。窮地ではとくにそうですし、
そうでない時は、なんでだか脳に従ってしまいがち。
脳って頭いいもんだから、しゃれのように「NO!」
(危険信号)を、点滅しがちなんですよね。心配性なのよ。
でもマインドは、いつも(私、できる気がするし、
やってみたい!)と小さな声でささやいてるみたい。
「忙しい」って字って、心を亡くすって書くじゃない
ですか。すごくわかる気がする。
昔の人もそうだったのかな。「私は今、忙しい」と、
感じただけで、脳にたよりたくなって、
心なんてどうでもよくなるもの。
私はよく、(今が対戦中だったら)と仮定するんだけど、
心が強いと、弾もスイスイよけられそう。なんて書くと、
叱られるのかな。

2000-03-22-WED

第131回

3月11日・土曜日
今日も朝7時から生放送だー!! 起きろー! 俺ー!
ってカンジでニッポン放送に到着。
しかし、太陽を浴びて、元気にならない方が難しい。
らしい。本当に元気になれた。

夕方、夫に車で送ってもらい、
矢野顕子さんのジァンジァンラストコンサートへ。
かつて、「ユーミンは過小評価されている」
という出だしで始まる渋谷陽一さんが書かれた一文を
読んだ事があって、
ああ、名言、こんな言葉をもらったら、
本人はどんなに嬉しいもんだろうか、
なんて思ったんだけど、考えてみたら矢野顕子さんは、
過剰でも過小でもなく、本当にまっとうに評価されている、
めずらしい人だなあ、と思った。

今まで見た中で、今回が一番よかった、と、思った。
毎回そう思ってるのかもしれないけど。
普通は興奮して、息が少々荒くなるんだけど、
今日は息を押さえて苦しくなった。
一緒に行った人から、顔、真っ青なんだけど、
と言われた。

3月12日・日曜日
日テレ「ズームイン朝! スペシャル」へ。
三上寛さんを生で見た。
「私は知ってる・この方の伝説の・
 教官のモノマネ・聞いたことないけど」と、
まわりの人に言いたいが、言う人も見つからず、
ヤノッチに説明した。
そうっすか。はあ。と困ったように返事していた。

メーク室で柴田理恵さんと話をしてるうち、
彼女は富山にいた高校の頃、夏休みによく
高山に遊びに行ってたそうで、
偶然わたしは、高山にいた頃の夏休みに
富山に行ってたことがあり、
じゃあ、すれ違ってたかもしれないんだねー。
トシも近いし、不細工な制服姿だっただろうなー、
などとお互いまじまじ見ながら笑って話す。

3月13日・月曜日
TBS「スーパー知恵MON」。
おとといの矢野顕子さんのコンサート、
坂上みきさんも偶然行っておられたのだそうで、
その時ゲストだった奥田民生さん、
作詞の糸井さんについてやや興奮気味に
タメグチのホメグチ(←悪口の反対の意)。
顔を塗りながらの鏡越し目線で。
私は知ってた曲なのに、
「どんなときも どんなときも どんなときも」に
一番きゅーっときた。

3月14日・火曜日
3月に入ってから、重症の花粉症も
ピークに達していたんだけど、ここ数日たまらず、
生まれて初めて注射を打ってきた。
「身体の中に注射で異物を入れる」っていう感覚って、
(副作用が起こらないわけはないさー)と思い、
どうしてもずっと抵抗があり、さけてきたのだ。

しかし、キツネにつままれたよう、とはこのことか、
と思うほどラクになった。
というか、全くこの十年間の症状が失せ、
ノーマルになった。驚いた。
頭の中の霞が消えたみたい。生まれ変わったよう。

注射を迷ってる方、
もうちょっと私の報告を待っててください。
副作用が出るのも、これからかもしれません。
ちなみに私は水瓶座のB型、動物占いではライオンです。
どうです。

3月15日・水曜日
夫、私のさるオモシロクナイ事件で、
某局へ謝罪に行った。いつもすまないねえ。
しかし、今日は細かいシゴトが詰まってた日で、
後半になるほどイライラきた。
私はすぐイライラする。だから
「すぐイライラする性格の人、あるいはせっかち」が
大の苦手だ。
自分の鏡を見せつけられてるみたいなんですよね。
だから一方、「同情できる!」のも人一倍強い。
わかるわー、あなたの気持ち! と言いたくなる。で
も、少しずつ直ってきた、
なんて思ってる今日この頃でいます。

2000-03-29-WED

第132回

3月16日・木曜日
花粉症の症状がまったくないのは、
なんて幸せな状態なんでしょう。
鼻をかまない3月。鼻の出ない春の訪れ。
鼻がついてないみたいだ。つい忘れる。
健康とは常にこういうものらしい。
マスクしたスタッフを見ると、そこではじめて
「花粉症だったころ」を思い出し、なつかしくなり、
どんな感じか症状を聞いてみる。

ビバリーに出て、
午後、「天才てれびくん」の収録で歌った。
また4月からの「なりきりシンガーズ」が
始まったのだった。新しいセットに、新しい衣装を着る。

そのあと事務所でホントコちょこっと収録。
ここにも花粉症がいた。

3月17日・金曜日
打ち合わせと、歯医者さんへ行く日。
このところぷくぷくと太ってきてたので、
今日は一日断食してみた。なんでできたかというと、
夕方からビールだけはよしとしたのだ。
そうすると、アルコールに眠気に襲われる体質の私は
すぐに寝てしまうからです。

食べないでいる状態だと神経は過敏になり、
あんがい元気になったりし、目も冴えますから、
私にはよけいにこれが効果的。
寝てるだけでも、カロリーは消費しているんですよね。
ダイエットって、苦痛なようで、
けっこう快楽に近い状態にもなる。
基本的に、食べることが好きなので、
いつも体重計は2キロ3キロ当たり前!
にすぐ変わる。

3月18日・土曜日
朝、すごくいいウエストになってた。
両手でさわってみればすぐわかる。
今日も断食をすれば、ものすごく理想の体重になる。
しかし、今日はLFで「お宮の月」という、
おいしい熱海のお菓子みやげをいただいた。

腹が減ってるからおいしいと感じたわけじゃない。
ふだんからも「グルメ・板倉」と呼ばれている
スタッフの一人が、「一番おいしい熱海みやげはどれか」
徹底的にお菓子を味見して、選んでくださったもの。
自分一人の舌のためのグルメはいても、
みんなに差し出すおみやげのお菓子に
こだわってくれたところが、グルメとして有能だ。
味の詳しいことを、ブロスに書いた。

こういうスタッフがささえている番組が、
聴視率日本一の瞬間があったらしい。
番組賞をいただいた。
ふだんは「ラジオやテレビって数字じゃないよね」、
なんて言ってる癖に、嬉しくなり、
結局家に帰ってから、肉や野菜など、
やたら食べてしまった。

3月19日・日曜日
ピアノ弾きまくり。
基本的な練習もした。すごくいい気持ちに。
モノマネの練習って、本当にしないんだけど、
ピアノは練習すればするほど上達もするみたいだし、
その時間がぜったい楽しい。
売れない芸人より、売れないミュージシャンの方が
血色など含めていい顔してるのは、そのせいなのかな。
「なんとか波」ってのが脳に出るんでしょう?
そうすると、幸せってのは個人的な楽しみを
どれだけ見つける事にあるか、が、
手っ取り早いのは確かなようですね。
でも、コドモには嫌われる。
2才くらいの時から
「ピアノを弾くママは嫌い」と、言われていた。
確かに、快楽中の行為を止められるのに、
やな顔を返してた気がする。

3月20日・月曜日
TBSで知恵MONへ。
帰ったらコドモの友達が家にきてて、
「ドラえもん」の中に出てくる、のび太のお父さんが
かなり冷たい、と笑っていた。
マンガを見せてもらったら私も笑ってしまった。
ドラえもんが星へ帰ってしまうという時、
のび太はけなげなんだけど、お父さんは
「そうか、帰るのか」とわりあいニコニコしながら
ビールを飲もうとしているのだ。
お世話になったのに! なんて言っていた。

そのあともみんなして、照れたように
くすくすとひじをつつきあってた。
ちらちらと見てる、目線の先のテーブルの上に、
私が沖縄で買ってきた「うこん」が置いてあったので、
「うんこじゃないわよ、うこんうこん」と言ったら
せきをきったように爆笑した。
「うこん飲む? おいしいわようこん。うこん最高」
と言うと、なお爆笑。

2000-04-02-SUN

第133回

3月21日・火曜日
MXドラマの撮影。
撮影班が映画制作のスタッフ勢揃いなのに、
一人もいばってない。
とくに、明るいスタッフが一人いることにより、
現場がとてもいい雰囲気になっていく。
帰りに飛び込むようにして、ヤノッチと武蔵のラーメン。
チャーシューがおいしうておいしうて。
上手に一枚を(麺・麺・肉・麺・麺・肉)食べた。
ここもすごくいい笑顔の店員さんがいることで、
いきなり雰囲気がよくなる気がした。
あとで聞いたら、「いらっしゃいませ!」の言い方にも
こだわってるお店でもあるそうだ。

ここで思い出したんだけど、
バブルがはじけてよかった事の一つに、
「サービス」がありますよねー。
サービス、本当に全体的によくなったー。
あの頃は、客もえらそう、店員さんもえらそうな人、
おたがいに多かったですなー。
はじけてはじめてわかりますなー。



3月22日・水曜日
MXドラマ。そのあと「ごきげんよう」へ。
司会者トリオ、というくくりで、
コージー富田さんがタモリさん、私が黒柳さん、
松村さんは鶴瓶さんになって、と、
始まる前からすでにメーク室から面白かった。
でも、終わってから
「これをリハにして、もう一回やりなおしたかったー!」
と、コージーさんと話す。
別に悪くはないんだけど、なんだかおしかったのだ。
3人とも、完全にメークしてるもんだから、
いつ素になってるんだか、
トークが自分でもごちゃごちゃしてしまった。

終わってからメークを落とそうと、カツラだけ外し、
そのままカツラを手に持って歩いてたら、
小堺さんに見つかり、
「あっ! とても中途半端な人!」と言われ、
(実際そんなカンジ)うまいのと恥ずかしいので笑った。

メークを落とし、さっぱりとした顔で廊下を歩いてたら、
今度は藤井隆さんにバッタリ。
なぜか目があったとたん、一人でウッと、
「弾に打たれた時」のようなポーズをして、
腹を押さえ、しばらく死んでいた。
小堺さんはわかるが、
こっちはいったいどういう意味なのだ。



3月23日・木曜日
ビバリー、横浜スタジアムから生放送。
行く前に新聞を読んだら、
「清水ミチコ・うぐいす嬢に挑戦!」だった。
でも、野球の大切な時期に
そんな許可をもらえはしないだろう、
とタカをくくってたら本当に。

私は門外漢なので、
どのくらいふざけていいものか、と、
Dの橋内さんに聞いてみたら、
とにかく大丈夫、なんて言う。
でも、やってみたらこれがけっこう気持ち良かった。
むいてるんじゃ、と心配するほど。

3月24日・金曜日
スポーツ新聞に、きのうの私のアナウンスで
「やりにくい!」と、怒ってた選手がいたらしい。
しかし、これが門外漢のいいところで、
そんな事を聞いても、「そりゃ、そうだろうな!」と、
シーハーしながら鈍感な自分がたのもしかった。

そのあと「おかず屋さん」収録。
ポテトサラダを見て、カメラさんが、
「あ、俺のベスト1の好物!」と
すかさず言ったので、興味を持った。
私ならベスト100に入ってるかどうか、のラインだし、
ちゃんと自分の中で「おいしいものを決定してた」
みたいなところがおもしろい。

「へえ、じゃあ2位はなんなの?」と聞いたら、
普通に「とんかつ」。
3位は、「お好み焼き」なのだそうだ。
常識でしょう、みたいな答え方もおかしかった。
自分の好物をベスト3でさっと言えるなんて、
人生に余裕あるカンジ。

ウチのコドモも、よく最近の好きな食べ物ベスト3を
勝手に教えてくれる。
ただし、こっちは余裕ではなく、
ヒマ、という違いがあるんだけど。
今のところ、3位はたこ焼き、2位は湯豆腐、
1位はねぎとろなのだそうだ。
カメラさんの方がチョイスが若い。

私は、と、今考えると、
3位がパン、2位は蕎麦、1位はごはん、と、
どれもばくぜんとしちゃう。
若くもトシ寄りでもない。
というより、とにかく白い。
そして腹いっぱい。

3月25日・土曜日
LF。今日は小林克也さんがお休みで、
赤坂泰彦さんと4時間の生放送。
CM中、南沙織さんの歌の話になった。
赤坂さんが
「彼女のLPに、かつて、ヤザワのオヤジさんが、
 2曲、歌を提供してた事があったんですよ」と、
言ったので、私はてっきり矢沢さんのお父さまが
南沙織さんに曲を書かれたのかと思い、
「あの『成りあがり』の中では
 そういう事は片鱗も書かれてなかったのに。
 やはり、血なんですかね、曲を書く、という」
と言ったことで、しばらく沈黙して、誤解がとけた。

それにしても、赤坂さんは
ヤザワ、という音を聞いただけで過剰な反応を示す。
バン! と、顔がアップに見える。
こないだもそうだった。
男子はみんな一瞬マジになるカンジ。
「ちょっと待った! 時間、いいかな?」
そういう顔になる。
そして、私たちは起立する。

2000-04-04-TUE

第134回

3月26日・日曜日
パソコン雑誌の取材。
糸井さんのHPがあるんだけどー、と言ったら、
「ありますねえ。読んでます。
 毎日更新されますからね。あそこは」と言うので、
ちょっと“御存知のように”の言い方で
「そこに私、日記を連載してるんですよー」と答えたら、
「え? 清水さんも書いてましたっけ?
 知らなかったなあ。最近ですか?」だった。
あっ、毎日見ておいて、
どうやったら私のところだけ「見れない」んだよお!
ばたばたばた。

そのあと家の掃除。
たまにやる家事は気持ちがいいものですね。
そのためにあえてやらないくらいです。
でも、音楽聴きながら気分よくやろう、と思ったら、
コドモが「ビデオ(ドラえもん)を見てもいい?」
と言うので、しぶしぶ承諾。
(実はさりげなく私にも見せたがってる)ような様子だった。
自分の中の「最高のヒーロー!」になっているらしい。
去年はポケモンだったのに。

ところで、今回の映画の中では、
「ウイーン少年合唱団」が主題歌を歌ってのだそうで、
どうしても「え」の発音がうまくいかなかったらしく、
「アンアンアーン、トッテーモ・ダーイスーキ、
 ドーライモンー」となって、
聴くたびに「イ」が、おしかった、と言っていた。

3月27日・月曜日
夫の運転で、家族で伊豆の温泉へ行った。春休み。
車中、気がついたのだが、
伊豆にはなんと美術館の多い事か。
窓から、「ガラスの美術館」「紙の美術館」
「工芸美術館」「森の館資料館」と、
どんどん発見するうちに、
「あっ、また!」と、家族で笑った。
「ジュディ・オング資料館」はもちろん、
「片岡鶴太郎美術館」に、
「加山雄三記念館」まで。いつのまにこんな。
暖かいと、いろんな光合成が起こっとるんですなあ。

平日なのにけっこう混んでて、電話予約した旅館では
「あまりよくないお部屋」しかなく、
海は「背伸びすれば見えます」だった。
それでもこんな値段かい! と思っていたのだが、
コドモは「旅館」が初めてで、喜んでいた。
おやつ、風呂、メシ、風呂、休んで、風呂。
顔がとれた。

3月28日・火曜日
夕べはおいしかったですー、なんて言いながら
運ばれてきた朝食を見たら、
仲居さんが微笑みながら
またチャッカマンでカチャッと、お味噌汁に火をつけた。
仲居さんがいなくなってから、オットが
「ゆうべの鍋や炊きたてご飯ってのはわかるけど、
 味噌汁ってのはどうもオーバーだな」と、しみじみ言う。
実際、そんな具じゃないのだ。
わかめと豆腐。
なのに沸いたとたん、ありがたく感じてしまう。

海をしばらく散歩して、帰る。
運転する夫の横顔やコドモのアップなどをカメラで撮った。
いやー、いいもんですねー、近場の温泉って。
ホントに楽しかったなー。
近いうちにまた来よう、
絶対ここに帰ってくる! と思った。

3月29日・水曜日
買ってはいたけどそのまんま読んでなかった
「長崎ぶらぶら節」を読んだ。
私が「泣き好き」なことを知ってる、
友人の松岡さんから「泣けるよ!」と
太鼓版をもらったんだけど、
「さあ泣くぞ。ここか」などと、
邪気な読み方をしてしまったせいか、
そんなにはこなかった。

それより、歌の不思議な魔力について
書いてあるところがおもしろく、横に線をひいた。
「いい歌は、魑魅魍魎とした夜にこそ作られるものたい」
とか、
「誰かが吐き出せば、また誰かの胸に忍び込む。
 そうやって歌は永遠に空中に漂い続ける」
なんてとこもあって。
歌が本当に不思議な生き物に見えてきた。

3月30日・木曜日
NHK「ためしてガッテン」へ。
司会の志の輔さん、なんだかいつもより
ピタッと軽口がないじゃないの、と思ってたら、
この番組では、カンペもなく、
覚えておかなくてはならないセリフが
いっぱいあるのだった。

でも、ホントにためしてガッテン、な番組だった。
コマーシャルがないということは、
スポンサーがついてないという事だから、
ここは、けなさない、というところもない。
むかし、「暮らしの手帖」という本に、
いろんな家電などを「ためして、どうだった」と、
たとえば
「Aのメーカーの掃除機は吸い込みは強いが、
 Bのメーカーだと、吸い込みはやや弱いぶん、
 騒音がない」など、おおっぴらに図にして
比較してくれてたコーナーがあったんだけど、
なんだかそれにちょっと似ていた。

3月31日・金曜日
楽しいビバリー。そしてCBC。
帰りにエレベーターで、某サッカー選手と御一緒。
おっ、もとサッカー選手であったヤノッチは、
隣でどんなに嬉しい顔をしとるか、と
ちらっとのぞいたのだが、そうでもなかった。
どちらかというと、固まっていたような。
私が「尊敬するミュージシャン」と
ふと会ってしまった時のおとなしさとおんなじだ。

人のサンクチュアリは微妙なものなのか、
実際に会ったときは喜んで
「ワーイ! ラッキー! 握手して!!」
とはならないらしい。
それどころか、一瞬にして心の中にある
「個室」にスッと入っちゃう。

何かを食べて、心から「おいしい!」と
本当にシンから感動した時、
あんがい笑顔ではないみたいに、
それはそれは静かで内向的な表情になる。
マジ、なんですよね。

2000-04-12-WED

第135回

4月1日・土曜日
ラジオ生放送。
そのあと長岡でライブ、の予定前に、時間がたっぷり。
急きょ映画館に入って、「救命士」を見た。
スターバックス・キャラメルマキアート片手の幸せ。
しかし、途中眠ってしまい、最後は意味がわからなかった。
幸せは短い。

長岡ソリックホール、めちゃいいホールで、
ソックリホール、という覚え方を発明。
お客さんもすごく良かったんだよー。感謝するわよー。
最近、「天才てれびくん」のせいなのか、
お子さまに大変人気があるみたいで、
どんどん小学生が増えてる様子。
だけど、ネタの内容が、イメージと違う……。
そんな顔もちらほら。

4月2日・日曜日 
「天才てれびくん」収録。
そのあと番組の打ち合わせへ。
初対面の男性が、私に名刺を渡しながら
「私くし、ちゃ・わん・や! と申します!」と、
実にハッキリした言い方だった。
名刺を見ると、茶碗屋○○、というお名前。
たぶんこれまで、何度も名前を「えっ?」なんて
聞き返されたり、めずらしがられてこられたらしく、
「一度しか言いませんから、よく聞いて!」
のメッセージの詰まった
「ちゃ・わん・や! と申します!」だった。
覚え方などいらない、忘れられないお名前。
この言い方をマネしながら、「さっきさあ、」と、
会う人ごとにしゃべった。



4月3日・月曜日
「おかず屋さん」収録のため、ヤノッチと羽田へ。
私が30分も寝坊してしまい、
ヤノッチ、見たこともないような鬼のような顔で、
すごいスピードで飛ばしてくれ、間にあった。
この日は泊まりで、シゴトが終わってから
時間があったので、夜、二人で
「トイ・ストーリー2」を観に行った。
飲みに行くより、映画に行くほうがずっと楽しーのよねー。
ガラガラで、貸し切り状態だった。
プリクラもやった。
二人で、「友達、増えないね……」なんて言いながら。



4月4日・火曜日
帰りの機内でスチュワーデスさんが、顔を確認するなり、
「清水さん! ですか!」と言い、続いて
「感激です!」と本当にしばらくじわじわと感激していた。
「はい……」と、低い声で
わけのわからない返事をしながらも、
めちゃ照れくさかった。
私が、どこで、どうしているところを見たら
こう上手に感激してくれるものなの! キャー!と、
その人の手を取って聞きたかったが、そこを押さえ、
そのあとはクールに雑誌を読むフリにいそしんだ。
でも頭の中では(今の聞こえてましたかー!?)と、
まわりにメガホンで聞いている私。
「羽田空港名物・ドラえもんドラ焼き」を買い、
上機嫌・鼻歌まじりで帰宅。

4月5日・水曜日
「TVあっぷる」に出て、
お化粧を落とし、空き時間2時間を見つけ、
ヤノッチとスポーツクラブへ。
「月に1回は行くんだ!」という、謙虚な目標も、
このところなかなか行けないでいたのだ。
はじめにストレッチをしながら、ヤノッチに
「こんな事できる?」と、
「背中で両手のシワとシワを合わせて合掌」して見せたら、
できない、と言いながらも苦しそうに笑っていた。
鏡で見たらなるほどちょっと恐い姿だった。
そのあと高平宅で、花見会がある約束を横目に、
テレビ1本収録。
夜、オットとビール。

4月6日・木曜日
先月、花粉症の注射をしてもらった時、お医者さんに、
「この注射は、人によって違いますが、
 効いている期間は1〜3カ月のみです」と、
言われていたのを激しいくしゃみとともに思い出した。
ああ、また始まってしまったのだ。
10年ぶりに春の空気を楽しんでたというのに。
でも、花粉一番ひどい期間は治まってくれてたんだから、
あとは自力で乗り越えることにした。
でぼ、あばりじぼ、ぐるじい。
「花粉症」って、病名が軽くてきれいなもんだから、
どうもあまり同情されにくいのも、ぐやじい。
もっと深刻な言い方はないのかしら。

2000-04-16-SUN

第136回

4月7日・金曜日
コドモを学校に送りだし、六本木の美容院へ。
色とカットで3時間。
その帰りに、めずらしく一人で中華料理屋さんに入った。
一人で中華、というのは何年ぶり、というか初めてかも。
前からここは看板を見ておいしそうだな、
とにらんでいたお店で、どーしても行きたくなったのだ。

しばらく迷って「炒飯」をオーダーした。
ちょっとガリッ、と歯に当たるモノがあって、
あ? 何かな、と見てみたら「岩塩」だった。
さすが、この店はおいしいだけあって
こだわってますな、岩塩ですか。
買ってみよう、と、すっかり感心し、
そのあとも炒飯の中をじーっと見ながら食べてたら、
なんと、ご飯のあいだに
「まつ毛」が1本落ちてるのが見えて、ショック。
見なけりゃ良かった!

だいたい私は不潔に強いタイプで、
だいたいのモノは食べられる方なのだ。
お皿の中の、そのエリアを外して食べようじゃない、
もったいない、とハッパかけるのだが、ダメだった。
どうしても右手が上がらない。
こんなにうまいのに。
塩味を堪能した直後の「炒めまつ毛の黒」が、
脳裏から離れずアウト。
ほとんど残してしまった。
せめてまずかったら、心おきなく残せたのに。
お金を支払い、そー、と静かに店を出た。

4月8日・土曜日
家族でお花見。
といっても、夜になってから
大山の近所を散歩しただけなんだけど。
すでに花見客はいっぱいだった。
凄いんですね。
鍋やおでん、バーベキューなんてのは当たり前で、
携帯用のアンプでわざわざレコードをかけて
踊りながら花見、とか、
コンロで天ぷらまで揚げて
熱々を塩で食べる花見、なんてのもいた。
「ニッポン花見客写真集」が
出てもおかしくなさそうなほど奇妙だった。

でも、ちょっと静かな場所に移動して、
ベンチに座って夜桜を見上げてると、
日本でもない海外でもない、
不思議なところにきたみたいだったよー。
夜の桜って、ちょっと光を持ってるみたいに見える。
コドモは「桜を見る」、という意味が
よくわかってなさそうな顔をしてた。
つきあいで。そんなカンジ。

深夜、KEMURIというバンドのライブをテレビで見た。
すごいなあ。

4月9日・日曜日
「BS・世界の教科書クイズ」。
世界の子供達は、どんな教科書を使ってるか、というもの。
給食の違いが特に私には面白かった。
アメリカはビュッフェ式で、さすが責任と自由の国。
スイスは一度帰宅、という厳しくも暖かいシステム。
アフリカではバケツから出す赤い豆の煮たヤツ。
日本は毎日メニューが変わる、というのが特徴みたい。
幸せなことです。

ずっと前、デリカテッセンの林さんから聞いた話だけど、
「主婦が朝起きて、今日作るのは中華か和食か、洋食か、
 と迷うのは、世界中でも日本人だけ」なんだそうだ。
そういえば、ドイツで暮らしてきた友達も、
「毎日いつも同じスープ、同じパン、
 同じソーセージだった」と、言っていた。

日本って食文化が豊かでもあるけど、
「ワンパターンをこわがる民族」であるのも確かなような。
ちょっと恐いもんね。
「また?」って言葉は。

4月10日・月曜日
オットと永六輔さんのジァンジァンへ。
永さんと今度高山で御一緒するので、
ちょっとした挨拶も兼ねて。
楽屋に行ったら、おすぎとピーコに、
あらミチコ・やだミチコ、
などと呼び捨てにされ、顔が赤くなった。
「ミッちゃん、と呼んでください」と、
久々なフレーズを言うと、
「わかったわよ、ミチコ!」と言って、
二人できゃっきゃと笑っていた。

帰りの車に乗る前、ちょっとコンビニに寄ったら、
さすが渋谷、コンビニ離れしたような
かわいい小物がいっぱい。
安っぽいけどかわいいトースター
(パンを縦に入れるヤツ)も買い物かごに入れたら、
オットが「おい」とだけ言って、
トースターをもとにもどした。

2000-04-20-THU

第137回

4月11日・火曜日
平野レミさんと誌面の上でのお料理。
このところ、シゴトでアシスタントとして
料理を習う日が続いてるんだけど、
そういう日って、なんでだか家に帰ると、
料理をする気がまったくなくなる。
シゴトでピアノを弾いた日も、これが不思議なくらいに
その日から数日、家でピアノにさわる気もしなくなるのだ。
それこそ料理とか、ちがう事をしたくなる。

私はやらないけど、ゴルフも釣りも、
いったんそれをシゴトとして消化した人の一日は、
趣味の気分にちゃんと転換するのに、
時間がいるのではないですかな。
そのあと、「ロンブー・ドラゴン」に出て、帰宅。

4月12日・水曜日
奥田民生さんのベスト版CD、
買ってたヤツを車に入れ、大きな音で聴きながら、
「ウンナンの気分は上々」の横浜ロケへ。
移動のバスのなかで、ちょっといい光景。
ウッチャンと出川さんが外を見ながら
「ここだ、昔あった俺んチ。ほら。ウッチャン来たよな」
「あ、この店で俺はおごってもらったんだよなあ」など、
二人で遠い目をしてて、
「おー、友達っていいな」ってカンジ。
遠い目って、こういう表情なのか、と思った。
私は本当に「遠くを見る」ってのを
「こういうカンジか?」と一人でやってみて、
結局「遠視」と解釈してたもので。
窓からふと見えた看板に
「4月12日はパンの日」と大きくあって、
パン屋さんが繁盛してるのが見えた。
パンの日、どこで、どうシャレになってるの。

4月13日・木曜日
コドモ、塾の国語の教科書を私に見せながら
「すごくおもしろいよ、これ。きっと好きだと思う!
 みんなも言ってたよ」と言う。
読んでみたら本当におもしろく、でもこれ、
昔読んだ記憶があるなあ、と作家の名前をよく見たら
筒井康隆さんで、タイトルは「にぎやかな未来」だった。

内容は、CMがどんどん生活に溢れはじめ、
毎日、目に耳に、とてもうるさく、
主人公はモーツァルトのレコードでもかけて
気分をなごませようとする。
しかしそれも30秒後には音楽が中断して
いちいちCMが入るタイプなので、
なかなか騒音から逃げきれない。
そして主人公は……。という内容。
こういうの、君たちにもおもしろいのか、そうか。
と、思うとめちゃ嬉しかった。

4月14日・金曜日
雑誌の対談のために街に出たら、本当に筒井康隆の
「にぎやかな未来」みたいになってて驚いた。
普通のバスに大きなCMロゴが入っていて、
思いっきりカッコ良くデザイン化されて
走っているではないの。
知ってましたか?
そして、なんと電話も、きのうから、
相手にかけてから数秒間、
会社から流れるCMを聞くだけで無料になる、
というサービスができたのだそうだ。
なんという偶然。
すでにCMの中に生きていたとは。



4月15日・土曜日
LFで賞をもらい、そのお金をスタッフみんなで
「お疲れ様・食事会」に使った。
アクアシティにある「エノテーカ・ピンキオーリ」という、
舌を噛みそうな名前のイタリアンレストラン。
リッチなランチ。
しかし、びっくりしたのは1階の「シナボン」の行列。
だーっと2列で200人はいた。
アクアシティの中で一番すごかった。
私はまだ食べた事ないんだけど、その写真を見たら、
食べなくたってわかるぞ!
と言いたくなるような甘そうなペストリー。
いかにもアメリカの大胆なお菓子。
でも、意味は行列にあるのだよね。
「あんな並んじゃって、バカみたい」
と言う人の声がふと聞こえ
「あ、やきもち」と、思いながらエスカレーターを降りた。

2000-04-24-MON

第138回

4月16日・日曜日
映画「マン・オブ・ザ・ムーン」を観た。
実在したコメディアンの映画。
はじめは、お客さんをひかせる事に
おもしろがってたのが、そのうち嫌われるコトに
どんどん快感が走るようになって行くあなた。
でもなんでプロレスだったの。
ジム・キャリーのくるくる回る目が、
落ちつきのないカンジが出ててちょっと恐いほどだった。

私は落ちつきのない人が実はとてもこわい。
近所のコンビニの店員さんに、
声が大きくてとても落ちつきのない男がいるんだけど、
その人、ずうっとはしゃぎながらレジ打ってて、
お客は前に立つたんびにものすごく話かけられる。

「これだけでいいのっ?! おっ?!」
「トイレットペーパー買い忘れてないっ?! おっ?!」
「おつり、いーくらだ!!」
(いくらか答えるまで渡さないゾー!ってポーズ)など。

無表情な人が多い世の中で、陽気でいいじゃないですか、
なんてレベルじゃないんだ。
(かんべんしてくれよな……)なんて顔で帰る
サラリーマンもよく見る。
走っていって握手したくなる。
こないだ行ったら「思いだし笑い中!」と言って、
手でバツマーク作っていた。

4月17日・月曜日
こないだピカピカの新車を買ったので、
古型を粗大ゴミに出した。
愛車も、「ゴミ」と決定した瞬間からゴミになる。
ちゃんとそう「ゴミ」として見えてくるから不思議だ。
(自転車っす)

シゴトから帰宅して、夕食を作る。
こないだテレビで「おいしい!」と言われてて、
そーなの? と、味の想像もつかなかった、
「バターとしおからのパスタ」を作りたかったのだ。
しかし、できあがったら
ものすごくまずかったので驚いた。
なんてあのリポーターは嘘つきなんだ!
そのくらいまずい。

私の論理では、
「ごはんに合うおかずは(たらこにしろ納豆にしろ)
 全て、スパゲッティによし」と、
マイルールを決定してたので、
もしやこれも、と思ってたのに。

「これとこれをこうしたらおいしい」という情報は
テレビでたくさん聞けても、
「これをこうしたら凄くまずい!」という実感で聞ける、
味の情報ってあまりないよね。
知りたいですよね。
まじめなこういう料理情報番組ってないのかしら。

4月18日・火曜日
試写会で、「サイダーハウスルール」を観る。
家に帰ったら久しぶりに大橋君が遊びに来てた。
「もう6年生なので、おかまっぽい態度をやめる」
のだそうだ。
おかまが、いいのに、なんて言ったんだけど、
「これからは、大橋で、ごわす」と
低い声を出して言っていた。
ごわす、は、コドモにも
男らしい言い方で聞こえるもんなんだなー。

でもどんどん美少年になってて、
「ぼくはねえー、あのねええ」と気を抜くと、
つい高い声出して言ってるのが、かわいくてしかたない。
またホットケーキ焼いてやった。
得意なんですね。と言われた。ちがーう!

4月19日・水曜日
ウンナンの番組へ。
楽しい番組を作れるスタッフ=たいへんながら=明るい、
という方程式を作れた。逆も可能。
どんな仕事にしろ、明るくいる、というのは
なんだか凄い効果を発するようだ。
ただしうるさい、と誤解しないように。
これ、ものすごく似てるからね。

4月20日・木曜日
今日出たある番組、
某人気タレントがゲストだったんだけど、
これとあれとこれは言わないように、と
口止めされたのが本番になって息苦しかった。
人間、何度も繰り返し言われるコトはイヤなもんだから、
止めたいのもわかるんだけど、
「あなたもきっと同じように
 こうくるでしょうから」と、
さとされたみたいで、いっそう、うざったい。
それが「整形とかカツラについて、ぜったい言わないで」
ってなもんだったら、こっちもはりきって
「ほいきた!」と要望を飲むけど、
どう考えても、いい経歴なんだ。
ここがくやしいじゃないの。きー。

2000-05-03-WED

第139回

4月21日・金曜日
こんなこと書くと叱られるかもしれないけど、
事件を起こしてしまった犯人の住居って、
テレビで見るかぎりでは部屋とか庭木とか、
えらい乱暴に荒れているもんだ、
ということを発見してしまった。
ボロでも金持ちでも関係なく、そんなカンジ。
私も、自分の部屋を見るかぎり、
イライラしている時の部屋はしばらくめっちゃくちゃ。
余裕があると、きれいにしたくなる。

整然としてると気分がきちんとするのか、
気分がすっきりしてると掃除でもする気になるのか、
どっちが先なのかはわかりませんが、
住まいのメンテナンスは鏡みたいに、
そのまんまその時の人の心を表すみたい。

4月22日・土曜日
朝7時から午後3時まで、
ずうっとLFでいろんな番組のナマ放送に出続けた。
ラジオ好きなんで、ちっとも苦にならないけど、
だらだらしないようにだけはした。

和田アキ子さん、ノーメークだと
なんだかいきなり恐くなくなる。
どこかヨワヨワ。
メークとは武装か、なんて考えた。
私は昔っからいまでも、
授業参観などに出るとき、コドモから
「ぜったいお化粧しないで来て!」と頼まれる。
そしてどこかヨワヨワになって、うしろで立っている。

4月23日・日曜日
「天才てれびくん」収録。
笑った子供に、ついノリで
「笑うなー!」と恐い顔で言ったら
本当にずっと笑わなかった。しまった。
「訂正、さあ笑いなさい」とも言えず。

もう1本は大泉逸郎さんの「孫」を歌ったんだけど、
「孫がいる人の気持ちになってごらん。
 さあ、好物は何?」
と聞いたら
「はい。せんべい!」「みかんとさくらんぼ」
に笑った。見たのか。

4月24日・月曜日
清水さんにピッタリの物件!
という電話を知り合いからいただき、
どれどれ、とみんなで見に行った。
たちまち気に入り、値段を聞いてたちまち退散。
ラーメン食べるより早かった。
もう結構ざます。

そのあと、中学校時代の男の友達から電話が入り、
なつかしいな! 一緒にモノマネやったよな!
なんて話してるうちに
みるみるアホな思い出がよみがえった。
2時間後、これもたまたま
短大時代の女友達からもかかってきて、
びっくりした。
学校時代シリーズが続いたってことに。
何かの前兆かしら。
その電話が続いたことを一緒に驚いてもらいたくて、
「さっきさー」と、古い友達にこっちから電話連絡。

4月25日・火曜日
「ロンブードラゴン」収録。
テーマは「目指せ流行語大賞!」。
「だっちゅーの!」しかり、
これまで大賞をもらった言葉は必ず
短く、インパクトがあるようだ、
ってな事で、結局一発ギャグを各自で探して披露。
100人の老若男女を前に、仮装大賞の如く、
認められたら電光が上がっていくというしくみ。

一発ギャグ、私は不得手なんだけど、
やってくうちに、どんどん麻痺するものなのか、
何言っても笑えてきて、
何がおかしいのかもわからなくなり、幸せだった。
点数は少ないというのに、それすらおかしい。
つけようとしてる事がもうおかしい。
老後はこういうボケ老人になるかもしれない。
とうとうそれが、マネージャー・ヤノッチにまで
伝染したらしい。
急に仕事でかかってきた携帯に、
「おはようございました!」
と、まじめに挨拶してた。
これ、口にしてみ。

2000-05-09-TUE

第140回

4月26日・水曜日
ゆうべ見てきた、野田MAPの
「カノン」のパンフをもう一度読む。
演劇って、いったいどうやって作られるものなんだろう。
私が演出家だったら、と、
イチから想像しただけで気が遠くなり、
胃が痛くなりそうだった。
出演してた雨あがり決死隊の一人は、
「腸が痛くなった」と楽屋で言ってた。
「腸はないよな、行き過ぎだよ」
と、笑う野田さんも、そうとうきてたようだった。
私は朝から雨の中、外ロケで疲れた。
でもおそらく、夕べの練習に比べたら、
それこそ雨あがり決死隊なのだー。

4月27日・木曜日
ビバリー。
いつかのLFの小笠原さんの
「よ! 聴視率の女王!」発言に、
「世辞はいいからシナボンでも持ってこい!」と言ったら、
今日本当にたくさんシナボンが置いてあった。
本当に嬉しかった。
おいしそうなものをくれる人、
とたんに好きになるから私は本当に舌がいやしい。

こないだシナボンについてここに書いたら、
たくさんの意見をメールでいただいた。
例によって一人一人に返事はほとんどしないけど、
全部しっかり読んでます。
読むのはホントに好きだから。

シナボン、いかにもアメリカのお菓子ってカンジで、
ハッキリ・たっぷり甘い・でかいところがいいじゃない。
実はあれは、繊細な味よりも
外人になってるような味覚が楽しいんじゃないかな。
包んである粗末な紙とか、書いてあるロゴとか、
そのめまいがするような激しい甘さで、
私は旅行を思い出しましたが。
と、これはメールの皆さんへの返事も兼ねて。



4月28日・金曜日

ドラマ収録。
ロケの街角で、おいしそうなパン屋さんを発見し、
みんなの分も買って持ってったら
食後なのに意外と好評。
それにしても、パン屋さんほど
いい香りに包まれる職業が他にあるでしょうか。
私は学生時代にケーキ屋の厨房でバイトしてたんだけど、
すぐ隣がパン工房で、
途中でたちまち羨しくなったもんね。
バニラの香りはやや飽きるけど、
イーストの発酵する匂いは
深ーく人を幸せにしてくれるっていうか。
パン屋さんに勤務する人に、
犯罪人が出るパーセンテージが驚くほど低いのも、
うなずける話である(ジャムハウス・社会部調べ)。

4月29日・土曜日
またLF。もはやLFタレントだ。
帰ってから「ホーキング・宇宙を語る」を読み始め、
非現実的世界へ。
難しい本は、本当にすぐ安眠をくれる。
これはコドモにもしょっちゅう教えている。

ところで、こんな夢を見た。
オットが死んでて、
それはとっくにわかっているんだけど、
さて、どうしようかと寝ながら困っているのだ。
このところ、何度も寝るのがくり返しの日々なのだ。
オットがいないと、
とにかく何もやる気がないのでどうしよう。
死んだのが悲しいのではなく、やる気がしないから
ちゃんと趣味でも作っておくんだった、
これから空白だなあ、ああ今日も寝るんだ、
という静かな夢。
起きてから、しばらく、
自分に本当に大切なものって何なんだ? と考えた。
オットではなかった。

4月30日・日曜日
シゴトが終わってから、みんなで食事に。
いつのまにかヤノッチの「お好み焼きファン」が移り、
私がお好み焼き屋にどうしても行きたい!
と言い出したため、近所のお好み焼き屋さんへぞろぞろ。

ソース味って、
どうしても安いイメージがつくのはなぜなんだろう。
ソース味のやきそばにしろ、たこ焼きにしろ、
もはや立派な和食と言えると思うんだけど、
歴史がまだ浅いせいでしょうな。ソース自体の。
お醤油味(だし)になると、上品とすら思えるもんね。
そして、足らない。頬にぐっとこない。
ああソース。
そして紅しょうが。

店内は、思いっきり古い歌謡曲がかかってて、
それがよく似合っていた。
ヤノッチはいつか将来、お好み焼き屋さんをやりたい、
と言って、「そんなに?」と
まわりからいっせいに注目されていた。
初めて行った店なんだけど、
隣の席では、いったいどうゆうつもりなのか、
火のない鉄板の上に、でっかい将棋盤を置き、
老人ふたりが向かい合って考えこんでいた。
それがどうやらいつものこと、という様子で、
経営者とのご関係を、焼きながら考えた。

2000-05-12-FRI

第141回

5月1日・月曜日
スモークサーモンに、しそとクレソンを入れたごはんで、
押し寿司を作った。
やればできるさー。
アントニオ猪木も言ってませんでしたか?
来ればわかるさー、でしたっけ。
とにかく、「実行」という意味でしたよ。

深夜はビデオで「永遠の仔」。
このテレビドラマにはまったんだけど、
初回で、濃厚なエロシーンがあり、
コドモの前で見るのにどうもいたたまれず、
2回目あたりからビデオで撮って見る事にしたのだ。
私の小さい頃、
テレビでこういうシチュエーションになると、
両親は別に平気、という顔をちゃんと作ってたようだった。
「ちゃんと」と、顔に書いてあるんだけど。
皆さんはどうでした?
あれ、困るのよね。子供も大人もお互いさー。
私は「つい」、みたいな顔でチャンネル変えてんだけど、
これもまた不自然なんだよね。
「ちゃんと」って顔しているのって、
これまたいっそう恥ずかしくて、できゃしない。
踊りたくなる。

それにしても、この心理ドラマの合間に入る
「そば焼酎・雲海」のCM(ドラマ仕立て)は、
歌も浮いてておかしい。
一服の清涼剤、にしては、映像がくすんでるんだけど。

5月2日・火曜日
仕事の帰りに本屋さんで「永遠の仔」を上・下刊買う。
下刊は売り切れまじか、という品薄で、
残り2冊しかなかった。
みんな、考える事は同じなんだなあ。

そのあと、事務所で雑誌のインタビュー1本。
編集者の話によると、
「占い特集」をやると、毎年必ず売れてるんだそうだ。
それに気をよくして、
「星座別」に分けて、本を出したところ、
ある一つの星座だけ、やたら売れたんだそうで、
ニヤニヤした。その本だけ再版までしたそうだ。

「どの星座なんですか?」と聞いたら
「ああっ、なんだっけ。思い出せない」のが惜しい。
じゃあ、コバカにしてた、星座による違いって、
やっぱりあるのかしら。
などと書く私も週刊誌の最後にある「占い」って、
あると読んでしまうタイプ。
そして、当たってるところを自ら見つけたがる。
「まわりの目を気にしがち」なんて書いてあれば
「だよね?」なんて自分に確認したりして。
誰だって多少、気にしてるもんなんだけど。

ついでに手品なんかも、
「ぜったいばらしてやる」という風に見るのは
好きじゃない。
「できるだけ大目に」見たい。
「そんなあなたは、ロマンティスト」
なんて書いてあれば、また「だよね?」などと思いたい。
結局言葉なんだなあ。

5月3日・水曜日
NHK「渋谷・原宿ポップストリート」生放送。
個人の携帯の着メロを、
カラオケや手品のBJMなどにして披露するアイデア合戦、
意外とおもしろかった。たるんだ。

帰った夕方、さる若手お笑い芸人さんと会って、
テレビについての相談を受ける。
でも、聞いて話してるうちに、
“あなたの方がぜんぜん凄いじゃん!”と、
なんだか答えにくくなった。
私なんかさー、と言いたくなってくる。情けな。

でもそこは先輩。
自分がこの人だったら、と、立場をイメージし、
こうしたらどうだ、なんて言葉が出てくる。
それにしても、本当に芸能は
自意識過剰な人にむいてるかもしれない。
マゾでサド。
まちがいなく売れているのに、
これじゃダメだ、自分は甘えてる、と否定する。

あとで考えたら、相談というものは、
実は“自分の中で言葉に変える”って事で、
もう解決できている、に近くて、
占いの言葉みたいなもんでいいから、
あとひと押しをして欲しい、
という欲求なんじゃないかなー、
なーんて思った。
だから、占いはずっと売れてるんですかね。

5月4日・木曜日
ニッポン放送で「ビートルズ特集5時間生放送」を、
「ビートルズ展」をやってる西武百貨店で。
放送前にその「ビートルズ展」を見にいったら、
そう知らないくせに好きになってきて、
時計など買ってしまった。
デザイナーにも恵まれていたグループとか? と思った。
リクエスト1位の「イマジン」は、
ピアノのイントロで、
伝家の宝刀をゆっくり抜くところ、
ってカンジだった。

5月5日・金曜日
テレビ生放送。
ゴールデンウイークの休みが、ちっともないみたいだけど、
これはこれでたいへん楽しいもの。
空いてる都内の道路をスイスイ走ると、
それだけでもシゴトってカンジがしない。

コドモは、友達と
「渋谷の児童館」に遊びに行ってきたらしい。
たまたま、今日が「こどもの日」って事で、
NHKのテレビカメラが回ってて、
ちらっとインタビューなどが映ったらしい。
事前に親に電話をして、ビデオに撮っておいて!
と、頼んだ友達、「頭の回転がいいよ!」と感心していた。
おまえはなんで電話しなかったの、と聞くと、
「思いもつかなかった!」。
そんなところすら、おまえはいい!
と誉めたくなるから、
やはり親はちょっと理性を失う生物らしい。
その時、みんなが照れてるので、アナウンサーに、
「映るんだからコドモらしく、
 自然に、ノリノリで歌を歌お!!」
と、何回か言われたらしく、
「こんなカンジか!」と、
今ごろになって目と口をパッチリさせてなぞっていた。

2000-05-20-SAT

第142回

5月6日・土曜日
ラジオ生放送とテレビ収録。
こう書いただけで、なんだか忙しそう、
と見るのはちょっとまちがってる。
こういう職業について実感したのは、
意外と暇があるんじゃないか、って事でした。
これは感じ方の違いみたいで、
時間的にはよく考えると、よほどの人でもなければ
誰もそんなに時を拘束されてない。
ただ、待ち時間や移動時間が長くかかる時があるから、
この時間にホッとできずに
拘束やらストレスを感じたとたん、
「私はずうっと忙しい! キー!」
って思わずにはいられないような。
短い時間に集中する、ここにだけ仕事が存在するようだ。
この職業に限ったことじゃないか。

5月7日・日曜日
原稿をたくさん書いた。
そのあと自転車で家族で散歩。
途中、大山町周辺にきたら、
すごい余裕な家がたくさんで、見ごたえがあった。
しかも車もこなくてずうっと静か。
私の田舎よりずっとしーん、としてて、
自転車のベルを鳴らしたら、
何事ですか! というような音になって響いた。
4こぎしても足らない敷地って凄い。
「清水ミチコの豪邸拝見!(外観のみ)」。
そのあと本屋さんで、しばらく家族解散。
立ち読みしてたら隣の人、ぜったいおならしてた。

5月8日・月曜日
小学校の親睦会。
なんで、こんな日にシゴトが入ってないんだー!
また「何かやってくださらない?」と頼まれた。
ひゃー。
私も断る理由をうまく考えておくんだった。
おろおろしてんの。
そのうち、
「忌野清志郎さんも、以前に歌を歌ってくださって……」
と聞いて、
またそうやって例を出すんだから、もー、
などと思いながらもちょっと驚いた。
「お近くにお住まいなんですか!」と、
即座に聞き返していた。
そのあと、事務所で番組打ち合わせ。
まだ企画段階なので、通るかどうかわかりませんが……、
という事だったが、
もし、通ったらいいなー! という内容。
別れ際に振り向き、
「がんばってくださあーい!」と
18歳の声で上機嫌で手を振った。

5月9日・火曜日
スタッフの中川さん、
ついこのあいだ誕生日だったと知り、
コドモもお邪魔させてもらって、みんなで食事に。
最近なんだかんだと理由をつけてはすぐ食べに行く。
久しぶりに「カルツオーネ」(オムレツ型のパイ皮の中に
チーズを溶かしてあるピザ)を食べた。
ちょっと太ってはやせ、
やせては太る繰り返しをやってるようなもんだから、
「一生ダイエット中」みたいな人生だなあ。

5月10日・水曜日
顔マネ、一気に4人やってみた。
1カ月に1人、やれやれと腰を上げるより、
こうして一気にたくさんやっておけば、
夏すぎまで〆切も恐くないんだった。
なんで気がつかなかったんだ。

似てないのもあったけど、藤原紀香バージョンは、
はははは! とできた顔を見て自分で笑った。
あまりにも似てないからおかしい、んじゃなくて、
そっくりでおかしかったのだ。本当だよ。
今度は本当だ。
そのうち出る宝島を立ち読みしてください。
っていうか買ってください。
そのあと、ビバリーの歓送迎会へ。
松村さん、バイトの女の子に
「キムタク似てない」とさらっと言われ、
「カンジ悪いなー」と、しょげていた。
似てない、という言葉に過敏な職業。

2000-05-25-THU

第143回

5月11日・木曜日
ビバリー。
タクシーの中で、運転手さんに
「驚いたー、清水さんか。
 放送、なんだかわからないけどホントにおもしろいよ。
 木曜日を楽しみにしてるんですよ、
 でも本当は歌手なんでしょ?」
と言われ、誤解すらものすごく嬉しかった。
ラジオを聞いてくれてる人って、
テレビの数倍ありがたいカンジ。
あれがおもしろかった、
この時がよかった、など細かく言ってくれて、
車内で一人で聞いてるのがもったいなかった。
この意見こそ録音して放送したかった。
ってな日常の小さな喜びを、
恥ずかしげもなく思いっきり言える、
という事ができる場所は、このHPだけ。

5月12日・金曜日
CX「どうなってるの?」ゲスト。
車を降りるとき、隣で吉田照美さんが
白のベンツを運転してるのが見えた。
「おっ。白のベンツ!」と、(そのまんま)言ったら、
みるみる顔が真っ赤になり、
「どうもすみません」とでも言いたそうな表情で、
「いやいやいやいや」と、謙遜に手を左右に振った。

この回、梓みちよさんもゲストだったんだけど、
スタジオに入った私のTシャツ見て、
「まさか、あなた、
 その服装のままで、放送にお出になる?
 着替えなさいますんでしょう?」と、
目をさらに丸くして驚いておられた。
うーらみっこなーしでー。

5月13日・土曜日
小林克也さんと4時間の生放送。
夜、身体は眠りたそうなのに、神経は眠れないまま。
こんな程度でもそうなっちゃうんだから、
クスリに走る芸能人には同情しちゃう。
でもダメなんです。
タバコでわかった。
中毒になりたがる身体なんだってことが。
結局、タバコを離せない私。
初期の頃、桃井かおりになって
「そっくりじゃん」と、思いながら
ふかしてたのが悪かった。
「ニコチンパッドがいかに効くか」
という知り合いの話を
興味しんしんでメモしながら聞いた。
学習せずに繰り返すニコバカチン。

5月14日・日曜日
母の日なんだからさあ、と言って、
久しぶりに私の好きなお鮨屋さん「小笹」へ。
のんびり食べてたら、
隣に座ってきた一人の若い男性がいた。
その食べ方が、なんとも印象的だった。
映画「たんぽぽ」を思い出した。
ちらっちらっとさりげなく見てただけなんだけど、
「次は…………、づけを、一カン」と、
よーく考えて注文する。
そして目をつむって食べるのだ。

目をつむってから、一噛み、一噛み、という姿は、
味覚を“記憶する”という行為に見えた。
まるでピアニストが演奏しながら
音を吸収するかのように、
動きながらも静止してるようで、
神聖な行為を邪魔してはいけないと本当に思わせたのだ。
お茶とともに、計8カンほど食べて、
静かに帰っていった。

しばらくして、
「今の方は、よく?」と訊くと、
「うん。ひと月に一回ほどでみえるんだけど、
 食べることが大好きなんだって」
ということだった。
目をつむると、きっと何かが冴えるんだろうなあ。
みんなとガヤガヤ、楽しく食べるの大好き、
なんてのもわかるけど、
なるほど、食べるという行為は
実は孤独でいいんだなあ、なんて思った。

5月15日・月曜日
番組打ち合わせ3本。
だんだんめんどくさくなってきて、
最後のは「そのまんまで全然いーすよ」と、
アイデアも出さずおまかせにした。
これが、あとであんな目に会うとは。
次号をお楽しみに。

2000-05-28-SUN

第144回

5月16日・火曜日
ロンブーの番組へ。
そのあとセイン・カミュさんとコンビで、
「クイズ・ところ変われば」。
優勝して「キャビアとフォアグラのセット」をいただいた。
「もし優勝したらみんなに配ったるか」
なーんて思ってたんだけど、
いざもらったら合計4缶のみだったんで、
うちのスタッフとこっそり地味ーにわけることにした。

フォアグラって、
切ってからさっとあぶった方がおいしい、と
何かの本に書いてあったけど、
キャビアはどうやって食べるのがおいしいのかな。
とゆーか、まず、どういう食べ方するのが常識なんだ?
キャビア・ウーマンとしてはさ。
しーん。

5月17日・水曜日
サンプラザ中野さんとモバイルの雑誌の対談。
物知りだったので驚いた。
そういう系の専門学校にも通っておられるらしい。
どんどん知識を増やしていくのがホントーに楽しそうで、
好きな趣味を持てていいなあ、と思った。
アドレスを交換して“何回まで飽きずに交換できるか”
始めることにした。
ヤノッチは緊張して、
ファンです、の一言が言えなかったらしい。

夜、また古い友人から電話がかかってきた。
ずいぶん久しぶりだけど、話し込んだ。
人は一人一人がドラマチックな人生ですなあ。

5月18日・木曜日
ビバリー行って、メレンゲへ。
途中、お昼に餃子専門店へ。
「なんか油っぽいものが食べたかったあああ」、と
野獣むきだしで言いながら、餃子をはふはふ食べた。
夜は、コドモにはレタスとベーコンのサラダを作らせ、
私はごはんを炊くと同時に、米の研ぎ汁を鉢にやり、
ししゃもを焼きながら
お味噌汁と茄子のひき肉炒めを作った。
集中。
横で「む、無言だね」、なんて言われた。そうさー。
途中、「スパゲッティにした方が、時間が短縮できるわ」
なんて思ったんだけど、
もうお米を研いでたんで却下した。

そういえば嵐山光三郎さんの本に、
「貧しい時はまずお米、と思う人がよくいるけれど、
 実はスパゲティの方が単価が安いものである」
と書かれてあって、びっくりした事があった。
そんなこと、考えもしなかった。
でもそう言われてみると、
お米というものは、いついつまでも安いものと
ずっと思ってたのだった。

5月19日・金曜日
今度の運動会、コドモのクラスでは
「組体操」をやる事に決まったんだそうだそうで、
「やっぱりか!」と、予想が当たって少々ガッカリ。
「組体操」は毎年、他の学年ので見たんだけど、
いちばん“意味ないじゃーん”ってカンジ。
先生の笛がピッと鳴る号令で、
生徒全員がきちっと固まる姿が、
「ああ、まだ戦時中をひきずってる」って気がするのよねー。
やっぱりいいのはリレーリレー。
遅くても速くても感動する。


5月20日・土曜日
「ジャングルTV」の料理のコーナーに出て、
ボロカス言われてしまった。
打ち合わせの時、レシピを見て、
妙なメニューだなあ、なんて思ったんだけど、
「こういうのはどう?」なんていうアイデアも出さず、
そのまま「オッケー!やるやる!」と
言った私がバカだった、と今日になって思った。

でも、いっせいに
「まずい!」「ゴミみたい!」と、
思いっきり他人から言われるのって、
あんがい快感だった。
もっとまずい、気持ち悪いものを
ていねいに作るんだった。私ならできると思うの。
そして、自分を信じるって、
きっとこういうことだと思うの。

2000-06-04-SUN

第145回

5月21日・日曜日
コドモのクラスのあいだにも、
いろんなあだ名があるようなのだが、
一人、男の子で「高橋様」というのがあるらしい。
笑った。
いったいなんで「様」がついたのか、聞いたところ、
「女子にはわからない」と言われるのらしい。
とにかく、男子のあいだでは
だんとつ人気でそう呼ばれていて、
ある女の子がそのあだ名の理由をもう一度聞いたところ、
「あの方は素晴らしい」
「高橋様の思いつきやアイデアは、突拍子もなく凄い」の
一点張りなんだそうだ。

私は小学校の頃からずうっと「ミッちゃん」で、
中学「ドシミズ」、高校「ミチコ」、短大「おじょー」
そして、今また「ミッちゃん」にもどった。
コドモからだけ、ときどき「シミッちゃん」。

5月22日・月曜日
シゴト。
そのあと知り合いと会い、
「映画」から話がそれて、「恐い話」をしてたら、
誰かからのまた聞きの話だけど、Iさんという人の、
こんな経験を思い出してしゃべった。

Iさんが高校だかの頃、
「あなたにもできる催眠術」という本を
通信販売で買って、さっそく友達にかけて、
「さあ、あなたは今、10歳です」と言ったと。
そしたら本当に友達が10歳くらいの言葉で
しゃべったので、感心しながら、
「今度は5歳になります」と言うと、
やはり本当に幼い様子になったと。
そうして調子に乗ってどんどん年齢を下げてって、
「赤ちゃん」から「おなかの中です」、
「もっと前」と言ったあたりで、その友達は
なぜだか急にぶるぶると震えだして寒がりはじめ、
それを見たIさん、さすがに急に恐くなって、
すぐに中断したそうな。

私はこの話を初めて聞いた時、ホントーに恐かった。
とくに「急にIさん自身が恐くなって」
というところが、恐かった。
でも、じわっとくる話ですよねえ。
そのまま催眠術が消えなかったら、と想像すると、奈落。
ひゅー。

5月23日・火曜日
都のドラマ収録。疲れたー。
長い待ち時間にたいくつしてコンビニへ。
疲れてないんじゃん。
そのついでに、私よりも疲れてる子役の子供に、
「クレヨンしんちゃん」を買って、
「読めばあ」と、貸してあげたら、
「今の声、しんちゃんに似てた! 読んで! 読んで!」
と言う。
しかたがないので、「みさえ」になったり
「ひまわり」になったりして朗読。買うんじゃなかった。
横でヤノッチが「全部、似てねー!」と、笑っていた。
あんたやんなさいよー。

5月24日・水曜日
今日、マクドナルドに久しぶりに行ったら、
これまた久しぶりの光景を見た。
なんと、あの店員さんの明るく素早い質問に、
「ついて行けない、英語、なんなの、やめて、あせる」
といったカンジで立ってる、
しょぼくれた高校生がいたのだ。
よくよく見たら修学旅行生。
顔、真っ赤。かわいー!
まだいたのねー。

5月25日・木曜日
CXの番組に出て、その足でニッポン放送ナマへ。
そして日テレ終わってからロケへと、やたら忙しい一日。
「売れっ子気分っすねー!」とヤノッチ。
“気分”はいるかな。“気分”という部分は。

オットが作ってた夕食、
妙に、おにぎりがずらーっと並んでいて、
どしたのこれ、と言ったら、
「明日、コドモが弁当持って行く日なんだけどさあ、
 ちょっと握ってるうちにおもしろくなってきて、
 止まらなくなっちゃったんだよ」と言ってた。
そんな事ってあるのか。
中に入れる具もいろいろ試したんだそうで、
しらす入りに、納豆入り、昆布のつくだ煮入り、と
やたらあった。
納豆入り、ひどかった、と自分で言っていた。

2000-06-10-SAT

第146回

5月26日・金曜日
今日、局のメーク室にいたら、いきなりゴキブリが出た。
そしたら、メークさんが落ちついたまま、
ヘアスプレーでシューッ、と一吹き。
驚いたわあ。
固まる姿、じゃなくて、その落ちつき。メークさんの。
それを言ったら、本人も笑ってたけど。
固まりながらって、すごい刑だった。
にしても、驚いた時に「キャーッ!」と、
本当に声として出すタイミングは難しい。
いつも瞬時に「ひいっ!」と息を吸ってるだけ。
今日もやっぱりできてなかった。
「キャーッ!」は、かれこれ10数年ほど
言ってないであろうか。

5月27日・土曜日
朝、生放送に出て、夕方コドモと図書館へ。
もうすぐ館内の内装工事が始まるんだそうで、
一人につき10冊借りていいですよ、と言われた。
結局二人で6冊借りたら、
こぐ自転車がけっこう重い気がした。
20冊も借りないでよかった。
頑張ってスーパーに寄って、よたよたしながら買い物。
コドモ、このあいだから
「変わりたい! 自分を変えたい」のだそうだ。
どう変わりたいの、と言うと、
「うん、いろいろ」。

5月28日・日曜日
朝7時、電話がきて、
「今日の運動会、雨天になる可能性が大きい、
 とのことで中止です」という連絡網が回ってきた。
電話を切って、連絡を回してから、ぶち切れ。
作った卵焼き、どーしてくれんのよお!!
晴れてるじゃないのおお!
ずっと前からシゴト入れなかったのにいー!
火曜じゃ行けないんだよおー!と、叫ぶ。
コドモもしょげ返ってて、
せめて居間の真ん中にシートを敷いて、
そこに座ってお昼にした。
沈黙の抗議。逆ガンジー。

5月29日・月曜日
放送作家の友人が、
「清水さん、株やらないの?」と聞く。
「やらない。よく知らないし」と答え、
そこから株の話になった。
その人の知り合いは、一気に儲かったんだけど、
それからというもの、どうも“心ここにあらず”
みたいな顔になって、新聞見るときだけ、
イキイキ輝きだしたと。
そのうち「値上げか、値下げか」、
毎日そればっかり気にしてるってヒトになったんだって。
最近、私みたいなもんですら、「株」という字が、
本屋さんでも新聞でも、やたら目に入ってくるもんね。
きっと、儲かったならもっとやってみたいと思うだろうし、
ソンした時は名誉挽回、とばかりに、
止まらずにいられなくるんでしょうな。
トランプの「大貧民」やった時を思い出した。

5月30日・火曜日
コドモの運動会、シゴトで行けず。
本来は普通の授業の日だったので、給食があり、
お昼は全員教室で食べたそうだ。
でも「ジャージャー麺」と、「バターふかし芋」に
「甘夏みかん」だったんだそうで、
ちょっとよかったじゃない、なんて思った。
バランスがようござんす。

夜、コンビニで買ってきたアイスバーを食べたんだけど、
ふと鏡に写った自分の姿を見て笑ってしまった。
なんか、大人が「棒つきの食べ物片手に」っていう姿って、
ものすごく知能が下がって見えるのだった。
まじめな顔でもダメ、ニッコリ笑うと、なお強調され。
オットに持たせて、さらにそれを確信す。

2000-06-15-THU

 

第152回

6月26日・月曜日
早く仕事終われー、とばかりに帰宅。
だって、新しく買ったiMacに
早くさわりたいんだもーん。(と、山本リンダ風に)。
ところでこのiMacは、ミスタッチすると
「オッオー!」と、英語発音で
答えるようにしてるんだけど、
これが笑っちゃうくらい私の声にそっくり。
まちがえるたびにモノマネされてるみたいだ。
まわりに「ねえ?」と聞くと100%
「録音したんでしょ?」という答えが返ってくる。
こういう技術の、
ユーザーへのさりげないサービスだったりして。

6月27日・火曜日
NHK/BS『今夜ピアノが好きになる』スタジオ収録。
羽田健太郎さん、山下洋輔さん、尾崎亜美さん、
伊藤恵さんらと御一緒にピアノ弾く。
山下さんがピアノを弾きだしたとたん、
私を含めて客席のみんなも、すごい素(ス)の顔をして
表情が止まっていたのがわかった。
音楽というものは、全般に「喜びや楽しさ」っていう、
「快」を与えてくれるものだけど、
これが「芸術」になると、
「孤独と向かい合っても大丈夫」ってな、
恐いような強いような、普段はそらしがちな空間を
いきなりカーンと作りだす。
音でも、絵でもそうみたい。
味覚もまたそう、かな。
五感のうち、鼻でだけは感じたことない。
あーいい匂い、で終了。

6月28日・水曜日
休み。しっかり寝た。
夕方、家族で外食。今回はオットの好きな店。
私も、ここの店の魚だけは日本で一番おいしい!と、
来るたび毎回感動する。
魚、大好きなんですよねー。

ところで私が長年にわたって、
一生に一回でいいから食べてみたい!と、
ずうっと思ってたのは、
「“食いしん坊ばんざい”で見るような、
 漁師さんの漁船で、釣ったばかりの魚を、
 現場でお刺身にして食べる!」だったんですよ。
ところがある日ついに念願かなって
ロケでそういうチャンスに遭遇し、
ものすごく喜んでたんですよねー。
ところが、なんです。
え!ってくらいにおいしくなかったんっすよー、これが。
海からたった今、釣りたて!の魚って、
こんなに生ぬるいのか!
舌にくる温度っちゅうもんは、
こんなに味覚にくるもんだったんか!ってことが、
初めてわかりました。

やはり、刺身だけは、新鮮ってだけじゃなくって、
一度人工的にしっかり冷たく冷やしてからでないと、
けっこう素人にはキツイもんなんですね。
あの時、船の中で一人、せせこましくも、
ものすごく腹を立ててたのを思いだしました。

6月29日・木曜日
楽しいビバリ−。
そのあと、立花隆の人類関係の本。
おもしろかった。特に、
「作家は処女作に一生涯の書きたいことの全てが
 けっこう集約されているもので」なんてとこ。
寂しいけどCDもちょっとそんなところもあるのかしら。
あの人は、この人は、などと、記憶をたどった。

そのあと、「8の日パトロール」。
偶然、帰宅しようとしてた
マネージャー、ヤノッチと会ってしまい、
ピッと敬礼された。覚えてらっしゃい。
笑いながら
「今の、マネージャーなんですよー」と言ったら、
「えっ! 清水さん、マネージャーが、
 ちゃんとついていらっしゃるんですか!!
 ごめんなさい!!」とまじめに言われた。
歩くといろいろ世間が見えてくる。
ある日のヤノッチ
 ある日のヤノッチ

6月30日・金曜日
仕事。知人と先週見た、
『ザッツジャパニーズミュージカル』の、誉め噂話。
面白かったー、ホント。
笑った! 幸せは客席にあり、なーんて思った。
ダメじゃん。
コドモと一緒に行ったんだけど、
コドモ、一発で早坂好恵ちゃんのファンになってしまった。
「最後までこっちに向かって一生懸命に手を振ってた!」
からだそうだ。
なので、6月の日記は、
ここでみなさんに手を振りながら、さよーならー。

清水ミチコさんへの激励や感想などを、
postman@1101.comに送ろう。

2000-07-13-THU

最新の日記↑


6月の日記↓

第147回

6月1日・木曜日
沖縄ではまだせみは泣きません。
急に突然泣き始めるのです。
それからダチョウ倶楽部がせみを食べていたそうですが、
絶対食べないです。 
いなごなども食べません。
多分、そういうものを食べる文化がないのでしょう。
バイオはとてもカラフルで見やすかった。
まゆみさんも同じタイプなんだね。
携帯には便利ですか。
いつも持ち歩いているのですか。
私も携帯のパソコンがほしいなあと思うけれど、
持っても持ち歩いて使うかなーと考えます。
それでは、またね。

という、まちがいメールが1通届いてて、
気がつくまでの時間が楽しかった。
無断採用させていただきました。

6月2日・金曜日
アンアン取材のあと、週刊朝日の取材で、
私の好きな中国家庭料理店(せまい)へ。
いつも注文するトマトと豆腐の炒め、
じゃがいもとセロリの千切り炒めなどを、
ごはんにかけて食べる。おいしゅうございました。
ごはんに何かをかける、というのは
古くからのアジアの独特の食べ方なのだそうだ。
炒めたしょうがと、にんにくの香り、大好きだー。
ただいまー、なのだ。

そのあと、藤井隆さんのオールナイトニッポンのゲスト。
ピュアなお人柄。
なんと私のファンなのだそうで、
やたら照れておられたが、
私も私を好きな人がめちゃ好き!
私を嫌いな人は私も嫌い!
マイルール決定!
家に帰ってからさっそくメールのやりとり。

6月3日・土曜日
ニッポン放送。
曲がかかってる時に、小林克也さんが、
「最高の男の人生ってのは、ずっと年上の女房をもらって
 面倒見てもらって、亡くなったら、
 ずっと年下の女性と結婚して、面倒見てもらう」
とまじめに言ったのがおかしくって、
たまたまいらした奥さん(ブースの外で聞こえない)に、
「奥さん! いま小林さんがねー!」と、
ボタンを押すフリをしてみたら(本当は聞こえない)、
小林さん、ものすごくあせって
瞬時に聞こえなくなるボタン(カフ)を下げた。
すごい反射神経を見た。

6月4日・日曜日
今日はメール紹介っす。

清水ミチコ 様
いつもテレビで見てます。
時には笑いを、時には感動をありがとうございます。
部活の上下関係で悩んでいる時や彼女にふられた時
天才テレビくんを見て元気になりました。
ものまねも好きです。
今年大学生になりました。
夢である警察になるために日々頑張っています。
大学では、ミチコさんみたいな
自分をきかざらない彼女を見つけるつもりです。
これからもお仕事頑張ってください!
応援してます!

→けっこうきかざってるんですけど(下文参照)。
 嗅覚やしなって、犯人を見つけてください。

障害者労働センター連絡会の鈴木です。
今日、清水ミチコさんのイラストが届きました。
とても可愛らしいイラストで、
スタッフ一同大喜びです。
本当に有り難うございました。

→ね。

はじめまして。私、清水さんの大ファンです。
ところで、私は是非、清水さんのような
エンターテイナーになりたいと思っているのですが、
どうすればよいでしょうか。
女の子だと笑いをとるのは、同じネタをやっても、
おもしろくないという事があるとおもうのですが。
どうなんでしょうか?
理恵より。

→そのデリケートな嗅覚をやしなって、
 土俵に上がってはいかが。
 かといって、私以上になっては困るので、
 ほどほどに売れないで。

6月5日・月曜日
地味な服に着替えて、学校の個人面談へ。
「お子さんの性格が変わった」のだそうだ。
そういえばこないだ、
「性格を変えたい」みたいなことを、本人も言っていた。
「どういったところが変わったのでしょうか」と聞くと、
「掃除など、以前は“真剣そのもの”という
 顔つきだったんですが、今は、いいこでいよう、
 とする気がないようです」とのことで、
家に帰ってそれをコドモに言うと、
「ちゃんと見られてるんだ!?」と、顔が明るくなった。
学校での顔というものがやはり、あるのだった。

2000-06-20-TUE

第148回

6月6日・火曜日
生放送のあと、モーニング娘。の番組の打ち合わせへ。
そのあと取材。
ここんとこなんだか
自分はつまらない人間になってきてるなー、
精神的に梅雨入りー、
と感じるところがあったんだけど、
こういう時ってしばしば来ては、ため息ついちゃ
「私ってダメ……かわいそう」
そしてマンガ読んで寝る、だけで終わりがちなので、
自分についてささいな事でも
誉めてくれた言葉を思い出すことにしてみた。
5歳くらいの頃にもどって、スナオに信じてみると。
ロマンチストのB型の特権。

たまたま帰りの車で、中島みゆきの暗めの歌が
ラジオで流れてたのを聞いたんだけど、
こういう曲を世間に提供できるというのは、
実はよほど強い精神の方なんではないか、
なあんて思った。
弱いところを見せても大丈夫、みたいな。
だから一方で、驚くほどたくましい歌も書けるのかな。
あんまりポジティブで輝くばっかりな人って、
面白みもないし、信用できないところがある。

6月7日・水曜日
小学校の父兄の仕事「8の日パトロール」、
時間の都合が悪く、
「7日に変更してもらえませんか」とお願いして、
7日の今日、街を主婦2人で闊歩した。
テレビカメラがない場所で、子供に声をかける、
という行為はものすごく勇気がいるもんだ。
ニセモノでいいからテレビカメラがついてて欲しくなる。
しかし、もう5時半でもあるので、
公園で遊んでた1年生らしき子供らに、
「そろそろおうちに帰んなさーい、ねー」と声に出した。
これで、終わろう、帰れる。そんな気持ち。
そしたら、そこにいた4人全員がぱっと振り返り、
そのうちの1人が落ち着いたトーンで、
「君たち、だれ?」とだけ言った。
びっくりして一瞬、思考が詰まった。
そういえば、私は誰なのか。
答えられないじゃん、と、究極の哲学を思ったとたん、
隣の奥さんが「パトロール隊!」と言ったので、
思わず笑った。
スカッとした。
そうだったな!

6月8日・木曜日
愉快なビバリー。
そのあと天才てれびくん。
この番組で、全然レパートリーでもない声を
レパートリーのように披露するので、疲労する。
車の中で必死で頭に声を録音しておく。
その人に興味があるかないかってだけで、
耳の録音テープはぼろぼろだったりして。
でも、できる時もある。
ついこないだ、大瀧詠一さんから、
番組へのお褒めの言葉をメールでいただき、
文字を心に録画。

こないだ立ち読みした本に
「人は、人の仕事が気に入らないようにできている。
 成功者に向かっても、文句はすぐ出てくるものなのだ」
と書いてあって、
「あっ、なるほど、わかる! 言えてる!」と
思ったんだけど(なら、本買えよ)、
誉める、認める、という行為は、
けなす事よりもエネルギーがいるなあ、なんて思った。
自分の芸風は変えませんが。

6月9日・金曜日
コドモ、テレビを見ながら私が言った、
「郷ひろみよりも、そこの父親の方が年齢若いんだよ」に、
ものすごく驚いて、
もう一回確認して、それを口に出して
再び驚いてたのに笑った。しつこい。
私もテレビで踊っている郷ひろみと、
食後のオットの両方を見ながら、
こっちのほうが若いのである、
と言い聞かせるほどおかしかった。
オットも自分で笑ってんの。
似たような年齢で、どっちかがまちがってる。

6月10日・土曜日
ハッピーウイークエンド生放送。
歩いてると、
小笠原局長(1番エライ人)がにぎやかにやってきて、
私と目が合ったとたん、政治家のような大声で
「ミッちゃん!」と声をかけてきた。
あ、どうも、と返事をしたら、また自信たっぷりの口調で
「最近、背、伸びたねえ!」に、ころびそうになった。
のびるか。

2000-06-22-THU

第149回

6月11日・日曜日
元気復活! TBSの伊集院さんの番組へ。
「こないださー、若手芸人と一緒に飲んで、
 一番性格のいい女性芸人は誰かって話になったんだけど、
 清水さん1位で、あの人がいいおばちゃんだよ大賞ー!
 って、勝手に決定してたんすよ」
と、聞いて喜ぶ。
しかし、ここにはオシイひと言がある。
どこかとは言わないが、
彼らが今ひとつ売れない原因は、
たぶんそこにあるのだろう。

6月12日・月曜日
「おかず屋さん」収録のため、金沢へ。
明日を含めて、全部で9本録る。
今日は5本ぶん。
8時ころ終わって、
お、まだヒマがある、と見て、映画の時間を調べた。
今夜は、おごったるでえ、と、
ヤノッチと、番組のカメラスタッフも誘った。
地方へ行った時に、映画に行けるのって、私には
「最高! 幸せ! タイムリー! ついてる!」
なのだが、6人とも、(せっかくなんだから)
飲みに行った方がよさそうな顔だった。
私の辞書には「飲みに行く快感」という文字が、
薄い、というか、ない、んだなあ。

映画は「グリーンマイル」で、
もう古いせいか、場内ガラガラ。
これがいいじゃない、これこれ。
制作してる人は制作モノを見ようじゃないさ。
ガラガラの中、なんだかちょっと一緒に座るのに
照れてしまい、ばらばらに座った。
しかし、「この仲間で観てる! この自由と共感!」
なんて思ったんだけど、終了後、
「ホントに劇場前で待ち合わせして、
 終了後にあっさりと解散って、めずらしいですね!」
と笑顔で言われた。
ポップコーンもおごっただろ!
なんて言いながらも、またとんちんかんな気も。
でも、楽しかった、はずだ。

6月13日・火曜日
昨日はありがとうございました!
ああ、そうだろ、そうだろ、と言いながら
現場を終えて去る。
帰りの飛行機で、私のテーブルがぶっ壊れてて、
発見したスチュワーデスさんにあやまられた。
ああ、いいのさいいのさ、と思いながら
機内でひとり、ひざでお弁当を広げる。

帰宅してから、私のパソコン、
マック6420(古い)に話しかけてたら、
「プッ!」と、笑ったような声をたてたかと思ったら、
死んだ。
冗談みたいだった。
ああ、そうだろ、そうだろ、なんて思えるはずもなく、
この時ばかりは途方にくれた。
いつのまにか趣味になってたんでしたなあ。
いい仕事をしてくれましたなあ。
と、パソコンの仮通夜をしのぶ。
原稿をしかたなくワープロで数本打って、
読み返して自分で笑った。
私が壊れていたりして。

6月14日・水曜日
「レタスクラブ」で、平野レミさんと。
「今週の文春の表紙、
 レミさんの韓国みやげのお面でしたね」と言ったら、
「そうなの? なんでわかるの?」と言う。
(夫の)和田さんの後書きのコーナーに
書いてありましたよ、と言うと
「あそこ読んでる人、いるの?」と、驚いていた。
レミさんの本領は実はエッセイにある、と、
私は思うんだけど、本人はちっとも思ってないらしいし、
他人のをちっとも読んでない。
そのあと「anan」のテレビコーナーのインタビュー。
伝説の教師! と薦めたんだけど、
掲載時には最終回も終わってるらしくって、却下。

6月15日・木曜日
ビバリー。
平野レミさんのモノマネでしゃべるのはおそらく、
日本でいちばん上手なんじゃないか。
ずうっと長くしゃべっていられる。
デビ夫人(自称・ビデ夫人)も我ながらうまいんだけど、
短くしかできない。
出てくる言葉がポイントしか思いつかない。
どっかで、本当にこうなったらイヤ、と
本気で思ってるのかしら。

2000-06-29-THU

第150回

6月16日・金曜日
ブティック行って洋服たくさん買おう!
と思って青山に行ったんだけど、
ちいとも、これ! という洋服がないよねー。
ここんとこ、めずらしく洋服に流行がない時期みたい。
夏休み。
気のせいかマヌカンさんも、
いつものようなハリがなかったなー。

で、夕方、中川さんにソフマップへつきあってもらって
パソコンを買った。壊れたけんねー。
G4にするか、バイオか、アイマックか。
この3つから幸せな選択。
というのも、この3つの機種だと、
知識ある人が周りにいるから。
頼りにしてるわあ。
「G4にすると、一戸建てで、
 この最新アイマックだと賃貸みたいなものか……」と、
一人でぶつぶつ言いながらも、
結局、アイマックDVにしました。
色はグラファイト。おらファイト。
かわいがるわよーん!
日記、送るわよーん。

6月17日・土曜日
ニッポン放送、レギュラーと、ゲストのナマ2本。
私はラジオはいっつもノーメークで出るんだけど、
これって、単にめんどくさいからじゃなくって、
ずうっと楽にぺらぺらしゃべる事ができるから、
なんですねー。
自由! そんな感じ。
あんまり失礼かしら、なんて方の時は
薄い色のサングラス着用したりして。
かえって失礼か、なんて思ったりして。
でも、今日になって、小林克也さん、まじめな口調で
「えっ、今までずっとノーメークだったの?」と、
気がつかれたようだった。
レギュラーでほぼ1年ほど経ってるっちゅうのに、
嬉しい誤解。
ウオーッホッホッホ。
結局、お化粧って、美意識よりも、自意識なのよねー。

6月18日・日曜日
天才てれびくん収録。美意識で歌った。
そのあと、出た「8の日パトロール」。
待ち合わせの公園へ行ったんだけど、
待てども待てども主婦の中園さんがやってこない。
不安になって電話したら、
「あっ!! すっかり、忘れてた!」と、
正直な答えがでかい声で瞬時に返ってきて、気分よかった。
ビールと枝豆で、ご主人と野球を見てたんだそうだ。
野球って、そんな楽しいもんですか、と
歩きながら聞いたら、
そりゃ、どんな番組より面白い!んだそうだ。
「株って、そんなに面白いもんですか」と、
聞いた時の答えは、
ちょっとねばっとしてて奥が深そうだけど、
野球が好きな人の答えはいつも、
たまらん!といった感じで、
こっちにまでカラッと一瞬、爽快な風が吹く。

6月19日・月曜日
企業のCFナレーションで、サウンドシティへ。
なーつかしいスタジオ。
CFの音楽を聴いて、
お? この声は、最近マネしたかった声のひとつ、
と思ったら、綾戸智絵さんの声だった。
(やってるうちに結局、
 憂歌団の木村さんそっくりの声だけゲット。
 似てるよー。もったいないよー。
 誰かたまにリクエストしてえな。ほんま)。
おお、イトイつながり、と思ってたら、
そこにいらした電通の皆さんも
この日記を読んでくださってる人が結構おられ、キャッ。
初対面でいろんな恥部まで知っておいでなさるのね。
イトイつながり2。
ありがとう、イトイ。
呼び捨てかよ。

ところで、普通こういう時は
「いい声で」と頼まれ、
私もとっておきの「お得意超美人声」を
お持ちしたんだけど、
「地声でお願いします。
 清水さんの普通の声はやさしさが出てますから」
なーんて言われて、
まったー、うまいんだから、わかる? と上機嫌。
MAMA,LOVES YOUシリーズ。
数本の中に1本、くっと泣けたバージョンあり。

6月20日・火曜日
ロケで名古屋へ。
新幹線から降りしな、山下洋輔さんと遭遇。
短く立ち話をして別れる。
四日市でライブとのこと。
何度お会いしても、立派なお方だこと。
ジェントルというのは
人と距離を保てることでもあるのかなー。ちょっと感動。
「もうちょっと大きなホールで
 ライブをやってもいいんじゃない」
と言ってくれた言葉を思い出し、
「あーそーだー、次ってライブはどこにすっだよー、
 大丈夫か俺は、ネタ、ないじゃん」
と、考えながら車の中で仮眠した。
寝た、ならいろんな所でできるのだが。
あ。
すでに危ないじゃない。
100年前のピアノ
 100年前のピアノ

2000-07-03-MON

第151回

6月21日・水曜日
「モーニング娘。」さんたちの番組へ。
うちのマネージャーと同じ年齢の方から、
私のコドモと同じような年齢のコまで、と、幅広かった。
ためしに、コドモの友達に聞くのと
同じ内容の質問(りぼん派? ちゃお派?)を
投げてみたら、すかさず
「ちゃお!」「今はりぼん」「なかよし!」など、
それぞれの方向から返ってきた。
やっぱり!
そしたら、中澤さんが
「あたしは……週刊文春。たまに新潮」と
落ち着いたトーンで言ったのに笑った。
「ちゃお」から「新潮」まで。

6月22日・木曜日
ビバリー。
自分の言ったギャグに、自分でウケてしまった。
もはやオヤジになってるのかもしれない。
そのあと久々にエステへ。
鏡を見たら、口元にあった小さなシワが
ちゃーんとなくなってた。
行く前には「2万円、高いよなー」と思うが、
帰りはいつも「いや、安いわあ! 気持ちいー」と鼻歌。
もっと、頑張って週に一度はいらしてください、
といわれた。

頑張れ、と言えば
こないだ広島に行った時、駅前の路上で
弾き語りをしてる少年がいたんですよね。
ほう、と思った私と目が合ったら、
「あ、清水ミチコ、さん、ですよね!
 頑張ってください!」と
ピースしながら大きな声で言われた。
おまえこそ先に頑張れー。

6月23日・金曜日
授業参観。家庭科室へ。
なんと、織物をコツコツやっていた!
地味!
ドキュメンタリーで見る、
昭和初期の工場風景みたいで、おかしかった。

事務所で旅行のスケジュールを。
来月の今ごろは、ああ。
スタッフの皆で、どことは言わないけど、アローハー。
夜は映画も見ようよ! と言ったけど、
みなそれぞれにシーン。

6月24日・土曜日
ニッポン放送、生放送。
帰ったら、コドモが得意げな顔をして待っていた。
見たら、居間が掃除されていてきれいだった。
きれいな部屋、というのは、最近見ない光景で、
ホントに嬉しかった。
メモリ5ほど驚いたとすると、
仮想メモリで10くらい驚きを大きく表面化。
洗濯モノ取り込みと、洗い物もしてくださってたそうで、
どう誉めてやろ、と思い、
いっそ「ははーっ、ありがとうございました」と言って
土下座してみた。
そうしながらも、へえー、と思ったのは、
案外、土下座って、
やってみると気持ちいいもんなんですね。
背中伸びるし。
説明せずして伝わるし。

では、やる方とやられる方とでは、どちらが気持ちいいか、
「ちょっとやってみて」と
コドモと交互にやってみたら、
似たようなものだったんですよ! これが!
気軽にやってみてはいかがでしょう。家族で。
健康にも、土下座ブームは、秋にも到来だそうです!
嘘かも! アローハー。

6月25日・日曜日
めずらしく、夫婦で投票に行ってきた。
私の目の前に、若い男の人がいたんだけど、現場の人に
「それはこっちの箱に入れてください」とかなんとか、
小さな声で注意されたんだよね。
そしたらその人、とたんにカッと、
「恥をかいた!」ってな表情になっちゃって、
ビリっと投票用紙を半分に破って箱に入れちゃった。
現場の人、「あっ。あーあ」だけで、
困ったように終わってた。
その人、さっと走るように帰って行った。
恥をかかされた!って思うことと、
キレるのは直結してるような。

2000-07-09-SUN

第152回

6月26日・月曜日
早く仕事終われー、とばかりに帰宅。
だって、新しく買ったiMacに
早くさわりたいんだもーん。(と、山本リンダ風に)。
ところでこのiMacは、ミスタッチすると
「オッオー!」と、英語発音で
答えるようにしてるんだけど、
これが笑っちゃうくらい私の声にそっくり。
まちがえるたびにモノマネされてるみたいだ。
まわりに「ねえ?」と聞くと100%
「録音したんでしょ?」という答えが返ってくる。
こういう技術の、
ユーザーへのさりげないサービスだったりして。

6月27日・火曜日
NHK/BS『今夜ピアノが好きになる』スタジオ収録。
羽田健太郎さん、山下洋輔さん、尾崎亜美さん、
伊藤恵さんらと御一緒にピアノ弾く。
山下さんがピアノを弾きだしたとたん、
私を含めて客席のみんなも、すごい素(ス)の顔をして
表情が止まっていたのがわかった。
音楽というものは、全般に「喜びや楽しさ」っていう、
「快」を与えてくれるものだけど、
これが「芸術」になると、
「孤独と向かい合っても大丈夫」ってな、
恐いような強いような、普段はそらしがちな空間を
いきなりカーンと作りだす。
音でも、絵でもそうみたい。
味覚もまたそう、かな。
五感のうち、鼻でだけは感じたことない。
あーいい匂い、で終了。

6月28日・水曜日
休み。しっかり寝た。
夕方、家族で外食。今回はオットの好きな店。
私も、ここの店の魚だけは日本で一番おいしい!と、
来るたび毎回感動する。
魚、大好きなんですよねー。

ところで私が長年にわたって、
一生に一回でいいから食べてみたい!と、
ずうっと思ってたのは、
「“食いしん坊ばんざい”で見るような、
 漁師さんの漁船で、釣ったばかりの魚を、
 現場でお刺身にして食べる!」だったんですよ。
ところがある日ついに念願かなって
ロケでそういうチャンスに遭遇し、
ものすごく喜んでたんですよねー。
ところが、なんです。
え!ってくらいにおいしくなかったんっすよー、これが。
海からたった今、釣りたて!の魚って、
こんなに生ぬるいのか!
舌にくる温度っちゅうもんは、
こんなに味覚にくるもんだったんか!ってことが、
初めてわかりました。

やはり、刺身だけは、新鮮ってだけじゃなくって、
一度人工的にしっかり冷たく冷やしてからでないと、
けっこう素人にはキツイもんなんですね。
あの時、船の中で一人、せせこましくも、
ものすごく腹を立ててたのを思いだしました。

6月29日・木曜日
楽しいビバリ−。
そのあと、立花隆の人類関係の本。
おもしろかった。特に、
「作家は処女作に一生涯の書きたいことの全てが
 けっこう集約されているもので」なんてとこ。
寂しいけどCDもちょっとそんなところもあるのかしら。
あの人は、この人は、などと、記憶をたどった。

そのあと、「8の日パトロール」。
偶然、帰宅しようとしてた
マネージャー、ヤノッチと会ってしまい、
ピッと敬礼された。覚えてらっしゃい。
笑いながら
「今の、マネージャーなんですよー」と言ったら、
「えっ! 清水さん、マネージャーが、
 ちゃんとついていらっしゃるんですか!!
 ごめんなさい!!」とまじめに言われた。
歩くといろいろ世間が見えてくる。
ある日のヤノッチ
 ある日のヤノッチ

6月30日・金曜日
仕事。知人と先週見た、
『ザッツジャパニーズミュージカル』の、誉め噂話。
面白かったー、ホント。
笑った! 幸せは客席にあり、なーんて思った。
ダメじゃん。
コドモと一緒に行ったんだけど、
コドモ、一発で早坂好恵ちゃんのファンになってしまった。
「最後までこっちに向かって一生懸命に手を振ってた!」
からだそうだ。
なので、6月の日記は、
ここでみなさんに手を振りながら、さよーならー。

2000-07-13-THU

 

第157回

7月27日・木曜日
ダウンタウンDXへ。
なんか、すっごく久しぶりって感じ。
『明日、(野沢)直子ちゃんが家に遊びに来るよ、
 ただ、ごはん食べて帰るってやつだけど』と、
浜ちゃんに言ったら、
『あいつ、こないだ俺んチにも来て、
 俺がおらんあいだに親子でメシだけ食って
 帰りよったで! メシだけ狙っとんねん』と、
やに早口で言っていた。

7月28日・金曜日
野沢親子、『来たよーん!!』と、
玄関のモニターからハデに登場。
あいにく、うちのコドモは林間学校で
日光に行ってていなかったんだけど、
彼女も忙しいらしく、
まともに会える日は本当に今日しかなかったのだった。

ところでアメリカでは
『おばちゃん』に匹敵する言葉がないらしく、
私の事を『oi ! MICHIKO ! 』とか、
『hey ! MITCHAN ! 』などと呼ぶ。
それはいい事だ。
しかし、そのうち、
『oi ! MICHIKO、JYUーSU GANAI ! 』
『hey ! MICHIKO、HASI WO OTOSITA ! KITANAI ! 』
などと言われるので、「自分でやれ」と突っ返した。

ハムスター、めちゃ大人気。

今日のお客さんには、もう一人、
赤ちゃんを連れてきた友人がいたんだけど、
その赤ちゃんが泣いたのを、次女のサンゴちゃんが、
幼いながらに懸命にあやしてた。
しかし、赤ちゃんは、もっと号泣しちゃった。
直子ちゃんが、
「あ、サンゴよけいなことしちゃったねー」と、
本人に軽く言ったら、今度はそのサンゴちゃんが号泣。
「あー、ごめんねーサンゴ傷ついちゃったー?」と、
あやまる母親。

私はどういうわけか、
「母親が子供に真剣にあやまる」という図に弱くて、
この光景に今度はこっちが一瞬号泣しそうになった。
あぶなかった。
これでは全員が号泣する寄り合いになりそうだ。

そのうちコドモのお古の洋服を
「どう? いらない?」と出したら、
顔が単純に輝いて、パッパカ裸になって試着し始めた。
それが、“ばあちゃん手作り”の、
それはそれは超ダサい、ポケモンのパジャマなど。
「着替えて帰る!」と言うので、
家に来た時とは違い、
めちゃ田舎くさい子供達に変身して帰っていった。

7月29日・土曜日
コドモが日光から帰宅。
仕事帰りの途中で車を降り、
父兄ともども学校に子供達を迎えに行った。
なーんか、2泊だけだというのに、
みんながたくましくなったみたいで、まぶしかった。
東照宮では、みんなで参拝したそうだ。
大橋君は「64が当たりますように!」と、
心から祈ったらしい。
先生が「では、帰りましょう」と言うのに、
「まだ、願いごとがあるのにー! 時間をくれー!」と、
早口で祈ったんだそうだ。
いいなあ。早口の祈り。

家に帰って、
いかに「きもだめし」が恐かったか、
夜、どれだけ眠れなかったことか、
夕食がいかに豪華で、食べきれないほど出たか、など、
一人で私達にめちゃしゃべって、
そのまま夕食もとらずに爆睡した。
家がしーんと静かになった。

7月30日・日曜日
〆切りたくさん。わーん。
書けないさー、と思っても、
これがいざワープロに向かってみると、
どうにかなったりする。
まずは、自分の部屋の赤い椅子に座ることが
始まりってことなんだなー。
わかっちゃいるんだけど、そこまでが遠いんだよー。

コラムに書くため『ツインフォールズ イン アイダホ』
という映画をビデオで。
これがいい映画で、
誉めてるうちに文字数が多くなっちゃって、
今度は削除するのに時間がかかった。

夕方、うなぎの炊き込みごはんや、
野菜スティック、きも吸いなどを作り、
あじー、と言いながらクーラーをハイにして、
ゆっくり夕食をとった。

なつかしい友だちから電話があり、長時間話す。

お子さんが今年、有名私立に受かったのだそうだが、
とても幸せそうで、
「やっぱ“私立”の学校ってそんなにいいもんなの?」
と、聞いたら
「いいよ! いいけど、ミチコはまず、
 そっちは向いてないね。無理無理。
 すごい大変だったんだから。親がよ。
 親の才覚が、なんだよ。
 やめたがいいよ。ミチコは。よせよせ」だった。
弱点もあんまりあっさり言われるとスカッとする。

7月31日・月曜日
テレビの某ディレクターと合う。
「こないだ、ニコチンパッドがすごく効く。
 やめられた!って言ってたけど、その後どう?』
と聞いたら、
「今? 吸い放〜題!」
と健康的な陽気さで答えられて、またガックリ。
本当にガッカリきて、
「なんで、せっかく半年もやめられたのに、
 続けようと思わなかったのか?!」
と、責めるような口調で聞く。
実はついこないだホノルルで、
「ニコチンパッド」と「ニコチンガム」をゲットできて、
(高かった、が、安いもんだ、と言い聞かせつつ)、
8月からは禁煙日記を再開す!と思ってたので。

話を聞くと、なんでも、
「ニコチンパッドは、このへんでもう張る必要はない。
 あんなもなあ(タバコ)、吸いたくもなくなった」
となった時に、パッドをはがしながら、
「だから一本くらいは無視できる」と思ったのだそうで、
これがしかし、吸ってみたら、気持ち悪くなるほど
本当にすごく「まずかった」んだそうだ。
「あ、俺は本当にこれでやめられるんだなあ」と思ったと。
そして、そんな風に実感できた自分の感性に
あらためて感慨し、
「今、本当にまずかった、よな!」
と、もう一度、確認の意味で吸いたくなったのだ、という。
そうしてもう一本吸ったら、やっぱりちゃんとまずい。
そのうち「再度、確認と、その報告のため」
どんどん吸えるようになってしまったのだそうだ。
この話がうまくて、感じがよく出てて笑った。
落語家さんか、君は。

清水ミチコさんへの激励や感想などを、
postman@1101.comに送ろう。

2000-08-13-SUN

最新の日記↑


7月の日記↓

第153回

7月1日・土曜日
髪を切りに行った。
美容師のみほちゃん、カットしながら、
「私、今度ね、Beautifl songsのコンサートのために、
 まずは名古屋に行くのー」と言ったので、
「ひゃー、よっぽど、好きなんだねえ!」と、
大きな声で驚いた。
さすがに名古屋まで見に行くってのは! なかなか!
と思ったら「メイクしに行くのよっ!」と言って笑った。
緊張するよおー、と何度か言ってた。
そうだろうなあ。
「私はそのコンサート、チケットぴあに何度電話しても
 取れなかったんだけど、偶然、コンサートパンフに
 コメントを頼まれて、一枚もらえたんだよ」
などと話し(自慢)、帰ろうとしたら、
なんとその大貫妙子さんとばったり。
挨拶しながら、みほちゃんの緊張する気持ちが
伝わってきた。ああ、コンサートは始まった。

7月2日・日曜日
シゴトの帰り、アンアン読んでたら、
「嫌いな芸能人(男)のランキング」に、
友だちの名前がズラリ並んでて、笑った。
ま! 見る目ないよ世間。
あるのか。

コドモ、置き場所を決めたんだけど、
「ここにあるノートは、絶対読まないでね」と、
強く言うので一瞬にして見たくてしかたなくなってきた。
なんでそういう事をバラすのかしら。
「もう一回別んとこに隠してよ、
 そうすればさすがに探さないから」と言った。
こうやってプライバシー作って成長すんだなー。
ほろり。

7月3日・月曜日
コドモの学校が休日で、
家族でディズニーランドに行ってきた。
空き空きで、たーのしかったああ!
ジャングルクルーズのガイドさん、
『はあい! だーれも返事しませえーん!』
などと、いい意味で自虐的になっていた。
10年ぶりに行ったミートザワールド、
こんなに時代って変わったのか! とも思い、
やはり久しぶりに行くと違う発見があるのだった。

ビッグサンダ−マウンテンに2回乗り、
シンデレラ城は初めて行き、
ホーンテッドマンションはやたら涼しかった。
パレードでひと泣きし、夜、駐車場までの帰り道は、
本当に悲しくなった。
せつないと言うんでしょうか。
終わりがある、みたいな。
コドモには言わないけど、親も同じなんだよおー。

7月4日・火曜日
野沢直子から電話。
「帰ってきたわよー、おしのびでね!」と、
毎年同じセリフで始まるのがおかしくて、くすくす笑った。
ぜんぜんおしのびじゃない。
そしたら直後、携帯にまちがい電話がかかってきた。
いきなり早口で、何を言ってるのかぜんぜんわからず、
「はい?」(えっ?というニュアンス)と、言ったら
またすごい早口が返ってきた。
また「はい? ゆっくりお願いします。」と、言ったら
「あなた、中国の方?」だって。
私は中国人では、ありません、と言って切った。
日本語講座のようなセリフを口にしたみたいで、
新鮮だった。

7月5日・水曜日
葉子ちゃんからメ−ル。
きのう、伊勢丹の子供おもちゃ売り場にいて、
くじ引きをしてたら、たまたま隣に
野沢直子ファミリーがいて、
一等賞のキティちゃんCDプレイヤーをゲットし、
一家で狂喜してたらしい。
どこがおしのびなのよおっ! とまた電話。

2000-07-18-TUE

第154回

7月6日・木曜日
楽しいビバリ−。
あっというまに終わってしまう。
土曜日の4時間モノに慣れてきたら、
すごく短く感じるようになった。
そのあと雑誌の取材。
写真撮られるのって意外と疲れるのよねー。なに様。
「もう大丈夫!」、
「今、いいの撮れた!」、
「ラストテイク!」、
などとせかしながらポーズを決めた。ポーズて。

終了後、途中で車を降り、家に向かって歩いてたら、
浮浪者の方と目が合い、ひとこと
「デブ!」と吐き捨てるように言われた。
あっ。
数年前も同じことがあって、
それも確かこの人だったんだ。
でも、私の事は覚えてすらいないみたいだった。
ひひひひ、とひとりで幸せそうだった。

7月7日・金曜日
テレビ、取材、テレビ、取材と、
上手にプログラムされてた1日。
途中、お昼にヤノッチと寄ったラーメン屋さんで、
「新メニューの冷やし納豆麺、どう!」と言われ、
思いきってそのすごいメニューを注文して食べてみたら、
思いっきりまずっ。
お酢とラー油と糖分がききすぎだよおー。
一口だけ食べたあとは、違うメニューを追加注文。
なーんてことは嫌いなので、
(でもいるんだよ、こういう人)
まずさを思いきり堪能しながら、全部きれいに食べた。

7月8日・土曜日
ラジオをやってから、ヤノッチとシアターアプルへ。
(シアターアップル、ではなく、
 あくまでもアプル、なのだそうだ。軽いこだわり。
 ついでに渋谷ジャンジャンもあくまでもジアンジアン、
 と「ア」が大きい字だったんだよ。)
TAKE2の東さんが仕切る、86の13、という舞台。
出ている仲間の皆、人柄もいいし、
仲がいいのが伝わってくる。
どこか下町風、と思ったら
萩本欽一さんが演出を手伝われたんだそうだ。
人の舞台を見ると、こっちもやる気になるので、
よっしゃ、もっとどんどん観に行こう!と、
ぴあで調べて「オケピ!」のチケット予約するも、
あえなく断念。
また遅刻ー、みたいだ。

7月9日・日曜日
明石家マンション物語へ。
みんな、自己トレに集中してる現場で、いい感じだったー。
「本番になると奴は豹変する」、なんてのより、
現場にいながらにして、少しずつ少しずつ
「本番の人間」に変わって行って、
最後にぐうっと高くなる瞬間があって、
なんか芸人は凄いな、本当に仲間に入ってみたい、
とまじめに思った。

ヤノッチ、
「今日は仕事をした! 見た!って感じでしたー!」
と言ってて、いつもはどうよ、と聞くと
「いつもは、なんか浮いてる、みたいな」
そんなあなたは毎日ウキウキウオッチング、みたいな。

7月10日・月曜日
こないだ、ものすごくしつこく
オヤジギャグを連発する人とずっと一日一緒で、
ムカムカきた。
なんでシャレがしつこいくらいの事でムカついてるのか、
「こういう上司を持つOLの立場の気持ち」に
立って考えたら、言ったあとの
『してやったり顔』だ!とわかった。
微妙になんかこう、ふふん、と
ヨユーが漂っとるのがわかるのだ。
それと、こっちだって思い付いてるんだけど、
ぜんぜん面白くないから我慢してんのに!
という気持ちを、微妙にうまく顔に出せないところ!
しかも、まわりでそれに一人でも笑ってる人がいると、
「出しゃよかったか!」と、一瞬でも思ってしまうところ。
OLも、先手を打つ、という応戦ではどうかな。
(もてなさそー。)

2000-07-22-SAT

第155回

7月11日・火曜日
撮影終わって、スリリングに
Beautifl Songsのコンサートへ。
間に合って、本当に良かった。
おいしい水、って感じ。
私は勝手に
『当然、一人30分ずつ別々に出て、
 最後にイトイさんの詩をそれぞれ歌う、
 そしてアンコールで一緒に何かを一曲』かと思ってて、
いつ、どうやってリハーサルなさったの、
できるわけ、と、驚いたし、
期待してた以上にずーっとよかった。
なんだか客席でぷわーと身体が楽になって、
興奮したままの催眠状態が続いたんだよー。

しかし、「チャカッ!」と、現実の目が開いたのは、
あとで、イトイさんが紹介してくださった、
矢野さんのお父さんを目の当たりにして。
『ああ、清水ミチコさんですか、顕子がそっくりで。
 お世話になりまして……』
『いつか、顕子と一緒にコンサートを』と、
まわりがくすくす笑ってるのに、
やさしく、まじめに言ってくださり、
私は起立! 敬礼! 着席!だった。
『じゃあ、私はこれで……』と、
すぐに立ち去られたんだけど、しばらくしてから、
「やっぱり、こんなチャンスは二度とないかも!」と思い、
つけていって、また挨拶し、
「子供の頃、どんなでしたか?」などと聞きまくった。
そしたら、矢野さん本人がいらして、
そのうち3人で写真を撮ってくださった。
本人がいるというのに、頭の中は
「お父さんが……」という事ばっか。
やはりちょっと催眠がかかっていて、
変になっていたのかもしれない。
直らないかもしれない。

7月12日・水曜日
NHK『ためしてガッテン』へ。
出かける時、自分で用意しておいた洋服、
ちょっと違うな! と気になり、
また初めっから着なおした。
本当に“ためしてガッテン”だった。
なので、ちょっと遅刻。

胃薬の話が面白かったー。
知らなかったんだけど、胃薬といえば、
胃酸を押さえるのか、出させるかの
どっちかだったらしいんだけど、
最近出たすごい効力ある「新薬」は、
どっちにすればいいのか、わかってくれるんだって。
で、あんまりスッキリ効き過ぎて、
飲み続けた人の中には癌などになっても、
症状ぜんっぜんわからなかった、という人がいたらしい。
その諸注意を聞きながら、その世界にはその世界で、
はやりすたりがあるんだなあ、と思った。

そのあと、高校生のしのぶちゃんから
「パラパラ」習った。どっかで使いてえー!
そのうち、番組で勘づいてください。
あれが多分、そうではないか、というのを。

7月13日・木曜日
「どうなってるの?」ゲスト。
何かでふと、
『ジャの道はヘビって、言いますからねー!』
と言ったら、吉田照美さんに
「清水さん今週はことわざで行きますか」と、
妙な司会をされ、どの映像見ても
全部ことわざでコメントした。
(「ことわざって、さあ出そう出そうとすると、
  出ないもんですね」と、
  番組が終わってから私が思った気持ちを、
  ことわざで、てきとうに述べよ)。

7月14日・金曜日
夏休みをとるために、朝も昼も夜も仕事。
肉体労働だったよー。
家に帰ったらハムスターがケガしてるし。
片手をケージにはさんで取れなくなってるところを、
コドモが発見したのだった。
どこをどうやったら、はさめるんだ!と、
考えても、考えてもわからず。
今もずうっと手をなめている。
夕食にオットの手料理食べて、宝島。
さいきん、夫婦の立場が逆になってきた。
俺が「おいしいよ」と言うと
オット「いやーん!」と言って、
顔をエプロンで隠した、という。

7月15日・土曜日
ラジオLF生放送!
ヤノッチ、『すみませんが、来週旅行で……』
と言っただけで
『おみやげ、私はこれ買ってきて!』と、
女性スタッフ数名から頼まれてて、
あわててメモしていた。
「みやげ旅」になりそうな量。
“性格やさしければ、なめられるし”の
見本みたいだった。なんつて。

2000-07-24-MON

第156回

7月16日・日曜日
へー! と感心するメ−ルをいただいたので、
ここに無断借用しました。

『はじめまして!こんばんは。
 なんだかとてもうれしくって、メールを書いています。
 私は、ミチコサンが家族で遊びにいらっしゃった
 「東京ディズニーランド」の「ミートザワールド」で
 キャストをしてたものです。
 「ミートザワールド」の事を書いている記事を
 久し振りに見ました。というか、
 存在さえ知らない人がいるんです。
 私がいたときにも、
 「東京ディズニーランドのどこにいるの?」
 「ミートザワールド!」といっても、
 誰も知らなかったり……。
 確かに、無料のアトラクションで行列もないし、
 スリルもないかもしれませんが、
 キャスト全員がこの「ミートザワールド」が
 大好きなんです。ゲストの方の数が、
 他のアトラクションよりも少なくとも、
 「ここは面白い!」と心から言えます。
 外国からのゲストの方にも、喜んでもらえていました。
 キャスト全員なかよしですし、団結して
 楽しいアピールをしてるんです。
 地味は地味かも知れないけれど、
 ほっとできるアトラクションなんです。
 よーくみると(隅々)、面白い事が
 たくさんあるんですよ!
 なので、何回も乗ってみて欲しいと思います。
 私は、いまでも真っ先にミートザワールドです。
 ガンバレ、ミートザワールド!!』

ガンバレ、ミートザワールド!!
には笑ったけど、ディズニーランドって、
働いてるスタッフがいいですよね。
若いのに、プロっていうか。
職場が好きだ、なんて今なかなか聞かない意見なもんで、
ここに公表しました。
ガンバレ、ミートザワールド!!
そして魅惑のチキルーム!

7月17日・月曜日
ロケ。待ち時間の30分に、疲れた自分をなぐさめようと、
「なんでも好きなだけ買いなさい」と言い聞かせ、
近くのコンビニへ。
結局アイスクリームと週刊文春だけ。
そしたら矢野顕子さんの対談記事があり、
面白かったんで切り取った。ナイス。

7月18日・火曜日
コドモ、クラスで担任の先生に、
「明日から、夏休みですがー」と、
朝会での諸注意を受けたあと、
「振り返ると、今学期は性格を変えようと
 がんばった人もいます。たとえばー」と言って、
名前を出されたそうだ。嘘。
いったいそんなにどう変わったんだろう。
母はちっともわからない。
外出用の顔ってのがあるのかしら。

7月19日・水曜日〜7月25日・火曜日
仕事を済ませ、スタッフのみなさんらとともにオアフへ。
お値打ちな中華航空で、羽田から出発。
「近いって楽!」と羽田まで運転してくれる人は
感嘆していた。
機内、いろんな文字が全部漢字なんですよね。
洋画見るのも、英語を聞きながら
漢字で(中国語)訳されるんで、笑ってしまった。
えらい語学の勉強になりますなあ。
機内食はさーすが、おいしかった。
機内食って、たいてい
「表面がすぐ乾いてしまう」のが欠点だと思うんだけど、
おかゆに湯気が高く立ってて、
ちゃんとふうふうしながら熱々を食べられるんでした。
なんだか、一回中国を経由して、
ハワイに行ったみたいだった。帰りも経由した。
ここの日記も、夏季休暇的期間決定。

7月26日・水曜日
時差ボケながら、寝るつもりで久しぶりにエステへ。
「ちょっと、背中を見てもいいかしら」と先生が言うので、
日焼けかなあ、と思いつつ、うつ伏せになったら、
「背中がとても悪い」と言われた。
「背中って、顔色を見るよりもわかるもんなのよ、
 これはひどいなー、定期的に運動なさい」
とのことだった。
ひゃあ。できないわよ。
それでいつも姿勢が悪いのかしら。
「背中さえ出してもらえば性格だってわかるものなの」
と言うので、ついでに
「どんな性格です?」と聞いたら、
「極めて単純!」と自信を持って言われた。
おそろしいエステだ。

2000-08-01-TUE

第157回

7月27日・木曜日
ダウンタウンDXへ。
なんか、すっごく久しぶりって感じ。
『明日、(野沢)直子ちゃんが家に遊びに来るよ、
 ただ、ごはん食べて帰るってやつだけど』と、
浜ちゃんに言ったら、
『あいつ、こないだ俺んチにも来て、
 俺がおらんあいだに親子でメシだけ食って
 帰りよったで! メシだけ狙っとんねん』と、
やに早口で言っていた。

7月28日・金曜日
野沢親子、『来たよーん!!』と、
玄関のモニターからハデに登場。
あいにく、うちのコドモは林間学校で
日光に行ってていなかったんだけど、
彼女も忙しいらしく、
まともに会える日は本当に今日しかなかったのだった。

ところでアメリカでは
『おばちゃん』に匹敵する言葉がないらしく、
私の事を『oi ! MICHIKO ! 』とか、
『hey ! MITCHAN ! 』などと呼ぶ。
それはいい事だ。
しかし、そのうち、
『oi ! MICHIKO、JYUーSU GANAI ! 』
『hey ! MICHIKO、HASI WO OTOSITA ! KITANAI ! 』
などと言われるので、「自分でやれ」と突っ返した。

ハムスター、めちゃ大人気。

今日のお客さんには、もう一人、
赤ちゃんを連れてきた友人がいたんだけど、
その赤ちゃんが泣いたのを、次女のサンゴちゃんが、
幼いながらに懸命にあやしてた。
しかし、赤ちゃんは、もっと号泣しちゃった。
直子ちゃんが、
「あ、サンゴよけいなことしちゃったねー」と、
本人に軽く言ったら、今度はそのサンゴちゃんが号泣。
「あー、ごめんねーサンゴ傷ついちゃったー?」と、
あやまる母親。

私はどういうわけか、
「母親が子供に真剣にあやまる」という図に弱くて、
この光景に今度はこっちが一瞬号泣しそうになった。
あぶなかった。
これでは全員が号泣する寄り合いになりそうだ。

そのうちコドモのお古の洋服を
「どう? いらない?」と出したら、
顔が単純に輝いて、パッパカ裸になって試着し始めた。
それが、“ばあちゃん手作り”の、
それはそれは超ダサい、ポケモンのパジャマなど。
「着替えて帰る!」と言うので、
家に来た時とは違い、
めちゃ田舎くさい子供達に変身して帰っていった。

7月29日・土曜日
コドモが日光から帰宅。
仕事帰りの途中で車を降り、
父兄ともども学校に子供達を迎えに行った。
なーんか、2泊だけだというのに、
みんながたくましくなったみたいで、まぶしかった。
東照宮では、みんなで参拝したそうだ。
大橋君は「64が当たりますように!」と、
心から祈ったらしい。
先生が「では、帰りましょう」と言うのに、
「まだ、願いごとがあるのにー! 時間をくれー!」と、
早口で祈ったんだそうだ。
いいなあ。早口の祈り。

家に帰って、
いかに「きもだめし」が恐かったか、
夜、どれだけ眠れなかったことか、
夕食がいかに豪華で、食べきれないほど出たか、など、
一人で私達にめちゃしゃべって、
そのまま夕食もとらずに爆睡した。
家がしーんと静かになった。

7月30日・日曜日
〆切りたくさん。わーん。
書けないさー、と思っても、
これがいざワープロに向かってみると、
どうにかなったりする。
まずは、自分の部屋の赤い椅子に座ることが
始まりってことなんだなー。
わかっちゃいるんだけど、そこまでが遠いんだよー。

コラムに書くため『ツインフォールズ イン アイダホ』
という映画をビデオで。
これがいい映画で、
誉めてるうちに文字数が多くなっちゃって、
今度は削除するのに時間がかかった。

夕方、うなぎの炊き込みごはんや、
野菜スティック、きも吸いなどを作り、
あじー、と言いながらクーラーをハイにして、
ゆっくり夕食をとった。

なつかしい友だちから電話があり、長時間話す。

お子さんが今年、有名私立に受かったのだそうだが、
とても幸せそうで、
「やっぱ“私立”の学校ってそんなにいいもんなの?」
と、聞いたら
「いいよ! いいけど、ミチコはまず、
 そっちは向いてないね。無理無理。
 すごい大変だったんだから。親がよ。
 親の才覚が、なんだよ。
 やめたがいいよ。ミチコは。よせよせ」だった。
弱点もあんまりあっさり言われるとスカッとする。

7月31日・月曜日
テレビの某ディレクターと合う。
「こないだ、ニコチンパッドがすごく効く。
 やめられた!って言ってたけど、その後どう?』
と聞いたら、
「今? 吸い放〜題!」
と健康的な陽気さで答えられて、またガックリ。
本当にガッカリきて、
「なんで、せっかく半年もやめられたのに、
 続けようと思わなかったのか?!」
と、責めるような口調で聞く。
実はついこないだホノルルで、
「ニコチンパッド」と「ニコチンガム」をゲットできて、
(高かった、が、安いもんだ、と言い聞かせつつ)、
8月からは禁煙日記を再開す!と思ってたので。

話を聞くと、なんでも、
「ニコチンパッドは、このへんでもう張る必要はない。
 あんなもなあ(タバコ)、吸いたくもなくなった」
となった時に、パッドをはがしながら、
「だから一本くらいは無視できる」と思ったのだそうで、
これがしかし、吸ってみたら、気持ち悪くなるほど
本当にすごく「まずかった」んだそうだ。
「あ、俺は本当にこれでやめられるんだなあ」と思ったと。
そして、そんな風に実感できた自分の感性に
あらためて感慨し、
「今、本当にまずかった、よな!」
と、もう一度、確認の意味で吸いたくなったのだ、という。
そうしてもう一本吸ったら、やっぱりちゃんとまずい。
そのうち「再度、確認と、その報告のため」
どんどん吸えるようになってしまったのだそうだ。
この話がうまくて、感じがよく出てて笑った。
落語家さんか、君は。

2000-08-13-SUN

 

第163回

8月26日・土曜日

楽しいナマ放送。
夕方、中川さんと渋谷公会堂に、
ボニ−ピンクさんのコンサートへ。かわいー。
入り口に並んでる列の中に、あの有名な?
『渋谷系・相撲取りのコンビ』を発見した。
なんでも、『若者のおしゃれ系のライブ』に、
しょっちゅう浴衣姿でいるという噂の二人組。
どれどれ、と、首を伸ばした。
揺れる、という感じで、
さすがに踊ってはおられなかった。

帰りに公園通りを歩くと、ジァンジァンの
あの地下が喫茶『ルノアール』になっていた。
どう改造しているのか、めちゃ見たかった。
あの地下って、実はもうひとつ下に降りると、
また地下が広がっているんですよ。
昔、びっくりしたことがある。
そこは、レコーディングスタジオになってて、
それこそミキサー界のルノアール? 吉野金次さんが、
ずうっとこもってた時代があったのですって。

8月27日・日曜日
高平みくちゃんと待ち合わせて、
夕方、新宿・花園神社へ。
屋外で、チベットの民族音楽のコンサートがあったんです。
境内をバックに、それはそれは美しかった。
芸能人を見る、んじゃなく、
芸能をちゃんと見たってカンジ。
声明が始まると、なぜか必ず蝉が反応して鳴いて、
なんだか凄かった。
とても文字では描けない音で、
チベットでもありえないだろうな。

そのあと、
「夕食、食べてってもいい? うふっ」と、
かわいい声でオットに電話し、
焼肉界のルノワール? 『ワールドカップ』へ。
店名はかなりおいしくなさそうな響きがあるけど、
ここが一番ディープな料理が食べられる、という噂で、
さすが、焼肉を焼く鉄板などテーブルにはなかった。
お皿モノばかりをメーンにいただく。
おーいしかった。
レジで、ふと上を見たら
さすがは新宿通の『浅草キッド』様のサインがあって、
『お先に』と言われたみたいで、笑った。

8月28日・月曜日

知人にチケットをいただき、
喜んでコドモと『オズの魔法使い』を見に行った。
また新宿。
“あだちゆみちゃん”より、
“小柳ゆきさん”は年下、なのだ。
どっちかが、まちがっている。
見ながらそればっか考えた。
それにしても今年の8月は、
人生の中でマックス、歌舞伎町に足を運んでる。

8月29日・火曜日
『芸能界秘密公開フェスティバル』へ。
収録、長くも楽しかったー。
なんだか日本の
「女性コメディアン全員集合の図!」だった。
マチャミと帰りに立ち話。
私と山田邦子さん、マチャミは
こう見えて同じ年令、同じB型。
あ、野沢直子もBだ。
やっぱりなんかあるのかな、この血液型って。

8月30日・水曜日

下北のエステに行って、
帰りにテレビ用の洋服を数着買う。
これも素敵な仕事。
家に帰ったら、コドモ、夏休みの宿題
『星の王子様』の感想文を書いており、
どれどれと読んでるうち、感動して泣けてきた。
学校に提出する前に、コピーして、私がいただいた。
感想文のラストの前に、
「この作者に、手紙を書いてみよっかなー、
 と思いました」と書いてあり、
「ここ、ここがまたいいじゃない!
 みよっかなー、が。 作者死んだのに!」と、
ハッキリ言ってしまい、知らなかったようで、
ぐったりしたわが子の手当てをした。

8月31日・木曜日
ビバリ−。はからずも、まちがって
放送禁止用語を口にしてしまい、落ち込んだ。
(聴いてた人ならきっとわかるよね?)
あー! こんなことは初めてだ。

しかも放送終了後、30分後には
「ディズニーランド」にみんなと行く約束があるのだ。
「落ち込んだ人と行くディズニーランドの旅」。
聞いただけで最悪だ。

ところが、いくつかアトラクションに乗るうち、
ちゃんと楽しくなってきた。なんて単純。
ちゃんと認めたら、
その後は軽快! になれるものなんですね!

『スプラッシュマウンテン』に行き、
みんな写真を撮られる時、すごい顔をするんだなあ、
調子に乗ってる人は「もっとオーバーに!」
を目指すもんだなあ、と思い、
「ここで、どういう写真が一番面白いかしら……」と、
乗ってるあいだ真剣に考え、
“一人だけめちゃ冷静な人”というトーンに挑戦した。

ここでわかったのは、
「人間、本当に恐い瞬間に
 表情を大きく出すのは簡単だが、
 表情を押さえるのは、どれだけ難しいものか」ってこと。
『こわがってる表情をハッキリ顔に出す』
という行為だけで、かなり楽になれるのだ。

「やってみよう、無表情」と、
考えただけで恐くなって、かなり体が震えてきた。
しかしこれが、いい一枚になった。

写真を渡してくれる、
ディズニーランドのスタッフが、すでに裏で、
(聞こえないように)ゲラゲラ笑っていたのが聞こえ、
「こんな声って最高!」と、幸せになった。

写真は、私のオフィシャルHPを見てね。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~jamhouse/

2000-09-15-FRI

第162回

8月21日・月曜日
日曜日(きのう)入りで名古屋に泊まって、
午後ホテルから大阪入り。
お昼頃、3時間も余裕があったので、
ヤノッチを誘ってまた映画館へ。

どうせなら、と思い、大阪が舞台の映画、
藤山直美さんの『顔』へ。
壮絶に悲しいシーンでも、後ろの席のおばちゃんがすぐ
『わーっはっは!』と笑うので、
そこで笑うなよ、と思いつつも、
気を抜くとそっちの声にひきこまれてしまい、
ついニヤニヤしてしまった。
昔、『笑い袋』というのがあったんだけど
(スイッチ一つで笑い声が聞こえるってだけの袋)、
これが、何度聞いてもつられてニヤニヤしてしまう。
これを思い出した。

夕方、明石家さんまさんの番組に出た。
途中、『悪口について』という話になったんだけど、
さんまさんは
『他人に興味がないから、
 今まで他人の悪口言うたことない』のだそうだ。
私は、言いふらしはしないけど、
悪口って、うまいと(下世話でも)これほど聞くのも
しゃべるのもおもしろいものはないと思ってたので、
「え」と、一瞬止まった。
そういえば、さんまさん本人も、
まわりから悪口を言われてなさそうだ。
「悪口は、必ず自分のところに返ってくる」
というのは本当なのか。
困ったわ。

8月22日・火曜日
小堺さんの『おすましでSHOW』、シアターアプルで。
入り口で浅井企画の浅井社長にお会いしたら、
『ウチのタレントに、
 いつも自在につっこんでくださって……』と言われ、
いえいえ、などと首を横にふり、
わけのわからない返事をする。
(私の最初で最後のスキャンダル記事は、
 『清水ミチコ、番組中に萩本欽一を殴る!』
 だったのだ。←殴ってないですよ、もちろん。
 額につっこんだだけ)

小堺さん、とても器用で勉強家でもあって、
ザ・喜劇人という感じがした。
そのあと、フジ子ヘミングさんのCDを買って、
夜中に聴きながら寝た。
ここんとこ、ずうっとピアノを弾いてない。

8月23日・水曜日
ウンナンの番組、スタジオで。
楽屋で、『おーい、お茶』を飲みながら、
ふと缶に書かれてある「俳句大賞」みたいなのを読んで、
なるほど、わかるわかる、とちょっと読みふけった。
ただ、ひとつだけ15才の作った句で、
意味不明なのがあった。
『我が弟 流れ流れて 桃太郎』
わからない。

これは、どういう意味なのかなあ?
天下を取ったってこと?
と、ヤノッチに聞いたら、
「これはあ、この人の弟さんが、
 流れてたんじゃないですか? 川に」
と、まじめに言うので爆笑した。
まんまじゃん!
助けろよ! 句を練る前に! 弟をよお!!
と、メイクしながら。

ナンチャンに久しぶりに会う。
ちーす、のあと、言う事がなかったので、
「座るか? ぼーず」と、
冗談でおっさんのようにひざをたたいたら、
本当に座った。

8月24日・木曜日
なりきりシンガーズ収録。
小学生が、廊下で私に会うなり、
「やざわえいきち」と言って、
『ん、聞けよー、ニュースニュースニュースウウー』と、
うなった。
笑った。ちゃんと顔から入ってた。

帰宅してコドモと、下北沢を散歩。
ぽん、と肩をたたかれ、見たらなんと早坂好恵ちゃん。
コドモ、信じられない、という顔をして、
静かなパニックだった。
いつか見た高平さん演出のミュージカルを観て以来、
「一番ファンなのは、早坂好恵ちゃん。
 最後まで手をふってくれてたから」
なのだそうだ。
握手をお願いし、さようならと言ってから
早坂好恵ファンと二人、本屋さんへ入った。

8月25日・金曜日
みうらじゅんのラジオへ。
ひさびさに見た不敵なサングラス。
2時間まわします、とは聞いたけど、
本当にCMもなく2時間しゃべりっぱなし。
楽しかった。
私はコドモの小学校のPTAから、
『つばくれ男に注意』と書かれた紙をもらっており、
あやしいやつを見かけたら、要チェック!
&警察に連絡!と、よく言われていた。
犯人は40才前後で、長髪、サングラス、カメラを持ち、
昼間っから自転車で付近をうろうろしているらしい。
で、みうらじゅんは近所に住んでいるんだけど、
放送中、
「俺は最近さ、しょっちゅうPTAの主婦に
 『ちょっと』と声をかけられる」と、
つぶやいたのがおかしかった。
あなたは、ぜったい疑われています!

そのあと、九段下で、戸井ちゃんとCBC生放送。
ロリータ18号がロンドン入りしてるので、
急きょ深夜放送をたのまれたのでした。
ロンドンから電話でロリータを呼び出したら、
あの独特の声が帰ってきた。
深夜2時に終わって、5時間後、
LFで朝7時からのナマ出しだ。

2000-09-07-THU

第158回

8月1日・火曜日
夕方、空きっ腹に冷たいビール、というのが気持ちよくて、
なんだ、ビールだったらとことん飲めるじゃーん、
と思いながらヘラヘラ飲んでたら、
食事もしてなかったせいか、急に気持ち悪くなってきて、
ベッドにうまいこと倒れた。
もう一生飲みたくない。
3時間後、コドモに
『(寝ている私の姿は)手をおりたたんで、
 顔が白くって、まるで白鳥の湖だったよ』と言われた。
うれしくなってオットに、
『さっきはどんなだった? 私』と、聞いたら、
野獣の咆哮のような擬音で返ってきた。

8月2日・水曜日
こないだ、さる著名芸能人と会ってしゃべってたら、
『日記を公開するなんて、とてもできない』と言う。
なんでか、というと、
「仕事が毎日ないのがわかっちゃうから」なんだそうだ。
仕事に追われて忙しいイメージは、
やっぱり、よしとされる姿なのかなー。
私がこういう業界に入って、印象的だった事のひとつに、
まわりの人たちから、まるで挨拶みたいに
「忙しいでしょう? これからも仕事?」
なんて当たり前のようにしょっちゅう言われる、
ってのがあった。
「あなたの方が!」
と言いたくなるような人からすらそうなのだ。
「そうでもないですヨ」なんて言うと
しーん、と、ちょっと間ができたりして。
会話に水さした、みたいな。ありゃ。
そのうち、忙しくもないのに、
サービスで、忙しいフリでもしなけりゃ、
みたいな人も出るて。
大物ほどヒマなんだけどね。

8月3日・木曜日
ビバリ−、高田文夫さんが夏休みで、
マドモアゼル愛さんと御一緒。
マドモアゼル愛さんというのは、
このところ、ニッポン放送の『人生相談』で、
ずうっと高い聴視率をとっておられる先生なんだけど、
名前が名前(中年男性)なので、
番組の中で話題になっていたのだ。
会った瞬間に笑ってしまった。
またなんでそんな名前なんですか、と聞くと、
こういう話に男の名前ではいけない、
一方的になりがちかもしれない、
と直感で思われてつけたのだそうだ。
なるほど両性具有、という感覚は、
意外と人生相談に必要かもしれない。
まじめなおだやかな方で、
リスナーの相談に、目をつむって
集中して答えられる姿が印象的だった。
すごいきれいな放送になった。
インターネットで占いもなさる、と聞いて、
私もさっそく終了後、占ってもらった。
そしたらずーっと誉められるので、
笑いが止まらなくなってしまい、
その日は一日中、微笑んでいた。




8月4日・金曜日
暑かったけど、コドモと昼間っから
『スチュアートリトル』を見に行った。
場内はすいてて、
アイスクリームをなめながら、幸せだった。
ああ映画館っていいなあ、
始まる前もいいし、始まって暗くなる雰囲気もいいし、
始まって全員がいっせいにながめる、
という出だしもいいなあ、と、
やに普通の感想をしみじみ感じた。

8月5日・土曜日
日帰りで北海道へ。
なんて距離的に遠いのに時間的に近いんでしょう。
のびのびとした景色、のんびりとした牛、
人はおおらかで、じゃがいもはでかいし、
ラーメンの麺も太い。
ああ、日本の旅行こそゆっくりしてみたいなあ、
と思った。
帰ったらちょっと体重が増えていた。

2000-08-18-FRI

第159回

8月6日・日曜日
永六輔さんと飛騨高山のお寺で、めちゃ熱いライブ。
熱い、というのは、人がぎっしりだというのに、
クーラーが途中で壊れちゃったのだ。
こんな熱いのは初めてだー。
歌ってたら途中知り合いと目が合い、
ブホッと吹き出してしまった。

実家にも帰った。
一度ヨメに行くと、どうにも居場所がなくなる、
というか、なんというかお互い、
照れとの戦いがあるようで、
私には、日本で一番心地の悪い、
嬉しいような悲しいような場所になる。
いっそ、ですます調で話したくなる。
本当にそれでちょっと話した。
本当に、人の心は複雑だ。
コドモだけが横になってマンガ読んだりしてて、
自然だった。

8月7日・月曜日
公ちゃんと待ち合わせをし、
みんなで実家のスパゲッティを食べた。
親も私もすっかり慣れてきて、よくしゃべった。
弟、地元のビッグバンドにサックスで参加してて、
調和するでっかい音がめちゃ楽しいんだそうだ。
あれがいい、この曲がいいと、
有名なCDなど教えてくれるが、ちんぷんかんぷんだった。
帰りの車、ありとあらゆるおみやげが網羅され、
車内ずいぶんせまい状態となって帰った。

8月8日・火曜日
ナレーション録り。
トーンを押さえて、と指示された。
そこはよかったんだけど、途中、なまりも注意され、
えー、今までずうっと私は、
まちがった発音をしていたのか、
と、驚いた。
恥ずかしかったなあ。

コドモ、「水泳教室に行きたい!」と、
ずーっと前から自ら志願してて、
いよいよ今日の夕方が、その初日だった。
帰ってきて、どうだった? と聞くと、「45点」。
何それ、先生に言われた点数なの、
それともあんたの気持ちの点数なの、と聞いたら、
「気持ちだよ……。気持ち」とへこんでいた。
「泳げる!」とは思ってたけど、
「スピードをあんなに競うものとは!」
だったらしい。
「いったいみんな、なんの為に速さがいるんだよおー」
と言っていた。
知りませんからね。

8月9日・水曜日
「ごきげんよう」へ。
行く時、車がガードレールにぶつかってしまった。
しかも、車がバックしてもバックしても抜けない。
毎日、いろいろあるものだ。

その時、ヤノッチは、
とにかく自分を冷静にするよう言い聞かせながら、
私が時間に間に合うよう、
タクシーに乗るよう指示し、ひとりで
「まずはこの車の会社に電話すべきか、
 それよりJAFだ、いや、
 常識的に考えて、そりゃ警察だ」と、
3つのあいだでものすごく迷ったらしい。
結局、その3つのどれでもなく、
事務所に報告した、と言っていた。
でも、本当に誰もケガがなくてよかった。
ヤノッチが電話してた頃、私はすかさず
「今ねー!」とテレビでネタにしていた。

8月10日・木曜日
LFで楽しいビバリ−。面白かったー。
ラジオはいいよー!
そのあと『氷の家族』の収録をして、
夜、急いで日テレへ。
そしたら今度は、借りたばかりの別の車のバッテリーが
途中であがってしまい、路上で立ち往生。
こういう時はガソリンスタンドへ行くものだと、
初めて知った。
しかも、しかもですよ、その帰り、
その車にタクシーが、
ぶん、っと知らん顔でこすって行ったんですよ!
何かの呪いか!!
すかさずナンバーをお互いに口走りながらメモ。
でも、見たら傷はついてなかったので、ホッとした。
ケガがなくてよかったのだ、と二人で思うことにした。
いろいろあるんだ。

2000-08-26-SAT

第160回

8月11日・金曜日
テレビアップルへ、ゲストで出た。
洋服、かわいい、かわいい、と
スタッフの女性ばかり数人に誉められた。
やっぱり? と言いながら、私もいい年して、
本当にかわいいものが大好きなままだ。
しかし、「かわいい」とは、実は
「世の中の役に立ちそうにないもの」と、
表現される言葉である、と何かに書いてあった。
これに気がついたその誰かも、
そんな発見するところがかわいい。

夕方、帰ったら、オットとコドモとでカレーを作っていた。
なんか「家庭科」みたいな味だった。
洗い物してるうちにどんどん掃除したくなり、
テレビの音を聞きながらはまっていった。
カンズメやら、海苔や小麦粉、
これら全部捨てたら、どんなにきれいになるだろう。
捨てる、今、全部かたっぱしっから捨てる、
と想像しながらドキドキしつつ、普通に掃除完了。

8月12日・土曜日
ニッポン放送で生放送。
帰りにタクシーの運転手さんが
この番組がいかによろしいか、を、
具体的な言葉でどんどん教えてくださり、
すっかり嬉しくなった。

夕方、関根勤さんの「カンコンキン」を見るため、
新宿シアターアプルへ。
なんと7時から11時まで。
ずーっと笑っていた。おっかしかったなあ。
なんとなくお客さんが、プロレスファンの男子が
多い感じもよかった。
それにしても、関根さんは凄い!
変人だ! 変態なのだ! かわいくないのだ! じわー。
山中伊知朗さんの『関根勤は天才である』という本を、
家に帰ってまた読んだ。

8月13日・日曜日
いわゆる営業。
営業だって、プロとして大切な仕事だ、
と思うんだけど、聞いた時に悲しい感じが消せないのは、
スポンサーがつくからなのかな。
ミュージシャンは、聞くところによると、こ
ういう仕事を、『イベント』または
『冠のついたライブ』って名前で呼んでいるらしく、
悲しくなくってずるい。
でも、今日は面白かった。
お客さんとの関係が合えば、
なんだ、カンケーないんじゃん、と上機嫌で思った。
藤井さんと営業についてメ−ル。

8月14日・月曜日
フジテレビ『どーなってるの?』ゲスト。
体調悪くって、顔も白く、参った。
『体調』があるのなら、
『顔調』って言葉もぜったいあってもよさそうだ。
でも、本番が始まる頃にはすっかり治ってて、
よしよし身体よ、間に合ってくれてありがとう、だった。

そのあと、平野レミさんにお料理を教わるページ、
レタスクラブのキッチンスタジオへ。
レミさん、韓国料理のサムゲタンを作るのに、
鶏の肉の部分から、皮をべろべろーっと手で引き延ばし、
その形を見て
『やーらしいわよねえ! この形! ほらほら!
 アーッハッハ!!』と、爆笑していた。
君は男子高校生か。
高木ブ−さんのお嬢さんが見学にいらした。
静かに笑っておられた。

8月15日・火曜日
ヤノッチと『60セカンズ』の試写会へ。
ニコラス・ケイジの表情、大好きだ。
映画はおもしろかった、というか気持ちよかった。
けど、それはないだろ! そんな条件あるかい!
ってな部分もけっこうあって、おっかしかった。
あー、私もいつか免許を取って、
愛する人のために車を数台盗んでみたいなあ。

そのあと、スポーツクラブへ行ったら、
プロレスラーの高田延彦さんがお隣にいらした。
「今、レスラーが隣なのだ!」と、思ったら、
いいとこ見せたくなってきて、
腹筋、無理しちゃった。
誰も見てなかったけど。
こういう青山にある高級なジムへ、
なんで私ふぜいが行けるのかと言うと、
その同じビルの上ににある『エステ券』を利用すると、
なんでだか「ジム無料」になるのでした。

帰宅したらコドモ、眉間にしわ寄せてマンガ読んでた。
ヤノッチに借りた『今どきのこども』シリーズ、
すごくおもしろい! のだそうで、
夢中になると、快感!って顔はしないもんなんだなあ、
と思って、今こんな顔だったよ、とマネをした。

2000-08-29-TUE

第161回

8月16日・水曜日
『気分は上々』のロケ。
海砂利水魚と、ウッチャンと私の4人。
親しいと、本当に会った瞬間から
けなされるのが私の最近だ。
まるで、怒りのギリギリのラインを、
どこまで許せるか、という内容のけなしあいが続く。
でも、あんまりひどいので、そのうち私が、
女性差別だよ!と言ったら
「そうだよ、差別してんだから」と、
しゃれーっと言っていた。
放送だったらイチコロだ。

ロケでは、落ち着きのない子供、妙に落ち着いた子供、
と、いろんなタイプがあったけど、
ちょっとじーんときてしまったのは、
自転車に乗れない男の子で、
ねばってたら本当に乗れて、うるうるきた。
私に限らず、みんな、子供の頃の自分と
だぶっていたようだった。
なんだか自転車って、日本人には特別な乗り物なのよね。

8月17日・木曜日
ビバリ−。
高田さんが、「そういうのはホンスンポーでないと」
と言ったので笑った。
なんか、中華系の食べ物みたいな響きで、
「ホンスンポー1つとホイコーロー2つ!」
なんて注文がありそう。
「本寸法」という、ちゃんとした日本語があるのだそうだ。

そのあと、3つ仕事をして、
夜、家族とスタッフを焼肉に誘った。
焼肉屋さんはイマイチだったけど、
そのあと入った、渋いスタイルを保つ甘味喫茶で
あんみつを食べたのがすごく楽しかった。
ソフトクリーム、思いっきりやる気のない「とぐろ」で、
「ずれ」もはなはだしく、すごいヘタクソなのだ。
江戸っ子じゃないか、巻いてられっけえ!
などと片手でよそ見しながら
クリームを巻いていくマネした。

8月18日・金曜日
テレビと対談とMAと。
夜、鎌倉のホテルへ行って泊まり。
ちょっと、湘南の風に吹かれたかったの。
なんてのはウソで、サザンのコンサートにからめ、
湘南からの生放送となり、LFが
小林克也さんの別荘から、なーんて言い出したのだ。
ひいては朝、渋滞が予想されるため、
ホテルで宿泊なのだった。
でも、ホテルで原稿書くと、
すごく「やり手社長」みたいな感じで、気分良かった。
一人の時に“ONLY IS NOT LONELY”で、
ネットが始まると、じーんと来ます。

8月19日・土曜日
小林克也さんの別荘、すごい!
美しい洋館。
私も別荘が欲しい! とは思わないけど、
こういう世界があるんだなー、いいなあ、なんて思った。
(なんで欲しくないかと言うと、
 『ちまちま掃除・配慮』なんかが、
 実際は大変そうだから。
 私には自分ちのマンションだって広い)。
でも、他人の豪華な暮らしを見るのはすごく楽しい。
このままでいていただきたい、と本当にそう思う。
テレビ番組でも、つつましい生活のものより、
ゴージャスな方が見てて面白い。
きっと、責任がないからなのかもね。

近所の海の家に行ったら、カッコいい姉ちゃんが、
肌もあらわにタメ語でバイトしてた。
イチゴ、もうないよ、レモンでいい? など。

8月20日・日曜日
名古屋へ新幹線で。CBCで生放送の司会。
終わってから時間がたっぷりあったので、
45分でイタリアンを食べ、またヤノッチに
映画行こうぜー、と、誘う。
たまにはヤノッチの趣味につきあってみるべえ、と
『上海ヌーン』へ行った。
ジャッキー・チェンものって、初めて見たんだけど、
面白かったなー。
世界に共通する、共感できる愉しみがいっぱいで、
すっかり感心してしまった。素晴らしいお方。

でも、ヤノッチに聞くところによれば、
『過去にもっと凄い作品がある』んだそうだ。
もっと何か言いたそうだった。
私は燃えよドラゴン! を薦めたんだけど、
『テレビでよく見るモノマネだけで、
 おなかいっぱいで、見る気がしない』と言っていた。
「だってあれはデフォルメしてるから……」と言いかけて
「あ、そうでもないわ」と、思いなおし、
うやむやにお薦めした。

2000-09-05-TUE

第164回

9月1日・金曜日
コドモの始業式の日で、引き渡し訓練でもあった日。
防災時の訓練のため、
親がコドモを学校まで迎えに行くのだ。
クラスの子供たちみんな、
日に焼けてたくましくなっていた。
こんな姿って、結構感動させられるんだよねー。

帰り道、一緒に歩きながらコドモ、
「同級生から『お母さん、いつもおかしいの?』と、
 聞かれた」のだそうだ。
いつもおかしいて……。それじゃまるで……。

好きな男の子がいて、
今日はその気持ちを確認できたんだそうで、
「いつか、告白したいんだけど、でも、その子には
 すでに他の好きな女の子がいる」のらしい。
このところ、女子の方から告白するというのが、
『ちゃお』だか『りぼん』だかから、
流行っているらしいのだった。
「じゃ、告白やめたら」と言ったら
「なんで?」と言う。
「だって、あんたじゃなくて他の女子が好きなんでしょ?」
と言ったら、
「あれ? じゃ、何のためなの。告白って」と
まじめに聞くので、
「それは」と、言葉につまった。

『結果オーライを期待するもんだから、じゃないの。
 やっぱり』などと言ってたら、
ちょうどコドモが、
その子が通りかかった!
という意味の仕種を、腕でした。
びっくりした。
いったいどこがいいのか、皆目見当もつかない子なのだ。
「ひでえな!」と瞬時に言うと、
「え?そう?」と言ってた。
ぜんぜん良さがわからない!
親の教育が悪かった、ってやつか。
それとも、この人の謎の『みじめ暮らしごっこ』好きは、
長くこうして続いてしまうのか。
そんなタイプだった。(めちゃ失礼な)

9月2日・土曜日
ラジオに行って、ナレーションに行って、
ドラマ「億万長者と結婚する方法」スタジオロケと、
朝から夜まできびちいスケジュール。
ドラマの待ち時間、藤原紀香さんが、
写真をバシバシ撮っておられ、私も誘ってくださった。
私が「ちょっと待った!」と言って
胸を思いきり“寄せてあげて”から、
「はい、今すぐ撮って!」と言ったら(負けず嫌い)、
なんと藤原さんが「じゃ、私も!」と言って同じ事をした。
意味ないじゃーん! だ。
この人は本当にサッパリした性格で、
やる事、言う事、全部スパ!スパ!と、
音が聞こえるかのようだった。



9月3日・日曜日
こないだ、ディズニーランドに行った時、
ひとつ驚いた事があったので、それを書こうと思います。
と、いうのは、今までの人気の乗り物だと
(例:スペースマウンテン)、
待ち時間を覚悟するのは当たり前だったのに、
こないだ行ったら、
なんと「チケット制」が導入されてて、
たとえば3時にスペースマウンテン前に行ったとすると、
混んでる場合、そこでチケットを切っていただき、
約束の時間、たとえば
『5時から5時半のあいだ』にちゃんと行けば、
スイスイ並ばずに乗れるんですよ!
つまりその余った間は、
どこか他の乗り物にでも乗れるんですよね。
これって『どうやってうまく行ってんだ!』と、
びっくりしました。
きっと、聞けば意外と単純なしくみで、
ものすごく頭のいい人が考案したんでしょうねー。

9月4日・月曜日

ドラマ『億万長者と結婚する方法』
ゲストでスタジオ入り。
ふかわりょうさんと、映画の話をする。
趣味があまりにも噛み合わないので
(ふかわさんは知的もの好きみたい)、
一度ちゃんと、対談なんかで話しませんか?
と言っていた。

ヤノッチと食堂でラーメン。
いったい何回この人と
向かい合ってラーメンをすすったことだろう。
帰宅して、ドラマのことを話し、
オットと二人、かき氷を削って食べながら、
「マルコビッチの穴」をビデオで。

9月5日・火曜日
おかず屋さんの収録で金沢へ。5本録り。
新人の料理の先生が緊張なさってて、
あまりしゃべってくれなかった。
誰でも緊張すると、無口になるし、機嫌も悪くなり、
表情すらモノトーンとなってなくしてしまう。
本当にぜんぶ、『堅く』なるのだ。
本来は明るい人なのに!
なんで人はテレビに出るとか、
人前に立ったりすると、たちまちあがるんだろう。
そして、後になって一人でずしーんと落ち込む。
収録が終わってから、
『今日、お店を休むから……。疲れたよ……』と、
先生が携帯で言ってた声を偶然にも立ち聞きしてしまい、
しみじみ考えた。
この謎について、実感としては、めちゃわかるんだけど、
理由に“これ!”ってのが、
いつまでたっても見つからない。
ディズニーランドの『シンデレラ城』や、
『ジャングルクルーズ』が人気なのも、実はこの
『人前で、うまくしゃべっていられる
 ナマ身の人間の不思議さ』も手伝ってたりして。
 
9月6日・水曜日
『TVあっぷる』ゲスト。
そのあと番組の打ち合わせをし、『なりきり』収録。
めちゃどんどん時間が通り過ぎて行く。
あせる時は、まじめな顔で深呼吸をして、
私ってものを、把握する。
仕方なくやっていないか、
右よおし、左よおし、と鉄道員のように点検するのだ。
そうしてないと、余りに一日が短こうて、短こうて。

帰宅したらコドモ、同級生と『交換日記』をしている、
とは知っていたが、なんと3グループに属しているらしい。
「イラストに忙しい」んだそうだ。ザ・夢中。
トリモトさん、という女の子とめちゃ仲良しで、
その子から電話があると、部屋中ハートが飛び散っている。
最近はその子と図書館に行き、
何かの約束ばかりしている。

2000-09-18-TUE

第165回


9月7日・木曜日


楽しいビバリ−。
ニッポン放送で土曜日も番組をやるようになってから、
すごく短く感じる。
でも、今日の高田文夫さんは、
からかったつもりで、ある御婦人を怒らせてしまい、
『あやまれねえし!』といった風情で、
意外にもかわいい一面をかいま見たカンジだった。
「あやまれない」って感じの心当たりは、
だれしも、誰かに、あるでしょう?

そのあと、『世界の仰天体験スペシャル』収録。
すごいじいさんを見た。
『幼い頃、関東大震災で、たまたま生き残り、
 そのあと「戦争」で、目の前に来た敵に銃を向けられ、
 偶然にも避けた瞬間に、
 背中の槍が相手の目ににささって一命を取りとめ、
 その後、青函連絡船に乗る前日、
 たまたま酒を飲み過ぎて朝行けなくなったら、
 その船がタイタニック以来の沈没事故。
 しばらくして、
 チケットを持ってて乗るはずだった飛行機に、
 偶然乗れなくなり、その便は墜落した。
 後年、宿泊予定だった夜、
 飲み過ぎてホテルにもどれなくなったら、
 赤坂の「ニュージャパン」の火事から、
 たまたま免れていた』
という人物。全部証拠がある。

なのに、そのおじいさんの口から出る言葉が
全部あまりにも淡々としてて、
「こういうもんかも!」と思った。
逆にびっくりした。


ほかにも怖い仰天体験話が!

9月8日・金曜日

顔マネ撮影。
私はいつ、できなくなるんだろう。
今日もできた(?)という不思議。

スタッフみんなでお鮨を食べに行った。
いつも、裏でささえてくれるナカガ−さんには
ホント−に感謝する。
この人こそ、いつも淡々と、
という顔で気持ちよく手伝ってくださる。
そのあと、たのまれてた原稿を書く。
自分で笑った。
ワープロでも手書きでも、
いったん文字にしようとすると、
おもいがけない言葉が出てくるというものだった。

藤井隆さんとメ−ルしてるうち、
今度会いましょう、ということになったが、
なかなかスケジュールがらちがあかない。
電話で話すことになった。


9月9日・土曜日


早朝からラジオ生放送。
そのあと5分ほど電話出演をしたら
『何もシゴト、なし!』
で、この「余裕ある自分」は何をしたいか、
ちょっと考えた。
そしたら『あれと、これと! あれもこれも!』と、
ふだん目を背けてる家事がだあーっと出てきて、
再び目をそらした。
家事は火事だった。いつも火事だ。
目をつむると、自然に鎮火する。自然に鎮火する。
鎮火した。あー、今日もサボる。
いつか、このツケはまわってくるのだろうか。


9月10日・日曜日

福岡で、『熱血!オヤジバトル』収録。
いつも来てくれる女の子の姉妹が、今日も同じ席にいた。
この二人とも、皆より数秒笑うのが早くて、
理解するスピードが早い。
そしてつまらないとシーン。
今日はキッチュさんまで「鋭い二人だなあ」、
と言っていた。

ヤノッチと空港でラーメン。
そのあとソフトクリーム。
機内、キッチュさんのナナメ後ろが私の席で、
また「何を読んでいるのかな」と思ったら
『だまされるな!霊現象』といったようなタイトルで、
ミイラとり、はまってる!と確信した。

2000-09-23-SAT

第166回

9月10日・日曜日

『熱血! オヤジバトル』で、キッチュさんと司会。
ここに出場する素人さんのバンド、全員なんだかかわいい。
ゲストの歌手『シーナ&ザ・ロケッツ』だったんだけど、
さすがは年代の違いなのか、
ヤノッチ、「レモンティー」を聴きながら、
振り付けや服装に『ありゃ!?』という
クエスチョンマークがたくさん頭に浮いていた。
初めて外国人を見た日本人みたいで、
私はおかしくなってしまい、
「そうか、私はカッコいい、と思ってたんだけど、
 やっぱヤノッチには不思議なものって感じか?」
と笑いながら聞くと、そのようだった。
「でも、こういう年代が、ロックをずっと
 やってるんだよ、凄いんだよ」と言うが、
なんとしても服装が『微妙に古い』と、
全部ダイナシのようだった。
逆に『めちゃめちゃ古い服装』の方がまだ、
理解できるみたいなのだ。
思わずもう一度じっくり見た。
『シーナ&ザ・ロケッツ=カッコいい』と
思ってしまう色メガネを、
いつのまにか私もかけていたらしい。
でも、好きだけど。


9月11日・月曜日


『おネプ!』にゲストで(モノマネ)3週分出る。
似てたら恥ずかしい。
似ていない方がまだ救われる。じゃあやるなよ。
メーク室で、皆を鏡ごしに見たら、いかにも
「芸人の部屋でござんす!」という雰囲気だった。
おいしいお弁当で幸せでございました。
そのあと、オットと部屋の掃除。


9月12日・火曜日


テレ朝『日本元気ネットワーク』ゲスト。
司会の渡辺徹さん、実はものすごく私に詳しくて、
びっくりした。意外で、うれしかった。
なんと、ラジオのビバリ−ファンでもあるのだった。
ビバリ−は、出ている側の私もファンだ。
マニアック、と言われる番組は多いようで意外と少ない。
深夜放送もいつのまにか、どれもとてもきれいな内容で、
悪い電波が流れないんだよねー。
こないだは久々に『オールナイトニッポン』を聴いて、
なんてかわいい! と思った。
昔は老けてたんだぞー。

磯野貴理ちゃんと、メ−ル交換。
私はこないだ携帯を買い替えたばっかりなので、
あ、まだそういうヤツ使ってる?
ほほほほと、いばりちらした。


9月13日・水曜日

北海道から“さんま”がたくさん届き、
そのあと“すだち”も徳島から送られてきて、
すごいいいタイミング! と、早めの夕食になった。
「サザエさんの家の夕食みたい」とコドモが言ってたけど、
本当に皿数がアニメみたいにノーマル。
ごはん、味噌汁、魚に納豆。
コドモの好きなおかずの一位は
“ねぎトロ”なんだそうだが、
「もしかしたら、さんまになるかもしれない」と、
まじめな顔で言っていた。
屋上に親子3人で行って立ち話。
夜はとくに落ち着く場所だ。


9月13日・木曜日


名古屋に電話。
豪雨で大変だった家の友達、なのだが、
『それより、たいへんだあっ!! という、
 意外な喜びを押さえるのが大変だった!』と聞いて、
コトミちゃんらしい、と、笑ってしまった。
意外な喜びて。

しかし、まわりを見ても、
「どうやらみんなも、『たいへん!』と言いながら、
 自分と一緒で、喜びを隠している顔!」
と思ったんだそうだ。
そのコトミちゃんの両親は、
雨の中を、わざわざ腰につかりながらのルートで、
銭湯へ行こうとしてたんだそうだ。
お風呂あるのに。

2000-09-29-FRI

第167回

9月14日・木曜日
ウンナンの番組へ、スタジオで。
そのあと、『通販生活』の対談で、
ナンシー関さん、内田春菊さんらと御一緒した。
面白かった。
でも、記事にならないところで面白いのかな。
そのあとナレーション撮りのため、またスタジオへ。
考えてみると、ずうっと陽にあたってない生活だ。
たまに日中外に出ると、それだけでふらふらくる。
たまには甲羅干しせにゃいかんにゃー。

ヤノッチ、帰りの車の中で、
「私みたいな者が言うのも変かもしれないけど、
 きっと、じっくり話せば私とナンシーさんと
 気が合うんじゃないか、なーんて思った」
と、しみじみ言っていた。
本人に聞かせたれ、と思ってメ−ル。


9月15日・金曜日
今日の夕食に、パンとレタスのサラダに、オムレツ、
御中元でいただいた「フォアグラ」を、
わざわざガラスの器に盛ったのと、
同じくいただきものの「ホテルのスープ」を暖めた。
どんどん消化して行かないと古くなるし、たまってしまう。
調理時間15分ほどで完了。
コドモ、フォアグラを見て、
「わー、きれい! モンプチみたーい!」と、言っていた。
笑った。似てる。
モンプチって、猫の餌のくせに、
毎回やたらおいしそうなコマーシャルがあるんだけど、
昔、『あれ、一回食べてみたいねー』と
つぶやいてたことが、親子であったのだった。


9月16日・土曜日
ニッポン放送『はっぴいウイークエンド』生放送。
テレビ信州のイベントで、新宿から塩尻へ電車で移動。
嘉門達夫さんも御一緒。
電車で移動ってすごく楽しい。
ほのぼのと、駅弁をほおばった。
駅弁って、ご飯が冷えてるのに、なんでいつも
お米がおいしいのかしら、と、
じっくり見ながら口に運んだ。
現場には子供たちがいっぱい集まっていた。
夜はなぜかお鮨をごちそうになる。
魚を味わいたいのか、シャリが大事なのか、
私はどっちかと言えば、シャリのための魚、かなあ。


9月17日・日曜日
オットも私もコドモも今日は休み。寝た寝た。
一回起きてはまた寝る。学生時代のようだ。
昼ごろ、コドモが友達と公園へ出ていった。
ますます静か。
オットと洗濯など。

オット、私の水玉もようのハンカチをたたもうとして
『ぎゃっ』という顔だった。
オットは何故か、「水玉が一面にびっちりある」とか、
「自然のものがきちんと精巧に並んでいる図
 (たとえば海の美しい魚の模様)」
という構図に極端に弱い。
本当に気持ち悪くなるんだそうだ。
中学生の頃は理科でまわってきた
『雲母石』のびっちりした模様に、
一人だけ冷や汗がじわーっと流れ出てたんだそうだ。

こういう人は意外と少なくないのか、
私の母親も『ぎっしり』と、
何かが並んでいる構図によくぞっとする。
『やめてえっ!』と、ギャッ、というカンジで
飛ぶように反応する。
野沢直子もそのようで、私のドットタイプ
(ポツポツ穴が空いてる)のジーンズを見ただけで、
『いやああ! その線、怖い!』と叫んでいたことがる。
彼女らは、嫌いというより怖いらしいのだ。
いったいこんなものの、どこがどう気持ちが悪いのか、
笑いを押さえながら聞きまくった。


9月18日・月曜日
車で新橋駅を通過した時、電車の高架下に、
ふと立ちそば屋さんを発見した。
名前が『ポンヌッフ』。笑ってしまった。
そういうお店のカンジじゃないのだ。
いい意味で、
『店の名前にポンヌッフ?
 おいおい冗談やめてくれよな!』
なんていいそうな気取らないお店。
名前をつけられた経過を知りたいところだが、
そこを通過して、五味太郎さんのビデオのナレーションへ。
五味さん、今日もエネルギッシュ!だった。
スターバックスでカプチーノ。
ついでに(誰かにあげてもいいかなー)、
と理由を無理につけながらグラスをふたつ買う。

2000-10-05-THU

第168回

9月19日・火曜日

たくさんのメ−ル、いつもありがとうござんす!
うれしいもんで、今週はめずらしく
それらを御紹介いたします。

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清水様  初めてメールします。
今、試食品無料食べ放題(…失礼しました)の
9月13日を読んで思わず勢いでメールしてます。嬉しくて。
私事ですが、最近腐ることが多くて、
なんとかやっていくのが人生さ。と自らを励ましつつ、
胃が痛い思いで日々を過ごしていたA型人間ですが、
そうなんです。大変なことが、
楽しくないかというとそんなことはなく、
ビッグウェンズデーを待つサーファーのような気持ちで、
どんなことも乗り越えて乗り切っていけるのですよね。
人生が楽しくないはずがない。
楽しむのは本人だ!
ではでは次の試供品を楽しみにしてます。お体大切に。

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と、Yさん(仮名)からいただきました。
けっこう、あれですよね。
職業などは違えど、同じ考えの人は老若男女問わず、
意外と多いっていうか。
別に毎日プラス思考で行こう!
なーんて思わないんだけど、
マイナスな事にスマイリーな顔で向かって行けるってのも、
もっとパンクですよね。髪、誠実に立ってますよね。


9月20日・水曜日

こちらは、ほぼ日の武井さんからだ。

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こんばんわー。ご無沙汰しています、タケイ@ほぼ日です。
いつも楽しい日記ありがとうございます!
明日更新の分も、スタッフ特権で
早く読ませていただきましたっす。
「ポンヌッフ」はフランス語で
「新しい橋」のこと、らしいすよ。
だから新橋にあったのかも……。
でも「ええかげんにせえよ」という感じですね。
ポンヌフの恋人、も、新橋の恋人、じゃあ
どうにもならんです。
それでは、また、更新を楽しみにしております。
お忙しいでしょうが、お体には気をつけてくださいね。

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そうだったのか!
新橋はポンヌッフか。
あの店はそういう店じゃなさそう、と思ったけど、
これでピントが合いました。
(イメージで)おやっさんの顔がうなづいてました。


9月21日・木曜日

こんなに同じ神経感覚の人がいた!

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恐ろしやびっちり模様……。
私が恐いのは、バスケットボールをよく見ると
きっちりならんでるブチブチです。
でも、それより恐いのは、
JR三宮からJR大阪へ向かっている時に
淀川を渡りきる少しまえに見える
製薬会社かなにかのでっかいマークです。
たしかでっかい丸が4つ四角にならんでるのですが、
巨大なタコの吸盤みたいで、
どうしても正視できないほど、恐かったです。
今は遠くに住んでいるので見なくてすむのが、
せめてもの救いです。
清水さんはびっちり模様、恐くないんですねぇ
……なんか、うらやましいです。
それでは、次回も楽しみにしてます!
YOU・B
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やっぱり、嫌いというより、どうやら恐いものなんですね。
ついに、うらやましがられてるし。
次のは短文。

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ぎっしり並んだもの。
パックに詰まっているつまようじのお尻。
ビーズ細工のハンドバッグ。
うちの父が叫ぶものです。
Ide
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叫んでるし。
このように、Ideさんからも、メ−ルをいただきました。
神経を逆なでする物は、人それぞれのようで
同情のしかたすら見当もつかないという。
しかし、いやがらせの仕方だけはすぐに思い付く、という、
複雑な人間社会の構造をここに提言してみました。


9月22日・金曜日

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始めまして!
糸井新聞でここを見つけてメールしています。
私は本州最北端に住んでいる者です。
こんど、ミチコ様が大間にいらっしゃる事を
たいへん楽しみにしているひとりです。
(中略)今頃メールしても間に合わないのでは・・・
とも思ったのですが、いかがでしたでしょうか?
何年前かはすでに定かではないのですが、
そのころは東京に住んでおりまして、
深夜放送だったと思いますが、
TVでユーミンのまねしながら
ピアノをひくあなたを見つけました。
見つけた、と言う表現は適切ではないかもしれませんが、
あまりに新鮮な芸(?)だったので、
おかしさを通り越してびっくりしてしまい、
次の日友達に報告してしまったほどです。
(う〜ん・・年がバレバレになりそうな会話ですが)
あの感動は、笑いながら怒る竹中直人さんを
やはりTVで見つけた時以来です。
あれから、ずいぶん活躍されていますね。
あちらに(東京)いる時は生のステージを
見る機会がありませんでしたが、
まさか田舎に帰ってあなたのステージを見れるとは、
下北もなかなか頑張っているようで、
田舎を愛する者としては、たいへん嬉しく思っています。
こちらは、もうしっかり秋です。
朝夕はずいぶん涼しいですから、
それなりの用意をされていらして下さいね。
実は、私は大間の住民ではなく、お隣の風間浦村の者です。
下風呂温泉と言う良いお風呂がありますから、
お時間がありましたら、寄ってみて下さい。
十月一日を楽しみにしている風間浦のMでした
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これを読んだ時、メ−ルって、本当に便利なんだなあ、
と思いました。ちゃんとすぐに本人に届きますし、
(これを書いてる時はもう遅いんだけど)
しっかりタイムリーなんですよね。やっぱり。
うれしかったです。どうも、ありがとう。


9月23日・土曜日

そして、最近。

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大間町に転勤で来て約一年。
毎日哀しいか、腹の立つことばかりだったのに……。
今初めてここに住んでいていいことが、
それはピアノライブ2000を、みれたこと。
文化的な事は車で3時間かけないと(青森市へいかないと)
体験できなかったのにライブのチケットを買ってから、
幸せの骨頂のビデオで、おさらいし、
何がみれるのかわくわくしてまってました。
(中略)
でも、下北は青森県といっても少し違うので
あっこちゃんは知らない人ばかりですね。
(中略)
リクエストで松任谷由実もどきの
「冬のホテル」をリクエストしたかったのですが、
ここでは目立つと次の日から生きていけなくなるので、
その分思いを込めた拍手はしたつもりです。
こんな遠い遠い所によくぞ来てくださいました。
ありがとうございました。

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あんなに住みよさそうな所なのに、
いろいろあるのかも知れません。
なんか、読みながら恐縮してしまった。
と、今回はいつもいただいてばかりの
メ−ルを御紹介いたしてみました。

2000-10-09-MON

第169回

9月24日・日曜日

藤井隆さん、YOUさんと私の3人で、
めずらしく、深夜食事に行った。
この約束のスケジュールを合わせるのに、
めちゃ日数がかかった。
メ−ルよ、作られてくれてありがとう、だった。
YOUさんお薦めの、代官山のおしゃれなエスニックで、
来る人来る人みんなオシャレ。

そのあとカラオケに行って、あるタレントはうなりまくり、
あるタレントはテンション高く踊りまくり、
あるタレントはモノマネしまくり。
職業はそのまんま趣味なのだった。


9月25日・月曜日

金沢でおかず屋さん4本収録。
お料理番組ってなんか向いてるわあ。楽しかった。
この日は泊まりだったので、せっかくの夕方の開いた時間、
『映画行かない?』とみんなを誘う。
なんとなくオットに電話した。
見たのは『ホワイトアウト』。すごおおい!
でも、カメラマンさんや、音声さん、
マネージャーらと同行したせいか、
『あの雪山ロケだけは行きたくないもんだ』
と口々に言ってた。
それほど凄い。


9月26日・火曜日

おかず屋さん4本収録。
お料理番組って、やってみると確実に太る。
なんでか、というと、番組中にどんなに料理を食べても、
不思議と「食べた!」って気がしなくって、
お昼も待ち遠しくなってしまうのだ。
そうしてるうち、胃が大きくなるのか、
あれ? と思うまに、ばく大な許容量となってるのだ。
空港でもまた食べた。
たった一日で満腹感が、「鈍る」というより、
満腹って「なんだっけ?」となる。


9月27日・水曜日

コドモの友達が遊びに来てて、聞くともなしに聞いてたら、
『今日学校でM君が口走ってた、風俗ってさ』
と言った子がいて、ちょっとびっくりした。
『あれ、たぶん男の人に
 お酒をおしゃくするんだよ、ドレスで』と、
自信たっぷりに言う子もいて、笑ってしまった。

夜、オットと話。
オットの友達(めちゃレコードマニア)が、荻窪の中古店で
松田優作のLPを千円で見つけたそうなのだが、
どれ、と思って聞いてみたら、
『うーん、自分にはあんまりだったかな?』
と、思ったらしく、
インターネットのオークションに初めて出してみたと。

しばらく忘れてて、ふと思い出してページを見てみたら、
すごいせめぎあいの跡があり、
なんと3万円になってたそうで、
深夜、一気に恐くなったらしい。

この、恐くなった、という感情がおもしろいと思った。
放っといた人参が、ふと見たら
にょきにょきにょきー、と伸びていたのを見た時、
めっちゃ気持ち悪かったのを思い出した。

知らないあいだ、という、
時間をかいま見てしまったようなカンジなのかしら。
私が子供の時、久々に会ったおじさんが、
やはり、ぎょっとした顔だった。

『わあっ!! ……ミっちゃん! お、大きくなったねえ!』
と、確かに(こわっ!)という感情を、
隠すような笑顔だった。


9月28日・木曜日

ビバリ−のあと、ろみひ−。中京テレビへ。
一日何も食べてなかった! と、ヤノッチと、
帰りの名古屋駅の中のお店できしめんをいただく。
とにかく、湯気の立つものが食べたかった。
ああ、湯気。
なのに、「あれ、なんだかぬるいな」と思った。

ところが、きしめんをすすりながら、
帰って行くお客さんの姿を見るうち、私は
『そうか!』とひらめき、わかった。
もしかしたら、駅のお店の麺は『早く食べられるように』
わざわざぬるく作ってあるんじゃないか! と!
さっそくヤノッチに早口で報告。
ヤノッチ、『ぬるくないすけど』と、ゆっくりすすっていた。
感心しろよおおおお!!!


9月29日・金曜日

『内村プロデュース』ゲストで。
バスの中で、ふかわりょうさん、
『クラブ(語尾↑)で、DJをやってる』んだそうで、
その話を聞いてるだけで、イライラした。
『もうたまらん! むかつく!』と言ったら
『だろ?』と、笑うウッチャン。

しかもクラブでは、ふかわりょう、なのではなく、
別のネームで行動してるんだそうだ。
ああ、名前忘れた!
そのあともゴルフの話、慶応の話、
家にトイレ4つある話、家族で音楽演奏する、と、
まるであっちも楽しむかのように、
私の顔色を見ながらイヤな話をどんどんしてくれた。
いつか私も、ふかわさんのお宅にお邪魔して、
笑顔で糞尿まきちらかしたくなった。


9月30日・土曜日

早朝から生放送。帰りのタクシーでクッと仮眠。
毎週、これがとても楽しみ。
数分なのに、体が軽くなっている。

なのに、この日の運転手さんが、
たまたまテレビにも出たというユニークな人で、
『家族のファイル(妻多し)』
『生活のアイデア・ファイル』
『愛犬のファイル』を片手間にどんどん見せ、
また私も『あら!』『へえ!』などと驚くもんだから、
ヤノッチにひじで突かれた。
本当にだんだん運転があやしくなってきて、
バスからクラクションが響いてたのだ。
でも、いきなり感心がなくなるのもおかしいし、
極力じょじょに返事のテンションを低下させた。

2000-10-11-WED

 

第170回

10月1日・日曜日

下北半島で、お呼ばれライブ。よく私を呼んでくれた。
本当に下北半島って、個人的に行きたかったところなので、
話をいただいてからというもの、めちゃ楽しみだった。
でも、どんなにここが好きか、と話すんだけど、
(またまた気を使って!)みたいな空気。
ホントなんだよー!
帰る時間はたっぷりあったんだけど、個人的に宿泊希望。
明日はいよいよ『一回渡ってみたかった』、
青函トンネルをくぐるのよー。

10月2日・月曜日

青函トンネルをくぐり、函館へ。
地図を見ながら(今、私はここにいるんだ!)と
確認しながら。
実は私は、この本州から北海道へとくぐる時間帯が、
(そりゃ、18時間はかかる)なのか、
(んなもな、30分さ)なのかよく知らなかった。
これが、2時間くらいなんですよ!
感動的にトンネルを抜けて到着した時は、
(あれっ!もっと車内のお客がなんだか盛り上がる!
もんかと思ってた)のに、みんな冷静。普通。
耳にずーっと残る北島三郎の名曲が、なんだか
(今どき、はるばる来た、でもないワケ)と、
言われたみたいで、もう一回(本当に冷静なのか?)と、
周囲をさりげなく見渡した。
めちゃ冷静ね。おいしいものをたくさん食べた。

10月3日・火曜日

逆巻く海を乗り越えて帰宅。
あとはおぼろと言いながら、
塩吹く仕事を片っ端からかたつけた。
夕食にはおみやげのアスパラを添えた。
コドモ、呼び出されたばあちゃんと私の3人で食事。

10月4日・水曜日

「氷の家族」ロケ。
待ち時間?ヤノッチが持ってきてくれた
パソコンをいじって遊んだ。
メ−ルチェックしたら、やたらきててびっくりした。
嬉しくなってどんどん読んだ。
下北のお客さんをはじめ、
皆さん、いつもどうもありがとうね!
帰宅したら久々に大橋君たち3人が家に来てた。
『ハイ、変な顔してー』と言って
デジカメで写真を撮ったら、本当にまじめに変な顔で、
みんなそれを見てはゲラゲラ笑っていた。大橋君、
『さー、今日はいったい誰になりきりたいのかなー?』
(なりきりシンガーズでの私のセリフ)を、
私の顔をチラチラ見ながら言って、
またみんなで笑っていた。ヤメロー。
そのあと、全員でマンガタイムとなったらしく、
集中ってカンジで、あとはただ、
お菓子をポリポリ食べる音だけが部屋に響いた。
この人らは、それぞれ毎月違うマンガを
一人一冊買っており、それを交換して読んでるらしい。

10月5日・木曜日

ビバリ−(今月からオープニングの部分がニッポン放送の
インターネットでも聞けるようになったんですって。
よろしくね。)そしてドラマロケ。
オリンピック、というスーパーでの2シーン。
なんちゅう安さか!と目を疑った。
洋服って、いったいどうなってるんですかね。
ハンカチみたいな値段で、ジャケットまで売られてるんだ。
ってことは、噂のドン・キホーテというところは、
もっと凄いワケ?それにしても、あんまり安いと、
何が欲しいのかわかんなくなるもんだった。往生した。

2000-10-17-TUE

第171回

10月6日・金曜日

仕事をして、帰宅。私はこの繰り返し、ってのが
日常だけれど、よく人に言われるほど、
疲れる、なんてことがほとんどない。
むしろ、
(もしもこういう仕事につけてなかったら)、と思うと、
きっと、ほとんど変人に近かったんじゃないか、と、
想像するだけで自分が恐くなる。
何かで捕まった犯人って、こういう人が多かったりして。
すごく紙一重なんですよね。
だから犯罪記事って、読むとずーんとくる。
また、どの人も、どうも、
(エネルギー処理に困った)ってな顔しておられる。
ただ、子供に関係するのだけは、どうしても憎んでしまう。
感情的にこみ上げてきて、読まない、
聞かない、のではなく、むしろものすごく執着している。
ストレスは、常に弱いものへ、弱いものへと
発散されがちのようだ。
でもされる側はいつか、絶対に何らかの、
微妙な形で報復するような。


10月7日・土曜日

LF生放送。終わって、家にいたら、
学校の担任の先生から電話がかかってきた。
『すみません! お子さんの口を、傷つけてしまいました!』
という。話を聞くと、
『放課後、ふざけて、とんねるずのナンとかっていうワザを
 ちょっとやってみたら、唇にひじが当たってしまった』
のだそうで、恐縮なさっていた。
単なる口の切り傷らしく、
全く心配することなどなさそうだった。
これだけ皆と一緒になって遊んでくれる先生もめずらしい。
本当にいい先生に恵まれていること。
今の子供って、悪い事ばかりじゃない。
コドモが帰宅し、どれ、見せてごらん、と見たら、
本当にかすり傷で、こんな事でも
『おわびの電話』をしなきゃいけなくなった、
教師という職業も、タイヘンだなあ、と思った。


10月8日・日曜日

事務所のしっかり者の中川さんの話。
中川さんの姫路の実家の御両親のところに、
『ちょっと屋根の点検を、、』と、男性2人が訪ねてきて、
家にあがったらしい。
屋根を見ながらしばらくして、
『これじゃ、屋根が大変なことになる!』ってな事を
言い、修理する旨の印鑑を押させてしまった。
両親はのんびりした性格なのだが、ずうっとあとになって、
あれ? おかしいな、ってんで、
電話を受けた長女の中川さんは緊急に帰宅し、
その二人を呼び出し、かけあったんだそうだ。
舌打ちされたり、嘆かれたり、おどされたり、
最後はののしられたりしたらしいのだが、
なんとか破棄できたそうだ。
(とにかく冷静に話を)、と頑張ったらしいのだが、
あとになって落ち着いてから、にわかに恐怖がやってきた!
と言っていた。えらい。


10月9日・月曜日

テレビにゲストで出て、
そのあと打ち合わせへ2箇所行って、雑誌の対談、
原稿2本、と混み合った一日。
友達から絵はがきがきてて、うれしかった。
夜、テレビで『サインはV!』の映画版をやってて、
コドモがそれ見て「古ーい!」と、
宿題をやりながら笑ってた。
どうして、コドモって、
いつも居間で勉強するのが好きなのかな。
他の子もそうみたい。私もそうだったけど。
小学生には、ちいとも『学習机』なんて
いらないもんですね。
あれって実は、親が記念に欲しいんですよね。


10月10日・火曜日

今週の最後は、印象に残ったメ−ルを御紹介します。
なんか、ホントにしょうもない事なんですけど・・・・、
というsubjectで、
『ミチコさんの日記で、ビバリーってかならず
 木曜日に出てきますよね? 私は随分永いこと、
 とんでもない間違えをしてきたようです。
 ビバリーって、ビバヒルの事だと信じきっていました。
 ビバヒル・・・、それは勿論、アメリカのリッチな
 男女グループの波瀾に満ちた日常を描いた、アレです。
 ミチコさんの日記に、「楽しいビバリー」とか
 「愉快なビバリー」の表記が出るたびに、
 (あーホントに好きなんだなー)とかなりのん気に
 思っていたモノでした。
 普段、ラジオはメッキリ聞かなくなっていたので、
 こんな事態に陥ったものと思われます。
 本当にゴメンナサイ。
 謝るのも変ですが、謝らせて下さい。明後日、聴きます。
 頑張って下さい。
 *ビバヒルは、BSで木曜日に放送しているんです…。』

そんな誤解があったとは。
失礼しました! ドラマは一回も見たことないです。
おもしろいんだそうですね。
どうも、ありがとうございました。

2000-10-28-SAT

第172回

10月11日・水曜日

気持ちよかった仕事のあと、
みんなでお鮨を食べに行こうということになった。
そしたらいつも行ってる下北沢のお店が混んでて、
でもおなかぺこぺこだしー、と、迷い、
ま、そのへんでいっか、と、
ぶらりと入ってみた店がきつかったー!!

カウンター、なんか水でやたらとベタベタしてて、
お鮨、妙にでっかい! 嬉しくない大きさ!
シャリの一粒までがでっかい気がした。
しかし、一番困ったのは、御主人さんで、ずうっと
『身体の調子悪いんだ、
 多分悪い病気にかかってると思ってさー』
なんて、握りながらお客さんと話してるのだー。
同情しにくいわ!
ちょこっとだけ食べて、ほかのお店に移動した。
とにかく寿司屋さんは健康第一がモットーでいてくれ!
あと、ここで感じたんだけど、お寿司屋さんだけは、
看板(ロゴ)がいいと、なんかおいしいお店のようだ。
そうでないと、そうでもないようだ。


10月12日・木曜日

(ラジオの方の)楽しいビバリ−。
そのあとエステ1時間。がんばれ、皮膚よ。
夕方、コドモ、スイミングから帰ってきて、
100メートルでの合格点をもらったらしく、
しゃべるしゃべる。まぶしいのう。
そのあと一緒にお風呂に入り、
コドモの好きな歌(愛をください)を歌いながら
背中を流しあう。
菅野美穂の一生懸命な歌い方のマネしたら、
やめろー、汚すなー、だった。
それにしてもこの人はいつまで一緒に入る気なのかしら。


10月13日・金曜日

平野レミさんと雑誌で御一緒。
たくさん(へえ!)という話が聞けて、
(書けないのが残念)楽しい3時間だった。
そのあと、早稲田のマスコミ研究会の取材。
昔は大学生っつったら、
みんなおっさんに見えたもんだけど、今は若いなあ。
幼いくらいだ。
これは私が年をとったから、ってだけじゃないような。
本当に人類は若くなってる、確実、と、思った。
そのあと通販生活の取材と、『いろもん』の打ち合わせ。
オットもヘトヘトで帰ってきた。
でもギリギリ3人で夕食。
いつもギリギリで間に合ってる生活。


10月14日・土曜日

朝から生放送。
座ってしゃべるってだけなのに、
今日は放送が終わってから疲れてた。でも放送はセーフ。
そのあと西条昇君に頼まれてた、調布でのミニライブ。
西条君、いつもニコニコと活気があるので、
このパワーを見習おう、と、
本番前に祈るかのように思った。


10月15日・日曜日

関西の番組のロケ。さすが食い倒れの街。
まずいもんは存在しないんじゃないかって思うくらい、
おいしいものがいっぱいだった。
ロケだからおいしいお店をチョイスされた、
ってんじゃなく、店の『味の歴史が違うねん』、
そんな感じ。
でも、一緒に行ったタレントさん、
本当に芸能人してて、けっこう年輩のお店の人に
(タダで食わせてもらうだ、っちゅーに)
器の磨き方などに、いっぱしのクレームなんかつけるんで、
ヒヤヒヤした。
まずは人間の器!
レッツ器!

2000-10-30-MON

第173回

10月16日・月曜日
大阪の事は何も知らなかったんだなー。
味わいのある街だなー。と、しみじみ。
いつも駅とスタジオの往復だけなので、
こうしてロケがあると、
市内のいろんなところに行けるので、
(しかも今回は自転車で)ありがたい。

ところで、ご一緒したタレントさん、
プロレスが好きなのだそうで、
何の気なしに「どういうところがいいの?」と聞いたら、
「終わりのないドラマだから」と、
これもなんとなく、という答え方で返ってきた。
プロレスファンはいつも
美的文体で答えが返ってくるから話が面白い。

事務所の中川さんは巨人ファンなんだけど、
理由はとてもあっさりしてて、
「長島さんの笑顔が見たいから」だったっけ。
なんてことを考えながら、
路地裏にあるお肉屋さんで、コロッケを食べた。
コロッケ、お皿の上にある時はソースが絶対必要なのに、
ハンディだと一滴もいらなくなる。


10月17日・火曜日

近畿大学に行って、学園祭。
すごい大きなホールで、びっくりした。豪華だった。
学生諸君よ、ありがとう。
そのあと、新幹線に乗ってロンブードラゴンの収録へ。
大阪〜東京の新幹線って、2時間半くらいなんだけど、
(今って北海道でも飛行機で1時間だしー)
結構ゆっくりできて、一人になるのにちょうどいいのよね。
この時間に、きっといろんな芸人が
何かを考えながら乗ったのかなあ、
あの人、この人、とメークを落としながら思った。
しまった、落とす必要なかったんじゃないか!
で、都内のスタジオでまたメークして、
ロンブーさんらと会うなりやたらしゃべる。
ドラマで忙しいらしい、でも、幸せそう。


10月18日・水曜日

ウンナンの気分は上々。
TAKE2さんと、楽屋で大瀧詠一さんの話。
大瀧さんは、ビバリーのリスナーでおられるので、
ちょっとした噂が、出ている人みんなの励みになっている。
東さんは“A面で恋をして”の替え歌を
どこかで誉めてもらってたらしいんだそうだ。
定かではないけどサ、と言っていた。
ヤノッチは会うなり、
「おまえはスヌーピーのマンガに出ている男の子か!」
と、言われてた。
確かに。


10月19日・木曜日

ビバリーに出て、メレンゲのナレーションに行って、
「いろもん」ゲストへ。
「これまで番組に出演された人々」の紙を見てたら、
ひえー。
おまえはカミニストか、ってくらい噛んじゃってんの。
でも、楽しかった。
津多屋、というところのお弁当をいただく。
なんだか1日中、どなたかと笑いあってたみたいで、
よく眠れた。


10月20日・金曜日

個人面談。
お子さんは、変わりました。
そういう意思があって変わったようです。
だんだん男の子に見えてくるのは
錯覚ではなかったのだった。
そのあと、その地味な格好のまま、
「吉本ばかな」打ち合わせに出る。
夜、オットと地味な話などをする。
秋よのう。

2000-11-04-SAT

第174回

10月21日・土曜日

小林克也・清水ミチコの
「ハッピイウイークエンド」ラジオ生放送。
ラジオって好きだなあ。
ところで、こないだ、ついにアイモードを買ったんだけど、
これってすごい便利だと思いましたね、私は。
足で行かねばならなかった郵便局と銀行が、
家にあって、片手に持てるんですよー。
しょっちゅピッピと鳴らしております。
でも今日は、シャキーンとアンテナ立てたら、
「自慢モード入ってるっしょ!」と言われてしまった。
そんなつもりじゃ……。


10月22日・日曜日

シゴト帰りに、夫婦で友達の家へ「赤ちゃん見」に。
あー、かわいいこと。
他に表現方法はないのかってくらいに、
ただただかわいいとしか思いつかなかった。
若い頃は赤ちゃんを見てもただの「かわいい」(淡白)
だったのに、今は本当に「かわいい」(濃厚)。

その、お母さんになった友達が言うには
「赤ちゃんができてわかったこと。
 1・赤ちゃんを見て、男の子か女の子か
 判断できない場合は、必ず女の子ですか? と聞く。
 2・赤ちゃんを見て、3ヶ月くらいかな?
 と思った時は「6ヶ月くらいですか?」と、多めに聞く。
 母親は“小さく見られた!”、と思っただけで、
 いきなりブルーになる人もいるんだよねー」
ですってさ。
ただ、大人にはその逆で、
「いくつに見える?」と、聞かれて30歳くらいか?
と思ったら5くらい引いて「25歳?」と、
即座に答えるそうである。

「このコ、泣いても“とんぼのメガネ”を歌うと
 すぐ泣き止んじゃう、音感がいいらしい」と言ってて、
親バカだねー、なんて言ってたんだけど、
泣いた時、私が“とんぼのメガネ”を歌ってみたら、
本当に泣き止んで(というか止まった)、
日本の旋律音階の歴史の深さを感じた。
なんか、ゆっくり歌ってみると、
逆に絶望的に泣けるようなフシまわしなのにねえ。


10月23日・月曜日
天才てれびくん収録。
一人、いつも文庫本を隠し持っている、
まさに本好きな小学生がいるんだけど、
「今日は何を読んどるかね?」と聞いたら、
「ハリーポッター。これ最高」なのだそうだ。
私、途中でダメだったー、投げちゃったー。
と言ったら、こういうファンタジーは
初めにゆっくり読むといい、との事。
なんてステキな子供さん。
こないだ大阪で仕事したよ、と言ったら、
「ナンコーさんの番組? ナンコーさんはな、
 あの人にはな、芸があるねん。
 そんでな、いばらへんねん。
 せやから、めちゃ好きや」言うとった。
 

10月24日・火曜日
札幌で、NHKの番組の収録。
広大な敷地で、ジャガイモの研究を
ずうっとなさっておられる先生とご一緒した。
鼻毛がロンゲ。
でもとても(ジャガイモとともに)
人生を楽しんでおられる、という感じがするお人柄で、
お会いできたのが役得でした。

なんと、
「ジャガイモの一番おいしい食べ方は、
 いろいろ試した結果、レンジでチン」なのだそうだ。
1個100グラムとして、2分弱加熱するのが一番、
と自信を持って言っておられ、
ものすごくやってみたくなった。
水もいらない、泥だけ洗えば、フタしたレンジでチン。
実際、バターをつけていただいてみたら、
本当にホクホクとしてて、感動的においしかった。
皆さん、ぜひやってみてください。
レンジでイモチン。
めちゃ主婦の味方じゃないですか。


10月25日・水曜日
オット、打ち合わせに行くため新宿を歩いてたら、
数秒ではあるが、ある女性に目が釘付けになったらしい。
それは、「ほぼ日バッグ(黒)」を持ってた、
サッサカ歩く20代らしき女性で、親近感と、確認と、
興味などで、とにかく見いった、のだそうだ。
わかる気がした。
といって、ここにちょっとした閉鎖性が出ると
イヤなんだけど、ま、見つけるとなんだか嬉しいよねー。
お前もか、みたいな。

私がめちゃ気に入って使ってるのは、
スケルトンっぽいミニバッグで、
これって財布からアイモードから、
取り出しやすくって、入れやすい。
しかも堅いから、自分のバッグに入れても
いつも「シャン!」と立って待っててくれてるんですよね。
サルの表情が、特にいじらしか。

2000-11-07-TUE

第175回

10月27日・金曜日
たまにゃあ、と腕をふるって、おやつに
キッシュロレーヌを焼こうとした。

素材を用意し終わったところで、玄関のピンポンが鳴り、
コドモと、コドモの友だちのゆりちゃんが家にやってきた。
ゆりちゃん、かわいい顔とかわいい声で、
「このあいだ、作ってくれた、いちじくジャムのついた
 ホットケーキがとてもおいしかったです」
なーんて言うので、
どりゃ、と、それを先に作ってやった。

そして、夕方、キッシュも
オーブンからうまいこと焼けて出てきた。
トマトとほうれんそうのキッシュ。
でも、夕食にはもの足りなかったので、
「秋のしめじのピザ」も電話でオーダーして、
待つあいだにサラダなどを作った。
丸いものばっかり食べた。


10月28日・土曜日
朝、
ラジオ『はっぴいウイークエンド』に出て、
渡辺徹さんとメール。
昼、
本屋さんで、吉本隆明さんの一冊を買う。
そのあと、顔マネ写真(扇千景)を撮り、夫と部屋の掃除。
夜、
ヘッドフォンで矢野顕子さんの新譜CDを聴く。
こっちの「さすらい」もいいなあ。


10月29日・日曜日
横断歩道を渡ったところで、
駐車場の警備(?)をしているらしきおじさんに
ニコニコと声をかけられた。
『きのう、俺サ、はっぴいウイークエンドに、
 リクエストを出したところだったんだよ!
 たまには読んでよ!』
とのことで、なんだかめちゃ嬉しかった。
そのまま街中が輝いて見えてくる。
おお。

歩きながら5人分の声の「さすらい」を
パート分けしながら小さな声で歌った。
気持ちだけはよく似ている。


10月30日・月曜日
朝、心をしーんと静かにさせて、一日を始めた。
気持ちはゆっくりするのだー。

日テレに行って、「吉本ばかな」にゲスト。
若手4組らと御一緒。
それにしても、芸人なのに、なんていい子ばっかりなんだ。
そもそも性格の悪い人が最近少なくなった気がする。
あと、恐いような雰囲気の人もだんだんいなくなった。

そのあと、遅刻セーフで、関口宏さんの「本パラ」へ。
楽屋に行って、柴田理恵さんらと立ち話。
ふと橋田壽賀子さんと目が合ったので、
ひょいと会釈したら、
「この方、うまいのよね。私の顔マネ」と、
軽く言われ、あせった。
あ! しまった! やったんだった!
と、瞬間思い出し、
「し、失礼な文章じゃなかったか……?」
と、心当たりをチェック。
心当たり、思いっきりあった。
しかし、何も知らない柴田さんの発言のおかげで
話題はすぐペットとなり、橋田先生が
「家のコ(犬)の写真よ。」
といって、写真をお見せくださったので、
「さすが違う! 毛並みが違う!」などと、
自然発生的にテンションをあげていた。
なかなか、気持ちだけはのんびりと、とはいかないものだ。


10月31日・火曜日
大阪へ。
番組が終わったあと、マネージャー、ヤノッチと
「せっかくだから、お好み焼きを食べて帰ろうよ、
 事務所のスタッフへのおみやげも焼いてもらうべ」と、
大きなバッグを持ちつつ、テレビ局の近所を歩いた。

しかし、なかなか見つからない。
やっと見つけたお店で、二人で
「(お好み焼きの)ネギ焼き2枚ください。
 お持ち帰りのネギ焼きも3枚!」と、まず注文。
ところが、これが食べてみたらえらくまずい。
めちゃくちゃ粉っぽいのが、妙にこってり舌に残るのだ。
お粉焼きなのだ。
まるで、
「あんたらな、お好み焼きなら
 どこでもうまい思っとったらあかんで!」と、
言われたようだった。
まずかったねえ! 楽しみだったのにねー!
と、帰りのタクシーの中、
ヤノッチと言いながら、笑えてきた。
まずいと、不思議とおかしいものだ。

2000-11-14-TUE

第176回

11月1日・水曜日
コドモのプール教室に見学に行った。
ガラス窓を隔てて、ただ泳いでる、というだけの図なのに、
その姿を見たら、すっかり感動してしまった。
どんないい成績や、やさしい言葉をもらうより、
この、ただ「のびのびとしてるだけの姿」に、
親はいちばん『くる』かもしれない、と思った。
思えば、マネージャー・ヤノッチは、かつて、
スポーツ選手になってたほどの体育系優良児だったはずで、
もうすでに親孝行ってものを、知らず知らずのうちに
はずみでしてきたに違いないなー、って
明日言おう、とも思った。
たぶん本人はそれをわかっていない。
もう、コドモを尊敬(?)してしまうかのようだった。
帰ってきて、背後から抱きしめようとしたら、
「手を振るな、って言ったじゃん」
と、言われた。


11月2日・木曜日
ラジオとテレビ。帰宅。
コドモが「国語の教科書にいい話があるんだよー」
というので、ソファーに寝転んで読んだ。
宮沢賢治ってすごーい。
クラムボンって、ここからつけられた
バンド名なんですかな。

このあいだ国民栄誉賞を取られた
高橋尚子さんのお父様が、
「この子に名前をつける時、
 まわりに尚子、とつけられた子に、
 いい性格なのが多かったので」と、
インタビューでおっしゃっていたのが、
なんだか印象的だったんだけど、
男版では“治”という字がついた方にも
凄い人が多いような、なんて気がした。
橋本、王、清水(←昔の私の担任)。


11月3日・金曜日
関西大学の学園祭へ。
今年はよく大阪に足を運ぶなあ。
この大学では、いろいろ芸のある生徒が
順にステージに出てきてくれた。
さすが! と思った。
東京だと「芸やるの、恥ずかしい」みたいな人が多い。
そういうところは好きだけど、
おおらかな人を見ると、やっぱり気持ちがいい。
うまいとか下手とか考えないで、
ステージで本人が気持ちよさそうだと、それだけで充分。
人間は景色だねえ、なんて思えた。


11月4日・土曜日
「はっぴいウイークエンド」生放送。
帰宅して部屋を掃除。
私の部屋って、最近なんだか、
そーっと死んでいる気がした。
「寝るのみ!」なんだもん。
どうせ、俺タチはサ……、なんて、
家具やピアノがつぶやいてるみたいだった。
ちょっと手や目をかけてなかっただけで、こうだ。
それにしても、ホコリ。どこから出るんだ。
あの白い布がちょっとづつ
“愛されてない証拠”を家具にささやくかのようだ。
ダスキン10枚くらい使った。


11月5日・日曜日
愛知県立大学へ。
タクシーから降りたら、なんだかちょっと様子がおかしい。
生徒が冷たいっていうか、迎える気がないっていうか。
しかし、よく見たら今いるのが
「愛知県立芸大」だったことがわかり、
『ここじゃねえぞー!』と、慌ててタクシーにコールした。
でも、学祭は楽しかった。
のびのびと明るい生徒さんばっかりで、
最近の学生について、
という内容で頼まれていたエッセイを、
今日の雰囲気と、大阪とを思い出しながら、
新幹線の中でささーっと書けた。

2000-11-18-SAT

第177回

11月6日・月曜日
日テレの料理番組4本撮り。
メイクもそのままに、ぱたぱたと
ネプチューンの深夜番組へ。
パタパタママだ。
徳光さんとメイク室で会い、鏡越しに、久々に会話した。
徳光さんは、
「会話の最後に、必ずその本人をさっとほめて去る」、
という会話術をお持ちのよう。
別れ際、嬉しくて口角がつい上がっていた。しまった。
誰もが、言葉で生きている、のかしら。


11月7日・火曜日
日テレ「プラス1・α」へ。
ラーメンの麺打ち達人の横で、麺を打った。
粉だらけになりつつも、ふと、
「蕎麦にしても、ラーメンにしても、
 実践で麺を打ちたがるのは男性に多い。
 なんでなんだろう」と、思った。
麺を打ちながら、喜び輝く女性料理人って、
あんまり、見ないような。
そして、男性は打つ!ことに、
ものすごく喜びがあるような。


11月8日・水曜日
本番前に携帯が鳴った。
いきなり女性のかーわいい声で
「……みっこちゃあん?」とゆったり言う。
私も名前がみっこちゃん、の一種なので、
「うん!」と言うと、
「本当に、みっこちゃん? 声の感じが違うんだけど」
というので、
「あのね。みっこちゃん、っていうより、
 よくミッちゃんと呼ばれてる、清水ミチコなんだけどー」
と、こちらも口調を合わせて言ったら、
「ひえー、間違えたー、すみません!」
と、とっちらかっていた様子。
あなたはどちら様?
と聞いたら
「タレントのちはるですー。すみません!」だった。
寝起きってカンジだったのが、
まちがい電話で(絶対)今起きた! というトーンだった。
めちゃかわいい声だった。

夕方、東京駅から自宅に帰ろうとしたら、
道路はすごい報道陣で、ヘリも飛んでた。
車の中のテレビをつけたら、
「重信容疑者発見、逮捕、大変」だそうで、
私の車もいながらにして小さくテレビに写ってた。
なんだか興奮して、知人に
「テレビ、4、つけてみて! 早く! 緑のBM!」と、
早口で。
テレビに出る、のと、たまたま映る、のでは大違い。


11月9日・木曜日
ビバリー、メレンゲ、打ち合わせ、天才てれびくん。
今月は一日たりとも休みがないのだー。
帰宅したら、コドモは、友だちと、
その友だちのお母さんと3人で、
映画「世にも奇妙な物語」に
連れていってもらってたのだそうだ。
1本目が恐かったー、と興奮して言い、
夜になったら「今日は一緒に寝てくれない?」とのことで、
めちゃ久しぶりにコドモの顔をアップで
じろじろ見つめながら会話して寝た。
ここは私似、ここは夫似、ここはオリジナル、と見てたら
「話、ちゃんと聞いてる?」と聞かれた。


11月10日・金曜日
実践女子大で学園祭。
小さいころの写真やら、最近の写真まで、
いろいろ準備してくれてて、こっちが驚いた。
そのうちバッグの中身を見せて下さい、なんて展開になり、
バッグから出てきた本は「相撲はこう見る」。
スポーツ音痴なんで、ちいたあ知っておこう、
なんて思ってたんだけど、
ものすごく、ださかったのではないか。
もっと“見栄えのいい”本も読んでたのにー。

2000-11-28-TUE

第178回

11月11日・土曜日
ニッポン放送の終了後、飛び出しで三軒茶屋に向かい、
昭和女子大で、学園祭。
めちゃ盛り上がって、なんだかやたら楽しかったなー。
「小沢征爾ルーム」と言われている豪華な部屋も、
今日だけは私の楽屋と化し、着替えとメイク。
途中で、中川さんが顔を出した。
「このまま帰りに下北沢まで歩いて
 温水洋一さんのお芝居を見に行く」らしい。
いーなー。
中川さんのこの余裕が好きだ。

そのあと、事務所で取材ひとつと、
今度出るクイズ番組の打ち合わせ。
もし、1000万円もらっちゃったら! と、いろいろ考え、
「スタッフと国内旅行!」と言い、
「清水さんは、なんてやさしい!」と、
スタッフに言われるかと思ったら、
「海外じゃないのお?」で、
フン、と思い、結局
「やっぱ、スタインウエイのピアノ!」と言った。
もらいもせんうちに仲間割れしてどうする。


11月12日・日曜日
北里大学で学園祭。
とてもきれいな大学で、ここだったら、その場合には
ぜひ入院したくなるような環境だ。

ここでは、トークのみ、という形だったけど、
生徒さんから、気の効いた言い方で
モノマネのリクエストをいただき、笑ってしまった。
なんだかシンパシーを感じた。いい学生さんだ。
帰りにスタッフ3人で食事。コドモも参加。
明日が早いので、寝るぞ!
と思うとかえって寝られず。


11月13日・月曜日
早朝から眠さと戦い、寒さに勝ち、
セリフ覚えに負けたりしながら、
CSの『氷の家族』ロケ。
帰宅したら、テレビを見てたコドモに
「すっとこどっこい、ってさあ、どういう意味なの?」
と聞かれ、言葉につまり、
二人で辞書を引くが、載っておらず。
「辞書のクセに載せてないような状態のことが、
 すっとこどっこいだよ」
と、勝手に結論を出す。
ひょっとこ、みたいな顔をイメージしながら。


11月14日・火曜日
今日も今日とてロケの一日。
朝、ヤノッチが用意してくれてた、
熱いコーヒーと、足のホカロンがありがたい。
私は冬の方が人に感謝できるようだ。寒がりの長所。
あいまに原稿。
自我を捨てる、自意識を抑える、
まわりと溶ける、ほら溶けた、
なーんて個人的に「自我捨て」の練習を兼ねて本番。
こういう練習が、ふだんも当たり前のことになるといいな。


11月15日・水曜日
ドラマ「はみだし刑事」衣装合わせ。
撮影所の雰囲気が古くてカッコよかった。
衣装もうまい具合にセンスが古いが。

長いセリフが多いので、台本を大きくコピーして、
トイレなどに貼った。
オットにつきあってもらって本読みの練習する。
『途中でそうやって照れないで、
 コントだと思ってやればあ?』と言われ、
そうやってみる。
めちゃよそいきの言葉なんだもん。
顔が赤くなる気がするんですね。
こここそ自我を捨てる場所。
コドモまでつきあい出し、3人とも下手なりに頑張った。

2000-12-01-FRI

第179回

11月16日・木曜日
(ラジオの)ビバリー昼ズ。
BSデジタル放送の番組で、越前屋俵太さんと御一緒する。
『今、いろんな人にお願いしてんだけど、
 このアンケート答えてくれる? ざっとでいいから』
と、言われ、どれどれ、と見てみたら、
『インパク』のアンケートだった。幅広いわねえ。
帰りに、青山を車で通ったら、
建築現場にコシノジュンコさん発見! おばにそっくり!


11月17日・金曜日
CXの番組へ。
帰りに2階の社員食堂に行ったら、
『めずらしいですね』と、
ニュースの福井さんに声をかけられた。
『スターはこんなところ来ないからね』
なーんて言ってたら、浅野ゆう子さん登場で、
『ってことはないからね』と言い、二人で笑った。
寒い季節だ、近場が一番。
帰りにスターバックスでカプチーノを買って飲む。
この泡を一度最後まで全部すっかり飲んでみたいものだ。
ストローとかないと、絶対無理なのかしら、
いっつも半分以上、泡を残してしまうわあ、
といろんな方向に傾けて飲んでみた。


11月18日・土曜日
はっぴいウイークエンド生放送。
そのあと、テレビタックルへ。
たけしさんの頭につい突っ込んだら、
萩本欽一さんの時のように、
あとでまわりから驚かれていた。
えー? やっぱりどこか鈍いのかなあ。
いや、まちがってないぞ、なんて思えたけれど。
まあ、自分の判断に責任を持ちますね。


11月19日・日曜日
豊橋でイベントへ。
途中でエレピの音が謎のように消えてしまった。
私は、よく電気のものをピタッ、と
壊してしまう電磁波があるようだ。
嘘みたいだけど、ホント。
テレビ局でも、よく音声さんが、
なぜか音が聞こえなくなった、あるいは映像が故障、
なんてことがけっこうあるんですよね。
でもこういう人って、意外とたくさんいるんだって。
さわっただけで、洗濯機が壊れたり、
テレビが映らなくなったりって人。
ウチでは、もう驚かなくなってきてしまっている。
すぐ直るんだけどね。
人間って、ホントに電気を通してるもんなんだなあと
実感するのは、こういう時です。


11月20日・月曜日
おかず屋さんへ。
そのあと、クイズミリオネア。
待っててくれた友だち仲間にお礼を言い、
帰宅して、夫の料理を食べる。
このところ、
『じゃがいもをチンしてバターで食べる』のにハマって、
しょっちゅうやってたんだけど、今日は
『カリフラワーを、一口サイズに切らずに、
 洗っただけでチンしてみた』、
という男の料理で、笑った。
でかすぎだろうて。

2000-12-08-FRI

第180回

11月21日・火曜日
早朝から『はみだし刑事』ロケ。
ヤノッチが、
「柴田恭平さんの走り、ナマで見られた!」
と喜んでいた。
夕方、コドモと歯医者さんへつきあう。
コドモは今日からほぼ一年、
矯正のブリッジをつけなくてはならず、なのだ。
終わってからコドモの口を見たら、
『ジャジャーン!』な顔になっていた。
くじけるなー、と、思いながらマンガを買ってあげた。
本人はけっこう大丈夫のようであり、
しかし、何度も鏡を見ては口を開けていた。
そのあと、母親はガン黒メイクをして、
ミニスカートをはき、深夜
「神楽坂」の「ツインスター」に行ってブロスの撮影。

若いコはともかくとして、
あのパラパラという小さな踊りを、
本当に必死で覚えて小さくやってる
サラリーマンの姿がおかしかった。
あんたら何やってんだ。
言えないけど。


11月22日・水曜日
『はみだし刑事』ロケ。
風吹ジュンさんに、いかに私が中学の頃、
あなたのモノマネがうまかったか、を話したら、
「いまだに、セリフもうまく息を吸えないのよー」と、
ほのぼのとやさしいお人柄。
犬も連れてきておられ、その性格の話など聞きつつ、
なんてかわいいんだ! 風吹さんは! としげしげ見る。

2時間待ちが入り、ヤノッチとお好み焼きを食べる。
忙しいね、なんてのは口に出さないようにしながらも、
ついついシゴトの話にもどる。
帰宅したらコドモ、学校でまわりの女の子たちから
「ぜんぜん平気だよ」「かわいいじゃん」と、
言ってもらったのが嬉しかった! と話していた。

ちょっとイジワルなあの男子は、何か言ったか?
と聞いたら、かなり覚悟してたのに、
指をさして「虫歯ー!」と言っただけらしく、
ちょっと的が外れてておかしかった、
と言っていた。


11月23日・木曜日
『はみだし刑事』パトカーシーン。
つっても、ミニパトですが。
柴田さんは、とにかく
「こうすると速く見える、セリフはこうしようか」など、
動きやフレーズを速やかに教えてくださるので、
勉強になった。すごいんだ。

お笑い界でもそうだけど、トップに立つ方はみんな、
出演だけの仕事、ということはできないようだ。
限り無く裏方に近いような。
でもあのいい声で、
「あの、もしかして、清水さん、運動神経……」と、
笑っておられた。途中で止めるな。


11月24日・金曜日
外でのパトカーロケと、樹木希林さんとのシーン。
一番緊張して、NGを出してしまった。
でも、なんとか無事終了し、二人揃ってモニターを見た。

深夜、帰宅したら、チャルメラが聞こえ、オットと二人、
コートを着て夜食のラーメンを食べに向かった。
何十年ぶりだ。こういう食べ方は。
いきおい余って、夫婦でテーブルを運び去り、
コタツまで出した。


11月25日・土曜日
手袋をして、はっぴいウイークエンド生放送へ。
冬ねえ。朝、暗いんだ。
小林克也さん、最近子犬を飼いはじめたらしく、
またここでも犬の話を聞く。
いいなー、私も早く欲しいなあ。雑種でいいんだけどなあ。
夕方インターネットにはまり、たくさんCDを買う。
藤井さんとメール。
みなさんからのメールもむさぼり読む。
コドモとハムスターの部屋の掃除。
明日の荷物作りなど。
今週は自分のシゴトだけしか頭になかったみたい。

2000-12-16-SAT

第181回

11月26日・日曜日
NHK「おーいニッポン」9時間生放送で飛騨高山へ。
本番用に着替えようとしてたら、首の筋肉を
グキッ!と、痛めててしまい、それがあんまり痛いので、
病院を探したんだけど、日曜日だったー!!
で、生放送だし、映ってない時間に
緊急受け付けのある病院へ。
ここは私が生まれた病院でもあり、
なんか運命的にひょいともどってきたようで、
不思議だった。


11月27日・月曜日
母親の誕生日でもあったので、
帰りに家にプレゼントを置いてきた。
あー、恥ずかしがる性癖を無くす薬があったら、
もしかしたら日本中爆発的に売れるんじゃないかなあ。
お母さんいろいろどうも、ありがとーござんす。
なんて言えたら。
でも言われた方もキツイので、一緒に飲む羽目になると。


11月28日・火曜日
ドラマロケ。寒かったー。
お昼にお蕎麦を食べるが、ヤノッチは「そばがき」を注文。
なんだ、意外と通なんだなー、と思ったら、
そばに牡蠣がついてくるんだと思ってたらしい。
キャンセルして、セーフ。

私は暖かい天そば。
小さくゆず皮が浮いてきた。ちぇー。
私は「熱い蕎麦にゆず少々」が好きじゃない。
なんか一瞬で、熱い出汁も
『さわやかっ!』になるじゃないですか。
あー、これで全てがさわやか。
七味に入ってる程度はまだしも、けっこうナマの
「ゆず」ってああ見えて香りが強くって、
リフレーッシュ!!と、なるんですよね。
けど、まわりの蕎麦好きに聞くと、
「ゆず? 悪くない」と言われるんで、
どうやら私だけらしいんだけど。
山で取れた蕎麦粉の香りと、出汁の部分の、
かつおや昆布の風味の一体感。
これこそが身上なのに、なぜリフレッシュするの。
「どう思う?」と、ヤノッチに。
答えは「さあ」。


11月29日・水曜日
はみだし刑事ロケ。
待ち時間の日溜まりの中、甲本さんと立ち話。
甲本さんのお兄さんと、水道橋博士は
同級生だったんだねー、なんて話から、
芸能人ニューカツラ疑惑の噂まで。
話がやたら面白い人で、
ヤノッチは横で笑いっぱなしだった。
そのあと、ヤクザの役の方と立ち話。
遠くから見たら姐さんってカンジ?

とりあえず、これでドラマ収録は今日で終わり。
帰りにヤノッチに、役作りについて
もうちょっとこうすべきだったかも、などの、
具体的な意見を聞く。
言われてみると、耳が痛いながらもああそうか、とわかる。
ヤノッチは恐ろしいほど人やものをよく見ている人だ。
ほのぼのしてて、そうは見えないんだけど。
ドラマに限らず、ちょっと相談すると、
必ず答えが返ってくるんだけど、
それが的を得ていて、妙に鋭く、びっくりする。


11月30日・木曜日
ビバリー。今日は楽しかった。
帰りの車の窓から「10ミニッツ・バーバー」を発見!
着席して10分で髪をカットし、料金一律1000円、とある。
中を覗いて見たら、ものすごい速さで
チョキチョキ切ってたのがおかしかった。
できるもんなんですなあ。ずーっと見ていたかった。

2000-12-23-SAT  

第182回

12月1日・金曜日
てれび君の出張ロケで長野へ。寒かった〜。
半袖の衣装のまま、と、言われてたもんだから、
冷え性の私にはまるで八甲田山ロケだった。

でも帰りにはおいしいお蕎麦を食べた。
駅のお蕎麦やさんなのに、
本当においしくって、暖まればいいや、
ていどに思ってたのに、
もう一枚「ざる」を追加注文。
「ざる」と「もり」、いつも思うんだけど、
名前をどっちか一種類に決めて、
切った海苔を好みでかけられるように
横につけておいてもよさそうなもんなのに、
必ず2種類あるのよね。
で、私としては「ざる」と「もり」では
どっちが好みなのか、いまだにわかんない。
あってもいいような。なくてもいいような。
でも、「もり」を注文する方が、
ちょっと通なカンジがするよね。


12月2日・土曜日
はっぴいウイークエンド生放送。
そのあと、小堺さんと御一緒する。
ふたりで中華料理店でのヒトコマ
(私はカタコトのウエイトレス、小堺さんはウエイター)
を本番前に遊びで。
ここんところ、小堺さんに会えば、
シゴト前の挨拶代わりに、
いつもこの設定でやるのが普通になってきている。
だんだんストーリーも複雑になってきてて、
今日はウエイターに盗癖があることがわかった。


12月3日・日曜日
今日は松村邦洋さんと。
当然、モノマネで会話、ですよね。
おもしろかったー。すぐ反省するんだ。
なのにボキャブラリーがどんどん出てきて、
長く誰かにずーっといられるんですよね。
凄かったなあ。
でも、もともと松村さんは、あんまり女性に興味がない
(肉体的なモノは別として)タイプなんじゃないかなあ、
なんて、軽くふと思った。
それにしても苦しかった。
罪のない人だなあ。めずらしいですよね。


12月4日・月曜日
おかず屋さんで、富山へ。
おいしい料理をいただきながらも、帰りに、
「ボロいけど、おいしいお寿司やさんがある」と聞いて、
夜、スタッフと出かけた。
なるほど、ボロい。でも、本当においしい。
わさびの味までしっかりとおいしいのだ。感激した。
ひと桁違うんじゃない? というほど安かった。
ただ、不思議だったのは、
いろんなサインが飾ってある中で、
「天才バカボンのパパ」の絵にあるサイン。
どう見ても赤塚不二夫先生のものじゃなく、
明らかにものすごくヘタなバカボンのパパのイラスト。
誰に何があって、どんな理由で描いたのか。
飾ったんだから、何かはあるんだろう。
それを思いながら黙ってお茶をすすった。


12月5日・火曜日
本番、オットが見にきてたので緊張した。
いいとこ見せたいような、別に普段着で、みたいな、
わけのわからない気分になる。
父兄参観のようで、
別に来られても嬉しくないけど、不快でもない。

夜、明日のリハためのピアノを練習する。
初対面の人と、音楽で会話できるのが可能なんだから、
ミュージシャンは不思議だ。
とにかく自分のセリフだけは言えるように。

2000-12-26-TUE

第183回

12月6日・水曜日

リハのあと、来てもらってた夫の母と二人で、
コドモのスイミングスクールの見学へ。
この人(シュート)、ホントにおっとりさんで、
いつもニコニコしておられる。

ウチの実家の両親は、年寄りっぽいと見られる事を恐れる、
というか、まだ若い若い!
と、頑張るタイプだけど、
(こないだ、コムデギャルソン着てた)
こちらは、おばあちゃん丸出しで、
やたらつきあいやすい。

煮物やふだん絶対作らない天ぷらなど作ってもらい、
食べた。
私は、ばあさんになったら、
こんなに孫がかわいいと思えるか、と思うと
全然自信がないなー、と思いながら
孫と祖母の二人を見た。

小さいころ、近所の正直なおばあさんが、
「孫ってもなあ、そんなでもない」、という、
ごく何気ない言葉を聞いて、
(お?)、と思ってからというもの、
一般的に「孫に対する祖父母の見方」が変わってきてた。
本当に、どうやら孫を愛するのは才能のようなのだ。
冷たいようだけど。
だから、あの「孫」っていう曲、
なんだか妙に理想的なおじいさんっぽくって、
嘘くさ、で、嫌い。
しかも結局「自分の遺伝子」を喜んでいるのよね。
えびす顔で。きゃー。

12月7日・木曜日

生放送3つ。
疲労しそうなので、アリナミンを飲んで家を出た。
しかし、あんまりかんばしくない放送が、
最後に一つドカーンと来て、(お相手が、めちゃ不調)
こっちまでぐったりきた。
テレビで、「とにかく元気な人」がいつも求められる理由が
よくわかった。
人間のよくない状態って、
めっちゃ即座で強力に伝染するんだ。
私まで、暗いBADな感じで、
すっかりぐたーっと落ち込んでしまい、
楽しみにしてた矢野顕子さんのコンサートも
ブルーなままで行った。
行って良かった。
救いは必ずある、それは足にあるんだなー、とわかった。
あのまま家にいたら、そのまま引きずってたんだ。

12月8日・金曜日

早稲田大学で、講演会ライブ。
めちゃ楽しかったなあ。
とにかく笑いの反応が早いんだ。
私もスイスイ喋ったし、スイスイ吸収されたって感じ。
もっとやってたかった。
そのあと、BSで五輪真弓さんと初めて御一緒。
ちょっとドキドキする場面がありながらも、セーフ。

12月9日・土曜日

やたらスケジュールが詰まってる一日で、
最後の一本はちょっと心を込められなかったカンジ。
いい日があると、悪い日があるのって、
なんだか自分で作りだしてる気がする。
変なバランスをとりたがってる、みたいな。
受験の時、実力を出す、という気持ちと、
出てしまったらどうしよう、という
変な天秤があったのを思い出した。

12月10日・日曜日

天才てれびくんSP。
子供たちから、廊下で会うなり
『あ、清水のミッチャン!』と言われ、
それが口々に伝染していったのが、
驚きながらもなつかしかった。
なんで、「清水の」をつけたのかしら。
子供なのに。

2000-12-30-SAT

第184回

12月11日・月曜日

このところ、私のまわりで、凄い、と、
またもやもう一回見直されてるのが、
サザンオールスターズ。
で、今日はその話ばっかりした。
フォークソング、はいろいろありけれど、
本当に今の日本に住んで、ちゃんと地元の歌ができるか、
というような内容。
話を聞いてるうちに、本気で聞きたくなってきて、
ちゃんと座ってCDを聞いた。
このところ、何かしながら聞くのが多いので、
学生時代のように、ただ聞くだけってのが、
できなくなっているようだ。せわしないな。

12月12日・火曜日

コドモと歯医者さんへ。
待ってるあいだ、うとうと寝てたら、
『終わりました』、と声がかかり、
私はその声で起きたもんで、恥ずかしさも手伝って、
愛嬌のない顔のままで説明を聞いた。
何やら先生もコドモもニヤニヤしてて、
何なの、あなたたち、と、不審に思ってたら、
『今月はクリスマスですし』と、歯科医が言う。
続いて、コドモがニッ、と笑った。
見たらなんと、
矯正の歯が「赤」と「緑」で埋められていたー!!
私は悶絶しそうになったが、しっかり大人の表情を繕った。
帰宅しながら、コドモは、
「チャンチャンチャンー、チャンチャンチャンー」、と、
「ジングルベル」を歌いながら無気味に口を横に開くので、
やめてえっ、と耳を塞いだ。

12月13日・水曜日

コドモ、クラスでいっせいに笑われながらも
うらやましがられたんだそうだ。
馬鹿な。歯がクリスマスバージョン、なんてのが、
まともなわけはない。だいいちめでたすぎる。
夕方、西村雅彦さん、なぎらさんらと番組で御一緒し、
不思議で楽しい3時間だった。

12月14日・木曜日

ビバリーで、加山雄三さんの
「君といつまでも」がかかった。
なつかしい、と久々に聞いてたら、この曲の2番に
「やさしくーこの僕のーしとねにーしてーおくれー」
という箇所があり、「しとね」って何なのかと思い、
調べたら、「布団の類い」だった。
じゃあ、恋人は、布団あつかいだったのか!
ものすごいオチじゃないの?これ。しとねて。

12月15日・金曜日


やたら忙しい一日。
「芸能関係でスケジュールいっぱいの手帳」が
欲しかったのに、いざ持って見るとムナシー。
帰宅して矢野顕子ライブをDVDで。シャワー。
買ってよかった、DVD。
でも、つけて見たのは今日が初めて。
きれいだなあ、とは思うけど、
あんまりしょっちゅう見ないだろうなあ、とも思った。
友だちから電話があって、古い友人の噂など聞く。
シーツ替えて電気毛布入れて寝た。
一瞬、ものすごい夢。
ここには恥ずかしくて書けない。
内容は、トイレに行くんだけど、
私は便器に向かって口を開けるんですね。
やれやれ、とごく自然なカンジで。
それで、のどちんこから、オシッコしてるんですよ。
で、心の中では(のどからオシッコって、毎度の事ながら
気持ちわるい、うがい、うがい。まちがえて途中で
口を閉じないようにしなくちゃ)なんて思ってる夢。
どんな口臭なんだ。

2001-01-13-SAT

第185回

12月16日・土曜日

コドモと新宿、映画「6DAYS」へ。
歩いてたら、牛丼屋さんに「ハーブチーズ牛丼!」という
新発売らしき看板があって、味の想像できなかった。
不思議なさわやか親子丼というものなのだろうか。
映画は初日なのにガラガラで、シュワルツネッガーさんは、
なんだか珍しくやる気がなさそうに見えた。
しかも帰りにお財布をなくしてしまい、映画館にもどり、
すみません、すみません、と言いながら、
親子でゴミ箱の中を必死で出しては探すというていたらく。
皆が見てるし。
しかも、ゴミ箱って、入れやすく、
出しにくい構造になってるんですね。
結局コドモが座席シートの上で見つけてくれ、コドモに、
「ありがとう!ありがとう!」と、
お礼を繰り返して手を洗った。
財布がもどったら、とたんにさきほどの恥も消えた。

12月17日・日曜日

やたら原稿を書く。
オット、免許書き替えに行ってきて、不機嫌そうだった。
「公共の場だってのに、いつ行ってもむやみにいばってる」
んだそうだ。
ヤノッチも免許書き替えの時は、
めずらしくふくれて帰ってきてたので、
多分、そうとうなんだろう。
でも人が怒ってる姿って、なんだかおかしい。
ずうっとニヤニヤしていた。
ビデオで、「リトルダンサー」。
感想文を書いてファックスで送る。
夕方、下北沢の本屋さんに行って数冊購入。
これは買うほどではないかなー、と思った本を、
もいちどチェックと、立ち読みしてたら、
止まらなくなってしまった。
そのまま下北で待ち合わせして、家族で外食。
みんな魚が好物なので、また魚料理。
後半、たらば蟹を注文するのだ、と
計算しながら食べたはずが、最後のつみれの鍋で
お腹いっぱいになってしまったため、心で舌打ち。
本当の満腹状態は、胃袋ではなく、背中にくるのだった。
とにかく背中が痛い。

12月18日・月曜日

三谷幸喜・脚本、監督の映画「みんなのいえ」、本読み。
私は田中邦衛さんの長女で、八木亜希子さんの姉役で、
なんとはなく、八木さんにあやまった。
初対面の田中邦衛さん、挨拶しながら
何か私に言いたそうな表情だった、ような気がした。

12月19日・火曜日

FMソフィアゲスト。
ヤノッチはFM東京に行くのは初めてなのらしい。
私も久しぶりだ。
そのあと美容院へ。
いつも行ってるお店の予約が取れず、
初めてのお店に飛びこむ。
着地やや失敗か。
そうだ、洋服を買おう、と、
ウインドウを眺めてるうちに思いつき、
コートにトレーナー、パンツ、セーター、ブーツなど、
カードでやたら買ってしまった。快感。

12月20日・水曜日

みんなで年賀状書く。といっても、
住所をほとんどラベルで貼って行くだけなんだけど、
ラベルじゃないヤツもけっこうあり、
ものすごく面倒に感じる。
すごい時間のロスをコツコツしてるみたい。
ふだん文字を手書きでしてないから、
字というかバランス取るのも下手になってるみたい。

2001-01-19-FRI

第186回

12月21日・木曜日

ビバリー。大瀧詠一さんがゲスト。ちょっと緊張。
本番でしばらく話してた途中、
ごく淡々とおっとりした表情で、
私に一枚の写真を見せたので、何だろう、と見て、
ヒャーッ!と、びっくりした。
なんと、「高山の私の実家をバックの大瀧詠一」、
という写真なのだ。
あんた!何をしとんの!と叫びながら、
頭の中がとっちらかってしまった。
まさか自分がこんな目にあうとは。
なぜか汗がドバドバ!と出た。
終わってからも話をしたかったが、そのあとがナマ放送で、
「その写真ください」も言えず別れた。
夜は、現代音楽の不思議な番組で、
吉田美奈子さんとお目にかかる。楽屋が同じだった。
なんと、「下北沢の魚料理の店で、
隣に座ってたことがあった」のだそうだ。
夢で逢えたら(歌の方)の、一日だった。

12月22日・金曜日


映画「みんなのいえ」衣装合わせとリハ。
衣装合わせ、あまりにセンスのない服で、笑ってしまった。
よく見つけたというテイスト。
ヤノッチ、帰りの車の中で一人笑ってたので、
理由を聞くと、「三谷さん、スタッフ皆の前では
監督らしく指導されて、清水さんもしっかり言う事を
聞くんだけど、廊下で二人だけになると、
とたんに立場が逆転するみたいで、「おう、ミタニ!」
「はい!清水さん!」て。ふつう、あれはないっすよー」
と、言い、また「はははは」と笑っていた。
呼び捨てはしてないと思うけど、そういえば、二人とも
『こういう立場で!』みたいな感じ。

12月23日・土曜日

藤井隆さんの番組『ダンシン!』へゲストで。
たくさんしゃべってるうちに本番。
そのあと、藤井さん、YOUさん、ヤノッチ、
YOUさんのマネージャーさんと、私の5人で食事へ。
すっかり酔っぱらってしまった。

2001-01-25-THU




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