第18回 謎の虫たちの正体に迫る。

第17回の「発見! 新種の虫?!」で、
全国の虫博士たちに
「この虫が何の虫か教えてくださーい!」
と応援のお願いをさせていただいたところ、
とてもたくさんのみなさまからメールをいただきました。
ほんとうにありがとうございます。
みなさまから届いたメールを拝見しながら、
この日曜日のほんのひとときですが、
一緒に過ごしておしゃべりしているような気がして、
なんだかしみじみしとした嬉しい気持ちになりました。
ではでは、謎の虫の正体を解明することができたのか?!
みなさまからお寄せいただいたメールを、
謎の虫を振り返りつつご紹介させていただきますね。


虫発見者:ムーさん
「赤色でぐるぐる巻の虫」
・ぐるぐると渦を巻いたような形
・色は赤
・2〜3センチ程の大きさ
「ちょろぎ」という野菜そっくり

ムーさんがご覧になったのは、
オオスカシバのサナギかもしれません。
(一寸の虫にも五分の魂)

赤色(多分真っ赤というより
赤黒い感じだと思います)なこと、
ぐるぐる巻きな部分があること、
地面に埋まっていたこと、
「ちょろぎ」に似ていることなどから推測すると
「蛾のサナギ」だと思います。
種類まではちょっと判りませんが‥‥。
(うに)

一寸の虫にも五分の魂さん、うにさんなど、
ほかにも「赤色でぐるぐる巻の虫」宛に
メールをくださったみなさま、ありがとうございました。

蛾の幼虫に関していろいろ見ていたところ、
確かにチョロギ似なサナギがいましたよ!
画像検索で「オオスカシバ 蛹」、または「蛾 蛹」、
と、入れて検索してみると出てきますよ。
こんなに珍しい形をしていながら、
意外にも身近な虫だったのかもしれません。
ムーさん、どうでしょうか??
ぜひまたご連絡くださいね。

蛾を調べていて、
カレハガの卵というのを見つけたのですが、
これがすごくきれいな卵なんです。
カレハガの成虫は、名前の通り
枯れ葉のような見た目の茶色の蛾です。
なのに、卵はまるで蜻蛉玉みたいにきれいな色!
ちょっと寄り道して、カレハガの卵も見てみてください〜。


虫発見者:さのさん
「虫のようなネズミのような生物」

・体長4センチほど
・動きは尺取虫みたいな動き

さのさんが送って下さった写真の昆虫ですが、
ハナアブで間違いないでしょう。
しかしながら、細かい種名までは同定出来兼ねます。
あまりお力になれず、申し訳ございません。
虫博士たち。毎週楽しみにしています。
大勢の力で問題が解決していくといいですね。
(一寸の虫にも五分の魂)

一寸の虫にも五分の魂さん、
この虫はハナアブに間違いない、との心強いお言葉を
ありがとうございます!!
知らない人にとっては、とても不思議な生き物ですが、
逆にとても特徴のある虫なので、
判明しやすいのかもしれませんね。
ハナアブもいろいろな種類がいるようですが、
このハナアブは、成虫になったら
どんな変身をするんでしょうね〜。
ハナアブ博士がいたら、また教えてくださいね。


虫発見者:K-muraさん
「頭が三角の寄生虫??」
・踏んづけたミミズの切れたところから出てきた
・ぬる〜っと黄緑色っぽい
・頭が三角っぽく、体長6〜7センチの扁平なもの
・寄生虫?

話にある形からすると
ヒルの仲間のように思います。
でもミミズに寄生はしないかも。
(いわお)

それはもしや
「コウガイビル」ではなかでしょうか。
名前の由来は、頭の三角が
「笄(こうがい)」という
カンザシの一種に似ている
ヒルみたいなヤツだからなんですよ〜。
しかし自分で断言しといて言うのもナンですが、
コウガイビルはもっと長くて、
湿った石の下なんかに絡まったりしてるのが
普通‥‥。
ミミズの体内なんかで
ナニをしていたのかは謎です。
まだ小さいコウガイビルが
悪いミミズに呑まれて困っていたところ
K-muraさんの姪っ子ちゃんに踏まれて
助かったんだ‥‥なんていう風に、
誰かが解明してくれることを望んでます。
(ちゅんちゅん丸)

違うかもしれませんが、
思いついた事がありましたので。
この世に「コウガイビル」という生き物がいます。
名前はヒルとついていますが、
ヒルの仲間ではないそうです。
生物の教科書でお馴染みの
「プラナリア」に近い生き物で
条虫と同じ扁形動物ですが、
寄生虫ではないのです。
だから、違うかも知れません。
コウガイビルは、頭が三角(扇状)で、
体は扁平で長いです。
種類は多数あり、色も長さも多彩です。
見た目がすごいのが、「ミスジコウガイビル」で
黄色いボディに黒い筋、
カラフルで大きく長いので、かなり強烈です。
公園や、野山の湿った木や石の下などに居ます。
逃げ足は思ったより早く
ミミズやナメクジを食べるそうなので
ミミズを補食中だったのかもしれませんね。
(きゃっとにっぷ)

ほかにも「コウガイビル」では? というメールを
何通かいただきました。
姿形から想像するには近いものがありそうですし、
ミミズというキーワードも出てくることから、
「コウガイビル」がとっても気になります!!
でも、ひとつ、
「踏んづけたミミズの切れたところから出てきた」
ということなので、ちゅんちゅん丸さんや
きゃっとにっぷさんのおっしゃるように、
もしコウガイビルだとしたら、
ミミズを食べるはずのコウガイビルが、なぜ
ミミズの中にいたのか、が謎なんですよね。
そのコウガイビルの餌の食べ方なんですが、
餌であるミミズやナメクジ、カタツムリなどに
体全体で巻き付いて、お腹側にある口から
管状の口先を伸ばして、
肉を消化しつつ飲み込むというんです。
すごそうですよね‥‥。
K-muraさん、コウガイビルだったかどうか、
ぜひお返事いただけると嬉しいです!


虫発見者:えりさん
「よじよじと歩いている変な虫」

彼は間違いなく「ケラ」だと思います。
しかし彼がメジャーでないコトには
かなりびっくりしました。
ケラなんて田んぼや畑にいっぱいいますよ!
と言ってみたものの、都会にはどちらもないので
ご存知でない方も多いのでしょうね。
とはいえ、田舎では
ちっとも珍しくない虫だと思います。
「おけらだぁ〜って〜、あめんぼだぁ〜って〜♪」
と「手のひらを太陽に」でも
歌われているじゃないですか?
どうでもイイんですが、
「手のひらを太陽に」って
アンパンマンのやなせたかしさんが
作詞なんですね。知りませんでした。
もっとどうでもイイんですが、
お金がなくなってすっからかんになることを
「おけらになる」と言いますよね?
これはこの「ケラ」の前足2本が大きくって
人が「お手上げ」してるように
見えるからだそうです。
ほんとにどうでもいいですね、すみません。

「え、オケラはメジャーじゃないのか!」と
衝撃だったので興奮してしまいました、
スミマセンでした。
(jun)

たぶん、最後に紹介された幼虫のような虫は、
「ケラ」だと、
我が家のチビ昆虫博士は申しております。
「ケラは、体長は30〜35ミリ。
おもに、ミミズなどを食べます。
体は細かい毛に覆われて、
泳ぐことが出来ます。
あと、土の中でビーって鳴きます。
手の上に乗せると、
指の間にもぐろうとしてくすぐったいです。
すごくカワイイです。って書いて。」
と、言われたので書いてみました。
(昆虫版ムツゴロウさん家)

はい。みなさま、
これはもう間違いなく「ケラ(オケラ)」です。
とてもたくさんの方々から、「ケラ」ですよ〜! という、
優しいつっこみをいただきました。
ありがとうございました!!
中には、虫博士チームのみなさんが
わからなかったということは、
ケラではないのかもしれませんが‥‥ケラに見えます、
という気遣いまでさせてしまうような
メールもいただいたりして、本当にすみません〜。
ずばり、威張って言えませんが、
虫博士チーム全員「おけら」という名前は知っているものの、
「ケラ」を見たことがなかったのです。
わりと都会育ちを中心に結成されているこのチーム、
育った環境に田んぼや畑も身近になかったとはいえ、
調査不足でした‥‥反省です。
junさんのように「おけら」知らずの私たちに
衝撃を受けたみなさま、
これからも虫博士チームをよろしくお願いします!

この「ケラ」、メールをくださったみなさまから
かわいいかわいいと言う声がとても多かったのですが、
確かに、大きな前足に、まるっこい目と頭、
どこを見ても気になりどころ満載で、
人気の理由がわかる気がしました。

それにしても、昆虫版ムツゴロウさん家さんの、
チビ昆虫博士!! かわいくて素敵ですね〜!
またメールをくださいね、お待ちしています。


情報をお寄せくださったみなさま、
ほんとうにありがとうございました!!


今回登場した虫たちをご覧になりたい場合は、
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(検索エンジンgoogleの
 イメージ検索を利用しています。)


カレハガ コウガイビル ケラ


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そこから画像をデスクトップにドラッグ&ドロップして
くださいね。

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『こんちゅう稼業』
『虫けら様』


話題のミノムシをマンガにしたものに、
秋山亜由子さんの
『こんちゅう稼業』に収録された
「ミノムシの結婚」があります。
他にも虫に関する楽しい話がたくさん。
秋山さんの『こんちゅう稼業』と『虫けら様』は、
何度読んでも飽きないマンガです。
(WAKA)

WAKAさん、ありがとうございます。
本当に偶然なのですが、「ほぼ日」乗組員から、
先日秋山亜由子さんの『虫けら様』を借りて
読んだばかりだったので、
私にとってすごくタイムリーな本で嬉しくなり、
みなさまにもぜひご紹介したいと思いました。
虫の生態を噛み砕いた魅力的な物語になっていて、
読んでいる内にどんどん独特の世界に引き込まれます。
WAKAさんのおっしゃるように、何回も読んでしまいました。
『こんちゅう稼業』もぜひ読んでみようと思います!

『虫けら様』(青林工芸舎)
著者:秋山 亜由子

2005-12-04-SUN



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