第54回 におう虫たち大集合。

虫に鼻を近づけてにおう、そんな経験はお持ちですか?
小さい虫を鼻に近づけるということは、
虫を、より間近で見るということになりますよね。
それはちょっとコワイ!
でも、世の中には、鼻に近づけなくても、
におってしまう強烈な虫たちがいるようです。
触ったりして虫を驚かすとプ〜ンとにおう、
というパターンがほとんどのようですが、
つまり身を守るがゆえの臭さ、です。

敵の多い虫たちにとっては、
身を守るパターンとして、
擬態したり、針を刺したり、噛みついたりと、
保守的なものも攻撃的なものもありますが、
臭いにおいを発する、というのもまた、
虫にとって、重要な身を守る術のひとつですよね。

本日は、そんな「におい」を発する虫のオンパレード。
でも、においまではご紹介できませんので、
冷房をつけて締め切った部屋でも、
どうぞ安心して楽しんでくださいね。
ではどうぞ〜!
(画像は、下の「今日の虫検索」でごらんくださいね!)



アゲハチョウの幼虫が放つ
強烈なにおい。


アゲハの幼虫は、
触られるとオレンジ色の角を出し、
ものすごくイヤなにおいを発し、
外敵から身を守っているみたいです。
(SY)

アゲハチョウの幼虫が、
そんな角を隠し持っていたなんて
知りませんでした!
調べてみたところ、
このオレンジ色の角というのは、
頭部と胸部の間にあります。
「肉角(にくかく)」
または、「臭角(しゅうかく)」と呼ばれていて、
いつもは体内にあるのですが、
つつかれたり、触られたりして衝撃を受けると、
しまっていた角を体液の圧力で押し出す、
という感じの構造になっているようです。
そしてそのときに、
柑橘系の独特のにおいがするそうです。
アゲハチョウの種類によって若干、
肉角の色も違うみたいですが、
「オレンジ色系」、「柑橘系のにおい」というのは、
アゲハチョウの食草が、
ミカン科の植物が多い影響でしょうか?!
虫たちの色やにおいと食べ物の関係性は、
とっても興味深いところです。
詳しい方、ぜひ教えてくださいね。


触ると臭い?「クサカゲロウ」。

先週のヘビトンボの話を読んで、
同じくカゲロウの仲間の
「クサカゲロウ」の写真を送ります。
どこにでもいる珍しくもなんともない虫です。

(拡大)

この虫、触ると臭いから
「クサカゲロウ」なんだそーで。
私は幸いにも一発も喰らったことがないので、
草色できれいだからだと思ってました。
それにしても失礼なネーミング。
可哀想なのでちょっと調べましたら、
なかなかウンチク豊富です。

クサカゲロウの卵は、
ウドンゲ(優曇華)の花と呼ばれていて、
細い糸の先端に花びらのように
卵がいくつか付いた形をしてます。
優曇華はインドの伝説に登場する吉兆の花で、
三千年に一度咲くという珍しいもの。
この花が咲くと金輪明王、転輪聖王が
出現するのだそうで、
とてもありがたいことなのですが、
なぜか日本では凶兆とされいるそうです。
ずいぶん前に一度見たことはありますが、
私の場合は大過なく今に至ります。

幼虫もアブラムシを食べる(体液を吸う)そうですが、
なんと食べ終わったアブラムシの死骸を
背中にくっ付ける習性があるんだとか。
実際に見たことはないですが、
ゴミのかたまりのようで、一説には、
カモフラージュのために付けてると言われてます。
(aitos)

「クサカゲロウ」の名前の由来、
クサカゲロウにとっては、ほんとに失礼‥‥、
と思いつつも笑ってしまいます。
でも、体の色から、
その名前がついたとの説もあるみたいですね。
一番驚いたのは、
アブラムシの死骸を背中にくっつける、ということ!
実際に画像検索をしてみたら、
たくさんの死骸を背中にのせて、
本人不在のようになってしまっているのを見ました。
確かにカモフラージュにはなっていますが、
動きづらそう‥‥。
みなさまもぜひ、画像検索で見てみてくださいね
aitosさん、ありがとうございました。


カメムシに脅えています。

毎年、カメムシのにおいには、脅えてしまいます。
カメムシが部屋にいたときの
ショックといったらありません。
外に出そうとティッシュでつまんだ瞬間、
なんともいえない強烈なにおいが
部屋に充満して泣きそうになったことも。
あと、カメムシが出ると、
みょうに家族の連帯感が生まれ、
「じっとして!」
「お母さん、そっとそっと!」
「お父さん、窓開けて!」
と、それぞれがカメムシを刺激しないように、
その場でできる精一杯の任務を果たします。
無事、においを発せられることもなく
退治できたときは、
ひと仕事終えたような満足感すらあります。
(りょう)

カメムシの仲間(カメムシ亜目昆虫)は、
嫌なにおいを出す昆虫として名高いかもしれませんね。
このカメムシの発するにおいは、
カメムシの体内の「臭腺」と呼ばれる部分で作られ、
刺激などが加わった場合に放出されるそうです。
このにおいは、もちろん、敵から身を守ったり、
仲間に「危ないよ」と教えるためだったりしますが、
ときには、仲間を呼び集めることに
このにおいを使っていることもあるみたいです。
わたしたちがときたま浴びせられるにおいは、
「敵から身を守る」バージョンのにおい。
強烈なのも仕方ないですよね‥‥。
見つけたら、りょうさんの家族のように、
そーっと触らず逃がすのが一番だと思います。


ミイデラゴミムシのおなら?

「ヘッピリムシ(放屁虫)」とも呼ばれている、
ミイデラゴミムシという虫が
いるのを知っていますか?
臭いだけじゃなく、吹き出すときに、
「ぷっ」っと、音までするんですよ。
(しば)

各地で呼ばれ方もいろいろありそうですが、
ヘッピリムシとは、
カメムシのことを呼ぶこともありますよね。
‥‥でもまあ、臭う虫の総称として、
「ヘッピリ」だったり「クサムシ」だったり、
そのあたりの名前がつきそうですよね‥‥。

ミイデラゴミムシについて調べてみたら、
この虫の吹き出すガスがすごいんです!
外敵からの攻撃を受けると、
お尻部分から、
臭い液体を霧状に吹き出すのですが、
この液体の温度は、
なんと、100度近くもあるらしいんです。
おなかの中で化学物質を混ぜ合わせた化学反応で、
そんな温度になるらしいのですが、
このミイデラゴミムシを
食べようとしたカエルなどは、
火傷を負うほどだそうです!
人間はさすがに、
そんなひどい火傷には至らないようですが、
粘膜や目に入るとコワイので、
「プッ」という音が聞きたいあまり、
無茶をしないようにしましょう。


さて、本日の「におう虫」特集、いかがでしたか?
「臭い臭い」と連発で、大変失礼致しました。
きっとまだまだ知らないだけで、
においのある虫っているんでしょうね。
これからは虫を見たら、
においも気にしておこうと思います。
では、また来週の日曜日にお会いしましょう〜。



今回登場した虫たちをご覧になりたい場合は、
こちらをクリックしてどうぞ。
(検索エンジンgoogleのイメージ検索を利用しています。)

アゲハチョウ
クサカゲロウ
カメムシ
ミイデラゴミムシ


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2006-08-13-SUN



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