Drama
長谷部浩の
「劇場で死にたい」

芝居を見て絵を描く

お芝居をみて、批評という媒体を通して、
文章にトランスレートする。
それが私の仕事です。
ならば、お芝居にインスパイアされて、
絵を描いてみたらどうなるのか。
東京芸術大学の先端芸術表現科「身体芸術論」を
受講している学生たちに、
そんな、あまり例のない作業を試みてもらいました。

t.p.t.「橋からの眺め」(アーサー・ミラー作、
ロバート・アラン・アッカーマン演出)の
ゲネプロ(最終リハーサル)を見学した後、
劇場の表にでた学生をあつめて、

「はい、お芝居を観た印象を、
ドローイングにするように。画材は自由。
締め切りは、一週間後」。

課題をだされるとは、夢にも知らず、
彼らはお芝居を無心に見ていたはずです。
作品のなかから、私がおもしろいと思った三作品を、
本人のコメントとともに見ていただきます。

画像の質が悪いのが残念ですが、
「へー、こんなことやってるんだ」と、
興味を持ってくださればうれしいです。

◆「橋からの眺め」あらすじ

ニューヨーク、レッド・フックの港湾地区。
波止場で荷揚げの仕事をしているエディ(堤真一)は、
妻のビアトリス(久世星佳)、姪のキャサリン
(馬渕英里何)とともに安アパートで暮らしている。
ビアトリスの従兄弟、マルコ(山本亨)と
ロドルフォ(高橋和也)が、
不景気で仕事のないイタリアから密入国してくる。
キャサリンは、陽気で屈託のないロドルフォに
惹かれていく。
じぶんの子供のようにキャサリンを育ててきたエディは、
無意識のうちに、彼女を愛し、手放したくないと
願っている。
結婚へと進んでいくふたりを妨げるために、
エディはロドルフォを密入国者だと当局に密告してしまう。




油絵科1年 小林菜摘子 

家族としての気持ちと、男女としての気持ちが絡み合い、
もつれてゆく様子。
特にビアトリスの女としての想い。



油絵科1年 三ヵ尻ゆう

劇で、「わかる」「わからない」という台詞が
気になりました。その人自身でも、理解できないような、
心、制御できない感情、複雑な重なりの人間関係を、
考えながら描きました。



デザイン科1年 中島健太 

「橋からの眺め」全体のイメージを、
理屈なしに体で形にしようと思いました。




芸大取手校航空写真
坂東太郎と呼ばれる利根川に隣接しています。

1999-06-05-SAT

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