Drama
バンドマンという幸福な商売
沼澤尚さんと、とてもホンネな話。

「J&B THE TIME 4 REAL」発売記念ライブで
「ほぼ日 号外」が出ました!


Photo:Toshihiko Imai
(Rhythm&Drums magazine)

沼澤さんに「20日の発売記念ライブ来る?」と
お誘いいただいたほぼ日乗組員。
手ぶらで行くわけにはいきません。
急きょ「ほぼ日刊イトイ新聞 号外」を作成し、
ライブ会場に行ってまいりました。



「今日は『ほぼ日の号外』が会場で出るよ」
という沼澤さんの一言がライブ中にあったので、
号外はあっという間になくなってしまいました。
お渡しできなかった皆さま、
ほんとうにほんとうにごめんなさい。

さらに急きょ、データ版の号外も作りましたので、
お渡しできなかった方、ライブに行けなかった方も
ぜひプリントアウトして、
「紙」のほぼ日号外版を味わってみてください!
(※かなり大きなファイルですので、
 ダウンロードに時間がかかります。
 ご了承のうえ、下のリンクをクリックしてください。
 ※PDFファイルを見るためのAcrobat Readerの
 ダウンロードについては、こちらをご覧ください。)


表面はこちら(PDFダウンロード)

裏面はこちら(PDFダウンロード)

「え〜ないの〜」「沼澤の棒がほしいっ」
「いつも見てますよ」「もう申し込みました!」
など数々の暖かい声をかけていただきまして
ありがとうございましたっ!


ライブ会場は熱気にあふれてました。女子率高しです!


「沼澤さんの対談がのってます!ほぼ日号外でーす」

J&Bの皆さまのぶんはかろうじて
確保してありました

第2回
ドラマーのソロアルバムを聞いて
「歌わなきゃいいのに」って思った


沼澤 糸井さんに言われるとわかりますよ。
でも、自分たちがやってると、
やっぱりわかりにくい。
わかりにくいっていうか、
絶対見えないんで。
糸井 お互いの顔が見えちゃう。
沼澤 そこにいる人たちみんなで
大爆笑しながら作ってましたから。
でも、やっぱり気になるんで
スタジオに行くときに、
これを初めて聴く人に訊くんですよ。
スタジオでやってるときにも
「あのさ、みんな気に入ってるけど、
 大丈夫だよね?」って
マスタリングのエンジニアとか、
トラックなんかやってるときも若い連中に、
「大丈夫なのか?」って訊いても
「これ、すっごいカッコイイっすよ、
 大丈夫っす」
っていうのが、
作ってる間ではあったんですよ。
糸井 その匂いがしますよね。
やってるときは絶対カッコイイですよ。
それバックの演奏も自分たちですし。
でもこのアルバムって何回も聴いたら、
ボーカルも聞こえなくなるくらい、
カッコイイんじゃないですか。
沼澤 そうですかぁ!
糸井 今のお客さんって、
そんなにバカじゃないから、
全体の力っていうのがわかるし、
ちゃんとわかりますよ。
沼澤 そういえばドラマーの
ソロアルバムってあるんですよ。
ぼく、「歌わなきゃいいのに」って、
そう思ったの、いっぱいあるんですよ。
糸井 人には(笑)。
沼澤 スティーブ・ガットの
初めてのソロアルバムもそうだったし。
糸井 歌うんだ。
沼澤 歌っちゃってるんですよ、ソロアルバム。
それが、ひどいんですよ。なんで歌うの?
スティーブ・ガットって。
糸井 本人としては楽しいし、
サービスかとも思ってるし。
沼澤 いや、絶対そうでしょ?
オマーハキムっていうドラマーの人の
ソロアルバムでも、
初めて出したソロアルバムは
全部ボーカルアルバムで。
「ちょっと俺、ボーカル聴くために
 買ってないんだけど…。」(笑)
糸井 あたたたた(笑)。
プロ野球の選手って、
ピッチャー経験者が多いじゃないですか。
紅白試合になるとやりたがるんですよね。
ファン感謝デーとかで。
「ピッチャー川相」とかってやってるわけですよ、
みんな嬉しそうにやるんですよ。
それは、やっぱりほんとの試合やるときには、
「試合なめてんのか!」みたいになりますよね。
沼澤 そっかー!
そういえば、
人のアルバム聞いてて、そう思ったなー。
いっつもそう思ってましたよ。
糸井 ぼくには全部良かったですよ。
9曲目だったけ?
ビートルズの「I Feel Fine」のところで、
また、ホッとして、みたいな。
あの曲のあの演奏って難しいでしょー。
沼澤 あ、そういうふうに思います?
やっぱりね、糸井さん、
すっごいミュージシャンっぽいですよ。
聴いてる耳が。
あれを難しいって思うってことは、
ものすっごいミュージシャンマニア嗜好ですね。
糸井 全然そんなことはないですよ。
沼澤 いや、あの曲の演奏が難しいっていうことが
解るってことは。
糸井 でも(笑)、これは、簡単じゃないですよね。
聴いてて、ものすごく楽しくて、
気づいたら、「これ何?」
って思ったんですよ。
沼澤 それをやろうとしたのは僕なんです。
あの曲自体をやりたいっていったのは、
もちろんギタリストなんだけど。
普通にやるんじゃなくて
ああいうアレンジでやってみたかったんです。
糸井 あの曲、ふつうにやると、
つまんなくなるんですよ。
沼澤 だから、「こういうのはどう?」っていって。
全部そんな作り方をしたんですよね。
まず曲があって、
「ちょっとこれ、こういうふうにやんない?」
って言ってるのが、ぜんぶ僕なんですけど。
だから、こうやろうって言われたものを、
全部やり直すのが、僕で。
糸井 わーるいことしてるんですね(笑)。
沼澤 1曲目の歌もそう。曲が来たんで、
「じゃ、こういうふうにやんない?」っていって。
ジーン・ヴィンセントの
「Be-Bop-A-Lula」っていう歌なんかも。
糸井 これは気になんないよ。
沼澤 それは気になんないですか。
それ、僕、歌ってんですよ。
糸井 これは大丈夫ですよ。
ミュージシャンやってると、
どんどん上手くなるし、楽しくなって、
「ホントにいいなぁ、うらやましいなぁ」
っていうのは、ちゃんと出てますから。
山下洋輔さんたちが昔よくジャズで
ふざけたじゃないですか。
あの人たちがふざけるのは、
ふざけるジャンルでふざけてたから、
もう素人も何でも放り込んでた。
このバンドでやるときは、
ものすごい緊張感があるわけで。
この「The Time 4 Real」ってアルバムは、
売れる売れないの枚数じゃないんだけど、
大丈夫ですよね。
演奏してる人たちには、
見えにくい面白さが、客席からは見える
沼澤 そこへいくかいかないかっていうのは、
浜崎あゆみも
そうじゃないかみたいなことは、
お客さんにもあって。
良い悪いで言うと、
良いと思う人がやっぱり、
300万人いるんですよ。
糸井 いるんですねー。
沼澤 その事を僕らは痛いほど
知ってるじゃないですか。
それで、彼女のアルバム作ってる人たちも
僕らと同じで、ライブでやってる人たちも、
僕らの仲間で。
彼らがステージ上がってるのを見て。
僕も頼まれることがあるんですよ。
でも、どうしようかと思って。
糸井 僕は浜崎あゆみはやったほうがいいと思う。
沼澤さんじゃないけど、
あれほど、いっぱいいっぱいの人いないもん。
あの人は永ちゃんと同じですよ。
沼澤さんが後ろでドラムを叩いてくれたら、
お客さんが成長するような気がしますね。
沼澤 そうですかねー。でも、どうなんですかね。
彼女の音楽の中で、自分がやることが、
何か活用されんのかなって、ちょっと思ったり。
糸井 浜崎あゆみのコンサートでは
活用されると思うなー。
彼女は責任をすごく持ってる。
多分、お客さんが帰っちゃったら
泣いちゃうもん。
お客が帰っちゃうようなことがあったら、
飛んできて止めるでしょう、
っていう気持ちが見えますよ。
沼澤 なるほどねー。
糸井 見たら感動しますよ。
演奏してる人たちには、
なかなか見えにくい面白さが、
客席からはありますよ。
奮闘するんですよ、ヤツら。
お客さんはその奮闘にほだされますよ。
SMAPの木村君とかね。
「なめるなよ!」っていう気持ちでやってるのが、
痛いほど伝わるから。
浜崎あゆみのライブに沼澤さんが、
ドラムで入るっていうのは、
僕は、もっと行きたくなるな。
僕、もう1回、見ようと思ってるもん。
やっぱり、音楽が楽しいのがあるかもね。
沼澤 すっごく気になりますよね。
糸井 それはだから、あの人の必死さですよ。
だから、いろんな枝分かれのあるところで、
人が多かったか少なかったかっていうような
事件性まで浜崎あゆみの方があるから、
そこのお客さんが来ますよね。
あゆを見ることはニュースですから。
沼澤 そうなんですよね。
糸井 うん。音楽を聴くっていう以外の。
その人数にはかないっこないわけで。
そんなお客さんの中に、
「あ、なんか太鼓を聴いてたら
 気持ち良くなったなー」
ってことが起こるとかさ。
沼澤 僕が、いちばんよく聞くことで、
全然ドラムに興味がない人が、
誰かのコンサート見に来たら、
僕がドラムやってて。
「初めて耳がいきました」って。
それから、うちのバンドを
聴きに来る人がいるんです。
それを聞いたときに、
太鼓の起源って通信なんですよ。
いちばんオオモトから、
今でも変わってないっていうのが、あって。
糸井 それ、やるべきだと、僕は思うね。
沼澤 あゆの後ろで、それをやると面白いと。
糸井 だって、一時さ、SMAPが
ニューヨークでレコーディングしてた時代、
けっこうあったじゃないですか。
沼澤 あれ、良かったですねー。
すばらしいレコードだった。
糸井 SMAPのメンバーを連れてって、
「日本人金あるよね」って見方も
あるかもしれないけど
「このレコード聴いてごらんよ」
って言いたくなるの、
あったじゃないですか。
沼澤 僕はSMAP7とか8とか、大好きですよ!
糸井 僕は「10$」っていうのが
もう、めちゃくちゃ好きで。
沼澤 「10$」が6ですね。
僕が演奏やったんですけど、
ニューヨークの人たちに
差し替えられたんですもの。
自分がやったのが。
糸井 ほんと(笑)。
信じらんないよね。
沼澤 でも、あれは、素晴しいアルバムですね。
糸井 SMAPはね。
沼澤 いいですよね。
アメリカですごい聴いてましたから。
SMAPはあの頃、いい曲多かったですよね。
糸井 そう。探してくるやつがやっぱりいたし、
あと、メンバー何が好きかっていうのを、
いっつも、レコード会社が見てたんでしょうね。
僕は、その説なんですよ。
沼澤 なるほどね。あれ良かったですもんね。
ミュージシャンとか、音楽ファンもすごい、
SMAPのこと好きになっちゃったし。
糸井 「ここは絶対にやらないな」
っていうのがわかるから、
最初から。ちょっとだけ考えて
で、失敗したら、何がいけなかったか、
後で考えるべきなんですね。
沼澤 考えるのは後からでも
いいですからね。
なるほどね。

(つづきます!)

2003-03-21-FRI

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