感心力がビジネスを変える!
が、
感心して探求する感心なページ。

第4回 
修理する文化を伝え、修理というソフトを売る。

前回までのあらすじ:
ブレーカーが飛びビデオが壊れ、
慌てふためきネット検索した結果行き当たった
「サイバーコンセント」。
それは、インターネットでの家電修理受付サイトでした。
モニター超しに強く感心力をゆすぶられ、
その送り手に話を聞きに行ったのでした。


今回登場する人達
サイバー
コンセント
事業部部長
鈴木優


趣味が
犬との会話と
散歩という
事業部長。
タンデム
ワープ社
代表取締役社長
斧田正彦


サイバー
コンセントの
プランニングに
関わる。
タンデム
ワープ社
ウェブデザイナー
中村元


サイバー
コンセントの
ウェブデ
ザインに関わる。
感心力の男
田中宏和


今回は
写真の頭が
切れてしまった
感心力の男。

田中 今、見積り依頼ってどれくらい来てるんですか?
鈴木 えーっともう累計で2500位です。
田中 当初の予想されたのと比べていかがです?
鈴木 一応月400を目標にしてました。
それが月に700とか800とか来ても
やっぱりそんなに対応に人も使えないんで。
田中 ああ。見積りを一人ひとりのお客さんに書かれてますよね。
何人くらいのスタッフで
対応されてるんですか?
鈴木 スタッフはですね、一人とか二人です。
田中 えっ、一人か二人でその月700くらいの対応を
されてるわけですか!?
鈴木 そうですね。
当初目標が400ですからね。
400っていうのは、
一人で修理を受付けて
見積り診断してできる数字なんです。
店舗運営をベースに弾いた数字なんですが。
メールですし、調べなくちゃいけないし、
商品見えないですから、
それより全然大変なんですけど。
田中 一人ひとりの症状に合わせたものを
返信して行かないといけないわけですよねえ。
それはものすごい時間と知識がいる
タフな対応なんじゃないかと思うんですけど。
鈴木 それは店頭で培ったデータがありますので、
症状が決まると、
店頭の端末で料金を決めていけちゃうんです。
田中 じゃあ、もともと(注)店頭にそういうシステムがあったので
それをサイバーというかネット上にも
活かしていけるわけですね。
  
(注)店頭にそういうシステム
サイバーコンセントは、
ミスターコンセントという家電修理店舗の
インターネットサービス版なんです
田中 で、見積り依頼があって、
おそらく最初のメールの印象とかで
申し込む人の比率が変わってくると思うんですけど。
実際申し込む方ってどれくらいなんですか?
鈴木 えっとやっぱりねえ、
この歩留まりは非常に悪いんですよ。
他で見積って比較してみようとか。
とりあえずどんなもんかやってみようとか、
そういう方が多いんで。
で、あと簡単な料金体系しか入れてないんで、
まあ思ったより高いとか思ったりとかですかね。
田中 ええ、最初はどうしてもそうなりますよね。
鈴木 中にはまったくの素人じゃなくて、
メーカーさんからメールが来たりとかいうのは
もう歴然とあるんですよ。
当初はもう富士通とかソニーとか
そういうところのドメインで入ってくる人が
ものすごい多かったんだよね。
田中 寿司屋に寿司職人が来るみたいな
そういう感じなんですね。
鈴木 そういう感じですね。ええ。
田中 僕も返信をいただいた時に
9000円っていう価格で、
冷静に考えると、
「ビデオデッキ、今安いしなぁ」となりますよね。
でもその時に、
ここで直してみたいなと思ったのは
サイトに書かれてる考え方というか、
「REDUCE(リデュース)宣言」っていうのがですね、
あ、これはやっぱりおもしろい
と感じたからなんです。
鈴木 うん。
田中 単純にお金の比較じゃなくて、
ビジョンというか考えに、
これは乗りたいみたいなところが
自分にはあったんですよ。

「REDUCE宣言」のいきさつを
教えてもらえますか?
鈴木 おととしくらいから、
家電リサイクル法が出来た時にね、
REDUCE
(リデュース:発生抑制、ゴミを出さない)、
RECYCLE
(リサイクル:再生利用)、
REUSE
(リユース:再利用)

何が一番大事かっていうときに、
RECYCLEじゃないしREUSEでもないし、
REDUCEだと。
ゴミをとにかく、地球環境とか考えると、
REDUCEが一番前に来るはずだという
考えなんです。
田中 そのRECYCLEと違うみたいなところを
ちょっと説明していただければ。
鈴木 ゴミをゴミにしなければ
使えちゃうわけですよね。
RECYCLEはその後に来る。
REDUCEの後に物は動いてくるんで、
その最初の段階っていうことです。

家電リサイクル法の中でも
RECYCLEっていう言葉ばっかり出てきますけど、
当初から作ってる人たちは
REDUCEが一番大事な法律っていうのは
言われてました。
田中 例えば中古品市場ってありますよね。
ここを通ってくる間にも多かった
中古車センターとか本の「BOOKOFF」とか、
買い取って他の人に売るっていうのとは
違うわけですね。
鈴木 ええ、それはしてないですね。
田中 その辺やっぱり、
買い取り転売、中古転売ではないっていうところは
何か意識されてますか?
鈴木 基本的に「物を売る」考えがないんです。
田中 ああ。やっぱり「修理」っていうことが。
鈴木 「直す」ことにこだわりたい。
そういうことですね。
やっぱり「物を売る」となると、
中古でも何でもね、利ザヤとか、
我々が思う考えと違う要素が
かなり入ってくる。
修理する時にあらかじめ売ることを想定するとか、
ちょっと違う文化に入って行っちゃうんです。
「修理するっていう文化」から、
「販売の文化」になっちゃうのは避けたかった。
田中 修理の方が、よりピュアなサービス業ですよね。
鈴木 そういうことですね。
それを実践していきたいっていうことです。
田中 はあー。
元々ミスターコンセントっていう会社があったのは、
その(注)親会社が3Qグループで
量販店を展開されているという背景が
あったはずですよね。
で、その量販店部門との組み合わせを
考えられたわけじゃないんですか?

  
(注)親会社が3Qグループで
北は北海道、南は九州まで展開する家電量販店として
「100満ボルト」があります。
http://www.100mv.com/
鈴木 じゃなくてですね、
3Qの中にはカスタマーサービスっていう
量販についたサービスがあるんです。
で、ミスターコンセントっていうのは
量販の補完機能じゃなくて、
サービスだけで経営を
成り立たせて行こうという形で、
全部が分社になってるんです。

量販の補完じゃなくて、
それだけで成り立たせるための
営業活動をするわけです。
田中 ついつい最初、普通であれば量販店があって、
その相乗効果で修理部門ということだなと
思ったんですけども、
インターネットで調べているうちに
親会社の3Qグループの社長のお話を読んでですね、
あ、これは違うんだと思って、
そこでもまた面白さを感じて、
さらにびっくりさせられたんです。
鈴木 ええ。
量販のサービスは
売りにつながるサービスですから、
修理できるものであってもしないっていうのは
明らかにありますからね。
お客さんが言わなければ、
できるだけ売りにまわす、
そういう形を取ってますからね。
田中 ということは、
売るっていう立場、それを掲げた会社と
修理、直すってことは、
そもそも根本が違うってことですよね。
鈴木 ええ。
で、まあ一応日本のソリューション、
「直すっていうソフト」を売るという
考えなんですよね。
田中 はい。
「直すっていうソフト」を
言わばバラにして展開されてるところが
ほんとすごいと思うんです。
これ実際のところ事業として、
どこまで行くんだろうかって、
個人的に興味があるんですけども。
鈴木 えーっと、まあ当初は、
ミスターコンセントで400店舗目指すと。
今はもうデフレの問題とか出てますから、
ちょっと今足踏みしてるんですけど、
一応そのくらい目指したいなと。
田中 「直すソフト」を売るっていうと、
他に靴の「ミスターミニット」であったり、
自動車の「カーコンビニクラブ」とか、
他の業態でもちらほらと
全国区を目指そうってところがあるのかなと
思いますけれども。
鈴木 はい。カーコンビニもミスターミニットも、
修理とかサービスをする部分はみんな横にね、
一つにポータルとして入れちゃって、
一緒に進めて行ければおもしろいかな
って考えは、
今でも持ってますよね。
田中 ああ。修理のポータル。なるほど。

<ワンポイント考察>

新しい事業を立ち上げて間もなく、
さぞかし大変な状況というのは、
ひしひしと伝わってきました。
しかし、明るいんですねぇ、語りっぷりが。
それは、事業のビジョンが
明確な信念になっているからだと思えました。
「ビジョン(VISION)」という言葉は、
「先見」「構想」「空想」「幻視」という意味があります。
いまだ見えていないものを強く見れる力が、
物事を次に進めていく原動力なんだなと思います。
ちなみに「ビジョン」には、
「視力」という意味もあります。
そういうメガネ屋さんもありますよね。
さらに、「美女」っていう意味もあるんですよ。
やはり「ビジョン」は美しくないといけない。
受験生のみんな、「美女ん」って覚えよう!
失礼しました。

次回は、サイバーコンセントのプロモーションについて、
ぐいぐい聞いていきます。

2003-02-27-THU

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